JP4459374B2 - クロロプレン系重合体の水素化方法 - Google Patents

クロロプレン系重合体の水素化方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、クロロプレン系重合体の炭素炭素二重結合を水素化触媒の存在下、水素により選択的に水素化して、該重合体中の炭素炭素二重結合の一部を単結合に変換するに際して、クロロプレン系重合体ラテックスを用いることを特徴とする新規なクロロプレン系重合体の水素化方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
クロロプレン重合体は、そのバランスした特性を活かして自動車部品、接着剤、各種工業部品など広範囲の分野に用いられている。しかし、クロロプレン重合体は分子内に極性基である塩素が付いているため、低温下で高分子鎖の柔軟性が損なわれ、他のジエン系重合体であるブタジエン重合体やイソプレン重合体などと比べて耐寒性に劣ることが知られている。また、分子内に二重結合を有するため、高分子主鎖が炭素−炭素結合からなる重合体に比べて、オゾン劣化が起きやすいことが知られている。
【0003】
クロロプレン重合体の特性を改良する手段として、ブタジエン単量体やイソプレン単量体などの様なコモノマー成分とラジカル共重合させる方法がある(Rubber Chemistry and Technology,49,670(1976))が、2−クロロ−1,3−ブタジエン単量体(クロロプレン単量体)は他の単量体に比べてラジカル重合速度が非常に速く、有意に共重合するコモノマーの種類が限られ、特性改良の範囲が制限されていた。一方、オレフィン類と共重合させる手段として、特定の遷移金属化合物と助触媒を用いる方法が知られている(特開平11−60638号公報)が、高分子量の重合体が得にくいという問題点がある。
【0004】
既述したコモノマー成分を共重合して改良する方法以外に、クロロプレン重合体中に存在する炭素炭素二重結合部位に水素を付加させて単結合とすることが試みられている。また、水素の付加反応を実施する手順としては、固体状態のクロロプレン重合体を有機溶媒に溶解して、触媒存在下、水素により水素化する方法が記載されている(Macromolecules,27,6985(1994))。
しかし、この溶液状態で水素化する方法は、予め溶液重合法により得られた不飽和重合体を水素化する場合には、重合反応終了液に、直接、触媒及び水素を導入して水素化することができるのでプロセス的に有利であるが、クロロプレン系重合体(ゴム)の様に、乳化重合法によって重合体が製造される場合は、乾燥工程を経て固体状態のゴムとした後、再度、有機溶媒に再溶解して水素化反応を行わなければならず、プロセス的に非常に不利であった。
【0005】
ラテックス状態の重合体(ゴム)を、有機溶媒存在下、ラテックス状態で水素化する事例としては、ニトリル基含有不飽和重合体が知られている(特開昭59−115303号公報、特開平2−178305号公報、特開平6−287219号公報など)。しかしながら、クロロプレン系重合体に関しては、全く知られておらず、クロロプレン系重合体(ゴム)ラテックスの水素化に関する公知資料は存在しない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、クロロプレン系重合体を効率的に、簡略化したプロセスで水素化する方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、クロロプレン系重合体ラテックスを、水素化触媒を溶解または分散した有機溶媒と共に混合または分散させた状態で、水素と接触させると、クロロプレン系重合体中の炭素炭素二重結合の一部が単結合に変換され(以下、この化学変化を、しばしば水素化反応と言う)、効率的にクロロプレン系水素化重合体が得られることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は2−クロロ−1,3−ブタジエン単量体、及び、必要に応じてそれと共重合可能な単量体とを重合してなるクロロプレン系重合体の炭素炭素二重結合を、水素化触媒の存在下、水素により選択的に水素化する方法において、クロロプレン系重合体のラテックスを用い、該重合体を溶解または膨潤させることができる有機溶媒に予め水素化触媒を溶解または分散させた後に、ラテックスと有機溶媒を混合または分散させた状態で、クロロプレン系重合体と水素を接触させることを特徴とするクロロプレン系重合体の水素化方法である。水素はガス状の水素、溶存水素のいずれでもよい。また、水素化触媒としてウィルキンソン錯体を用いることを特徴とする水素化方法である。
