JPH08200506A - 金属ガスケット - Google Patents

金属ガスケット

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JPH08200506A
JPH08200506A JP7043922A JP4392295A JPH08200506A JP H08200506 A JPH08200506 A JP H08200506A JP 7043922 A JP7043922 A JP 7043922A JP 4392295 A JP4392295 A JP 4392295A JP H08200506 A JPH08200506 A JP H08200506A
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combustion chamber
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 内燃機関の高性能化に対応した充分な機能を
確保しつつ一層安価に製造することができ、同時に金属
接触シール面積が小さく絶対荷重を軽減でき、さらにエ
ンジン剛性を低下させることができ、燃焼室用孔の真円
度の確保が可能な金属ガスケットを提供すること。 【構成】 基板11にはシリンダボア孔13,ボルト孔
14,油孔15及び水孔16が開設され、シリンダボア
孔13の縁は折り返されて折り返し部21が形成される
とともに、この折り返し部21内部には軟質材17が抱
き込まれている一方、基板11の外周端縁においては、
基板11の幅方向全体と同長手方向の各ボルト孔14間
及びボルト孔14近くとに対応した箇所が折り返されて
折り返し部22が形成され、基板11の両接合面には、
各孔13〜16を区画する位置にシリコンゴム等からな
るゴムビード24が、折り返し21,22の高さより高
くなるように形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、内燃機関を構成するシ
リンダブロックとシリンダヘッドとの接合面に介装し
て、燃焼ガス,冷却水及び潤滑油等の流体の漏洩を防止
する金属ガスケットに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、自動車用エンジンその他の内燃
機関を構成するシリンダブロックとこの上に取り付けた
シリンダヘッドとの接合面には、この接合面から燃焼ガ
ス,冷却水,潤滑油等の流体の漏洩を防止するため種々
のガスケットを介装し、ボルト等の締結具で双方を締め
付けることによりシール機能を付与している。従来、こ
のようなガスケットとしては、アスベスト材,化学繊維
材あるいはカーボンシート材等から形成した所謂ソフト
ガスケットが提供されているが、このソフトガスケット
は、その素材による不可避的な問題として、内燃機関の
運転に伴う経時劣化ならびに耐熱性の確保が困難である
といった欠点があるため、近年では、耐熱性,耐圧縮
性,耐久性に富み、良好な復元性(バネ特性)及び熱伝
導性を有する金属製のガスケットが広く使用されている
のは周知の通りである。
【0003】ところで、近年のエンジンは、より一層の
高性能化を実現するため、小型軽量化,高出力化,省燃
費化その他の開発が進んでおり、これらを達成するため
の一開発例を挙げると、エンジンを構成する各部材にア
ルミニウム合金を用いるとともに、シリンダブロックに
おいて隣接するシリンダボアの間隔を可能な限り狭く形
成する傾向がある。
【0004】一方、上述のようにアルミニウム合金を用
いてエンジン部材を構成した場合、容易に推定されるよ
うに、例えば鋳鉄を用いてエンジン部材を構成した場合
に比べ、その全体剛性は著しく低下する。また、エンジ
ンの小型軽量化により生じる新たな不都合として、当該
エンジンの稼働により発生する熱の保有量が増大するこ
とが挙げられるが、これに対しては冷却水路を拡大させ
る等により対応しており、これがためにエンジンの全体
剛性はさらに低下する。さらに、冷却効率を向上させる
ため前記冷却水路をシリンダボアの近くに形成している
が、これによってシリンダブロックとシリンダヘッドと
を締め付けるボルト等の締め付け部位は、シリンダボア
から離れた位置に形成されることになる。そして、当然
のことながら、前記ボルトに近い位置ではその締め付け
力が大きく、逆にボルトから遠い位置ではその締め付け
力が小さくなることが余儀なくされている。
【0005】このように、エンジンの全体剛性が低下
し、ボルト等の締結具による締め付け力の偏差が大きく
なると、前記接合面間に介装された金属ガスケットは、
前記シリンダボアに対応して開設したシリンダボア孔の
端部において、シリンダブロックか又はシリンダヘッド
との間に隙間が発生することになる。このような現象が
生じると、前記シリンダボア孔の周囲において面圧が不
均衡になるから、当該シリンダボア孔の真円度が損なわ
れる上、エンジン稼働時にはシリンダブロックからシリ
ンダヘッドへの熱伝導が悪化して変形が助長される。ま
た、前記隙間が発生すると、金属ガスケットの接合面側
が直接燃焼ガスに曝されることとなり、したがって金属
ガスケットの寿命が低下し、シール性を長時間にわたっ
て確保できなくなるといった不都合が起こり得る。
【0006】そこで、例えば図16に示すように、金属
ガスケット1をなす金属製の基板2に開設したシリンダ
ボア孔3において、当該シリンダボア孔3の縁に沿って
線材を環状に形成したリング4を位置させ、このリング
4を第一弾性金属板5によって抱き込ませて固定すると
ともに、当該第一弾性金属板5の端部でシリンダボア孔
3の端部を接合面両側から挟み、この第一弾性金属板5
の外側をさらに第二弾性金属板6で覆うように挟んでい
る。一方、基板2の外周端部を前記第一及び第二弾性金
属板5,6とは別の弾性金属板7により挟み、この弾性
金属板7は、例えばスポット溶接等により基板2に溶着
されており、また、前記シリンダボア孔3及び他のボル
ト孔,油孔,水孔等の周囲や、基板2の外周に沿って
は、例えばシリコン等によりゴムビード8が形成されて
いる。
【0007】このような金属ガスケット1によれば、上
述したエンジンの全体剛性の低下及びボルト等の締結具
による締め付け力の偏差に対して、リング4の潰れ量と
ゴムビード8の変形量とを相違させるとともに、当該リ
ング4の潰れ量を第一及び第二弾性金属板5,6の厚み
寸法によって規制して、いずれの位置においても有効な
シール性を確保し得、また外周端部の弾性金属板7によ
り、締め付け力を均等化させて金属ガスケット1全体の
変形を抑制している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記図
16に示したような金属ガスケット1は、その作用によ
り確かに充分なシール性の確保及び変形の抑制を期待す
ることはできるが、金属ガスケット1の基板2と各弾性
金属板5〜7とは別体に形成しなければならず、また製
造時には基板2への各弾性金属板5〜7の取り付けを個
別に行わなければならないから、必然的にコストが引き
上げられ、金属ガスケット1を高価にせざるを得ないと
いう実情があった。その上、金属ガスケット1によれ
ば、シリンダボア周りには、リング4,第一及び第二弾
性金属板5,6と金属のみが配されているため、上述し
たエンジンの全体剛性の低下及びボルト等の締結具によ
る締め付け力の偏差を吸収することができず、これによ
ってシリンダボアの真円度の確保が難しくなるといった
欠点もあった。
【0009】本発明は、上記の問題を解決し得るもので
あって、その目的は、内燃機関の高性能化に対応した充
分な機能を確保しつつ一層安価に製造することができ、
同時に金属接触シール面積が小さく絶対荷重を軽減で
き、さらにエンジン剛性を低下させることができ、燃焼
室用孔の真円度の確保が可能な金属ガスケットを提供す
ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の金属ガスケット
のうち、請求項1に記載の発明は、少なくとも燃焼室用
孔を開設した一枚の金属製の基板からなり、シリンダブ
ロックとシリンダヘッドとの間に介装してこれらの接合
面間をシールする金属ガスケットにおいて、前記燃焼室
用孔の縁を折り返し、この折り返し内部に軟質材を抱き
込ませるとともに、前記基板の少なくとも一方の接合面
に前記折り返しの高さより高くなるようにゴム系材料か
らなるビードを形成したことを特徴としている。なお、
前記ビードを形成する位置は、特に介装時に面圧を安定
させる必要がある部位(例えば燃焼室用孔の周囲,ボル
ト孔の周囲その他)や、接合面間で区画すべき空間の間
の部位(例えば油孔と水孔とを区画させるためのシール
位置)等がある。また、軟質材としては、例えば膨張黒
鉛シートやポリイミド等の四フッ化エチレンシート,雲
母,あるいは鉛,亜鉛,銅,軟鋼等の金属板等がある。
【0011】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の発明において、前記基板の接合面域内に、前記燃焼室
用孔の前記折り返しとは別の折り返しを設けたことを特
徴としている。なお、この請求項に係る折り返しとして
は、例えば金属ガスケットの外周端縁や、基板に開設し
た燃焼室用孔以外の孔で特にボルト用孔の周囲等に形成
すると好ましい。
【0012】請求項3に記載の発明は、請求項2に記載
の発明において、前記基板の外周端縁に前記別の折り返
しを設けたことを特徴としている。請求項4に記載の発
明は、請求項2に記載の発明において、前記基板にボル
ト用孔を開設するとともに、このボルト用孔の縁に前記
別の折り返しを設けたことを特徴としている。
【0013】請求項5に記載の発明は、請求項2ないし
請求項4のいずれかに記載の発明において、前記別の折
り返しにシム板を抱き込ませたことを特徴としている。
なお、このシム板を抱き込ませるのは、基板のシリンダ
ブロックとシリンダヘッドとの接合面域全体において、
これらシリンダブロック,シリンダヘッドの接合面の変
形を防止し得る箇所であれば、特に限定されない。
【0014】請求項6に記載の発明は、請求項2ないし
請求項5のいずれかに記載の発明において、前記別の折
り返し端部を、前記シリンダブロックとシリンダヘッド
との少なくとも一方の接合面域外に位置させたことを特
徴としている。請求項7に記載の発明は、請求項1ない
し請求項6のいずれかに記載の発明において、前記折り
返しにおける接合面の前記基板における接合面からの高
さが、当該基板の両接合面側で等しく又は略等しくしな
るように段差を形成したことを特徴としている。
【0015】請求項8に記載の発明は、請求項1ないし
請求項7のいずれかに記載の発明において、前記軟質材
の幅を前記燃焼室用孔の周方向において部分的に変化さ
