JP2001281966A - 接触型帯電器および画像形成装置 - Google Patents

接触型帯電器および画像形成装置

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JP2001281966A
JP2001281966A JP2000098952A JP2000098952A JP2001281966A JP 2001281966 A JP2001281966 A JP 2001281966A JP 2000098952 A JP2000098952 A JP 2000098952A JP 2000098952 A JP2000098952 A JP 2000098952A JP 2001281966 A JP2001281966 A JP 2001281966A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電荷注入速度が速いため感光体に十分な帯電
電圧を与えることができ、かつ湿度等の環境変動に対し
十分な耐性を持ち、しかも長期の使用においては帯電電
位の変動が小さい接触型帯電器を提供する。 【解決手段】 有機感光体100の有機感光層102と
接触し、有機感光体100に電圧を印加することによっ
て該感光体に所定の表面電位を与える接触型帯電器(帯
電ブラシ)110であって、金属芯111に導電性繊維
112が接続し、各々の導電性繊維112にはカーボン
ナノチューブ120が保持され、カーボンナノチューブ
120の表面には、電荷輸送材料121が吸着または化
学結合している構造を持つ。この帯電ブラシ110で
は、電子輸送材料121が有機感光層102と接触す
る。有機感光体100は、ドラム形状のAl基体101
と有機感光層102とで構成され、必要に応じてAl基
体101と有機感光層102との間に電荷注入阻止層が
設けらる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真方式の複
写機、プリンター、ファクシミリ等の画像形成装置の接
触型帯電器および、この接触型帯電器を搭載した画像形
成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の帯電方式はコロナ放電を用いたコ
ロトロン、スコロトロンが主流であった。しかし、コロ
ナ放電は空気中で高電界をかけるためオゾンやNOx
どの有害物質を大量に発生し,また帯電効率が低いため
消費電力が多く、更に4〜6kVの高圧電源が必要なた
めコストが高く、かつ人体に対し危険性があるといった
欠点があった。近年の環境に対する配慮から、このよう
な帯電方式を改善することは急務であり、ローラー帯電
へと移行しつつある。
【0003】ローラー帯電とは、導電性ゴムローラーを
感光体と接触させ、感光体・帯電ローラー間の微小空隙
で放電を起こし感光体表面を帯電させる方法であり、コ
ロトロンと比較し、オゾンが著しく低減(1/100〜
1/500に低減)されている。
【0004】しかしながら、帯電ローラーも感光体と帯
電ローラー間の微小空隙に電圧を加えコロナ放電を起こ
させることから、オゾン発生量をゼロにすることは原理
的にできない。またオゾンやNOX が感光体近傍で発生
するためオゾン、NOX による感光体の劣化は依然とし
て課題として残る。よってオゾンやNOX が全く発生し
ない帯電方式が強く望まれ、最近では電荷注入が注目さ
れている。
【0005】電荷注入とは、放電を起こさないで接触型
帯電器から直接電荷を感光層に注入する方法である。そ
のため原理的にオゾンは発生しない。電荷注入では、接
触型帯電器と感光体との接触抵抗や微小空隙の容量が電
荷を注入する際の注入速度に影響を与えるため、接触抵
抗は低いほど良いとされる。
【0006】そのため特開平6−75459号公報で
は、テトラシアノキノジメタン(TCNQ)等の電子受
容性化合物とテトラチアフルバレン(TTF)等の電子
供与性化合物から構成される電荷移動錯体を高分子ネッ
トワークに置換し、全体に導電性を付与した高分子材料
からなる導電性ゴムで帯電ローラーを作っている。
【0007】しかしながら香川、古川、新川らによるJ
apan Hardcopy‘92,pp287〜29
0の報告では、80%RHの高湿下では有機感光体(以
後OPCと略すことがある)は十分な帯電電位が得られ
るが、図11に示すように、30〜50%RHの湿度下
では印加電圧の半分までしか帯電されず、注入速度が遅
いことが判る。これは、帯電ローラーの接触面積(ニッ
プ幅)が小さいことや、導電性ゴムが十分低抵抗化して
いないためと推察される。図11は相対湿度をパラメー
タとする、印加電圧と帯電電圧との関係を示すグラフで
ある。
【0008】つまり、低抵抗の導電性ゴムを得るには電
荷移動錯体を多量にドーピングする必要があるが、ドー
ピング量が多くなると高分子自体のネットワークの柔軟
性が減少し、ゴム硬度が大きくなるのではないかと考え
られる。例えば特開平6−75459号公報では、導電
性ゴムの抵抗は106 Ω・cmとなっており、適度なゴ
ム硬度を維持しながら導電性ゴムを低抵抗化すること
は、高分子材料の選択の点から容易ではないと考えられ
る。また、図11に示すように、全体に導電性を付与し
た高分子材料からなる導電性ゴムでは帯電電位が湿度に
敏感であるため、環境を厳密に制御する必要があり、接
触型帯電器の構造が複雑化する。
【0009】一方、特開平7−140729号公報で
は、吸水性のスポンジローラーを用いて感光体に電荷を
注入している。吸水性のスポンジローラーを用いる場
合、ローラーの含水率がローラー抵抗や電荷の注入速度
に大きな影響を与えるので、ローラーからの水分蒸発に
よって帯電電位が変動する恐れがある。帯電電位の変動
を抑えるためには、ローラーからの水分蒸発を長期にわ
たって厳密に制御する必要があり、接触型帯電器の構造
は複雑になり、安価に製造することができない。
【0010】また特開平9−101649号公報には、
図12に示すように、帯電ブラシ2110の導電性繊維
2111をエッチング繊維または分割繊維とすることに
よってこの導電性繊維2111と、感光体2100の有
機感光層2102との接触面積を増加させ、電荷注入の
速度を向上させることが提案されている。図12におい
て符号2101はAl基体、符号2103は直流電源で
ある。
【0011】上記エッチング繊維とは、導電性繊維の成
分の一部を薬液で溶解し、1本の導電性繊維を径方向で
複数本に分割した繊維である。また分割繊維とは、加熱
時の各部の熱収縮の差を利用し、1本の導電性繊維を径
方向で分割した繊維である。これらの処理によって、実
質的により細い径の導電性繊維を用いたことになり、感
光体との接触面積を増加させることができる。
【0012】しかしながら、分割された繊維の引張り強
度は、分割前の導電性繊維と比較して、分割された分だ
け低くなる。その結果、感光体と接触した場合、分割さ
れた繊維は破断しすくなり、長期の使用では帯電電位の
バラツキを起こし、接触型帯電器の寿命を低下させる原
因となってしまう。逆に長寿命の接触型帯電器を得よう
としても、導電性繊維の分割数を多くすることはできな
いため接触面積の大幅な増大は難しく、電荷注入速度の
著しい向上は期待できない。
【0013】また、接触型帯電器の別の構造として磁気
ブラシが挙げられるが、一般的に磁気ブラシは磁性導電
粒子の直径を大きくするとマグネットロールからの規制
力が大きくなり、帯電ブラシや帯電ブレード、帯電ロー
ラーよりも大きなニップ幅を形成できる。しかしなが
ら、磁性導電粒子の直径が大きくなると、逆にOPCと
の接触面積が減少する。このように、磁性導電粒子の粒
径を最適値に設定する必要があった。
【0014】この磁性導電粒子の形状について説明する
と、特開平8−6355号公報に記載の技術では図13
(a)に示すように、表面が平滑な磁性導電粒子221
3と、表面に凹凸のある磁性導電粒子2214を混合し
て用いている。また特開平8−691491号公報の技
術では図13(b)のように、粒径大の磁性導電粒子2
215と、粒径小の磁性導電粒子2216とを用いて、
マグネットロール2211の規制力を維持し、大きなニ
ップ幅を確保しながら磁性導電粒子の接触面積を増加さ
せるようにしている。
【0015】しかしながら、接触面積の増加に寄与する
磁性導電粒子は、用いた磁性導電粒子2213〜221
6のうち、凹凸のある磁性導電粒子2214と粒径の小
さな磁性導電粒子2216だけなので、接触面積の著し
い増加は期待できず、高速の画像形成装置では十分な帯
電電位を得るのが難しかった。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術の
上記問題点に鑑みなされたもので、その第1の目的は、
電荷注入によって感光体を帯電させる接触型帯電器にお
いては、電荷注入速度が速いため感光体に十分な帯電電
圧を与えることができ、かつ湿度等の環境変動に対し十
分な耐性を持ち、しかも長期の使用においては帯電電位
の変動が小さい接触型帯電器の構造を提供することにあ
る。
【0017】本発明の第2の目的は、感光体・接触型帯
電器間の微小空隙でのコロナ放電を利用する接触型帯電
器においては、オゾンやNOX の発生を低減でき、かつ
外部電源の低電圧化を実現できる接触型帯電器の構造を
提供することである。
【0018】本発明の第3の目的は、オゾンやNOx
発生させないで、かつ帯電システムの外部電源を低電圧
化しつつ良好な画像を得ることができる画像形成装置を
提供することである。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明は、感光体表面と
接触し感光体に電圧を印加することによって感光体に所
定の表面電位を与える接触型帯電器において、感光体と
接触する面にカーボンナノチューブが保持され、かつカ
ーボンナノチューブの表面に電荷輸送材料が吸着または
化学結合されていることを特徴とする接触型帯電器であ
る。
【0020】また、前記の接触型帯電器のうち負帯電の
有機感光体に用いられる接触型帯電器であって、前記の
電荷輸送材料は電子輸送材料であり、かつ電子輸送材料
の電子親和力をEA (CTM)、有機感光体の電子親和
力をEA (OPC)とすると、次式:EA (OPC)<
EA (CTM)となる電子親和力を有することを特徴と
する接触型帯電器である。
【0021】また、前記の電子輸送材料が下記の化学式
(1)〜(4)で表される化合物または、その誘導体か
ら選ばれる少なくとも一つを含むことを特徴とする接触
型帯電器である。
【0022】
【化9】
【0023】
【化10】
【0024】
【化11】
【0025】
【化12】
【0026】さらに、前記接触型帯電器のうち正帯電の
有機感光体に用いられる接触型帯電器であって、前記電
荷輸送材料は正孔輸送材料であり、かつ正孔輸送材料の
イオン化ポテンシャルをIp(CTM)、有機感光体の