【0008】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の水素化重合体を合成するための原料として用いるクロロプレン系重合体とは、数平均分子量が1万から60万の範囲にある、2−クロロ−1,3−ブタジエン単量体(クロロプレン単量体)及び、必要に応じてそれと共重合可能な単量体とを重合して得られるクロロプレン系重合体を指す。
共重合可能な単量体とは、2−クロロ−1,3−ブタジエン単量体(クロロプレン単量体)と有意に共重合する単量体であればいずれでもよく、その一例を挙げれば、共役ジエン単量体としては、1−クロロ−1,3−ブタジエン、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン、ブタジエン、イソプレン、2−フロロ−1,3−ブタジエン、2−ブロム−1,3−ブタジエン、2−シアノ−1,3−ブタジエンなどがあり、ビニル単量体としては、アクリロニトリル、スチレン及びスチレン誘導体、アクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、アミノメチルアクリレート、アミノエチルアクリレート、アミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノメチルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジエチルアミノメチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレートなどがある。また、メタクリル酸、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、アミノメチルメタクリレート、アミノエチルメタクリレート、アミノプロピルメタクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリレート、ジエチルアミノメチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレートなどがある。更に、マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(2−クロロフェニル)マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、硫黄などがある。これらの単量体は、単独で用いてもよく、また、二種以上を併用してもよい。
【0009】
上記単量体を乳化重合する方法は、従来の公知の方法を採用すればよい。以下、乳化重合について説明する。乳化剤として、適正なpH雰囲気下、炭素数が6〜18であるアルキルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属塩、β−ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物のアルカリ金属塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ロジン酸または不均化ロジン酸のアルカリ金属塩などから選ばれた一種、または二種以上が用いられる。また、これらの乳化剤は水素化反応時のラテックス安定化のために、必要に応じて水素化反応時に新たに添加してもよい。
【0010】
分子量調節剤は、特に制限されず、アルキルメルカプタン、ジアルキルキサントゲンジスルフィドなどが用いられる。また、硫黄とクロロプレン単量体との共重合体の場合には、テトラアルキルチウラムジスルフィド化合物を用いたペプチゼーションによっても分子量を制御することができる。
【0011】
乳化重合の方法は、回分式、半回分式、連続式のいずれでもよく、攪拌、混合操作によって水媒体中に単量体の乳化状態を形成させた後、開始剤を添加し重合反応を開始させる。開始剤としては、過酸化ベンゾイルなどの過酸化物、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどが用いられる。重合温度は0〜80℃、好ましくは0〜55℃である。単量体転化率は30〜90質量%、好ましくは60〜90質量%の範囲である。重合禁止剤は、通常用いられる禁止剤を用いることができ、例えば、チオジフェニルアミン、4−ターシャリー−ブチルカテコール、ジエチルヒドロキシルアミンなどを用いることができる。
【0012】
本発明によるクロロプレン系重合体の水素化方法は、以下の方法である。まず、前記の手順で得られたクロロプレン系重合体ゴムラテックス(以下、しばしばCRラテックスと略す)と、予め水素化触媒を溶解または分散させた有機溶媒を混合または分散させる。混合は、公知の混合槽を用い、アンカー翼、パドル翼、後退翼、マックスブレンド翼、フルゾーン翼などの攪拌翼を用いて実施される。混合または分散に際して、CRラテックスと有機溶媒が良好な混合分散状態を保持する様に、デッドスペースが存在しないような槽形状、攪拌翼形状、回転数を選定することが望ましく、また、必要に応じてバッフルを設置する。
