JP2001348402A - クロロプレン系重合体の水素化方法 - Google Patents

クロロプレン系重合体の水素化方法

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JP2001348402A
JP2001348402A JP2000173087A JP2000173087A JP2001348402A JP 2001348402 A JP2001348402 A JP 2001348402A JP 2000173087 A JP2000173087 A JP 2000173087A JP 2000173087 A JP2000173087 A JP 2000173087A JP 2001348402 A JP2001348402 A JP 2001348402A
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halogen atom
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Yoshihiro Masuko
芳弘 増子
Hidehiro Matsuda
英博 松田
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Denka Co Ltd
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Denki Kagaku Kogyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水素化触媒及び含窒素化合物の存在下で、ク
ロロプレン系重合体の炭素炭素二重結合部位に水素を効
率的に導入する新規な水素化方法を提供する。 【解決手段】 クロロプレン系重合体の炭素炭素二重結
合部位に水素を導入するに際し、水素化触媒及び含窒素
化合物の存在下で水素を導入することを特徴とするクロ
ロプレン系重合体の水素化方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水素化触媒及び含
窒素化合物の存在下、クロロプレン系重合体の炭素炭素
二重結合部位に水素を導入し、該重合体中の炭素炭素二
重結合の一部を単結合に変換することを特徴とする新規
なクロロプレン系重合体の水素化方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】クロロプレン重合体は、そのバランスし
た特性を活かして自動車部品、接着剤、各種工業部品な
ど広範囲の分野に用いられている。しかし、クロロプレ
ン重合体は分子内に極性基である塩素が付いているた
め、低温下で高分子鎖の柔軟性が損なわれ、他のジエン
系重合体であるブタジエン重合体やイソプレン重合体な
どと比べて耐寒性に劣ることが知られている。また、分
子内に二重結合を有するため、高分子主鎖が炭素−炭素
結合からなる重合体に比べて、オゾン劣化が起きやすい
ことが知られている。
【0003】クロロプレン重合体の特性を改良する手段
として、ブタジエン単量体やイソプレン単量体などの様
なコモノマー成分とラジカル共重合させる方法がある
(Rubber Chemistry and Tec
hnology,49,670(1976))が、クロ
ロプレン単量体(2−クロロ−1,3−ブタジエン単量
体)は他の単量体に比べてラジカル重合速度が非常に速
く、有意に共重合するコモノマーの種類が限られ、特性
改良の範囲が制限されていた。一方、オレフィン類と共
重合させる手段として、特定の遷移金属化合物と助触媒
を用いる方法が知られている(特開平11−60638
号公報)が、高分子量の重合体が得にくいという問題点
がある。
【0004】既述したコモノマー成分を共重合して改良
する方法以外に、クロロプレン重合体中に存在する炭素
炭素二重結合部位に水素を付加させて単結合とすること
が試みられている。また、水素の付加反応を実施する手
順としては、固体状態のクロロプレン重合体を有機溶媒
に溶解して、ロジウムのトリフェニルホスフィン錯体存
在下、水素により水素化する方法が記載されている(M
acromolecules,27,6985(199
4))。しかし、他の水素化触媒あるいは金属錯体に関
する記載は無く、また、触媒活性を向上させる作用を持
つ、いわゆる、助触媒に関する記載は無い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、水素化触媒
及び含窒素化合物の存在下で、クロロプレン系重合体の
