JP2002261508A - デュアルモード・バンドパスフィルタ並びにデュプレクサ及び無線通信装置 - Google Patents

デュアルモード・バンドパスフィルタ並びにデュプレクサ及び無線通信装置

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JP2002261508A
JP2002261508A JP2001265725A JP2001265725A JP2002261508A JP 2002261508 A JP2002261508 A JP 2002261508A JP 2001265725 A JP2001265725 A JP 2001265725A JP 2001265725 A JP2001265725 A JP 2001265725A JP 2002261508 A JP2002261508 A JP 2002261508A
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dielectric substrate
metal film
bandpass filter
dual mode
dual
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JP2001265725A
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Naotake Okamura
尚武 岡村
Seiji Kaminami
誠治 神波
Naoki Mizoguchi
直樹 溝口
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Murata Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Murata Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小型を図り得るだけでなく、結合度の調整が
容易であり、所望とする帯域幅を容易に実現することが
でき、設計の自由度に優れたデュアルモード・バンドパ
スフィルタを得る。 【解決手段】 誘電体基板2の第1の主面としての上面
2aまたはある高さ位置において、共振器を構成するた
めの金属膜3が形成されており、金属膜3に入出力結合
回路6,7が結合されており、誘電体基板層を介して金
属膜3と対向するようにグラウンド電極4,5が形成さ
れており、金属膜3の平面形状が金属膜3において生じ
る第1,第2の共振モードを結合するように選択されて
いる、デュアルモード・バンドパスフィルタ1。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばマイクロ波
〜ミリ波帯の通信機において帯域フィルタとして用いら
れるデュアルモード・バンドパスフィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、高周波領域で用いられるバンドパ
スフィルタとして、デュアルモード・バンドパスフィル
タが種々提案されている(MINIATURE DUAL MODE MICROS
TRIP FILTERS, J.A. Curtis and S.J. Fiedziuszko, 19
91 IEEE MTT-S Digestなど)。
【0003】図20及び図21は、従来のデュアルモー
ド・バンドパスフィルタを説明するための各模式的平面
図である。図20に示すバンドパスフィルタ200で
は、誘電体基板(図示せず)上に円形の導電膜201が
形成されている。この導電膜201に、互いに90°の
角度をなすように、入出力結合回路202及び入出力結
合回路203が結合されている。そして、上記入出力結
合回路203が配置されている部分に対して中心角45
°の角度をなす位置に、先端開放スタブ204が形成さ
れている。これによって共振周波数が異なる2つの共振
モードが結合され、バンドパスフィルタ200は、デュ
アルモード・バンドパスフィルタとして動作するように
構成されている。
【0004】また、図21に示すデュアルモード・バン
ドパスフィルタ210では、誘電体基板上に略正方形の
導電膜211が形成されている。この導電膜211に、
互いに90°の角度をなすように、入出力結合回路21
2,213が結合されている。また、入出力結合回路2
