JP3714567B2 - 電子写真装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はa−Siドラムを用いたプリンタ、複写機、ファクシミリ等の電子写真装置に適用される発明に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より感光体ドラム外周面上に、露光、現像、転写、クリーニング(残留トナー除去)、除電、及び帯電の各プロセス手段を配置し、所定の電子写真プロセスにより画像形成を行なう、いわゆるカールソンプロセスに基づく電子写真装置は周知である。
【0003】
この種の電子写真装置においては、感光体表面に均一帯電を図るために一般にコロナ放電を利用して帯電を行っているが、コロナ放電は一般に4〜8KV以上の高電圧をワイヤ印加する必要があり、この為前記コロナ放電によってオゾンやその放電生成物である窒素酸化物やアンモニウム塩が発生し、これらが感光体表面に吸着して画像流れが生じ易くなる。そして前記画像流れは、高湿度環境下において著しい。
【0004】
かかる欠点を解消するために、感光体ドラム上に導電性ローラを接触させ、該導電性ローラに直流電圧を印加して暗所で感光体ドラムの接触帯電を行うように構成したローラ帯電方式が存在する。
しかしながらかかる帯電方式においても、感光体ドラムと帯電ローラとの間に微小楔状空隙が存在するために、その部分で僅かながら放電現象が生じ、オゾンの発生が認められ、前記した欠点を必ずしも解消し得ない。
【0005】
かかる欠点を解消するために、前記帯電手段に粒子帯電手段を用いた技術も開示されているが、粒子帯電手段は感光体側を開口した状態で粒子を帯電容器内に収納せねばならず、その取扱いが煩雑化するのみならず、粒子が感光体と常に摺擦されながら均一帯電を行うために、粒子の疲労が生じやすく、やはり耐久性に乏しい。
このため現状の技術では、コロナ放電器若しくは帯電ローラを用いる技術が主流となっている。
【0006】
一方電子写真装置に用いる感光体ドラムには近年耐久性の向上とフリーメインテナンス化を図るために、a−Siドラムを用いているものがあるが、a−Siは、OPCその他の有機半導体に比較して表面が硬く削れにくいため付着物が表面に付着して、該付着物が吸湿する為前記画像流れはa−Siドラムに多く発生しやすい。
そこで従来技術においては前記感光体ドラムの背面側にシートヒータその他のヒート体を配し、感光体ドラムを加熱する事により前記画像流れの発生を防止している。
【0007】
しかしながらヒータを設ける事は熱制御手段等も必要となりその構成が煩雑化するのみならず、特に複写機、プリンターの小型化、パーソナル化の中でヒーターを用いると、該システムが複雑になってしまう。また、ヒーターの昇温には一定の時間を要し、電源を入れてからプリントするまでの時間(ウォームアップタイム)が長く、そのための消費電力を要する。また、感光体を加熱すると、トナーのTG温度(ガラス転移温度)近くまで昇温されるために、感光体表面にトナーが固着してしまう。という種々の問題が発生する。
【0008】
かかる欠点を解消する為に、感光体ドラム側の特に表面層に着目した技術が種々開発されている。
例えば、特開昭62−272275号公報には、a−Si系光導電層が表面層により被覆され、その表面層がシリコン(Si)とCを主体とし、酸素(O)・水素(H)およびフッ素(F)を含むアモルファス材料からなり且つその動的押込み硬さが300Kgf/mm2 〜1000Kgf/mm2 に設定した感光体ドラムが提案されている。
【0009】
この理由は表面層の動的押込み硬さが、1000Kgf/mm2 以上と大きいときには表面層中のSi含有率が高く、化学的影響を受けやすくなり、前記した画像不良が発生しやすくなる。
又、300Kgf/mm2 以下と小さいときには表面層中のC含有率が高く、光導電性が悪くなって残留電位が大きくなり、さらに硬度がかなり小さくなるために、画像複写プロセスによる表面層の摩耗が大きくなって画像不良が発生しやすくなるとしている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら前記従来技術には、次のような問題が生じる。
その第1は前記従来技術は感光体ドラムの表面層のみに言及して感光体ドラムのいわゆるヒータレス化を実現しているが、画像流れは表面層のみで生じるのではなく、表面層と光導電層との関係、及び表面層を介した光導電層とプロセス手段との関係によって定まるものである。