炭素炭素二重結合部位に水素を効率的に導入することを
特徴とする新規な水素化方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、特定の金
属錯体存在下でクロロプレン系重合体に水素を接触させ
て重合体の炭素炭素二重結合部位に水素を導入するに際
し、含窒素化合物を共存させると、二重結合への水素の
導入が効率的に進行し、二重結合の一部が単結合に変換
されたクロロプレン系水素化重合体が得られることを見
出し、本発明に到達した。すなわち、本発明はクロロプ
レン単量体、及び、必要に応じてそれと共重合可能な単
量体とを重合してなるクロロプレン系重合体の炭素炭素
二重結合部位に水素を導入するに際し、水素化触媒及び
含窒素化合物の存在下で水素を導入することを特徴とす
るクロロプレン系重合体の水素化方法である。また、水
素化触媒が、下記の一般式(1)、(2)または(3)
で表わされる金属錯体であるクロロプレン系重合体の水
素化方法である。 RuAB(CO)Dm2 (1) RuEF(CO)Mn (2) RuGJM3 (3) ここで、Ruはルテニウム原子、Aはハロゲン原子また
はカルボン酸基、Bは水素原子、フェニル基、カルボン
酸基またはスチリル基、DはCO、ピリジンまたはベン
ゾニトリル、mは0または1、Lは一般式PR3で表さ
れるホスフィン配位子(式中、Rは脂環式基またはアル
キル基である)、nは2または3であって、nが3であ
る場合にはEはハロゲン原子、Fは水素原子、nが2で
ある場合にはEはハロゲン原子またはカルボン酸基、F
は水素原子、フェニル基またはカルボン酸基であり、M
は一般式PX3で表されるホスフィン配位子であり(式
中、Xはフェニル基または炭素数1〜4のアルキル基も
しくは脂環式基である)、Gはハロゲン原子または水素
原子、Jはハロゲン原子またはカルボン酸基である。
【0007】以下に本発明を詳細に説明する。本発明の
水素化重合体を合成するための原料として用いるクロロ
プレン系重合体とは、数平均分子量が1万から60万の
範囲にある、クロロプレン単量体及び、必要に応じてそ
れと共重合可能な単量体とを重合して得られるクロロプ
レン系重合体を指す。共重合可能な単量体とは、クロロ
プレン単量体と有意に共重合する単量体であればいずれ
でもよく、その一例を挙げれば、共役ジエン単量体とし
ては、1−クロロ−1,3−ブタジエン、2,3−ジク
ロロ−1,3−ブタジエン、ブタジエン、イソプレン、
2−フロロ−1,3−ブタジエン、2−ブロム−1,3
−ブタジエン、2−シアノ−1,3−ブタジエンなどが
あり、ビニル単量体としては、アクリロニトリル、スチ
レン及びスチレン誘導体、アクリル酸、メチルアクリレ
ート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ア
ミノメチルアクリレート、アミノエチルアクリレート、
アミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノメチルア
クリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメ
チルアミノプロピルアクリレート、ジエチルアミノメチ
ルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレートな
どがある。また、メタクリル酸、メチルメタクリレー
ト、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、
アミノメチルメタクリレート、アミノエチルメタクリレ
ート、アミノプロピルメタクリレート、ジメチルアミノ
メチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリ
レート、ジメチルアミノプロピルメタクリレート、ジエ
チルアミノメチルメタクリレート、ジエチルアミノエチ
ルメタクリレートなどがある。更に、マレイミド、N−
フェニルマレイミド、N−(2−クロロフェニル)マレ
イミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ラウリル
マレイミド、硫黄などがある。これらの単量体は、単独
で用いてもよく、また、2種以上を併用してもよい。
【0008】上記単量体を重合する方法としては、公知
の乳化重合法、溶液重合法を採用すればよい。以下、工
業的に広く用いられている乳化重合法について更に説明
する。乳化剤として、適正なpH雰囲気下、炭素数が6
〜18であるアルキルベンゼンスルホン酸のアルカリ金
