JP2001284908A

JP2001284908A - デュアルモード・バンドパスフィルタの帯域幅調整方法及びデュアルモード・バンドパスフィルタ

Info

Publication number: JP2001284908A
Application number: JP2000097369A
Authority: JP
Inventors: Naotake Okamura; 尚武岡村; Seiji Kaminami; 誠治神波; Naoki Mizoguchi; 直樹溝口
Original assignee: Murata Manufacturing Co Ltd
Current assignee: Murata Manufacturing Co Ltd
Priority date: 2000-03-31
Filing date: 2000-03-31
Publication date: 2001-10-12

Abstract

(57)【要約】【課題】小型化及び広帯域化が容易であり、設計の自
由度に優れたデュアルモード・バンドパスフィルタの帯
域幅の調整方法を得る。【解決手段】誘電体基板２の一方面または内部に形成
された金属膜３を有し、該金属膜３に、２つの共振を結
合するための貫通孔３ａが形成されており、金属膜３に
一対の入出力結合回路５，６が結合されており、貫通孔
３ａの位置を調整することにより、所望とする帯域幅を
得るデュアルモード・バンドパスフィルタ１の帯域幅調
整方法。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、例えばマイクロ波
〜ミリ波帯の通信機において帯域フィルタとして用いら
れるデュアルモード・バンドパスフィルタの帯域幅調整
方法及び該デュアルモード・バンドパスフィルタに関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、高周波領域で用いられるバンドパ
スフィルタとして、デュアルモード・バンドパスフィル
タが種々提案されている（MINIATURE DUAL MODE MICROS
TRIP FILTERS, J.A. Curtis and S.J. Fiedziuszko, 19
91 IEEE MTT-S Digestなど）。

【０００３】図６及び図７は、従来のデュアルモード・
バンドパスフィルタを説明するための各模式的平面図で
ある。図６に示すバンドパスフィルタ２００では、誘電
体基板（図示せず）上に円形の導電膜２０１が形成され
ている。この導電膜２０１に、互いに９０°の角度をな
すように、入出力結合回路２０２及び入出力結合回路２
０３が結合されている。そして、上記入出力結合回路２
０３が配置されている部分に対して中心角４５°の角度
をなす位置に、先端開放スタブ２０４が形成されてい
る。これによって共振周波数が異なる２つの共振モード
が結合され、バンドパスフィルタ２００は、デュアルモ
ード・バンドパスフィルタとして動作するように構成さ
れている。

【０００４】また、図７に示すデュアルモード・バンド
パスフィルタ２１０では、誘電体基板上に略正方形の導
電膜２１１が形成されている。この導電膜２１１に、互
いに９０°の角度をなすように、入出力結合回路２１
２，２１３が結合されている。また、入出力結合回路２
１３に対して１３５°の位置のコーナー部が欠落されて
いる。欠落部分２１１ａを設けることにより、２つの共
振モードの共振周波数が異ならされており、該２つのモ
ードの共振が結合されて、バンドパスフィルタ２１０
は、デュアルモード・バンドパスフィルタとして動作す
る。

【０００５】他方、円形の導電膜に代えて、円環状の導
電膜を用いたデュアルモードフィルタも提案されている
（特開平９−１３９６１２号公報、特開平９−１６２６
１０号公報など）。すなわち、円環状のリング伝送路を
用い、図６に示したデュアルモード・バンドパスフィル
タと同様に、中心角９０°の角度をなすように入出力結
合回路を配置し、かつリング状伝送路の一部に先端開放
スタブを設けてなるデュアルモードフィルタが開示され
ている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】図６及び図７に示した
従来のデュアルモード・バンドパスフィルタでは、１つ
の導電膜パターンを形成することにより２段のバンドパ
スフィルタを構成することができ、従ってバンドパスフ
ィルタの小型化を図り得る。

【０００７】しかしながら、円形や正方形の導電膜パタ
ーンにおいて、上記特定の角度を隔てて入出力結合回路
を結合する構成を有するため、結合度を大きくすること
ができず、広い通過帯域を得ることができないという欠
点があった。