13に対して135°の位置のコーナー部が欠落されて
いる。欠落部分211aを設けることにより、2つの共
振モードの共振周波数が異ならされており、該2つのモ
ードの共振が結合されて、バンドパスフィルタ210
は、デュアルモード・バンドパスフィルタとして動作す
る。
【0005】他方、円形の導電膜に代えて、円環状の導
電膜を用いたデュアルモードフィルタも提案されている
(特開平9−139612号公報、特開平9−1626
10号公報など)。すなわち、円環状のリング伝送路を
用い、図20に示したデュアルモード・バンドパスフィ
ルタと同様に、中心角90°の角度をなすように入出力
結合回路を配置し、かつリング状伝送路の一部に先端開
放スタブを設けてなるデュアルモードフィルタが開示さ
れている。
【0006】また、特開平6−112701号公報に
も、同様のリング状伝送路を用いたデュアルモードフィ
ルタが開示されている。図22に示すように、このデュ
アルモードフィルタ221では、誘電体基板上に円環状
の導電膜222が形成されているリング共振器が構成さ
れている。ここでは、円環状の導電膜222に対して、
互いに90°をなすように4個の端子223〜226が
構成されている。4個の端子のうち、互いに90°の角
度をなす位置に配置された2個の端子223,224が
入出力結合回路227,228に結合されており、残り
の2個の端子225,226が帰還回路230を介して
接続されている。
【0007】上記構成により、1つのストリップ線路か
らなるリング共振器において、互いに結合しない直交モ
ード共振を生じさせ、上記帰還回路230により結合度
を制御することが可能である旨が記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】図20及び図21に示
した従来のデュアルモード・バンドパスフィルタでは、
1つの導電膜パターンを形成することにより2段のバン
ドパスフィルタを構成することができ、従ってバンドパ
スフィルタの小型化を図り得る。
【0009】しかしながら、円形や正方形の導電膜パタ
ーンにおいて、上記特定の角度を隔てて入出力結合回路
を結合する構成を有するため、結合度を大きくすること
ができず、広い通過帯域を得ることができないという欠
点があった。
【0010】また、図20に示されているバンドパスフ
ィルタでは、導電膜201が円形であり、図21に示す
バンドパスフィルタでは、導電膜211がほぼ正方形と
形状が限定されている。従って、設計の自由度が低いと
いう問題もあった。
【0011】また、特開平9−139612号公報や特
開平9−162610号公報に記載のようなリング状共
振器を用いたデュアルモードバンドパスフィルタにおい
ても、同様に結合度を大きくすることが困難であり、か
つリング状共振器の形状が限定されるという問題があっ
た。
【0012】他方、前述した特開平6−112701号
公報に記載のデュアルモードフィルタ221では、帰還
回路230を用いることにより、結合度の調整が行わ
れ、広帯域化が図られるとされている。しかしながら、
この先行技術に記載のデュアルモードフィルタでは、帰
還回路230が必要であり、回路構成が煩雑化するとい
う問題があった。加えて、やはり、リング状共振器の形
状が円環状と限定され、設計の自由度が低いという問題
があった。
【0013】本発明の目的は、上述した従来技術の欠点
を解消し、小型化を図り得るだけでなく、結合度を大き
くすることができ、さらに結合度の調整が容易であり、
広い通過帯域を容易に実現することができ、さらに設計
の自由度に優れたデュアルモード・バンドパスフィルタ
を提供することにある。
【0014】本発明の他の目的は、本発明に従って構成
されたデュアルモード・バンドパスフィルタを有するデ
ュプレクサ及び無線通信装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】第1の発明にかかるデュ
アルモード・バンドパスフィルタは、第1,第2の主面
を有する誘電体基板と、前記誘電体基板の第1の主面ま
たは誘電体基板のある高さ位置において部分的に形成さ
れており、第1,第2の共振モードを発生させるための
金属膜とを備え、該金属膜の平面形状は長方形であり、
かつ第1,第2の共振モードが結合するように長方形の
長辺と短辺との比率が選択されており、前記金属膜と誘