属塩、β−ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物の
アルカリ金属塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテ
ル、ロジン酸または不均化ロジン酸のアルカリ金属塩な
どから選ばれた1種、または2種以上が用いられる。
【0009】分子量調節剤は、特に制限されず、アルキ
ルメルカプタン、ジアルキルキサントゲンジスルフィド
などが用いられる。また、硫黄とクロロプレンとの共重
合体の場合には、テトラアルキルチウラムジスルフィド
化合物を用いたペプチゼーションによっても分子量を制
御することができる。
【0010】乳化重合の方法は、回分式、半回分式、連
続式のいずれでもよく、攪拌、混合操作によって水媒体
中に単量体の乳化状態を形成させた後、開始剤を添加し
重合反応を開始させる。開始剤としては、過酸化ベンゾ
イルなどの過酸化物、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウ
ム、過硫酸アンモニウムなどが用いられる。重合温度は
0〜80℃、好ましくは0〜55℃である。単量体転化
率は30〜90質量%、好ましくは60〜90質量%の
範囲である。重合禁止剤は、通常用いられる禁止剤を用
いることができ、例えば、チオジフェニルアミン、4−
ターシャリー−ブチルカテコール、ジエチルヒドロキシ
ルアミンなどを用いることができる。
【0011】未反応の単量体は、例えば、スチームスト
リッピング法によって除去し、その後、ラテックスのp
Hを調整し、常法の凍結凝固、水洗、熱風乾燥などによ
り重合体を単離することができる。
【0012】本発明によるクロロプレン系重合体を水素
化する方法は、以下の通りである。前記の手順で得られ
たクロロプレン系重合体(以下、しばしばCRゴムと略
す)を用いる場合は、後記する水素化触媒と共にCRゴ
ムを有機溶媒に溶解して溶液状態で水素と接触させる。
CRゴム溶液の濃度は0.1〜50質量%、好ましくは
0.5〜20質量%である。
【0013】重合体を単離する前のクロロプレン系重合
体ゴムラテックス(以下、しばしばCRラテックスと略
す)を用いる場合は、予め水素化触媒を溶解または分散
させることができる有機溶媒に溶解または分散させて、
CRラテックスを混合または分散させた状態で、水素と
接触させる。有機溶媒の使用量はCRラテックス/有機
溶媒の容量比で、1/1000〜10/1の範囲、好ま
しくは1/100〜1/1の範囲である。
【0014】有機溶媒としては、クロロプレン系重合体
を溶解または膨潤させることができる有機溶媒であれば
制限無く用いることができ、一例を挙げれば、トルエ
ン、キシレン、ベンゼン、エチルベンゼン、クロロベン
ゼン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジオキサ
ン、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムア
ミド、ジメチルスルホキシドなどがある。
【0015】本発明による水素化方法によって達成され
るクロロプレン系重合体中の炭素炭素二重結合の単結合
への変換割合は、2モル%以上99.9モル%以下、好
ましくは、5モル%以上95モル%以下の範囲である。
また、変換割合が2モル%以上82モル%以下の範囲に
ある場合、良好なゴム弾性を示す。
【0016】本発明の重要な点は、まず、クロロプレン
系重合体の水素化反応に用いる金属錯体(以下、しばし
ば水素化触媒と言い換える)であり、下記の一般式
(1)、(2)または(3)で表わされる化合物であ
る。 RuAB(CO)Dm2 (1) RuEF(CO)Mn (2) RuGJM3 (3) ここで、Ruはルテニウム原子、Aはハロゲン原子また
はカルボン酸基、Bは水素原子、フェニル基、カルボン
酸基またはスチリル基、DはCO、ピリジンまたはベン
ゾニトリル、mは0または1、Lは一般式PR3で表さ
れるホスフィン配位子であり(式中、Rは脂環式基また
はアルキル基である)、nは2または3であって、nが
3である場合にはEはハロゲン原子、Fは水素原子、n
が2である場合にはEはハロゲン原子またはカルボン酸
基、Fは水素原子、フェニル基またはカルボン酸基であ
り、Mは一般式PX3で表されるホスフィン配位子であ
り(式中、Xはフェニル基または炭素数1〜4のアルキ
ル基もしくは脂環式基である)、Gはハロゲン原子また
は水素原子、Jはハロゲン原子またはカルボン酸基であ
