JP2001280502A - 単層金属製ガスケット - Google Patents

単層金属製ガスケット

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JP2001280502A
JP2001280502A JP2000092021A JP2000092021A JP2001280502A JP 2001280502 A JP2001280502 A JP 2001280502A JP 2000092021 A JP2000092021 A JP 2000092021A JP 2000092021 A JP2000092021 A JP 2000092021A JP 2001280502 A JP2001280502 A JP 2001280502A
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around
metal plate
metal gasket
gasket
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Takeshi Hiramatsu
平松  剛
Atsushi Sugimoto
淳 杉本
Kazuya Kichijima
一也 吉島
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Nippon Gasket Co Ltd
Toyota Motor Corp
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Nippon Gasket Co Ltd
Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 締付けボルトによってシールすべき対向面間
に締め付けるときに、ボルト孔周りにおいて単層金属製
ガスケットの変形を防止して、ボア孔周りにおける対向
面間のシールル面圧を安定させる単層金属製ガスケット
を提供する。 【解決手段】 シリンダボア孔3周りの第1増厚部10
は単層金属板の基部2から空洞部13を残して折り返さ
れたばね性を有する折返し部として形成され、ボルト孔
4周りの第2増厚部15は密着重層部として変形が殆ど
生じない剛体に近い構造に形成されている。締付けボル
トによって単層金属製ガスケットをシールすべき対向面
8,9間に締付けると、ボルト孔4周りにおける対向面
8,9間の間隔は変形を殆ど生じない第2増厚部15に
よって所定間隔に調節されるので、シリンダボア孔3周
りにおいて所定の安定した面圧が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、流体通過用のボ
ア孔と締付けボルト挿通用のボルト孔とが形成された単
層金属板から成り、ボア孔周り及びボルト孔周りにおい
て対向面間でのシールを確実にするための増厚部を有す
る単層金属製ガスケットに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、単層金属製ガスケットとして、実
開昭56−139057号公報に開示されているものが
ある。この単層金属製ガスケットは、鉄、銅、アルミニ
ウム等の板金材で成り、板面に形成される燃焼室孔や水
孔等の各孔の周縁部を反転させて断面円弧状のクッショ
ン部に形成した金属製ガスケットである。また、別の単
層金属製ガスケットとして、特開平8−200506号
公報に開示されている単層金属製ガスケットは、ボア孔
及びボルト孔の周りに折り返し部及びゴム系材料のビー
ドを形成し、折り返し部にシール機能及びビードの過剰
圧縮ストッパ機能を備えた金属製ガスケットである。
【0003】従来の積層金属製ガスケットでは、殆どの
場合、折返し部が形成される構成板は厚さ調整板として
の中間板としての機能をも有している。中間板としての
機能を備えるという理由の他に、折返し部の形成加工の
容易性を確保するため、この構成板の厚さは、0.1〜