イオン化ポテンシャルをIp(OPC)とすると、次
式:Ip(OPC)>Ip(CTM)となるイオン化ポ
テンシャルを有することを特徴とする接触型帯電器であ
る。
【0027】また、前記正孔輸送材料が、オキサジアゾ
ールおよびその誘導体、ピラゾリンおよびその誘導体、
トリフェニルメタンおよびその誘導体、オキサゾールお
よびその誘導体、ヒドラゾンおよびその誘導体、トリア
リールアミンおよびその誘導体、ブタジエンおよびその
誘導体ならびに、ポリシランおよびその誘導体から選ば
れる少なくとも一つを含むことを特徴とする接触型帯電
器である。
【0028】さらに、前記接触型帯電器において、前記
帯電器が金属芯と導電性繊維からなる帯電ブラシであ
り、該導電性繊維に前記カーボンナノチューブが保持さ
れていることを特徴とする接触型帯電器である。
【0029】さらに、感光体表面と接触し、感光体に電
圧を印加することによって該感光体に所定の表面電位を
与える接触型帯電器において、前記感光体との接触面に
カーボンウイスカーが保持され、かつ該カーボンウイス
カーの表面に電荷輸送材料が吸着または化学結合されて
いることを特徴とする接触型帯電器である。
【0030】さらに、前記接触型帯電器が負帯電の有機
感光体に用いられる接触型帯電器であり、前記電荷輸送
材料が電子輸送材料であり、かつ電子輸送材料の電子親
和力をEA (CTM)、有機感光体の電子親和力をEA
(OPC)とすると、次式:EA (OPC)<EA (C
TM)の関係が成立つことを特徴とする接触型帯電器で
ある。
【0031】さらに、前記電子輸送材料が上記化学式
(1)〜(4)で表される化合物または、その誘導体か
ら選ばれる少なくとも一つを含むことを特徴とする接触
型帯電器である。
【0032】さらに、前記接触型帯電器が正帯電の有機
感光体に用いられる接触型帯電器であり、前記電荷輸送
材料が正孔輸送材料であり、かつ正孔輸送材料のイオン
化ポテンシャルをIp (CTM)、有機感光体のイオン
化ポテンシャルをIp (OPC)とすると、次式:Ip
(OPC)>Ip (CTM)の関係が成立つことを特徴
とする接触型帯電器である。
【0033】さらに、前記正孔輸送材料が、オキサジア
ゾールおよびその誘導体、ピラゾリンおよびその誘導
体、トリフェニルメタンおよびその誘導体、オキサゾー
ルおよびその誘導体、ヒドラゾンおよびその誘導体、ト
リアリールアミンおよびその誘導体、ブタジエンおよび
その誘導体ならびに、ポリシランおよびその誘導体から
選ばれる少なくとも一つを含むことを特徴とする接触型
帯電器である。
【0034】さらに、上記接触型帯電器において、前記
帯電器が金属芯と導電性繊維からなる帯電ブラシであ
り、該導電性繊維に前記カーボンウイスカーが保持され
ていることを特徴とする接触型帯電器である。
【0035】さらに、本発明の画像形成装置は、上記接
触型帯電器を搭載したことを特徴とするものである。
【0036】
【実施例】以下、本発明を図面に示す実施例により、更
に詳細に説明する。 <実施例1>図1は接触型帯電器の模式的断面図であ
る。この接触型帯電器は帯電ブラシ110を用いたもの
であり、負帯電のOPCに用いられる。この帯電ブラシ
110では金属芯111に導電性繊維112が接続して
おり、さらに各々の導電性繊維112にはカーボンナノ
チューブ120が保持され、カーボンナノチューブ12
0の表面には電荷輸送材料121が吸着または化学結合
している構造を持つ。上記電荷輸送材料121は、電子
のドリフト移動度が正孔のドリフト移動度よりも著しく
大きい材料である電子輸送材料である。なお、ここで述
べる吸着とはvander Waals 力や静電力等による物理的
な吸着を意味し、化学結合とは共有結合やイオン結合等
を意味する。そして、帯電ブラシ110は主にカーボン
ナノチューブ120に吸着または化学結合された電子輸
送材料121でOPC100の表面と接触している。な
お、一部ではカーボンナノチューブ120や導電性繊維
112が直接OPC100の表面と接触していても何ら
構わない。
【0037】OPC100はドラム形状のAl基体10
1と有機感光層102から構成されており、必要に応じ
てAl基体101と有機感光層102の間に電荷注入阻
止層が設けられている。なお、帯電ブラシ110の金属
芯111は外部の直流電源103に接続され、主に電子
輸送材料121から有機感光層102に直接電子を注入
(つまり負帯電の電荷注入)することでOPC100を
帯電させている。また、一部の電子は有機感光層102
と直接接触するカーボンナノチューブ120や導電性繊
維112から注入されても良く、またカーボンナノチュ
ーブ120から電子が電界放出によって引き出され有機
感光層102を帯電しても構わない。
【0038】電荷注入は接触型帯電器と有機感光層の接
触部で直接電荷の授受を行うため、実用的な注入速度を
得るためには接触型帯電器と有機感光層の接触面積を大
きくしなければならない。
【0039】しかしながら、一般的に帯電ブラシの導電
性繊維の直径は10〜20μm程度であり、OPCが高
速回転する高速な画像形成装置では十分な接触面積を確
保することはできなかった。そこで本発明者らは、導電
性繊維にカーボンナノチューブを接続し、接触面積を向
上させることを提案している。
【0040】カーボンナノチューブを導電性繊維に配置
する場合、軸方向で導電性繊維に密集して配置できる。
またカーボンナノチューブは高い弾性を持つため有機感
光層と接触すると撓めることができ、カーボンナノチュ
ーブの先端のみではなく、側面でも有機感光層と接触す
ることができ、その結果十分な接触面積を確保すること
が可能になった。
【0041】しかしながら、導電性繊維にカーボンナノ
チューブを保持した帯電ブラシを更に高速な画像形成装
置に用いた場合、高い帯電電位が取れない場合が生じ
た。そこで本発明者らは、これについて検討を行った。
【0042】OPCへの電荷注入(本例の場合は電子注
入)は、カーボンナノチューブと有機感光層のバインダ
ー樹脂中のトラップ準位の間のホッピング伝導によって
なされる。そのため、カーボンナノチューブと有機感光
層が十分な接触面積を持つ場合でも、カーボンナノチュ
ーブとバインダー樹脂の間で電子に対するバリアが高い
と、電子の輸送が妨げられ高い帯電電位が取れない懸念
がある。特にカーボンナノチューブとバインダー樹脂は
異種材料であるため、バリアが高い可能性がある。
【0043】そこで、カーボンナノチューブの表面に有
機感光層と同種の材料で、かつ電子を輸送できる材料
(つまり電子輸送材料)を吸着または化学結合させるこ
とによって、帯電電位の向上を試みた。その結果、電子
輸送材料の電子親和力EA (CTM)とOPC表面の有
機感光層の電子親和力EA (OPC)との関係によっ
て、良好な帯電が実現できることを見出した。
【0044】カーボンナノチューブ表面に電子輸送材料
を付けた場合のバンドの概略図を図2に示す。OPC表
面の有機感光層のLUMO(the lowest unoccupied mo
lecular orbital)、HOMO(the highest occupied mo
lecular orbital)をそれぞれLUMO(OPC)、HO
MO(OPC)とし、カーボンナノチューブの表面に付
けた電子輸送材料のLUMO、HOMOをそれぞれLU
MO(CTM)、HOMO(CTM)とする。
【0045】カーボンナノチューブからの電子が電子輸
送材料を通って有機感光層へ注入されるためには、LU
MO(CTM)にある電子がLUMO(OPC)へ遷移
する必要があるが、電子輸送材料と有機感光層の間で電
子に対するバリアを低くし、電子がスムーズに輸送され
るためには、LUMO(OPC)がLUMO(CTM)
よりもエネルギー的に低い準位にあることが望ましい。
【0046】ここで真空準位とLUMOのエネルギー差
は電子親和力EA に相当するので、電子輸送材料の電子
親和力をEA (CTM)、有機感光層の電子親和力をE
A (OPC)とすると、前記の条件は以下のように記述
される。 EA (OPC)<EA (CTM) よってEA (OPC)<EA (CTM)となる電子親和
力を有する電子輸送材料をカーボンナノチューブ表面に
吸着または化学結合させると、電子の輸送が妨げられ
ず、帯電効率が向上する。
【0047】なお、有機感光層が1層から構成される場
合は、その層のLUMO、HOMO、EA がLUMO
(OPC)、HOMO(OPC)、EA (OPC)に相
当し、有機感光層が多層からなる機能分離型のOPCの
場合は、最表層(表面を形成する最上層)のLUMO、
HOMO、EA がLUMO(OPC)、HOMO(OP
C)、EA (OPC)に相当する。一般的に負帯電の機
能分離型OPCの表面には電荷輸送層が配置されるの
で、LUMO(OPC)、HOMO(OPC)、EA
(OPC)は電荷輸送層のLUMO,HOMO,EA で
ある。
【0048】上記の条件を満たす電子輸送材料としては
正帯電のOPCで用いられる電子輸送材料等がある。一
般的に正帯電OPCの電子輸送材料としては、上記化学
式(1)〜(4)で表される化合物または、その誘導体
があるので、カーボンナノチューブ120表面に、上記
化合物または誘導体から選ばれた少なくとも一つを含む
電子輸送材料121を吸着または化学結合させることに
よって、より効率的な電荷注入が可能になり、高い帯電
電位が得られる。
【0049】なお、EA (OPC)<EA (CTM)と
するためには、OPCの有機感光層のEA (OPC)に
も影響されるが、一般的には上記化学式(1)〜(4)
で表される化合物またはその誘導体に適切な置換基を導
入し、LUMO(CTM)のエネルギー準位を動かすこ
とによって実現するのが良い。なお、上記化学式(1)
〜(4)で表される化合物または、その誘導体はOPC
で広く使用されているため、量産効果により材料コスト
が低く、カーボンナノチューブ120表面に電子輸送材
料121を吸着または化学結合させるコストを抑制する
ことができ、その結果帯電ブラシ110を安価に製造で
きる。
【0050】また、図1ではカーボンナノチューブ12
0の先端にのみ電子輸送材料121が吸着または化学結
合されているが、複数の電子輸送材料が吸着または化学
結合されているか、またはカーボンナノチューブ120
の側面にも電子輸送材料が吸着または化学結合されてい
ると、有機感光層102と接触する電子輸送材料の数が
増え、カーボンナノチューブと有機感光層との間にバリ
アの低い領域が広く形成できるのでより望ましい。
【0051】次に、本発明に用いられるカーボンナノチ
ューブについて説明する。本発明に用いられるカーボン
ナノチューブは単層カーボンナノチューブ、多層カーボ
ンナノチューブのどちらでも良い。単層カーボンナノチ
ューブの大きさは触媒によって異なり、直径が0.7〜
50nm、軸方向の長さ(以後長さと略す)は10nm
〜1mmであり、より合成しやすい大きさは直径が0.