電体基板層を介して対向するように、誘電体基板の第2
の主面または誘電体基板内に形成された少なくとも1つ
のグラウンド電極と、前記金属膜に異なる部分で結合さ
れた一対の入出力結合回路とをさらに備えることを特徴
とする。
【0016】第2の発明にかかるデュアルモード・バン
ドパスフィルタは、第1,第2の主面を有する誘電体基
板と、前記誘電体基板の第1の主面または誘電体基板の
ある高さ位置において部分的に形成されており、第1,
第2の共振モードを発生させるための金属膜とを備え、
該金属膜が菱形の平面形状を有し、かつ第1,第2の共
振モードを結合させるように菱形の形状が選択されてお
り、前記金属膜と誘電体基板層を介して対向するよう
に、誘電体基板の第2の主面または誘電体基板内に形成
された少なくとも1つのグラウンド電極と、前記金属膜
に異なる部分で結合された一対の入出力結合回路とをさ
らに備えることを特徴とする。
【0017】第3の発明にかかるデュアルモード・バン
ドパスフィルタは、第1,第2の主面を有する誘電体基
板と、前記誘電体基板の第1の主面または誘電体基板の
ある高さ位置において部分的に形成されており、第1,
第2の共振モードを発生させるための金属膜とを備え、
該金属膜が二等辺三角形の平面形状を有し、前記第1,
第2の共振モードが結合されるように二等辺三角形形状
が選択されており、前記金属膜と誘電体基板層を介して
対向するように、誘電体基板の第2の主面または誘電体
基板内に形成された少なくとも1つのグラウンド電極
と、前記金属膜に異なる部分で結合された一対の入出力
結合回路とをさらに備えることを特徴とする。
【0018】第1〜第3の発明(以下、本発明と総称す
る)にかかるデュアルモード・バンドパスフィルタで
は、上記金属膜及びグラウンド電極の形成位置は特に限
定されないが、本発明の特定の局面では、第1の主面に
金属膜が形成されており、第2の主面にグラウンド電極
が形成されている。この場合には、誘電体基板の表裏面
に金属膜及びグラウンド電極を形成するだけでよいた
め、デュアルモード・バンドパスフィルタの製造が容易
となる。
【0019】また、本発明の別の特定の局面では、金属
膜が、誘電体基板内のある高さ位置に形成されており、
該金属膜に対して誘電体基板層を介して対向するように
上下にグラウンド電極が形成されており、それによって
トリプレート構造が構成される。このようにトリプレー
ト構造を有するデュアルモード・バンドパスフィルタで
は、金属膜の上下がグラウンド電極により電磁シールド
されるので、放射を抑制し得るので、損失の低減を図る
ことができる。
【0020】また、トリプレート構造を有するデュアル
モード・バンドパスフィルタのより限定的な局面では、
グラウンド電極が誘電体基板の第1,第2の主面に形成
されており、それによって薄く、かつ構造が簡略化され
たトリプレート構造を有するデュアルモード・バンドパ
スフィルタを得ることができる。
【0021】本発明に係るデュプレクサは、本発明に従
って構成されたデュアルモード・バンドパスフィルタを
備えることを特徴とする。
【0022】本発明に係る無線通信装置は、本発明に従
って構成されたデュアルモード・バンドパスフィルタを
備えることを特徴とする。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ、本発明
の具体的な実施例を説明することにより、本発明を明ら
かにする。
【0024】本願発明者らは、先に、未だ公知ではない
特願平2000−47919号において、2つの共振モ
ードを結合させるために貫通孔が設けられた金属膜を共
振器として用いたデュアルモード・バンドパスフィルタ
を提案した。このデュアルモード・バンドパスフィルタ
では、誘電体基板の一方主面またはある高さ位置に部分
的に共振器を構成するために、貫通孔を有する金属膜が
形成されている。この金属膜の異なる部分に一対の入出
力結合回路が結合されている。金属膜に入力が加えられ
た場合、異なる方向に伝播する2つの共振モードが生
じ、上記貫通孔の形状及び寸法を調整することにより2
つの共振モードが結合されて、デュアルモード・バンド
パスフィルタとしての特性が得られる。
【0025】上記デュアルモード・バンドパスフィルタ
では、貫通孔を設けることにより、2つの共振モードの
うち少なくとも一方の共振モードの共振電磁界が調整さ
れ、それによって2つの共振モードが結合されている。
