JP2003176426A - 親水性被膜及び親水性基体の製造方法及びそれにより得られる親水性被膜及び親水性基体 - Google Patents

親水性被膜及び親水性基体の製造方法及びそれにより得られる親水性被膜及び親水性基体

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JP2003176426A
JP2003176426A JP2002262937A JP2002262937A JP2003176426A JP 2003176426 A JP2003176426 A JP 2003176426A JP 2002262937 A JP2002262937 A JP 2002262937A JP 2002262937 A JP2002262937 A JP 2002262937A JP 2003176426 A JP2003176426 A JP 2003176426A
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hydrophilic
silica
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titania
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Takashi Kiyono
俊 清野
Yasuaki Kai
康朗 甲斐
Satoko Sugawara
聡子 菅原
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Nissan Motor Co Ltd
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Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 親水性に優れるばかりでなく、光分解性が良
好で親水性が長く持続するとともに、耐摩耗性に優れか
つ温水中や塩水中での耐久性に優れる親水性被膜の製造
方法を提供する。 【解決手段】 本発明は、チタンアルコキシドと2−メ
チル−2,4ペンタンジオールから得られる脱水縮重合
可能なチタニアゾルと、脱水縮重合して非晶質の酸化物
を形成する酸化物ゾルと、シリカのコロイド溶液とから
なる複合ゾル溶液を基板に塗布し焼成することによっ
て、チタニアと非晶質の酸化物との複合体及びシリカ微
粒子を含有する被膜を形成することを特徴とする親水性
被膜の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガラス、ミラー、
金属製品などの表面に形成する親水性被膜、なかでもそ
の親水性が長く持続するとともに、耐摩耗性等の諸特性
にも優れる親水性被膜及び親水性基体の製造方法とそれ
によって製造される親水性被膜及び親水性基体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】無機ガラスなどは従来から透明基材とし
ての性質を活かして、例えば窓ガラス、鏡面、眼鏡レン
ズ等の物品に広く利用されている。しかしながら、これ
ら透明基材を用いた物品で問題となるのは高温高湿の場
所又は温度や湿度の大きい境界面などにおいて使用する
と、物品の表面に結露を生じ、これに起因して物品の表
面に曇りを帯びることである。透明基材のうちでも特に
窓ガラス、眼鏡レンズ、鏡等において製品の表面が曇る
ことは、視認性を低下させ、製品本来の機能を損ねるた
めに重大な問題である。また、これらの製品において
は、傷がつきやすいこともまた、視認性を低下させ、製
品本来の機能を損ねるために好ましくない。更に、特に
自動車のアウトサイドミラーにあっては、雨天時には鏡
面に水滴が多数付着し、明瞭な後方視界を得ることが難
しくなることは、安全性確保の観点から問題になる。
【0003】したがって、各方面からこれらの改良に関
する要望がなされており、これまでに透明基材をはじめ
とする各種物品に対して防曇性、水滴付着防止性、及び
耐久性を付与しようとする試みが種々提案されている。
各種基材の曇りや水滴の付着を防止する方法として、ガ
ラス材の表面に親水性の被膜を形成することが行われて
いる。最も簡単な手段として、界面活性剤を表面に塗布
することは古くから知られており、界面活性剤にポリア
クリル酸やポリビニルアルコール等の水溶性ポリマーを
配合することで、その持続性を上げる試みがなされてい
る(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、このよ
うな方法においては一時的に親水性を付与するのみであ
り、持続的な効果を期待することはできない。
【0004】また、ガラス基材表面に、モリブデン酸化
物とタングステン酸化物のうちいずれか一種以上とリン
酸化物とを含む被膜を物理蒸着、化学蒸着等で形成する
ことにより親水性薄膜を得る方法が提案され(例えば、
特許文献2参照)、P2O を含むガラスにP2O5の液体
又は蒸気を接触させることにより親水性を付与する方法
が提案され(例えば、特許文献3参照)、スルホン酸型
両性界面活性剤及び無機塩あるいは酢酸塩を含む組成物
を低級アルコール溶液を用いて基材に塗布することによ
り密着性に優れた親水膜を形成する方法が提案されてい
る(例えば、特許文献4参照)が、いずれの方法におい
ても親水性能の長期持続性に劣るという欠点があった。
【0005】また、(1) チタニア粒子とシリカ粒子の分
散液をガラス板等に塗布、焼成する方法、(2) シリカ前
駆体とチタニアゾルの混合液をガラス板等に塗布、焼成
し、チタニア粒子をシリカのバインダーで結合する方
法、(3) チタニア前駆体とシリカ粒子の混合液をガラス
板等に塗布、焼成し、シリカ粒子をチタニアのバインダ
ーで結合する方法、(4) チタニア前駆体とシリカ前駆体
との混合液をガラス板等に塗布、焼成し、チタニアとシ
リカの混合体を焼成する方法などが提案されている(例
えば、特許文献5参照)。しかし、(1) のチタニア粒子
とシリカ粒子の分散液をガラス板等に塗布、焼成する方
