JP2001284132A - 磁気コア - Google Patents

磁気コア

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JP2001284132A
JP2001284132A JP2000101789A JP2000101789A JP2001284132A JP 2001284132 A JP2001284132 A JP 2001284132A JP 2000101789 A JP2000101789 A JP 2000101789A JP 2000101789 A JP2000101789 A JP 2000101789A JP 2001284132 A JP2001284132 A JP 2001284132A
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magnetic core
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JP2000101789A
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栄▲吉▼ ▲吉▼田
Eikichi Yoshida
Koji Kamei
浩二 亀井
Hiroshi Nakano
浩 仲野
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Tokin Corp
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Tokin Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電気ケーブルから漏洩する、比較的低い周波
数の高周波電流ばかりでなく、比較的高い周波数の高周
波電流をも抑制すること。 【解決手段】 磁気コア(10)は、一対の割りコア
(10−1、10−2)から成り、これら一対の割りコ
アを合わせた断面形状は、環状をしている。割りコア
(10−1、10−2)の各々は内周面(10−1a、
10−2a)を有する。このような構造の磁気コア(1
0)において、内周面(10−1a、10−2a)に、
それぞれ、磁気損失膜(15−1、15−2)を形成し
ている。また、磁気損失膜としては、グラニュラー磁性
薄膜を使用することができる。グラニュラー磁性薄膜
は、例えば、スパッタ法により形成されたスパッタ膜で
あっても良いし、蒸着法により形成された蒸着膜であっ
ても良い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気コアに関し、
特に、電気ケーブルから漏洩する高周波電流を抑制する
ために、電気ケーブルに装着して使用される割りコアな
どの磁気コアに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、高速動作する高集積な半導体素子
の普及が著しい。その例として,ランダムアクセスメモ
リ(RAM),リードオンリーメモリ(ROM),マイ
クロプロセッサ(MPU),中央演算処理装置(CP
U)又は画像プロセッサ算術論理演算装置(IPAL
U)等の論理回路素子がある。これらの能動素子におい
ては,演算速度や信号処理速度が日進月歩の勢いで高速
化されており、高速電子回路を伝播する電気信号は、電
圧,電流の急激な変化を伴うために,誘導性の高周波ノ
イズの主要因となっている。
【0003】一方,電子部品や電子機器の軽量化,薄型
化,小型化の流れも止まる事を知らぬが如く急速な勢い
で進行している。それに伴い,半導体素子の集積度や、
プリント配線基板への電子部品実装密度の高密度化が著
しい。従って、過密に集積あるいは実装された電子素子
や信号線が、互いに極めて接近することになり,前述し
た信号処理速度の高速化と併わせて、高周波輻射ノイズ
が誘発され易い状況となっている。
【0004】このような高周波輻射ノイズは、上記電子
部品や電子機器から、それに接続された同軸ケーブルな
どの電気ケーブルを介して高周波電流として漏洩するこ
とになる。
【0005】従来、このような漏洩する高周波電流を抑
