JP2001284947A - 高周波電流抑制体を用いたアンテナ - Google Patents

高周波電流抑制体を用いたアンテナ

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JP2001284947A
JP2001284947A JP2000101690A JP2000101690A JP2001284947A JP 2001284947 A JP2001284947 A JP 2001284947A JP 2000101690 A JP2000101690 A JP 2000101690A JP 2000101690 A JP2000101690 A JP 2000101690A JP 2001284947 A JP2001284947 A JP 2001284947A
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antenna
frequency current
current suppressor
magnetic
frequency
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Yuji Ono
裕司 小野
Koji Kamei
浩二 亀井
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Tokin Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アンテナから放射される使用周波数以外の高
調波を除去し、アンテナの放射効率が高められたアンテ
ナを提供すること。 【解決手段】 使用する波長の電磁波を送信及び/又は
受信する導体からなるアンテナエレメント11を備えた
アンテナであって、前記アンテナエレメント11の導体
の一部であって、前記使用波長成分の高調波電流の電流
分布が大きくなる部分に高周波電流抑制体としてグラニ
ュラー磁性膜1,2を備えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,高周波での磁気損
失特性に優れた磁性体を用いたアンテナに関し,詳しく
は,高速動作する能動素子あるいは高周波電子部品およ
び電子機器において問題となる高周波の不要輻射抑制も
しくは吸収に有効である複素透磁率特性に優れた磁気損
失材料からなる高周波電流抑制体を用いたアンテナに関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、高速動作する高集積な半導体素子
の普及が著しい。その例として,ランダムアクセスメモ
リ(RAM),リードオンリーメモリ(ROM),マイ
クロプロセッサ(MPU),中央演算処理装置(CP
U)又は画像プロセッサ算術論理演算装置(IPAL
U)等の論理回路素子がある。これらの能動素子におい
ては,演算速度や信号処理速度が日進月歩の勢いで高速
化されており、高速電子回路を伝播する電気信号は、電
圧,電流の急激な変化を伴うために,誘導性の高周波ノ
イズの主要因となっている。
【0003】一方,電子部品や電子機器の軽量化,薄型
化,小型化の流れも止まる事を知らぬが如く急速な勢い
で進行している。それに伴い,半導体素子の集積度や、
プリント配線基板への電子部品実装密度の高密度化が著
しい。従って、過密に集積あるいは実装された電子素子
や信号線が、互いに極めて接近することになり,前述し
た信号処理速度の高速化と併わせて、高周波輻射ノイズ
が誘発され易い状況となっている。
【0004】このような近年の電子集積素子あるいは配
線基板においては、能動素子への電源供給ラインからの
不要輻射の問題が指摘され、電源ラインにデカップリン
グコンデンサ等の集中定数部品を挿入する等の対策がな
されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、高速化
された電子集積素子あるいは配線基板においては、発生
するノイズが高調波成分を含むために、信号の経路が分
布定数的な振る舞いをするようになり、従来の集中定数
回路を前提にしたノイズ対策が効を発しない状況が生じ
ていた。
【0006】また、高周波を用いたアンテナから放射さ
れる電波には、必ず使用周波数の高調波成分が含まれて
おり、これが、アンテナの高周波の放射効率の低下に繋
がっていた。
【0007】そこで、本発明の技術的課題は、アンテナ