法では耐摩耗性に劣り実用には供し得ない。また、(2)
のシリカ前駆体とチタニアゾルの混合液をガラス板等に
塗布、焼成し、チタニア粒子をシリカのバインダーで結
合する方法では、耐摩耗性は改良できても、親水性を長
期にわたり持続させること(親水維持性)に劣り実用に
は供し得ない。更に、(3) のチタニア前駆体とシリカ粒
子の混合液をガラス板等に塗布、焼成し、シリカ粒子を
チタニアのバインダーで結合する方法では、親水性は改
良できても、耐摩耗性に劣り、実用には供し得ない。ま
た更に、(4) のチタニア前駆体とシリカ前駆体との混合
液をガラス板等に塗布、焼成し、チタニアとシリカの混
合体を焼成する方法では、耐摩耗性は改良できても、親
水維持性に劣り実用には供し得ない。
【特許文献1】特開昭52−101680号公報
【特許文献2】特開昭55−154351号公報
【特許文献3】特開昭54−105120号公報
【特許文献4】特開昭53−58492号公報
【特許文献5】国際公開番号WO96−29375号パ
ンフレット
【0006】
【発明が解決しようとする課題】以上のとおり、従来の
技術においては、親水維持性に優れるとともに、耐摩耗
性にも優れる親水性被膜を得ることができなかった。本
発明は、かかる従来技術の欠点を解消しようとするもの
であり、親水性に優れるばかりでなく、光分解性が良好
で親水性が長く持続するとともに、耐摩耗性に優れかつ
温水中や塩水中での耐久性に優れる親水性被膜及び親水
性基体の製造方法とそれによって製造される親水性被膜
及び親水性基体を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本願の第1の発明は、チ
タンアルコキシドと2−メチル−2,4ペンタンジオー
ルから得られる脱水縮重合可能なチタニアゾルと、脱水
縮重合して非晶質の酸化物を形成する酸化物ゾルと、シ
リカのコロイド溶液とからなる複合ゾル溶液を基板に塗
布し焼成することによって、チタニアと非晶質の酸化物
との複合体及びシリカ微粒子を含有する被膜を形成する
ことを特徴とする親水性被膜の製造方法に関する。本願
の第2の発明は、焼成温度が400 〜850 ℃であることを
特徴とする請求項1記載の親水性被膜の製造方法に関す
る。本願の第3の発明は、第1または第2の発明におい
て、前記シリカ微粒子の粒径が3〜15nmで、かつ前
記非晶質酸化物が、最表層の被膜全体に対して5wt%
〜25wt%になることを特徴とする、親水性被膜の製
造方法に関する。本願の第4の発明は、第1乃至第3の
発明のいずれかにおいて、前記非晶質酸化物が、シリカ
であることを特徴とする、親水性被膜の製造方法に関す
る。本願の第5の発明は、第1乃至第4の発明のいずれ
かにおいて、前記非晶質シリカとチタニアとの比率が重
量%比で5/75:70/75〜25/90:65/90であることを
特徴とする、親水性被膜の製造方法に関する。本願の第
6の発明は、第1乃至第5の発明のいずれかにおいて、
前記シリカ微粒子の被膜全体に対する含有率が、10wt%
〜50wt%であることを特徴とする、親水性被膜の製造方
法に関する。本願の第7の発明は、第1乃至第6の発明
のいずれかにおいて、前記シリカ微粒子の粒径が5〜10
nmであることを特徴とする、親水性被膜の製造方法に関
する。本願の第8の発明は、第1乃至第7の発明のいず
れかにおいて、前記親水性被膜の厚みが、50〜110 nmで
あることを特徴とする親水性被膜の製造方法に関する。
本願の第9の発明は、第1乃至第8の発明のいずれかの
製造方法によって製造される親水性被膜に関する。本願
の第10の発明は、基板上に金属酸化物を塗布乾燥させ
て中間層を形成させた後、この中間層の上にチタンアル
コキシドと2−メチル−2,4ペンタンジオールから得
られる脱水縮重合可能なチタニアゾルと、脱水縮重合し
て非晶質のシリカを形成するシリカゾルと、シリカのコ
ロイド溶液からなる複合ゾル溶液を塗布、仮焼成を行っ
てから、加熱して曲げ加工を行うとともに本焼成を行う
ことで、チタニアと非晶質の酸化物との複合体及びシリ
カ微粒子を含有する親水性被膜を有する基体を形成する
ことを特徴とする親水性基体の製造方法に関する。本願
の第11の発明は、第10の発明において、中間層を形
成させる乾燥温度が150 〜450 ℃、仮焼成温度が500 〜
600 ℃、本焼成温度が600 〜750 ℃であることを特徴と
する、親水性基体の製造方法に関する。本願の第12の
発明は、第10または11の発明のいずれかにおいて、
前記中間層が、シリカゾルの焼成により得られたシリカ
層であることを特徴とする、親水性基体の製造方法に関
する。本願の第13の発明は、第10乃至第12の発明
のいずれかにおいて、前記中間層の厚みが50〜110 nmで
あることを特徴とする、親水性基体の製造方法に関す
る。本願の第14の発明は、第10乃至第13の発明の
いずれかにおいて、前記基板がソーダライムガラスであ
ることを特徴とする、親水性基体の製造方法に関する。
本願の第15の発明は、第10乃至第14の発明のいず
れかにおいて、前記シリカ微粒子は粒径 3〜15nmであ
り、かつ前記非晶質酸化物が、最表層の被膜全体に対し
て5wt%〜25wt%になることを特徴とする親水性基体の
製造方法に関する。本願の第16の発明は、第10乃至
第15の発明のいずれかにおいて、前記非晶質酸化物
が、シリカであることを特徴とする、親水性基体の製造
方法に関する。本願の第17の発明は、第10乃至第1
6の発明のいずれかにおいて、前記非晶質シリカとチタ
ニアとの比率が重量%比で5/75:70/75〜25/90:65
/90であることを特徴とする、親水性基体の製造方法に
関する。本願の第18の発明は、第10乃至第17の発
明のいずれかにおいて、前記シリカ微粒子の粒径の被膜
全体に対する含有率が、10wt%〜50wt%であることを特徴
とする、親水性基体の製造方法に関する。本願の第19
の発明は、第10乃至第18の発明のいずれかにおい
て、前記シリカ微粒子の粒径が5〜10nmであることを特
徴とする、親水性基体の製造方法に関する。本願の第2