【0026】しかしながら、本願発明者らは、上記デュ
アルモード・バンドパスフィルタについてさらに検討し
た結果、2つの共振モードを結合させるのに貫通孔を必
ずしも設けずともよいことを見出した。すなわち、貫通
孔を設けずとも、金属膜の形状を選択することにより、
第1,第2の共振モードを結合し得ることを見出し、本
発明をなすに至った。
【0027】(第1の実施例)図1(a),(b)は、
本発明の第1の実施例にかかるデュアルモード・バンド
パスフィルタの主要部を説明するための模式的斜視図及
び該デュアルモード・バンドパスフィルタの正面断面図
であり、図2は共振器としての金属膜を示す平面図であ
る。なお、図1(a)においては、共振器を構成するた
めの金属膜の形状を説明するために、該金属膜より上方
の誘電体基板層及び誘電体基板の上面に形成されている
グラウンド電極の図示が省略されていることを指摘して
おく。
【0028】デュアルモード・バンドパスフィルタ1
は、矩形の誘電体基板2を有する。誘電体基板2は、本
実施例では、比誘電率εr=2.58のフッ素樹脂から
なる。もっとも、本実施例及び以下の実施例において、
誘電体基板を構成する誘電体材料については、フッ素樹
脂に限らず、BAS材などの適宜の誘電体材料等を用い
ることができる。
【0029】誘電体基板2の厚みは特に限定されない
が、本実施例では、700μmとされとおり、中間高さ
位置に共振器を構成するための金属膜3が形成されてい
る。金属膜3は、誘電体基板2の中間高さ位置において
部分的に形成されている。本実施例では、金属膜3は一
対の長辺3a,3b及び一対の短辺3c,3dを有する
長方形の形状を有する。
【0030】他方、誘電体基板2の上面には、全面にグ
ラウンド電極4が形成されており、下面にも全面にグラ
ウンド電極5が形成されている。また、金属膜3には、
入出力結合回路6,7が結合されている。なお、本実施
例では、具体的には、長辺3a,3bに所定距離を隔て
て、入出力結合回路6,7を構成する電極膜が配置され
ている。すなわち、入出力結合回路6,7は、金属膜3
に容量結合されている。なお、金属膜3の異なる部分で
ある限り、入出力結合回路6,7は図示の位置に限定さ
れず、適宜の位置で結合され得る。
【0031】デュアルモード・バンドパスフィルタ1で
は、入出力結合回路6,7の一方とグラウンド電極4,
5との間に入力電圧を印加することにより、入出力結合
回路6,7の他方とグラウンド電極4,5との間で出力
が取り出される。この場合、入出力結合回路6,7が金
属膜3が結合されている点を結ぶ方向に伝播する第1の
共振モードと、該第1の共振モードが伝播する方向と直
交する方向に伝播する第2の共振モードとが強く励振さ
れる。
【0032】本実施例では、上記長辺3a,3bと短辺
3c,3dとの比を選択することにより、第1,第2の
共振モードが結合され、デュアルモード・バンドパスフ
ィルタとしての特性が得られる。言い換えれば、第1,
第2の共振モードが結合してデュアルモード・バンドパ
スフィルタとしての特性が得られるように、長辺3a,
3bと短辺3c,3dの寸法比が定められている。この
ように、長辺3a,3bと短辺3c,3dとの寸法比を
調整することにより、デュアルモード・バンドパスフィ
ルタとしての特性の得られることを、具体的な実験例に
基づき説明する。
【0033】上記金属膜3の長辺3a,3bの長さM
(図2参照)を16mm、短辺3c,3dの長さW(図
2参照)を15mmとした場合のデュアルモード・バン
ドパスフィルタ1の周波数特性を図3に示す。また、上
記金属膜3の長辺3a,3bの長さを16.5mm、短
辺3c,3dの長さを15mmとした場合の周波数特性
を図4に示す。
【0034】図3及び図4において、実線は反射特性
を、破線は通過特性を示す。図3及び図4から明らかな
ように、第1,第2の共振モードが結合されて、いずれ
の場合においても、矢印Cで示す帯域の得られることが
わかる。
【0035】また、図3及び図4を比較すれば明らかな
ように、長辺3a,3bの長さを変更することにより、
言い換えれば長辺3a,3bと短辺3c,3dの長さの
比を調整することにより、結合度を変化させることがで
き、それによって帯域幅を容易に調整し得ることがわか
る。
【0036】本発明者の実験によれば、上記長方形の金
属膜3を用いた場合、長辺と短辺との長さの比を15.