従って感光体ドラムの表面層のみを特定して感光体ドラムのいわゆるヒータレス化を実現するには実用上種々の困難がある。
【0011】
又前記従来技術は感光体ドラムの表面層の摩耗を避けつつ、特に高湿化に起因する画像流れを阻止しようとしているが、画像流れは帯電時における放電現象に伴うオゾン発生等による感光体表面の劣化や放電生成物のドラム付着により、感光体表面の吸湿性が高くなり、高湿環境下においてドラム表面抵抗が低下し、感光体表面電位が低下して発生するもので、例え表面層を工夫しても該表面層に放電生成物が生成し、経時的にその堆積物の生成度合いによって画像流れが発生し、長期に安定した画像形成が困難になる。
【0012】
一方本出願人は、前記した感光体ドラムのヒータレス化を図るために、基体上に支持された光導電層に放電現象を含んで均一帯電を行った後、該光導電層に露光像を書込みながら反転現像により画像形成を行う電子写真装置において、
前記光導電層を25μm以下、好ましくは2〜20μmの膜厚からなるa−Si層で形成すると共に、前記帯電により生成される光導電層の表面電位を略360V以下に設定したことを特徴とする電子写真装置を提案している(特開平7−17526号)。
【0013】
しかしながらかかる従来技術においても表面層と光導電層との関係については何等言及していない。
又表面電位も略360V以下に限定しており、いわゆる低電界現像方式以外の適用には大きな制限となる。
【0014】
本発明の目的は、a−Siドラムを用い、特にコロナ放電器や帯電ローラ、更には帯電ブラシのように、放電現象を含んで感光体に均一帯電を行った電子写真装置においても画像流れやかぶりが生じることなく鮮明画像を形成し得る電子写真装置を提供する事である。
【0015】
本発明の他の目的は、a−Siドラムを用いた電子写真装置において構成の簡単化や安全性を配慮しつつ、又温度等の環境変動によってもかぶりや画像流れが発生することなく鮮明画像を形成し得る電子写真装置を提供する事にある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、基体上に光導電層及び表面層を積層被覆してなる電子写真感光体と、前記感光体に形成された潜像に選択的にトナーを付着させて現像を行う電子写真装置において、
前記感光体の表面層が、元素比率組成式(a - Si l-x C x :H)として表された場合、xが0.95≦x<1であって、且つ該表面層の最表面側より光導電層側の奥側が硬度が大きく設定した電子写真感光体と、
前記感光体表面を研磨しながら摺擦させる弾性力を有した摺擦ローラとを具え前記表面層を二層構成にし最表面の第二層領域の動的押込み硬さが50〜200Kgf/mm 2 であり且つその奥側の第一層領域の動的押込み硬さを300Kgf/mm 2 以上に設定し、
更に前記第一層領域と第二層領域を加えた表面層の厚みを0.4〜1.2μmに設定するとともに、前記第二層領域の厚みが800〜3000(オングストローム)に設定したことを特徴とする。
そして前記研磨剤が、導電性酸化チタンであり、その粒度を0.05〜5μmに設定するのがよい。
【0017】
また、前記摺擦ローラを、内部に等極で4極以上であって、前記摺擦ローラ表面で60ガウス以上の磁力を磁力を有する磁石を内臓したり、
また、前記摺擦ローラを、前記感光体より速い周速で回転するように構成したり、
また、前記摺擦ローラが前記感光体に接触するニップ幅は1mm以上に設定することは、本発明の有効な手段である。
【0018】
本発明はこのように構成しているので、画像流れやかぶりが生じることなく鮮明画像を形成し得る電子写真装置を提供することができる。
この理由を説明するために、先ず、画像流れの原因について説明する。
図1Aに拡大してい示すよううに、a−Si感光体においては一般にアルミ円筒からなる導電性基体1a上に光導電層1b、及び表面層1cが積層されて形成されており、表面層1cは、α−SiC系の無機高抵抗若しくは絶縁材料を用い、前記光導電層1b上における表面電位Voと潜像電位分布の維持を図っている。
【0019】
従って、前記表面層1cに電子写真プロセス中のコロナ放電により生成される硝酸イオンやアンモニウムイオン等の放電生成物が吸着されて、それらが高温高湿環境下で光導電層1b上における表面電位Voと潜像電位分布に基づいて表面層1c上に形成される潜像電荷が表面方向に移動し、電荷流れ即ち画像流れが生じる。