0の発明は、第10乃至第19の発明のいずれかにおい
て、前記親水性被膜の厚みが50〜110 nmであることを特
徴とする、親水性基体の製造方法に関する。本願の第2
1の発明は、第11乃至第20の発明のうちいずれかの
製造方法によって製造される親水性基体に関する。
【0008】
【発明の効果】第1発明においては、チタンアルコキシ
ドと2−メチル−2,4ペンタンジオールから得られる
脱水縮重合可能なチタニアゾルと、脱水縮重合して非晶
質の酸化物を形成する酸化物ゾルと、シリカのコロイド
溶液とからなる複合ゾル溶液を基板に塗布し焼成するこ
とによって、チタニアと非晶質の酸化物との複合体及び
シリカ微粒子を含有する被膜を形成することから、当該
製造方法で得られる親水性被膜それ自体が、優れた親水
性を示すものであり、しかも、複合体膜の構成要素であ
るチタニアの光触媒活性を利用して、この被膜の表面に
付着した汚れを分解除去することができ、耐汚染性に優
れるとともに親水性が長く持続させることができる。ま
た、複合体膜の他方の構成要素である非晶質酸化物によ
り、膜の連続性、換言すれば膜の緻密性が向上すること
から、耐摩耗性が向上する。さらに、シリカ微粒子を含
有することにより、この微粒子が物理吸着水を多く有す
ることによって、親水維持性が向上する。第2発明にお
いては、焼成温度が400 〜850 ℃であることから、第1
発明の効果の他、親水性、親水維持性、耐摩耗性などの
各特性に優れる親水性被膜をより容易に得ることができ
る。第3の発明においては、シリカ微粒子の粒径が3〜
15nmで、非晶質酸化物が、最表層の被膜全体に対し
て5wt%〜25wt%としてあるので、親水性、親水
持続性及び耐磨耗性等のより優れた特性を有する親水性
被膜を有利に製造することができる。第4発明において
は、非晶質酸化物が、シリカであることから、第1発明
乃至第3発明の効果の他、本発明の被膜を形成しやす
く、耐摩耗性にも優れる親水性被膜を有利に製造するこ
とができる。第5発明においては、非晶質シリカとチタ
ニアとの比率が重量%比で5/75:70/75〜25/90:65
/90であることから、第4発明の効果の他、チタニアに
よる光触媒効果が十分に有り、親水膜の上に付着した有
機化合物を曇りの日の紫外線によって分解し、表面に親
水性を回復させることが可能な親水性被膜を得ることが
できる。第6発明においては、シリカ微粒子の被膜全体
に対する含有率が、10wt%〜50wt%であることから、第
1発明又は第2発明の効果の他、複合体膜とシリカ微粒
子との割合が良好になって、光分解性能や耐摩耗性に、
親水維持性のいずれも優れた特性を有する親水性被膜を
得ることができる。第7発明においては、シリカ微粒子
の粒径が5〜10nmであることから、第1発明又は第2発
明の効果の他、製造時における粒子の凝縮や分散不良と
いった不具合が生じないため、得られた親水性被膜の親
水性や親水維持性、更には耐摩耗性などを損ねることが
ない。第8発明においては、被膜の厚みが50〜110 nmで
あることから、第1発明又は第2発明の効果の他、親水
性被膜の厚さが110 nm以上では、耐摩耗性が不足する
が、50〜110 nmでは耐摩耗性は十分にあり、しかも、チ
タニアによる光分解性は十分な親水性被膜を得ることが
できる。
【0009】第10発明においては、親水性被膜は第1
発明の効果を有するとともに、親水性被膜を形成する前
の基板上にシリカゾルを塗布乾燥させて、シリカよりな
る中間層を形成させることから、ナトリウムイオンのマ
イグレーションを有利に防止することができ、また、こ
の中間層の上に脱水縮重合可能なチタニアゾルと、脱水
縮重合して非晶質のシリカを形成するシリカゾルと、シ
リカのコロイド溶液からなる複合ゾル溶液を塗布、仮焼
成を行ってから、加熱して曲げ加工を行うとともに本焼
成を行うことにより、基板に曲げ加工を施す製品の表面
に、容易に親水性被膜を形成させることができる。さら
に、第11発明においては、中間層を形成させる乾燥温
度が150 〜450 ℃、仮焼成温度が500 〜600 ℃、本焼成
温度が600 〜750 ℃であることから、第10発明の効果
の他、親水性、親水維持性、耐摩耗性等の諸特性を、い
ずれもバランスよく良好な特性を有する親水性基体を得
ることができる。第12発明においては、金属酸化物よ
りなる中間層がシリカゾルの焼成により得られたシリカ
層であることにより、第10発明の効果の他、中間層を
容易に形成されることができる。第13発明において
は、中間層の厚みが、50〜110 nmであることにより、第
8発明または第9発明の効果の他、マイグレーション防
止と曲げ加工の両立を図ることができる。第14発明に
おいては、基板がソーダライムガラスであることによ
り、第10発明から第13発明の各中間層の効果を顕著
に有する親水性基体を得ることができる。
【0010】第15発明においては、シリカ微粒子の粒
径が3〜15nmで、非晶質酸化物が、最表層の被膜全
体に対して5wt%〜25wt%としてあるので、親水
性、親水持続性及び耐磨耗性等のより優れた特性を有す
る親水性基体を有利に製造することができる。第16発
明においては、非晶質酸化物が、シリカであることか
ら、第10発明乃至第15発明の効果の他、本発明の被
膜を形成しやすく、耐摩耗性にも優れた親水性基体を得
ることができる。第17発明においては、非晶質シリカ
とチタニアとの比率が重量%比で5/75:70/75〜25/
90:65/90であることから、第10発明の効果の他、チ
タニアによる光触媒効果が十分に有り、親水膜の上に付
着した有機化合物を曇りの日の紫外線によって分解し、
表面に親水性を回復させることが可能な親水性基体を得
ることができる。第18発明においては、シリカ微粒子
の被膜全体に対する含有率が、10wt%〜50wt%であるこ
とから、第10発明又は第11発明の効果の他、複合体
膜とシリカ微粒子との割合が良好になって、光分解性能
や耐摩耗性に、親水維持性のいずれも優れた特性を有す
る親水性基体を得ることができる。第19発明において
は、シリカ微粒子の粒径が5〜10nmであることから、第