7〜5nm、長さが30nm〜100μmである。一
方、多層カーボンナノチューブは直径が1〜500nm
で、長さが10nm〜1mmであり、より合成しやすい
大きさは直径が2〜50nmで、長さが300nm以上
である。なお、本発明のカーボンナノチューブは前記の
大きさの範囲に限定されるものではなく、直径が1μm
未満のカーボンナノチューブであれば本発明に含まれ
る。
【0052】カーボンナノチューブは以下の方法によっ
て作製される。単層カーボンナノチューブは、陽極とし
てグラファイトにFe,Co,Ni,Ru,Rh,P
d,Os,Ir,Pt,La,Y等の金属触媒を混合し
たコンポジット棒を用い、陰極としてグラファイト棒を
用い、100〜700Torr(1.33×104
9.31×104 Pa)のHe,ArまたはH2 雰囲気
でのアーク放電により合成する。単層カーボンナノチュ
ーブは金属触媒の種類によってチャンバー内壁の煤(チ
ャンバー煤)か、または陰極表面の煤(陰極煤)の中に
存在する。
【0053】また、前記のコンポジット棒を電気炉中で
1000〜1400℃に加熱し、500Torr(6.
65×104 Pa)のAr雰囲気で、Nd:YAGパル
スレーザーを照射して単層カーボンナノチューブを合成
しても良い。合成された単層カーボンナノチューブは種
々の不純物を含むため、水熱法、遠心分離法、限外ろ過
法等によって80%以上の純度に精製するのが良い。
【0054】一方、多層カーボンナノチューブは、陽
極、陰極ともグラファイト棒を用い、100〜700T
orr(1.33×104 〜9.31×104 Pa)の
He,ArまたはH2 雰囲気でのアーク放電を用いて合
成する。多層カーボンナノチューブは陰極上の円柱状堆
積物の中心に存在する。またベンゼン、エチレン、アセ
チレン等の炭化水素をH2 またはHeガス流下で600
〜1500℃で熱分解することによっても得られる。多
層カーボンナノチューブも合成後は種々の不純物が含ま
れるため、有機溶媒や界面活性剤が添加された水溶液に
分散させた後、遠心分離法や限外ろ過法によって高純度
に精製するのが良い。なお、カーボンナノチューブの先
端は閉管、開管のどちらの形状でも良い。
【0055】次に、カーボンナノチューブ120表面に
電子輸送材料121を吸着または化学結合させる方法に
ついて説明する。最も簡便な方法は、電子輸送材料を極
低粘度の高分子樹脂に分散させ、この分散液にカーボン
ナノチューブを浸漬し、カーボンナノチューブの一部ま
たは全面を高分子樹脂で被覆して、電子輸送材料をカー
ボンナノチューブ表面に吸着する方法である。この方法
では電子輸送材料は高分子樹脂を介してカーボンナノチ
ューブに物理的に吸着されている。
【0056】高分子樹脂としては電子輸送材料が分散し
やすい材料であれば良く、例えばポリスチレン、ポリカ
ーボネイト、ポリエステル、ポリメチルメタアクリレー
ト、ポリビニルブチラール等が用いられる。また、高分
子樹脂を有機溶媒に溶解し低粘度化させると、カーボン
ナノチューブを被覆する高分子樹脂層を薄く形成できる
ので更に望ましい。本方法は単純なプロセスから成るた
め、電子輸送材料をカーボンナノチューブに固定するた
めの製造コストを抑えることができる。その結果帯電ブ
ラシを安価に製造することができる。
【0057】一方、電子輸送材料をカーボンナノチュー
ブと化学結合させる場合、カーボンナノチューブは不活
性であるため、初めにカーボンナノチューブに活性な官
能基を導入する必要がある。官能基を導入する方法に
は、例えば図3(a)〜(d)に示す方法がある。
【0058】図3(a)の方法では、カーボンナノチュ
ーブを空気中で酸化すると、末端が開管してカルボキシ
ル基が形成される。図3(b)の方法では、カーボンナ
ノチューブをクロロホルムと水の混合溶媒に分散させ、
その後水酸化ナトリウムを加え還流を行うと、カーボン
ナノチューブにジクロロカルベンが導入される。また、
図3(c)の方法においては、カーボンナノチューブに
アンモニア水を加え、Liを添加し還流を行うと、カー
ボンナノチューブにアミノ基が導入される。さらに、図
3(d)の方法では、カーボンナノチューブにエチレン
ジアミンとLiを加え、100℃に保持して攪拌を行う
と、カーボンナノチューブにアミノ基が導入される。
【0059】上記の反応によってカーボンナノチューブ
に官能基を導入した後、電子輸送材料(例えば上記化学
式(1)〜(4)で表される化合物)の末端の官能基
と、カーボンナノチューブに新たに付けた官能基とを化
学反応によって共有結合させることによって、カーボン
ナノチューブに電子輸送材料を化学結合できる。
【0060】本方法によると、電子輸送材料とカーボン
ナノチューブが共有結合しているため、電子輸送材料が
強固に固定される。そのため帯電ブラシがOPCと摺動
する際にカーボンナノチューブ表面から電子輸送材料が
脱離しにくく、長期にわたって安定的な帯電が実現でき
る。その結果帯電ブラシの長寿命化が可能になる。な
お、カーボンナノチューブに官能基を導入する方法は図
3に示す方法に限定される必要はなく、また電子輸送材
料に活性な官能基を導入した後、直接カーボンナノチュ
ーブと電子輸送材料を共有結合させても何ら構わない。
【0061】次に、本発明に用いられるOPC100に
ついて説明する。ドラム形状のAl基体101上に、酸
化チタン微粒子をバインダー樹脂に分散させたホール注
入阻止層を、ディップコーティング法により厚さ1〜5
μmで形成し、その後電荷発生層と電荷輸送層からなる
積層の有機感光層102を形成した。
【0062】電荷発生層は電荷発生材料をブチラール樹
脂、熱硬化型の変性アクリル樹脂、フェノール樹脂及び
ポリエステル樹脂などのバインダー樹脂に分散させたも
のからなり、ディッピングコーティング法により厚さ
0.1〜1μmで形成した。電荷発生材料としては波長
740〜780nm付近に感度を持つスクエアリリウム
色素、無金属フタロシアニン、金属フタロシアニン、ア
ズレニウム塩色素、及びアゾ顔料等が、635〜650
nm付近に感度のあるチアピリリウム塩や多環キノン
系、ペリレン系又はアゾ顔料系等が使用できる。
【0063】電荷輸送層は正孔輸送材料をビスフェノー
ル系ポリカーボネイト樹脂等のバインダー樹脂に分散さ
せたものからなり、膜厚は10〜40μm程度でディッ
ピングコーティング法によって形成した。正孔輸送材料
としてはオキサジアゾール誘導体、ピラリゾン誘導体、
トリフェニルメタン誘導体、オキサゾール誘導体、トリ
アリールアミン誘導体、ブタジエン誘導体などが用いら
れる。
【0064】また、本例では機能分離型のOPCを例に
取り説明を行ったが、本発明は機能分離型に限定される
わけではなく、単層型のOPCであっても何ら構わな
い。また、本例はドラム形状のOPCであるが、Al基
体の代わりに表面に導電層を形成したベルトを採用し、
ベルト状のOPCとしても良い。またシート状のOPC
でも良い。
【0065】次に、本発明に係る帯電ブラシ110の作
製法の一例を図4(a)〜(d)をもとに説明する。こ
の図4は帯電ブラシの断面の一部を示し、帯電ブラシ1
10は円柱構造をしており、導電性繊維112は金属芯
111の側面全てに接続されている。
【0066】図4(a)に示すようにSUS,Al,F
e,Cu等の金属や合金からなる金属芯111に導電性
繊維112を電気植毛によって植え付ける。導電性繊維
112としては直径が5〜20μmの導電性レーヨン、
導電性ナイロン、導電性ポリエステル等が使用でき、植
毛の密度としては一般的な帯電ブラシと同様に50〜3
00本/mm2 程度にするのが良い。
【0067】繊維に導電性を付与する方法としては、カ
ーボンブラックや金属微粒子を高分子繊維の中に分散さ
せる方法もあるが、テトラシアノキノジメタン(TCN
Q)等の電子受容性化合物とテトラチアフルバレン(T
TF)等の電子供与性化合物から構成される電荷移動錯
体を、高分子ネットワークに置換し高分子繊維全体に導
電性を付与しても良い。
【0068】導電性繊維112はもともと5〜20μm
の径で使用するため、従来の導電性ゴムと異なり適度な
弾性を維持する必要がない。そのため種々の高分子材料
が使用でき、容易に低抵抗の導電性繊維が得られる。ま
た導電性繊維112をパイル地にして、テープ状に切断
したのち、金属芯111に巻き付けても良い。
【0069】その後、図4(b)に示すように、導電性
繊維112の先端にのみ導電性接着剤130を厚さ2〜
10μmで塗布し、図4(c)のように、静電力を利用
して電子輸送材料が吸着または化学結合したカーボンナ
ノチューブを導電性繊維120に吸い上げて接触させた
後、図4(d)のように導電性接着剤130を熱硬化さ
せ、電子輸送材料が吸着または化学結合したカーボンナ
ノチューブ120を固定し、帯電ブラシ110を完成さ
せる。
【0070】なお、導電性接着剤の代わりに導電性繊維
自体を加熱し、カーボンナノチューブと融着させて固定
しても良い。また、1本の長い導電性繊維に電子輸送材
料が吸着または化学結合したカーボンナノチューブを導
電性接着剤で接着した後、導電性繊維を1〜2mmに切
断し、導電性繊維を電気植毛によって金属芯に植え付け
て帯電ブラシとしても良い。更に電子輸送材料が吸着ま
たは化学結合したカーボンナノチューブを固定した長い
導電性繊維をパイル地にして、テープ状に切断したの
ち、金属芯に巻き付けて帯電ブラシとしても良い
【0071】帯電ブラシの別の作製法を図5(a)〜
(d)に示す。なお、図5は帯電ブラシの断面の一部を
示し、帯電ブラシ110は円柱構造をしており、導電性
繊維112は金属芯111の側面全てに接続されてい
る。
【0072】図5(a)に示すようにSUS,Al,F
e,Cu等の金属や合金からなる金属芯111に導電性
繊維112を電気植毛によって植え付ける。また、導電
性繊維112をパイル地にして、テープ状に切断したの
ち、金属芯111に巻き付けても良い。図5(b)のよ
うに、導電性繊維112の先端にのみポリメチルフェニ
ルシラン140を厚さ0.1〜3μmで塗布し、その後
超高圧水銀灯により波長400nm程度の光を照射し,
ポリメチルフェニルシラン140のSi−Si結合を切
断する。
【0073】その後、図5(c)のように、イソプロピ
ルアルコール中に電子輸送材料が吸着または化学結合し
たカーボンナノチューブを分散させた溶液141(以
後、この溶液をIPA溶液と略す)中に導電性繊維12
0を浸漬し、金属芯111を外部電源143に接続し、
Al電極を対向電極142として負電圧を印加して、電
気泳動により電子輸送材料が吸着または化学結合したカ
ーボンナノチューブ120を導電性繊維112に接触さ
せる。
【0074】電子輸送材料が吸着または化学結合したカ
