JP2001286754A - 光触媒膜付き基板およびその製造方法 - Google Patents

光触媒膜付き基板およびその製造方法

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JP2001286754A
JP2001286754A JP2000104787A JP2000104787A JP2001286754A JP 2001286754 A JP2001286754 A JP 2001286754A JP 2000104787 A JP2000104787 A JP 2000104787A JP 2000104787 A JP2000104787 A JP 2000104787A JP 2001286754 A JP2001286754 A JP 2001286754A
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Takayuki Toyoshima
隆之 豊島
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Nippon Sheet Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】基板に酸化チタンの光触媒膜を被覆し、その上
に親水性膜を被覆して、光触媒効果により、表面を親水
性かつ汚れ防止性にしたものがあるが、持続親水性が十
分でなかった。 【解決手段】ガラス板上に酸化チタンの光触媒層をスパ
ッタリングで被覆し、光触媒層の上にマスキング剤とし
て二酸化珪素の微粒子を散布し、微粒子を散布した光触
媒層上に二酸化珪素層を被覆し、その後散布した微粒子
を脱離除去する。これにより、ガラス板に酸化チタンの
光触媒層と多数の微細孔を有し、この微細孔の部分で光
触媒層が外部に露出している二酸化珪素の親水性層が積
層被覆されたガラス板を得ることができる。この光触媒
膜は防曇持続性がよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基板表面に被覆さ
れた光触媒膜が被覆された基板とその製造方法に関し、
とりわけ高い防曇性能を有する基板とその製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来より、基板表面に防曇性を付与する
ために、親水性を有する金属酸化物を、基板表面にある
被覆するとよいことが知られている。このような基板表
面は、大気中の環境下にさらされると、大気中の有機物
が基板表面に吸着し、その防曇性が失われてしまう。こ
れを解決する目的で、光触媒活性を有する二酸化チタン
と親水性を有する二酸化珪素を基板表面にある一定の割
合で共存させるとよいことが知られている。光触媒活性
を有する二酸化チタンが紫外線に照射されると、その光
触媒活性により、光触媒膜が吸着した有機物を分解し、
それにより防曇性能を長時間にわたって維持するように
なるからである。
【0003】特開平11−199860号公報には、光
触媒活性を有する酸化チタン微粒子と親水性を有するコ
ロイダルシリカの混合物をゾル−ゲル法によりガラス板
上に被覆したもの、すなわち光触媒活性を有する酸化チ
タンの微粒子を親水性の二酸化珪素膜のなかに分散含有
させたものが開示されている。
【0004】また自己浄化性や防曇性を有する基板とし
て、ガラス板上に二酸化チタンの光触媒膜と親水性のシ
リカ膜の二層をゾル−ゲル法で被覆したものが特開平9
−57912号公報に記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ゾル−ゲル法では、大きな面積の基板に均一に防曇性を
有する光触媒膜を被覆するには、多量の塗布液を必要と
し、また耐摩耗性の強い膜とするには塗布した液を高い
温度で加熱焼成をする必要があり、工業的製法としては
設備上、および加水分解性がある塗布液の寿命が短いな
どの問題点がある。一方、真空成膜法の一つであるスパ
ッタリング法は、大面積の基板に被膜を被覆するという
点でゾル−ゲル法よりも優れているが、二酸化チタンを
二酸化珪素中に均一に分散した状態と同様の効果を有す