0.2mm程度の薄いものとされている。従って、ガス
ケット全体としては、このような薄板を支える他の構造
板、例えば、他の中間板を更に積層することが不可欠と
なり、3枚以上の複雑で且つ高コストの積層ガスケット
とならざるを得ない。
【0004】また、従来の積層金属ガスケットでは、例
えば、エンジンのシリンダヘッドの下当接面及びシリン
ダブロックの上当接面のような対向面間に配置される場
合、締付けボルトによって積層金属ガスケットを対向面
間において締め付けるときに、締付けボルトが挿通され
るボルト孔の近傍において両当接面の変位を強制的に抑
制することができる何らかの構造を設けることが、全く
考慮されていない。そのため、締付け時には、依然とし
てボルト孔周りにおける積層金属ガスケットの変形が大
きく、その結果、ボルト孔周りの積層金属ガスケットの
変形がシリンダボア孔の周りに及び、シリンダボア孔周
りにおいても対向面間の間隔にばらつきが発生し、シリ
ンダボア孔周りにおいてエンジンの燃焼ガス等の流体の
漏れを封じるシールのための所要の面圧や良好なバラン
スを得ることができない。
【0005】
【発明が解決しょうとする課題】そこで、シールすべき
対向面間に適用される金属製ガスケットを一枚の金属板
から構成した単層金属製ガスケットとすると、金属製ガ
スケットの構造が非常に簡単化される。そのような簡単
な構造を有する単層金属製ガスケットにおいても、締付
けボルトによってシールすべき対向面間に締め付けると
きに、ボルト孔周りにおいて単層金属製ガスケットが変
形する変形量がボア孔周りの対向面間のシール面圧に及
んでいることに着目して、その変形量を規制することで
対向面間のシール面圧を安定させる点で解決すべき課題
がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明の目的は、流体
通過用のボア孔と締付けボルト挿通用のボルト孔とが形
成された単層金属板から構成され、ボア孔周りとボルト
孔周りとにそれぞれシール面圧を得るため、単層金属板
の板厚よりも増厚された増厚部が形成された金属製ガス
ケットにおいて、燃焼ガス等の流体が流れるボア孔周り
でのシール面圧を所要の大きさで且つバランスのとれた
面圧にし、エンジンの燃焼ガス等の流体の対向面間から
の漏れを良好に封じることができる単層金属製ガスケッ
トを提供することである。
【0007】この発明は、上記の目的を達成するために
次のように構成されている。即ち、この発明は、流体通
過用のボア孔と締付けボルト挿通用のボルト孔とが形成
された単層金属板、前記ボア孔周りに形成され且つ前記
単層金属板の板厚より増厚された第1増厚部、及び前記
ボルト孔周りに形成され且つ前記単層金属板の板厚より
増厚された第2増厚部を具備し、前記第1増厚部は前記
単層金属板の一部を折り返して空洞部を介して重ねて形
成されており、前記第2増厚部は前記単層金属板に積層
部分を密着状態に重ねて形成されていることから成る単
層金属製ガスケットに関する。
【0008】ボア孔周りの第1増厚部は、完全に密着し
た状態に折り返すのではなく、間に空洞部を残して折り
返した折返し部として形成されているので、ばね性が維
持されている。また、ボルト孔周りの第2増厚部は、積
層部分を密着状態に当接して形成されており、ガスケッ
ト締め付け時に変形が殆ど生じないような剛体に近い構
造となっている。上記の単層金属製ガスケットをシール
すべき対向面間に適用して、締付けボルトによって単層
金属製ガスケットを対向面間に締付けると、剛体に近い
構造となっている第2増厚部は変形を殆ど生じることが
ないので、締付けボルトは軸力がかかり始めてから締め
終わるまでの締込み量が一定となる定寸締込みとなり、
ボルト孔周りにおける対向面間の間隔が所定間隔に調節
される。更に、第2増厚部は、ボルト孔周りのシール機
能をも果たす。
【0009】一方、ばね性を維持している第1増厚部が
対向面間に圧接されてボア孔周りでのシールを行うが、
対向面間の間隔は第2増厚部によって所定間隔に規制さ