また、連続プリントによって感光体表面が酸化劣化し、親水性を示すようになることも画像流れの要因とも考えられる。
【0020】
さらに画像流れを防止しつつ、鮮明画像を得るためには、感光体ドラムと現像剤との関係についても検討する必要がある。
即ち、前記した電子写真装置の場合、現像剤には高抵抗若しくは絶縁トナーを用いて潜像の顕像化を行っているが、トナーの成分に結露や含湿等があった場合、これが感光体ドラム表面層1cに付着した場合に、画像流れが生じてしまう。
【0021】
そこで本発明は、光導電層1b、表面層1c、及び摺擦ローラ等を効果的に組合せ、画像流れやかぶりが生じることなく鮮明画像を形成し得る電子写真装置を提供するものである。
【0024】
また、本発明は前記した放電生成物が吸着した場合、これを積極的に除去する為に研磨を行う。そして、放電生成物の除去を有効に行う手段として、前記感光体表面層をも研磨できるように最表面の動的押込み硬さが300Kgf/mm2 以下に硬度設定を行った事を特徴とする。
そして、最表面側より光導電層側の奥側が硬度が大きく、好ましくは奥側に進むに連れ徐々に硬度が大きくなるように設定しているので、徐々に削れ量が少なくなり、高寿命及び高耐久性を維持する事が可能となる。
【0025】
また、前記摺擦ローラを、内部に等極で4極以上であって、前記摺擦ローラ表面で60ガウス以上の磁力を有する磁石を内臓した場合は、トナーをより均一に前記摺擦ローラの周面に保持できるために感光体表面の放電生成物を良好に除去することができる。
また、前記摺擦ローラを、前記感光体より速い周速で回転するように構成した場合は、感光体の前記放電生成物が除去される面積に対して摺擦ローラが摺接する面積が広く、たとえ摺擦ローラの周面におけるトナーの保持密度に差が生じたとしても、摺擦度合いは平均化され、良好な前記放電生成物の除去を行うことができる。
また、前記摺擦ローラが前記感光体に接触するニップ幅は1mm以上に設定することにより、前記摺擦ローラの有効な摺擦面を保持でき、良好な摺擦が維持できる。
【0026】
かかる構成を取ることにより、光導電層1bを支持する基体内にヒータを内蔵しない状態でも、画像流れが生じることなく画像形成を行うことが可能となる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
【0028】
図1は本発明が適用される電子写真装置を示し、図上時計回りに回転するa−Si感光体ドラム1の周囲に、回転方向に沿って露光用LEDヘッド2及びセルフォックレンズ3からなる光学系、現像ユニット4、転写ローラ5、クリーニングブレード6、除電ランプ7、及び帯電ユニット8が配設されている。
【0029】
次に夫々の各構成要素について説明する。
感光体ドラム1は、Aに示すように、導電性支持体1a上に光導電層1b、及び表面層1cが積層されて形成されており、導電性支持体1aと光導電層1bの間にはキャリア注入阻止層1eを、又光導電層1bと表面層1cの間には遷移層1fが、夫々介挿されている。
前記支持体1aは、一般にはアルミ性の円筒体を用いるが、SUS、Ti、Ni、Au、Ag等の金属材料、表面に導電膜を被着させたガラス等無機材料や、エポキシ等の透明な樹脂等で形成され、本実施例においては肉厚が3mmで外周径を30mmに設定すると共に、軸方向に254mmの長さを有するアルミ製円筒体を用いている。
【0030】
前記キャリア注入阻止層1eは光導電層1bの材料に応じ種々のものを用いるが、光導電層1bにa−Si系材料を用いた場合には、a−Si系のキャリア注入阻止層1eとするのが良い。
【0031】
又前記a−Si系光導電層1bは、グロー放電分解法、スパッタリング法、ECR法、蒸着法等により膜形成し、その形成にあたって、ダングリングボンド終端用の元素、例えば(H)やハロゲンを5〜40wt%含有させるのがよい。
即ち、光導電層1bにはa−Si:Hからなる光導電体を用い、そして現像バイアスが正の場合には電子の移動度を高める為、ノンドープ又はVa族元素を含有させ、又現像バイアスが負の場合には正孔の移動度を高めるため、IIIa族元素を含有させるのが好ましい。又必要に応じて暗導電率や光導電率等の電気的特性、光学的バンドギャップ等について所望の特性を得るために、C、O、N等の元素を含有させても良い。
【0032】
そして、前記光導電層1b全体の膜厚は、必要な帯電および絶縁耐圧の確保や、露光された光の吸収や前記した残留電位の抑制等から3〜50μm程度にするのがよい。