るように被覆することは、技術的に困難であるとされ、
これまで全く試みられていない。
【0006】本発明の課題は、上記のゾルーゲル法が有
する問題点を解決するためになされたものであって、光
触媒膜を膜面前方から眺めたとき、光触媒活性を有する
酸化チタンと親水性を有する二酸化珪素が微視的には離
間しているが、巨視的にはよく混合された状態で存在す
る被膜を基板に被覆する方法および、それにより得られ
る親水持続性がよい基板を提供することである。すなわ
ち、本発明の実用的な目的は、高い防曇性が長く維持で
きる基板とそのその製造方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の第1は、基板上
に酸化チタン主成分の光触媒層と二酸化珪素を主成分と
する親水性層が積層されてなる光触媒膜が被覆された光
触媒膜付き基板であって、前記親水性層は多数の微細孔
を有し、この微細孔において前記光触媒層が露出してい
ることを特徴とする光触媒膜付き基板である。
【0008】本発明においては、微細孔を光触媒層上に
ランダムに分布するように設けるのが好ましい。親水性
層の多数の微細孔は、微視的には互いに離間して存在す
るが、巨視的にはランダムに分布するように配置されて
いるのがよい。すなわち本発明の光触媒膜を微視的に見
ると、微細孔の底には光触媒層表面があり、この光触媒
層と親水性層のとは、光触媒膜を巨視的にみると、それ
らがよく混合した状態に表面を形成している。この微細
孔は一様に分布しているのが好ましい。
【0009】本発明において、微細孔が占める総面積
(ほぼ光触媒層が露出している総面積に相当する)の光
触媒膜の総面積に対する割合を2%以上とするのが、大
きな光触媒活性を確保する上で好ましく、さらにこのよ
うな観点から4%以上とするのがより好ましい。一方、
微細孔が占める面積の光触媒膜の総面積に対する割合を
60%以下とするのが、良好な防曇性を確保するための
親水性を確保する上で好ましく、さらにこのような観点
から、その割合を40%以下とするのがより好ましい。
【0010】また、微細孔の断面形状はとくに限定され
るものでないが、後述する平均1〜100μmとするの
がよい。本発明の微細孔を形成する実施の形態によれ
ば、通常微細孔の断面は円形になるが、複数の微粒子が
凝集して一つの塊となって基板上に散布されることがあ
る。この場合、凝集体の基板への投影面積が、ほぼ微細
孔の面積になる。この場合、微細孔の長径の平均が1〜
100μmとするのがよい。
【0011】微細孔の断面形状はほぼ円形であること
が、光触媒層と親水性層を巨視的に見てよく混合した状
態にする上で好ましい。また、微細孔の径を100nm
以下とするのが、光触媒膜表面のどの場所においても、
ある一定の親水性を確保する上で好ましいからであり、
また、微視的に親水性のムラが生じるのを抑制するの上
で好都合であるからである。微細孔の径を1μm未満に
しても、膜表面の親水性の程度を場所により均一にする
効果がさらに向上しない。また、そのような微細孔を実
際に形成するための微粒子の散布に困難を伴い、工業
的、経済的に利点がない。
【0012】本発明の第2は、基板上に酸化チタン主成
分の光触媒層を被覆する工程、前記光触媒膜層の上に微
粒子を散布する工程、前記微粒子が散布された基板に二
酸化珪素を主成分とする親水性層を被覆する工程、前記
散布された微粒子を除去する工程とを有する、光触媒層
と親水性層が積層被覆された光触媒膜付き基板の製造方
法である。
【0013】本発明において、光触媒層を親水性層の内
側から露出させるために散布する微粒子は金属酸化物の
微粒子を用いるのが好ましい。二酸化珪素、酸化アルミ
ニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化セリウ
ム、酸化鉄などを例示でき、なかでも、二酸化珪素の微
粒子が凝集して大きな塊になることが比較的少ないので
よい。
【0014】微細孔をできるだけ均一に離間させるよう
に配置し、すなわち巨視的には微細孔を親水性層のなか
でよく分散した状態で形成するために、光触媒層の単位
面積あたりに散布する微粒子粉体の量および大きさを適
