JP2001281175A - 金属材表面酸化物の測定方法およびx線回折装置 - Google Patents
金属材表面酸化物の測定方法およびx線回折装置Info
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Abstract
することが可能な金属材表面酸化物の測定方法およびX
線回折装置の提供。 【解決手段】 表面の上層、下層にそれぞれ酸化物A、
酸化物Bを有する金属材にX線を照射し酸化物A、酸化
物Bの回折X線強度IA 、IB を測定し、回折X線強度
IA と予め求めた検量線から、酸化物Aの存在量WA を
求め、酸化物Aによる回折X線吸収率で補正した酸化物
Bの回折X線強度:IB.com と予め求めた検量線から、
酸化物Bの存在量WB を求める金属材表面酸化物の測定
方法およびX線回折装置。
Description
程において鋼板表面に生成する酸化物などの金属材表面
酸化物の測定方法および該測定方法に用いるX線回折装
置に関する。
4 、FeO などから成る酸化物(スケール)は、鋼板表面
に高圧水を噴射するか、あるいは、鋼板を酸性液中に通
板し洗浄することにより除去する。鋼板表面の酸化物の
組成と量は最終製品の性状に大きな影響を及ぼすことか
ら、製造工程で酸化物の組成と量を正確に測定し、制御
することが重要となる。
は、下記の方法が用いられている。すなわち、1つの方
法は、ブロムメタノールを用いて鋼板表面の酸化物を表
面から剥離し、乳鉢で粉砕し、X線回折を行う方法であ
る。この場合、マグネタイトとウスタイトの混合比を変
えた数種類の粉末サンプル(標準サンプル)を基準とし
て定量する。
などに長時間を要する問題があり、さらに、鋼板表面に
おける酸化物の分布状態を知ることができない。他の方
法として、酸化物が形成された鋼板自体をX線回折し、
標準サンプルと比較し定量する方法が用いられている。
しかしながら、上記した方法の場合、スケールが多層構
造であると、表層において下層からの回折X線の吸収が
生じ、下層の測定ができない。
ため、下地鋼板からの回折X線の減衰率からは正しいス
ケール厚さを求めることはできない。すなわち、上記し
た方法の場合、多層構造から成る表面酸化物の組成と量
を正確に測定することができないという問題があった。
X線を励起源として用いた表面組成の測定手法は工業的
に広く用いられており、例えば蛍光X線を用いてめっき
層の組成および厚さを測定する方法があり、この方法に
よればめっきなどにおける亜鉛と鉄の組成比を求めるこ
とは可能であるが、鉄の酸化物の量を種類ごとに求める
ためには構造解析を行う必要があり、上記の方法では不
可能である。
鋼板などの金属材表面の酸化物の組成と量を測定するこ
とが可能で、スケール制御の指標となる金属材表面酸化
物の測定方法および該測定方法に用いるX線回折装置が
求められていた。
来技術の問題点を解決し、鋼板などの金属材の表面に存
在する酸化物の組成と量を迅速かつ正確に非破壊で測定
することが可能な金属材表面酸化物の測定方法および該
測定方法に好適に用いられるX線回折装置を提供するこ
とを目的とする。
物層上層として酸化物Aを有し、表面酸化物層下層とし
て酸化物Bを有する金属材に特性X線または単色化した
X線を照射し、前記金属材から放射される酸化物Aの回
折X線強度IA および酸化物Bの回折X線強度IB を測
定し、酸化物Aの回折X線強度IA と予め求めた検量線
とから、表面酸化物層上層の酸化物Aの存在量WA を求
め、さらに、酸化物Bの回折X線強度I B を上層の酸化
物Aによる酸化物Bの回折X線吸収率で補正し酸化物B
の回折X線強度:IB.com を求め、該IB.com と予め求
めた検量線とから、表面酸化物層下層の酸化物Bの存在
量WB を求めることを特徴とする金属材表面酸化物の測
定方法である。
化物Aを有し、表面酸化物層下層として酸化物Bを有す
る金属材の表面酸化物を金属材搬送中に測定する金属材
表面酸化物の測定方法であって、回折角度2θを固定し