【0033】
又、表面層1cはグロー放電分解法、スパッタリング法、ECR法、蒸着法等により膜形成され、元素比率組成式(a-Si1-xCx:H)として表された場合、xが0.95≦x<1であって、且つ最表面(自由表面層)の動的押込み硬さが50〜200Kgf/mm2 である水酸化アモルファスシリコンカーバイトから構成され、特にその抵抗値を1012〜1013Ω・cm範囲の抵抗値に設定する。
そして前記表面層1cは最表面側より光導電層1b側の奥側に進むに連れ徐々に硬度が大きくなるように設定する。
【0034】
そして前記のような硬度の勾配(最表面側より光導電層1b側の奥側に進むに連れ徐々に硬度が大きくなるような勾配)を付けるには、例えば前記表面層1cをグロー放電分解法で成膜する場合においては、原料ガスにおいてSi含有ガスに対するC含有ガスの比率を経時的に徐々に大きくする、成膜形成時のガス圧力を徐々に高くする、原料ガスの水素ガスによる希釈率を徐々に小さくする、放電電力を徐々に小さくする、アルミ円筒ドラムの基体温度を徐々に低くする等の手段で形成される。
【0035】
表面層1cの厚みとしては、0.4〜1.2μm、好適には0.5〜0.8μmがよい。
後記するように表面層1cは研磨を行う為に、0.4μm以下では十分なる硬度勾配を得られず、耐久性が低下し印刷枚数の増加にともない画像スジ等が発生する。又1.2μm以上では光導電層1b側の残留電位が高くなり、画像かぶり等が発生しやすい。
【0036】
又光導電層1bと表面層1cとの間には、a−SiC:H中のC含有量を表面層1c中のC含有量よりも小さくした遷移層1fを設けるとよい。
またこの遷移層1fのC含有量は、その層中で変化させて含有量の勾配を有するようにしても良い。このような遷移層1fを設ける事により、光導電層1bで生成された光キャリアの走行がスムーズになって、光感度が高く、残留電位が低くなり、画像特性も良好なものになる。
このような遷移層1fの厚みは1μm以下、好適には0.05〜0.5μmの範囲に設定される。
【0037】
又前記表面層1cは一層構成でなく二層構成にしても良い。
例えば、表面層1cに、光導電層1b側の第一層領域1c1 と自由表面側の第二層領域1c2 を具備せしめ、前記第二層領域1c2 を元素比率組成式(a-Sil- xCx:H)として表された場合、xが0.95≦x<1であって、且つ動的押込み硬さが50〜200Kgf/mm2 、厚みが800〜3000(オングストローム)に設定し、Bに示すように、その奥側の第一層領域1c1 の硬度を第二層領域1c2 より大、具体的には研磨剤等が使用された場合でも研磨で摩耗しない程度の硬度である、動的押込み硬さを300Kgf/mm2 以上にするのがよい。
これにより複写プロセス毎に独立した摺擦手段により、前記第二層領域1c2 を適度に研磨して第2層領域の表面に吸着した放電生成物などの除去を行い、そして表面が平滑化された段階でその研磨が奥側の第一層領域1c1 で阻止され、これにより一層の長寿命化が達成される。
【0038】
そして、前記第一層領域1c1 は、第二層領域1c2 を加えた表面層1cの厚みを0.4〜1.2μm、好適には0.5〜0.8μmの範囲で任意に設定される。
【0039】
尚、本実施例においては容量結合型グロー放電分解装置を用いて、前記a−Si:H光導電層1bとa−SiC表面層1cとを順次積層し、光導電層1bの層厚が例えば夫々15、25、40、60μm厚みの層を有するように感光体ドラム1を作製することができる。この場合表面層1cは第1層領域と第2層領域を設ける事なく一層で形成し、その膜厚は0.6μmに設定する。
【0040】
又露光用LEDヘッド2には露光波長が685nmのヘッドアレイを用い、これをダイナミック駆動にて一走査ライン毎に64ビット×40回分割露光するように構成する。
【0041】
現像ユニット4は、キャリアとトナーからなる複数成分現像剤が収納された現像容器41と固定磁石集成体43が収納された現像ローラ42からなり、該ローラ42に例えば50〜1200Vの間で任意に設定できる直流現像バイアス電源44を接続して、現像を行うように構成する。本発明は必ずしも二成分現像に限定されるものではない。
【0042】
そして前記キャリアには平均粒径70μmのフェライトキャリアを用いたが、キャリアはこれに限らず、必ずしもフェライトキャリアに限定される事なく鉄粉、マグネタイト等のキャリアや磁性樹脂キャリアを用いてもよい。
