JP4877889B2 - 水素化クロロプレン系ポリマーブレンド物 - Google Patents

水素化クロロプレン系ポリマーブレンド物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なポリマーブレンド物に関し、詳しくは、クロロプレン系重合体の炭素炭素二重結合を水素化触媒の存在下、水素により選択的に水素化して、該重合体中の炭素炭素二重結合の一部を単結合に変換した水素化クロロプレン系重合体と、他の重合体を含有するポリマーブレンド物に関するものであり、更に詳しくは、耐寒性、耐オゾン性、耐熱性などがバランスして優れた水素化クロロプレン系ポリマーを主成分として含む、新規なポリマーブレンド物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
クロロプレン重合体(クロロプレンゴム)は、そのバランスした特性を活かして自動車部品、接着剤、各種工業部品など広範囲の分野に用いられている。しかし、クロロプレン重合体は分子内に極性基である塩素が付いているため、低温下で高分子鎖の柔軟性が損なわれ、他のジエン系重合体であるブタジエン重合体やイソプレン重合体などと比べて耐寒性に劣ることが知られている。また、分子内に二重結合を有するため、高分子主鎖が炭素−炭素結合からなる重合体に比べて、オゾン劣化が起きやすいことが知られている。
【0003】
こうしたクロロプレン重合体の特性を抜本的に改良する手段として、クロロプレン重合体中に存在する炭素炭素二重結合の一部分に水素を付加させて単結合に変換することが試みられている(Macromolecules,27,6985(1994))。しかし、クロロプレン重合体中に存在する炭素炭素二重結合の一部分に水素を付加させて単結合にさせた、いわゆる、水素化クロロプレン重合体を、ポリマーブレンド物とすることは知られていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、耐寒性、耐オゾン性、耐熱性などがバランスして優れ、各種工業部品の素材として好適な、水素化クロロプレン系重合体を主成分とする新規なポリマーブレンド物を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(a)2−クロロ−1,3−ブタジエン単量体(クロロプレン単量体)及び、必要に応じてそれと共重合可能な単量体とを重合してなるクロロプレン系重合体に水素を導入し、該重合体中に存在する炭素炭素二重結合の一部分が単結合に変換された水素化クロロプレン系重合体、及び、(b)他の分子構造を有する重合体からなる水素化クロロプレン系ポリマーブレンド物である。
本発明において、(a)のブレンド割合は、好ましくは50質量%以上98質量%以下、更に好ましくは50質量%以上95質量%である。また(b)がガラス転移温度0℃以下の重合体であることが好ましい。
【0006】
以下に本発明を詳細に説明する。
まず、本発明に用いる水素化クロロプレン系重合体は、クロロプレン系重合体を水素化触媒存在下、水素により炭素炭素二重結合の一部を選択的に水素化することによって得られる(以下、こうして得られる重合体を水素化クロロプレン系重合体と記す)。この水素化クロロプレン系重合体を合成するための原料として用いるクロロプレン系重合体とは、数平均分子量が1万から60万の範囲にある、クロロプレン単量体及び、必要に応じてそれと共重合可能な単量体とを重合して得られるクロロプレン系重合体を指す。
共重合可能な単量体とは、クロロプレン単量体と有意に共重合する単量体であればいずれでもよく、その一例を挙げれば、共役ジエン単量体としては、1−クロロ−1,3−ブタジエン、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン、ブタジエン、イソプレン、2−フロロ−1,3−ブタジエン、2−ブロム−1,3−ブタジエン、2−シアノ−1,3−ブタジエンなどがあり、ビニル単量体としては、アクリロニトリル、スチレン及びスチレン誘導体、アクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、アミノメチルアクリレート、アミノエチルアクリレート、アミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノメチルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジエチルアミノメチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレートなどがある。また、メタクリル酸、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、アミノメチルメタクリレート、アミノエチルメタクリレート、アミノプロピルメタクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリレート、ジエチルアミノメチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレートなどがある。更に、マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(2−クロロフェニル)マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、硫黄などがある。これらの単量体は、単独で用いてもよく、また、2種以上を併用してもよい。
【0007】
上記の単量体を重合する方法としては、公知の乳化重合法、溶液重合法を採用すればよい。以下、工業的に広く用いられている乳化重合法について更に説明する。
乳化剤として、適正なpH雰囲気下、炭素数が6〜18であるアルキルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属塩、β−ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物のアルカリ金属塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ロジン酸または不均化ロジン酸のアルカリ金属塩などから選ばれた一種、または二種以上が用いられる。
【0008】
分子量調節剤は、特に制限されず、アルキルメルカプタン、ジアルキルキサントゲンジスルフィドなどが用いられる。また、硫黄とクロロプレンとの共重合体の場合には、テトラアルキルチウラムジスルフィド化合物を用いたペプチゼーションによっても分子量を制御することができる。
【0009】
乳化重合の方法は、回分式、半回分式、連続式のいずれでもよく、攪拌、混合操作によって水媒体中に単量体の乳化状態を形成させた後、開始剤を添加し重合反応を開始させる。開始剤としては、過酸化ベンゾイルなどの過酸化物、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどが用いられる。重合温度は0〜80℃、好ましくは0〜55℃である。単量体転化率は30〜90質量%、好ましくは60〜90質量%の範囲である。重合禁止剤は、通常用いられる禁止剤を用いることができ、例えば、チオジフェニルアミン、4−ターシャリー−ブチルカテコール、ジエチルヒドロキシルアミンなどを用いることができる。
【0010】
未反応の単量体は、例えば、スチームストリッピング法によって除去し、その後、ラテックスのpHを調整し、常法の凍結凝固、水洗、熱風乾燥などにより重合体を単離することができる。
【0011】
次に、本発明で用いるクロロプレン系重合体の一部分を水素化する方法は、以下の通りである。前記の手順で得られたクロロプレン系重合体(以下、しばしばCRゴムと略す)を用いる場合は、後記する水素化触媒と共にCRゴムを有機溶媒に溶解して溶液状態で水素と接触させる。CRゴム溶液の濃度は0.1〜50質量%、好ましくは0.5〜20質量%である。
【0012】
重合体を単離する前のクロロプレン系重合体ゴムラテックス(以下、しばしばCRラテックスと略す)を用いる場合は、予め水素化触媒を溶解または分散させることができる有機溶媒に溶解または分散させて、CRラテックスを混合または分散させた状態で、水素と接触させる。有機溶媒の使用量はCRラテックス/有機溶媒の容量比で、1/1000〜10/1の範囲、好ましくは1/100〜1/1の範囲である。
【0013】
有機溶媒としては、クロロプレン系重合体を溶解または膨潤させることができる有機溶媒であれば制限無く用いることができ、一例を挙げれば、トルエン、キシレン、ベンゼン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどがある。
【0014】
得られる水素化クロロプレン系重合体中の炭素炭素二重結合の単結合への変換割合(水素化率)は、2モル%以上99.9モル%以下、好ましくは、5モル%以上95モル%以下の範囲である。また、変換割合が2モル%以上82モル%以下の範囲にある場合、良好なゴム弾性を示す。
【0015】
クロロプレン系重合体の水素化反応に用いる水素化触媒は、下記の一般式(1)、(2)、(3)または(4)で表される遷移金属化合物である。
RuAB(CO)Dm2 (1)
RuEF(CO)Mn (2)
RuGJM3 (3)
QYab (4)