10発明又は第11発明の効果の他、製造時における粒
子の凝縮や分散不良といった不具合が生じないため、親
水性や親水維持性、更には耐摩耗性などを損ねることが
ない親水性基体を得ることができる。第20発明におい
ては、被膜の厚みが50〜110 nmであることから、第10
発明又は第11発明の効果の他、親水性被膜の厚さが11
0 nm以上では、耐摩耗性が不足するが、50〜110 nmでは
耐摩耗性は十分にあり、しかも、チタニアによる光分解
性は十分にある親水性基体を得ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】上述のように、本発明の要点はチ
タンアルコキシドと2−メチル、2,4ペンタンジオー
ルから得られる水縮重合可能なチタニアゾルと脱水縮重
合して非晶質性の酸化物を形成する酸化物(好ましくは
シリカ)の原料ゾルとシリカのコロイド溶液とからなる
複合ゾル溶液を基板上に塗布し、好ましくは400 〜850
℃で焼成して、シリカの微粒子を含有するチタニアと非
晶質の酸化物の複合体膜を設けることによって、親水性
に優れ親水性が長く持続するとともに、耐摩耗性等に優
れる親水性被膜を付与したものである。かくして、チタ
ニアの光触媒活性を利用して表面に付着した汚れの分解
除去性が付与されるとともに、非晶質の酸化物によって
膜の連続性が向上することによって耐摩耗性に優れた親
水性被膜を得ることができる。また、親水性被膜が含有
するシリカ微粒子の物理吸着水によって、親水維持性を
向上させることができるのである。
【0012】使用する基板としては、金属、ガラス等、
本発明の親水性被膜を形成させるべき用途に用いられる
材料であれば、その種類を問わない。チタニアは、アモ
ルファスが含まれていても、アナターゼやルチル型の結
晶体が含まれていても構わないが、光触媒活性が最も高
いことからアナターゼ型の結晶体の含有率が多いものが
特に好ましい。
【0013】脱水縮重合して非晶質性の金属酸化物を形
成する金属酸化物ゾルとしては、シリカゾルが最も代表
的であるが、シリカ−アルミナ、シリカ−ジルコニア等
の複合酸化物ゾル等を用いてもよい。該シリカゾルは焼
成後に非晶質の膜を形成し、親水性膜の耐摩耗性を大幅
に向上させることができる。この原因は必ずしも明らか
ではないが、以下のように考えることができる。チタニ
アは結晶性のため、焼成後には結晶粒が形成され、粒界
には空隙が多数存在する場合が多い。それゆえチタニア
のみの被膜では膜自体が脆い。したがって、外部から応
力を加えられると、脆性破壊を起こし、ついには基板か
ら剥離してしまう。しかし、これに非晶質膜が加わる
と、非晶質膜がバインダの役割を果たし、外部応力に耐
えるようになる。また、一般に共に脱水縮重合可能なチ
タニアゾルとシリカゾルとの混合溶液からゾルゲル法に
よって薄膜を形成すると、Si-O-Ti の結合が生成し、チ
タニアの結晶化が阻害されると考えられていたが、実際
にはチタニアゾルの方がシリカゾルに比較して脱水縮重
合速度が極めて大きいために、シリカゾルの添加量が一
定以下の範囲ではチタニアの結晶化が可能であり、光分
解特性も維持されることが分かった。
【0014】なお、親水性被膜中の非晶質シリカの割合
が最表層の被膜全体に対して5〜25wt%となるようにす
るのが良い。非晶質シリカが5wt%より少ないと、親水
性被膜の耐摩耗性が不足し、トラバース式耐摩耗試験な
どにおいて剥離が生じる。また、非晶質シリカが25wt%
より多いと、被膜中のチタニアの量が相対的に少なくな
り、十分な光分解性能が得られなくなる。非晶質酸化物
とチタニアとの比率が重量%比でが5/75:70/75〜25
/90:65/90であることが好ましい。非晶質酸化物とチ
タニアとの比率が、重量%比で5/75wt%よりも非晶質
酸化物比率が小さいと、親水性被膜の耐摩耗性が不足
し、耐久性の点で不十分となり、また、25/90wt%より
も非晶質酸化物比率が大きいと、チタニアによる光分解
性が不足し、親水性被膜上の有機化合物の付着物が分解
できなくなる。
【0015】このチタニア自身は親水性であるが、表面
の活性が極めて高いため、空気中に放置していただけハ
イドロカーボンなどの汚染物質が吸着されて親水性を失
いやすい。紫外線照射強度の大きな環境下では表面に吸
着された有機汚染物質は分解されて親水性を維持するこ
とができるが、紫外線の少ない夜間、雨天時等において
はもはや親水性を維持することが困難となる。この問題
は、被膜に物理吸着水を多く有する微粒子を添加するこ
とによって解消される。親水維持性能の観点から添加す
る微粒子としては、特にシリカの微粒子が好ましい。シ
リカの微粒子の被膜全体に対する含有率は10wt%〜50wt
%とするのが良い。10wt%より少ないと十分な親水維持
性能が得られず、50wt%より多いと十分な光分解性能が
得られないとともに、十分な耐摩耗性も得られなくなっ
てくる。シリカ微粒子の粒径は5〜10nmが好ましい。5
nm未満では粒子の凝集がおき、親水性及び親水維持性が
低下し、10nmを超えると粒子の分散が不良になり耐摩耗
性及び外観が不良となる。
【0016】チタニアとシリカ及びシリカ微粒子よりな
る親水性被膜の厚さは、50〜110 nmが好ましく、50nm未
満では光分解性能の耐久性が不足する。また、110 nmを
超えると曲げ加工性が不足する。より好ましくは、70〜
90nmの範囲である。
【0017】また、特に基板にソーダライムガラスを用
いる場合には、最表面に形成させる親水性被膜と基板と
の間に中間層として金属酸化物層を設けても良い。これ
は、ナトリウムイオンがチタニア膜中に存在すると、Ti
O2−XNaX を形成し、紫外線によって発生した正孔と
電子との再結合サイトとなるため、光分解性能が低下す
ることがあるからである。該中間層としてはソーダライ
ムガラスからのナトリウムイオンのマイグレーションを
防止できるものなら何でも良く、シリカ、アルミナ、シ
リカ−アルミナ複合酸化物等が好適に用いられ、性能と
生産性を考慮するとシリカを使用することは有利であ