る。Rに好ましい脂環式基はシクロヘキシル基であり、
好ましいアルキル基はイソプロピル基またはブチル基で
ある。AとEに好ましいハロゲン原子は塩素である。
【0017】水素化触媒の一例を挙げれば、カルボニル
クロロヒドリドトリス−(トリフェニルホスフィン)ル
テニウム(II)、カルボニルクロロヒドリドビス−
(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム(I
I)、カルボニルクロロヒドリドビス−(トリイソプロ
ピルホスフィン)ルテニウム(II)、ジカルボニルジ
クロロビス−(トリフェニルホスフィン)ルテニウム
(II)、カルボニルクロロスチリルビス−(トリイソ
プロピルホスフィン)ルテニウム(II)、ジクロロト
リス−(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)
などがある。
【0018】また、既述した3つの一般式で表されるR
u錯体以外に、クロロトリス−(トリフェニルホスフィ
ン)ロジウム、ジクロロビス−(トリフェニルホスフィ
ン)パラジウム(II)、テトラキス−(トリフェニル
ホスフィン)パラジウム(0)、ジクロロビス−(トリ
フェニルホスフィン)ニッケル(II)なども用いるこ
とができる。
【0019】本発明の最も重要な点は、クロロプレン系
重合体の水素化反応において既述の水素化触媒と共に用
いる含窒素化合物にあり、この含窒素化合物を共存させ
ることによって、水素化反応が早期に進行し、また、水
素化触媒の使用量を削減できるなどの副次的な効果をも
たらす。本発明で用いる含窒素化合物としては、芳香族
アミン、脂肪族アミン、含窒素環状化合物、アミド、カ
ルバミン酸、イミドなどがある。含窒素化合物として
は、芳香族アミン化合物、脂肪族アミン化合物または含
窒素環状化合物が好ましく、更に炭素数6〜30の芳香
族アミン化合物、炭素数1〜20の脂肪族アミン化合物
または炭素数5〜30の含窒素環状化合物が好ましい。
芳香族アミンの一例を挙げれば、アニリン、ジフェニル
アミン、トリフェニルアミン、フェニレンジアミン、モ
ノメチルアニリン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリ
ン、N−モノ−n−ブチルアニリン、N,N−ジ−n−
ブチルアニリン、N−モノアミルアニリン、p−ter
t−アミルアニリン、N,N−ジアミルアニリン、N,
N−ジ−tert−アミルアニリン、ジエチルベンジル
アミン、トルイジンなどがある。脂肪族アミンの一例を
挙げれば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミ
ン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルア
ミン、アミルアミン、ヘキシルアミン、2−エチルブチ
ルアミン、ヘプチルアミン、2−エチルヘキシルアミ
ン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミ
ン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジイソブ
チルアミン、ジアミルアミン、ジオクチルアミン、トリ
メチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミ
ン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、トリ
イソブチルアミン、トリアミルアミン、トリオクチルア
ミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミ
ン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジアミノ
ブタン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミ
ン、テトラエチレンペンタミン、NNN’N’−テトラ
メチルエチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエ
タノールアミン、トリエタノールアミン、エチルモノエ
タノールアミン、n−ブチルモノエタノールアミン、ジ
メチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、
エチルジエタノールアミン、n−ブチルジエタノールア
ミン、ジ−n−ブチルエタノールアミン、イソプロパノ
ールアミンなどがある。この他、ホルムアミド、N,N