【0013】
有機溶媒としては、クロロプレン系重合体を溶解または膨潤し得る有機溶媒であれば制限無く用いることができ、一例を挙げれば、トルエン、キシレン、ベンゼン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどがある。
【0014】
有機溶媒の使用量は、CRラテックス/有機溶媒の容量比で、1/1000〜10/1の範囲、好ましくは1/100〜1/1の範囲である。1/1000未満では、原料であるクロロプレン系重合体の量が過少であり、生産性の観点から不利であり、10/1を超えてCRラテックスが多い場合は、水素化反応の過程で重合体が有機溶媒層に存在する水素化触媒と均一に接触することが阻害され、水素化反応が不均一に進行するきらいがある。
【0015】
本発明による水素化方法によって達成されるクロロプレン系重合体中の炭素炭素二重結合の単結合への変換割合は、2モル%以上82モル%以下、好ましくは、5モル%以上80モル%以下の範囲であり、この範囲にある場合、良好なゴム弾性を示す。
【0016】
本発明においては、水素化触媒としてウィルキンソン錯体が用いられる。本発明でいうウィルキンソン錯体とは、一般式(1)で表わされる遷移金属化合物である。
MeCla(P(C653b (1)
ここで、Meは遷移金属元素、Clは塩素、Pはリン、Cは炭素、Hは水素であり、添字a、bは、a+b≦6、かつ、b≧1の関係を満たす整数である。Meとしては、ロジウム、ルテニウム、ニッケル、パラジウムが好ましく用いられ、化合物を例示すれば、RhCl(P(C6533、RuCl2(P(C6533、NiCl2(P(C6532、PdCl2(P(C6532、Pd(P(C6534などがある。
【0017】
水素化触媒の使用量は、水素化条件、目的とする水素化率などを考慮して適正に設定すればよいが、通常、CRラテックス中の重合体当たり、水素化触媒/クロロプレン系重合体の重量比で、5〜100000ppm、好ましくは10〜50000ppmである。100000ppmを超えても差し支えないが、経済的に不利である。
【0018】
ウィルキンソン錯体を用いるに際して、クロロプレン系重合体中の二重結合部位への水素付加をスムーズに進行させる目的で、配位子であるトリフェニルホスフィン、あるいはトリブチルホスフィンなどが好ましく併用される。配位子は、既述の遷移金属化合物に対して、モル比で0.5〜50倍の範囲で好ましく使用される。配位子使用量が過少な場合は、脱Cl化反応が顕著となり、反応を制御し難くなる。また、配位子を過剰量添加することは、経済的に不利である。
【0019】
反応温度は20〜200℃であり、好ましくは50〜120℃である。200℃を超えると、水素化反応時に分子切断反応などの副反応が顕著となり、好ましくない。20℃未満では反応が著しく遅延、または有意に反応が起きなくなる。
【0020】
水素圧は0.1〜20MPaの範囲であり、好ましくは0.5〜10MPaである。20MPaを超えても反応上は差し支えないが、設備費用が高くなり、実用上の支障が出る。
【0021】
クロロプレン系重合体中に存在する炭素炭素二重結合部位の一部を水素化して単結合に変換した後、この水素化した重合体(以下、しばしば水素化重合体と記す)を含むラテックスと有機溶媒からなる混合液から水素化共重合体を分離する。分離する方法としては、例えば、重合体溶液を水蒸気と直接接触させる水蒸気凝固法、加熱回転ドラム上に重合体溶液を滴下させ溶媒を蒸発させるドラム乾燥方法、重合体溶液に貧溶媒を添加して重合体を析出、沈殿させる方法などがある。
分離した水素化重合体は、減圧乾燥、熱風乾燥、押出し乾燥などの乾燥工程を経て固形の水素化重合体として回収される。
【0022】
こうして得られた水素化重合体は、原料として用いたCRラテックス中のクロロプレン系重合体に比べて耐寒性、耐オゾン性などに優れており、通常のクロロプレン重合体あるいはクロロプレン共重合体の用途のみならず、耐寒性、耐オゾン性を必要とする種々のゴム用途に好適である。
【0023】
本発明で得られる水素化重合体は、通常のクロロプレン重合体と同じ様に、ミキシングロール、ニーダー、バンバリーなどの密閉混合機などを用いて各種配合剤を混練添加することができ、適正な加硫剤や加硫促進剤を添加後に加硫することによって、水素化クロロプレンゴムとなる。
【0024】
【実施例】
以下に実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明は下記の実施例により限定されるものではない。以下の説明において特に断りのない限り部および%は質量基準で示す。