当に選ぶ。微粒子粉体を小さい径を有するノズルから窒
素やアルゴンなどの不活性ガスをキャリアとして光触媒
層表面に吹き付けて行う。微粒子を水、アルコールなど
の溶媒に懸濁させ、この懸濁液を吹き付けてもよい。
【0015】吹き付けた多数の微粒子の光触媒層への投
影面積が占める総面積の光触媒層の総面積に対する割合
を約2%以上とするのが、大きな光触媒活性を確保する
上で好ましく、さらにこのような観点から4%以上とす
るのが好ましい。一方、散布する微細子の光触媒層への
投影面積が占める面積の光触媒層の総面積に対する割合
を60%以下とするのが、良好な防曇性を確保するに必
要な親水性を確保する上で好ましく、さらにこのような
観点からその割合を40%以下とするのが好ましい。
【0016】また、本発明において用いる微粒子の形状
はとくにこだわらない。また、微粒子が球形である場
合、その直径は100nm以下とするのが、光触媒膜表
面のどの場所においても、均一に親水性を確保する上で
好ましい。微粒子が凝集して粗大な塊が光触媒層の上に
形成されて、親水性層と光触媒層の混合状態が低下する
のを防止できるからである。
【0017】本発明では、層の被覆と微粒子の散布の全
工程を連続的に一括して、すなわち見かけ上一工程とし
て行うのがよい。このために、酸化チタン主成分の光触
媒層および二酸化珪素を主成分とする親水性層を減圧し
た雰囲気内で行うスパッタリング法で被覆し、スパッタ
リング法による被覆と微粒子の散布を、少なくとも三つ
に区画された室を有するスパッタリング装置により連続
的に一括して行うことのがよい。
【0018】
【発明の実施の形態】図1(a)、図1(b)は、本発
明の一実施例の光触媒膜付き基板の平面図および断面図
である。本発明にかかる光触媒膜1は、基板2の上に一
様な厚みで被覆された酸化チタンを主成分とする光触媒
層3と、その上に親水性層4が積層被覆されている。親
水性層4には多数の微細孔6が互いに離間してアットラ
ンダムに分布して設けられており、微細孔6の底には光
触媒層3が大気に露出している。微細孔の底面に見える
光触媒層3の領域と親水性層4の領域が入り混ざった状
態に設けられている。
【0019】本発明の光触媒層は二酸化チタンの層、好
ましくはアナターゼ結晶を含む二酸化チタンの層であ
り、副成分として酸化ニオブ、酸化鉄、酸化アルミなど
の金属酸化物を少量、たとえば0.1〜1重量%含有さ
せたものが好んで用いられる。また、本発明の親水性層
は、通常二酸化珪素の層が用いられる。酸化アルミニウ
ムなどの金属酸化物を、その親水性が大きく低下しない
程度に含有させてもよい。
【0020】本発明の光触媒膜付き基板の製造方法を図
2の工程図により説明する。用いる基板2は、ガラス
板、樹脂板、金属板などを用いることができる。基板の
形状は板状であってもなくてもよい(工程A)。
【0021】まず、基板2の上に光触媒層3が被覆され
る、光触媒層3の被覆は、公知のスパッタリング法やゾ
ルーゲル法を用いることができる、スパッタリング法に
より被覆する場合は、金属チタンまたはチタンにニオ
ブ、鉄、アルミニウムのいずれかの金属を少量含有させ
た金属チタンをターゲットとして、アルゴンと酸素との
減圧雰囲気中で行う酸素反応性スパッタリング法により
被覆することができる。また、ターゲットとして酸化チ
タンの微粉末を焼結成型したものあるいは、酸化チタン
に酸化ニオブ、酸化鉄、酸化アルミのいずれかの微粉末
を混合し、焼結成型したものを用いてもよい(工程
B)。光触媒層の厚みは、50〜500nmとするのが
通常である。
【0022】次に、光触媒層の表面に、二酸化珪素、酸
化アルミニウム、酸化鉄、酸化ジルコニウムなどの微粒
子を散布する(工程C)。散布は、これらの微粒子をた
とえば密閉した容器にメッシュ板を通過させた空気を吹
き込み容器内の空気中に微粒子を浮遊させ、この浮遊さ
せた微粒子を不活性ガスまたは空気をキャリアガスとし
て光触媒層3に吹き付ける。エチルエーテルなどの揮発
性の有機溶媒に微粒子を懸濁させ、この懸濁液を噴霧状
して素早く有機溶媒を乾燥させる方法を採用してもよ
い。微粒子の大きさおよびキャリア(媒体)中の濃度