る。中間層の厚さは50〜110 nmが好ましい。50nm未満で
は、ナトリウムイオンのマイグレーションを防止でき
ず、ひいては光触媒効果が低下する。また、110 nmを超
えると曲げ加工性が不足する。より好ましくは、70〜90
nmの範囲である。チタニアの光触媒特性によって汚れを
分解するための光源は、400 nm以下の紫外線を含むもの
であれば良く、例えば太陽光、水銀灯、蛍光灯、ハロゲ
ンランプ、ショートアークキセノン光、レーザー光等が
ある。本発明の被膜を用いた製品では、被膜を形成した
基板に直接光が照射されるように光源を設けても良い
が、通常は特別に光源を要せず、例えば太陽光等の自然
光によって十分に性能を得ることができる。
【0018】この親水性被膜を基板上に形成する方法と
しては、脱水縮重合可能なチタニアゾルと脱水縮重合し
て非晶質性の酸化物(好ましくはシリカ)を形成する酸
化物原料ゾルとシリカ微粒子のコロイド溶液からなる複
合ゾル溶液を基板上に塗布し、焼成する方法がある。こ
の場合、焼成温度は400 〜850 ℃が良い。400 ℃より低
い焼成温度では十分な耐摩耗性が得られず、850 ℃より
高い温度で焼成するとチタニアの結晶系がアナターゼか
らルチルにへ移行するため、光分解性能が大幅に低下す
ることになる。
【0019】チタニアやシリカといった金属酸化物のゾ
ルは、金属アルコキシドから作製することができる。チ
タニアゾルとしては、例えばチタンテトライソプロポキ
シドやテトラエトキシチタン等のようなチタンアルコキ
シドを加水分解、脱水縮重合して得ることもできる。こ
の場合、反応性を制御するために配位子を用いても良
い。また、金属酸化物として市販されているものを用い
ることもできる。具体的には、例えばシリカゾルとして
は商品面スーパーセラ(大八化学工業所製)、商品名セ
ラミカ(日板研究所製)、商品名HAS(コルコート社
製)、商品名アトロンNSi-500(日本曹達(株)製)、
商品名CGS−D1-0600(チッソ(株)製)などを利用
することができる。また、TA-10 、TA-15 (日産化
学工業(株)製)やAZS−A,AZS−NB,AZS
−B(日本触媒化学工業(株)製)などのジルコニアゾ
ル、商品名アルミナゾル−100 ,アルミナゾル−200 ,
アルミナゾル−520 (日産化学工業(株)製)、商品名
カタロイドAS−3(触媒化学工業(株)製)などのア
ルミナゾル等も用いることができる。
【0020】上記ゾル溶液は、必要に応じて水や有機触
媒等で希釈して用いることができる。有機溶媒として
は、金属酸化物を溶解できるものであれば何でも良く、
例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール
等の1級アルコール、イソプロピルアルコール等の2級
アルコール、ターシャルブタノール等の3級アルコー
ル、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、エー
テル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホル
ム、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族、
芳香族、脂環式の炭化水素等の一般的な溶媒が挙げら
れ、これらを単独で、又は混合して用いることができ
る。また、アルコキシドから作製したゾル溶液に、金属
の硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、酢酸塩、ステアリン酸塩、
また塩化物や臭化物などのハロゲン化物やその縮合物等
を、親水膜の光触媒効果を向上させるために添加しても
よい。
【0021】基板上に前記のゾル溶液を塗布する方法と
しては、浸漬引き上げ法(ディッピング法)、スプレー
法、フローコート法、スピンコート法等の既知の塗布手
段が適宜採用できる。以上のようにこの発明によれはシ
リカの微粒子を含有するチタニアと非晶質の金属酸化物
の複合体膜を設けることによって、親水性に優れ、親水
性が長く持続するとともに、耐摩耗性に優れる親水性被
膜を得ることができる。
【0022】上記の親水性被膜を自動車用のアウトサイ
ドミラーに適用する際には、性能及び生産性を考慮した
ミラーの製造方法が必要になる。以下に、より詳しい説
明をする。はじめに、ガラス基板にシリカゾルをディッ
ピング法又はスピンコート等で塗布し、150 〜450 ℃で
焼成しソーダガラスからのナトリウムイオンの拡散を防
止するシリカ層を形成する。このときの焼成温度は、15
0 〜450 ℃が良好で、150℃未満では光分解性能が不足
し、450 ℃を超えると曲げ加工性が不足する。続いて、
チタニアゾル、シリカゾル及びシリカ微粒子の混合溶液
をディッピング又はスピンコート等で塗布し、500 〜60
0 ℃て仮焼成をする。ミラーの曲げ加工用の型は通常、
硅砂と粘土の素焼製で、ガラスを軟化温度以上に加熱
し、曲げ加工を行う。この曲げ加工で親水性被膜面が型
表面に接触し擦れても傷がつかないようにするには、50
0 〜600 ℃の温度で焼成することが必要である。500 ℃
未満では硬度が不足し、600 ℃を超えると被膜の硬度が
高くなり、曲げ加工精度が不足する。続いて、曲げ加工
時の焼成温度は600 〜750 ℃で行う。600 ℃に満たない
とガラスの軟化が不十分であり、耐温水性が不足する。
また、750 ℃を超えると曲げ加工後の徐冷時間が長くな
るので、生産性が低くなり実用に供し得ない。
【0023】
【実施例】以下、本発明における効果をより明確にする
ため、実施例により詳しく説明するが、本発明はこれら
に限定されるものではない。 (実施例1)大きさ100 mm×100 mm、厚さ1.9 mmのソー
ダガラス基板を水性洗剤、水、エタノールで順次洗浄、
乾燥し被膜基板とした。この上にシリカゾル(商品名ア
トロンNSi-500、日本曹達(株)製)を塗布し、170 ℃
で焼成を行って75〜90nmのシリカ層を形成した被覆用基
板を作成した。続いて、チタンのアルコキシドとしてチ
タンテトライソプロポキシドをエタルールに0.5 mol/L