ーボンナノチューブ112は印加された電界と平行な方
向に移動し、導電性繊維120に接触してSi−Si結
合の切れたポリメチルフェニルシランに突き刺さり、固
定化される(以後、電気泳動法と略す)。なお、金属芯
111の側面にある全ての導電性繊維112に電子輸送
材料が吸着または化学結合したカーボンナノチューブ1
20を固定化するためには、IPA溶液中で金属芯11
1を円周方向に回転させれば良い。その後、図5(d)
のように、導電性繊維112をIPA溶液141から引
き上げ、イソプロピルアルコールを蒸発させ、帯電ブラ
シ110を完成させる。
【0075】なお、図3で説明したように、1本の長い
導電性繊維に電子輸送材料が吸着または化学結合したカ
ーボンナノチューブを電気泳動法によって固定化してか
ら、導電性繊維を1〜2mmに切断し、その後導電性繊
維を電気植毛によって金属芯に植え付けて帯電ブラシと
しても良い。更に、長い導電性繊維に電子輸送材料が吸
着または化学結合したカーボンナノチューブを電気泳動
法により固定化した後、導電性繊維をパイル地にして、
テープ状に切断したのち、金属芯に巻き付けて帯電ブラ
シとしても良い。
【0076】本例ではロール状の帯電ブラシについて説
明したが、固定した帯電ブラシ(固定ブラシ)であって
も本発明の効果は同様に得られ、帯電ブラシの形状は何
ら問わない。加えて、図1の帯電ブラシ110は直流電
源103に接続されているが、電源は直流に限定される
ものではなく、直流と交流が重畳されていても構わな
い。
【0077】<実施例2>図6は接触型帯電器の形状と
して、固定した帯電ブラシ(固定ブラシ)を用いたもの
であり、正帯電のOPCに用いられる。本発明の帯電ブ
ラシ(固定ブラシ)610は金属芯611と導電性繊維
612が接続しており,さらに各々の導電性繊維612
にはカーボンナノチューブ620が保持され、カーボン
ナノチューブ620の表面には電荷輸送材料(本例の場
合は正孔輸送材料)621が吸着または化学結合してい
る構造を持つ。なお、ここで述べる化学結合とは共有結
合やイオン結合等を意味し、吸着とはvan der Waals力
や静電力等による物理的な吸着を意味する。そして帯電
ブラシ(固定ブラシ)610は主にカーボンナノチュー
ブ620表面に吸着または化学結合した正孔輸送材料6
21でOPC600の表面と接触している。なお、一部
ではカーボンナノチューブ620や導電性繊維612が
直接OPC600の表面と接触していても良い。
【0078】OPC600はドラム形状のAl基体60
1と有機感光層602から構成されており,必要に応じ
てAl基体601と有機感光層602の間に電荷注入阻
止層が設けられている。なお、帯電ブラシ(固定ブラ
シ)610の金属芯611は外部の直流電源603に接
続され,主に正孔輸送材料621から有機感光層602
に直接正孔を注入(つまり正帯電の電荷注入)すること
でOPC600を帯電させている。また、一部の正孔は
有機感光層602と直接接触するカーボンナノチューブ
620や導電性繊維612から注入されても良い。
【0079】本例の場合は、OPCへの電荷注入(本例
では正孔注入)はカーボンナノチューブと有機感光層の
バインダー樹脂中のトラップ準位の間のホッピング伝導
によってなされるので、有機感光層と同種の材料で、か
つ正孔を輸送できる材料(つまり正孔輸送材料)をカー
ボンナノチューブの表面に吸着または化学接合させるこ
とによって、正孔に対するバリアを小さくしている。特
に正孔輸送材料のイオン化ポテンシャルIp(CTM)
とOPC表面の有機感光層のイオン化ポテンシャルIp
(OPC)との関係を制御することによって、良好な帯
電が実現できる。
【0080】図7は、カーボンナノチューブ表面に正孔
輸送材料を付けた場合のバンドの概略図である。OPC
表面の有機感光層のLUMO、HOMOを各々LUMO
(OPC)、HOMO(OPC)とし、カーボンナノチ
ューブの表面に付けた正孔輸送材料のLUMO、HOM
Oを各々をLUMO(CTM)、HOMO(CTM)と
する。カーボンナノチューブからの正孔が正孔輸送材料
を通って有機感光層へ注入されるためには、HOMO
(CTM)にある正孔がHOMO(OPC)へ遷移する
必要があるが、正孔輸送材料と有機感光層の間で正孔に
対するバリアを低くし、正孔がスムーズに輸送されるた
めには、HOMO(OPC)がHOMO(CTM)より
もエネルギー的に高い準位にあることが望ましい。
【0081】ここで、真空準位とHOMOのエネルギー
差はイオン化ポテンシャルIpに相当するので、正孔輸
送材料のイオン化ポテンシャルをIp(CTM)、有機
感光体のイオン化ポテンシャルをIp(OPC)とする
と、前記の条件は以下のように記述される。 Ip(OPC)>Ip(CTM) よってIp(OPC)>Ip(CTM)となるイオン化
ポテンシャルを有する正孔輸送材料をカーボンナノチュ
ーブ表面に吸着または化学結合させると、正孔の輸送が
妨げられず、帯電効率が向上する。なお、有機感光層が
1層から構成される場合は、その層のLUMO、HOM
O、IpがLUMO(OPC)、HOMO(OPC)、
Ip(OPC)に相当し、有機感光層が多層構成からな
るOPCの場合は、最表層のLUMO、HOMO、Ip
がLUMO(OPC)、HOMO(OPC)、Ip(O
PC)に相当する。
【0082】前記の条件を満たす正孔輸送材料としては
負帯電のOPCで用いられる正孔輸送材料等がある。一
般的に負帯電のOPCの正孔輸送材料にはオキサジアゾ
ール誘導体、ピラゾリン誘導体、トリフェニルメタン誘
導体、オキサゾール誘導体、ヒドラゾン誘導体、トリア
リールアミン誘導体、ブタジエン誘導体、ポリシラン誘
導体がある。よってカーボンナノチューブ620に、上
記誘導体から選ばれた少なくとも一つを含む正孔輸送材
料621を吸着または化学結合することによって、より
効率的な電荷注入が可能になり、大きな帯電電位が得ら
れる。
【0083】なお、Ip(OPC)>Ip(CTM)と
するためには、OPCの有機感光層のIp(OPC)に
も影響されるが、一般的にはオキサジアゾール誘導体、
ピラゾリン誘導体、トリフェニルメタン誘導体、オキサ
ゾール誘導体、ヒドラゾン誘導体、トリアリールアミン
誘導体、ブタジエン誘導体、ポリシラン誘導体等に適切
な置換基を導入し、HOMO(CTM)のエネルギー準
位を動かすことによって実現するのが良い。
【0084】またオキサジアゾール誘導体、ピラゾリン
誘導体、トリフェニルメタン誘導体、オキサゾール誘導
体、ヒドラゾン誘導体、トリアリールアミン誘導体、ブ
タジエン誘導体、ポリシラン誘導体はOPCで広く用い
られているため、量産効果により材料コストが低く、カ
ーボンナノチューブ620表面に正孔輸送材料621を
吸着または化学結合させるコストを抑制でき、その結果
帯電ブラシ(固定ブラシ)610を安価に製造できる。
なお、本例においても実施例1と同種のカーボンナノチ
ューブ620が使用でき、またカーボンナノチューブ6
20と正孔輸送材料621の吸着方法や化学結合の方法
としては、実施例1と同様の方法が採用できる。
【0085】次に、本発明に用いられるOPC600に
ついて述べる。本例では光によって発生するキャリアの
うち電子を用いるOPCであるため、前例のOPCとは
異なる構成をしている。具体的にはドラム形状のAl基
体601上に酸化チタン微粒子をバインダー樹脂に分散
させた電子注入阻止層をディップコーティング法により
厚さ1〜5μmで形成し、その後順次電荷輸送層、電荷
発生層を形成し、有機感光層602を完成させた。
【0086】電荷輸送層は正孔輸送材料をビスフェノー
ル系ポリカーボネイト樹脂等のバインダー樹脂に分散さ
せたものからなり、膜厚は10〜40μm程度でディッ
ピングコーティング法によって形成した。正孔輸送材料
としてはオキサジアゾール誘導体、ピラリゾン誘導体、
トリフェニルメタン誘導体、オキサゾール誘導体、トリ
アリールアミン誘導体、ブタジエン誘導体などが用いら
れる。
【0087】電荷発生層は電荷発生材料をブチラール樹
脂、熱硬化型の変性アクリル樹脂、フェノール樹脂及び
ポリエステル樹脂などのバインダー樹脂に分散させたも
のからなり、ディッピングコーティング法により厚さ
0.1〜1μmで形成した。電荷発生材料としては波長
740〜780nm付近に感度を持つスクエアリリウム
色素、無金属フタロシアニン、金属フタロシアニン、ア
ズレニウム塩色素、及びアゾ顔料等が、635〜650
nm付近に感度のあるチアピリリウム塩や多環キノン
系、ペリレン系又はアゾ顔料系等が使用できる。
【0088】本例は最表層が電荷発生層であるため、大
きな耐刷性が得られにくく、高耐久な画像形成装置には
適していない。そこで電子輸送材料を用いて以下のよう
なOPCを用いることも可能である。
【0089】ドラム形状のAl基体501上に、酸化チ
タン微粒子をバインダー樹脂に分散させた電子注入阻止
層を、ディップコーティング法により厚さ1〜5μmで
形成し、その後順次電荷発生層、電子輸送層を形成し、
有機感光層602を完成させる。電荷発生層は前記と同
じ構成とし、電子輸送層は電子輸送材料をビスフェノー
ル系ポリカーボネイト樹脂等のバインダー樹脂に分散さ
せたものからなり、膜厚は10〜40μm程度でディッ
ピングコーティング法によって形成した。電子輸送材料
としては上記化学式(1)〜(4)の化合物または、そ
の誘導体が使用できる。
【0090】なお、本例では機能分離型のOPCについ
て説明したが、本発明は機能分離型に限定されるわけで
はなく、単層型のOPCであっても何ら構わない。また
本例はドラム形状のOPCであるが、Al基体の代わり
に表面に導電層を形成したベルトを採用し、ベルト状の
OPCとしても良い。またシート状のOPCでも良い。
【0091】次に、本発明の帯電ブラシ(固定ブラシ)
610の作製法について説明する。帯電ブラシ(固定ブ
ラシ)610は図4,5と同様の方法で作製しても良い
が、図8(a)〜(c)に示す方法によって作製しても
良い。
【0092】図8(a)に示すように、導電性繊維61
2を製造するためレーヨン、ナイロン、ポリエステル等
の高分子樹脂630にカーボンブラックまたは金属微粒
子を分散させるが、これらの分散と同時に正孔輸送材料
621を吸着または化学結合したカーボンナノチューブ
620を所望の配合比率で分散させる。
【0093】その後、図8(b)のように、正孔輸送材
料621を吸着または化学結合したカーボンナノチュー
ブ620を分散させた高分子樹脂630を紡糸し、導電
性繊維612とする。紡糸の際に導電性繊維612の表
面を研磨(繊維表面を研削)して、導電性繊維612表
面に正孔輸送材料621を吸着または化学結合したカー
ボンナノチューブ620を突出させる。また他の方法と