せたことを特徴としている。請求項9に記載の発明は、
請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の発明におい
て、前記軟質材の厚さを前記燃焼室用孔の周方向におい
て部分的に変化させたことを特徴としている。
【0016】請求項10に記載の発明は、請求項1ない
し請求項9のいずれかに記載の発明において、前記基板
の少なくとも一方の接合面に表面処理材を施したことを
特徴としている。なお、前記表面処理材としては、例え
ばフッ素ゴム,ニトリルゴム(NBR),膨張黒鉛シー
ト等がある。請求項11に記載の発明は、請求項1ない
し請求項10のいずれかに記載の発明において、前記折
り返しの接合面に潤滑材を施したことを特徴としてい
る。なお、前記潤滑材としては、二硫化モリブデン,グ
ラファイト等がある。
【0017】請求項12に記載の発明は、請求項1ない
し請求項11のいずれかに記載の発明において、前記基
板は、前記孔の少なくとも内面に一種類以上のメッキが
施されていることを特徴としている。なお、前記メッキ
の種類としては、金属メッキ,樹脂メッキ,金属と樹脂
との混合メッキ等がある。請求項13に記載の発明は、
請求項1ないし請求項12のいずれかに記載の発明にお
いて、前記燃焼室用孔の前記折り返し端部に、この燃焼
室用孔の全周にわたって線状の軟質材を抱き込ませたこ
とを特徴としている。
【0018】請求項14に記載の発明は、請求項1ない
し請求項13のいずれかに記載の発明において、前記燃
焼室用孔の前記折り返しに、この燃焼室用孔の全周にわ
たって径の異なる二つ以上の線状の軟質材を抱き込ませ
たことを特徴としている。請求項15に記載の発明は、
請求項1ないし請求項14のいずれかに記載の発明にお
いて、前記燃焼室用孔の隣接する部位における前記折り
返しにシム板を抱き込ませたことを特徴としている。
【0019】請求項16に記載の発明は、請求項1ない
し請求項15のいずれかに記載の発明において、前記燃
焼室用孔の前記折り返しの幅内で、前記基板の少なくと
も一方の接合面に前記燃焼室用孔の周りを巡る金属ビー
ドを一つ以上形成したことを特徴としている。請求項1
7に記載の発明は、請求項16に記載の発明において、
前記金属ビードの高さを前記燃焼室用孔の周方向におい
て部分的に変化させたことを特徴としている。
【0020】請求項18に記載の発明は、請求項1ない
し請求項16のいずれかに記載の発明において、前記基
板の前記折り返し以外の両接合面に、当該折り返しの高
さより高くなるように発泡ゴムを配したことを特徴とし
ている。請求項19に記載の発明は、請求項1ないし請
求項18のいずれかに記載の発明において、前記折り返
した基板の端縁を、さらに前記基板側に向けて折り曲げ
たことを特徴としている。
【0021】請求項20に記載の発明は、請求項1ない
し請求項19のいずれかに記載の発明において、前記折
り返しの内側の面を、摩擦抵抗の大きい高摩擦抵抗面と
したことを特徴としている。この高摩擦抵抗面として
は、例えば基板に仕上げ加工を施さない状態のままでも
よいし、若干の凹凸(疵)を形成したものでもよい。請
求項21に記載の発明は、請求項1ないし請求項20の
いずれかに記載の発明において、前記基板の少なくとも
前記ゴム系材料からなるビードを形成する位置を、摩擦
抵抗の大きい高摩擦抵抗面としたことを特徴としてい
る。この高摩擦抵抗面としては、例えば基板に仕上げ加
工を施さない状態のままでもよいし、若干の凹凸(疵)
を形成したものでもよい。
【0022】
【作用】本発明の金属ガスケットのうち、請求項1に記
載の発明によれば、金属ガスケットをシリンダブロック
とシリンダヘッドとの間に介装して組み付けたとき、ボ
ルト等の締結具からの距離に伴う締め付け力の偏差に対
し、折り返しとこの折り返し内部の軟質材とが好適に追
随変形するとともに、この変形によって前記締め付け力
による面圧の均一化が促進され、さらにゴム系材料から
なるビードもが弾性変形して前記面圧の均一化の促進な
らびに充分なシール効果の確保が実現される。また、前
記組み付け時に直接面圧を受けるのは燃焼室用孔周りの
みとなり、全体の締め付け力を軽減することが可能とな
る。さらに、このような金属ガスケットは、一枚の基板
からなるとともに、この基板の燃焼室用孔等の縁を折り
返すことにより、金型の製作数を減らすことができ、材
料コストを含む製造コストを著しく低下させることがで
きる上、ビードの形成は一筆書きのディスペンサ法やス
クリーンプリント,金型による形成等により容易に行う
ことができるので、極めて廉価な金属ガスケットの製造
が可能となる。
【0023】請求項2に記載の発明によれば、締結具に
よる締め付け力の偏差等に対し、別の折り返しが当該締
め付け力による面圧の均一化を促進させ得るので、シリ
ンダブロック,シリンダヘッドの変形が抑制される。請
求項3に記載の発明によれば、締結具による締め付け力
の偏差に対し、外周端縁の折り返しが当該締め付け力に
よる面圧が一層均一化され、シリンダブロック,シリン
ダヘッドの変形が抑制される。
【0024】請求項4に記載の発明によれば、ボルト等
の締結具の軸力に対し、当該ボルト用孔の縁の折り返し
により軸力が分散され、この締結具の近くの締め付け力
による面圧が一層均一化され、シリンダブロック,シリ
ンダヘッドの変形を抑制し得る。請求項5に記載の発明
によれば、別の折り返しにシム板を抱き込ませたことに
より、金属ガスケットとシリンダブロック,シリンダヘ
ッドとが、燃焼室周りのみで接触することが防止され、
これによって、面圧が燃焼室周りのみに集中することが
なく、シリンダブロック,シリンダヘッドの変形が防止
される。
【0025】ところで、折り返しを形成すると、当該折
り返しの端部は完全に平坦な状態とはならない場合が起
こり得る。このように平坦でないままシリンダブロック
とシリンダヘッドとの間に介装すると、容易に推定され
るように、この端部においてシール性が低下してしまう
一方、この端部を潰して平坦な状態とするには過大な荷
重が必要であるとともに、荷重を付加して潰すことによ
りスプリングバックが発生する可能性がある(因みに、
板厚が0.3mm以上であれば端部を潰して平坦にするの
は非常に困難である)。そこで、請求項6に記載の発明
によれば、折り返しの端部をシリンダヘッド,シリンダ
ブロックの少なくともいずれかの接合面域外に位置させ
ると、シール性が損なわれることがなく、また端部を平
坦とするための荷重を付加する必要もない。これによっ
て、前記介装時の正確なガスケット荷重を計算すること
が可能になるのである。
【0026】請求項7に記載の発明によれば、金属ガス
ケットの介装時に、当該金属ガスケットの折り返しにお
ける接合面が、シリンダブロックの接合面側とシリンダ
ヘッドの接合面側とに同程度突出することになり、した
がってこれらシリンダブロックとシリンダヘッドとの双
方に均一的に接触することになり、また折り返しは段差
によってそれ自身バネ特性を有していることとなるか
ら、締め付け力あるいは稼働時の熱の影響によるシリン
ダブロック,シリンダヘッドの変形に対して好適に追従
変形し得、面圧の均一化を促進させることが可能とな
る。
【0027】請求項8に記載の発明によれば、ボルト等
の締結具による締め付け力に対し、軟質材の幅が広いほ
ど折り返しの反発力が増大し、逆に軟質材の幅が狭いほ
ど折り返しの反発力が減少するが、前記締結具から遠
く,締め付け力の小さい箇所では軟質材の幅を広くし、
同じく締結具に近く,締め付け力の大きい箇所では軟質
材の幅を狭くすることで、シリンダブロック,シリンダ
ヘッドに発生する燃焼室用孔周りの面圧が一層均一化さ
れる。
【0028】請求項9に記載の発明によれば、基板に開
設した例えばボルト孔とボルト孔との間の距離が大きい
場合や、水孔の数が多い場合等には、それに応じて面圧
の不均一化が助長されるが、このような部位において軟
質材の厚さを大きくすることで、シリンダブロック,シ
リンダヘッドに発生する燃焼室用孔周りの面圧が均一化
される。
【0029】請求項10に記載の発明によれば、例えば
フッ素ゴム,ニトリルゴム(NBR),膨張黒鉛シート
等の表面処理材により金属ガスケット表面が滑らかとな
っており、したがってこの表面処理材がシリンダブロッ
ク,シリンダヘッドの接合面の粗さに対応し、内燃機関
の稼働時における圧洩れを防止し得る。請求項11に記
載の発明によれば、二硫化モリブデン,グラファイト等
の潤滑材により折り返しにおける接合面が滑らかとなっ
ており、これによってシリンダブロック,シリンダヘッ
ドの接合面と基板との金属同士が直接接触することがな
く、したがって折り返し接合面に疵が発生するのを防止
し、また、内燃機関の稼働時に特にシリンダヘッド,シ
リンダブロックが異種材料で形成されている場合の熱膨
張差による擦れや、この擦れのため発生するフレッチン
グ等で疵が発生するのを防止するとともに、ミクロシー
ル効果で圧洩れを防止し得る。
【0030】請求項12に記載の発明によれば、基板
は、当該基板に開設した孔の少なくとも内面に、例えば
金属メッキ,樹脂メッキあるいは金属と樹脂とを混合さ
せたメッキ等が施されている。これによって、金属ガス
ケットが介装される内燃機関が、例えば海水で冷却され
る船外機や、海水・淡水両用の汎用エンジン等である場
合にも、耐腐食性,耐薬品性を確保することが可能とな
り、長期間安定したシール性を補償することが可能とな
る。したがって、このようなメッキは、孔の開設後に表
面処理材,潤滑材を施す前に予め処理されているもので
ある。
【0031】請求項13に記載の発明によれば、ボルト
等の締結具による締め付け力により、シリンダブロック
とシリンダヘッドとの間で線状の軟質材が潰れ、この軟
質材の潰れ量により双方の接合面間が閉塞されるので、
一層良好なシール性が確保される。請求項14に記載の
発明によれば、燃焼室の端部において高い面圧が必要な
場合は、折り返し内側に径の太い軟質材を抱き込ませ,
且つ折り返し外側に径の細い軟質材を抱き込ませる。こ
れによって、ボルト等の締結具による締め付け力に対
し、燃焼室に近い側が同遠い側より潰れ量が大きくなっ
て、軟質線の変形が面圧と好適に比例して燃焼室の端部
において高い面圧を確保することが可能となる。一方、
例えばアルミニウム製シリンダブロックに鋳鉄スリーブ
を圧入したようなエンジンの場合は、燃焼室用孔の折り
返し端部に大きな荷重がかかると鋳鉄スリーブのだれ込
み変形や、燃焼室の真円度が損なわれる可能性があるた
め、このような場合は径の細い軟質材を折り返し内側に
抱き込ませ、径の太い軟質材を折り返し外側に抱き込ま
せる。これによって、燃焼室に遠い側が同近い側より潰
れ量が大きくなり、軟質線の変形が面圧と好適に比例し
て燃焼室周囲の締め付け面圧が平均化するので、鋳鉄ス