となるように溶解し、これに配位子として2−メチル−
2,4ペンタンジオールをアルコキシド1mol に対して
1 mol 加えて一時間還流した。室温まで冷却し、この中
に硝酸を添加して酸性になるように調整したのち、この
中に水をアルコキシドと等モル量滴下し、室温で1 時間
の還流を行い、チタニアゾルを得た。上述のようにして
得られたチタニアゾル溶液に市販のシリカゾル(商品名
アトロンNSi-500、日本曹達(株)製)を添加し、焼成
後のTiO2とSiO2換算でSiO2が11wt%となるように調
整した。更にこの複合ゾル溶液に市販のコロイダルシリ
カ(商品名ST−X、日産化学(株)製)を添加し、焼
成後の被膜に対して微粒子シリカが10wt%となるように
調整した後に、1時間攪拌し塗布溶液を得た。上述した
ようにあらかじめシリカ層を被覆した基板に、上記塗布
溶液をスピンコーティング法により1000rpm の条件でコ
ーティングし、風乾後に550 ℃で30分焼成し、更に650
℃で10分焼成し、徐冷した。得られた被膜は膜厚75nmの
透明なものであった。
【0024】得られた親水性被膜表面の水滴の接触角は
2〜3°で、優れた親水性を示した。次に親水維持性を
評価するため、この供試体を暗室に168 時間放置し、24
時間ごとに接触角を測定したところ、接触角は徐々に増
加を示したが、168 時間後に8.0 °と親水性が維持さ
れ、優れた親水維持性を示した。次に、光分解性能の評
価は、以下のように行った。被膜面をオレイン酸0.1 %
濃度のアセトン溶液にディッピングし風乾させたときの
接触角をθ1 、その後、紫外線照射装置により紫外線
強度1.5 mW/cmで4 時間照射した後の接触角をθ2と
したときの光分解率η=(θ1 −θ2 )/(θ1 −
5°)で定義した。なお、θ2 <5°のときは、η=1
00 %とした。ηの良否は、70%を境に行った。供試体
に対してηを求めたところ、η=100 %であり、優れた
光分解性能を示した。続いて、耐摩耗性を確認するた
め、供試体の被膜面に対してトラバース試験を実施し
た。なお、トラバース試験は、摺動子にキャンバス布を
被せ、荷重100 gを加えながら5000往復させることによ
って行った。試験後に膜の剥離は見られなかった。
【0025】次に、耐湿性を確認するため、40℃、98%
RHの高温高湿中で100 時間放置し、外観変化の観察とオ
レイン酸分解性能を評価した。供試体は外観上の変化は
観察されず、オレイン酸の光分解性能も80%で、良好な
結果を示した。次に、耐温水性を確認するため70℃、10
0 時間温水に浸し、外観変化の観察とオレイン酸分解性
能を評価した。供試体は外観上の変化は観察されず、オ
レイン酸の光分解性能も75%で、良好な結果を示した。
次に、耐塩水性を確認するために80℃、2 %塩水中に2
時間浸し、外観変化の観察とオレイン酸分解性能を評価
した。供試体は外観上の変化は観察されず、オレイン酸
の光分解性能も70%で、良好な結果を示した。
【0026】(実施例2)実施例1と同様に、基板にソ
ーダライムガラスを使用し、その上にシリカ層を形成
し、更に、この上の親水性被膜を形成した。なお、表1
に示すように、シリカゾルの添加量は焼成後の被膜全体
の15%で、シリカ粒子の固形分が被膜全体の10wt%とな
るように調整し、焼成条件は実施例1と同じとした。こ
れらの供試体の評価を実施例1と同様にして行った結果
は表1に示したとおりであり、外観、親水性、親水維持
性、耐摩耗性、光分解率、耐湿性、耐温水性及び耐塩水
性の全ての面で良好で、特に耐摩耗性に優れていた。な
お、表1において、外観、光分解性、親水性、親水維持
性、耐摩耗性、耐湿性、耐温水性及び耐塩水性の判断基
準は次のとおりである。
【0027】 (1) 外観……○;良好、△;やや失透明、×;不透明、 (2) 光分解性……実施例1に記載の試験で、 ◎;光分解率80〜100 %で特に良い、 ○;光分解率70〜80%で良好、 ×;光分解率70%以下で悪い、 (3) 親水性…… ◎;水滴の接触角が2〜3°と特に小さく濡れが特に良
い、 ○;水滴の接触角が4〜5°と小さく濡れが良好、 △;水滴の接触角が10〜20°と大きく濡れがやや悪い、 ×;水滴の接触角が20°以上と大きく濡れが悪い、 (4) 親水維持性……暗室に168 時間放置後、 ◎;水滴の接触角が約10°と特に小さく濡れが特に良
い、 ○;水滴の接触角が約15°と小さく濡れが良好、 △;水滴の接触角が約20°と大きく濡れがやや悪い、 ×;水滴の接触角が20°以上と大きく濡れが悪い、 (5) 耐摩耗性……実施例1に記載の試験後、 ◎;傷、剥離、変色なしで特に良い、 ○;傷、剥離なしで良好、 ×;傷、剥離ありで悪い、 (6) 耐湿性……実施例1に記載の試験後、 ○;外観に変化なく、光分解率70%以上で良好、 ×;外観に失透、剥離あり、光分解率70%以下で悪い、 (7) 耐温水性……実施例1に記載の試験後、 ○;外観に変化なく、光分解率70%以上で良好、 ×;外観に失透、剥離あり、光分解率70%以下で悪い、 (8) 耐塩水性……実施例1に記載の試験後、 ○;外観に変化なく、光分解率70%以上で良好、 ×;外観に失透、剥離あり、光分解率70%以下で悪い、
【0028】(実施例3)実施例1と同様に、基板にソ
ーダライムガラスを使用し、その上にシリカ層を形成
し、更に、この上に親水性被膜を形成した。なお、表1
に示すように、シリカゾルの添加量は焼成後の被膜全体
の5wt%で、シリカ粒子の固形分が被膜全体の25wt%と
なるように調整し、焼成条件は実施例1と同じとした。
これらの供試体の評価を実施例1と同様にして行った結
果は表1に示したとおりであり、外観、親水性、親水維
持性、耐摩耗性、光分解率、耐湿性、耐温水性及び耐塩
水性の全ての面で良好で、特に親水性、親水維持性に優
れていた。
【0029】(実施例4)実施例1と同様に、基板にソ
ーダライムガラスを使用し、その上にシリカ層を形成
し、更に、この上に親水性被膜を形成した。なお、表1
に示すように、シリカゾルの添加量は焼成後の被膜全体
の25wt%で、シリカ粒子の固形分が被膜全体の10wt%と