−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、アセトニトリ
ル、モルホリン、エチルモルホリン、フェニルモルホリ
ン、ピリジン、ビピリジル、α−ピコリン、β−ピコリ
ン、γ−ピコリン、2,4−ルチジン、2,6−ルチジ
ン、キノリン、イソキノリン、ピロール、ピロリジン、
ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾー
ル、イソオキサゾール、ピリミジン、インドールなどを
用いることができる。上記含窒素化合物の中で、添加量
に対する水素化率向上性能の観点からは、芳香族アミン
化合物またはピリジンが好ましく、特にジフェニルアミ
ン、トリフェニルアミン、アニリンまたはピリジンが好
ましい。
【0020】水素化触媒の使用量は、水素化条件、目的
とする水素化率などを考慮して適正に設定すればよい
が、通常、クロロプレン系重合体当たり、触媒/重合体
の質量比で5〜100000ppm、好ましくは10〜
50000ppmである。100000ppmを超えて
も差し支えないが、経済的に不利である。
【0021】含窒素化合物の使用量は、水素化触媒中の
金属に対し、含窒素化合物:金属のモル比で0.01:
1〜10:1であり、好ましくは0.1〜5:1、更に
好ましくは0.5:1〜3:1である。含窒素化合物の
使用量が少ない場合、効果が現れにくく、反面、過度に
多い場合はむしろ触媒活性が低下する。
【0022】含窒素化合物は、水素化触媒の添加と同時
に、または水素化触媒添加の前あるいは後のいずれのタ
イミングで添加してもよく、また、含窒素化合物の一部
または全量を有機溶媒を介して水素化触媒と予め混合し
てから添加してもよい。
【0023】水素化反応において、本発明による含窒素
化合物の添加効果を妨げない範囲で、含窒素化合物以外
の他の添加剤を添加することもできる。その他の添加剤
としてはリン化合物などがあり、トリフェニルホスフィ
ン、トリブチルホスフィン、トリイソプロピルホスフィ
ン、トリシクロヘキシルホスフィンなどを例示できる。
【0024】反応温度は20〜200℃であり、好まし
くは50〜140℃である。200℃を超えると、水素
化反応時に分子切断反応などの副反応が顕著となり、好
ましくない。20℃未満では反応が著しく遅延、または
有意に反応が起きなくなる。
【0025】水素圧は0.1〜20MPaの範囲であ
り、好ましくは0.5〜10MPaである。20MPa
を超えても反応上は差し支えないが、設備費用が高くな
り、実用上の支障が出る。
【0026】クロロプレン系重合体中に存在する炭素炭
素二重結合部位の一部を水素化して単結合に変換した
後、この水素化した重合体(以下、しばしば水素化重合
体と記す)と有機溶媒からなる混合液から水素化重合体
を分離する。分離する方法としては、例えば、重合体溶
液を水蒸気と直接接触させる水蒸気凝固法、加熱回転ド
ラム上に重合体溶液を滴下させ溶媒を蒸発させるドラム
乾燥方法、重合体溶液に貧溶媒を添加して重合体を析
出、沈殿させる方法などがある。分離した水素化重合体
は、減圧乾燥、熱風乾燥、押出し乾燥などの乾燥工程を
経て固形の水素化重合体として回収される。
【0027】こうして得られた水素化重合体は、原料と
して用いたクロロプレン系重合体に比べて耐寒性、耐オ
ゾン性などに優れており、通常のクロロプレン重合体あ
るいはクロロプレン共重合体の用途のみならず、耐寒
性、耐オゾン性を必要とする種々のゴム用途に好適であ
る。
【0028】本発明で得られる水素化重合体は、通常の
クロロプレン系重合体と同じ様に、ミキシングロール、
ニーダー、バンバリーなどの密閉混合機などを用いて各
種配合剤を混練添加することができ、適正な加硫剤や加
硫促進剤を添加後に加硫することによって、水素化クロ
ロプレンゴムとなる。
【0029】
【実施例】以下に実施例により本発明を詳しく説明する
が、本発明は下記の実施例により限定されるものではな
い。以下の説明において特に断りのない限り部および%
は質量基準で示す。
【0030】水素化重合体の水素化率の測定は、以下の
手順で実施した。まず、水素化重合体溶液に2倍量のメ
タノールを添加し、次に上澄み液を廃棄し、適正量のベ
ンゼンを加えて溶解した。この水素化重合体のベンゼン
溶液をKRS板に塗布、乾燥して、PERKIN EL
MER製FT−IR SPECTRUM2000を用い
てフーリエ変換赤外吸収スペクトルを測定した。次に、
2920cm-1付近のメチレン鎖に起因する吸収スペク