リーブのだれ込み変形の防止と、燃焼室の真円度の確保
が可能となる。
【0032】請求項15に記載の発明によれば、特にシ
リンダブロック及びシリンダヘッドの剛性が小さい場合
等に、面圧の低い燃焼室用孔間にシム板を抱き込ませる
と、このシム板によって面圧の均一化が促進される。請
求項16に記載の発明によれば、金属ビードの形成によ
ってシリンダブロックあるいはシリンダヘッドと金属ガ
スケットとの接触が面接触から線接触になり、これによ
り折り返し内部に抱き込ませた軟質材の変形が容易にな
り、例えばボルト等締結部の近くの高圧部と、各ボルト
間の低圧部との差を顕著にし得る。特に、当該金属ビー
ドを燃焼室用孔の径方向に離して二つ以上形成して断面
波状にすると、線接触数が増加してシール面が高圧とな
るためラビリンス効果を促し、仮に一つの金属ビードで
リークすることがあっても他の金属ビードでシール性を
確保し得る。
【0033】請求項17に記載の発明によれば、ボルト
等の締結具による締め付け力に対し、金属ビードは高い
ほど反発力が増大し、逆に低いほど反発力が減少する
が、前記締結具から遠く,締め付け力の小さい箇所では
金属ビードを高く形成し、同じく締結具に近く,締め付
け力の大きい箇所では金属ビードを低く形成すること
で、シリンダブロック,シリンダヘッドに発生する燃焼
室用孔周りの面圧が一層均一化される。
【0034】ところで、金属ガスケットは、燃焼室用孔
の折り返しや、例えば基板外周端縁やボルト用孔に形成
した折り返しの部分と、他の基板一枚のみの部分とで
は、介装時にシリンダブロックあるいはシリンダヘッド
と前記基板一枚のみの部分との間には隙間が生じる。こ
こで、特に水冷エンジンでは、ポンプで冷却水を循環さ
せているが、ポンプの近くでは水圧が高く、逆に遠くで
は水圧が低くなる傾向がある。このため、水冷エンジン
のウォータージャケットに対応して基板に水孔を形成し
た金属ガスケットでは、前記水圧の調整を当該水孔の大
きさを変えることで対応しているが、板厚の厚い基板を
用いたときは、前記隙間が大きくなって短絡する可能性
がある。そこで、請求項18に記載の発明によれば、こ
のような場合は、折り返しを除いた基板の両接合面に、
面圧が少なくて済む発泡ゴムを配することで、多くの面
圧を費やすことなく各水孔間の短絡を防止することが可
能となる。
【0035】請求項19に記載の発明によれば、折り返
した基板の端縁を、さらに基板側に向けて折り曲げたこ
とで、折り返し内部に抱き込ませた軟質材が当該折り返
し内部から突出するのを防止し得る。請求項20に記載
の発明によれば、折り返しの内側が高摩擦抵抗面となっ
ているから、この折り返しに抱き込まれた軟質材が動き
にくくなり、したがって軟質材が折り返し内部で変位し
たり、折り返し内部から突出したりしにくくなる。
【0036】請求項21に記載の発明によれば、高摩擦
抵抗面にゴム系材料からなるビードを形成することで、
例えば一筆書きのディスペンサ法やスクリーンプリン
ト,金型による形成等により当該ビードを形成する際
に、ビードが基板へ一層堅固に固着することになる。
【0037】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づき詳細に
説明する。図1ないし図4は、本発明の一実施例を示す
図であって、これらの図において、図1は金属ガスケッ
ト10の平面構成図,図2は図1のA−A線断面図,図
3は図1のB−B線断面図,図4は図1のC−C線断面
図である。
【0038】これらの図を参照すると、金属ガスケット
10は、ステンレス鋼等の金属製の基板11に複数の孔
を開設してなっている。基板11は、前記各孔の内面と
当該各孔の周りの両接合面とに、例えば金属メッキ,樹
脂メッキあるいは金属と樹脂とを混合させたメッキが施
された上で、エンジンを構成するシリンダブロック及び
シリンダヘッドの両接合面の仕上げ荒さに対応して、表
面にフッ素ゴム,ニトリルゴム(NBR)又は二硫化モ
リブデン等の表面処理材12が焼き付けられている。な
お、この表面処理材12は、図4にのみ若干誇張して示
しているが、他の図では示していない。
【0039】また、前記複数の孔は、シリンダブロック
のシリンダボア(燃焼室)に対応した複数個のシリンダ
ボア孔13と、前記シリンダブロックとシリンダヘッド
とを結合する締結ボルトの配設位置に対応したボルト孔
14と、図示しないピストン等の各摺動部分に潤滑油を
供給するオイルギャラリ等に対応した油孔15と、燃料
の燃焼やピストン等の摺動によって温度上昇するシリン
ダブロック,シリンダヘッドに冷却水を供給するウォー
タジャケットの内側の部分に位置した水孔16と、から
なる。勿論、これらの孔13〜16は、この金属ガスケ
ット10をシリンダブロックとシリンダヘッドとの間に
介装してエンジンを構築したとき、前記エンジンの各部
位に連通するようになっている。
【0040】これら各孔13〜16のうち、シリンダボ
ア孔13は、図2ないし図4に示すように、その縁が折
り返されて折り返し部21が形成され、この折り返し部
21の内側には例えば膨張黒鉛シート等からなる軟質材
17が抱き込まれている。軟質材17の板厚は、エンジ
ンの構成により変化するが、概ね0.3mm前後が標準で
あり、この例では密度1.0のものを抱き込ませて60
0kg/cm2で圧縮させることにより約30〜40%の圧縮
変形をしたものが抱き込まれている。一方、基板11の
外周端縁においては、基板11の幅方向全体と、同長手
方向の各ボルト孔14間及びボルト孔14近くとに対応
した箇所に、シリンダボア孔13の折り返し部21と同
一接合面側に折り返されて折り返し部22が形成されて
おり、この折り返し部22にあっては、その内側には何
も抱き込まれず単に折り返された状態となっている。
【0041】なお、特に図示しないが、前記折り返し部
21,22における両接合面には、例えば二硫化モリブ
デン,グラファイト等の潤滑材が塗布されている一方、
折り返し部21,22の内側の面は、若干の凹凸(疵)
が形成されている。ここで、軟質材17は、エンジンの
剛性により異なるが、剛性が大きければ大きい程その厚
さを減少させることができる。また、その材質は膨張黒
鉛シートに限らず、例えば鉛板,亜鉛板,銅板,軟鋼板
等の軟質金属板や、四フッ化エチレンシート(例えばボ
リイミドシート等)や雲母でも可能である。
【0042】シリンダボア孔13の縁と、基板11の外
周端縁におけるボルト孔14に対応した箇所とは、それ
ぞれ折り返し部21,22を形成したことにより当該折
り返し部21,22において基板11の一方の接合面側
に突出した状態となるが、これら折り返し部21,22
は、基板11の他の部位との連続位置において段差23
が形成され、この段差23は、基板11の図2〜図4に
おいて上の接合面側から下の接合面側に下ることによ
り、前記折り返し部21,22における上下の接合面の
それぞれが、基板11における上下の接合面のそれぞれ
から高さが等しくなっている。なお、図2に示すよう
に、シリンダボア孔13の隣接した部位にあっては、そ
の間隔が狭いがゆえに段差23は形成していない。
【0043】一方、基板11の両接合面には、例えばシ
リコンゴムからなるゴムビード24が形成されている。
このゴムビード24は、シリンダボア孔13の周りと、
各ボルト孔14の周りを巡って形成されるとともに、こ
れらシリンダボア孔13,ボルト孔14,油孔15及び
水孔16の各孔を区画するように形成されている(図1
ではこのゴムビード24の軌跡を一点鎖線で表示してい
る)。そして、図2ないし図4に示すように、特にボル
ト孔14の周囲に形成されたゴムビード24は、基板1
1の接合面に垂直な断面が半円状をなすとともに、両接
合面側でそれぞれ対称となっており、その他の箇所に形
成されたゴムビード24は、基板11の接合面に垂直な
断面が台形状をなすとともに、両接合面側でそれぞれ対
称となっている。なお、この例ではゴムビード24の断
面形状を半円状と台形状としたが、全てのゴムビード2
4を断面半円状あるいは台形状のいずれかで形成しても
よいし、その他の断面形状となるように形成してもよ
い。また、ゴムビード24が良好に施されるように、基
板11における当該ゴムビード24の形成箇所に極めて
若干の凹凸(疵)を形成しておくことも可能である。
【0044】これらゴムビード24は、前記折り返し部
21,22における両接合面のそれぞれからの高さが同
一となるように形成され、しかもその高さは、前記折り
返し部21,22の厚さより全体で1.5倍以上となる
ように形成されている。因みに、金属ガスケット10の
厚さは、ゴムビード24の高さをT1 とし、シリンダボ
ア孔13の折り返し部21の厚さをT2 とし、ボルト孔
14近くの外周端縁の折り返し部22の厚さをT3 とし
たとき、これら板厚の関係がT1 ,T2 ,T3の順に大
きくあることが必要である。また、このゴムビード24
は、例えば一筆書きのディスペンサ法やスクリーンプリ
ント,又は金型を用いたモールドタイプ等により施すこ
とが可能であって、特にスクリーンプリントによれば編
み目模様の形成が容易に実現することができる。
【0045】なお、ゴムビード24は、一方の接合面側
にのみ形成し、他方の接合面側には基板11に当該接合
面側へ隆起した金属ビードを形成することも可能ではあ
るが、この場合は金属ビードを形成するための金型が必
要になる。このように形成された金属ガスケット10
は、シリンダヘッドとシリンダブロックとの接合面間に
介装された際、これらシリンダヘッドとシリンダブロッ
クとの接合面と金属面(実際には表面処理材12が施さ
れている)で接触する面積が、金属ガスケット10全体
の約25%となるように設計されている。これは、金属
ガスケット10がシリンダブロックとシリンダヘッドと
の間に介装され、ボルト等の締結具で締結された際の絶
対荷重をできるかぎり低減させる目的でなされるもので
ある。
【0046】次に、上記の構成からなる金属ガスケット
10の作用について説明する。金属ガスケット10は、
エンジンを構成するシリンダブロックとその上のシリン
ダヘッドとの間に介装され、これらシリンダブロックと
シリンダヘッドとがボルト等の締結具で締結された際、
この締め付け力に伴うシリンダブロック,シリンダヘッ
ドの面圧によって潰れる方向に変形する。さらに詳しく
は、最も高さのあるゴムビード24が潰れる方向に弾性
変形し、次いで折り返し部21,22が潰れる方向に変
形し、この折り返し部21の変形によって軟質材17が
変形する。この際、折り返し部21においては、その内
側の軟質材17が、例えば板厚0.3mmとしたとき、ボ
ルトに近い面圧の高い部分では約50%変形して0.1
5mm程度となり、ボルトから遠い面圧の低い部分(例え
ば各シリンダボア孔13間やボルト孔14間)では0.