れているので、ボア孔周りにおいても、対向面間の間隔
は第2増厚部によって規制される所定間隔に調節され、
ボア孔周りでの面圧のバラツキが抑制され、バランスの
良い所要の面圧が得られる。
【0010】前記第1増厚部は、前記単層金属板の基部
から一体的に前記ボア孔周りに延びる第1基板部分と、
前記単層金属板の一部として、前記第1基板部分から一
体的に前記ボア孔周りに折り返され且つ前記第1基板部
分に前記空洞部を置いて重ねられた第1折返し部分とか
ら構成されている。
【0011】前記第2増厚部は、前記単層金属板の基部
から一体的にボルト孔周りに延びる第2基板部分と前記
第2基板部分に密着状態に積層される前記積層部分とか
ら構成されており、前記積層部分は、前記第2基板部分
から一体的に延び且つ前記ボルト孔周りに折り返された
第2折返し部分、前記単層金属板とは別に形成され前記
ボルト孔周りに配置される積層片、又は前記単層金属板
の前記基部から延び且つ前記ボルト孔に対応して形成さ
れた対応孔を前記ボルト孔と整合させた状態に折り返さ
れるリップ部において前記対応孔周りに形成された環状
部分である。
【0012】前記第2増厚部は、前記単層金属板の前記
基部の厚さの略2倍の厚さを有している。第2増厚部
は、単層金属板の基部の厚さの略2倍もの厚さがあるの
で、単層金属板の基部に多少の変形があっても、対向面
間の間隔を規定する働きを維持する。また、前記単層金
属板の前記基部の厚さは、0.2〜0.8mmの範囲内
にある。
【0013】
【発明の実施の形態】図1〜図5に基づいて、この発明
による単層金属製ガスケットの実施例を説明する。図1
は、この発明による単層金属製ガスケットがシリンダヘ
ッド用ガスケットとして適用された一実施例を示す平面
図、図2は図1に示す単層金属製ガスケットの線A−A
における断面図、図3は図1に示す単層金属製ガスケッ
トの線B−Bにおける断面図、図4は図1に示す単層金
属製ガスケットの線C−Cにおける断面図、図5は図1
に示す単層金属製ガスケットの線D−Dにおける断面図
である。
【0014】図1に示す単層金属製ガスケット1は、エ
ンジンのシリンダヘッドとシリンダブロックとの対向面
8,9(図2参照。但し、対向面8,9は締付け前の状
態にある)間において、シリンダヘッド用ガスケットと
して適用された金属製ガスケットであり、エンジンのシ
リンダヘッドとシリンダブロックの対向面8,9間にお
いて締め付けられた状態で使用される。単層金属製ガス
ケット1は、平坦な基部2を有する一枚の金属板、即
ち、単層金属板から成り、基部2にはエンジンの各シリ
ンダボアに対応してシリンダボア孔3が形成されている
と共に、シリンダボア孔3の周囲には単層金属製ガスケ
ット1をシリンダヘッドとシリンダブロックとの対向面
間に締め付けるための締付けボルトが挿通されるボルト
孔4、冷却水が流れる水孔5、及びオイルが流れる油孔
6が、それぞれ形成されている。
【0015】隣接するシリンダボア孔3間は、エンジン
の稼働に伴う燃焼ガスの圧力作用によって、シリンダヘ
ッドとシリンダブロックとが最も大きく離間しようとす
る部分の一つであるので、シリンダボア孔3間における
対向面8,9間の面圧を維持するため、基部2の厚さを
調節するシム板7が基部2に積層する状態に配設されて
いる。隣接するシリンダボア孔3,3間の領域において
は、シム板7を基部2に重ねることによりシール性能が
強化され、高温高圧の燃焼ガスの漏れを防止している。
この例では、単層金属製ガスケット1は、15%Mn−
1〜2Ni−0.5N系非磁性ステンレス鋼から製作さ
れる。基部2において、金属板の板厚は0.5mmであ
る。
【0016】図2及び図3に示されているように、各シ
リンダボア孔3の周りにおいて板厚を基部2の板厚より
も増加させた環状の第1増厚部10が形成されている。
即ち、第1増厚部10は、基部2から一体的に延びる第
1基板部分11と、第1基板部分11から一体的にシリ
ンダボア孔3の周りにおいて反転して折り返された第1
折返し部分12とから成る折返し部として形成されてお