制するために、電気ケーブルに割りコアなどの磁気コア
を装着することが行われている。そのような磁気コアの
材料としてはフェライトが使用されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たようなフェライトから磁気コアは、比較的低い周波数
(例えば、数十MHz)の高周波電流しか抑制すること
ができず、比較的高い周波数(例えば、1GHz付近)
の高周波電流を抑制することは困難である。
【0007】したがって、本発明の目的は、電気ケーブ
ルから漏洩する、比較的低い周波数の高周波電流ばかり
でなく、比較的高い周波数の高周波電流をも抑制するこ
とが可能な磁気コアを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、以前に高
周波での磁気損失の大きな複合磁性体を発明し、これを
不要輻射源の近傍に配置する事で、上記した半導体素子
や電子回路などから発生する不要輻射を効果的に抑制す
る方法を見出している。この様な磁気損失を利用した不
要輻射減衰の作用機構については、最近の研究から、不
要輻射源となっている電子回路に対して等価的な抵抗成
分が付与されることによることが分かっている。ここ
で、等価的な抵抗成分の大きさは、磁性体の磁気損失項
μ”の大きさに依存している。より詳しくは、電子回路
に等価的に挿入される抵抗成分の大きさは、磁性体の面
積が一定の場合にはμ”と磁性体の厚さに略比例する。
したがって、より小さなあるいはより薄い磁性体で所望
の不要輻射減衰を得るためには、より大きなμ”が必要
になってくる。例えば、半導体素子のモールド内部のよ
うな微小領域において磁気損失体を用いた不要輻射対策
を行う為には、磁気損失項μ”がきわめて大きな値であ
る必要があり、従来の磁気損失材料に比べて格段に大き
なμ”を有する磁性体が求められていた。本発明は、か
かる現状に鑑みてなされたものである。
【0009】また、本発明者らは、スパッタ法あるいは
蒸着法による軟磁性体の研究過程において、微小な磁性
金属粒子が、セラミックスのような非磁性体中に均質に
分散されたグラニュラー磁性体の優れた透磁率特性に着
目し、磁性金属粒子とそれを囲う非磁性体の微細構造を
研究した結果、グラニュラー磁性体中に占める磁性金属
粒子の濃度が特定の範囲にある場合に、高周波領域にお
いて優れた磁気損失特性が得られる事を見出した。M−
X−Y(Mは磁性金属元素、YはOあるいはN,Fのい
づれか、XはM、Y以外の元素)なる組成を有するグラ
ニュラー磁性体については、これまでに多くの研究がな
され、低損失で大きな飽和磁化を有する事が知られてい
る。このM−X−Yグラニュラー磁性体において、飽和
磁化の大きさは、M成分の占める体積率に依存するの
で、大きな飽和磁化を得るためには、M成分の比率を高
くする必要がある。そのため、高周波インダクタ素子あ
るいはトランス等の磁心として用いるような一般的な用
途にはM−X−Yグラニュラー磁性体中のM成分の割合
は、M成分のみからなるバルク金属磁性体の飽和磁化の
おおむね80%以上の飽和磁化が得られる範囲に限られ
ていた。
【0010】本発明者らは、M−X−Y(Mは磁性金属
元素、YはOあるいはN,Fのいづれか、XはM、Y以
外の元素)なる組成を有するグラニュラー磁性体におい
て、M成分の占める割合を広い範囲で検討した結果、い
ずれの組成系でも磁性金属Mが特定濃度の範囲にある場
合に、高周波領域で大きな磁気損失を示すことを見出
し、本発明に至った。
【0011】M成分の比率が、M成分のみからなるバル
ク金属磁性体の飽和磁化に対して80%以上の飽和磁化
を示すような最も高い領域は、従来より盛んに研究され
ている高飽和磁化で低損失なM−X−Yグラニュラー磁
性体の領域である。この領域にある材料は、実数部透磁
率(μ’)と飽和磁化の値が共に大きいため、前述した
高周波インダクタのような高周波マイクロ磁気デバイス
に用いられるが、電気抵抗を左右するX−Y成分の占め
る割合が少ないので、電気抵抗率が小さい。その為に膜
厚が厚くなると高周波領域でのうず電流損失の発生に伴
って高周波での透磁率が劣化するので、ノイズ対策に用