18〜0.20mm程度となる。このように、面圧が高い
箇所では軟質材17が薄く,逆に面圧が低い箇所では前
記高い箇所に比べて軟質材17が厚くなるように変形す
るため、金属ガスケット10には略均一的な面圧が作用
することになる。
【0047】また、締め付けによるシリンダブロック,
シリンダヘッドの変形に対しては、折り返し部21,2
2と折り返し部21内部の軟質材17とが反発力により
追随変形するとにより、これらシリンダブロック,シリ
ンダヘッドの両接合面と金属ガスケット10との間は閉
塞される。さらに、ボルト孔14近くは、折り返し部2
2が直接シリンダブロック,シリンダヘッドの両接合面
に接触しているため、軸力が低下することはなく、また
各折り返し部21,22は、段差23を形成したことに
よりそれ自身バネ特性を有しており、したがってより好
適に追随変形してシール性を確保している。
【0048】次いで、このように金属ガスケット10を
介装したエンジンは、その稼働中ではシリンダボア孔1
3の周囲において最もシール圧が高くなる。そこで、エ
ンジン稼働中の燃焼ガスの最高圧を100kg/cm2とした
とき、ガスケット係数を6とすると、このシリンダボア
孔13周囲にかかる圧力は、“600kg/cm2×折り返し
部21の面積”となり、仮にシリンダボア孔13の直径
を80mm,前記折り返し部21の折り返し幅を4.0mm
とすると、金属ガスケット10が4気筒のエンジンに対
応している場合の面積は約43cm2 となり、600×4
3=25800kgの圧力がかかることになる。
【0049】このような圧力が作用した場合にも、折り
返し部21とその内部の軟質材17とが比例変形して良
好なシール性を確保し続ける。また、軟質材17として
の膨張黒鉛シートは、熱伝導が良好で、熱間時において
も復元力は劣化が少なく、特に高密度の圧縮品は復元率
の劣化は非常に少なく耐久性は長時間にわたって保証さ
れる。
【0050】なお、図5に示すように、シリンダボア孔
13の折り返し部21の幅内で、一方の接合面側(図5
(a)参照)あるいは両接合面側(図5(b)参照)
に、シリンダボア孔13の周りを巡る金属ビード21A
を形成すると、さらに以下のような利点を得ることがで
きる。すなわち、金属ビード21Aをシリンダボア孔1
3の径方向に離して複数の形成し、断面波形にした図の
例では、これら金属ビード21Aの形成によってシリン
ダブロックあるいはシリンダヘッドと折り返し部21と
の接触が面接触から線接触になり、これにより折り返し
部21に抱き込ませた軟質材17の変形が容易になり、
例えばボルト孔14近くの高圧部と、各ボルト孔14間
の低圧部との差を顕著にする効果がある。特に、金属ビ
ード21Aを複数形成したことにより、線接触数が増加
してシール面が高圧となるためラビリンス効果を促し、
仮に一つの金属ビードでリークすることがあっても他の
金属ビードでシール性を確保することができる。しかし
勿論、金属ビード21Aが一つであっても、高圧部と低
圧部との差を顕著にする効果を得ることができる。
【0051】また、図6に示すように、軟質材17を抱
き込ませたシリンダボア孔13の折り返し部21におい
て、その折り返した基板11の端縁21Bを、当該基板
11表面側に向けてさらに折り曲げてもよい。このよう
に端縁21Bを折り曲げると、軟質材17が折り返し部
21内部から飛び出すのを防止できる。また、図7ない
し図10には、上記図1ないし図4に示した金属ガスケ
ット10とは別の金属ガスケット30を示す。この金属
ガスケット30においては、前記金属ガスケット10と
同一構成部分には同一符号を付すことにより、その説明
を簡略化する。
【0052】これらの図に示す金属ガスケット30は、
特にシリンダボア孔13の折り返し部21端部に、この
シリンダボア孔13の全周にわたって線状をした軟質の
金属材からなるリング31を抱き込ませている。そし
て、金属ガスケット10において外周端縁のボルト孔1
4近くに形成した折り返し部22を形成せず、ボルト孔
14の縁を折り返して折り返し部32を形成するととも
に、基板11のシリンダブロックとシリンダヘッドとの
接合面域全体において、これらシリンダブロック,シリ
ンダヘッドの接合面の変形を防止し得る箇所(この例で
はボルト孔14の近くであって、基板11の外周端縁と
ゴムビード24との間の箇所)で、図11に示すよう
に、複数の孔33を開設した上でそれら縁を折り返して
折り返し部34を形成し、これら折り返し部34に環状
をしたシム板35を抱き込ませている。さらに、シリン
ダボア孔13の隣接する部位には、図8にその平面を示
すような軟質の金属材からなるシム板36を抱き込ませ
ている。なお、前記シム板35は、折り返し部34へ抱
き込まれているか,否かを容易に確認できるように、折
り返し部34の幅より大きい幅を有するものが好まし
い。
【0053】このような金属ガスケット30は、シリン
ダブロック,シリンダヘッドがアルミニウム合金等剛性
の小さい素材からなる場合に、膨張黒鉛シート等の軟質
材17との併用により、かかる面圧の一層の均一化なら
びにシール性の確保を期待することができる。すなわ
ち、金属ガスケット30がシリンダブロックとシリンダ
ヘッドとの間に介装された後、ボルトによって締結され
て面圧が付加された際は、先ず最も高さのあるゴムビー
ド24が潰れる方向に弾性変形し、次いで折り返し部2
1,22が潰れる方向に変形し、これによって軟質材1
7,リング31が変形する。リング31は、線状すなわ
ち断面が略円形となっているから、最初は前記面圧を狭
い面積において受けることになり、次第に潰れるにした
がって当該面圧を受ける面積が増加する。
【0054】リング31は、折り返し部21によって抱
き込まれているから、その潰れ性は次第に低下してい
く。この際、折り返し部21,軟質材17及びリング3
1には反発力が生じているから、シリンダブロックとシ
リンダヘッドとの接合面のシール性が確保され、さらに
この反発力がシリンダブロック及びシリンダヘッドの変
形に追随変形してシール性を確保し続ける。
【0055】一方、リング31は、シリンダボア孔13
の全周にわたって抱き込まれているとともに、隣接した
シリンダボア孔13の間にはシム板36が抱き込まれて
おり、また折り返し部32によってボルト等からの締め
付け力に対して反発力が作用しているから、前記締め付
け力による面圧が金属ガスケット30全体に均一化傾向
となり、特に締め付け面圧の弱いシリンダボア孔13
間,ボルト孔14間にあっても充分なシール性が確保さ
れる。
【0056】また、折り返し部34を形成してシム板3
5を抱き込ませたことで、金属ガスケット30とシリン
ダブロック,シリンダヘッドとがシリンダボア孔13周
りのみで接触せず、各折り返し部34においても接触す
ることになり、これによって、面圧がシリンダボア孔1
3周りのみに集中することがなく、シリンダブロック,
シリンダヘッド接合面の変形が抑制される。
【0057】なお、図12(a)及び(b)に示すよう
に、シリンダボア孔13の折り返し部21に、当該シリ
ンダボア孔13の全周にわたって径の異なる複数のリン
グ37〜39を抱き込ませることもできる。ここで、こ
れらリング37〜39は、前記リング31と同様に線状
をした軟質の金属材からなる。以下は、この例について
説明していく。
【0058】シリンダボア孔13の端部において高い面
圧が必要な場合、図12(a)に示すように、折り返し
部21の内側に最も径の太いリング37を抱き込ませ,
且つ折り返し部21外側に連れて次に径の太いリング3
8,最も径の細いリング39を抱き込ませる。このよう
な構成によれば、ボルト等による締め付け力に対し、シ
リンダボア孔13の端部で最も潰れ量が大きく、この端
部から離れるにしたがって潰れ量が小さくなるから、リ
ング37〜39の変形が面圧と好適に比例し、シリンダ
ボア孔13の端部において高い面圧を確保することがで
きる。
【0059】一方、例えばアルミニウム製シリンダブロ
ックに鋳鉄スリーブを圧入したようなエンジンでは、シ
リンダボア孔13の折り返し部21における端部に大き
な荷重がかかると、鋳鉄スリーブのだれ込み変形が起こ
ったり、シリンダボアの真円度が損なわれるといった不
都合が生じる可能性がある。そこで、このような場合
は、図12(b)に示すように、リング39を折り返し
部21の端部に抱き込ませ、順に折り返し部21内を外
側に向かうに連れてリング38,リング37を抱き込ま
せる。これによって、端部に遠い側が同近い側より潰れ
量が大きくなり、リング37〜39の変形が面圧と好適
に比例して締め付け面圧が平均化するので、鋳鉄スリー
ブのだれ込み変形の防止と、シリンダボアの真円度の確
保ができるのである。
【0060】このように、本発明の金属ガスケット1
0,30によれば、一枚の基板11からなるとともに、
この基板11に折り返し部21,22,32,34を形
成することにより、金型の製作数及び工程を減らすこと
ができ、材料コストを含む製造コストを著しく低下させ
ることができ、またゴムビード24の形成は、一筆書き
のディスペンサ法やスクリーンプリント,金型を用いた
モールドタイプ等により容易に行うことができるので、
極めて廉価な金属ガスケットの製造を実現することがで
きる。
【0061】そして、このような金属ガスケット10,