トルを変換して得られる吸光度のピーク高さ(これをI
Aとする)と、1660cm-1付近の二重結合に起因す
る吸収スペクトルを変換して得られる吸光度のピーク高
さ(これをIBとする)の比IB/IAを求め、この大小
関係から水素化反応の進行の程度を比較した。
【0031】実施例1 クロロプレン単量体と1−クロロ−1,3−ブタジエン
単量体からなる共重合体を以下の方法で作製した。内容
積5リットルのガラス製反応器を用い、表1に示す組成
割合で乳化液とした後、過硫酸カリウムを開始剤とし
て、窒素雰囲気下40℃で重合を行った。単量体転化率
が70%に達した時点で、重合禁止剤としてフェノチア
ジンの乳濁液を加えて重合を停止させた。次に、ロータ
リーエバポレータを用いて未反応の単量体を除去し、C
Rラテックス(固形分40%)を得た。核磁気共鳴測定
から求めた共重合体中の1−クロロ−1,3−ブタジエ
ンの結合割合は0.11モル%であった。
【0032】水素化反応は次の手順で実施した。まず、
窒素雰囲気のグローブボックス中、室温下で、容量30
0mlのビーカーにトルエン47.5gを入れ、水素化
触媒としてカルボニルクロロヒドリドトリス−(トリフ
ェニルホスフィン)ルテニウム(II)を0.025g
加えた後に撹拌し、溶解した。次に、撹拌した状態のト
ルエン溶液に、前記のCRラテックスをスポイトを使っ
て2.5g(固形分1g)を滴下し、混合した。次に、
含窒素化合物としてトリフェニルアミン0.013g、
リン化合物としてトリフェニルホスフィン0.007g
を添加し、この状態で2分間撹拌した後に、ビーカー内
容物を容積100mlのSUS304製耐圧反応器に移
し替えた。その後、この反応器をグローブボックスから
取り出し、別に設置した水素ガス(水素ガス純度99.
99995%)ラインに連結した。
【0033】反応器内をアンカータイプの攪拌翼(回転
数120rpm)を使って攪拌しながら、バルブ操作に
より脱気と水素ガス通気を3回繰り返し、反応器内を水
素ガスで置換した。バルブ操作により、反応器内に水素
ガスを導入して反応器内圧力を5.0MPaとし、次
に、反応器を100±1℃に維持したオイル浴に浸漬し
た。その後、反応器内の水素ガス圧力と温度が上記条件
となる様に2時間保持した。所定の反応時間経過後、反
応液を冷却し、また、反応器内の水素ガスを開放し、内
容液(以下、水素化重合体溶液と言い換える)を取り出
した。この水素化重合体溶液にメタノールを添加して水
素化重合体を析出させ、ベンゼンで溶解した後、測定に
用いた。
【0034】水素化重合体のフーリエ赤外吸収スペクト
ルを図1に示した。図1中、2920cm-1付近の吸収
はメチレン基のC−H間の伸縮振動に基づくものであ
り、1660cm-1付近の吸収は二重結合のC=C間の
伸縮振動に基づくものである。1660cm-1付近の吸
収の明瞭な減少は、水素化反応によるC=Cの一部消失
に対応する。表2に、吸収スペクトルから求めたIB
Aの比を示す。
【0035】実施例2 リン化合物であるトリフェニルホスフィン0.007g
を添加せず、その他は実施例1と同じ手順で水素化重合
体を作製した場合である。水素化重合体のフーリエ赤外
吸収スペクトルを図2に、IB/IAの比を表2に示し
た。
【0036】実施例3 実施例1において、トリフェニルアミンの代わりに含窒
素化合物としてジフェニルアミン0.009gを添加
し、リン化合物であるトリフェニルホスフィンは添加し
ない場合である。水素化重合体のフーリエ赤外吸収スペ
クトルを図3に、IB/IAの比を表2に示した。
【0037】実施例4 実施例1において、トリフェニルアミンの代わりに含窒
素化合物としてアニリン0.005gを添加し、リン化
合物であるトリフェニルホスフィンは添加しない場合で
ある。水素化重合体のフーリエ赤外吸収スペクトルを図
4に、IB/IAの比を表2に示した。
【0038】実施例5 実施例1において、トリフェニルアミンの代わりに含窒
素化合物としてジペンチルアミン0.008gを添加
し、リン化合物であるトリフェニルホスフィンは添加し
ない場合である。IB/IAの比を表2に示した。
【0039】実施例6 実施例1において、トリフェニルアミンの代わりに含窒
素化合物としてトリブチルアミン0.009gを添加
し、リン化合物であるトリフェニルホスフィンは添加し
ない場合である。IB/IAの比を表2に示した。
【0040】実施例7 実施例1において、水素化触媒としてジクロロトリス−
(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)を0.