して、テトラシアノキノジメタン(TCNQ)等の電子
受容性化合物とテトラチアフルバレン(TTF)等の電
子供与性化合物から構成される電荷移動錯体を高分子ネ
ットワークに置換し高分子繊維全体に導電性を付与し、
この時同時に正孔輸送材料621を吸着または化学結合
したカーボンナノチューブ620を分散させ、紡糸して
も良い。なお、前述と同様に、紡糸する表面を研磨し
て、導電性繊維612表面に正孔輸送材料621を吸着
または化学結合したカーボンナノチューブ620をに突
出させる必要がある。
【0094】研磨プロセスでは遊離砥粒を用いる。具体
的には酸化セリウム、ウレタン等のパッドで導電性繊維
612を挟み、導電性繊維612に1〜500g/cm
2 の荷重を印加し、その間に粒径1μmのアルミナを供
給し導電性繊維612を片側から引き出し研磨する。パ
ッドは導電性繊維612の巻き取り速度により、一段を
使用するか、または対角上に設置した二段もしくは複数
段を組み合わせて使用する。
【0095】正孔輸送材料621を吸着または化学結合
したカーボンナノチューブ620の分散量は表面突出密
度が0.01本/μm2 以上となる量を配合するのが望
ましく、1本/μm2 以上となる量を配合すれば安定し
た帯電が可能である。なお、正孔輸送材料621を吸着
または化学結合したカーボンナノチューブ620の分散
量としては1〜50wt%程度が良い。また、導電性繊
維612に正孔輸送材料621を吸着または化学結合し
たカーボンナノチューブ620を分散する際、精製した
カーボンナノチューブ620を用いると電荷注入の効率
が向上するので更に望ましい。なお、導電性繊維612
の直径は一般的な帯電ブラシと同様に5〜20μmとす
るのが良い。
【0096】次に、図8(c)のようにSUS,Al,
Fe,Cu等の金属や合金からなる金属芯611に、正
孔輸送材料621を吸着または化学結合したカーボンナ
ノチューブ620が表面から突出している導電性繊維6
12を電気植毛によって植え付ける。植毛の密度として
は一般的な帯電ブラシと同様に50〜300本/mm 2
程度にするのが良い。また、導電性繊維612をパイル
地にして、テープ状に切断したのち、金属芯611に巻
き付けても良い。
【0097】本例は導電性繊維612の表面を研磨し
て、正孔輸送材料621を吸着または化学結合したカー
ボンナノチューブ620を導電性繊維612の表面から
突出させているが、導電性繊維612を酸素プラズマに
晒し,母材である高分子樹脂を灰化して正孔輸送材料6
21を吸着または化学結合したカーボンナノチューブ6
20を導電性繊維612の表面から突出させても良い。
更にこれらのプロセスを複合し、紡糸後研磨を行い、引
き続き酸素プラズマ処理を行っても良い。
【0098】このように本発明は、正孔輸送材料621
を吸着または化学結合したカーボンナノチューブ620
を、導電性繊維612の表面から突出させるプロセスを
限定するものではなく、一般的な方法であれば本発明に
含まれる。
【0099】上記実施例1,2では帯電ブラシを用いて
本発明を説明した。帯電ブラシは金属芯に多数の導電性
繊維が植え付けられた構造である。また導電性繊維は先
端以外に側面にもカーボンナノチューブを保持できる。
そのため接触型帯電器として帯電ブラシまたは帯電ブラ
シ(固定ブラシ)を選択した場合、カーボンナノチュー
ブの密集度を著しく高くすることができる。その結果カ
ーボンナノチューブに結合した電荷輸送材料と有機感光
層との接触面積が大きく取れ、より効率的な電荷注入が
可能になる。
【0100】しかしながら帯電ローラー、帯電ブレー
ド、磁気ブラシ等の他の形状の接触型帯電器の場合も、
カーボンナノチューブが接続されていない接触型帯電器
と比較して、電荷輸送材料が吸着または化学結合したカ
ーボンナノチューブが有機感光層と接触するため、電荷
注入の効率が向上する。よって本発明は帯電ブラシに限
定されるわけではなく、帯電ローラー、帯電ブレード、
磁気ブラシ等の他の形状の接触型帯電器も本発明に含ま
れる。
【0101】<実施例3>負帯電用の帯電ブラシを2種
類作製した。帯電ブラシAは電子輸送材料として上記化
学式(1)で表される化合物を用い、電子輸送材料をポ
リカーボネイト樹脂に分散し、カーボンナノチューブを
被覆したものである。
【0102】帯電ブラシAの作製は以下のように行っ
た。SUS製の金属芯に導電性ナイロン繊維を電気植毛
によって植え付けた後、導電性ナイロン繊維の先端にの
みエポキシ樹脂製の導電性接着剤を塗布し、その後静電
力を利用して電子輸送材料が吸着したカーボンナノチュ
ーブを導電性ナイロン繊維に吸い上げて接触させ,導電
性接着剤を熱硬化して,電子輸送材料が吸着したカーボ
ンナノチューブを固定化した。
【0103】帯電ブラシBは以下のようにして作製し
た。カーボンナノチューブを空気中700℃で酸化し、
末端を開管しカルボキシル基を形成した。また電子輸送
材料として上記化学式(2)で表される化合物を用い、
イソプロピル基の近傍にアミノ基を導入しておく。その
後、カーボンナノチューブのカルボキシル基と、上記化
学式(2)で表される化合物のアミノ基とを反応させ、
カーボンナノチューブに電子輸送材料を共有結合させ
た。その後電子輸送材料が共有結合したカーボンナノチ
ューブとカーボンブラックをナイロン樹脂に分散させ、
直径15μmの導電性ナイロン繊維に紡糸した。その
後、ウレタンパッドとアルミナの遊離砥粒を用いて、導
電性ナイロン繊維の表面を研磨し、表面に電子輸送材料
が共有結合したカーボンナノチューブを突出させた。そ
して導電性ナイロン繊維をパイル地にして、SUS製の
金属芯を被覆し帯電ブラシとした。帯電ブラシA,Bの
詳細を表1に示す。
【0104】
【表1】
【0105】帯電ブラシA、Bと−500Vの直流電源
をOPCの帯電システムとして複写機に搭載して,テス
トチャートの複写を行った。現像は白黒の2値現像と
し、階調はドット数で表示した。帯電ブラシA、Bを載
せた複写機で複写を行った結果、通常のアナログ表示の
複写機と比較して解像度、階調が向上していた。また帯
電ブラシA、Bを載せた複写機では感光体の帯電プロセ
ス中にオゾンやNOx がほとんど検出されなかった。よ
って本発明の接触型帯電器を搭載した複写機はオゾンや
NOx を発生させないで、かつ帯電システムの外部電源
を低電圧化しつつ良好な画像記録が行えることが確認さ
れた。
【0106】また、帯電ブラシBを搭載した複写機で連
続複写試験を行った結果、A4用紙で20万枚複写を行
った後でも良好な画像が得られ、帯電ブラシの長期信頼
性が優れていることが判った。またこれにより帯電ブラ
シの交換頻度を少なくできることが判明した。
【0107】以上の結果から、本発明に係る電荷輸送材
料を吸着または化学結合したカーボンナノチューブを接
続した接触型帯電器は、将来カーボンナノチューブの製
造コストが低減できれば、複写機のトータルコストを低
減することができる可能性があると言える。なお、プリ
ンター、ファクシミリ等の画像形成装置においても、同
様の効果が期待できる。
【0108】<実施例4>実施例1〜3では帯電は主に
電荷注入によって行われていた。高い帯電電位(600
V〜1kV程度)が必要とされる場合、OPCの帯電は
主にOPC・接触型帯電器間の微小空隙でのコロナ放電
によって行われる。本発明の接触型帯電器においても、
カーボンナノチューブとOPC間の微小空隙に放電開始
電圧Vth以上の電圧が印加されると、カーボンナノチュ
ーブとOPC間の微小空隙でコロナ放電が発生し、OP
Cが帯電される。
【0109】特に、カーボンナノチューブは極細の針状
の形状を持つため、カーボンナノチューブ先端での不平
等電界が強くなり、放電開始電圧Vthを下げることがで
きる。実際に実施例3の帯電ブラシBでVthを測定した
ところ、カーボンナノチューブが保持されていない帯電
ブラシより小さなVthを持つことが確認され、従来の帯
電ブラシより印加電圧を小さくできることが判った。
【0110】また、微小空隙でのコロナ放電によってO
PCを帯電させる場合に発生するオゾンやNOx を測定
した結果、帯電ブラシBはカーボンナノチューブが保持
されていない帯電ブラシよりもオゾンやNOX が少なか
った。これは、カーボンナノチューブの先端のみでコロ
ナ放電が起きるため、帯電ブラシBでは放電空間が狭
く、かつ印加電圧が低いため、オゾンやNOX の発生が
抑えられたものと考えられる。よって電荷輸送材料を吸
着または化学結合したカーボンナノチューブを保持した
接触型帯電器は、コロナ放電によってOPCを帯電させ
る場合も、オゾンやNOX の低減、外部電源の低電圧化
といった利点を持っている。
【0111】以上のように、本発明は電荷注入や電界放
出、微小空隙でのコロナ放電といった帯電方式に制限さ
れるものではなく、本発明の構造が含まれる全ての接触
型帯電器について言及している。
【0112】<実施例5>実施例1〜4ではカーボンナ
ノチューブを用いた接触型帯電器について説明したが、
カーボンナノチューブと同様に炭素から構成され、かつ
アスペクト比が大きな針状の形態をしているカーボンウ
イスカーを用いても、同様な効果が期待できる。カーボ
ンウイスカーを用いた接触型帯電器の例(すなわち本発
明の別の例)を図9に示す。図9は接触型帯電器の形状
として帯電ブラシを用いたものであり、負帯電のOPC
に用いられる。
【0113】本発明の帯電ブラシ910は金属芯911
に導電性繊維912が接続しており、さらに各々の導電
性繊維912にはカーボンウイスカー920が保持さ
れ、カーボンウイスカー920の表面には電荷輸送材料
921(本例の場合は電子輸送材料が用いられる)が吸
着または化学結合している構造を持つ。なお、ここで述
べる吸着とはvan der Waals 力や静電力等による物理的
な吸着を意味し、化学結合とは共有結合やイオン結合等
を意味する。そして、帯電ブラシ910は主にカーボン
ウイスカー920に吸着または化学結合された電子輸送
材料921でOPC900の表面と接触している。な
お、一部ではカーボンウイスカー920や導電性繊維9
12が直接OPC900の表面と接触していても何ら構
わない。
【0114】OPC900はドラム形状のAl基体90
1と有機感光層902から構成されており、必要に応じ
てAl基体901と有機感光層902の間に電荷注入阻
止層が設けられている。なお、帯電ブラシ910の金属
芯911は外部の直流電源903に接続され、主に電子
輸送材料921から有機感光層902に直接電子を注入
(つまり負帯電の電荷注入)することでOPC900を
帯電させている。また、一部の電子は有機感光層902
と直接接触するカーボンウイスカー920や導電性繊維
912から注入されても良く、またカーボンウイスカー