り、第1基板部分11は、基部2から第1屈曲部分21
を介して滑らかに接続されて延びている。単層金属製ガ
スケット1の製作状態では、第1折返し部分12は、第
1基板部分11に対して空洞部13を置いて折り返して
形成されている。第1増厚部10は、第1基板部分11
と第1折返し部分12とが湾曲して基部2の各表面に対
して上下に膨出した状態に形成されている。空洞部13
の形状は問わないが、締付け前の自由状態では、第1折
返し部分12はその先端においても基部2に接触してい
ないことが望ましい。第1増厚部10においては、第1
基板部分11と第1折返し部分12の外側に面し対向面
8,9に当接する表面に、それぞれ、ミクロシール用コ
ーティング14を施されている。
【0017】図2に示すように、ボルト孔4周りにおい
て、厚さを基部2の板厚よりも増加させた環状の第2増
厚部15が形成されている。第2増厚部15は、単層金
属製ガスケット1の締付け前の自由状態において既に密
着した状態に積層された密着重層部として形成されてい
る。即ち、この実施例では、第2増厚部15は、基部2
から滑らかに屈曲した第2屈曲部分22を介して一体的
に延びる第2基板部分16と、積層部分として、第2基
板部分16から折り返されて第2基板部分16に密着さ
れた第2折返し部分17とから構成されており、第2基
板部分16と第2折返し部分17とは、対向面8,9に
当接する各シール部の高さが基部2に対して上下均等に
なるように基部2の各表面に対して上下に膨出して形成
されている。第2基板部分16から第2折返し部分17
を折り返すことで、ボルト孔4が形成されている。
【0018】第2増厚部15は、基部2の板厚の略2倍
に増厚された厚さを有している。従って、第2増厚部の
厚さは、1.0mmとなっており、殆ど剛体化されてい
る。第2増厚部15には、外側に面し且つ対向面8,9
に当接する表面にミクロシール用コーティング18が施
されている。シリンダボア孔3周りにおいて、第1増厚
部10によるシールを1次シールとするとき、第1増厚
部10の近傍に位置する基部2の一側の表面には、2次
シールとして、軟質シール材20が塗布又は貼付けによ
って設けられている。
【0019】単層金属製ガスケット1の水孔5周りのシ
ール構造が、図1の線C−Cにおける断面図である図4
に示されている。水孔5の周りには、ゴム等の軟質シー
ル材23が塗布又は貼付けによって設けられている。単
層金属製ガスケット1の油孔6周りのシール構造が、図
1の線D−Dにおける断面図である図5に示されてい
る。油孔6の周りには、ゴム等の軟質シール材24がリ
ング状に取り付けられている。軟質シール材23,24
は、それぞれ、水孔5及び油孔6の周りにおいて、単層
金属製ガスケット1を通過して流れる水又は油が対向面
8,9間に漏れるのを防止している。
【0020】このように構成された単層金属製ガスケッ
ト1によれば、シリンダヘッドとシリンダブロックとの
対向面8,9間に適用して締付けボルトによって締め付
けた場合、締付け時及び締付け後において、第1増厚部
10は空洞部13によりばね作用を維持している。従っ
て、第1増厚部10は対向面8,9に対してばね力で圧
接され、シリンダボア孔3の周りにおいて高いシール面
圧が得られる。
【0021】一方、第2増厚部15は実質的に剛体化さ
れているので、対向面8,9間において単層金属製ガス
ケット1を締付けボルトによって所定軸力で締め付けた
ときには、ボルト締込み量は、対向面8,9が第2増厚
部15に当接した状態から締込み完了までの締込み量が
定寸締込み量に規制される。従って、ボルト孔4の周り
における対向面8,9間の間隔は、すべてのボルト孔4
について一定寸法に規定される。ボルト孔4は単層金属
製ガスケット1の周辺に沿って多数個が形成されている
ので、すべてのボルト孔4の周りにおける対向面8,9
間の間隔が一定化されることにより、各シリンダボア孔
3の周りにおいても、シール面圧が所定の面圧値となり
及びその面圧値のバランスも所定値になり安定化する。