いるような比較的厚い磁性膜には不向きである。M成分
の比率が、M成分のみからなるバルク金属磁性体の飽和
磁化の80%以下で60%以上となる飽和磁化を示す領
域は、電気抵抗率がおおむね100μΩ・cm以上と比
較的大きい為に、材料の厚さが数μm程度あってもうず
電流による損失が少なく、磁気損失はほとんど自然共鳴
による損失となる。その為、磁気損失項μ”の周波数分
散巾が狭くなるので、挟帯域な周波数範囲でのノイズ対
策(高周波電流抑制)に適している。M成分の比率が、
M成分のみからなるバルク金属磁性体の飽和磁化の60
%以下で35%以上の飽和磁化を示す領域は、電気抵抗
率がおおむね500μΩ・cm以上と更に大きいため
に、うず電流による損失は極めて小さく、M成分間の磁
気的な相互作用が小さくなることで、スピンの熱擾乱が
大きくなり自然共鳴の生じる周波数に揺らぎが生じ、そ
の結果、磁気損失項μ”は広い範囲で大きな値を示すよ
うになる。したがって、この組成領域は広帯域な高周波
電流の抑制に適している。
【0012】一方、M成分の比率が本発明の領域よりも
更に小さな領域は、M成分間の磁気的相互作用がほとん
ど生じなくなるので超常磁性となる。
【0013】電子回路の直近に磁気損失材料を配設して
高周波電流を抑制する際の材料設計の目安は、磁気損失
項μ”と磁気損失材料の厚さδの積μ”・δで与えら
れ、数100MHzの周波数の高周波電流に対して効果
的な抑制を得るには、おおむねμ”・δ≧1000(μ
m)が必要となる。したがって、μ”=1000の磁気
損失材料では1μm以上の厚さが必要になり、うず電流
損失の生じ易い低電気抵抗な材料は好ましくなく、電気
抵抗率が100μΩcm以上となるような組成、すなわ
ち本発明の組成系では、M成分の比率が、M成分のみか
らなるバルク金属磁性体の飽和磁化の80%以下となる
飽和磁化を示し、かつ、超常磁性の発現しない領域即
ち、M成分のみからなるバルク金属磁性体の飽和磁化に
対して35%以上の飽和磁化を示す領域が適している。
【0014】本発明は、上述したグラニュラー磁性薄膜
のような磁気損失膜を応用した発明である。ここで、
「グラニュラー磁性薄膜」とは、磁性を担う粒子の大き
さが数nm〜数十nmと極めて小さく、各々の粒子がセ
ラミック成分からなる粒界にて区切られた微細構造を有
し、数十MHz〜数GHzの高周波において非常に大き
な磁気的損失を示す磁性薄膜のことをいい、この技術分
野では「微結晶薄膜」とも呼ばれている。
【0015】すなわち、本発明によれば、内周面を有す
る筒状の磁気コアにおいて、内周面に磁気損失膜を形成
してなる磁気コアが得られる。
【0016】上記磁気コアは、例えば、割りコアであっ
て良い。また、磁気損失膜としては、グラニュラー磁性
薄膜を使用することができる。グラニュラー磁性薄膜
は、例えば、スパッタ法により形成されたスパッタ膜で
あっても良いし、蒸着法により形成された蒸着膜であっ
ても良い。
【0017】
【発明の実施の形態】以下,本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。
【0018】図1を参照して、本発明の一実施の形態に
係る磁気コア10について説明する。図示の磁気コア1
0は、一対の割りコア10−1および10−2から成
り、これら一対の割りコア10−1および10−2を合
わせた断面形状は、環状をしている。割りコア10−1
および10−2の各々は内周面10−1aおよび10−
2aを有する。割りコア10−1および10−2はフェ
ライトから成る。
【0019】このような構造の磁気コア10において、
本発明では、内周面10−1aおよび10−2aに、そ
れぞれ、磁気損失膜15−1および15−2を形成して
いる。
【0020】ここで、磁気損失膜15−1および15−
2としては、本発明者らが既に出願済み(平成12年1
月24日出願の2000年特願第52507号)のグラ
ニュラー磁性薄膜(以下、「先願」と呼ぶ。)を使用す
ることができる。そのようなグラニュラー磁性薄膜は、
先願の明細書中に記載されているように、スパッタ法や
反応性スパッタ法或いは蒸着法を用いて製造することが
できる。換言すれば、グラニュラー磁性薄膜は、スパッ