たX線回折装置と、金属材の基準位置に対して取り出し
角βを固定した蛍光X線検出器を用い、前記金属材に特
性X線または単色化したX線を照射し、金属材から放射
される酸化物Aの回折X線強度IA および酸化物Bの回
折X線強度IB を測定すると共に、金属材から放射され
るマトリックス金属の蛍光X線強度IFXの経時的変化を
測定することにより金属材の基準位置からの変位を求
め、該変化に基づき前記した回折X線強度IA およびI
B を補正し、得られた酸化物Aの回折X線強度IA の補
正値IA.0と予め求めた検量線とから、上層の酸化物A
の存在量WA を求め、さらに、前記で得られた酸化物B
の回折X線強度IB の補正値IB.0 を上層の酸化物Aに
よる酸化物Bの回折X線吸収率で補正し酸化物Bの回折
X線強度:IB.0.com を求め、該IB.0.com と予め求め
た検量線とから、下層の酸化物Bの存在量WB を求める
ことを特徴とする金属材表面酸化物の測定方法である。
X線管球2と、いずれもが取り出し角が固定された2個
以上の回折X線検出器3A、3Bと、該回折X線検出器3A、
3Bのそれぞれで検出された試料表面層から放射される試
料表面層のA成分、B成分それぞれの回折X線強度を計
数する計数回路部8Aと、該計数回路部8Aで計数された試
料表面層のA成分の回折X線強度IA および予め求めた
検量線の両者に基づき試料表面層のA成分の存在量WA
を求める演算手段9Aと、前記計数回路部8Aで計数された
試料表面層のB成分の回折X線強度IB および予め求め
た検量線の両者に基づき試料表面層のB成分の存在量W
B を求める演算手段9Bを有することを特徴とするX線回
折装置である。
演算手段9Aが、前記した試料表面層のA成分の回折X線
強度IA および予め求めた検量線の両者に基づき試料表
面層のA成分の存在量WA を求める演算手段であり、前
記した演算手段(9B)が、前記した試料表面層のB成分の
回折X線強度IB を試料表面層のA成分によるB成分の
回折X線吸収率で補正し試料表面層のB成分の回折X線
強度:IB.com を求め、該IB.com と予め求めた検量線
とから、試料表面層のB成分の存在量WB を求める演算
手段であることが好ましい。
照射するX線管球2と、いずれもが取り出し角が固定さ
れた2個以上の回折X線検出器3A、3Bと、該回折X線検
出器3A、3Bのそれぞれで検出された試料表面層から放射
される試料表面層のA成分、B成分それぞれの回折X線
強度を計数する計数回路部8Aと、取り出し角が固定され
た蛍光X線検出器3Cと、該蛍光X線検出器3Cで検出され
た蛍光X線強度を計数する計数回路部8Bと、該計数回路
部8Bで計数された蛍光X線強度に基づき前記回折X線検
出器3A、3Bと試料との距離の変化による前記A成分、B
成分それぞれの回折X線強度の計数値の変化を補正する
演算手段9Cと、該演算手段9Cで補正された試料表面層の
A成分の回折X線強度IA.0 および予め求めた検量線の
両者に基づき試料表面層のA成分の存在量を求める演算
手段9Dと、前記演算手段9Cで補正された試料表面層のB
成分の回折X線強度IB.0 および予め求めた検量線の両
者に基づき試料表面層のB成分の存在量を求める演算手
段9Eを有することを特徴とするX線回折装置である。
演算手段9Dが、前記演算手段9Cで補正された試料表面層
のA成分の回折X線強度IA.0 と予め求めた検量線とか
ら、試料表面層のA成分の存在量WA を求める演算手段
であり、前記した演算手段9Eが、前記演算手段9Cで補正
された試料表面層のB成分の回折X線強度を試料表面層
のA成分によるB成分の回折X線吸収率で補正しB成分
の回折X線強度:IB. com を求め、得られたIB.com の
値と予め求めた検量線とから、試料表面層のB成分の存
在量WB を求める演算手段であることが好ましい。
おける各検量線は、成分組成、成分濃度が既知の複数個
の試料を用いて予め求めることができる。
する。図1(a) に、本発明のX線回折装置の一例を示
