JP2001283904A - 非水電解質二次電池 - Google Patents

非水電解質二次電池

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JP2001283904A
JP2001283904A JP2000098040A JP2000098040A JP2001283904A JP 2001283904 A JP2001283904 A JP 2001283904A JP 2000098040 A JP2000098040 A JP 2000098040A JP 2000098040 A JP2000098040 A JP 2000098040A JP 2001283904 A JP2001283904 A JP 2001283904A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温での貯蔵特性、高率放電時の容量保持率
を向上させる。 【解決手段】 非水電解液中にLiPF3(C2F5)3を含ませ
る。上記正極活物質としては、一般式LiXMO2(ただ
し、xは0≦x≦1.1、Mは少なくとも一種以上の遷
移金属元素からなる。)を主体とする化合物、負極活物
質としては、炭素質材料を用いる。非水電解液には環状
カーボネートおよび鎖状カーボネートを用いる。さら
に、LiPF6を添加し、LiPF3(C2F5)3とLiPF6との添加量の
合計を0.8〜1.5mol/Lとし、LiPF6:LiPF3(C
2F5)3=95:5〜10:90となるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非水電解質二次電
池に関し、特に、高温での放置特性や高率放電特性に優
れたものに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、民生用の携帯電話、ポータブル電
子機器や携帯情報端末などの急速な小形軽量化・多様化
に伴い、その電源である電池に対して、小形で軽量かつ
高エネルギー密度で、さらに長期間くり返し充放電が実
現できる二次電池の開発が強く要求されている。これら
の要求を満たす二次電池としてリチウムイオン二次電池
などの非水電解質二次電池が最も有望であり、活発な研
究がおこなわれている。
【0003】非水電解質二次電池の正極活物質として
は、二硫化チタン、五酸化バナジウムおよび三酸化モリ
ブデンなどが検討されてきた。最近では、リチウムイオ
ンを吸蔵・放出する正極物質として、リチウムコバルト
複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物およびスピネ
ル型リチウムマンガン酸化物等の、一般式LiXMO
2(ただし、Mは少なくとも一種以上の遷移金属元素か
らなる。)で表される種々の化合物が検討されている。
【0004】中でも、リチウムコバルト複合酸化物、リ
チウムニッケル複合酸化物およびスピネル型リチウムマ
ンガン酸化物などは、4V(vs.Li/Li+)以上
の極めて貴な電位での充放電が可能な為、これらを正極
活物質として用いることで高い放電電圧を有し、高エネ
ルギー密度の電池を実現できる。
【0005】非水電解質二次電池の負極活物質には、金
属リチウムやリチウムを含む合金をはじめとしてリチウ
ムの吸蔵・放出が可能な炭素材料などの種々のものが検
討されているが、なかでも炭素材料を使用すると、サイ
クル寿命の長い電池が得られ、かつ安全性が高いという
利点がある。非水電解質二次電池の電解液には、電気伝
導率が高く安全性に優れていることや電気的・化学的に
安定であることが要求され、例えば、リチウム二次電池
用の電解液の場合には、リチウム負極に対して安定であ
ることが求められ、例えば、エチレンカーボネートやプ
ロピレンカーボネートなどの高誘電率溶媒とジメチルカ
ーボネートやジエチルカーボネートなどの低粘度溶媒と
の混合系溶媒に、LiPF6やLiBF4等の支持塩を溶
解させたものが使用されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、高率放電時
の容量保持率や高温での貯蔵特性は、非水電解質二次電
池にとっての重要な性質であり、現在もこれらの性能に
ついてのさらなる改善のための努力が行われている。そ
して、これらの性能については、電池の構造や活物質、
電解液等の構成材料によって種々変化させることはでき
るものの、実際にはこれら構造や材料は、電池の形状や
電圧、容量密度といったような他の要求性能によって大
きく制限される為、他の要求性能を満足させながら、さ
らに向上させるということが非常に困難であった。
【0007】しかしながら、本発明者らは、特定のリチ
ウム塩が高温で非常に安定であることを見出し、これを