【0025】
実施例中の水素化重合体の平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー、標準ポリスチレン換算)で測定した。測定に用いたカラムはポリマーラボラトリー(株)製PLgel 10μm MIXED−B(充填剤は粒径8〜10μmのポリ(スチレン/ジビニルベンゼン))、カラムオーブンは島津製作所(株)製Shimadzu CTO−6A、検出器はRID−6Aである。溶媒はテトラヒドロフランを用い、カラム温度35℃、流速1ml/minの条件で測定した。
【0026】
水素化重合体の水素化率を決定するための測定は、以下の手順で実施した。まず、水素化重合体溶液に二倍量のメタノールを添加し、次に上澄み液を廃棄し、適正量のベンゼンを加えて溶解した。この水素化重合体のベンゼン溶液をKRS板に塗布、乾燥して、PERKIN ELMER製FT−IR SPECTRUM2000を用いて水素化重合体のフーリエ変換赤外吸収スペクトルを測定した。
【0027】
水素化重合体のガラス転移温度Tgは、セイコーインスツルメンツ(株)製示差走査熱量計DSC−200を用い、窒素雰囲気中、以下の温度プログラムを選定して測定した。水素化共重合体サンプルを室温で1時間放置後、3℃/分の冷却速度で−110℃まで冷却し、2分間保持した。次に、−110℃から160℃まで10℃/分の一定加熱速度で加熱し、この過程でガラス転移温度を測定した。なお、本発明で言うガラス転移温度とは、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線に勾配が最大になる点で引いた接線との交点の温度、すなわち、補外ガラス転移開始温度を指す。
【0028】
実施例1
2−クロロ−1,3−ブタジエン単量体(クロロプレン単量体)からなる単独重合体を以下の方法で作製した。内容積5リットルのガラス製反応器を用い、表1に示す組成割合で乳化液とした後、過硫酸カリウムを開始剤として、窒素雰囲気下40℃で重合を行った。単量体転化率が70%に達した時点で、重合禁止剤としてフェノチアジンの乳濁液を加えて重合を停止させた。次に、ロータリーエバポレータを用いて未反応の単量体を除去し、CRラテックス(固形分40%)を得た。
【0029】
水素化反応は次の手順で実施した。まず、窒素雰囲気のグローブボックス中、室温下で、容量300mlのビーカーにトルエン47.5gを入れ、水素化触媒としてウィルキンソン錯体RhCl(P(C6533(以下、Rh錯体と略記する)を0.02g、配位子としてトリフェニルホスフィンを0.05g加えた後に攪拌し、溶解した。次に、攪拌した状態のトルエン溶液に、前記のCRラテックスをスポイトを使って2.5g(固形分1g)滴下、混合した。この状態で2分間保持した後に、ビーカー内容物を容積100mlのSUS304製耐圧反応器に移し替えた。その後、この反応器をグローブボックスから取り出し、別に設置した水素ガス(水素ガス純度99.99995%)ラインに連結した。
【0030】
反応器内をアンカータイプの攪拌翼(回転数120rpm)を使って攪拌しながら、バルブ操作により脱気と水素ガス通気を三回繰り返し、反応器内を水素ガスで置換した。バルブ操作により、反応器内に水素ガスを導入して反応器内圧力を5.0MPaとし、次に、反応器を100±1℃に維持したオイル浴に浸漬した。その後、反応器内の水素ガス圧力と温度が上記条件となる様に2時間保持した。所定の反応時間経過後、反応液を冷却し、また、反応器内の水素ガスを開放し、内容液(以下、水素化重合体溶液と言い換える)を取り出した。この水素化重合体溶液にメタノールを添加して水素化重合体を析出させ、ベンゼンで溶解した後、測定に用いた。
【0031】
水素化重合体のフーリエ赤外吸収スペクトルを図1に示した。示差走査熱量計で測定したガラス転移温度、GPCで測定した数平均分子量を表2に示した。
【0032】
図1の赤外吸収スペクトル中、2920cm-1付近の吸収はメチレン基のC−H間の伸縮振動に基づくものであり、1660cm-1付近の吸収は二重結合のC=C間の伸縮振動に基づくものである。1660cm-1付近の吸収の明瞭な減少は、水素化反応によるC=Cの一部消失に対応する。
【0033】
実施例2
2−クロロ−1,3−ブタジエン単量体(クロロプレン単量体)と1−クロロ−1,3−ブタジエン単量体からなる共重合体を、表1に示す処方で、実施例1と同様の手順に従い作製した。核磁気共鳴測定から求めた共重合体中の1−クロロ−1,3−ブタジエンの結合割合は0.15モル%であった。
【0034】