また、第1増厚部10及び第2増厚部15の厚さを調節
することにより、シリンダボア孔3の周りの面圧を調整
することが容易になる。更に、水孔5等のシール面圧と
のバランス調整も容易となる。なお、ボルト孔4の周り
における面圧が高められるので、ボルト孔4周りでのシ
ール面圧が得られることも、勿論である。
【0022】図示しないが、第1増厚部10の幅W
1 は、シリンダボア孔3の周方向の位置応じて変化させ
ることができる。即ち、隣接するシリンダボア孔3,3
間の領域において要求される面圧は、他の領域において
要求される面圧より大きいので、シリンダボア孔3,3
間の領域では、第1増厚部10の幅W1 を大きく設定す
ることができる。また、密着重層部として形成された第
2増厚部15の幅W2 も、変位が大きい方向で部分的に
拡幅にすることもできる。
【0023】図6は、この発明による単層金属製ガスケ
ットの別の実施例をボルト孔の周りにおいて示す平面図
(a)と平面図(a)の線E−Eにおける断面図(b)
である。図6に示す単層金属製ガスケット31におい
て、ボルト孔34周りの第2増厚部35は、基部2のボ
ルト孔34周りに位置する第2基板部分36に積層部分
としてのワッシャ37を密着状態に重ねた密着重層部と
して形成されている。ワッシャ37は、溶接、溶着等に
よりボルト孔34周りにおいて第2基板部分36一側面
に固定されている。ワッシャ37に形成した孔38は基
部2に形成されたボルト孔34に整合することにより、
締付けボルトはボルト孔34と孔38とに挿通可能であ
る。第2増厚部35は、基部2の板厚の2倍の厚さを有
しており、その機能は第2増厚部15と同様である。
【0024】図7は、この発明による単層金属製ガスケ
ットの更に別の実施例をボルト孔の周りにおいて示す平
面図(a)及び(b)と、平面図(b)の線F−Fにお
ける断面図(c)として示されている。図7に示す単層
金属製ガスケット41においては、基部2には、リップ
部47が基部2から一体的に張り出して形成されてお
り、リップ部47には、基部2に形成されたボルト孔4
4と対応する対応孔48が形成されている。ボルト孔4
4周りの第2増厚部45は、基部2にボルト孔44周り
に位置する第2基板部分46と、基部2に折り返されて
第2基板部分46に密着状態に重ねられた環状部分49
とから密着重層部として形成されている。基部2に形成
されたボルト孔44に対してリップ部47に形成した対
応孔48が整合することにより、締付けボルトが挿通可
能な孔が形成されている。第2増厚部45は、基部2の
板厚の略2倍の厚さを有しており、その機能は第2増厚
部15と同様である。
【0025】図8はこの発明による単層金属製ガスケッ
トの他の実施例をボルト孔の周りにおいて示す平面図で
ある。図8に示す単層金属製ガスケット51は、基部2
のコーナ部53に形成されるボルト孔についての例であ
り、図7の(b)に相当する。単層金属製ガスケット1
のコーナ部53においては、基部2から一体的に延びた
リップ部57をコーナ部53を二等分する線に方向に折
り返して密着状態に重ねた密着重層部として第2増厚部
55が形成されている。リップ部57の折り重ね状態で
は、基部2のコーナ部53に形成されたボルト孔54に
対して、リップ部57に形成した対応孔58が整合する
ことにより、締付けボルトが挿通可能な孔が形成され
る。第2増厚部55は、基部2のボルト孔54の周りに
位置する第2基板部分56と、積層部分としてリップ部
57の対応孔58周りに形成され且つ第2基板部分56
に密着積層される環状部分59とから構成されている。
第2増厚部55は、基部2の板厚の2倍の厚さを有して
おり、その機能は第2増厚部15と同様である。
【0026】以上、この発明による単層金属製ガスケッ
トの実施例を説明したが、この発明による実施例は、こ
れらの実施例に限られることはなく、種々の変更が可能
である。例えば、第2増厚部は、基部2のボルト孔4周
り自体の金属板の折返し、基部2自体から張り出したリ
ップ部47,57の折返し、又はワッシャ等の積層片の