し、図1(b) に、図1(a) のX線管球−X線検出器収納
部の一例を示す。図1において、1はX線管球−X線検
出器収納部、2はX線管球、3、3A、3Bは回折X線検出
器、3Cは蛍光X線検出器、4は高電圧発生部、5は波高
分析器、6はX線検出器高電圧印加装置、7は測定角度
コントローラ、8A、8Bは計数回路部、9A、9B、9C、9D、
9Eは演算手段、10はレコーダ、11はプリンタ、12はデイ
スプレー、13は送水装置、15A 、15B 、15C はソーラー
スリット、Sは鋼板など金属材の試料、2θA 、2θB
は測定する試料表面のA成分、B成分に対応する回折X
線の回折角度、αは試料S表面へのX線入射角、βは蛍
光X線検出器3Cに対する蛍光X線の取り出し角を示す。
管球2からX線を入射角αで試料S表面に照射し、試料
S表面から放射される試料表面のA成分、B成分に対応
する回折X線をそれぞれX線検出器3A、3Bで検出し、蛍
光X線を蛍光X線検出器3Cで検出する。本発明のX線回
折装置の回折X線検出器3A、3Bは、測定する試料表面の
成分数に応じた基数を設置することが好ましい。
線検出器3Aおよび回折X線検出器3Bは、測定する試料表
面のA成分、B成分に対応する回折X線の回折角度2θ
A 、2θB に固定してあるため、通常のカウンタースキ
ャン方式(θ−2θ方式)と異なり、迅速に数秒で測定
が可能である。これは、上記した構成のX線回折装置を
鋼板など金属板などの連続製造ラインに設置することに
よって、連続的に流れる金属板など測定対象試料の表面
の組成と各成分の量を同時にオンラインで迅速かつ正確
に測定し、迅速な操業管理が可能となるためである。
図1に示すように、取り出し角βに固定された蛍光X線
検出器3Cが設置されていることが好ましい。これは、上
記した蛍光X線検出器3Cによって、金属板などの試料表
面から回折X線と同時に放射されるマトリックスの特性
X線(蛍光X線)強度の経時変化を測定することによっ
て、回折X線検出器(3A、3B)と金属板などの試料表面
との距離の経時的変化を補正することができ、より正確
な測定が可能となるためである。
法およびX線回折装置を、連続的に通板される鋼板の鋼
板表面酸化物層における上層のFe3O4 および下層のFeO
の測定を例として説明する。すなわち、試料が連続的に
通板される鋼板の場合、図1に示すX線回折装置におい
て、X線管球2からX線を入射角αで鋼板試料Sの表面
に照射し、試料Sの表面から放射されるFeO 、Fe3O4 に
対応する回折X線をそれぞれX線検出器3A、3Bで検出す
る。
から放射される蛍光X線を蛍光X線検出器3Cで検出す
る。回折X線検出器3Aおよび回折X線検出器3Bは、測定
するFeO 、Fe3O4 に対応する回折X線の回折角度2
θA 、2θB に固定する。また、蛍光X線検出器3Cを配
設する場合は、取出角βに固定することが好ましい。
とし、鋼板のバタツキによる回折X線強度の変動を小さ
くすることが好ましい。本発明においては、回折X線検
出器を設置する際に、予め、回折角2θを決定する。図
2に、図1に示したX線回折装置の回折X線検出器3Bの
取付け角度、すなわちFe3O4 に対応する回折X線の回折
角度2θB を決定するために、カウンタースキャン方式
(θ−2θ方式)で行った鋼板試料のX線回折結果の1
例を示す。
ト(Fe3O4 )単一組成の試料である。すなわち、図2に
示すように、鋼板試料のスケール中のFe3O4 を検出する
回折X線検出器の取付け角度は、例えば回折角2θ(:
2θB )が90°となるように設定する。
一組成でスケール量が10〜74g/m2の範囲の複数の鋼板試
料について、Fe3O4 の(511) 面(回折角2θ=90°)の
回折X線強度を測定した。各試料の回折X線強度の測定
時間は1sであった。次に、スケール(Fe3O4) 量と回折
X線強度との関係を求めた。
ノールを用いて鋼板表面から剥離したスケールを秤量し
て求めた。図3に、スケール(Fe3O4) 量と回折X線強度