タ法や反応性スパッタ法により形成されたスパッタ膜で
あっても良いし、或いは、蒸着法により形成された蒸着
膜であっても良い。尚、グラニュラー磁性薄膜を製造す
る場合、実際には、上記スパッタ膜や上記蒸着膜を所定
温度にて所定時間、真空磁場中で熱処理を施している。
【0021】尚、グラニュラー磁性薄膜の詳細な製造方
法については、上記先願に詳しく説明してあるので、そ
れを参照されたい。
【0022】このようにして形成されるグラニュラー磁
性薄膜は、膜厚が薄く(例えば、2.0μm以下)て
も、数十MHz〜数GHzの高周波において非常に大き
な磁気的損失を示すことを、本発明者らは実験で既に確
認している。
【0023】そして、本発明者らは、準マイクロ波帯に
磁気損失項μ”分散を示す本発明に係るグラニュラー磁
性薄膜は、厚さが約500倍の複合磁性体シートと同等
の高周波電流抑制効果を示すことを実験で既に確認して
いる。従って、本発明に係るグラニュラー磁性薄膜は、
1GHzに近い高速クロックで動作するような半導体集
積素子等のEMI対策に用いる材料として有望であると
いえる。
【0024】次に、図2を参照して、磁気損失膜15と
してのグラニュラー磁性薄膜を製造する装置の一例とし
てスパッタリング製造装置について説明する。このスパ
ッタリング製造装置は、真空容器(チャンバ)18と、
このチャンバ18に結合されたガス供給装置22及び真
空ポンプ23とを備える。チャンパ18内では、シャッ
タ21を挟んで基板23とターゲット25とが対向した
配置されている。ターゲット25は、組成分X,Y、或
いは組成分Xから成るチップ24を所定の間隔で配置さ
れた組成分Mから成る。チップ24及びターゲット25
の支持部側には、RF電源26の一端が接続され、RF
電源26の他端は接地されている。
【0025】次に、このような構成のスパッタリング製
造装置を用いて製造されるグラニュラー磁性薄膜(試料
1)の製造例について説明する。
【0026】先ず、ターゲット25となる直径φ=10
0mmのFe製円板上にチップ24となる寸法=縦5m
m×横5mm×厚さ2mmの総計120個のAl23
ップを配備した。そして、真空ポンプ27で真空容器1
8内を真空度約1.33×10-4Paとなるように保っ
た状態で、ガス供給装置22により真空容器18内へA
rガスを供給することにより、真空容器18内をArガ
ス雰囲気にする。この状態において、RF電源26より
高周波の電源を供給する。このような条件下において、
スパッタ法により基板23となるガラス基板上に磁性薄
膜を成膜した。その後、更に得られた磁性薄膜を300
℃の温度条件の真空磁場中で2時間熱処理を施すことに
よって、上述したグラニュラー磁性薄膜による試料1を
得た。
【0027】このようにして得られた試料1を蛍光X線
分析したところ膜の組成は、Fe72Al1117の組成を
有し、膜厚は2.0μm、直流抵抗率は530μΩ・c
mであった。また、試料1の異方性磁界Hkは18(O
e)であり、飽和磁化Msは1.68T(テスラ)であ
った。さらに、試料1の複素透磁率特性上で磁気損失項
μ”にあっても最大値μ”maxに対して50%以上とな
る周波数帯域をその中心周波数で規格化した半幅分相当
の半値巾μ”50は148%であった。また、試料1の飽
和磁化Ms(M−X−Y)と組成分Mのみから成る金属
磁性体の飽和磁化Ms(M)との比率{Ms(M−X−
Y)/Ms(M)}×100%は72.2%であった。
【0028】又、試料1の磁気損失特性を検証するため
に、周波数fに対する透磁率μ特性(μ−f特性)を次
のようにして調べた。すなわち、μ−f特性の測定は、
短冊状に加工した検出コイルに試料1を挿入して、バイ
アス磁場を印加しながらインピーダンスを測定すること
により行った。この結果に基づいて、磁気損失項μ”の
周波数特性(μ”−f特性)を得た。
【0029】図3はこの試料1のμ”−f特性を示す図
である。図3において、横軸は周波数f(MHz)を、
縦軸は磁気損失項μ”をそれぞれ表している。図3か
ら、試料1の磁気損失項μ”は、その分散がやや急峻で
ピーク値が非常に大きくなっており、共鳴周波数も70
0MHz付近と高くなっていることが判る。