920から電子が電界放出によって引き出され有機感光
層902を帯電しても構わない。
【0115】ここで実施例1と同様に、カーボンウイス
カーの表面に吸着または化学結合された電子輸送材料9
21は、電子輸送材料921の電子親和力をEA (CT
M)、有機感光層902の電子親和力をEA (OPC)
とすると、 EA (OPC)<EA (CTM) となる電子親和力を持っている。
【0116】そのため、有機感光層902のLUMOは
電子輸送材料921のLUMOよりもエネルギー的に低
い準位になり、電子輸送材料921と有機感光層902
の間で電子に対するバリアが低くなり、電子が帯電ブラ
シ910から有機感光層902へスムーズに輸送され
る。その結果帯電効率が向上する。なお、有機感光層が
1層から構成される場合は、その層のLUMO、HOM
O、EA がLUMO(OPC)、HOMO(OPC)、
EA (OPC)に相当し、有機感光層が多層からなる機
能分離型のOPCの場合は、最表層のLUMO、HOM
O、EA がLUMO(OPC)、HOMO(OPC)、
EA (OPC)に相当する。一般的に負帯電の機能分離
型OPCの表面には電荷輸送層が配置されるので、LU
MO(OPC)、HOMO(OPC)、EA (OPC)
は電荷輸送層のLUMO,HOMO,EA である。
【0117】上記の条件を満たす電子輸送材料として
は、実施例1と同様に正帯電のOPCで用いられる電子
輸送材料等がある。一般的に正帯電OPCの電子輸送材
料として、上記化学式(1)〜(4)の化合物または、
その誘導体があるので、カーボンウイスカー920表面
に上記化合物または、その誘導体から選ばれた少なくと
も一つを含む電子輸送材料921を吸着または化学結合
させることによって、より効率的な電荷注入が可能にな
り、高い帯電電位が得られる。
【0118】なお、EA (OPC)<EA (CTM)と
するためには、OPCの有機感光層のEA (OPC)に
も影響されるが、一般的には上記化学式(1)〜(4)
の化合物に適切な置換基を導入し、LUMO(CTM)
のエネルギー準位を動かすことによって実現するのが良
い。また、上記化学式(1)〜(4)の化合物はOPC
で広く使用されているため、量産効果により材料コスト
が低く、カーボンウイスカー920表面に電子輸送材料
921を吸着または化学結合させるコストを抑制するこ
とができ、その結果帯電ブラシ910を安価に製造でき
る。
【0119】また、図9ではカーボンウイスカー920
の先端にのみ電子輸送材料921が吸着または化学結合
されているが、複数の電子輸送材料が吸着または化学結
合されていたり、またカーボンウイスカー920の側面
にも電子輸送材料が吸着または化学結合されていると、
有機感光層902と接触する電子輸送材料の数が増え、
カーボンウイスカーと有機感光層との間にバリアの低い
領域が広く形成できるのでより望ましい。
【0120】次に、本発明に用いられるカーボンウイス
カーについて説明する。カーボンウイスカーは炭素原子
から構成され、ほぼ完全にグラファイト化した繊維状の
物質であり、カーボンナノチューブよりも多様な結晶構
造を持っているが、グラファイトシートが繊維軸の周り
に幾重にも積み重なり、中空構造をしている場合が多
い。また、カーボンウイスカーの大きさは、直径が0.
1〜200μm、長さは数mm以下であり、大きさはカ
ーボンナノチューブよりも大きいが、カーボンナノチュ
ーブと同様に非常にアスペクト比の大きな針状の形態を
している。
【0121】また、カーボンウイスカーは不活性ガス中
でグラファイト棒を電極としてアーク放電を行うことに
よって合成される。また遷移金属を触媒としてベンゼン
やアセチレン等の炭化水素を熱分解することによっても
合成できる。合成されたカーボンウイスカーもカーボン
ナノチューブと同様に種々の不純物を含むため、精製を
行っても良い。カーボンナウイスカー920表面に電子
輸送材料921を吸着または化学結合させる方法に関し
ては、表面がカーボンナノチューブと同様にグラファイ
ト化しているため、実施例1と同様の方法を用いること
ができる。
【0122】次に、本例の帯電ブラシ910の作製法に
ついて説明する。基本的には、実施例1、2と同様に本
例の帯電ブラシ910も図4,5,8と同様な方法を用
いることができる。
【0123】例えば図4と同様な方法を用いる場合の作
製手順は、以下の(1)〜(4)のようになる。 (1)SUS,Al,Fe,Cu等の金属や合金からな
る金属芯に導電性繊維を電気植毛によって植え付ける。
導電性繊維としては直径が5〜20μmの導電性レーヨ
ン、導電性ナイロン、導電性ポリエステル等が使用で
き、植毛の密度としては一般的な帯電ブラシと同様に5
0〜300本/mm2 程度にするのが良い。繊維に導電
性を付与する方法としては、カーボンブラックや金属微
粒子を高分子繊維の中に分散させる方法もあるが、テト
ラシアノキノジメタン(TCNQ)等の電子受容性化合
物とテトラチアフルバレン(TTF)等の電子供与性化
合物から構成される電荷移動錯体を高分子ネットワーク
に置換し、高分子繊維全体に導電性を付与しても良い。
【0124】(2)その後、導電性繊維の先端にのみ導
電性接着剤を厚さ2〜10μmで塗布し、(3)静電力
を利用して、電子輸送材料が吸着または化学結合したカ
ーボンウイスカーを導電性繊維に吸い上げて接触させ、
(4)その後、導電性接着剤を熱硬化させ、電子輸送材
料が吸着または化学結合したカーボンウイスカーを固定
し、帯電ブラシを完成させる。
【0125】また、図5と同様な作製方法を用いた場合
の作製手順は、以下の(11)〜(14)のようにな
る。 (11)SUS,Al,Fe,Cu等の金属や合金から
なる金属芯に導電性繊維を電気植毛によって植え付け
る。(12)その後、導電性繊維の先端にのみポリメチ
ルフェニルシランを厚さ0.1〜3μmで塗布し、その
後超高圧水銀灯により波長400nm程度の光を照射
し、ポリメチルフェニルシラン140のSi−Si結合
を切断する。
【0126】(13)その後、イソプロピルアルコール
中に電子輸送材料が吸着または化学結合したカーボンウ
イスカーを分散させた溶液(以後IPA溶液と略す)中
に導電性繊維を浸漬し、金属芯に外部電源を接続し、A
l電極を対向電極として負電圧を印加して、電気泳動に
より電子輸送材料が吸着または化学結合したカーボンウ
イスカーを導電性繊維に接触させる。電子輸送材料が吸
着または化学結合したカーボンウイスカーは印加された
電界と平行な方向に移動し、導電性繊維に接触してSi
−Si結合の切れたポリメチルフェニルシランに突き刺
さり、固定化される。なお、金属芯の側面にある全ての
導電性繊維に電子輸送材料が吸着または化学結合したカ
ーボンウイスカーを固定化するためには、IPA溶液中
で金属芯を円周方向に回転させればよい。
【0127】(14)その後導電性繊維をIPA溶液か
ら引き上げ、イソプロピルアルコールを蒸発させ、帯電
ブラシを完成させる。
【0128】また、図8と同様な作製方法を用いた場合
の作製手順は、以下の(21)〜(23)のようにな
る。 (21)導電性繊維を製造するためレーヨン、ナイロ
ン、ポリエステル等の高分子樹脂にカーボンブラックま
たは金属微粒子を分散させるが、これらの分散と同時に
電子輸送材料を吸着または化学結合したカーボンウイス
カーを所望の配合比率で分散させる。
【0129】(22)その後、電子輸送材料を吸着また
は化学結合したカーボンウイスカーを分散させた高分子
樹脂を紡糸し、導電性繊維とする。紡糸の際に導電性繊
維の表面を研磨(繊維表面を研削)して、導電性繊維表
面に電子輸送材料を吸着または化学結合したカーボンウ
イスカーを突出させる。研磨プロセスでは遊離砥粒を用
いる。具体的には酸化セリウム、ウレタン等のパッドで
導電性繊維を挟み、導電性繊維に1〜500g/cm2
の荷重を印加し、その間に粒径1μmのアルミナを供給
し、導電性繊維を片側から引き出し研磨する。パッドは
導電性繊維の巻き取り速度により一段を使用するか、ま
たは対角上に設置した二段もしくは複数段を組み合わせ
て使用する。
【0130】電子輸送材料を吸着または化学結合したカ
ーボンウイスカーの分散量は表面突出密度が0.01本
/μm2 以上となる量を配合するのが望ましく、1本/
μm 2 以上となる量を配合すれば安定した帯電が可能で
ある。なお、正孔輸送材料を吸着または化学結合したカ
ーボンウイスカーの分散量としては1〜50wt%程度
が良い。なお、導電性繊維の直径は一般的な帯電ブラシ
と同様に5〜20μmとするのが良い。
【0131】(23)次にSUS,Al,Fe,Cu等
の金属や合金からなる金属芯に、電子輸送材料を吸着ま
たは化学結合したカーボンウイスカーが表面から突出し
ている導電性繊維を電気植毛によって植え付けて、帯電
ブラシを完成させる。植毛の密度としては一般的な帯電
ブラシと同様に50〜300本/mm2 程度にするのが
良い。なお、本例はロール状の帯電ブラシについて説明
したが、固定した帯電ブラシ(固定ブラシ)であっても
本発明の効果は同様に得られ、帯電ブラシの形状は何ら
問わないものとする。加えて図9の帯電ブラシ910は
直流電源903に接続されているが、電源は直流に限定
されるものではなく、直流と交流が重畳されていても構
わないものとする。また、本例に用いられるOPC90
0は負帯電のOPCであるから、実施例1と同様のもの
が使用できる。
【0132】<実施例6>次に、正帯電のOPCに用い
られるカーボンウイスカーを用いた接触型帯電器につい
て説明する。本発明の接触型帯電器の別の例を図10に
示す。図10は接触型帯電器の形状として帯電ブラシ
(固定ブラシ)を用いたものであり、正帯電のOPCに
用いられる。
【0133】本発明の帯電ブラシ(固定ブラシ)101
0は金属芯1011と導電性繊維1012が接続してお
り,さらに各々の導電性繊維1012にはカーボンウイ
スカー1020が保持され、カーボンウイスカー102
0の表面には電荷輸送材料1021(本例の場合は正孔
輸送材料)が吸着または化学結合している構造を持つ。
なお、ここで述べる化学結合とは共有結合やイオン結合
等を意味し、吸着とはvan der Waals 力や静電力等によ
る物理的な吸着を意味する。そして帯電ブラシ(固定ブ
ラシ)1010は主にカーボンウイスカー1020表面
に吸着または化学結合した正孔輸送材料1021で、O
PC1000の表面と接触している。なお、一部ではカ
ーボンウイスカー1020や導電性繊維1012が直接
OPC1000の表面と接触していても良い。
【0134】OPC1000はドラム形状のAl基体1
001と有機感光層1002から構成されており,必要
に応じてAl基体1001と有機感光層1002の間に