から放射される使用周波数以外の高調波を除去し、アン
テナの放射効率が高められたアンテナを提供することに
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、以前に高
周波での磁気損失の大きな複合磁性体を発明し、これを
不要輻射源の近傍に配置する事で、上記した半導体素子
や電子回路などから発生する不要輻射を効果的に抑制す
る方法を見出している。この様な磁気損失を利用した不
要輻射減衰の作用機構については、最近の研究から、不
要輻射源となっている電子回路に対して等価的な抵抗成
分が付与されることによることが分かっている。ここ
で、等価的な抵抗成分の大きさは、磁性体の磁気損失項
μ”の大きさに依存している。より詳しくは、電子回路
に等価的に挿入される抵抗成分の大きさは、磁性体の面
積が一定の場合にはμ”と磁性体の厚さに略比例する。
したがって、より小さなあるいはより薄い磁性体で所望
の不要輻射減衰を得るためには、より大きなμ”が必要
になってくる。
【0009】例えば、半導体素子のモールド内部のよう
な微小領域において磁気損失体を用いた不要輻射対策を
行う為には、磁気損失項μ”がきわめて大きな値である
必要があり、従来の磁気損失材料に比べて格段に大きな
μ”を有する磁性体が求められていた。
【0010】また、本発明者らは、スパッタ法あるいは
蒸着法による軟磁性体の研究過程において、微小な磁性
金属粒子が、セラミックスのような非磁性体中に均質に
分散されたグラニュラー磁性体の優れた透磁率特性に着
目し、磁性金属粒子とそれを囲う非磁性体の微細構造を
研究した結果、グラニュラー磁性体中に占める磁性金属
粒子の濃度が特定の範囲にある場合に、高周波領域にお
いて優れた磁気損失特性が得られる事を見出した。M−
X−Y(Mは磁性金属元素、YはOあるいはN,Fのい
づれか、XはM、Y以外の元素)なる組成を有するグラ
ニュラー磁性体については、これまでに多くの研究がな
され、低損失で大きな飽和磁化を有する事が知られてい
る。このM−X−Yグラニュラー磁性体において、飽和
磁化の大きさは、M成分の占める体積率に依存するの
で、大きな飽和磁化を得るためには、M成分の比率を高
くする必要がある。そのため、高周波インダクタ素子あ
るいはトランス等の磁心として用いるような一般的な用
途にはM−X−Yグラニュラー磁性体中のM成分の割合
は、M成分のみからなるバルク金属磁性体の飽和磁化の
おおむね80%以上の飽和磁化が得られる範囲に限られ
ていた。
【0011】さらに、本発明者らは、M−X−Y(Mは
磁性金属元素、YはOあるいはN,Fのいづれか、Xは
M、Y以外の元素)なる組成を有するグラニュラー磁性
体において、M成分の占める割合を広い範囲で検討した
結果、いずれの組成系でも磁性金属Mが特定濃度の範囲
にある場合に、高周波領域で大きな磁気損失を示すこと
を見出した。
【0012】ここで、M成分の比率が、M成分のみから
なるバルク金属磁性体の飽和磁化に対して80%以上の
飽和磁化を示すような最も高い領域は、従来より盛んに
研究されている高飽和磁化で低損失なM−X−Yグラニ
ュラー磁性体の領域である。この領域にある材料は、実
数部透磁率(μ’)と飽和磁化の値が共に大きいため、
前述した高周波インダクタのような高周波マイクロ磁気
デバイスに用いられるが、電気抵抗を左右するX−Y成
分の占める割合が少ないので、電気抵抗率が小さい。そ
の為に膜厚が厚くなると高周波領域でのうず電流損失の
発生に伴って高周波での透磁率が劣化するので、ノイズ
対策に用いるような比較的厚い磁性膜には不向きであ
る。M成分の比率が、M成分のみからなるバルク金属磁
性体の飽和磁化の80%以下で60%以上となる飽和磁
化を示す領域は、電気抵抗率がおおむね100μΩ・c
m以上と比較的大きい為に、材料の厚さが数μm程度あ
ってもうず電流による損失が少なく、磁気損失はほとん
ど自然共鳴による損失となる。その為、磁気損失項μ”
の周波数分散幅が狭くなるので、挟帯域な周波数範囲で
のノイズ対策(高周波電流抑制)に適している。M成分
の比率が、M成分のみからなるバルク金属磁性体の飽和
磁化の60%以下で35%以上の飽和磁化を示す領域
は、電気抵抗率がおおむね500μΩ・cm以上と更に
大きいために、うず電流による損失は極めて小さく、M
成分間の磁気的な相互作用が小さくなることで、スピン
の熱擾乱が大きくなり自然共鳴の生じる周波数に揺らぎ