を、微細孔6の全てが占める面積が所定の値になるよう
に適宜調整する。散布に際しては微粒子の凝集が生じな
いように、微粒子およびキャリアガスを十分乾燥させて
おく。
【0023】次に、微粒子5が散布された光触媒層3の
上にスパッタリング法により、親水性層4が被覆される
(工程D)。二酸化珪素膜は、公知の石英ガラスをター
ゲットとする高周波スパッタリング法やシリコンをター
ゲットする酸素反応性スパッタリング法により被覆す
る。次に、散布した微粒子5を、ブラシを用いて脱離
し、親水性層4に微細孔6を形成する(工程E)。かく
して、親水性層4のなかに多数の微細孔6が分布して存
在し、それにより光触媒層3がその部分で外部に露出す
る光触媒膜1が基体2の上に被覆される。
【0024】図3は、請求項8に関連する光触媒膜付き
基板の製造方法を説明するための被覆装置の概略断面図
である。被覆装置10は、開閉可能なゲートバルブ15
で連結される成膜室11、散布室12、成膜室13(図
示されない真空排気ポンプが各室に設けられ、各室は減
圧した一定の雰囲気が調整可能となっている)からなっ
ている。成膜室11内に装填された基板2は、コンベア
16で図中右方に搬送されながら、スパッタリングカソ
ード14Aの下面に貼り付けられたチタン金属ターゲッ
トのアルゴンと酸素の混合ガスによるスパッタリングに
より、酸化チタンの光触媒層が被覆される。その後この
基板は、ゲートバルブ15の操作により、散布室12に
搬送され、ノズル17から所定量の二酸化珪素の微粒子
が親水性層のためのマスキング材として散布される。成
膜室13に搬送されてスパッタリングカソード14Bの
前を通過中に、カソード下面に貼られた石英ガラスター
ゲットのアルゴンガスによるスパッタリングにより、二
酸化珪素の微粒子および光触媒層の上に被覆される。ゲ
ートバルブ15の操作により、基板を被覆装置10から
取り出して付着している微粒子に回転するブラシを当て
つける、あるいは布でこするなどの方法によりり、微粒
子を脱離除去する。
【0025】図3で示される工程を実施するために、用
いる微粒子はスパッタリングによる被覆時に、プラズマ
耐性があることおよび減圧雰囲気中でのガス放出が少な
いことから、金属酸化物のような無機材料が好ましい。
このような観点から二酸化珪素や酸化アルミなどの金属
酸化物の微粒子がよい。
【0026】以下に本発明を実施例と比較例で詳述す
る。用いた基板は、いずれの実施例および比較例におい
ても、ソーダライムシリケートフロートガラス板であ
る。この透明ガラス板は、単体での可視光線の透過率は
約92%、表面反射率は片面で約4%であった。スパッ
タリングするときの基板の加熱温度は200℃とした。
【0027】得られた光触媒膜の防曇性を呼気テスト
(呼気をサンプルに吹きかけくもりの度合いを官能的に
評価する)によった。 ◎:著しい防曇性が認められた(全く曇が発生しな
い)。 ○:比較的良好な防曇性が認められた。 △:わずかに防曇性が認められた。 ×:防曇性なし。
【0028】実施例1 ガラス板を図3に示す被覆装置の成膜室11に装填し、
酸素60容量%アルゴン40%の組成で、圧力0.4P
aの減圧雰囲気内で行うチタン金属ターゲットの直流マ
グネトロンスパッタリング法により、100nmの厚み
の酸化チタンをガラス板上に被覆した。その後、この基
板を減圧雰囲気に維持した散布室に搬送し、コロイダル
シリカ(直径20μm)を被覆した酸化チタン膜の表面
積の20%を覆うように散布した。その後、基板を成膜
室13に搬送し、アルゴンガス100容量%の組成、圧
力0.4Paの減圧雰囲気内で行う石英ガラスターゲッ
トの高周波マグネトロンスパッタリング法により、10
nmの厚みの二酸化珪素を被覆した。ゲートバルブを操
作して、被覆および散布が完了したガラス板を被覆装置
から取り出し、水と実験用無塵ペーパー(商品名ベンコ
ットン)を用いて膜表面を軽くこすり、微粒子を脱落除
去した。
【0029】得られた光触媒膜付き基板のサンプルの膜
表面に、呼気テストによる防曇性評価を行った。防曇性
評価は、呼気を膜面に吹きつけ、その曇り具合を官能評
価することで行った。その結果を表1に示す。後述する
比較例のサンプルよりも高い防曇性が認められた。ま