【0043】
又トナーは通常の高抵抗若しくは絶縁性トナーが用いられ、例えば、バインダー樹脂、着色剤、電荷制御剤、オフセット防止剤などに、磁性体を添加してその平均中心粒度は5〜15μm前後の磁性トナーとして構成し上記のキャリアとトナーと適正混合比を例えば85〜90:15〜10重量%に設定する。
尚、前記トナーに研磨剤兼流動剤として比表面積が40〜60(m2 /g)、抵抗度103 (Ω・cm)、疎水化度0%、水分1.0%、表面処理Sdドープ(SiO2 )からなり、平均粒度を0.1μmに設定した導電性酸化チタン(以下A研磨剤という)を添加したトナー(以下Aトナーという)、又比表面積が10〜15(m2 /g)、抵抗度103 (Ω・cm)、疎水化度0%、水分0.5%、表面処理Sdドープ(SiO2 )からなり、平均粒度を0.3μmに設定した導電性酸化チタン(以下B研磨剤という)を添加したトナー(以下Bトナーという)の2つのトナーが使用される。
【0044】
転写ローラ5は転写効率を上げるために導電性ローラを用い、前記トナーの帯電電位と逆極性の転写バイアスを印加させるとともに、前記感光体ドラム1周面に均一に圧接し、該ドラム1と同期して回転可能に構成する。
【0045】
摺擦ローラ9は、周表面を覆うウレタンスポンジで成形された弾性体11と、シャフト10との間に介在する内部磁石12a〜12dとにより回転可能に構成される。
尚、前記弾性体11のウレタンスポンジは発泡率1インチ当たり30〜80セルを使用し、また、前記磁石12は等極4極以上の300〜700ガウスが使用される。
また、摺擦ローラ9と感光体1はお互いの接触位置で同じ方向に回転し、摺擦ローラ9と感光体1の前記接触位置での周速比は、感光体1に対して摺擦ローラ1.2以上に設定される。そして、前記接触位置での摺擦ローラ9のニップ幅は1〜2mmに設定される。
【0046】
帯電ユニット8にはすでに公知であるコロトロン方式の帯電器にて感光体上に均一に帯電させた。図中81はコロナ放電線、82は制御グリッド、83は放電バイアス、84は帯電制御バイアスである。
【0047】
本実施例はこのように構成されているので、前記転写ローラ5に転写されない磁性トナーの残留トナーは、内部磁石12により摺擦ローラ9の弾性体11の周面に均一に保持されるとともに、摺擦ローラ9は感光体1との接触位置において、感光体1より周速度が速く回転しているので、トナーに含まれている研磨剤が感光体1の表面を研磨する。
【0048】
そして、クリーニングブレード6により残留トナーは削り取られ、帯電装置8は、帯電制御バイアスを150Vから1200V前後の間で適宜バイアスに設定されているので、この高電圧の放電バイアスを印加させる事により、感光体ドラム1表面電位Voを上記の設定値に帯電させた後、露光ヘッド2により所定の潜像を露光させた後、現像ユニット4により該潜像にトナー像を付着させた後、転写ローラ5に転写させる。
【0049】
以上詳述したように、本実施例は、感光体の表面層に付着する放電生成物を削除することを前提とするものである。
そこで本発明は画像形成初期において前記した放電生成物が吸着した場合、これを積極的に除去する為に摺擦ローラにより研磨を行う。言い換えれば、放電生成物を除去するには、感光体表面層を研磨できることが望ましく、積極的に研磨が行えるように最表面の動的押込みを50〜200Kgf/mm2に硬度設定を行った事を要旨とする。
また研磨する手段として、トナーに添加された研磨剤と、摺擦ローラを用いることによって、前記微小凹凸を有する感光体の表面層1cを研磨しながら画像形成を行うように構成する。
【0050】
したがって、感光体表面層1cの微小凹凸のくぼみに、吸着されるコロナ放電により生成される硝酸イオンやアンモニウムイオン等の放電生成物がを研磨により除去できるために、吸着され画像流れやかぶりを生じることがない。
【0051】
そして更に本実施例は、表面層1cの最表面より光導電層1bに接する奥側に向け硬度を大きくするように構成することが望ましく、この構成から、徐々に削れ量が少なくなり、高寿命及び高耐久性を維持する事が可能となる。
即ち前記研磨により表面が平滑化して前記した分子端や微小凹凸が除去され、放電生成物の吸着を抑制し得る。
そして更に本発明はコロナ放電によってaーSi表面層1cに生成した酸化膜の発生を抑制するため、感光体表面層1cのアモルファスカーボンの比率を高める為に、元素比率組成式(a-Sil-xCx:H)として表された場合、xが0.95≦x<1に設定している。