なるように調整し、焼成条件は実施例1と同じとした。
これらの供試体の評価を実施例1と同様にして行った結
果は表1に示したとおりであり、外観、親水性、親水維
持性、耐摩耗性、光分解理位、耐湿性、耐温水性及び耐
塩水性の全ての面で良好で、特に耐摩耗性に優れてい
た。
【0030】(比較例1)実施例1と同様に、基板にソ
ーダライムガラスを使用し、その上にシリカ層を形成
し、更に、この上に親水性被膜を形成した。なお、表1
に示すように、シリカゾルの添加量は焼成後の被膜全体
の4wt%で、シリカ粒子の固形分が被膜全体の10wt%と
なるように調整し、焼成条件は実施例1と同じとした。
これらの供試体の評価を実施例1と同様にして行った結
果は表1に示したとおりであり、外観、親水性、親水維
持性、光分解率、耐湿性、耐温水性及び耐塩水性の面で
良好であったが、耐摩耗性に劣っていた。
【0031】(比較例2)実施例1と同様に、基板にソ
ーダライムガラスを使用し、その上にシリカ層を形成
し、更に、この上に親水性被膜を形成した。なお、表1
に示すように、シリカゾルの添加量は焼成後の被膜全体
の28wt%で、シリカ粒子の固形分が被膜全体の10wt%と
なるように調整し、焼成条件は実施例1と同じとした。
これらの供試体の評価を実施例1と同様にして行った結
果は表1に示したとおりであり、外観、親水性、親水維
持性、耐摩耗性、耐湿性、耐温水性及び耐塩水性の面で
良好であったが、光分解性に劣っていた。
【0032】(比較例3)実施例1と同様に、基板しに
ソーダライムガラスを使用し、その上にシリカ層を形成
し、更に、この上に親水性被膜を形成した。なお、表1
に示すように、シリカゾルの添加量は焼成後の被膜全体
の10wt%で、粒径2nmのシリカ粒子の固形分が被膜全体
の10wt%となるように調整し、焼成条件は実施例1と同
じとした。これらの供試体の評価を実施例1と同様にし
て行った結果は表1に示したとおりであり、光分解性、
耐湿性及び耐塩水性の面で良好であったが、外観、親水
性、親水維持性及び耐摩耗性に劣っていた。
【0033】(比較例4)実施例1と同様に、基板にソ
ーダライムガラスを使用し、その上にシリカ層を形成
し、更に、この上に親水性被膜を形成した。なお、表1
に示すように、シリカゾルの添加量は焼成後の被膜全体
の10wt%で、粒径17nmのシリカ粒子の固形分が、被膜全
体の10wt%となるように調整し、焼成条件は実施例1と
同じとした。これらの供試体の評価を実施例1と同様に
して行った結果は表1に示したとおりであり、光分解
性、親水性、親水維持性、耐湿性、耐温水性及び耐塩水
性の面で良好であったが、外観、耐摩耗性に劣ってい
た。
【0034】(比較例5)実施例1と同様に、基板にソ
ーダライムガラスを使用し、その上にシリカ層を形成
し、更に、この上に親水性被膜を形成した。なお、表1
に示すように、チタニア粒80wt%とシリカ粒子20wt%の
分散液をガラス板に塗布、焼成した。焼成条件は実施例
1と同じである。これらの供試体の評価を実施例1と同
様にして行った結果は表1に示したとおりであり、光分
解性、親水性、親水維持性の面で良好であったが、耐摩
耗性、耐湿性、耐温水性及び耐塩水性に劣っていた。
【0035】(比較例6)実施例1と同様に、基板にソ
ーダライムガラスを使用し、その上にシリカ層を形成
し、更に、この上に親水性被膜を形成した。なお、表1
に示すように、チタニア粒80wt%とシリカ前駆体20wt%
の混合液をガラス板に塗布、焼成した。焼成条件は実施
例1と同じとした。これらの供試体の評価を実施例1と
同様にして行った結果は表1に示したとおりであり、耐
摩耗性、光分解性の面で良好であったが、親水性、親水
維持性、耐湿性、耐温水性及び耐塩水性に劣っていた。
【0036】(比較例7)実施例1と同様に、基板にソ
ーダライムガラスを使用し、その上にシリカ層を形成
し、更に、この上に親水性被膜を形成した。なお、表1
に示すように、チタニア前駆体80wt%とシリカ粒子20wt
%の混合液をガラス板に塗布、焼成した。焼成条件は実
施例1と同じとした。これらの供試体の評価を実施例1
と同様にして行った結果は表1に示したとおりであり、
親水性、親水維持性、光分解性の面で良好であったが、
耐摩耗性、耐湿性、耐温水性及び耐塩水性に劣ってい
た。
【0037】(比較例8)実施例1と同様に、基板にソ
ーダライムガラスを使用し、その上にシリカ層を形成
し、更に、この上に親水性被膜を形成した。なお、表1
に示すように、チタニア前駆体80wt%とシリカ前駆体20
wt%の混合液をガラス板に塗布、焼成した。焼成条件は
実施例1と同じとした。これらの供試体の評価を実施例
1と同様にして行った結果は表1に示したとおりであ
り、耐摩耗性、光分改正の面で良好であったが、親水
性、親水維持性、耐湿性、耐温水性及び耐塩水性に劣っ
ていた。表1は、実施例及び比較例の内容をまとめて示
したものである。
【0038】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09K 3/00 C09K 3/00 R (72)発明者 菅原 聡子 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 Fターム(参考) 4F100 AA17B AA20C AA20H AA21C AG00A AT00A BA03 BA07 BA13 CC00B CC00C DE01C DE01H EH461 EH462 EJ422 EJ861 GB07 GB32 JB05C JK09 JL00 JL07 YY00C YY00H 4G059 AA01 AA11 AB09 AB11 AC18 AC21 AC22 EA04 EA05 EA18 GA01 GA04 GA12 4J038 AA011 HA211 HA441 NA06 NA11 PA19 PB07 PC02 PC03

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チタンアルコキシドと2−メチル−2,
    4ペンタンジオールから得られる脱水縮重合可能なチタ