固着による例を示したが、その構成や形成方法はこれら
の限られるものではない。また、ボア孔(シリンダボア
孔3)及びボルト孔の周りでの折返し部又は密着重層部
の幅は、孔の周方向において部分的に変化させてもよ
い。更に、単層金属製ガスケットには、部分的又は全面
的にシールを強化することができる。例えば、軟質シー
ル材20(図2)のように、ボア孔周りの2次シールの
ために、ゴム、黒鉛質等の軟質シール材を用いることが
できる。更に、単層金属製ガスケットには、例えば、シ
リンダボア孔3,3間に設けられるシム板7のように、
金属薄板を部分的に付加して重ねるて、補強又はシール
強化を行うことができる。
【0027】単層金属製ガスケットに用いる金属材料
は、鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合
金、チタン−アルミニウム合金等である。特に望ましい
鋼は、SUS304よりも高強度・高耐熱性を有し、し
かも冷間加工時にマルテンサイトを誘起しない高Mn−
低Ni−N系の非磁性ステンレス鋼である。望ましい厚
さの範囲は、0.2〜0.8mm(0.5mm±α)程
度である。更に、単層金属製ガスケットの表面には、部
分的に又は全面的に、ミクロシール用コーティング1
4,18のようなミクロシール用コーティングを施すこ
とができる。コーティングに代えて、軟質シール材20
のような軟質シール材を用いてもよい。
【0028】この発明による単層金属製ガスケットは、
上記の実施例では、エンジンのシリンダブロックとシリ
ンダヘッドとの対向面間に適用されるシリンダヘッド用
金属製ガスケットとして示したが、エンジンのシリンダ
ヘッドと給排気用のマニホルドとの対向面間に適用され
るマニホルド用金属製ガスケットとしても適用できるこ
とは明らかである。この場合、第1増厚部や、第2増厚
部について、折り返し側や積層側をシリンダヘッド側と
シリンダブロック側のどちらの側に向けるか等の配置に
関しては、特に制限されることはない。
【0029】
【発明の効果】この発明による単層金属製ガスケット
は、単層金属板に形成された流体通過用のボア孔と締付
けボルト挿通用のボルト孔とのそれぞれの周りをシール
するため、ボア孔周りの第1増厚部を、単層金属板の一
部を折り返して空洞部を介して重ねた折返し部として形
成し、ボルト孔周りの第2増厚部を積層部分が密着され
た密着重層部として形成したので、第1増厚部は空洞部
によるばね性が有すると共に、第2増厚部は変形が殆ど
生じないような剛体に近い構造となっている。従って、
単層金属製ガスケットをシールすべき対向面間に適用し
て、締付けボルトによって単層金属製ガスケットを対向
面間に締付けると、第2増厚部は変形を殆ど生じること
がないので、締付けボルトは定寸締込みとなり、ボルト
孔周りにおける対向面間の間隔が所定間隔に調節され
る。対向面間の間隔は第2増厚部によって所定間隔に調
節されているので、ボア孔周りにおいても、対向面間の
間隔は第2増厚部によって規定される所定間隔に調節さ
れ、ボア孔周りでの面圧のバラツキが抑制されて面圧が
安定化し、バランスの良い所要の面圧が得られる。第1
増厚部及び第2増厚部の板厚を調節するとにより、ボア
シール面圧の調整を行うこともできる。更に、この単層
金属製ガスケットは、基本的に単層金属板から構成され
ているので、構造が簡素化され、製造コストを低減する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による単層金属製ガスケットの一実施
例を示す平面図である。
【図2】図1に示す単層金属製ガスケットの線A−Aに
おける断面図である。
【図3】図1に示す単層金属製ガスケットの線B−Bに
おける断面図である。
【図4】図1に示す単層金属製ガスケットの線C−Cに
おける断面図である。
【図5】図1に示す単層金属製ガスケットの線D−Dに
おける断面図である。
【図6】この発明による単層金属製ガスケットの別の実