5/15〜20/15の範囲とすれば、デュアルモード
・バンドパスフィルタとしての特性の得られることが確
かめられている。これを、以下において、具体的な実験
例に基づき説明する。
【0037】短辺3c,3d=15mm一定とし、長辺
3a,3bを15.5,16,17,18,19,20
mmと変化させた時の周波数特性を図5〜図10に示
す。図5〜図10において、実線は反射特性を、破線は
通過特性を示す。なお、入出力結合回路には、0.5p
Fのコンデンサを用いた。図5〜図10から明らかなよ
うに、長辺と短辺の比が15.5/15〜20/15の
範囲でバンドパスフィルタ特性が得られている。また帯
域幅も大きく変化している。従って、好ましくは長辺と
短辺の比は15.5/15〜20/15とすればよい。
【0038】なお、第1の実施例では、誘電体基板2内
に金属膜3が形成されており、誘電体基板2の第1の主
面としての上面2a及び第2の主面としての下面2bに
グラウンド電極4,5が形成されており、トリプレート
構造とされていたが、本発明においては、トリプレート
構造を形成するに際し、グラウンド電極4,5の位置
は、必ずしも第1,第2の主面に限定されるものではな
い。すなわち、誘電体基板2内において、金属膜3に対
して誘電体基板層を介して上下に対向し得るように配置
される限り、グラウンド電極4,5は誘電体基板内に形
成されていてもよい。
【0039】また、本実施例では、金属膜3の上下にグ
ラウンド電極4,5が配置されてトリプレート構造が構
成されていたが、金属膜3の上方または下方にのみグラ
ウンド電極が配置されている構造であってもよい。
【0040】(第2の実施例)図11は、本発明の第2
の実施例にかかるデュアルモード・バンドパスフィルタ
を示す模式的斜視図であり、図12は第2の実施例にお
ける金属膜を示す略図的平面図である。デュアルモード
・バンドパスフィルタ11では、金属膜13が、菱形の
平面形状を有すること、並びに誘電体基板12の上面に
金属膜3が形成されており、トリプレート構造を有しな
いことを除いては、第1の実施例のデュアルモード・バ
ンドパスフィルタ1と同様に構成されている。従って、
同一部分については、同一の参照番号を付することによ
り、詳細な説明は省略する。
【0041】本実施例においては、菱形の平面形状を有
する金属膜13の菱形の形状が第1,第2の共振モード
を結合させるように選択されている。すなわち、本発明
において、金属膜の平面形状は、デュアルモード・バン
ドパスフィルタ1の場合のような長方形に限定されるも
のではなく、菱形等の他の形状であってもよい。
【0042】菱形の金属膜13を用いる場合において
も、その平面形状を選択することにより、貫通孔を形成
することなく、第1,第2の共振モードを結合させるこ
とができる。これを具体的な実験例に基づき説明する。
【0043】誘電体基板12として、厚み350μmで
あることを除いては、第1の実施例の誘電体基板2と同
様に構成された誘電体基板12を用意した。金属膜13
として、金属膜13の長い方の対角線の長さL(図12
参照)を21mm、短い方の対角線の長さS(図12参
照)を20mmとした場合のデュアルモード・バンドパ
スフィルタ11の周波数特性を図13に示す。また、金
属膜13の長い方の対角線の長さを21mm、短い方の
対角線の長さを19mmとした場合の周波数特性を図1
4に示す。
【0044】図13及び図14において、実線は反射特
性を、破線は通過特性を示す。図13及び図14から明
らかなように、いずれの場合においても、第1,第2の
共振モードが結合されて、デュアルモード・バンドパス
フィルタとしてのフィルタ特性の得られることがわか
る。
【0045】また、上記のように短い方の対角線の長さ
を変更することにより、言い換えれば長い方の対角線と
短い方の対角線の長さの比を調整することにより、帯域
幅を容易に調整し得ることがわかる。
【0046】(第3の実施例)図15は、本発明の第3
の実施例にかかるデュアルモード・バンドパスフィルタ
を示す模式的斜視図であり、図16は、第3の実施例に
おける金属膜の略図的平面図である。デュアルモード・
バンドパスフィルタ21では、金属膜23が、二等辺三
角形の平面形状を有すること、並びに誘電体基板22の
上面に金属膜23が形成されており、トリプレート構造