が生じ、その結果、磁気損失項μ”は広い範囲で大きな
値を示すようになる。したがって、この組成領域は広帯
域な高周波電流の抑制に適している。
【0013】一方、M成分の比率が本発明の領域よりも
更に小さな領域は、M成分間の磁気的相互作用がほとん
ど生じなくなるので超常磁性となる。
【0014】電子回路の直近に磁気損失材料を配設して
高周波電流を抑制する際の材料設計の目安は、磁気損失
項μ”と磁気損失材料の厚さδの積μ”・δで与えら
れ、数100MHzの周波数の高周波電流に対して効果
的な抑制を得るには、おおむねμ”・δ≧1000(μ
m)が必要となる。したがって、μ”=1000の磁気
損失材料では1μm以上の厚さが必要になり、うず電流
損失の生じ易い低電気抵抗な材料は好ましくなく、電気
抵抗率が100μΩcm以上となるような組成、すなわ
ち本発明の組成系では、M成分の比率が、M成分のみか
らなるバルク金属磁性体の飽和磁化の80%以下となる
飽和磁化を示し、かつ、超常磁性の発現しない領域即
ち、M成分のみからなるバルク金属磁性体の飽和磁化に
対して35%以上の飽和磁化を示す領域が適している。
【0015】このような現状に鑑み、本発明者らは、ア
ンテナの電磁波放射に関しても、上記グラニュラー磁性
体を用いてその高調波成分等が除去でき、アンテナの放
射効率を高めることができることを見出し本発明をなす
に至ったものである。
【0016】即ち、本発明によれば、使用する波長の電
磁波を送信又は受信する導体からなるアンテナエレメン
トを備えたアンテナであって、前記アンテナエレメント
の導体の一部であって、前記使用波長成分の高調波電流
の電流分布が大きくなる部分に高周波電流抑制体を備え
ていることを特徴とする高周波電流抑制体を用いたアン
テナが得られる。
【0017】また、本発明によれば、前記高周波電流抑
制体を用いたアンテナにおいて、前記高周波電流抑制体
は、一般式M−X−Y(但し、Mは、Fe、Co、Ni
の内の少なくとも一種、YはF,N,Oの内の少なくと
も一種、Xは、MおよびY以外の元素の内の少なくとも
一種)で表される磁気損失材料から実質的になり、前記
磁気損失材料の複素透磁率特性μにおける虚数透磁率で
ある損失項μ”の最大値μ”maxが100MHz〜1
0GHzの周波数範囲に存在すると共に、前記μ”が前
記μ”maxに対し50%以上となる周波数帯域をその
中心周波数で規格化した半値幅μ”50が、200%以
内である挟帯域磁気損失材料からなることを特徴とする
高周波電流抑制体を用いたアンテナが得られる。
【0018】また、本発明によれば、前記高周波電流抑
制体を用いたアンテナにおいて、前記M−X−Y磁性体
の飽和磁化の大きさが,M成分のみからなる金属磁性体
の飽和磁化の80%から60%の範囲に有る事を特徴と
する高周波電流抑制体を用いたアンテナが得られる。
【0019】また、本発明によれば、前記高周波電流抑
制体を用いたアンテナにおいて、前記高周波電流抑制体
は、一般式M−X−Y(但し、MはFe、Co、Niの
内の少なくとも1種、Yは、F,N,Oの内の少なくと
も一種、Xは、MおよびY以外の元素の内の少なくとも
一種)で表される磁気損失材料であって,前記磁気損失
材料の複素透磁率特性μにおける虚数透磁率である損失
項μ”の最大値μ”maxが100MHz〜10GHz
の周波数範囲に存在すると共に、前記μ”が前記μ”m
axに対し50%以上となる周波数帯域をその中心周波
数で規格化した半値巾μ”50が、150%以上である
広帯域磁気損失材料からなることを特徴とする高周波電
流抑制体を用いたアンテナが得られる。
【0020】また、本発明によれば、前記高周波電流抑
制体を用いたアンテナにおいて、前記M−X−Y磁性体
の飽和磁化の大きさが,M成分のみからなる金属磁性体
の飽和磁化の60%から35%の範囲に有ることを特徴
とする高周波電流抑制体を用いたアンテナが得られる。
【0021】また、本発明によれば、前記いずれかの高
周波電流抑制体を用いたアンテナにおいて、前記磁気損
失材料は、直流電気抵抗率が100μΩ・cm乃至70
0μΩ・cmの範囲にあることを特徴とする高周波電流
抑制体を用いたアンテナが得られる。
【0022】また、本発明によれば、前記いずれかの高
周波電流抑制体を用いたアンテナにおいて、前記磁気損
失材料は、直流電気抵抗率が500μΩ・cmよりも大
きい値であることを特徴とする高周波電流抑制体を用い