施例をボルト孔の周りにおいて示す平面図(a)と平面
図(a)の線E−Eにおける断面図(b)である。
【図7】この発明による単層金属製ガスケットの更に別
の実施例をボルト孔の周りにおいて示す平面図(a)及
び(b)、並びに平面図(b)の線F−Fにおける断面
図(c)である。
【図8】この発明による単層金属製ガスケットの更に別
の実施例をボルト孔の周りにおいて示す平面図である。
【符号の説明】
1,31,41,51 単層金属製ガスケット 2 基部 3 シリンダボア孔(ボア孔) 4,34,44,54 ボルト孔 5 水孔 6 油孔 7 シム板 8,9 対向面 10 第1増厚部 11 第1基板部分 12 第1折返し部分 13 空洞部 14 ミクロシール用コーティング 15,35,45,55 第2増厚部 16,36,46,56 第2基板部分 17 第2折返し部分(積層部分) 18 ミクロシール用コーティング 20 軟質シール材 21 第1屈曲部分 22 第2屈曲部分 23 軟質シール材 24 軟質シール材 37 ワッシャ(積層部分) 47,57 リップ部 48,58 対応孔 49,59 環状部分(積層部分) 53 コーナ部
フロントページの続き (72)発明者 杉本 淳 大阪府東大阪市加納2丁目1番1号 日本 ガスケット株式会社内 (72)発明者 吉島 一也 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 Fターム(参考) 3J040 AA01 AA12 BA01 EA15 EA17 EA25 FA01 HA09 HA17

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 流体通過用のボア孔と締付けボルト挿通
    用のボルト孔とが形成された単層金属板、前記ボア孔周
    りに形成され且つ前記単層金属板の板厚より増厚された
    第1増厚部、及び前記ボルト孔周りに形成され且つ前記
    単層金属板の板厚より増厚された第2増厚部を具備し、
    前記第1増厚部は前記単層金属板の一部を折り返して空
    洞部を介して重ねて形成されており、前記第2増厚部は
    前記単層金属板に積層部分を密着状態に重ねて形成され
    ていることから成る単層金属製ガスケット。
  2. 【請求項2】 前記第1増厚部は、前記単層金属板の基
    部から一体的に前記ボア孔周りに延びる第1基板部分
    と、前記単層金属板の一部として、前記第1基板部分か
    ら一体的に前記ボア孔周りに折り返され且つ前記第1基
    板部分に前記空洞部を置いて重ねられた第1折返し部分
    とから構成されることから成る請求項1に記載の単層金
    属製ガスケット。
  3. 【請求項3】 前記第2増厚部は、前記単層金属板の基
    部から一体的にボルト孔周りに延びる第2基板部分と前
    記第2基板部分に密着状態に積層される前記積層部分と
    から構成されており、前記積層部分は、前記第2基板部
    分から一体的に延び且つ前記ボルト孔周りに折り返され
    た第2折返し部分、前記単層金属板とは別に形成され前
    記ボルト孔周りに配置される積層片、又は前記単層金属
    板の前記基部から延び且つ前記ボルト孔に対応して形成
    された対応孔を前記ボルト孔と整合させた状態に折り返
    されるリップ部において前記対応孔周りに形成された環
    状部分であることから成る請求項1に記載の単層金属製
    ガスケット。
  4. 【請求項4】 前記第2増厚部は、前記単層金属板の前
    記基部の厚さの略2倍の厚さを有することから成る請求
    項1〜3のいずれか1項に記載の単層金属製ガスケッ
    ト。
  5. 【請求項5】 前記単層金属板の前記基部の厚さは、
    0.2〜0.8mmの範囲内にあることから成る請求項
    1〜4のいずれか1項に記載の単層金属製ガスケット。
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