電荷注入阻止層が設けられている。帯電ブラシ(固定ブ
ラシ)1010の金属芯1011は外部の直流電源10
03に接続され,主に正孔輸送材料1021から有機感
光層1002に直接正孔を注入(つまり正帯電の電荷注
入)することでOPC1000を帯電させている。
【0135】なお、一部の正孔は有機感光層1002と
直接接触するカーボンウイスカー1020や導電性繊維
1012から注入されても良い。ここで実施例2と同様
に、カーボンウイスカーの表面に吸着または化学結合さ
れた正孔輸送材料1021は、正孔輸送材料1021の
イオン化ポテンシャルをIp(CTM)、有機感光層1
002のイオン化ポテンシャルをIp(OPC)とする
と、 Ip(OPC)>Ip(CTM) となるイオン化ポテンシャルを持っている。
【0136】そのため、有機感光層1002のHOMO
は正孔輸送材料1021のHOMOよりもエネルギー的
に高い準位になり、正孔輸送材料1021と有機感光層
1002の間で正孔に対するバリアが低くなり、正孔が
帯電ブラシ(固定ブラシ)1010から有機感光層10
02へスムーズに輸送される。その結果帯電効率が向上
する。
【0137】なお、有機感光層が1層から構成される場
合は、その層のLUMO、HOMO、IpがLUMO
(OPC)、HOMO(OPC)、Ip(OPC)に相
当し、有機感光層が多層構成からなるOPCの場合は、
最表層のLUMO、HOMO、IpがLUMO(OP
C)、HOMO(OPC)、Ip(OPC)相当する。
【0138】前記の条件を満たす正孔輸送材料としては
負帯電のOPCで用いられる正孔輸送材料等がある。一
般的に負帯電のOPCの正孔輸送材料はオキサジアゾー
ル誘導体、ピラゾリン誘導体、トリフェニルメタン誘導
体、オキサゾール誘導体、ヒドラゾン誘導体、トリアリ
ールアミン誘導体、ブタジエン誘導体、ポリシラン誘導
体がある。よってカーボンウイスカー1020に、これ
らの誘導体から選ばれた少なくとも一つを含む正孔輸送
材料1021を吸着または化学結合することによって、
より効率的な電荷注入が可能になり、高い帯電電位が得
られる。
【0139】なお、Ip(OPC)>Ip(CTM)と
するためには、OPCの有機感光層のIp(OPC)に
も影響されるが、一般的にはオキサジアゾール誘導体、
ピラゾリン誘導体、トリフェニルメタン誘導体、オキサ
ゾール誘導体、ヒドラゾン誘導体、トリアリールアミン
誘導体、ブタジエン誘導体、ポリシラン誘導体等に適切
な置換基を導入し、HOMO(CTM)のエネルギー準
位を動かすことによって実現するのが良い。
【0140】またオキサジアゾール誘導体、ピラゾリン
誘導体、トリフェニルメタン誘導体、オキサゾール誘導
体、ヒドラゾン誘導体、トリアリールアミン誘導体、ブ
タジエン誘導体、ポリシラン誘導体はOPCで広く用い
られているため、量産効果により材料コストが低く、カ
ーボンウイスカー1020表面に正孔輸送材料1021
を吸着または化学結合させるコストを抑制でき、その結
果帯電ブラシ(固定ブラシ)1010を安価に製造でき
る。
【0141】なお、本例においても実施例5と同種のカ
ーボンウイスカー1020が使用でき、またカーボンウ
イスカー1020と正孔輸送材料1021の吸着方法や
化学結合の方法は、実施例5と同様の方法が採用でき
る。また、本発明に用いられるOPC1000は光によ
って発生するキャリアのうち電子を用いるOPCである
ため、実施例2と同様なOPCが使用される。また、本
発明の帯電ブラシ(固定ブラシ)1010の作製法とし
ては,実施例5と同様の方法が採用できる。
【0142】<実施例7>カーボンウイスカーを用いた
負帯電用の帯電ブラシ(固定ブラシ)Cを以下のように
して作製した。電子輸送材料として上記化学式(4)の
化合物を用い、電子輸送材料をポリカーボネイト樹脂に
分散し、カーボンウイスカーを被覆した。その後、電子
輸送材料が吸着したカーボンウイスカーとカーボンブラ
ックをレーヨン樹脂に分散させ、直径10μmの導電性
レーヨン繊維に紡糸した。その後ウレタンパットとアル
ミナの遊離砥粒を用いて、導電性レーヨン繊維の表面を
研磨し、表面に電子輸送材料が共有結合したカーボンウ
イスカーを突出させた。そして導電性レーヨン繊維をパ
イル地にして、SUS製の金属板の片面に導電性接着剤
で貼り付け,帯電ブラシ(固定ブラシ)とした。帯電ブ
ラシ(固定ブラシ)Cの詳細を表2に示す。
【0143】
【表2】
【0144】帯電ブラシ(固定ブラシ)Cと−500V
の直流電源を、OPCを用いたレーザープリンターの帯
電システムとして搭載し,テスト信号の印刷を行った。
現像は白黒の2値現像とし、階調はドット数で表示し
た。帯電ブラシ(固定ブラシ)Cを載せたレーザープリ
ンターで印刷を行ったところ解像度、階調とも良好な結
果が得られた。またOPCの帯電プロセス中にオゾンや
NOX はほとんど検出されなかった。よって本発明の接
触型帯電器を搭載したレーザープリンターは、オゾンや
NOX を発生させないで、かつ帯電システムの外部電源
を低電圧化しつつ良好な画像記録が行えることが確認さ
れた。以上の結果から、本発明が提案した電荷輸送材料
を吸着または化学結合したカーボンウイスカーを保持し
た接触型帯電器は印刷機のトータルコストを低減でき
る。
【0145】
【発明の効果】請求項1に記載の接触型帯電器は、感光
体と接触する面にカーボンナノチューブが保持され、か
つカーボンナノチューブの表面に電荷輸送材料が吸着ま
たは化学結合されているため、OPCへの電荷注入にお
いて有機感光層とカーボンナノチューブの間のバリアを
小さくできる。その結果、より効率的な電荷注入が可能
になり、大きな帯電電位が得られる。
【0146】請求項2に記載の接触型帯電器は負帯電の
有機感光体に用いられる接触型帯電器であり、カーボン
ナノチューブの表面に吸着または化学結合している電荷
輸送材料は電子輸送材料であり、かつ電子輸送材料の電
子親和力をEA (CTM)、有機感光体の電子親和力を
EA (OPC)とすると、 EA (OPC)<EA (CTM) となる電子親和力を持っている。そのため、OPCのL
UMOは電子輸送材料のLUMOよりもエネルギー的に
低い準位になり、電子輸送材料とOPCの間で電子に対
するバリアが低くなり、電子が接触型帯電器からOPC
へスムーズに輸送される。その結果帯電効率が向上す
る。
【0147】請求項3に記載の接触型帯電器では、カー
ボンナノチューブの表面に吸着または化学結合している
電子輸送材料が、上記化学式(1)〜(4)の化合物ま
たは、その誘導体の少なくとも一つを含んでいる。これ
らの誘導体はOPCで広く使用されているため、量産効
果により材料コストが低い。その結果カーボンナノチュ
ーブに電子輸送材料を吸着または化学結合させるコスト
を抑制でき、接触型帯電器を安価に製造できる。
【0148】請求項4に記載の接触型帯電器は、正帯電
の有機感光体に用いられる接触型帯電器であり、カーボ
ンナノチューブの表面に吸着または化学結合している電
荷輸送材料は正孔輸送材料であり、かつ正孔輸送材料の
イオン化ポテンシャルをIp(CTM)、有機感光体の
イオン化ポテンシャルをIp(OPC)とすると、 Ip(OPC)>Ip(CTM) となるイオン化ポテンシャルを持っている。そのため、
OPCのHOMOは電子輸送材料のHOMOよりもエネ
ルギー的に高い準位になり、正孔輸送材料とOPCの間
で正孔に対するバリアが低くなり、正孔が接触型帯電器
からOPCへスムーズに輸送される。その結果帯電効率
が向上する。
【0149】請求項5に記載の接触型帯電器では、カー
ボンナノチューブの表面に吸着または化学結合している
正孔輸送材料が、オキサジアゾールおよびその誘導体、
ピラゾリンおよびその誘導体、トリフェニルメタンおよ
びその誘導体、オキサゾールおよびその誘導体、ヒドラ
ゾンおよびその誘導体、トリアリールアミンおよびその
誘導体、ブタジエンおよびその誘導体ならびに、ポリシ
ランおよびその誘導体から選ばれる少なくとも一つを含
んでいる。上記化合物および、その誘導体はOPCで広
く使用されているため、量産効果により材料コストが低
い。その結果、カーボンナノチューブに正孔輸送材料を
吸着または化学結合させるコストを抑制でき、接触型帯
電器を安価に製造できる。
【0150】請求項6に記載の接触型帯電器は電荷輸送
材料が吸着または化学結合したカーボンナノチューブが
導電性繊維に保持された帯電ブラシである。帯電ブラシ
は金属芯に多数の導電性繊維が植え付けられた構造をも
つ。また導電性繊維は先端の他に側面にもカーボンナノ
チューブを固定できる。そのため帯電ブラシは帯電ロー
ラー、帯電ブレードと比較しカーボンナノチューブの密
集度を著しく大きくできる。その結果カーボンナノチュ
ーブ表面に吸着または化学結合した電荷輸送材料とOP
Cとの接触面積を大きく取れ、より効率的な電荷注入が
可能になる。
【0151】請求項7に記載の接触型帯電器は、感光体
と接触する面にカーボンウイスカーが保持され、かつカ
ーボンウイスカーの表面に電荷輸送材料が吸着または化
学結合されているため、OPCへの電荷注入において有
機感光層とカーボンウイスカーの間のバリアを小さくで
きる。その結果、より効率的な電荷注入が可能になり、
大きな帯電電位が得られる。
【0152】請求項8に記載の接触型帯電器は負帯電の
有機感光体に用いられる接触型帯電器であり、カーボン
ウイスカーの表面に吸着または化学結合している電荷輸
送材料は電子輸送材料であり、かつ電子輸送材料の電子
親和力をEA (CTM)、有機感光体の電子親和力をE
A (OPC)とすると、 EA (OPC)<EA (CTM) となる電子親和力を持っている。そのため、OPCのL
UMOは電子輸送材料のLUMOよりもエネルギー的に
低い準位になり、電子輸送材料とOPCの間で電子に対
するバリアが低くなり、電子が接触型帯電器からOPC
へスムーズに輸送される。その結果帯電効率が向上す
る。
【0153】請求項9に記載の接触型帯電器では、カー
ボンウイスカーの表面に吸着または化学結合している電
子輸送材料が、上記化学式(1)〜(4)の化合物また
は、その誘導体の少なくとも一つを含んでいる。これら
の化合物および、その誘導体はOPCで広く使用されて
いるため、量産効果により材料コストが低い。その結
果、カーボンウイスカーに電子輸送材料を吸着または化
学結合させるコストを抑制でき、接触型帯電器を安価に
製造できる。
【0154】請求項10に記載の接触型帯電器は、正帯
電の有機感光体に用いられる接触型帯電器であり、カー
ボンウイスカーの表面に吸着または化学結合している電
荷輸送材料が正孔輸送材料であり、かつ正孔輸送材料の
イオン化ポテンシャルをIp(CTM)、有機感光体の