    ニアゾルと、脱水縮重合して非晶質の酸化物を形成する
    酸化物ゾルと、シリカのコロイド溶液とからなる複合ゾ
    ル溶液を基板に塗布し焼成することによって、チタニア
    と非晶質の酸化物との複合体及びシリカ微粒子を含有す
    る被膜を形成することを特徴とする親水性被膜の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 焼成温度が400 〜850 ℃であることを特
    徴とする請求項1記載の親水性被膜の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記シリカ微粒子の粒径が3〜15nm
    で、かつ前記非晶質酸化物が、最表層の被膜全体に対し
    て5wt%〜25wt%になることを特徴とする請求項
    2に記載の親水性被膜の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記非晶質酸化物が、シリカであること
    を特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の
    親水性被膜の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記非晶質シリカとチタニアとの比率が
    重量%比で5/75:70/75〜25/90:65/90であること
    を特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の
    親水性被膜の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記シリカ微粒子の被膜全体に対する含
    有率が、10wt%〜50wt%であることを特徴とする請求項
    1〜5のうちいずれか1項に記載の親水性被膜の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 前記シリカ微粒子の粒径が5〜10nmであ
    ることを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか1項に
    記載の親水性被膜の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記親水性被膜の厚みが、50〜110 nmで
    あることを特徴とする請求項1〜7のうちいずれか1項
    に記載の親水性被膜の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のうちいずれか1項に記載
    の製造方法によって製造される親水性被膜。
  10. 【請求項10】 基板上に金属酸化物を塗布乾燥させて
    中間層を形成させた後、この中間層の上にチタンアルコ
    キシドと2−メチル−2,4ペンタンジオールから得ら
    れる脱水縮重合可能なチタニアゾルと、脱水縮重合して
    非晶質のシリカを形成するシリカゾルと、シリカのコロ
    イド溶液からなる複合ゾル溶液を塗布、仮焼成を行って
    から、加熱して曲げ加工を行うとともに本焼成を行うこ
    とで、チタニアと非晶質の酸化物との複合体及びシリカ
    微粒子を含有する親水性被膜を有する基体を形成するこ
    とを特徴とする親水性基体の製造方法。
  11. 【請求項11】 中間層を形成させる乾燥温度が150 〜
    450 ℃、仮焼成温度が500 〜600 ℃、本焼成温度が600
    〜750 ℃である請求項10記載の親水性基体の製造方
    法。
  12. 【請求項12】 前記中間層が、シリカゾルの焼成によ
    り得られたシリカ層であることを特徴とする請求項11
    記載の親水性基体の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記中間層の厚みが50〜110 nmである
    請求項10〜12のうちいずれか1項に記載の親水性基
    体の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記基板がソーダライムガラスである
    請求項10〜13のうちいずれか1項に記載の親水性基
    体の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記シリカ微粒子は粒径 3〜15nmであ
    り、かつ前記非晶質酸化物が、最表層の被膜全体に対し
    て5wt%〜25wt%になることを特徴とする請求項10〜
    14のうちいずれか1項に記載の親水性基体の製造方
    法。
  16. 【請求項16】 前記非晶質酸化物が、シリカであるこ
    とを特徴とする請求項10〜15のうちいずれか1項に
    記載の親水性基体の製造方法。
  17. 【請求項17】 前記非晶質シリカとチタニアとの比率
    が重量%比で5/75:70/75〜25/90:65/90であるこ
    とを特徴とする請求項10〜16のうちいずれか1項に
    記載の親水性基体の製造方法。
  18. 【請求項18】 前記シリカ微粒子の粒径の被膜全体に
    対する含有率が、10wt%〜50wt%であることを特徴とする
    請求項10〜17のうちいずれか1項に記載の親水性基
    体の製造方法。
  19. 【請求項19】 前記シリカ微粒子の粒径が5〜10nmで
    あることを特徴とする請求項10〜18のうちいずれか
    1項に記載の親水性基体の製造方法。
  20. 【請求項20】 前記親水性被膜の厚みが50〜110 nmで
    あることを特徴とする請求項10〜19のうちいずれか
    1項に記載の親水性基体の製造方法。
  21. 【請求項21】 請求項11〜20のうちいずれか1項
    に記載の製造方法によって製造される親水性基体。
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