【0052】
したがって、本実施例は表面層1cを研磨し、該研磨により表面を平滑化させる事が前提であり、従って表面層1cを研磨する研磨剤は、粒度を0.05〜5μm、好ましくは0.1〜3μmの範囲に設定した研磨剤を用いるのが良い。
【0053】
また、前記摺擦ローラを、内部に等極で4極以上であって、前記摺擦ローラ表面で60ガウス以上の磁力を有する磁石を内臓した場合は、研磨剤を含有した磁性トナーをより均一に前記摺擦ローラの周面に保持できるために感光体表面を良好に摺擦し、研磨し、放電生成物を除去することができる。
また、前記摺擦ローラを、前記感光体より速い周速で回転するように構成した場合は、感光体が摺擦し、研磨される面積に対して摺擦ローラが摺擦し、研磨する面積が広く、たとえ摺擦ローラの周面における磁性トナーの保持密度に差が生じたとしても、摺擦し、研磨する度合いは平均化され、良好に放電生成物の除去を行うことができる。
また、前記摺擦ローラが前記感光体に接触するニップ幅は1mm以上に設定することにより、前記摺擦ローラの有効な摺擦、研磨面を保持でき、良好な放電生成物除去を行うことができる。
【0054】
かかる構成を取ることにより、光導電層1bを支持する基体内にヒータを内蔵しない状態でも、画像流れが生じることなく画像形成を行うことが可能となる。従って本実施例によればヒータを用いずに画像形成を行ってもかぶり等が生じることがないために、消費電力の大幅低減のほかに、ヒータ、ドラム表面温度を検知するサーミスタ、該サーミスタよりの検知温度に基づくヒータ制御回路等の電装部品の低減と回路構成が簡単化するとともに、前記ヒータを用いない為にウオーミングアップタイムが不用となり、装置立上げ時間を大幅に低減させることが出来る。
【0055】
【発明の効果】
以上記載したごとく本発明によれば、a−Siドラムを用い、又コロナ放電器や帯電ローラ、更には帯電ブラシのように、放電現象を含んで感光体に均一帯電を行うた電子写真装置において画像流れやかぶりが生じることなく鮮明画像を形成し得る。
【0056】
又本発明によれば、a−Siドラムを用いた電子写真装置において構成の簡単化や安全性を配慮しつつ、又温度等の環境変動によってもかぶりや画像流れが発生することなく鮮明画像が形成し得る、
等の種々の著効を有す。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される電子写真装置を示す概略図である。
【符号の説明】
1 感光体ドラム
1a 導電性基体
1b 光導電層
1c 表面層
1c1 第一層領域
1c2 第二層領域
2 露光用ヘッド
3 光学系
4 二成分現像ユニット
41 現像容器
8 帯電装置
9 摺擦ローラ
11 弾性体
12 内部磁石(12a〜12d)
Claims (1)
- 基体上に光導電層及び表面層を積層被覆してなる電子写真感光体と、前記感光体に形成された潜像に選択的にトナーを付着させて現像を行う電子写真装置において、
前記感光体の表面層が、元素比率組成式(a - Si l-x C x :H)として表された場合、xが0.95≦x<1であって、且つ該表面層の最表面側より光導電層側の奥側が硬度が大きく設定した電子写真感光体と、
前記感光体表面を研磨しながら摺擦させる弾性力を有した摺擦ローラとを具え前記表面層を二層構成にし最表面の第二層領域の動的押込み硬さが50〜200Kgf/mm 2 であり且つその奥側の第一層領域の動的押込み硬さを300Kgf/mm 2 以上に設定し、
更に前記第一層領域と第二層領域を加えた表面層の厚みを0.4〜1.2μmに設定するとともに、前記第二層領域の厚みが800〜3000(オングストローム)に設定したことを特徴とする電子写真装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13113196A JP3714567B2 (ja) | 1996-04-26 | 1996-04-26 | 電子写真装置 |
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1996
- 1996-04-26 JP JP13113196A patent/JP3714567B2/ja not_active Expired - Lifetime
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