たアンテナが得られる。
【0023】また、本発明によれば、前記いずれかの高
周波電流抑制体を用いたアンテナにおいて、前記磁気損
失材料は、X成分が、C、B、Si、Al、Mg、T
i、Zn、Hf、Sr、Nb、Ta、及び希土類元素の
内の少なくとも一種からなることを特徴とする高周波電
流抑制体を用いたアンテナが得られる。
【0024】また、本発明によれば、前記いずれかの高
周波電流抑制体を用いたアンテナにおいて、前記磁気損
失材料は、前記Mが前記X−Y化合物のマトリックス中
に分散されたグラニュラー状の形態で存在する事を特徴
とする高周波電流抑制体を用いたアンテナが得られる。
【0025】また、本発明によれば、前記いずれかの高
周波電流抑制体を用いたアンテナにおいて、前記グラニ
ュラー状の形態を有する粒子Mの平均粒子径が、1〜4
0nmの範囲内にある事を特徴とする高周波電流抑制体
を用いたアンテナが得られる。
【0026】また、本発明によれば、前記いずれかの高
周波電流抑制体を用いたアンテナにおいて、前記磁気損
失材料は、異方性磁界Hkが47.4(kA/m)以下
である事を特徴とする高周波電流抑制体を用いたアンテ
ナが得られる。
【0027】また、本発明によれば、前記いずれかの高
周波電流抑制体を用いたアンテナにおいて、前記磁気損
失材料は、一般式Feα−Alβ−Oγで表されること
を特徴とする高周波電流抑制体を用いたアンテナが得ら
れる。
【0028】また、本発明によれば、前記いずれかの高
周波電流抑制体を用いたアンテナにおいて、前記磁気損
失材料は、一般式Feα−Siβ−Oγで表されること
を特徴とする高周波電流抑制体を用いたアンテナが得ら
れる。
【0029】また、本発明によれば、前記いずれかの高
周波電流抑制体を用いたアンテナにおいて、前記磁気損
失材料は、スパッタ法及び蒸着法の内のいずれかにより
作製された薄膜磁性体からなることを特徴とする高周波
電流抑制体を用いたアンテナが得られる。
【0030】
【発明の実施の形態】以下,本発明の実施の形態につい
て、図面を参照して説明する。
【0031】図1は本発明の第1の実施の形態によるア
ンテナの要部を示す正面図である。図1を参照すると、
モノポール(mono−pole)型のアンテナ10
は、一端が給電部12に接続されたロッドアンテナであ
る。この種のアンテナ10は、通常使用周波数における
波長λの4分の1、即ち、λ/4の長さを有し、基本モ
ードで使用されている。ここで、アンテナ10の放射電
波又は入射電波として送受可能なのは、基本モード以外
の高調波成分も含まれる。
【0032】例えば、図1において、波長3λ/4の高
調波に対するアンテナ10上の電流分布(電流の絶対値
│I│)は、図の破線13で示されている。
【0033】本発明の第1の実施の形態においては、ア
ンテナ10上の高調波成分の電流が最大となるところ
に、スパッタ法によって、Feα−Alβ−Oγからな
るグラニュラー磁性薄膜1を形成することによって、高
調波成分の電流を抑制することができる。
【0034】従って、アンテナ10から放射する不要
(高次)モードの抑制や、給電部に前記磁性薄膜のバラ
ン(balun)あるいはその補助的な用途にも適用す
ることができる。尚、上記第1の実施の形態において、
グラニュラー磁性薄膜として、Feα−Alβ−Oγ
用いたが、本発明においては、一般式M−X−Yで示さ
れる磁性体を用いれば良く、上記第1の実施の形態に限
定されるものではない。
【0035】図2(a)は本発明の第2の実施の形態に
よるアンテナの要部を示す斜視図、図2(b)は図2
(a)の断面図である。図2(a)及び(b)に示すよ
うに、アンテナ20は、逆F型アンテナと呼ばれるタイ
プであり、地板14と、地板14に一端を接する逆L字
形のパッチ16と、この地板14を貫通して、その先端
部15aがパッチ16下面にの入力インピーダンスの整
合する位置に同軸ケーブル15を備えているものなどが
ある。
【0036】この種のアンテナ20においては、パッチ
16の長さが通常の使用周波数の略λ/4波長となるよ
うに構成されており、アンテナ20に励振される基本モ
ードにおいて使用される場合が多い。
【0037】この場合にも、アンテナ20の放射電波又
は入射電波として送受可能なのは、基本モード以外の高
調波成分も含まれる。
【0038】例えば、図2において、波長3λ/4の使
用電波以外の高調波に対するアンテナ20上の電流分布