【０００８】また、図６に示されているバンドパスフィ
ルタでは、導電膜２０１が円形であり、図７に示すバン
ドパスフィルタでは、導電膜２１１がほぼ正方形と形状
が限定されている。従って、設計の自由度が低いという
問題もあった。

【０００９】また、上記バンドパスフィルタでは、円形
や正方形の導電膜の寸法などにより周波数帯域が決定さ
れ、帯域を調整することが困難であった。本発明の目的
は、上述した従来技術の欠点を解消し、小型化を図るこ
とができ、小型化・広帯域化を図ることができ、設計の
自由度に優れたデュアルモード・バンドパスフィルタの
帯域幅調整方法及び該デュアルモード・バンドパスフィ
ルタを提供することにある。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】本発明に係るデュアル
モード・バンドパスフィルタは、誘電体基板と、前記誘
電体基板の表面または内部に形成されており、２つのモ
ードの共振を結合させるための貫通孔が形成された金属
膜と、前記誘電体基板の少なくとも一部を介して前記金
属膜と対向するように形成されたグラウンド電極と、前
記金属膜に結合された一対の入出力結合回路とを備える
デュアルモード・バンドパスフィルタであって、所望と
する帯域幅に応じて前記貫通孔の位置が決定されている
ことを特徴とする。

【００１１】本発明に係るデュアルモード・バンドパス
フィルタの帯域幅調整方法は、誘電体基板と、前記誘電
体基板の表面または内部に形成されており、２つのモー
ドの共振を結合させるための貫通孔が形成された金属膜
と、前記誘電体基板の少なくとも一部を介して前記金属
膜と対向するように形成されたグラウンド電極と、前記
金属膜に結合された一対の入出力結合回路とを備えるデ
ュアルモード・バンドパスフィルタの帯域幅調整方法で
あって、前記貫通孔の位置を変化させることにより帯域
幅を調整することを特徴とする。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ、本発明
に係るデュアルモード・バンドパスフィルタの帯域幅調
整方法の具体的な実施例を説明することにより、本発明
を明らかにする。

【００１３】図１（ａ）は、本発明の第１の実施例に係
るデュアルモード・バンドパスフィルタを説明するため
の斜視図であり、図１（ｂ）は、その模式的平面図であ
る。デュアルモード・バンドパスフィルタ１は、矩形板
状の誘電体基板２を有する。誘電体基板２は、本実施例
では、誘電率εｒ＝２．５８のフッ素樹脂からなる。も
っとも、本実施例及び以下の実施例において、誘電体基
板を構成する誘電体材料については、フッ素樹脂に限ら
ず、ＢＡＳ材などの適宜の誘電体材料を用いることがで
きる。

【００１４】上記誘電体基板２の厚みは特に限定されな
いが、本実施例では３５０μｍとされている。誘電体基
板２の上面２ａには、共振器を構成するための金属膜３
が形成されている。金属膜３は、誘電体基板２上におい
て部分的に形成されており、かつ該金属膜３は本実施例
では長方形の形状を有する。また、金属膜３には、貫通
孔３ａが形成されている。貫通孔３ａは長方形の平面形
状を有し、その長さ方向が、金属膜３の長辺３ｂ，３ｃ
と平行とされている。

【００１５】本実施例では、金属膜３は長辺の長さが１
５ｍｍ、短辺の長さが７ｍｍの長方形の形状を有する。
貫通孔３ａは、長辺が１３．５ｍｍ、短辺が０．２ｍｍ
とされており、貫通孔３ａの中心が金属膜３の中心と一
致するように貫通孔３ａが形成されている。もっとも、
金属膜３及び貫通孔３ａの大きさ並びに貫通孔３ａの位
置については、上記に限定されない。

【００１６】他方、誘電体基板２の下面には、全面にグ
ラウンド電極４が形成されている。上記金属膜３には、
長辺３ｂ，３ｃと所定のギャップを隔てて入出力結合回
路５，６が配置されている。入出力結合回路５，６は、
金属膜３と同じ金属からなる膜を誘電体基板２上に形成
することにより構成されている。入出力結合回路５，６
は、金属膜３に容量結合されている。