30によれば、シリンダブロックとシリンダヘッドとの
接合面間に介装して締結した際、締め付け力の偏差に対
してシリンダボア孔13にあっては折り返し部21,折
り返し部21内部の軟質材17あるいはリング31が好
適に追随変形するとともに、この変形によって前記締め
付け力による面圧が一層均一化され、さらにゴムビード
24もが弾性変形して前記締め付け力が一層均一化され
るので、充分なシール効果の確保を実現することができ
る。このように、締め付け力の偏差の回避及びシール効
果の確保を達成することにより、エンジン稼働時に生じ
る振動振幅の影響によって金属ガスケットに亀裂,破断
が引き起こるのを防止し、さらに燃焼ガスの影響による
金属ガスケットの寿命の低下を防止し得るのである。そ
して、エンジン全体においては、燃費の向上,パワーロ
スの低減ならびに寿命の向上を達成することができる。
【0062】なお、本実施例では、基板11における接
合面と折り返し部21,22,32,34における接合
面との高さを、段差23を形成することにより同一とし
たが、例えば図13に示すように、段差を形成せず、ゴ
ムビード24の高さを折り返し側を高くし,逆側を低く
することにより、基板11における接合面からゴムビー
ド24の厚さ方向上端までの高さを同一とすることも可
能である。
【0063】また、折り返し部,特に基板11の外周端
縁に形成した折り返し部22を形成することにより、当
該折り返し部22の端部は完全に平坦な状態とはならな
い場合が起こり得る。このように平坦でないままシリン
ダブロックとシリンダヘッドとの間に介装すると、容易
に推定されるように、この端部においてシール性が低下
してしまう一方、この端部を潰して平坦な状態とするに
は過大な荷重が必要であるとともに、荷重を付加して潰
すことによりスプリングバックが発生する可能性があ
る。因みに、板厚が0.3mm以上であれば、端部を潰し
て平坦にするのは極めて困難となる。
【0064】そこで、図14(a)及び(b)に示すよ
うに、折り返し部22の端部22Aをシリンダヘッド,
シリンダブロックの少なくともいずれかの接合面域外に
位置させると、シール性が損なわれることがなく、また
端部を平坦とするための荷重を付加する必要もない。そ
して、このような構成とすることにより、前記介装時の
正確なガスケット荷重を計算することができるのであ
る。
【0065】また、金属ガスケット10,30を特に水
冷エンジンに介装する場合には、図15に示すように、
折り返し部21,22,32,34を除いた基板11の
両接合面に、発泡ゴム40を配することで、以下のよう
な効果を得ることができる。すなわち、水冷エンジンで
は、ポンプで冷却水を循環させているが、ポンプの近く
では水圧が高く、逆に遠くでは水圧が低くなる傾向があ
る。このため、水冷エンジンのウォータージャケットに
対応した水孔16を有する金属ガスケットでは、従来こ
のような水圧の調整を水孔16の大きさを変えることで
対応していたが、板厚の厚い基板を用いたときは、折り
返し部21,22,32,34と、他の基板11一枚の
みの部分とでは、介装時にシリンダブロックあるいはシ
リンダヘッドと前記基板一枚のみの部分との間に生じる
隙間が大きくなって短絡する可能性があった。そこで、
このように水冷エンジンに介装するような場合は、面圧
が少なくて済む発泡ゴム40を配することで、多くの面
圧を費やすことなく各水孔16間の短絡を防止すること
ができるのである。
【0066】なお、特に図示はしなかったが、上述した
ようなボルト等の締結具から遠い箇所や、各シリンダボ
ア孔13間や、油孔15及び水孔16の数が多い場合に
は、軟質材17の幅ならびに厚さを部分的に大きくする
ことで、面圧の均一化傾向を実現することもできる。つ
まり、軟質材17は、その幅ならびに厚さが大きいほど
反発力が増大し、逆に小さいほど反発力が減少するか
ら、締め付け力の作用が小さい箇所において軟質材17
の幅ならびに厚さを部分的に大きくすれば、面圧が好適
に均一化傾向になる。
【0067】なお、これも特に図示はしないが、例えば
板厚の大きい金属ガスケットを形成したい場合には、基
板11を複数枚重ね合わせる必要はなく、シリンダブロ
ックあるいはシリンダヘッドの接合面に直接接する折り
返し部に所定厚さの軟質材あるいはシム板を抱き込ま
せ、これに応じてゴムビード,金属ビードの高さを大き
くすることで対応することができる。
【0068】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の金属ガスケットによれば、極めて安価に金属ガスケッ
トを製造することができる上、ボルト等締結具によるシ
リンダブロックとシリンダヘッドとの接合面間の面圧を
一層均一化し、充分なシール性を確保することができ、
さらに燃焼室用孔の真円度を好適に確保することができ
るといった効果を奏し、これによってエンジンの燃費の
向上,パワーロスの低減ならびに寿命の向上を達成する
ことができる。
【0069】特に、請求項1に記載の発明によれば、折
り返しによってボルト等締結具による締め付け力を分散
して均一化傾向とすることができるとともに、折り返し
内部の軟質材とビードとにより充分なシール性を確保す
ることができ、さらに燃焼室用孔の真円度を好適に確保
することができる。また、一枚の基板からなり且つこの
基板の燃焼室用孔等の縁を折り返すことにより、金型の
製作数を減らすことができ、これによって材料コストを
含む製造コストを著しく低下させることができる。
【0070】請求項2に記載の発明によれば、シリンダ
ブロックとシリンダヘッドとの接合面間の面圧が一層均
一化し、充分なシール性を確保することができる。請求
項3に記載の発明によれば、基板の外周端縁の折り返し
がシリンダブロックとシリンダヘッドとの接合面におけ
る面圧が一層均一化され、シリンダブロック,シリンダ
ヘッドの変形を抑制することができる。
【0071】請求項4に記載の発明によれば、ボルト等
の締結具の軸力に対し、当該ボルト用孔の縁の折り返し
により軸力が分散され、このボルト等の締結具の近くの
締め付け力による面圧が一層均一化され、シリンダブロ
ック,シリンダヘッドの変形を抑制することができる。
請求項5に記載の発明によれば、面圧が燃焼室用孔周り
のみに集中せず、シリンダブロック,シリンダヘッド接
合面が変形するのを防止することができる。
【0072】請求項6に記載の発明によれば、シール性
が損なわれることがなく、また端部を平坦とするための
荷重を付加する必要もなく、介装時の正確なガスケット
荷重を計算することができる。請求項7に記載の発明に
よれば、折り返しにおける接合面をシリンダブロックの
接合面側とシリンダヘッドの接合面側との双方に均一的
に接触させることができ、また折り返しが締め付け力あ
るいは稼働時の熱の影響によるシリンダブロック,シリ
ンダヘッドの変形に対して好適に追従変形して、面圧の
均一化を促進させることができる。
【0073】請求項8に記載の発明によれば、シリンダ
ブロック,シリンダヘッドに発生する燃焼室用孔周りの
面圧の均一化を促進させることができる。請求項9に記
載の発明によれば、シリンダブロック,シリンダヘッド
に発生する燃焼室用孔周りの面圧の均一化を促進させる
ことができる。請求項10に記載の発明は、表面処理材
により金属ガスケット表面が滑らかとなり、したがって
この表面処理材がシリンダブロック,シリンダヘッドの
接合面の粗さに対応し、内燃機関の稼働時における圧洩
れを防止することができる。
【0074】請求項11に記載の発明によれば、潤滑材
によりシリンダブロック,シリンダヘッドの接合面と基
板との金属同士が直接接触することがなく、したがって
折り返し接合面に疵が発生するのが防止されるので、内
燃機関の稼働時における圧洩れを防止することができ
る。請求項12に記載の発明によれば、金属ガスケット
が介装される内燃機関が海水等で冷却される構造である
場合にも、メッキによって金属ガスケットの耐腐食性,
耐薬品性を確保することができ、これによって長期間安
定したシール性を補償することができる。
【0075】請求項13に記載の発明によれば、線状の
軟質材の潰れ量により双方の接合面間が閉塞されるの
で、一層良好なシール性を確保することができる。請求
項14に記載の発明によれば、ボルト等の締結具による
締め付け力に対し、軟質線の変形が面圧と好適に比例し
て平均化させることができる。請求項15に記載の発明
によれば、特にシリンダブロック及びシリンダヘッドの
剛性が小さい場合等に、面圧の低い燃焼室用孔間にシム
板を抱き込ませると、このシム板によって面圧の均一化
を一層促進させることができる。
【0076】請求項16に記載の発明によれば、金属ビ
ードの形成によって折り返し内部に抱き込ませた軟質材
の変形を容易にすることができ、高圧部と低圧部との差
を顕著にすることができる。特に、金属ビードを複数形
成して断面波状にすると、線接触数が増加してシール面
が高圧となるためラビリンス効果を促し、仮に一つの金
属ビードでリークすることがあっても他の金属ビードで
シール性を確保することができる。
【0077】請求項17に記載の発明によれば、シリン
ダブロック,シリンダヘッドに発生する燃焼室用孔周り
の面圧の均一化を促進させることができる。請求項18
に記載の発明によれば、多くの面圧を費やすことなく各