【0030】更に、図4に示すような高周波電磁干渉抑
制効果測定装置30を用いて試料1における高周波電磁
干渉抑制効果を検証実験した。但し、高周波電磁干渉抑
制効果測定装置30は、線路長が75mmで特性インピ
ーダンスZc=50Ωのマイクロストリップ線路31の
長手方向の両側にマイクロストリップ線路31と図示し
ないネットワークアナライザ(HP8753D)とを接
続するための同軸線路32を配備した上で、マイクロス
トリップ線路31の試料配置部31aの真上に磁性体試
料33を配置することにより、2ポート間の伝送特性S
21を測定可能なものである。
【0031】この高周波電磁干渉抑制効果測定装置30
の構成のように、伝送路の真近に磁気損失材料を配置し
た伝送路に等価的な抵抗成分を付与することで高周波電
流を抑制する場合において、高周波電流の抑制効果の大
きさは磁気損失項μ”の大きさと磁性体の厚さδとの積
μ”・δにほぼ比例すると考えられる。
【0032】図5は、高周波電流抑制効果測定装置30
により試料磁性体の高周波電流抑制効果を測定した結果
を示す周波数f(MHz)に対する伝送特性S21(d
B)を示したものである。
【0033】図5から、試料1の伝送特性S21は、10
0MHz以上から減少し、2GHz近くで−10dBの
極小値を示した後に増加していることが判る。この結果
により、伝送特性S21が磁性体の磁気損失項μ”の分散
に依存すると共に、抑制効果の大きさが上述した積μ”
・δに依存することが判る。
【0034】ところで、このような試料1のような磁性
体は、図6に示されるように、寸法がlであって、透磁
率μ、誘電率εの分布定数線路として構成されるものと
みなすことができる。この場合、単位長さ(Δl)当た
りの等価回路定数として、直列接続された形態の単位イ
ンダクタンスΔL、単位抵抗ΔR、並びにこれらと接地
線との間に介在される単位静電容量ΔC、単位接地コン
ダクタンスΔGを有する。これらを伝送特性S21に基づ
いて試料寸法に換算した場合、試料1は、等価回路定数
としてインダクタンスL、抵抗R、並びに静電容量C、
接地コンダクタンスGを有する等価回路とみなすことが
できる。
【0035】ここでの高周波電磁干渉の抑制効果での検
討のように、磁性体のマイクロストリップ線路31上に
配置した場合、伝送特性S21の変化は等価回路において
主にインダクタンスLに対して直列に付加される抵抗R
の成分によるものであることから、抵抗Rの値を求めて
その周波数依存性を調べることができる。
【0036】図7は、図5に示した伝送特性S21におい
て、図6に示した等価回路のインダクタンスLに対して
直列に付加される抵抗Rの値に基づいて算出した、周波
数f(MHz)に対する抵抗値R(Ω)の特性を示した
ものである。
【0037】図7から、抵抗値Rは準マイクロ波帯の領
域で単調に増加し、3GHzでは数10Ωとなり、その
周波数依存特性は1GHz付近に極大を持った磁気損失
項μ”の周波数分散とは異なる傾向になっていることが
判る。これは上述した積μ”・δに加えて波長に対する
試料寸法の比率が単調増加することを反映している結果
と考えられる。
【0038】以上の結果から、準マイクロ波帯に磁気損
失項μ”分散を示す試料は、厚さが約500倍の複合磁
性体シートと同等の高周波電流抑制効果を示すため、1
GHzにおける高周波電磁干渉抑制対策へ適用すること
が有効であるといえる。
【0039】前述したように、本実施の形態に係る磁気
コア10は、その内周面に磁気損失膜15−1および1
5−2を形成している。磁気損失膜15−1および15
−2を除く磁気コア10それ自体の磁気損失項μ”は、
比較的低い周波数(例えば、数十MHz)でピークを持
つ周波数特性を有しているのに対して、磁気損失膜それ
自体の磁気損失項μ”は、比較的高い周波数(例えば、
1GHz付近)でピークを持つ周波数特性を有してい
る。したがって、磁気コア10の磁気損失項μ”は、そ
れら2つの特性を合わせた2つのピークを持つ周波数特
性となる。その結果、このような磁気損失項μ”の周波
数特性を持つ磁気コア10を、電気ケーブル(図示せ
ず)に装着することにって、その電気ケーブルから漏洩