有機電解液中に添加することにより、非水電解質電池に
おいて他の諸特性を低下させることなく上記性能を向上
させることが可能であることを見出し、本発明を成すに
至った。
【0008】すなわち、本願発明は、高温での貯蔵特性
に優れ、さらに、高率放電時の容量保持率の高い非水電
解質二次電池を提供することを目的とし、特定のリチウ
ム塩を用いることを特徴とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本願発明は、非水電解質
中に化学式PF3(C2F5)3 -で示される陰イオンを有してな
る電解質塩が含まれていることを特徴とする非水電解質
二次電池である。電解質塩を構成する陽イオンとして
は、Li,Na等のアルカリ金属のイオンが好ましく、
特にLiが好ましい。化学式PF3(C2F5)3 -で示される陰
イオンは熱的に安定であり、また、水に対しても安定で
あるため、このような電解質塩を用いることにより、高
温での貯蔵特性に優れた非水電解質二次電池が実現でき
るのである。
【0010】上記電解質塩は、ポリエーテル等のポリマ
ー中に溶解させて非水電解質がいわゆる真性ポリマー電
解質となるようにして用いても良いし、非水溶媒中に溶
解させて非水電解質が非水電解液となるようにして用い
ても良いし、このような非水電解液をポリマーに保持さ
せて非水電解質がいわゆるゲルポリマー電解質となるよ
うにして用いても良い。そして、特に非水溶媒中に溶解
させて用いるのが好ましい。陽イオンとしてLiイオン
を有する化学式LiPF3(C2F5)3で示されるリチウム塩は、
特に非水電解質リチウム二次電池の電解質塩として好ま
しく、これを利用したのが下記本願発明である。
【0011】すなわち、この発明は、リチウムイオンを
吸蔵・放出する物質からなる正極活物質を含む正極と、
リチウムイオンを吸蔵・放出する物質または金属Liま
たはLi合金からなる負極活物質を含む負極と、非水電
解質とを備えた非水電解質リチウム二次電池であって、
前記非水電解質中に化学式LiPF3(C2F5)3で示されるリチ
ウム塩が含まれていることを特徴とする非水電解質二次
電池である。このようなLiPF3(C2F5)3で示されるリチウ
ム塩を含んだことを特徴とする本発明の非水電解質電池
は、高温貯蔵特性が特に良好なものとなる。
【0012】上記本願発明の非水電解質二次電池におい
ては、上記正極活物質として、リチウム遷移金属複合酸
化物を一種または二種以上用いるのが好ましく、上記負
極活物質としては、炭素質材料を用いるのが好ましい。
そして、これら正極活物質と負極活物質とが組み合わさ
れて用いられるのがより好ましい。
【0013】リチウム遷移金属複合酸化物としては、L
XCoO2、LiXNiO2、LiXMnO2、LiXNi
1-aCoa2等に代表される一般式LiXMO2(ただ
し、xは0≦x≦1.1、Mは少なくとも一種以上の遷
移金属元素からなる。)を主体とする化合物やLiX
24(ただし、xは0≦x≦1.1)を主体とする化
合物を用いるのが特に好ましい。
【0014】また、上記本願発明の非水電解質リチウム
二次電池においては、非水電解質が環状カーボネートお
よび鎖状カーボネートを含んでいるのが好ましく、上記
好ましい正極活物質と負極活物質と共に、このような非
水電解質を用いるのがより好ましい。特に、LiPF3(C
2F5)3を含んだ非水電解液中に環状カーボネートおよび
鎖状カーボネートを含んでいるのが良い。
【0015】さらに、上記本願発明の非水電解質リチウ
ム二次電池においては、上記非水電解質が少なくともLi
PF3(C2F5)3で示されるリチウム塩を含んだ非水電解液を
含み、さらに該非水電解液中に化学式LiPF6で示される
リチウム塩が含まれているのが好ましく、この場合、化
学式LiPF6で示されるリチウム塩の非水電解液中の濃度
と上記LiPF3(C2F5)3で示されるリチウム塩の非水電解液
中の濃度との合計を0.8〜1.5mol/Lとし、こ
れらリチウム塩が非水電解液中に含まれるモル数での割
合を、LiPF6:LiPF3(C2F5)3=95:5〜10:90と
なるようにするのがより好ましい。このように、さらに
化学式LiPF6で示されるリチウム塩を含ませることによ
り、高温貯蔵特性のより優れた非水電解質二次電池が得
られるのみならず、高率放電特性の優れた非水電解質二
次電池が得られる。
【0016】そして、上記のようにLiPF3(C2F5)3で示さ
れるリチウム塩に加え、化学式LiPF 6で示されるリチウ
ム塩を含ませる場合において、上記好ましい正極活物
質、負極活物質または上記環状カーボネートおよび鎖状
カーボネートを含んだ非水電解液を用いると、LiPF3(C2
F5)3で示されるリチウム塩を添加する効果がより良く得
られるため好ましく、上記好ましい正極活物質、負極活
物質および上記環状カーボネートおよび鎖状カーボネー