ここで、(1)〜(3)中のRuはルテニウム原子、Aはハロゲン原子またはカルボキシル基、Bは水素原子、フェニル基、カルボキシル基またはスチリル基、DはCO、ピリジンまたはベンゾニトリル、mは0または1、Lは一般式PR3で表されるホスフィン配位子(式中、Rは脂環式基またはアルキル基である)、nは2または3であって、nが3である場合にはEはハロゲン原子、Fは水素原子、nが2である場合にはEはハロゲン原子またはカルボキシル基、Fは水素原子、フェニル基またはカルボキシル基であり、Mは一般式PX3で表されるホスフィン配位子であり(式中、Xはフェニル基または炭素数1〜4のアルキル基もしくは脂環式基である)、Gはハロゲン原子または水素原子、Jはハロゲン原子またはカルボン酸基である。(4)中のQはロジウム原子、ニッケル原子、パラジウム原子の中から選ばれた一つであり、Yはハロゲン原子であり、Zは一般式PX3で表されるホスフィン配位子であり(式中、Xはフェニル基または炭素数1〜4のアルキル基もしくは脂環式基である)、aとbはa+b≦6、かつb≧1の関係を満たす整数である。
【0016】
水素化触媒の一例を挙げれば、カルボニルクロロヒドリドトリス−(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)、カルボニルクロロヒドリドビス−(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム(II)、カルボニルクロロヒドリドビス−(トリイソプロピルホスフィン)ルテニウム(II)、ジカルボニルジクロロビス−(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)、カルボニルクロロスチリルビス−(トリイソプロピルホスフィン)ルテニウム(II)、ジクロロトリス−(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)、クロロトリス−(トリフェニルホスフィン)ロジウム、ジクロロビス−(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、テトラキス−(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、ジクロロビス−(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)などがある。
【0017】
水素化触媒の使用量は、水素化条件、目的とする水素化率などを考慮して適正に設定すればよいが、通常、クロロプレン系重合体当たり、触媒/重合体の質量比で5〜100000ppm、好ましくは10〜50000ppmである。100000ppmを超えても差し支えないが、経済的に不利である。
【0018】
また、水素化触媒の活性向上、あるいは、安定性を付与する目的で、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィンなどのリン化合物、安息香酸、酢酸などの含酸素化合物、ジフェニルアミン、アニリンなどの含窒素化合物、水などを併用することができる。
【0019】
反応温度は20〜200℃であり、好ましくは50〜140℃である。200℃を超えると、水素化反応時に分子切断反応などの副反応が顕著となり、好ましくない。20℃未満では反応が著しく遅延、または有意に反応が起きなくなる。
【0020】
水素圧は0.1〜20MPaの範囲であり、好ましくは0.5〜10MPaである。20MPaを超えても反応上は差し支えないが、設備費用が高くなり、実用上の支障が出る。
【0021】
(a)水素化クロロプレン系重合体と、(b)(a)以外の重合体のブレンド割合は任意に選定できるが、水素化クロロプレン系重合体の本来有する特性を発現させる観点からは、50質量%以上98質量%以下とすることが好ましい。
【0022】
次に、本発明で用いる(b)の重合体とは、既述した水素化クロロプレン系重合体の特性を保持しつつ、種々の付加価値を設ける目的で適宜選定されるものであり、公知の重合体全てが本発明の対象となるが、好ましくは数平均分子量5000以上、更に好ましくは10000以上のゾルポリマー及び/またはゲルポリマーである。(b)の重合体種類の一例を挙げれば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリメチルメタクリレート、スチレン−メタクリレート共重合体、ポリカボネート、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニルなどがあり、これらは一種または二種以上用いることができる。
また、本発明で用いる(b)の重合体としては、主ガラス転移温度0℃以下の重合体であることが好ましい。主ガラス転移温度が0℃以下の、室温でゴム状態にある重合体の一例としては、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、イソプレンゴム、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン、エピクロルヒドリンゴム、ニトリル−イソプレンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、水素化ニトリルゴム、クロロプレンゴムなどがある。