した、比較的低い周波数の高周波電流ばかりでなく、比
較的高い周波数の高周波電流をも抑制することできる。
【0040】尚、本発明は上述した実施の形態に限定せ
ず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の変更・
変形が可能なのは勿論である。例えば、本発明の実施の
形態では、グラニュラー磁性薄膜の製造方法としてスパ
ッタ法による製造例のみを示したが、真空蒸着法やイオ
ンビーム蒸着法、ガス・デポジション法などの他の製造
方法でも良く、本発明に係る磁気損失膜が均一に実現で
きる方法であれば、製法に限定されない。
【0041】また、本発明の実施の形態では、成膜後に
真空磁場中での熱処理を施しているが、アズ・デポジシ
ョンの膜で、本発明の性能が得られる組成あるいは成膜
法であれば、実施の形態に記載の成膜後処理に限定され
ない。
【0042】さらに、上述した実施の形態では、磁気コ
ア10として割りコアを例に挙げて説明したが、一体コ
アにも適用可能であるのは勿論である。
【0043】また、上述した実施の形態では、磁気コア
10(割りコア10−1および10−2)の内周面10
−1aおよび10−2aに磁気損失膜15−1および1
5−2を直接形成した場合の例についてのみ説明してい
るが、例えば、磁気損失膜が表面に形成されている粘着
テープを、磁気コアの内周面に貼り付けるようにしても
良いのは勿論である。また、上記実施の形態では、磁気
損失膜15−1および15−2がグラニュラー磁性薄膜
である場合を例に挙げて説明したが、それに限定され
ず、数十MHz〜数GHzの高周波において非常に大き
な磁気的損失を示すものであればどのような膜でも良
い。
【0044】さらに、上述した実施の形態では、円筒状
のコアを例に挙げて説明したが、コア形状は角筒状でも
良いのは勿論である。
【0045】
【発明の効果】上述したように、本発明によれば、磁気
コアの内周面に磁気損失膜を形成しているので、スペー
スをとらずに、電気ケーブルの外周に生じる漏洩高周波
電流(比較的低い周波数のものばかりでなく比較的高い
周波数のもの)を効率的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態による磁気コアの一例を
示す概略正面図である。
【図2】スパッタ法による試料作製装置の概略断面図で
ある。
【図3】磁気損失膜としての試料1に係る磁気損失項
μ”の周波数依存性の一例を示す図である。
【図4】磁気損失膜としての試料1からなる高周波電流
抑制体の抑制効果を見るための測定系を示す斜視図であ
る。
【図5】磁気損失膜としての試料1の伝送特性(S21
の周波数特性を示す図である。
【図6】磁気損失膜である磁性体の等価回路を示す図で
ある。
【図7】磁気損失膜としての試料1の伝送特性(S21
より算出した抵抗値Rの周波数特性を示す図である。
【符号の説明】
10 磁気コア 10−1,10−2 割りコア 10−1a,10−2a 内周面 15−1,15−2 磁気損失膜(グラニュラー磁性
薄膜)
フロントページの続き (72)発明者 仲野 浩 宮城県仙台市太白区郡山六丁目7番1号 株式会社トーキン内 Fターム(参考) 5E058 BB19 5E070 AA01 AB01 BA18

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内周面を有する筒状の磁気コアにおい
    て、前記内周面に磁気損失膜を形成してなる磁気コア。
  2. 【請求項2】 前記磁気コアが割りコアである、請求項
    1に記載の磁気コア。
  3. 【請求項3】 前記磁気損失膜がグラニュラー磁性薄膜
    である、請求項1又は請求項2に記載の磁気コア。
  4. 【請求項4】 前記グラニュラー磁性薄膜がスパッタ法
    により形成されたスパッタ膜である、請求項3に記載の
    磁気コア。
  5. 【請求項5】 前記グラニュラー磁性薄膜が蒸着法によ
    り形成された蒸着膜である、請求項3に記載の磁気コ
    ア。
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