トを含んだ非水電解液をすべて組み合わせて用いるのが
最も好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に、本願発明の実施の形態に
ついて説明する。本発明に係る非水電解質二次電池で用
いられる正極活物質としては、リチウムまたはリチウム
イオンを吸蔵・放出する化合物であればいかなる種類の
化合物も使用可能であるが、特に一般式LiXMO2(た
だし、xは0≦x≦1.1、Mは少なくとも一種以上の
遷移金属元素からなる。)を主体とする化合物やLiX
Mn24(ただし、xは0≦x≦1.1)を主体とする
化合物が好ましく、正極中にはこのような化合物を一
種、または2種以上含ませるのが好ましく、さらに、放
電電圧の大きさという観点から、MはCo、NiおよびMnよ
りなる群から選ばれる少なくとも一種以上の遷移金属元
素からなるようにするのが好ましい。
【0018】本発明に係る非水電解質二次電池で用いら
れる負極活物質としては、コークス類、ガラス状炭素
類、グラファイト類、難黒鉛化性炭素類、熱分解炭素
類、炭素繊維などの炭素質材料、あるいは金属リチウ
ム、リチウム合金、ポリアセン等を単独でまたは二種以
上を混合して使用することができるが、特に、安全性の
高さからも炭素質材料を用いるのが好ましい。
【0019】非水電解液の溶媒としては、エチレンカー
ボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネ
ート、トリフルオロプロピレンカーボネート、γ-ブチ
ロラクトン、スルホラン、1,2-ジメトキシエタン、1,2-
ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2-メチルテト
ラヒドロフラン、3-メチル-1,3-ジオキソラン、酢酸メ
チル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸
エチル、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネー
ト、エチルメチルカーボネート、ジプロピルカーボネー
ト、メチルプロピルカーボネート等の非水溶媒を、単独
でまたはこれらの混合溶媒を使用することができるが、
不可逆容量の減少、高温貯蔵特性、高率放電特性および
電池の安全性の観点から、前記溶媒中の環状カーボネー
トと鎖状カーボネートの混合溶媒がより望ましい。
【0020】非水電解液の溶質としては、上記LiPF3(C2
F5)3で示されるリチウム塩が、単独でまたはLiPF6で示
されるリチウム塩と混合されて用いられるが、これ以外
の溶質が添加されても良い。
【0021】上記非水電解液は、これをこのまま非水電
解質として用いた場合に、本発明の効果が顕著に表れや
すいのであるが、ゲルポリマー固体電解質を構成する非
水電解液として用いても良いし、ポリマー固体電解質や
無機固体電解質と混在させて用いても良い。
【0022】例えば、混在させて用いる場合、非水電解
質二次電池の構成としては、正極、負極およびセパレー
タと有機又は無機の固体電解質と非水電解液(溶媒又は
溶媒及び電解質塩)との組み合わせ、又は正極、負極お
よびセパレータとしての有機又は無機の固体電解質膜と
非水電解液(溶媒又は溶媒及び電解質塩)との組み合わ
せがあげられる。なお、ポリマー電解質膜がポリエチレ
ンオキシド、ポリアクリロニトリル又はポリエチレング
リコールおよびこれらの変成体などの場合には、軽量で
柔軟性があり、巻回極板に使用する場合に有利である。
【0023】
【実施例】[実施例1]正極活物質にコバルト酸リチウ
ム、負極活物質に炭素材料を使用し、角型非水電解質二
次電池を作製した。図1は角型非水電解質二次電池の構
造を示した図である。正極1と、銅集電体に炭素材料を
含んだ負極合剤を塗布してなる負極2とがセパレータ9
を介して巻回された扁平型電極群3と、リチウム塩を含
有した非水電解液とを電池ケース4に収納してなるもの
である。電池ケース4には、安全弁5を設けた電池蓋6
がレーザー溶接によって取り付けられ、負極端子7は負
極リード8を介して負極2と接続され、正極1は電池ケ
ース4の内壁と接触により電気的に接続されている
【0024】正極は以下のようにして作製した。正極活
物質のLiCoO2 90重量部と、導電剤のアセチレンブラッ
ク5重量部と、結着剤のポリフッ化ビニリデン5重量部と
を混合して正極合剤とし、 N-メチル-2-ピロリドンに分
散させることによりペーストを製造した。このペースト
を厚さ20μmのアルミニウム集電体に均一に塗布し、
ロールプレスで圧縮成型することにより正極を作製し
た。
【0025】負極は以下のようにして作製した。リチウ
ムイオンを吸蔵放出する炭素材料90重量部と、ポリフ