【００１７】本実施例では、入出力結合回路５，６の一
方とグラウンド電極４との間に入力電圧を印加すること
により、入出力結合回路５，６の他方とグラウンド電極
４との間で出力が取り出される。この場合、金属膜３が
長方形の形状を有し、上記貫通孔３ａが形成されている
ので、発生する２つのモードの共振が結合されてデュア
ルモード・バンドパスフィルタとして動作する。

【００１８】すなわち、入出力結合回路５，６の金属膜
３への中心間を結ぶ仮想直線方向の共振モードと、該仮
想直線と直交する方向のモードの共振が生じるが、上記
仮想直線と直交する方向の共振電流は、貫通孔３ａで妨
げられ、コイル装荷効果が発生し、該仮想直線と直交す
る方向の共振周波数が低周波側へ移動する。この貫通孔
３ａの大きさを調整することにより、低周波側への移動
量をコンロールすることにより、２つのモードの共振を
結合させることができる。

【００１９】本実施例のバンドパスフィルタの周波数特
性の一例を図３に示す。図３において、実線Ａは反射特
性を、破線Ｂは通過特性を示す。なお、後述の図４のデ
ュアルモード・バンドパスフィルタの周波数特性におい
ても、同様に反射特性を実線Ａで、通過特性を破線Ｂで
示すこととする。

【００２０】図３から明らかなように、矢印Ｃで示す帯
域が通過帯域であるバンドパスフィルタの構成されてい
ることがわかる。すなわち、本実施例のデュアルモード
・バンドパスフィルタ１では、上記金属膜３に貫通孔３
ａを形成することにより、２つのモードの共振が結合さ
れて、デュアルモード・バンドパスフィルタとしての特
性を得ることができる。

【００２１】本実施例の特徴は、上記貫通孔３ａの位置
が、所望とする帯域幅に応じて設けられていることにあ
る。これを、図２を参照して説明する。上記実施例のデ
ュアルモード・バンドパスフィルタ１において、貫通孔
３ａの位置を種々変更して、３種類のデュアルモード・
バンドパスフィルタを作成した。すなわち、図２（ａ）
に示すように、貫通孔３ａが金属膜３の中央に設けられ
た前述のデュアルモード・バンドパスフィルタ１と、図
２（ｂ）に示すように、貫通孔３ａを、金属膜３の中央
から一方の長辺３ｂ側に２ｍｍ移動させて設けたデュア
ルモード・バンドパスフィルタ１Ｂ、並びに図２（ｃ）
に示すように、貫通孔３ａを金属膜３の中央から他方の
長辺３ｃ側に２ｍｍ移動させて設けたデュアルモード・
バンドパスフィルタ１Ｃとを作成した。

【００２２】上記のようにして用意された３種類のデュ
アルモード・バンドパスフィルタ１〜１Ｃの周波数特性
を、それぞれ、図３〜図５に示す。図３〜図５から明ら
かなように、デュアルモード・バンドパスフィルタ１〜
１Ｃでは、上記貫通孔３ａの形成により、２つの共振が
結合されたデュアルモード・バンドパスフィルタとして
動作し得ることがわかる。また、図３〜図５から明らか
なように、上記貫通孔３ａの位置を移動させることによ
り、帯域幅を大きく調整し得ることがわかる。

【００２３】なお、デュアルモード・バンドパスフィル
タでは、出力結合回路の結合点を結ぶ仮想直線の方向に
伝搬する共振と、該仮想直線に対向する方向に伝搬する
共振とが結合されてデュアルモード・バンドパスフィル
タとして動作する。この場合、金属膜３の形状を、長方
形以外の正方形や円形とした場合においても、２つの共
振を結合させて、バンドパスフィルタを構成することが
できる。しかしながら、上記実施例のように、金属膜３
が長方形の場合には、貫通孔３ａの位置を移動させるこ
とにより帯域幅を大きくかつ容易に調整することがで
き、所望とする帯域幅に応じて貫通孔３ａの位置を選択
することにより、所望とする帯域幅を実現することがで
きる。