025g用いた場合である。IB/IAの比を表2に示し
た。
【0041】実施例8 実施例1において、水素化触媒としてジカルボニルジク
ロロビス−(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(I
I)を0.028g用いた場合である。IB/IAの比を
表2に示した。
【0042】比較例1 実施例1において、含窒素化合物を添加しない場合であ
る。得られた水素化重合体のフーリエ赤外吸収スペクト
ルを図5に、IB/IAの比を表2に示した。
【0043】比較例2 実施例2において、含窒素化合物を添加しない場合であ
る。得られた水素化重合体のIB/IAの比を表2に示し
た。
【0044】比較例3 実施例3において、含窒素化合物を添加しない場合であ
る。得られた水素化重合体のフーリエ赤外吸収スペクト
ルを図6に、IB/IAの比を表2に示した。
【0045】比較例4 実施例4において、含窒素化合物を添加しない場合であ
る。得られた水素化重合体のフーリエ赤外吸収スペクト
ルを図7に、IB/IAの比を表2に示した。
【0046】比較例5 実施例5において、含窒素化合物を添加しない場合であ
る。得られた水素化重合体のIB/IAの比を表2に示し
た。
【0047】比較例6 実施例6において、含窒素化合物を添加しない場合であ
る。得られた水素化重合体のIB/IAの比を表2に示し
た。
【0048】比較例7 実施例7において、含窒素化合物を添加しない場合であ
る。得られた水素化重合体のIB/IAの比を表2に示し
た。
【0049】比較例8 実施例8において、含窒素化合物を添加しない場合であ
る。得られた水素化重合体のIB/IAの比を表2に示し
た。
【0050】比較例9 実施例1で得たクロロプレン共重合体ラテックス(水素
化する前のクロロプレン共重合体)をベンゼンとメタノ
ールで精製し、クロロプレン共重合体そのものの赤外吸
収スペクトルを測定した結果を図8に、IB/IAの比を
表2に示した。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】実施例と比較例の対比から実施例のIB
Aの比が小さくなっており、含窒素化合物を添加する
ことによって水素化反応が促進されることは明らかであ
る。本発明の方法を用いれば、水素化率が向上し、クロ
ロプレン系重合体の炭素炭素二重結合の一部を効率的に
単結合に変換することができる。
【0054】
【発明の効果】本発明によれば、クロロプレン系重合体
中の炭素炭素二重結合の一部を効率的に単結合に変換で
きる。得られた水素化重合体は、分子構造上、クロロプ
レン重合体あるいはクロロプレン共重合体に比べて、耐
寒性、耐オゾン性、耐候性、耐熱性などの優れた特性が
期待できる重合体であり、水素化重合体の実用化、工業
化が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた水素化共重合体のフーリエ
赤外吸収スペクトルである。
【図2】実施例2で得られた水素化共重合体のフーリエ
赤外吸収スペクトルである。
【図3】実施例3で得られた水素化共重合体のフーリエ
赤外吸収スペクトルである。
【図4】実施例4で得られた水素化共重合体のフーリエ
赤外吸収スペクトルである。
【図5】比較例1で得られた水素化共重合体のフーリエ
赤外吸収スペクトルである。
【図6】比較例3で得られた水素化共重合体のフーリエ
赤外吸収スペクトルである。
【図7】比較例4で得られた水素化共重合体のフーリエ
赤外吸収スペクトルである。
【図8】比較例9に記載のクロロプレン共重合体のフー
リエ赤外吸収スペクトルである。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クロロプレン系重合体の炭素炭素二重結