なお、本発明で言う主ガラス転移温度とは、示差走査熱量計で測定して得られる曲線の低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、主ガラス転移の階段状変化部分の曲線に勾配が最大になる点で引いた接線との交点の温度、すなわち、補外主ガラス転移温度を指す。
【0023】
本発明のポリマーブレンド(以下、重合体をしばしばポリマーと言い換える)を行う方法は、インターナルミキサー、ミキシングロール、押出機など、公知の方法を用いて実施される。また、溶融温度と分解温度が近いポリマーの場合や、ブレンド温度が高くなりポリマー自体の分解、劣化が懸念される場合は、予め、共通溶媒に二種以上のポリマーを溶解、または微分散させた状態で、混練と同時に脱溶剤、乾燥する手法もとることができる。
【0024】
本発明のポリマーブレンド物には、通常のゴムや熱可塑性エラストマーに用いられる各種配合剤、例えば、加硫するに必要な加硫剤や加硫促進剤、受酸剤、更には補強剤、充填剤、加工助剤、可塑剤、軟化剤、老化防止剤、安定剤、難燃剤などを適宜選定、添加することができる。とりわけ、本発明のポリマーブレンド物においては、二種以上のポリマーの特性を良好に発現させる観点から、加硫剤として、1,3,5−トリメルカプトトリアジンなどのトリアジン化合物、N,N’−m−フェニレンマレイミドなどのビスマレイミド化合物、ベンゾイルパーオキサイドなどの有機過酸化物などが好適に用いられる。
【0025】
配合剤を配合する方法は、通常、ポリマー加工分野で用いる任意の方法が採用できる。例えば、ミキシングロール、バンバリー、ニーダー、または混練機能を有する押出機などが使用できる。配合物の成形、及び、加硫条件には特に制限はなく、金型による加圧成形、押出成形、射出成形、カレンダー成形と同時に、または、成型品を加硫槽内で、通常120〜220℃、数秒から数時間加熱することにより、加硫物を得ることができる。
【0026】
こうして得られた水素化クロロプレン系ポリマーブレンド物は、原料として用いたクロロプレン系重合体とは幾つかの異なる特性を有し、従来のクロロプレンゴムの用途のみならず、種々のゴム用途に適用できる。
【0027】
【実施例】
以下に実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明は下記の実施例により限定されるものではない。以下の説明において特に断りのない限り部および%は質量基準で示す。
【0028】
実施例1〜12
水素化クロロプレン系重合体は次の手順で合成した。クロロプレンゴムとして電気化学工業社製M−40を用い、外部ジャケットと三枚後退翼を装備した容量30LのSUS316製耐圧反応缶の中に、トルエン23.5kgとクロロプレンゴム3.5kgを入れ、上蓋を締めた後、30℃、窒素ガス0.1MPaの状態で撹拌、溶解し、クロロプレン系重合体トルエン溶液を作製した。一方、窒素雰囲気のグローブボックス中で、容量5Lのビーカーにトルエン2kg、水素化触媒としてクロロトリス−(トリフェニルホスフィン)ロジウム(以下、Rh錯体と略記する)6.5g、トリフェニルホスフィン6gを加え、30℃条件で撹拌し、溶解した。こうして得られたRh錯体溶液を、30L反応缶に仕込み(この間、30L缶内の窒素雰囲気を維持)、10分間撹拌してクロロプレン系重合体溶液とRh錯体溶液を混合した後、バルブ操作により反応缶内部を水素ガスで置換した。次に、反応缶内に高圧の水素ガス(純度99.99%)を導入して反応缶内圧力を5.0MPaとし、反応缶ジャケットを100℃±1℃に維持した。その後、反応缶内圧力が上記圧力となる様に17時間保持した後、反応液を冷却し、また、反応缶内の水素ガスを開放し、内容液(以下、水素化クロロプレン系重合体溶液)を取り出し、50Lの撹拌槽に移し替えた。この水素化クロロプレン系重合体溶液に1.5倍容量のメタノールを断続的に添加して水素化クロロプレン系重合体を析出させた。次に、固形分濃度が17質量%となるようにトルエンを再度添加し、トルエン溶液とした後に、この水素化クロロプレン系重合体トルエン溶液をドラムドライヤー乾燥機(ロール径300mm、ロール回転数3rpm、ロール温度120℃)に導入し、水素化クロロプレン系重合体約3.4kgを得た。1H核磁気共鳴スペクトル(測定装置:日本電子(株)製JNM−GSX−400)から求めた水素化クロロプレン系重合体の水素化率は30.5モル%であった。
【0029】