との関係を示す。図3に示すように、多少のバラツキは
あるものの、スケール(Fe3O4) 量:W(Fe3O4)とFe3O
4[(511) 面] の回折X線強度:I(Fe3O4)との間に良好
な相関関係を有する下記式(1) で近似される検量線が得
られた。
求められるσd を計算した。
してσd として2.0g/m2 が得られ、十分な精度でFe3O4
量(g/m2)を定量できることが分かった。次に、スケール
組成がマグネタイト(Fe3O4) およびウスタイト(FeO) の
2成分である鋼板試料を用いて、FeO の(220) 面の回折
X線強度を測定し、下記(1) 、(2) の手順でスケール中
FeO濃度とFeO の回折X線強度との関係を求めた。
組成比の決定は、用いた鋼板の断面について走査電子顕
微鏡(SEM) の反射電子像を数箇所測定し、画像解析を行
うことによりスケール中の析出物や孔を除去しFe3O4 と
FeOの面積比を求め、それぞれの密度を乗することによ
り行った。
が5μmで、 FeOの厚さが1μmで、観察した範囲が20
μmの場合、Fe3O4 の面積は1×10-6(cm2) で、FeO の
面積は 0.2×10-6(cm2) となる。断面と直交する方向に
hcmの幅をとれば、体積はそれぞれ1×10-6h(cm3) お
よび 0.2×10-6h(cm3) である。
れ5.0g/cm3および5.7g/cm3であるので、それぞれの質量
は 5.0×10-6h(g) および1.14×10-6h(g) である。し
たがって、上記した試料の場合、スケール全体に対する
FeOの濃度は、18.6mass%となる。上記の測定を複数の
試料について行った結果、これら試料のスケール中の F
eO濃度は0〜70mass%であった。
強度との関係の調査:上記で用いた鋼板試料において、
高次酸化物であるFe3O4 はスケールの表層側(表面酸化
物層における上層)に存在し、低次酸化物である FeOは
下地鋼板側(表面酸化物層における下層)に存在する。
この結果、下層に存在する FeOからの回折X線の一部は
表層のFe3O4 に吸収される。
1) 面] の回折X線強度:I(Fe3O4)と前記式(1) の検量
線を用いて鋼板試料のFe3O4 の量:W(Fe3O4)(g/m2)を
求め、下記式(3) に基づき、FeO の(220) 面の回折X線
強度:I(FeO) を、Fe3O4 による質量吸収係数:μ(m2/
g)で補正した回折X線強度補正値:I(FeO).com を求め
た。
複数の試料についてスケール中の FeOの量:W(FeO)(g
/m2)と吸収補正したFeO の(220) 面の回折X線強度補正
値:I(FeO).com との関係を求め、図4および下記式
(4) で近似される検量線を得た。
を求めた結果、σd は3.4(g/m2) であり、十分な精度で
下層のFeO を分析できることが分かった。さらに、得ら
れたFeO 量 (g/m2) 、Fe3O4 量(g/m2)からスケール中の
FeO 濃度を求めた結果を、化学分析値と対比して図5に
示す。
ことが分かった。以下、本発明における金属材表面酸化
物の測定方法を、上記した鋼板試料の表面酸化物層にお
ける上層のFe3O4 および下層のFeO の測定を例として説
明する。すなわち、X線管球からのX線を鋼板表面に照
射し、鋼板表面から放射されるFe3O4 およびFeO それぞ
れの回折X線強度I(Fe3O4) 、I(FeO) を測定する。
に存在するFe3O4 の存在量W(Fe3O4) を、上記で得られ
たFe3O4 の回折X線強度I(Fe3O4) と、予め求めたFe3O
4 の存在量W(Fe3O4)とFe3O4 の回折X線強度I(Fe3O
4)との関係を示す検量線である前記した式(1) とから求
める。次に、上記で得られたFeO の(220) 面の回折X線
強度I(FeO) をFe3O4 の存在量W(Fe3O4) および前記式
(3) の両者に基づき補正した回折X線強度補正値:I(F
eO).com を求める。