ッ化ビニリデン10重量部とを混合し、N−メチル2−
ピロリドンを適宜加えて分散させ、負極合剤スラリーを
調整した。このスラリーを厚さ10μmの銅集電体に均
一に塗布、乾燥させた後、100℃で5時間乾燥させた
後、ロールプレスで圧縮成型することにより負極を作製
した。セパレータとしては、厚さ25μm程度の微多孔
性ポリエチレンフィルムを用いた。これらの正・負極及
びセパレータを巻回して扁平型電極群を作製した。
【0026】非水電解液の溶媒にはエチレンカーボネー
ト(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)を体積比4:6
の割合で混合したものを用い、これに溶質としてLiPF
3(C2F5)3を1.00mol/L溶解したものを非水電解
液として用いて実施例1の角形非水電解質二次電池を作
製した。
【0027】[実施例2]実施例1で用いた非水電解液
において、LiPF3(C2F5)3の添加量を0.80mol/L
とした以外は上記実施例1の非水電解液と同じものを用
い、これ以外は実施例1と同様とした実施例2の角形非
水電解質二次電池を作製した。
【0028】[実施例3]実施例1で用いた非水電解液
において、LiPF3(C2F5)3の添加量を1.50mol/L
とした以外は上記実施例1の非水電解液と同じものを用
い、これ以外は実施例1と同様とした実施例3の角形非
水電解質二次電池を作製した。
【0029】[実施例4]実施例1で用いた非水電解液
において、LiPF3(C2F5)3の添加量を2.00mol/L
とした以外は上記実施例1の非水電解液と同じものを用
い、これ以外は実施例1と同様とした実施例4の角形非
水電解質二次電池を作製した。
【0030】[実施例5]実施例1で用いた非水電解液
において、LiPF3(C2F5)3の添加量を0.50mol/L
とした以外は上記実施例1の非水電解液と同じものを用
い、これ以外は実施例1と同様とした実施例5の角形非
水電解質二次電池を作製した。
【0031】[実施例6]実施例1で用いた非水電解液
において、LiPF3(C2F5)3の添加量を0.50mol/L
とし、さらにLiPF6を0.50mol/L溶解させた以
外は上記実施例1の非水電解液と同じものを用い、これ
以外は実施例1と同様とした実施例6の角形非水電解質
二次電池を作製した。
【0032】[実施例7]実施例1で用いた非水電解液
において、LiPF3(C2F5)3の添加量を0.90mol/L
とし、さらにLiPF6を0.10mol/L溶解させた以
外は上記実施例1の非水電解液と同じものを用い、これ
以外は実施例1と同様とした実施例7の角形非水電解質
二次電池を作製した。
【0033】[実施例8]実施例1で用いた非水電解液
において、LiPF3(C2F5)3の添加量を0.10mol/L
とし、さらにLiPF6を0.90mol/L溶解させた以
外は上記実施例1の非水電解液と同じものを用い、これ
以外は実施例1と同様とした実施例8の角形非水電解質
二次電池を作製した。
【0034】[実施例9]実施例1で用いた非水電解液
において、LiPF3(C2F5)3の添加量を0.05mol/L
とし、さらにLiPF6を0.95mol/L溶解させた以
外は上記実施例1の非水電解液と同じものを用い、これ
以外は実施例1と同様とした実施例9の角形非水電解質
二次電池を作製した。
【0035】[比較例1]実施例1で用いた非水電解液
において、LiPF3(C2F5)3を添加せずに、LiPF6のみを
1.00mol/L溶解させた以外は上記実施例1の非
水電解液と同じものを用い、これ以外は実施例1と同様
とした比較例1の角形非水電解質二次電池を作製した。
【0036】実施例1〜9の電池および比較例1の電池
について、1CA(600mA)の電流で4.2Vまで定
電流・定電圧充電を3時間おこない、その後0.2CA
(1200mA)の定電流で放電し、初期の放電容量と
した。また、前記充電方法にて充電した後、2CAの定
電流で放電したときの放電容量を、0.2CAで放電し
た際の放電容量で除した値を高率放電特性を表す指標
(2C/0.2C)とした。すなわち、この値が大きい
ほど高率放電特性が良好ということになる。高温での貯
蔵特性は、1CA(600mA)の電流で4.2Vまで定
電流・定電圧充電を3時間おこない、80℃の恒温槽中
にて3日間貯蔵した後、0.2CAの電流で放電した際
の放電容量で評価した。上記試験の結果を表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】表1より、化学式LiPF3(C2F5)3で示される
リチウム塩を用いた本願発明に係る電池は、比較例1で
あるLiPF6を用いた従来の電池に比べていずれも電
池の高温貯蔵特性が向上していることが分かる。
【0039】このような効果が得られる理由についての