次に、水素化クロロプレン系重合体と他の重合体を含有するポリマーブレンド物を以下の手順で作製した。主ガラス転移温度が0℃以下の重合体として、各々、天然ゴムNR(RSS3号)、スチレンブタジエンゴムSBR(住友化学製、#1502)、イソプレンゴムIR((株)クラレ製、IR−10)、ブタジエンゴムBR(日本合成ゴム社製、BR01)、ニトリルブタジエンゴムNBR(日本合成ゴム社製、N230S)、エチレンプロピレンゴムEPDM(日本合成ゴム社製、EP33)、ブチルゴムIIR(日本合成ゴム社製、#218)、水素化ニトリルゴムH−NBR(日本ゼオン社製、1020)、アクリルゴムACM(日本ゼオン社製、AR31)、エピクロルヒドリンゴムCO(日本ゼオン社製、#1000)、フッ素ゴムFKM(ダイキン工業社製、G−601)、クロロプレンゴムCR(電気化学工業社製、M−40)を用いた。表面温度50℃に設定した6インチミキシングロールに、表1に示す配合処方に従って、所定量の水素化クロロプレン系重合体と上記の重合体(ゴム)を投入し、ロールに適正なバンドを形成させながら、30秒毎にナイフで切り返し操作を行い、15分間経過後に取り出した。次に、丸め通し操作を10回実施してポリマーブレンド物を得た。こうして得られたポリマーブレンド物を一度放冷した後、常法に従って配合剤を配合してポリマー組成物とし、油圧プレスを用いて150℃で30分加熱して加硫シートを得た。この加硫物の物性測定結果を表2及び表3に示した。測定はJIS K6251とK6253に準拠した。
【0030】
実施例13〜17
水素化反応時間が24時間であることを除き、実施例1〜12と同様の手順で水素化クロロプレン系重合体を作製した。得られた水素化クロロプレン系重合体の水素化率は45.2モル%であった。この水素化クロロプレン系重合体に、他の重合体を以下に記す手順で混練しポリマーブレンド物を得た。ブレンドした重合体は、各々、平均重合度2500のポリ塩化ビニル(PVC)、密度0.920g/ccの低密度ポリエチレン(PE)、平均重合度400のポリビニルアルコール(PVA、ケン化度80%)、平均重合度1700のポリスチレン(PS)、平均重合度2000のポリエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA、エチレン共重合割合18モル%)の5種である。混練は、表面温度を130℃に調整した8インチの電熱ロールに、表4に示す配合処方に従って、既述のブレンド用重合体を投入し、5分経過した時点(重合体が溶融した時点)で、次に水素化クロロプレン系重合体を添加した。15秒毎にナイフで切り返し操作を行い、2分間経過後に取り出した。こうして得られたポリマーブレンド物を一度放冷した後、常法に従って配合剤を配合してポリマー組成物とし、油圧プレスを用いて150℃で30分加熱し加硫シートを得た。以下、実施例1〜12と同様に物性を測定した。物性測定結果を表5に示した。
【0031】
【表1】
Figure 0004877889
【0032】
【表2】
Figure 0004877889
【0033】
【表3】
Figure 0004877889
【0034】
【表4】
Figure 0004877889
【0035】
【表5】
Figure 0004877889
【0036】
実施例1〜12ならびに実施例13〜17から、本発明のポリマーブレンド物は良好な力学的強度を有し、各種工業部品用素材として有用である。
【0037】
【発明の効果】
本発明による水素化クロロプレン系ポリマーブレンド物は、良好なゴム的特性を有し、従来、加硫ゴムあるいは熱可塑性エラストマーが用いられてきた各種工業部品あるいは自動車用ゴム部品の新規ゴム材料として期待できる。

Claims (3)

  1. (a)2−クロロ−1,3−ブタジエン単量体、又は、2−クロロ−1,3−ブタジエン単量体及びそれと共重合可能な単量体を重合してなるクロロプレン系重合体に水素を導入し、該重合体中に存在する炭素炭素二重結合の一部分が単結合に変換された水素化クロロプレン系重合体と、(b)(a)以外の重合体と、トリアジン化合物またはビスマレイミド化合物から選ばれる少なくとも一種の加硫剤を含有することを特徴とする水素化クロロプレン系ポリマーブレンド物であって、水素化クロロプレン系重合体の配合比率が全重合体中の50質量%以上98質量%以下である水素化クロロプレン系ポリマーブレンド物。
  2. (b)が主ガラス転移温度0℃以下の重合体であることを特徴とする請求項1記載の水素化クロロプレン系ポリマーブレンド物。
  3. 水素化クロロプレン系重合体の炭素炭素二重結合の単結合への変換割合が、5モル%以上95モル%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の水素化クロロプレン系ポリマーブレンド物。
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