(絶対値│I│)は、図の細線17で示されている。
【0039】本発明の第2の実施の形態においては、ア
ンテナ20上の高調波成分の電流が最大となるところを
横断するように、スパッタ法によってFeα−Alβ
γからなるグラニュラー磁性薄膜の帯3を形成したも
のを用いることによって、高調波成分の電流を抑制する
ことができる。
【0040】従って、本発明の第2の実施の形態におい
ては、アンテナ20から放射する不要(高次)モードの
抑制や、給電部に前記磁性薄膜を用いれば、バランある
いはその補助的な用途にも適用することができる。尚、
上記第1の実施の形態において、グラニュラー磁性薄膜
として、Feα−Alβ−Oγを用いたが、本発明にお
いては、一般式M−X−Yで示される磁性体を用いれば
良く、上記第2の実施の形態に限定されるものではな
い。
【0041】次に、本発明によるグラニュラー状磁性体
M−X−Yの構造と、その製造方法の具体例について、
図3を参照して説明する。
【0042】図3は本発明の実施の形態によるスパッタ
装置の構成を示す図である。図3に示すように、スパッ
タ装置30は、真空ポンプ27によって排気可能な真空
チャンバー21内に、ターゲット試料台22及び基板2
3とを設けている。ターゲット試料台22は外部からの
RF電源24に接続されている。ターゲット試料台上に
は、ターゲット25とその上に載せられたチップ26と
を有している。ターゲット試料台22と基板23との間
には、基板を覆うように、シャッタ28が設けられてい
る。尚、符号29はチャンバー内にガスを供給するため
のガス供給部である。
【0043】(試料1)図3に示すように、グラニュラ
ー磁性薄膜を、下記表1に示す条件にてスパッタ法でガ
ラス基板23上に作製した。得られたスパッタ膜を30
0℃にて2時間真空磁場中熱処理を施し、試料1を得
た。
【0044】得られた試料1を蛍光X線分析分析したと
ころ膜の組成は、Fe72Al1117であった。
【0045】また、試料1の膜厚は2.0μm、直流抵
抗率は、530μΩ・cm、Hkは18Oe(1.42
2kA/m)であり、Msは16800Gauss
(1.68T)、中心周波数で規格化したμ”の半値幅
であるμ”50は148%であった。試料1の飽和磁化
とM成分のみからなる金属磁性体の飽和磁化の比率の値
は、72.2%であった。
【0046】
【表1】
【0047】試料の磁気損失特性を検証するためにμ−
f特性を調べた。μ−f特性の測定は、短冊状に加工し
た検出コイルに挿入して、バイアス磁場を印加しながら
インピーダンスを測定することにより行い、磁気損失項
μ”の周波数特性を得た。
【0048】(比較試料1)Alチップの数を9
0個とした以外は試料1と同様な条件、方法にて比較試
料1を得た。
【0049】得られた比較試料1を蛍光X線分析分析し
たところ膜の組成は、Fe86Al であった。ま
た、試料膜厚は1.2μm、比較試料1の直流抵抗率は
74μΩ・cm、異方性磁界Hkは22Oe(1.73
8kA/m)であり、Msは18800Gauss
(1.88T)であった。比較試料1の飽和磁化とM成
分のみからなる金属磁性体の飽和磁化の比率{Ms(M
−X−Y)/Ms(M)}×100の値は、85.7%
であった。
【0050】図4は本発明の試料1のμ”−f特性を示
す図である。図4を参照すると、そのピークは非常に大
きく、また、分散も急峻になっており、共鳴周波数も7
00MHz付近と高くなっていることがわかる。
【0051】図5は、比較試料1のμ”−f特性を示す
図である。図5を参照すると、比較試料1は、飽和磁化
Msが大きいことを反映して大きなμ”を示している
が、試料の抵抗値が低い為に周波数の上昇と共に渦電流
損失が発生し、そのために低周波数領域から透磁率(磁
気損失特性)の劣化が生じており、高周波での透磁率特
性が悪くなっていることが分かる。
【0052】これらの結果より、本発明の試料1の磁性
体は、高周波領域において非常に大きな磁気損失特性を
示すことがわかる。
【0053】尚、以上延べたグラニュラー磁性膜は、F
86Alについてのみであるが、本発明のグラ
ニュラー磁性薄膜は、他に一般式M−X−Y磁性体の成
分が、MがNi,Fe,Co,X成分がC,B,Si,
Al,Mg,Ti,Zn,Hf,Sr,Nb,Taある
いは希土類もしくは、それらに混在物、Y成分がF,
N,Oのいずれか、もしくはそれらの混在物であって