を有しないことを除いては、第1の実施例のデュアルモ
ード・バンドパスフィルタ1と同様に構成されている。
従って、同一部分については、同一の参照番号を付する
ことにより、詳細な説明は省略する。
【0047】本実施例においては、二等辺三角形の平面
形状を有する金属膜23の該二等辺三角形の形状が第
1,第2の共振モードを結合させるように選択されてい
る。二等辺三角形の金属膜23を用いる場合において
も、その平面形状を選択することにより、貫通孔を形成
することなく、第1,第2の共振モードを結合させるこ
とができる。これを具体的な実験例に基づき説明する。
【0048】誘電体基板22として、厚み350μmで
あることを除いては、第1の実施例の誘電体基板2と同
様に構成された誘電体基板22を用意した。金属膜23
として、二等辺三角形の底辺R(図16参照)の長さを
20mm、高さH(図16参照)の長さを19mmとし
た場合のデュアルモード・バンドパスフィルタ21の周
波数特性を図17に示す。また、金属膜23の底辺Rの
長さを20mm、高さHを18mmとした場合の周波数
特性を図18に示す。
【0049】図17及び図18において、実線は反射特
性を、破線は通過特性を示す。図17及び図18から明
らかなように、いずれの場合においても、第1,第2の
共振モードが結合されて、デュアルモード・バンドパス
フィルタとしてのフィルタ特性の得られることがわか
る。
【0050】また、上記のように高さHを変更すること
により、言い換えれば底辺Rと高さHの比を調整するこ
とにより、帯域幅を容易に調整し得ることがわかる。
【0051】次に本発明のデュアルモード・バンドパス
フィルタをデュプレクサ及び無線通信装置に用いた場合
について、図19を用いて説明する。
【0052】図19は、デュアルモード・バンドパスフ
ィルタを用いたデュプレクサDPX、及びそれを用いた
無線通信装置300の要部の一実施例を示すブロック図
である。図19に示されているように、本実施例のデュ
プレクサDPXは、本発明のデュアルモード・バンドパ
スフィルタBPF1,BPF2を2つ接続して構成され
ており、かつ3つのポートP1,P2,P3を備える。
【0053】デュプレクサDPXのポートP1は、BP
F1の一端に形成され、送信部TXに接続されている。
また、デュプレクサDPXのポートP2は、BPF2の
一端に形成され、受信部RXに接続されている。さら
に、デュプレクサDPXのポートP3は、BPF1の他
端及びBPF2の他端に接続されており、かつアンテナ
ANTに接続されている。
【0054】以上のように構成することにより、本発明
のデュアルモード・バンドパスフィルタをデュプレクサ
として用いることができる。従って設計の自由度が高
く、所望とする帯域幅を容易に得ることができるデュプ
レクサを得ることができる。
【0055】また、以上のように、本発明のデュアルモ
ード・バンドパスフィルタ及びデュプレクサを無線通信
装置に用いることで、通信品質に優れた無線通信装置を
容易に得ることができる。
【0056】
【発明の効果】以上のように、本発明にかかるデュアル
モード・バンドパスフィルタでは、誘電体基板のある高
さ位置に部分的に形成された金属膜に、入出力結合回路
から入力が加わると、第1,第2の共振モードが生じる
が、金属膜の形状が、第1,第2の共振モードが結合す
るように選択されているので、デュアルモード・バンド
パスフィルタとしての特性を得ることができる。すなわ
ち、第1の発明では、長方形の金属膜が用いられ、該長
方形の金属膜の長辺と短辺との比率が、第1,第2の共
振モードが結合するように選択されているので、デュア
ルモード・バンドパスフィルタとしての特性を得ること
ができる。
【0057】同様に、第2の発明では、菱形の金属膜が
用いられ、第1,第2の共振モードが結合するように菱
形の形状が選択されており、第3の発明では、第1,第
2の共振モードが結合するように二等辺三角形の金属膜
の該二等辺三角形の形状が選択されているので、デュア
ルモード・バンドパスフィルタとしての特性を得ること
ができる。
【0058】また、本発明では、上記長方形、菱形また
は二等辺三角形等の形状を選択することにより、帯域幅
も容易に調整することができる。加えて、本発明にかか
るデュアルモード・バンドパスフィルタでは、誘電体基