詳細は不明であるが、化学式LiPF3(C2F5)3で示されるリ
チウム塩を用いると負極表面に良好なSEIが形成さ
れ、このSEIが高温貯蔵時にも安定に存在し、電解液
の連続的な還元分解を抑制することが原因の一つである
と考えられる。
【0040】また、化学式LiPF3(C2F5)3で示されるリチ
ウム塩の濃度が0.5mol/Lと希薄な場合は、高率
放電特性が劣り、2.0mol/Lの濃厚な場合は、高
温貯蔵後の残存容量が1.5mol/Lの添加量の場合
に比べて減少していた。このことから、化学式LiPF3(C2
F5)3で示されるリチウム塩の量は0.8〜1.5mol
/Lがより好ましいことが分かる。本実施例でも示され
るように、本願発明においては、化学式LiPF3(C2F5)3
示されるリチウム塩の非水電解液中の含有量は0.8〜
1.5mol/Lがより好ましい。
【0041】さらに、LiPF6との混合系では、添加
量を5%添加した場合、LiPF6単独の系に比べて著
しく高温貯蔵特性が向上することが分かる。これは、前
述の負極表面に高温貯蔵に対して良好なSEIを形成し
たためと思われる。このように、電気伝導率が高いLi
PF6との組み合わせにより、良好な高率放電特性およ
び高温貯蔵特性が両立し、好ましい電池特性が得られ
る。
【0042】なお実施例および比較例ではEC:EMC
系について記述したが、環状カーボネートと鎖状カーボ
ネートの比率を変化させた場合や、鎖状カーボネートと
してDMCおよびDECを使用した場合にも同様の傾向
が見られた。
【0043】また、本願発明は、例えば上記実施例に示
されるように、正極活物質として一般式LiXMO2(た
だし、Mは少なくとも一種以上の遷移金属元素からな
る。)を主体とする化合物が一種または二種以上用いら
れ、上記負極活物質として炭素質材料が用いられ、非水
電解液が環状カーボネートおよび鎖状カーボネートを含
んでいることを特徴とする非水電解質リチウム二次電池
とした場合に、特に優れた効果を発揮し好ましい。
【0044】
【発明の効果】本願発明によれば、化学式LiPF3(C2F5)3
で示されるリチウム塩を用いることにより主として高温
での貯蔵特性に優れた非水電解質二次電池を得ることが
可能となり、化学式LiPF6で示されるリチウム塩を含ま
せることにより、さらに高率放電時の容量保持率を大き
くすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 角型非水電解質二次電池の構造を示した図で
ある。
【符号の説明】
1:正極 2:負極 9:セパレータ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非水電解質中に化学式PF3(C2F5)3 -で示
    される陰イオンを有してなる電解質塩が含まれているこ
    とを特徴とする非水電解質二次電池。
  2. 【請求項2】 リチウムイオンを吸蔵・放出する物質か
    らなる正極活物質を含む正極と、リチウムイオンを吸蔵
    ・放出する物質または金属LiまたはLi合金からなる
    負極活物質を含む負極と、非水電解液とを備えた非水電
    解質リチウム二次電池であって、前記非水電解質中に化
    学式LiPF3(C2F5)3で示されるリチウム塩が含まれている
    ことを特徴とする非水電解質二次電池。
  3. 【請求項3】 上記正極活物質としてリチウム遷移金属
    複合酸化物が一種または二種以上用いられ、上記負極活
    物質として炭素質材料が用いられていることを特徴とす
    る請求項2記載の非水電解質二次電池。
  4. 【請求項4】 上記非水電解質が環状カーボネートおよ
    び鎖状カーボネートを含んでいることを特徴とする請求
    項2または3記載の非水電解質二次電池。
  5. 【請求項5】 上記非水電解質が少なくとも化学式LiPF
    3(C2F5)3で示されるリチウム塩が含まれた非水電解液を
    含み、該非水電解液中に化学式LiPF6で示されるリチウ
    ム塩が含まれ、該リチウム塩の非水電解液中の濃度と上
    記LiPF3(C2F5)3で示されるリチウム塩の非水電解液中の
    濃度との合計が0.8〜1.5mol/Lであり、これ
    らリチウム塩が非水電解液中に含まれるモル数の割合
    が、LiPF 6:LiPF3(C2F5)3=95:5〜10:90とな
    っていることを特徴とする請求項2、3または4記載の
    非水電解質二次電池。
JP2000098040A 2000-03-31 2000-03-31 非水電解質二次電池 Pending JP2001283904A (ja)

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