水孔間の短絡を防止することができる。請求項19に記
載の発明によれば、折り返し内部に抱き込ませた軟質材
が当該折り返し内部から飛び出すのを防止することがで
きる。
【0078】請求項20に記載の発明によれば、折り返
し内部に抱き込まれた軟質材が当該折り返し内部で変位
したり、折り返し内部から突出したりするのを防止する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る金属ガスケットの一例を示す平面
構成図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】同B−B線断面図である。
【図4】同C−C線断面図である。
【図5】シリンダボア孔の折り返し部に金属ビードを形
成した例を示す断面図であり、同図(a)は一方の接合
面側に,同図(b)は両接合面側に金属ビードを形成し
た図である。
【図6】折り返しの端縁を基板表面側に向けてさらに折
り曲げた例を示す要部断面図である。
【図7】本発明に係る金属ガスケットの他の例を示す平
面構成図である。
【図8】本実施例で説明したシム板の平面構成図であ
る。
【図9】図7のA−A線断面図である。
【図10】同C−C線断面図である。
【図11】同D−D線断面図である。
【図12】シリンダボア孔の折り返し部に複数のリング
を抱き込ませた例を示す断面図であり、同図(a)は端
部から順に径が小さくなるように抱き込ませた図,同図
(b)は端部から順に径が大きくなるように抱き込ませ
た図である。
【図13】本発明に係る金属ガスケットの他の例を示す
断面図である。
【図14】折り返し部の端部をシリンダブロック,シリ
ンダヘッドの接合面域外に位置させた例を示す断面図で
あり、同図(a)はシリンダブロックの接合面域外にの
み位置させた場合,同図(b)はシリンダブロック,シ
リンダヘッドの両接合面域外に位置させた場合を示す図
である。
【図15】本実施例で説明した発泡ゴムを配した例を示
す断面図である。
【図16】従来の金属ガスケットの一例を示す断面図で
ある。
【符号の説明】
10,30・・・・・・・金属ガスケット 11・・・・・・・・・・基板 12・・・・・・・・・・表面処理材 13・・・・・・・・・・シリンダボア孔(燃焼室用
孔) 14・・・・・・・・・・ボルト孔 15・・・・・・・・・・油孔 16・・・・・・・・・・水孔 17・・・・・・・・・・軟質材 21,22,32,34・折り返し部 21A・・・・・・・・・金属ビード 21B・・・・・・・・・(折り返し部の)端縁 23・・・・・・・・・・段差 24・・・・・・・・・・ゴムビード 31,37〜39・・・・リング(線状の軟質材) 35,36・・・・・・・シム板 40・・・・・・・・・・発泡ゴム
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年4月26日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 金属ガスケット
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、内燃機関を構成するシ
リンダブロックとシリンダヘッドとの接合面に介装し
て、燃焼ガス,冷却水及び潤滑油等の流体の漏洩を防止
する金属ガスケットに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、自動車用エンジンその他の内燃
機関を構成するシリンダブロックとこの上に取り付けた
シリンダヘッドとの接合面には、この接合面から燃焼ガ
ス,冷却水,潤滑油等の流体の漏洩を防止するため種々
のガスケットを介装し、ボルト等の締結具で双方を締め
付けることによりシール機能を付与している。従来、こ
のようなガスケットとしては、アスベスト材,化学繊維
材あるいはカーボンシート材等から形成した所謂ソフト
ガスケットが提供されているが、このソフトガスケット
は、その素材による不可避的な問題として、内燃機関の
運転に伴う経時劣化ならびに耐熱性の確保が困難である
といった欠点があるため、近年では、耐熱性,耐圧縮
性,耐久性に富み、良好な復元性(バネ特性)及び熱伝
導性を有する金属製のガスケットが広く使用されている
のは周知の通りである。
【0003】ところで、近年のエンジンは、より一層の
高性能化を実現するため、小型軽量化,高出力化,省燃
費化その他の開発が進んでおり、これらを達成するため
の一開発例を挙げると、エンジンを構成する各部材にア
ルミニウム合金を用いるとともに、シリンダブロックに
おいて隣接するシリンダボアの間隔を可能な限り狭く形
成する傾向がある。
【0004】一方、上述のようにアルミニウム合金を用
いてエンジン部材を構成した場合、容易に推定されるよ
うに、例えば鋳鉄を用いてエンジン部材を構成した場合
に比べ、その全体剛性は著しく低下する。また、エンジ
ンの小型軽量化により生じる新たな不都合として、当該
エンジンの稼働により発生する熱の保有量が増大するこ
とが挙げられるが、これに対しては冷却水路を拡大させ
る等により対応しており、これがためにエンジンの全体
剛性はさらに低下する。さらに、冷却効率を向上させる
ため前記冷却水路をシリンダボアの近くに形成している
が、これによってシリンダブロックとシリンダヘッドと
を締め付けるボルト等の締め付け部位は、シリンダボア
から離れた位置に形成されることになる。そして、当然
のことながら、前記ボルトに近い位置ではその締め付け
力が大きく、逆にボルトから遠い位置ではその締め付け
力が小さくなることが余儀なくされている。
【0005】このように、エンジンの全体剛性が低下
し、ボルト等の締結具による締め付け力の偏差が大きく
なると、前記接合面間に介装された金属ガスケットは、
前記シリンダボアに対応して開設したシリンダボア孔の
端部において、シリンダブロックか又はシリンダヘッド
との間に隙間が発生することになる。このような現象が
生じると、前記シリンダボア孔の周囲において面圧が不
均衡になるから、当該シリンダボア孔の真円度が損なわ
れる上、エンジン稼働時にはシリンダブロックからシリ
ンダヘッドへの熱伝導が悪化して変形が助長される。ま
た、前記隙間が発生すると、金属ガスケットの接合面側
が直接燃焼ガスに曝されることとなり、したがって金属
ガスケットの寿命が低下し、シール性を長時間にわたっ
て確保できなくなるといった不都合が起こり得る。
【0006】そこで、例えば図16に示すように、金属
ガスケット1をなす金属製の基板2に開設したシリンダ
ボア孔3において、当該シリンダボア孔3の縁に沿って
線材を環状に形成したリング4を位置させ、このリング
4を第一弾性金属板5によって抱き込ませて固定すると
ともに、当該第一弾性金属板5の端部でシリンダボア孔
3の端部を接合面両側から挟み、この第一弾性金属板5
の外側をさらに第二弾性金属板6で覆うように挟んでい
る。一方、基板2の外周端部を前記第一及び第二弾性金
属板5,6とは別の弾性金属板7により挟み、この弾性
金属板7は、例えばスポット溶接等により基板2に溶着
されており、また、前記シリンダボア孔3及び他のボル
ト孔,油孔,水孔等の周囲や、基板2の外周に沿って
は、例えばシリコン等によりゴムビード8が形成されて
いる。
【0007】このような金属ガスケット1によれば、上
述したエンジンの全体剛性の低下及びボルト等の締結具
による締め付け力の偏差に対して、リング4の潰れ量と
ゴムビード8の変形量とを相違させるとともに、当該リ
ング4の潰れ量を第一及び第二弾性金属板5,6の厚み
寸法によって規制して、いずれの位置においても有効な
シール性を確保し得、また外周端部の弾性金属板7によ
り、締め付け力を均等化させて金属ガスケット1全体の
変形を抑制している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記図
16に示したような金属ガスケット1は、その作用によ
り確かに充分なシール性の確保及び変形の抑制を期待す
ることはできるが、金属ガスケット1の基板2と各弾性
金属板5〜7とは別体に形成しなければならず、また製
造時には基板2への各弾性金属板5〜7の取り付けを個
別に行わなければならないから、必然的にコストが引き
上げられ、金属ガスケット1を高価にせざるを得ないと
いう実情があった。その上、金属ガスケット1によれ
ば、シリンダボア周りには、リング4,第一及び第二弾
性金属板5,6と金属のみが配されているため、上述し
たエンジンの全体剛性の低下及びボルト等の締結具によ
る締め付け力の偏差を吸収することができず、これによ
ってシリンダボアの真円度の確保が難しくなるといった
欠点もあった。
【0009】本発明は、上記の問題を解決し得るもので
あって、その目的は、内燃機関の高性能化に対応した充
分な機能を確保しつつ一層安価に製造することができ、
同時に金属接触シール面積が小さく絶対荷重を軽減で
き、さらにエンジン剛性を低下させることができ、燃焼
室用孔の真円度の確保が可能な金属ガスケットを提供す
ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の金属ガスケット
のうち、請求項1に記載の発明は、少なくとも燃焼室用
孔を開設した一枚の金属製の基板からなり、シリンダブ
ロックとシリンダヘッドとの間に介装してこれらの接合