板に共振器を構成するための金属膜を形成し、該金属膜
の形状を選択するだけで、2つの共振モードを結合させ
てデュアルモード・バンドパスフィルタとしての特性を
得ることができる。従って、従来のデュアルモード・バ
ンドパスフィルタでは、共振器を構成する金属膜の形状
に制約があったり、入出力結合回路の結合点の位置に制
約があったのに対し、本発明にかかるデュアルモード・
バンドパスフィルタでは、このような制約が緩和される
ため、デュアルモード・バンドパスフィルタの設計の自
由度を大幅に高めることができる。
【0059】しかも、上記金属膜の形状を選択するだけ
で第1,第2の共振モードを結合することができる。従
って、金属膜に貫通孔を形成する必要がなく、かつ先端
開放スタブや欠落部分を設ける必要もない。
【0060】よって、所望とする帯域幅のデュアルモー
ド・バンドパスフィルタを容易に提供することが可能と
なる。
【0061】本発明にかかるデュプレクサ及び無線通信
装置は、本発明に従って構成されたデュアルモード・バ
ンドパスフィルタを帯域フィルタとして備えるため、低
損失化を果たすことができ、かつ特性の調整が容易であ
り、かつ良好な通信特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a),(b)は、第1の実施例のデュアルモ
ード・バンドパスフィルタにおいて上方の誘電体基板層
を省略した模式的斜視図、及び第1の実施例のデュアル
モード・バンドパスフィルタの正面断面図。
【図2】第1の実施例のデュアルモード・バンドパスフ
ィルタの金属膜の形状を説明するための略図的平面図。
【図3】第1の実施例で得られた第1の例のデュアルモ
ード・バンドパスフィルタの周波数特性を示す図。
【図4】第1の実施例で得られた第2の例のデュアルモ
ード・バンドパスフィルタの周波数特性を示す図。
【図5】第1の実施例のデュアルモード・バンドパスフ
ィルタにおいて、金属膜の長辺と短辺との比が15.5
/15である場合の周波数特性を示す図。
【図6】第1の実施例のデュアルモード・バンドパスフ
ィルタにおいて、金属膜の長辺と短辺との比が16/1
5である場合の周波数特性を示す図。
【図7】第1の実施例のデュアルモード・バンドパスフ
ィルタにおいて、金属膜の長辺と短辺との比が17/1
5である場合の周波数特性を示す図。
【図8】第1の実施例のデュアルモード・バンドパスフ
ィルタにおいて、金属膜の長辺と短辺との比が18/1
5である場合の周波数特性を示す図。
【図9】第1の実施例のデュアルモード・バンドパスフ
ィルタにおいて、金属膜の長辺と短辺との比が19/1
5である場合の周波数特性を示す図。
【図10】第1の実施例のデュアルモード・バンドパス
フィルタにおいて、金属膜の長辺と短辺との比が20/
15である場合の周波数特性を示す図。
【図11】第2の実施例のデュアルモード・バンドパス
フィルタの要部を示す模式的斜視図。
【図12】第2の実施例のデュアルモード・バンドパス
フィルタの金属膜の形状を説明するための略図的平面
図。
【図13】第2の実施例で得られた第1の例のデュアル
モード・バンドパスフィルタの周波数特性を示す図。
【図14】第2の実施例で得られた第2の例のデュアル
モード・バンドパスフィルタの周波数特性を示す図。
【図15】第3の実施例のデュアルモード・バンドパス
フィルタの要部を示す模式的斜視図。
【図16】第3の実施例のデュアルモード・バンドパス
フィルタの金属膜の形状を説明するための略図的平面
図。
【図17】第3の実施例で得られた第1の例のデュアル
モード・バンドパスフィルタの周波数特性を示す図。
【図18】第3の実施例で得られた第2の例のデュアル
モード・バンドパスフィルタの周波数特性を示す図。
【図19】本発明に従って構成されたデュアルモード・
バンドパスフィルタを有するデュプレクサ、並びに該デ
ュプレクサが備えられた無線通信装置の概略ブロック
図。
【図20】従来のデュアルモード・バンドパスフィルタ
の一例を示す模式的平面図。
【図21】従来のデュアルモード・バンドパスフィルタ
の他の例を示す模式的平面図。
【図22】従来のデュアルモード・バンドパスフィルタ
のさらに他の例を示す模式的平面図。
【符号の説明】