も、同様な効果を得ることができることは明らかであ
る。
【0054】また、成膜方法に関しては、上記実施の形
態においては、スパッタ法を用いたがその他にも蒸着法
等も適用でき、さらに、イオンビーム蒸着法やガス・デ
ポジション法などの製造方法でも良く、本発明の磁気損
失材料が均一に実現できる方法であれば、製法に限定さ
れない。
【0055】また、本発明の実施の形態においては、モ
ノポール型アンテナ及び逆F型アンテナについて述べた
が、本発明は、アンテナエレメントを備えた高周波用の
アンテナであるならば、これらに限定されるものではな
く、また、アンテナエレメントの一部としても用いるこ
とが可能である。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
アンテナ素子のような高周波に置いて用いられる不要電
磁波の除去に極めて有効な高周波磁気損失特性に優れた
磁性薄膜を有するアンテナを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるアンテナを示
す図である。
【図2】(a)は本発明の第2の実施の形態によるアン
テナの要部を示す斜視図である。(b)は図2(a)の
断面図である。
【図3】本発明の実施の形態によるスパッタ装置の概略
構成を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態による試料1のμ”の周波
数依存性例を示す図である。
【図5】比較試料1にかかるμ”の周波数依存性の例を
示す図である。
【符号の説明】
1,3 グラニュラー磁性膜 10,20 アンテナ 11 アンテナエレメント 12 グランドプレーン 13 高調波の電流分布を示す破線 14 地板 15 同軸ケーブル 15a 先端部 16 パッチ 17 高調波の電流分布を示す破線 21 真空チャンバー 22 ターゲット試料台 23 基板 24 RF電源 25 ターゲット 26 チップ 27 真空ポンプ 28 シャッター 29 ガス供給部 30 スパッタ装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5E049 AA01 AA04 AA07 AA09 AC00 BA11 5J045 AA05 AA27 DA08 HA06 MA04 NA01

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 使用する波長の電磁波を送信及び/又は
    受信する導体からなるアンテナエレメントを備えたアン
    テナであって、前記アンテナエレメントの導体の一部で
    あって、前記使用波長とは異なる高調波成分の電流分布
    が大きくなる部分に高周波電流抑制体を備えていること
    を特徴とする高周波電流抑制体を用いたアンテナ。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の高周波電流抑制体を用い
    たアンテナにおいて、前記高周波電流抑制体は、一般式
    M−X−Y(但し、Mは、Fe、Co、Niの内の少な
    くとも一種、YはF,N,Oの内の少なくとも一種、X
    は、MおよびY以外の元素の内の少なくとも一種)で表
    される磁気損失材料から実質的になり、前記磁気損失材
    料の複素透磁率特性μにおける虚数透磁率である損失項
    μ”の最大値μ”maxが100MHz〜10GHzの
    周波数範囲に存在すると共に、前記μ”が前記μ”ma
    xに対し50%以上となる周波数帯域をその中心周波数
    で規格化した半値幅μ”50が、200%以内である挟
    帯域磁気損失材料からなることを特徴とする高周波電流
    抑制体を用いたアンテナ。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の高周波電流抑制体を用い
    たアンテナにおいて、前記M−X−Y磁性体の飽和磁化
    の大きさが,M成分のみからなる金属磁性体の飽和磁化
    の80%から60%の範囲に有る事を特徴とする高周波
    電流抑制体を用いたアンテナ。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の高周波電流抑制体を用い
    たアンテナにおいて、前記高周波電流抑制体は、一般式
    M−X−Y(但し、MはFe、Co、Niの内の少なく