面間をシールする金属ガスケットにおいて、前記燃焼室
用孔の縁を折り返し、この折り返し内部に軟質材を抱き
込ませるとともに、前記基板の少なくとも一方の接合面
に前記折り返しの高さより高くなるようにゴム系材料か
らなるビードを形成し、さらに、前記基板の接合面域内
に前記燃焼室用孔の前記折り返しとは別の折り返しを設
け、当該別の折り返しにシム板を抱き込ませたことを特
徴としている。なお、前記ビードを形成する位置は、特
に介装時に面圧を安定させる必要がある部位(例えば燃
焼室用孔の周囲,ボルト孔の周囲その他)や、接合面間
で区画すべき空間の間の部位(例えば油孔と水孔とを区
画させるためのシール位置)等がある。また、軟質材と
しては、例えば膨張黒鉛シートやポリイミド等の四フッ
化エチレンシート,雲母,あるいは鉛,亜鉛,銅,軟鋼
等の金属板等がある。なお、このシム板を抱き込ませる
のは、基板のシリンダブロックとシリンダヘッドとの接
合面域全体において、これらシリンダブロック,シリン
ダヘッドの接合面の変形を防止し得る箇所であれば、特
に限定されない。
【0011】請求項2に記載の発明は、少なくとも燃焼
室用孔を開設した一枚の金属製の基板からなり、シリン
ダブロックとシリンダヘッドとの間に介装してこれらの
接合面間をシールする金属ガスケットにおいて、前記燃
焼室用孔の縁を折り返し、この折り返し内部に軟質材を
抱き込ませるとともに、前記基板の少なくとも一方の接
合面に前記折り返しの高さより高くなるようにゴム系材
料からなるビードを形成し、さらに、前記基板の接合面
域内に前記燃焼室用孔の前記折り返しとは別の折り返し
を設け、当該別の折り返し端部を、前記シリンダブロッ
クとシリンダヘッドとの少なくとも一方の接合面域外に
位置させたことを特徴としている
【0012】請求項3に記載の発明は、請求項1又は
求項2記載の発明において、前記基板の外周端縁に前記
別の折り返しを設けたことを特徴としている。請求項4
に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明に
おいて、前記基板にボルト用孔を開設するとともに、こ
のボルト用孔の縁に前記別の折り返しを設けたことを特
徴としている。
【0013】請求項5に記載の発明は、少なくとも燃焼
室用孔を開設した一枚の金属製の基板からなり、シリン
ダブロックとシリンダヘッドとの間に介装してこれらの
接合面間をシールする金属ガスケットにおいて、前記燃
焼室用孔の縁を折り返し、この折り返し内部に軟質材を
抱き込ませるとともに、前記基板の少なくとも一方の接
合面に前記折り返しの高さより高くなるようにゴム系材
料からなるビードを形成し、さらに、前記折り返しにお
ける接合面の前記基板における接合面からの高さが、当
該基板の両接合面側で等しく又は略等しくなるように段
差を形成したことを特徴としている
【0014】請求項6に記載の発明は、少なくとも燃焼
室用孔を開設した一枚の金属製の基板からなり、シリン
ダブロックとシリンダヘッドとの間に介装してこれらの
接合面間をシールする金属ガスケットにおいて、前記燃
焼室用孔の縁を折り返し、この折り返し内部に軟質材を
抱き込ませるとともに、前記基板の少なくとも一方の接
合面に前記折り返しの高さより高くなるようにゴム系材
料からなるビードを形成し、さらに、前記軟質材の幅を
前記燃焼室用孔の周方向において部分的に変化させたこ
とを特徴としている。
【0015】請求項7に記載の発明は、少なくとも燃焼
室用孔を開設した一枚の金属製の基板からなり、シリン
ダブロックとシリンダヘッドとの間に介装してこれらの
接合面間をシールする金属ガスケットにおいて、前記燃
焼室用孔の縁を折り返し、この折り返し内部に軟質材を
抱き込ませるとともに、前記基板の少なくとも一方の接
合面に前記折り返しの高さより高くなるようにゴム系材
料からなるビードを形成し、さらに、前記軟質材の厚さ
を前記燃焼室用孔の周方向において部分的に変化させ
ことを特徴としている。
【0016】請求項8に記載の発明は、少なくとも燃焼
室用孔を開設した一枚の金属製の基板からなり、シリン
ダブロックとシリンダヘッドとの間に介装してこれらの
接合面間をシールする金属ガスケットにおいて、前記燃
焼室用孔の縁を折り返し、この折り返し内部に軟質材を
抱き込ませるとともに、前記基板の少なくとも一方の接
合面に前記折り返しの高さより高くなるようにゴム系材
料からなるビードを形成し、さらに、前記基板の少なく
とも一方の接合面に表面処理材を施したことを特徴とし
ている。なお、前記表面処理材としては、例えばフッ素
ゴム,ニトリルゴム(NBR),膨張黒鉛シート等があ
る。
【0017】請求項9に記載の発明は、少なくとも燃焼
室用孔を開設した一枚の金属製の基板からなり、シリン
ダブロックとシリンダヘッドとの間に介装してこれらの
接合面間をシールする金属ガスケットにおいて、前記燃
焼室用孔の縁を折り返し、この折り返し内部に軟質材を
抱き込ませるとともに、前記基板の少なくとも一方の接
合面に前記折り返しの高さより高くなるようにゴム系材
料からなるビードを形成し、さらに、前記折り返しの接
合面に潤滑材を施したことを特徴としている。なお、前
記潤滑材としては、二硫化モリブデン,グラファイト等
がある。請求項10に記載の発明は、少なくとも燃焼室
用孔を開設した一枚の金属製の基板からなり、シリンダ
ブロックとシリンダヘッドとの間に介装してこれらの接
合面間をシールする金属ガスケットにおいて、前記燃焼
室用孔の縁を折り返し、この折り返し内部に軟質材を抱
き込ませるとともに、前記基板の少なくとも一方の接合
面に前記折り返しの高さより高くなるようにゴム系材料
からなるビードを形成し、さらに、前記基板は、前記孔
の少なくとも内面に一種類以上のメッキが施されている
ことを特徴としている。なお、前記メッキの種類として
は、金属メッキ,樹脂メッキ,金属と樹脂との混合メッ
キ等がある。請求項11に記載の発明は、少なくとも燃
焼室用孔を開設した一枚の金属製の基板からなり、シリ
ンダブロックとシリンダヘッドとの間に介装してこれら
の接合面間をシールする金属ガスケットにおいて、前記
燃焼室用孔の縁を折り返し、この折り返し内部に軟質材
を抱き込ませるとともに、前記基板の少なくとも一方の
接合面に前記折り返しの高さより高くなるようにゴム系
材料からなるビードを形成し、さらに、前記燃焼室用孔
の前記折り返し端部に、この燃焼室用孔の全周にわたっ
て線状の軟質材を抱き込ませたことを特徴としている。
【0018】請求項12に記載の発明は、少なくとも燃
焼室用孔を開設した一枚の金属製の基板からなり、シリ
ンダブロックとシリンダヘッドとの間に介装してこれら
の接合面間をシールする金属ガスケットにおいて、前記
燃焼室用孔の縁を折り返し、この折り返し内部に軟質材
を抱き込ませるとともに、前記基板の少なくとも一方の
接合面に前記折り返しの高さより高くなるようにゴム系
材料からなるビードを形成し、さらに、前記燃焼室用孔
の前記折り返しに、この燃焼室用孔の全周にわたって径
の異なる二つ以上の線状の軟質材を抱き込ませたことを
特徴としている。請求項13に記載の発明は、少なくと
も燃焼室用孔を開設した一枚の金属製の基板からなり、
シリンダブロックとシリンダヘッドとの間に介装してこ
れらの接合面間をシールする金属ガスケットにおいて、
前記燃焼室用孔の縁を折り返し、この折り返し内部に軟
質材を抱き込ませるとともに、前記基板の少なくとも一
方の接合面に前記折り返しの高さより高くなるようにゴ
ム系材料からなるビードを形成し、さらに、前記燃焼室
用孔の隣接する部位における前記折り返しにシム板を抱
き込ませたことを特徴としている。
【0019】請求項14に記載の発明は、少なくとも燃
焼室用孔を開設した一枚の金属製の基板からなり、シリ
ンダブロックとシリンダヘッドとの間に介装してこれら
の接合面間をシールする金属ガスケットにおいて、前記
燃焼室用孔の縁を折り返し、この折り返し内部に軟質材
を抱き込ませるとともに、前記基板の少なくとも一方の
接合面に前記折り返しの高さより高くなるようにゴム系
材料からなるビードを形成し、さらに、前記燃焼室用孔
の前記折り返しの幅内で、前記基板の少なくとも一方の
接合面に、前記燃焼室用孔の周りを巡る金属ビードを一
つ以上形成したことを特徴としている。請求項15に記
載の発明は、請求項14に記載の発明において、前記金
属ビードの高さを前記燃焼室用孔の周方向において部分
的に変化させたことを特徴としている。請求項16に記
載の発明は、少なくとも燃焼室用孔を開設した一枚の金
属製の基板からなり、シリンダブロックとシリンダヘッ
ドとの間に介装してこれらの接合面間をシールする金属
ガスケットにおいて、前記燃焼室用孔の縁を折り返し、
この折り返し内部に軟質材を抱き込ませるとともに、前
記基板の前記折り返し以外の両接合面に、当該折り返し
の高さより高くなるように発泡ゴムを配したことを特徴
としている。請求項17に記載の発明は、少なくとも燃
焼室用孔を開設した一枚の金属製の基板からなり、シリ
ンダブロックとシリンダヘッドとの間に介装してこれら
の接合面間をシールする金属ガスケットにおいて、前記
燃焼室用孔の縁を折り返し、この折り返し内部に軟質材
を抱き込ませるとともに、前記基板の少なくとも一方の
接合面に前記折り返しの高さより高くなるようにゴム系
材料からなるビードを形成し、前記折り返した基板の端