イオン化ポテンシャルをIp(OPC)とすると、 Ip(OPC)>Ip(CTM) となるイオン化ポテンシャルを持っている。そのため、
OPCのHOMOは電子輸送材料のHOMOよりもエネ
ルギー的に高い準位になり、正孔輸送材料とOPCの間
で正孔に対するバリアが低くなり、正孔が接触型帯電器
からOPCへスムーズに輸送される。その結果帯電効率
が向上する。
【0155】請求項11に記載の接触型帯電器では、カ
ーボンウイスカーの表面に吸着または化学結合している
正孔輸送材料が、オキサジアゾールおよびその誘導体、
ピラゾリンおよびその誘導体、トリフェニルメタンおよ
びその誘導体、オキサゾールおよびその誘導体、ヒドラ
ゾンおよびその誘導体、トリアリールアミンおよびその
誘導体、ブタジエンおよびその誘導体ならびに、ポリシ
ランおよびその誘導体から選ばれる少なくとも一つを含
んでいる。上記化合物および、その誘導体はOPCで広
く使用されているため、量産効果により材料コストが低
い。その結果カーボンウイスカーに正孔輸送材料を吸着
または化学結合させるコストを抑制でき、接触型帯電器
を安価に製造できる。
【0156】請求項12に記載の接触型帯電器は電荷輸
送材料が吸着または化学結合したカーボンウイスカーが
導電性繊維に保持された帯電ブラシである。帯電ブラシ
は金属芯に多数の導電性繊維が植え付けられた構造をも
つ。また導電性繊維は先端の他に側面にもカーボンウイ
スカーを固定できる。そのため帯電ブラシは帯電ローラ
ー、帯電ブレードと比較しカーボンウイスカーの密集度
を著しく大きくできる。その結果カーボンウイスカー表
面に吸着または化学結合した電荷輸送材料とOPCとの
接触面積を大きく取れ、より効率的な電荷注入が可能に
なる。
【0157】請求項13に記載の画像形成装置は、感光
体と接触する面にカーボンナノチューブまたはカーボン
ウイスカーが保持され、かつカーボンナノチューブまた
はカーボンウイスカーの表面に電荷輸送材料が吸着また
は化学結合している接触型帯電器を搭載しているので、
OPCへ効率的な電荷注入が行え、高い帯電電位が確保
できる。そのため外部電源を低電圧化しても良好な画像
記録が行える。また帯電プロセス中にオゾンやNOX
発生しないため、環境への悪影響が無く、かつOPCの
劣化を抑制できる。更に、微小空隙でのコロナ放電によ
ってOPCを帯電させる場合も、カーボンナノチューブ
またはカーボンウイスカーを用いることによって放電開
始電圧が低くなるので、外部電圧の低電圧化を実現でき
る。その結果帯電プロセス中でのオゾンやNOX を抑制
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の接触型帯電器の一例(帯電ブラシ)を
示す模式的断面図である。
【図2】本発明の電子輸送材料のバンドを表す概略図で
ある。
【図3】カーボンナノチューブへの官能基導入方法の一
例を示す説明図である。
【図4】本発明に係る帯電ブラシの作製方法の一例を示
す工程説明図である。
【図5】本発明に係る帯電ブラシの作製方法の別例を示
す工程説明図である。
【図6】本発明の接触型帯電器の別例(固定ブラシ)を
示す模式的断面図である。
【図7】本発明の正孔輸送材料のバンドを表す概略図で
ある。
【図8】本発明に係る帯電ブラシ(固定ブラシ)の作製
方法の別例を示す工程説明図である。
【図9】本発明の接触型帯電器の別例(帯電ブラシ)を
示す模式的断面図である。
【図10】本発明の接触型帯電器の別例(固定ブラシ)
を示す模式的断面図である。
【図11】従来の帯電ローラーの性能を示すグラフであ
って、相対湿度をパラータとする、印加電圧と有機感光
体の帯電電圧との関係を示すものである。
【図12】従来の接触型帯電器の一例(帯電ブラシ)を
示す模式的断面図である。
【図13】従来の接触型帯電器の別例(磁気ブラシ)を
示す模式的断面図である。
【符号の説明】
100 OPC 101 Al基体 102 有機感光層 103 直流電源 110 帯電ブラシ 111 金属芯 112 導電性繊維 120 カーボンナノチューブ 121 電荷輸送材料 130 導電性接着剤 140 ポリメチルフェニルシラン 141 IPA溶液 142 対向電極 143 直流電源 600 OPC 601 Al基体 602 有機感光層 603 直流電源 610 帯電ブラシ(固定ブラシ) 611 金属芯 612 導電性繊維 620 カーボンナノチューブ 621 電荷輸送材料(正孔輸送材料) 630 高分子樹脂 900 OPC 901 Al基体 902 有機感光層 903 直流電源 910 帯電ブラシ 911 金属芯 912 導電性繊維 920 カーボンウイスカー 921 電荷輸送材料(電子輸送材料) 1000 OPC 1001 Al基体 1002 有機感光層 1003 直流電源 1010 帯電ブラシ(固定ブラシ) 1011 金属芯 1012 導電性繊維 1020 カーボンウイスカー 1021 電荷輸送材料(正孔輸送材料) 2100 感光体 2101 Al基体 2102 有機感光層 2103 直流電源 2110 帯電ブラシ 2111 導電性繊維 2211 マグネットロール 2213 磁性導電粒子 2214 磁性導電粒子 2215 磁性導電粒子(粒径大) 2216 磁性導電粒子(粒径小)

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 感光体表面と接触し、感光体に電圧を印
    加することによって該感光体に所定の表面電位を与える
    接触型帯電器において、前記感光体との接触面にカーボ
    ンナノチューブが保持され、かつ該カーボンナノチュー
    ブの表面に電荷輸送材料が吸着または化学結合されてい
    ることを特徴とする接触型帯電器。
  2. 【請求項2】 前記接触型帯電器が負帯電の有機感光体
    に用いられる接触型帯電器であり、前記電荷輸送材料が
    電子輸送材料であり、かつ電子輸送材料の電子親和力を
    EA (CTM)、有機感光体の電子親和力をEA (OP
    C)とすると、次式:EA (OPC)<EA (CTM)
    の関係が成立つことを特徴とする請求項1記載の接触型
    帯電器。
  3. 【請求項3】 前記電子輸送材料が下記の化学式(1)
    〜(4)で表される化合物または、その誘導体から選ば
    れる少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項2記
    載の接触型帯電器。 【化1】 【化2】 【化3】 【化4】
  4. 【請求項4】 前記接触型帯電器が正帯電の有機感光体
    に用いられる接触型帯電器であり、前記電荷輸送材料が
    正孔輸送材料であり、かつ正孔輸送材料のイオン化ポテ
    ンシャルをIp (CTM)、有機感光体のイオン化ポテ
    ンシャルをIp (OPC)とすると、次式:Ip (OP
    C)>Ip (CTM)の関係が成立つことを特徴とする
    請求項1記載の接触型帯電器。
  5. 【請求項5】 前記正孔輸送材料が、オキサジアゾール
    およびその誘導体、ピラゾリンおよびその誘導体、トリ
    フェニルメタンおよびその誘導体、オキサゾールおよび
    その誘導体、ヒドラゾンおよびその誘導体、トリアリー
    ルアミンおよびその誘導体、ブタジエンおよびその誘導
    体ならびに、ポリシランおよびその誘導体から選ばれる
    少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項4記載の
    接触型帯電器。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の接触型
    帯電器において、前記帯電器が金属芯と導電性繊維から
    なる帯電ブラシであり、該導電性繊維に前記カーボンナ
    ノチューブが保持されていることを特徴とする接触型帯
    電器。
  7. 【請求項7】 感光体表面と接触し、感光体に電圧を印
    加することによって該感光体に所定の表面電位を与える
    接触型帯電器において、前記感光体との接触面にカーボ
    ンウイスカーが保持され、かつ該カーボンウイスカーの
    表面に電荷輸送材料が吸着または化学結合されているこ
    とを特徴とする接触型帯電器。
  8. 【請求項8】 前記接触型帯電器が負帯電の有機感光体
    に用いられる接触型帯電器であり、前記電荷輸送材料が
    電子輸送材料であり、かつ電子輸送材料の電子親和力を
    EA (CTM)、有機感光体の電子親和力をEA (OP
    C)とすると、次式:EA (OPC)<EA (CTM)
    の関係が成立つことを特徴とする請求項7記載の接触型
    帯電器。
  9. 【請求項9】 前記電子輸送材料が下記の化学式(1)
    〜(4)で表される化合物または、その誘導体から選ば
    れる少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項8記
    載の接触型帯電器。 【化5】 【化6】 【化7】 【化8】
  10. 【請求項10】 前記接触型帯電器が正帯電の有機感光
    体に用いられる接触型帯電器であり、前記電荷輸送材料
    が正孔輸送材料であり、かつ正孔輸送材料のイオン化ポ
    テンシャルをIp (CTM)、有機感光体のイオン化ポ
    テンシャルをIp (OPC)とすると、次式:Ip (O
    PC)>Ip (CTM)の関係が成立つことを特徴とす
    る請求項7記載の接触型帯電器。
  11. 【請求項11】 前記正孔輸送材料が、オキサジアゾー
    ルおよびその誘導体、ピラゾリンおよびその誘導体、ト
    リフェニルメタンおよびその誘導体、オキサゾールおよ
    びその誘導体、ヒドラゾンおよびその誘導体、トリアリ
    ールアミンおよびその誘導体、ブタジエンおよびその誘
    導体ならびに、ポリシランおよびその誘導体から選ばれ
    る少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項10記
    載の接触型帯電器。
  12. 【請求項12】 請求項7〜11のいずれかに記載の接
    触型帯電器において、前記帯電器が金属芯と導電性繊維
    からなる帯電ブラシであり、該導電性繊維に前記カーボ
    ンウイスカーが保持されていることを特徴とする接触型
    帯電器。
  13. 【請求項13】 請求項1〜12のいずれかに記載の接
    触型帯電器を搭載したことを特徴とする画像形成装置。
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