水素化反応は次の手順で実施した。まず、窒素雰囲気のグローブボックス中、室温下で、容量300mlのビーカーにトルエン47.5gを入れ、水素化触媒としてウィルキンソン錯体RhCl(P(C6533(以下、Rh錯体と略記する)を0.02g、配位子としてトリフェニルホスフィンを0.1g加えた後に攪拌し、溶解した。一方、容積100mlのSUS304製耐圧反応器に、CRラテックスをスポイトを使って5g(固形分2g)入れた。次に、先に作製した水素化触媒と配位子を溶解したトルエン溶液を容積100mlのSUS304製耐圧反応器に移し替えた。その後、この反応器をグローブボックスから取り出し、別に設置した水素ガス(水素ガス純度99.99995%)ラインに連結した。以下、反応条件が100℃で5時間であることを除き、実施例1と同じ手順で水素化共重合体を得た。
【0035】
水素化共重合体のフーリエ赤外吸収スペクトルを図2に示した。示差走査熱量計で測定したガラス転移温度、GPCで測定した数平均分子量を表2に示した。
【0036】
実施例3
2−クロロ−1,3−ブタジエン単量体(クロロプレン単量体)と2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン単量体からなる共重合体を以下の方法で作製した。
表1に示す処方で、実施例1と同様の手順に従い作製した。核磁気共鳴測定から求めた共重合体中の2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエンの結合割合は6.5モル%であった。次に、実施例1記載の方法に従って水素化反応を行い、水素化重合体を得た。
【0037】
水素化共重合体のフーリエ赤外吸収スペクトルを図3に示した。示差走査熱量計で測定したガラス転移温度、GPCで測定した数平均分子量を表2に示した。
【0038】
比較例1
実施例1で得たクロロプレン単独重合体ラテックス(水素化する前のクロロプレン重合体)をベンゼンとメタノールで精製し、クロロプレン重合体の赤外吸収スペクトルを図4に、示差走査熱量計で測定したガラス転移温度、GPCで測定した数平均分子量を表2に示した。
【0039】
【表1】
Figure 0004459374
【0040】
【表2】
Figure 0004459374
【0041】
実施例と比較例に示した赤外吸収スペクトルの対比から、本発明の方法によって、クロロプレン共重合体の炭素炭素二重結合の一部分が単結合に変換された水素化重合体が得られることは明白であり、また、本発明の水素化重合体のガラス転移温度は原料として用いたクロロプレン系重合体よりも低く、優れた耐寒性を有することは明らかである。
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、クロロプレン系重合体をラテックスの状態で、重合体中の炭素炭素二重結合の一部を単結合に変換させた水素化重合体を、簡略化したプロセスで効率よく得ることができ、また、得られた水素化重合体はクロロプレン重合体あるいはクロロプレン共重合体に比べて優れた耐寒性を有し、また、分子構造上、耐オゾン性、耐候性、耐熱性などの優れた特性が期待できる重合体である。従って、水素化重合体自体での実用化、工業化が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた水素化重合体のフーリエ赤外吸収スペクトルである。
【図2】実施例2で得られた水素化共重合体のフーリエ赤外吸収スペクトルである。
【図3】実施例3で得られた水素化共重合体のフーリエ赤外吸収スペクトルである。
【図4】比較例1のクロロプレン重合体のフーリエ赤外吸収スペクトルである。

Claims (2)

  1. 2−クロロ−1,3−ブタジエン単量体単独、2−クロロ−1,3−ブタジエン単量体と1−クロロ−1,3−ブタジエン単量体、2−クロロ−1,3−ブタジエン単量体と2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン単量体、から選ばれるいずれかの単量体を重合してなるクロロプレン系重合体の炭素炭素二重結合を、トリフェニルホスフィンを配位子として有するウィルキンソン錯体((RhCl(P(C の存在下、水素により選択的に水素化する方法において、クロロプレン系重合体のラテックスを用い、予め水素化触媒をトルエンに溶解または分散させた後に、ラテックスと、水素化触媒のトルエン溶液または分散液を、容量比で1/100〜1/1の範囲で混合または分散させた状態で、クロロプレン系重合体と水素を接触させることを特徴とするクロロプレン系重合体の水素化方法。
  2. ウィルキンソン錯体が、その遷移金属化合物に対して、モル比で0.5〜50倍のトリフェニルホスフィンを配位子として有するものであることを特徴とする請求項1記載のクロロプレン系重合体の水素化方法。
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