1…デュアルモード・バンドパスフィルタ 2…誘電体基板 2a…上面(第1の主面) 2b…下面(第2の主面) 3…金属膜 4…グラウンド電極 5…グラウンド電極 6,7…入出力結合回路 11…デュアルモード・バンドパスフィルタ 12…誘電体基板 13…金属膜 21…デュアルモード・バンドパスフィルタ 22…誘電体基板 23…金属膜
フロントページの続き (72)発明者 溝口 直樹 京都府長岡京市天神二丁目26番10号 株式 会社村田製作所内 Fターム(参考) 5J006 HB03 HB04 HB15 HC14 JA01 LA05 NA04

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1,第2の主面を有する誘電体基板
    と、 前記誘電体基板の第1の主面または誘電体基板のある高
    さ位置において部分的に形成されており、第1,第2の
    共振モードを発生させるための金属膜とを備え、該金属
    膜の平面形状は長方形であり、かつ第1,第2の共振モ
    ードが結合するように長方形の長辺と短辺との比率が選
    択されており、 前記金属膜と誘電体基板層を介して対向するように、誘
    電体基板の第2の主面または誘電体基板内に形成された
    少なくとも1つのグラウンド電極と、 前記金属膜に異なる部分で結合された一対の入出力結合
    回路とをさらに備えることを特徴とする、デュアルモー
    ド・バンドパスフィルタ。
  2. 【請求項2】 第1,第2の主面を有する誘電体基板
    と、 前記誘電体基板の第1の主面または誘電体基板のある高
    さ位置において部分的に形成されており、第1,第2の
    共振モードを発生させるための金属膜とを備え、該金属
    膜が菱形の平面形状を有し、かつ第1,第2の共振モー
    ドを結合させるように菱形の形状が選択されており、 前記金属膜と誘電体基板層を介して対向するように、誘
    電体基板の第2の主面または誘電体基板内に形成された
    少なくとも1つのグラウンド電極と、 前記金属膜に異なる部分で結合された一対の入出力結合
    回路とをさらに備えることを特徴とする、デュアルモー
    ド・バンドパスフィルタ。
  3. 【請求項3】 第1,第2の主面を有する誘電体基板
    と、 前記誘電体基板の第1の主面または誘電体基板のある高
    さ位置において部分的に形成されており、第1,第2の
    共振モードを発生させるための金属膜とを備え、該金属
    膜が二等辺三角形の平面形状を有し、前記第1,第2の
    共振モードが結合されるように二等辺三角形形状が選択
    されており、 前記金属膜と誘電体基板層を介して対向するように、誘
    電体基板の第2の主面または誘電体基板内に形成された
    少なくとも1つのグラウンド電極と、 前記金属膜に異なる部分で結合された一対の入出力結合
    回路とをさらに備えることを特徴とする、デュアルモー
    ド・バンドパスフィルタ。
  4. 【請求項4】 前記誘電体基板の第1の主面に前記金属
    膜が形成されており、第2の主面にグラウンド電極が形
    成されている、請求項1〜3のいずれかに記載のデュア
    ルモード・バンドパスフィルタ。
  5. 【請求項5】 前記金属膜が、誘電体基板内のある高さ
    位置に形成されており、該金属膜に対して誘電体基板層
    を介して対向するように上下にグラウンド電極が形成さ
    れており、それによってトリプレート構造とされてい
    る、請求項1〜3のいずれかに記載のデュアルモード・
    バンドパスフィルタ。
  6. 【請求項6】 前記グラウンド電極が、誘電体基板の第
    1、第2の主面に形成されている、請求項5に記載のデ
    ュアルモード・バンドパスフィルタ。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5のいずれかに記載のデュア
    ルモード・バンドパスフィルタを備えることを特徴とす
    る、デュプレクサ。
  8. 【請求項8】 請求項1〜5のいずれかに記載のデュア
    ルモード・バンドパスフィルタを帯域フィルタとして備
    えることを特徴とする、無線通信装置。
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