た、このサンプルを実験室内にまる1日放置した後、同
様の防曇性評価を行ったところ、防曇性が維持されてい
るのが確認された。
【0030】実施例2〜実施例5 散布するコロイダルシリカの量を変えて、光触媒層を覆
う面積を表1に示す割合とした以外は実施例1と同様の
方法で、光触媒膜付き基板のサンプル2〜5を作製し
た。このサンプルについても、表1に示すように比較例
のサンプルよりも高い防曇性が認められた。また、この
サンプルを実験室内にまる1日実施例と同じように放置
した後同様の防曇性評価を行ったところ、防曇性が維持
されているのが確認された。これらの実験から防曇性維
持性能をよくするには、コロイダルシリカが覆う表面積
(光触媒層が露出している面積割合)は20〜60%と
するのがよいことが分明らかになった。
【0031】実施例6〜実施例9 光触媒層の表面を覆うコロイダルシリカの大きさを、表
1のように変化させた以外は実施例1と同様の方法で、
光触媒膜付き基板のサンプル6〜9を作成した。その結
果いずれのサンプルも、表1に示すように比較例のサン
プルよりも高い防曇性が認められた。また、この基板を
実験室内にまる1日放置した後に、同様の防曇性評価を
行ったところ、防曇性が維持されているのが確認され
た。これらの実験から防曇性を維持するには、微粒子の
平均粒径(微細孔の平均サイズ)を5〜50μmとする
のが好ましいことが明確になった。
【0032】比較例1 ガラス板をよく洗浄し、実施例1と同じ防曇性評価を行
った。その結果は、表1に示すとおり、防曇性は全く認
められなかった。
【0033】比較例2 ガラス板に、実施例1と同様の方法で成膜室11で酸化
チタンを100nmの厚みで被覆し、その基板を取り出
した。得られた酸化チタンのみを被覆したサンプルにつ
いて、実施例1と同じ防曇性評価を行った。その結果は
表1に示すとおり防曇性はほとんど認められなかった。
【0034】比較例3 ガラス板に微粒子を散布しなかったこと、および酸化チ
タンの膜を被覆しなかったことを除いて、実施例1と同
様の方法で成膜室13で10nmの厚みの二酸化珪素膜
を被覆し、得られた二酸化珪素を被覆したサンプルを取
り出した。得られたサンプルについて、実施例1と同じ
防曇性評価を行った。その結果は表1に示すとおり取り
出した直後には高い防曇性が認められたものの、まる1
日経過後のサンプルの防曇性は認められず、比較例1と
同程度の曇りであった。
【0035】比較例4 ガラス板に、微粒子を散布しなかったことのほかは実施
例1と同じようにして100nmの厚みの酸化チタン層
と10nmの厚みの二酸化珪素層膜の積層構成の光触媒
膜を被覆し、その基板を被覆装置から取り出した。得ら
れたサンプルについて、実施例1と同じ防曇性評価を行
った。その結果は表1に示すとおり取り出した直後には
高い防曇性が認められたものの、まる1日後のサンプル
は防曇性は認められず、比較例3と同じ程度の曇りであ
った。
【0036】
【表1】 ================================== 例 光触媒層 防曇性評価 露出している部 露出している 被覆直後 1日後 分の面積割合1) 微細孔の平均2) (%) 粒径(μm) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 実施例1 20 20 ◎ ◎ 実施例2 2 20 ◎ △〜○ 実施例3 5 20 ◎ ○ 実施例4 40 20 ○ ◎ 実施例5 60 20 △ ◎ 実施例6 20 1 ◎ △ 実施例7 20 5 ◎ ○〜◎ 実施例8 20 50 ◎ ○ 実施例9 20 100 ◎ △ −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 比較例1 (ガラス板) △ × 比較例2 (光触媒層単層) △ × 比較例3 (親水性層単層) ◎ × 比較例4 0(二層構成) 微細孔なし ◎ × ================================== 注1)散布した微粒子の被覆面積の割合とほぼ同じ。 注2)散布した微粒子の平均粒径とほぼ同じ。
【0037】以上の結果から、酸化チタンの光触媒層の