eO).com および前記式(4) の検量線からスケール中のFe
O の存在量W(FeO) さらにはFeO 濃度を求めることがで
きる。以上、本発明の金属板表面酸化物の測定方法を、
鋼板試料におけるFe3O4 およびFeO の測定を例として説
明したが、本発明によれば、図1に例示したX線回折装
置を金属板の通板(搬送)ラインに設置することによっ
て、金属板表面の各種酸化物の組成と量を同時にオンラ
インで迅速かつ正確に測定することができる。
ば鋼板試料におけるFe3O4 およびFeO の測定装置として
用いる場合、X線回折装置は、下記(1) 〜(4) の各機器
から構成される。 (1) 鋼板試料表面にX線を照射するX線管球2 (2) 取り出し角が固定された回折X線検出器3A、3B (3) 計数回路部8A 計数回路部8Aにおいては、鋼板試料表面層から放射され
るFe3O3 、FeO それぞれの回折X線強度を計数する。
試料表面層のFe3O4 の回折X線強度I(Fe3O4) および予
め求めた前記した式(1) で例示される検量線に基づき、
鋼板試料表面層上層のFe3O4 の存在量W(Fe3O4) を求め
る。すなわち、演算手段9Aとしては、前記した式(1) で
例示される検量線を予め記憶し、計数回路部8Aで計数さ
れた鋼板試料表面層のFe3O4 の回折X線強度I(Fe3O4)
に基づいて鋼板試料表面層上層のFe3O4 の存在量W(Fe3
O4) を求める記憶・演算装置を用いることができる。
W(Fe3O4) 、計数回路部8Aで計数された鋼板試料表面
層のFeO の回折X線強度I(FeO) および前記した式
(3) で例示される補正式から、上層の酸化物Fe3O4 によ
る下層の酸化物FeO の回折X線吸収率で補正した酸化物
FeO の回折X線強度:I(FeO).com を求める。次に、演
算手段9Bにおいては、上記で得られた回折X線強度:I
(FeO).com と、予め求めた前記した式(4) で例示される
検量線に基づき、鋼板試料表面層下層のFeO の存在量W
(FeO) を求める。
式(3) で例示される補正式および式(4) で例示される検
量線の両者を予め記憶し、計数回路部8Aで計数された鋼
板試料表面層のFeO の回折X線強度I(FeO) および演算
手段9Aで求められた鋼板試料表面層上層のFe3O4 の存在
量W(Fe3O4) に基づいて鋼板試料表面層下層のFeO の存
在量W(FeO) を求める記憶・演算装置を用いることがで
きる。
の機器を配設することによって、前記した回折X線検出
器(3A、3B)と金属材の試料Sとの距離の経時的変化に
よる回折X線強度の変化を補正し、さらに正確な酸化物
の測定が可能となる。 (5) 蛍光X線検出器3C 取り出し角βが固定された蛍光X線検出器3C (6) 計数回路部8B 蛍光X線検出器3Cで検出された蛍光X線強度を計数する
計数回路部8B (7) 演算手段9C 演算手段9Cにおいては、計数回路部8Bで計数された蛍光
X線強度に基づき回折X線検出器(3A、3B)と金属材と
の距離の経時的変化によるA成分、B成分それぞれの回
折X線強度の計数値の経時的変化を補正する。
て、上記した蛍光X線強度による補正方法について述べ
る。蛍光X線の取り出し角度をβとすると、測定中に鋼
板が基準位置に対してdだけ垂直方向に動いた時、蛍光
X線検出器と鋼板との距離はd/sinβ変化する。蛍光X
線検出器と測定円の中心との距離をLとすると、蛍光X
線強度比は下記式(5) で示される。
時の蛍光X線強度 を示す。
るFeの蛍光X線強度を得ることによって、前記式(5) に
よってdを求めることができる。回折X線の検出角度を
δとすると、L、d、δは全て既知のパラメータである
ので、下記式(6) から回折X線の真の強度T1 を求める
ことができる。 T1 =T0 ・L2/(L+d/sinδ)2 ………(6) なお、上記式(6) 中、 T0 :測定された回折X線の見掛け上の強度 T1 :測定された回折X線の真の強度 を示す。
法を、前記した回折X線強度:I(Fe3O4) および回折X