【００２４】ところが、本願発明者の実験によれば、金
属膜が円形あるいは正方形の場合には、貫通孔の位置を
移動させても帯域幅がほとんど変化しないことが確かめ
られている。

【００２５】すなわち、本発明は、上記のように、金属
膜に２つの共振を結合するための貫通孔を設けたデュア
ルモード・バンドパスフィルタにおいて、上記金属膜が
長方形の場合に、貫通孔の位置を移動させることにより
帯域幅を大きく変化させ得ることに着目してなされたも
のである。

【００２６】

【発明の効果】本発明に係るデュアルモード・バンドパ
スフィルタの帯域幅調整方法では、上記のように貫通孔
の位置を変化させるだけで、帯域幅を容易に調整するこ
とができるので、所望とする帯域幅のデュアルモード・
バンドパスフィルタを容易に提供することができる。

【００２７】また、本発明に係るデュアルモード・バン
ドパスフィルタでは、誘電体基板表面または誘電体基板
内に形成された長方形の金属膜に貫通孔が形成されてお
り、該金属膜に入出力結合回路が結合されている構成に
おいて、上記貫通孔により２つの共振が結合されて、バ
ンドパス・フィルタとして動作する。従って、長方形の
金属膜の形状を種々変化させることにより、あるいは貫
通孔の形状や大きさを変化させることにより、様々な周
波数特性を有し、小型でありかつ広帯域のバンドパスフ
ィルタを容易に提供することができる。

【００２８】さらに、帯域幅に応じて貫通孔の位置が決
定されているので、所望とする帯域幅のデュアルモード
・バンドパスフィルタを容易に提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】（ａ）及び（ｂ）は、それぞれ、本発明の一実
施例のデュアルモード・バンドパスフィルタを示す斜視
図及び模式的平面図。

【図２】（ａ）〜（ｃ）は、本発明の一実施例におい
て、貫通孔の一を変化させた場合の各デュアルモード・
バンドパスフィルタの要部を模式的に示す平面図。

【図３】図２（ａ）に示した貫通孔を有するデュアルモ
ード・バンドパスフィルタの周波数特性を示す図。

【図４】図２（ｂ）に示した貫通孔を有するデュアルモ
ード・バンドパスフィルタの周波数特性を示す図。

【図５】図２（ｃ）に示した貫通孔を有するデュアルモ
ード・バンドパスフィルタの周波数特性を示す図。

【図６】従来のデュアルモード・バンドパスフィルタの
一例を説明するための模式的平面図。

【図７】従来のデュアルモード・バンドパスフィルタの
他の例を説明するための模式的平面図。

【符号の説明】

１…デュアルモード・バンドパスフィルタ２…誘電体基板３…金属膜３ａ…貫通孔４…グラウンド電極

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者溝口直樹京都府長岡京市天神二丁目26番10号株式会社村田製作所内Ｆターム(参考） 5J006 HB03 HB15 HB16 JA01 JA14 LA05 LA11 NA04 ND05 NE13

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】誘電体基板と、前記誘電体基板の表面または内部に形成されており、２
つのモードの共振を結合させるための貫通孔が形成され
た金属膜と、前記誘電体基板の少なくとも一部を介して前記金属膜と
対向するように形成されたグラウンド電極と、前記金属膜に結合された一対の入出力結合回路とを備え
るデュアルモード・バンドパスフィルタの帯域幅調整方
法であって、前記貫通孔の位置を変化させることにより帯域幅を調整
することを特徴とする、デュアルモード・バンドパスフ
ィルタの帯域幅調整方法。
【請求項２】誘電体基板と、前記誘電体基板の表面または内部に形成されており、２
つのモードの共振を結合させるための貫通孔が形成され
た金属膜と、前記誘電体基板の少なくとも一部を介して前記金属膜と
対向するように形成されたグラウンド電極と、前記金属膜に結合された一対の入出力結合回路とを備え
るデュアルモード・バンドパスフィルタであって、所望とする帯域幅に応じて前記貫通孔の位置が決定され
ていることを特徴とする、デュアルモード・バンドパス
フィルタ。