    合部位に水素を導入するに際し、水素化触媒及び含窒素
    化合物の存在下で水素を導入することを特徴とするクロ
    ロプレン系重合体の水素化方法。
  2. 【請求項2】 水素化触媒が、下記の一般式(1)、
    (2)または(3)で表わされる金属錯体であることを
    特徴とする請求項1記載のクロロプレン系重合体の水素
    化方法。 RuAB(CO)Dm2 (1) RuEF(CO)Mn (2) RuGJM3 (3) ここで、Ruはルテニウム原子、Aはハロゲン原子また
    はカルボン酸基、Bは水素原子、フェニル基、カルボン
    酸基またはスチリル基、DはCO、ピリジンまたはベン
    ゾニトリル、mは0または1、Lは一般式PR3で表さ
    れるホスフィン配位子(式中、Rは脂環式基またはアル
    キル基である)、nは2または3であって、nが3であ
    る場合にはEはハロゲン原子、Fは水素原子、nが2で
    ある場合にはEはハロゲン原子またはカルボン酸基、F
    は水素原子、フェニル基またはカルボン酸基であり、M
    は一般式PX3で表されるホスフィン配位子であり(式
    中、Xはフェニル基または炭素数1〜4のアルキル基も
    しくは脂環式基である)、Gはハロゲン原子または水素
    原子、Jはハロゲン原子またはカルボン酸基である。
  3. 【請求項3】 一般式(1)において、Aがハロゲン原
    子、Rがシクロヘキシル基、一般式(2)において、X
    がフェニル基、一般式(3)において、Jがハロゲン原
    子であることを特徴とする請求項2記載のクロロプレン
    系重合体の水素化方法。
  4. 【請求項4】 ハロゲン原子が塩素であることを特徴と
    する請求項3記載のクロロプレン系重合体の水素化方
    法。
  5. 【請求項5】 含窒素化合物が、芳香族アミン化合物、
    脂肪族アミン化合物または含窒素環状化合物であること
    を特徴とする請求項1記載のクロロプレン系重合体の水
    素化方法。
  6. 【請求項6】 含窒素化合物が、炭素数6〜30の芳香
    族アミン化合物、炭素数1〜20の脂肪族アミン化合物
    または炭素数5〜30の含窒素環状化合物であることを
    特徴とする請求項1記載のクロロプレン系重合体の水素
    化方法。
  7. 【請求項7】 含窒素化合物が、ジフェニルアミン、ト
    リフェニルアミン、アニリンまたはピリジンであること
    を特徴とする請求項1記載のクロロプレン系重合体の水
    素化方法。
  8. 【請求項8】 クロロプレン系重合体が、2−クロロ−
    1,3−ブタジエン単量体及び、必要に応じてそれと共
    重合可能な単量体とを重合してなるものであることを特
    徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載クロロプレン
    系重合体の水素化方法。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8いずれか1項記載の水素化
    方法を用いることを特徴とする水素化クロロプレン系重
    合体の製造方法。
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JP2003048919A (ja) * 2001-08-03 2003-02-21 Kuraray Co Ltd 水添ジエン系重合体の製造方法

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