線強度:I(FeO) に適用し、鋼板が基準位置にある場合
のI(Fe3O4) およびI(FeO) を求め、得られたそれぞれ
の値と、前記した式(1) 、(3) 、(4) とから、さらに正
確なFe3O4 、FeO の存在量を求めることができる。な
お、前記した5種類の記憶・演算装置は、単一(一台)
の記憶・演算装置とすることができる。
的に説明する。熱間圧延設備→酸洗設備→冷間圧延設備
の工程順序からなる冷延鋼板の製造ラインにおいて、酸
洗設備の入口側に前記した図1に示すX線回折装置を設
置し、前記した方法で、鋼板表面に存在するスケール中
のFe3O3 、FeO の存在量を測定した。
す蛍光X線検出器3Cによって鋼板のマトリックスである
Feの蛍光X線強度を測定し、回折X線検出器(3A、3B)
と鋼板試料Sとの距離の経時的変化による回折X線強度
の変化を補正し、距離補正後の回折X線強度:I(Fe
3O4) および回折X線強度:I(FeO) に基づきスケール
中のFe3O3 、FeO の存在量を測定した。
結果に基づき酸洗設備への通板速度を制御した。なお、
X線回折装置の測定条件は、下記の通りとした。 照射X線:Cr-Kα線(波長:0.229nm ) Fe3O3 の回折角度2θ:90° FeO の回折角度2θ :64° この結果、上記した制御を行うことによって鋼板の酸洗
不良の発生量を、従来の1/2に低減することが可能と
なった。
表面に存在する酸化物の組成と存在量を迅速かつ正確に
非破壊で測定し、金属材表面酸化物の量を制御すること
が可能となった。
およびX線管球−X線検出器収納部の一例を示す説明図
(b) である。
すグラフである。
X線強度との関係を示すグラフである。
面] の回折X線強度補正値との関係を示すグラフであ
る。
法による分析値との関係を示すグラフである。
Claims (6)
- 【請求項1】 表面酸化物層上層として酸化物Aを有
し、表面酸化物層下層として酸化物Bを有する金属材に
特性X線または単色化したX線を照射し、前記金属材か
ら放射される酸化物Aの回折X線強度IA および酸化物
Bの回折X線強度IB を測定し、酸化物Aの回折X線強
度IA と予め求めた検量線とから、表面酸化物層上層の
酸化物Aの存在量WA を求め、さらに、酸化物Bの回折
X線強度IB を上層の酸化物Aによる回折X線吸収率で
補正し酸化物Bの回折X線強度I B.com を求め、該I
B.com と予め求めた検量線とから、表面酸化物層下層の
酸化物Bの存在量WB を求めることを特徴とする金属材
表面酸化物の測定方法。 - 【請求項2】 表面酸化物層上層として酸化物Aを有
し、表面酸化物層下層として酸化物Bを有する金属材の
表面酸化物を金属材搬送中に測定する金属材表面酸化物
の測定方法であって、回折角度2θを固定したX線回折
装置と、金属材の基準位置に対して取り出し角βを固定
した蛍光X線検出器を用い、金属材に特性X線または単
色化したX線を照射し、金属材から放射される酸化物A
の回折X線強度IA および酸化物Bの回折X線強度IB
を測定すると共に、金属材から放射されるマトリックス
金属の蛍光X線強度IFXの経時的変化を測定することに
より金属材の基準位置からの変位を求め、該変位に基づ
き前記した回折X線強度I A およびIB を補正し、得ら
れた酸化物Aの回折X線強度IA の補正値IA.0 と予め
求めた検量線とから、上層の酸化物Aの存在量WA を求
め、さらに、前記で得られた酸化物Bの回折X線強度I
B の補正値IB.0 を上層の酸化物Aによる回折X線吸収
率で補正し酸化物Bの回折X線強度:IB.0.com を求
め、該IB.0.co m と予め求めた検量線とから、下層の酸
化物Bの存在量WB を求めることを特徴とする金属材表
面酸化物の測定方法。 - 【請求項3】 試料表面にX線を照射するX線管球(2)
と、いずれもが取り出し角が固定された2個以上の回折
X線検出器(3A、3B)と、該回折X線検出器(3A、3B)
のそれぞれで検出された試料表面層から放射される試料