    とも1種、Yは、F,N,Oの内の少なくとも一種、X
    は、MおよびY以外の元素の内の少なくとも一種)で表
    される磁気損失材料であって,前記磁気損失材料の複素
    透磁率特性μにおける虚数透磁率である損失項μ”の最
    大値μ”maxが100MHz〜10GHzの周波数範
    囲に存在すると共に、前記μ”が前記μ”maxに対し
    50%以上となる周波数帯域をその中心周波数で規格化
    した半値巾μ”50が、150%以上である広帯域磁気
    損失材料からなることを特徴とする高周波電流抑制体を
    用いたアンテナ。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の高周波電流抑制体を用い
    たアンテナにおいて、前記M−X−Y磁性体の飽和磁化
    の大きさが,M成分のみからなる金属磁性体の飽和磁化
    の60%から35%の範囲に有ることを特徴とする高周
    波電流抑制体を用いたアンテナ。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至3の内のいずれかに記載の
    高周波電流抑制体を用いたアンテナにおいて、前記磁気
    損失材料は、直流電気抵抗率が100μΩ・cm乃至7
    00μΩ・cmの範囲にあることを特徴とする高周波電
    流抑制体を用いたアンテナ。
  7. 【請求項7】 請求項4又は5記載の高周波電流抑制体
    を用いたアンテナにおいて、前記磁気損失材料は、直流
    電気抵抗率が500μΩ・cmよりも大きい値であるこ
    とを特徴とする高周波電流抑制体を用いたアンテナ。
  8. 【請求項8】 請求項2乃至7の内のいずれかに記載の
    高周波電流抑制体を用いたアンテナにおいて、前記磁気
    損失材料は、X成分が、C、B、Si、Al、Mg、T
    i、Zn、Hf、Sr、Nb、Ta、及び希土類元素の
    内の少なくとも一種からなることを特徴とする高周波電
    流抑制体を用いたアンテナ。
  9. 【請求項9】 請求項2乃至8の内のいずれかに記載の
    高周波電流抑制体を用いたアンテナにおいて、前記磁気
    損失材料は、前記Mが前記X−Y化合物のマトリックス
    中に分散されたグラニュラー状の形態で存在する事を特
    徴とする高周波電流抑制体を用いたアンテナ。
  10. 【請求項10】 請求項2乃至9の内のいずれかに記載
    の高周波電流抑制体を用いたアンテナにおいて、前記グ
    ラニュラー状の形態を有する粒子Mの平均粒子径が、1
    〜40nmの範囲内にある事を特徴とする高周波電流抑
    制体を用いたアンテナ。
  11. 【請求項11】 請求項2乃至10の内のいずれかに記
    載の高周波電流抑制体を用いたアンテナにおいて、前記
    磁気損失材料は、異方性磁界Hkが47.4(kA/
    m)以下である事を特徴とする高周波電流抑制体を用い
    たアンテナ。
  12. 【請求項12】 請求項2乃至11の内のいずれかに記
    載の高周波電流抑制体を用いたアンテナにおいて、前記
    磁気損失材料は、一般式Feα−Alβ−O γで表され
    ることを特徴とする高周波電流抑制体を用いたアンテ
    ナ。
  13. 【請求項13】 請求項2乃至11の内のいずれかに記
    載の高周波電流抑制体を用いたアンテナにおいて、前記
    磁気損失材料は、一般式Feα−Siβ−O γで表され
    ることを特徴とする高周波電流抑制体を用いたアンテ
    ナ。
  14. 【請求項14】 請求項2乃至12の内のいずれかに記
    載の高周波電流抑制体を用いたアンテナにおいて、前記
    磁気損失材料は、スパッタ法及び蒸着法の内のいずれか
    により作製された薄膜磁性体からなることを特徴とする
    高周波電流抑制体を用いたアンテナ。
  15. 【請求項15】 請求項1乃至14の内のいずれかに記
    載の高周波電流抑制体を用いたアンテナにおいて、前記
    磁気損失材料は、0.3〜20μmの範囲内の厚さを備
    えている高周波電流抑制体であることを特徴とする高周
    波電流抑制体を用いたアンテナ。
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