上に二酸化珪素層を部分的に被覆し、光触媒層を部分的
に露出させることにより、防曇持続性能が改善された光
触媒膜付き基板が得られることが分かる。また、この基
板は防曇持続性を有するので、曇らない窓ガラスとして
とくに有用である。
【0038】
【発明の効果】本発明の基板によれば、光触媒膜を酸化
チタン主成分の光触媒層と二酸化珪素主成分の親水性層
の二層構成とし、親水性層には多数の微細孔を有し、こ
の微細孔の部分で光触媒層が外部に露出するようにした
ので、光触媒活性と防曇性との相乗効果により、基板表
面に防曇性持続性がある。
【0039】本発明の基板の製造方法によれば、酸化チ
タン主成分の光触媒層の上に、多数の微細孔を有する親
水性層を被覆するにあたり、散布した微粒子を脱離可能
なマスキング材として用いているので、フォトリソグラ
フ法のような高価な方法を用いないので、親水性層の微
細孔を容易に形成することができる。
【0040】また、光触媒層および親水性層の被覆と微
粒子の散布の各工程を連続して行うスパッタリング装置
内で一括して行うことにより、単一工程で光触媒膜付き
基板を経済性よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光触媒膜付き基板の一実施例の平面図
および断面図である。
【図2】本発明の光触媒膜付き基板の製造方法を説明す
る製造工程図である。
【図3】本発明の光触媒膜付き基板の製造方法を実施す
るのに用いたスパッタリング装置の概略断面図である。
【符号の説明】
1:光触媒膜 2:基板 3:光触媒層 4:親水性層 5:微粒子 6:微細孔 10:被覆装置 11、13:成膜室 12:散布室 14A、14B:スパッタリングカソード 15:ゲートバルブ 16:コンベア 17:ノズル

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に酸化チタン主成分の光触媒層と二
    酸化珪素を主成分とする親水性層が積層されてなる光触
    媒膜が被覆された光触媒膜付き基板であって、前記親水
    性層は多数の微細孔を有し、この微細孔において前記光
    触媒層が露出していることを特徴とする光触媒膜付き基
    板。
  2. 【請求項2】前記微細孔が前記光触媒層上にランダムに
    分布していることを特徴とする請求項1に記載の光触媒
    膜付き基板。
  3. 【請求項3】前記微細孔が占める総面積の前記光触媒層
    の総面積に対する割合が2〜60%であることを特徴と
    する請求項1または2に記載の光触媒膜付き基板。
  4. 【請求項4】前記微細孔の長径が1〜100μmである
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光触
    媒膜付き基板。
  5. 【請求項5】基板上に酸化チタン主成分の光触媒層を被
    覆する工程、前記光触媒膜層の上に微粒子を散布する工
    程、前記微粒子が散布された基板に二酸化珪素を主成分
    とする親水性層を被覆する工程、前記散布された微粒子
    を除去する工程とを有する、光触媒層と親水性層が積層
    被覆された光触媒膜付き基板の製造方法。
  6. 【請求項6】前記散布する微粒子を金属酸化物の微粒子
    とすることを特徴とする請求項5に記載の光触媒膜付き
    基板の製造方法。
  7. 【請求項7】前記金属酸化物が二酸化珪素とする請求項
    6に記載の光触媒膜付き基板の製造方法。
  8. 【請求項8】前記酸化チタン主成分の光触媒層および二
    酸化珪素を主成分とする親水性層を減圧した雰囲気内で
    行うスパッタリング法で被覆し、前記スパッタリング法
    による被覆と前記微粒子の散布を、少なくとも三つに区
    画された室を有するスパッタリング装置により連続的に
    行うことを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の
    光触媒膜付き基板の製造方法。
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