表面層のA成分、B成分それぞれの回折X線強度を計数
する計数回路部(8A)と、該計数回路部(8A)で計数された
試料表面層のA成分の回折X線強度IA および予め求め
た検量線の両者に基づき試料表面層のA成分の存在量W
A を求める演算手段(9A)と、前記計数回路部(8A)で計数
された試料表面層のB成分の回折X線強度IB および予
め求めた検量線の両者に基づき試料表面層のB成分の存
在量WB を求める演算手段(9B)を有することを特徴とす
るX線回折装置。 - 【請求項4】 前記した演算手段(9A)が、前記した試料
表面層のA成分の回折X線強度IA および予め求めた検
量線の両者に基づき試料表面層のA成分の存在量WA を
求める演算手段であり、前記した演算手段(9B)が、前記
した試料表面層のB成分の回折X線強度IB を試料表面
層のA成分による回折X線吸収率で補正し試料表面層の
B成分の回折X線強度:IB.com を求め、該IB.com と
予め求めた検量線とから、試料表面層のB成分の存在量
WB を求める演算手段であることを特徴とする請求項3
記載のX線回折装置。 - 【請求項5】 搬送中の試料表面にX線を照射するX線
管球(2) と、いずれもが取り出し角が固定された2個以
上の回折X線検出器(3A、3B)と、該回折X線検出器
(3A、3B)のそれぞれで検出された試料表面層から放射
される試料表面層のA成分、B成分それぞれの回折X線
強度を計数する計数回路部(8A)と、取り出し角が固定さ
れた蛍光X線検出器(3C)と、該蛍光X線検出器(3C)で検
出された蛍光X線強度を計数する計数回路部(8B)と、該
計数回路部(8B)で計数された蛍光X線強度に基づき前記
回折X線検出器(3A、3B)と試料との距離の変化による
前記A成分、B成分それぞれの回折X線強度の計数値の
変化を補正する演算手段(9C)と、該演算手段(9C)で補正
された試料表面層のA成分の回折X線強度IA.0 および
予め求めた検量線の両者に基づき試料表面層のA成分の
存在量を求める演算手段(9D)と、前記演算手段(9C)で補
正された試料表面層のB成分の回折X線強度IB.0 およ
び予め求めた検量線の両者に基づき試料表面層のB成分
の存在量を求める演算手段(9E)を有することを特徴とす
るX線回折装置。 - 【請求項6】 前記した演算手段(9D)が、前記演算手段
(9C)で補正された試料表面層のA成分の回折X線強度I
A.0 と予め求めた検量線とから、試料表面層のA成分の
存在量WA を求める演算手段であり、前記した演算手段
(9E)が、前記演算手段(9C)で補正された試料表面層のB
成分の回折X線強度IB.0 と予め求めた検量線とから試
料表面層のA成分による回折X線吸収率で補正したB成
分の回折X線強度:IB.com を求め、得られたIB.com
の値と予め求めた検量線とから、試料表面層のB成分の
存在量WB を求める演算手段であることを特徴とする請
求項5記載のX線回折装置。
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JP2014095655A (ja) * | 2012-11-12 | 2014-05-22 | Jfe Steel Corp | 鉄系酸化物分析方法 |
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CN113533396A (zh) * | 2021-06-23 | 2021-10-22 | 包头钢铁(集团)有限责任公司 | 一种重轨试样氧化铁皮物相检测方法 |
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- 2000-03-31 JP JP2000098665A patent/JP4302852B2/ja not_active Expired - Fee Related
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