縁を、さらに前記基板側に向けて折り曲げたことを特徴
としている。
【0020】請求項18に記載の発明は、少なくとも燃
焼室用孔を開設した一枚の金属製の基板からなり、シリ
ンダブロックとシリンダヘッドとの間に介装してこれら
の接合面間をシールする金属ガスケットにおいて、前記
燃焼室用孔の縁を折り返し、この折り返し内部に軟質材
を抱き込ませるとともに、前記基板の少なくとも一方の
接合面に前記折り返しの高さより高くなるようにゴム系
材料からなるビードを形成し、さらに、前記折り返しの
内側の面を、摩擦抵抗の大きい高摩擦抵抗面としたこと
を特徴としている。この高摩擦抵抗面としては、例えば
基板に仕上げ加工を施さない状態のままでもよいし、若
干の凹凸(疵)を形成したものでもよい。
【0021】請求項19に記載の発明は、少なくとも燃
焼室用孔を開設した一枚の金属製の基板からなり、シリ
ンダブロックとシリンダヘッドとの間に介装してこれら
の接合面間をシールする金属ガスケットにおいて、前記
燃焼室用孔の縁を折り返し、この折り返し内部に軟質材
を抱き込ませるとともに、前記基板の少なくとも一方の
接合面に前記折り返しの高さより高くなるようにゴム系
材料からなるビードを形成し、さらに、前記基板の少な
くとも前記ゴム系材料からなるビードを形成する位置
を、摩擦抵抗の大きい高摩擦抵抗面としたことを特徴と
している。この高摩擦抵抗面としては、例えば基板に仕
上げ加工を施さない状態のままでもよいし、若干の凹凸
(疵)を形成したものでもよい。
【0022】
【作用】本発明の金属ガスケットによれば、金属ガスケ
ットをシリンダブロックとシリンダヘッドとの間に介装
して組み付けたとき、ボルト等の締結具からの距離に伴
う締め付け力の偏差に対し、折り返しとこの折り返し内
部の軟質材とが好適に追随変形するとともに、この変形
によって前記締め付け力による面圧の均一化が促進さ
れ、さらにゴム系材料からなるビードが弾性変形して前
記面圧の均一化の促進ならびに充分なシール効果の確保
が実現される。また、前記組み付け時に直接面圧を受け
るのは燃焼室用孔周りのみとなり、全体の締め付け力を
軽減することが可能となる。さらに、このような金属ガ
スケットは、一枚の基板からなるとともに、この基板の
燃焼室用孔等の縁を折り返すことにより、金型の製作数
を減らすことができ、材料コストを含む製造コストを著
しく低下させることができる上、ビードの形成は一筆書
きのディスペンサ法やスクリーンプリント,金型による
形成等により容易に行うことができるので、極めて廉価
な金属ガスケットの製造が可能となる。
【0023】特に、請求項1に記載の発明によれば、締
結具による締め付け力の偏差等に対し、別の折り返しが
当該締め付け力による面圧の均一化を促進させ得るの
で、シリンダブロック,シリンダヘッドの変形が抑制さ
れる。しかも、別の折り返しにシム板を抱き込ませたこ
とにより、金属ガスケットとシリンダブロック,シリン
ダヘッドとが、燃焼室周りのみで接触することが防止さ
れ、これによって、面圧が燃焼室周りのみに集中するこ
とがなく、シリンダブロック,シリンダヘッドの変形が
防止される。
【0024】ところで、折り返しを形成すると、当該折
り返しの端部は完全に平坦な状態とはならない場合が起
こり得る。このように平坦でないままシリンダブロック
とシリンダヘッドとの間に介装すると、容易に推定され
るように、この端部においてシール性が低下してしまう
一方、この端部を潰して平坦な状態とするには過大な荷
重が必要であるとともに、荷重を付加して潰すことによ
りスプリングバックが発生する可能性がある(因みに、
板厚が0.3mm以上であれば端部を潰して平坦にするの
は非常に困難である)。そこで、請求項2に記載の発明
によれば、折り返しの端部をシリンダヘッド,シリンダ
ブロックの少なくともいずれかの接合面域外に位置させ
ると、シール性が損なわれることがなく、また端部を平
坦とするための荷重を付加する必要もない。これによっ
て、前記介装時の正確なガスケット荷重を計算すること
が可能になるのである。
【0025】請求項3に記載の発明によれば、締結具に
よる締め付け力の偏差に対し、外周端縁の折り返しが当
該締め付け力による面圧が一層均一化され、シリンダブ
ロック,シリンダヘッドの変形が抑制される。請求項4
に記載の発明によれば、ボルト等の締結具の軸力に対
し、当該ボルト用孔の縁の折り返しにより軸力が分散さ
れ、この締結具の近くの締め付け力による面圧が一層均
一化され、シリンダブロック,シリンダヘッドの変形を
抑制し得る。
【0026】請求項5に記載の発明によれば、金属ガス
ケットの介装時に、当該金属ガスケットの折り返しにお
ける接合面が、シリンダブロックの接合面側とシリンダ
ヘッドの接合面側とに同程度突出することになり、した
がってこれらシリンダブロックとシリンダヘッドとの双
方に均一的に接触することになり、また折り返しは段差
によってそれ自身バネ特性を有していることとなるか
ら、締め付け力あるいは稼働時の熱の影響によるシリン
ダブロック,シリンダヘッドの変形に対して好適に追従
変形し得、面圧の均一化を促進させることが可能とな
る。
【0027】請求項6に記載の発明によれば、ボルト等
の締結具による締め付け力に対し、軟質材の幅が広いほ
ど折り返しの反発力が増大し、逆に軟質材の幅が狭いほ
ど折り返しの反発力が減少するが、前記締結具から遠
く,締め付け力の小さい箇所では軟質材の幅を広くし、
同じく締結具に近く,締め付け力の大きい箇所では軟質
材の幅を狭くすることで、シリンダブロック,シリンダ
ヘッドに発生する燃焼室用孔周りの面圧が一層均一化さ
れる。
【0028】請求項7に記載の発明によれば、基板に開
設した例えばボルト孔とボルト孔との間の距離が大きい
場合や、水孔の数が多い場合等には、それに応じて面圧
の不均一化が助長されるが、このような部位において軟
質材の厚さを大きくすることで、シリンダブロック,シ
リンダヘッドに発生する燃焼室用孔周りの面圧が均一化
される。
【0029】請求項8に記載の発明によれば、例えばフ
ッ素ゴム,ニトリルゴム(NBR),膨張黒鉛シート等
の表面処理材により金属ガスケット表面が滑らかとなっ
ており、したがってこの表面処理材がシリンダブロッ
ク,シリンダヘッドの接合面の粗さに対応し、内燃機関
の稼働時における圧洩れを防止し得る。請求項9に記載
の発明によれば、二硫化モリブデン,グラファイト等の
潤滑材により折り返しにおける接合面が滑らかとなって
おり、これによってシリンダブロック,シリンダヘッド
の接合面と基板との金属同士が直接接触することがな
く、したがって折り返し接合面に疵が発生するのを防止
し、また、内燃機関の稼働時に特にシリンダヘッド,シ
リンダブロックが異種材料で形成されている場合の熱膨
張差による擦れや、この擦れのため発生するフレッチン
グ等で疵が発生するのを防止するとともに、ミクロシー
ル効果で圧洩れを防止し得る。
【0030】請求項10に記載の発明によれば、基板
は、当該基板に開設した孔の少なくとも内面に、例えば
金属メッキ,樹脂メッキあるいは金属と樹脂とを混合さ
せたメッキ等が施されている。これによって、金属ガス
ケットが介装される内燃機関が、例えば海水で冷却され
る船外機や、海水・淡水両用の汎用エンジン等である場
合にも、耐腐食性,耐薬品性を確保することが可能とな
り、長期間安定したシール性を補償することが可能とな
る。したがって、このようなメッキは、孔の開設後に表
面処理材,潤滑材を施す前に予め処理されているもので
ある。
【0031】請求項11に記載の発明によれば、ボルト
等の締結具による締め付け力により、シリンダブロック
とシリンダヘッドとの間で線状の軟質材が潰れ、この軟
質材の潰れ量により双方の接合面間が閉塞されるので、
一層良好なシール性が確保される。請求項12に記載の
発明によれば、燃焼室の端部において高い面圧が必要な
場合は、折り返し内側に径の太い軟質材を抱き込ませ,
且つ折り返し外側に径の細い軟質材を抱き込ませる。こ
れによって、ボルト等の締結具による締め付け力に対
し、燃焼室に近い側が同遠い側より潰れ量が大きくなっ
て、軟質線の変形が面圧と好適に比例して燃焼室の端部
において高い面圧を確保することが可能となる。一方、
例えばアルミニウム製シリンダブロックに鋳鉄スリーブ
を圧入したようなエンジンの場合は、燃焼室用孔の折り
返し端部に大きな荷重がかかると鋳鉄スリーブのだれ込
み変形や、燃焼室の真円度が損なわれる可能性があるた
め、このような場合は径の細い軟質材を折り返し内側に
抱き込ませ、径の太い軟質材を折り返し外側に抱き込ま
せる。これによって、燃焼室に遠い側が同近い側より潰
れ量が大きくなり、軟質線の変形が面圧と好適に比例し
て燃焼室周囲の締め付け面圧が平均化するので、鋳鉄ス
リーブのだれ込み変形の防止と、燃焼室の真円度の確保
が可能となる。
【0032】請求項13に記載の発明によれば、特にシ
リンダブロック及びシリンダヘッドの剛性が小さい場合
等に、面圧の低い燃焼室用孔間にシム板を抱き込ませる
と、このシム板によって面圧の均一化が促進される。
求項14に記載の発明によれば、金属ビードの形成によ
ってシリンダブロックあるいはシリンダヘッドと金属ガ
スケットとの接触が面接触から線接触になり、これによ
り折り返し内部に抱き込ませた軟質材の変形が容易にな
り、例えばボルト等締結部の近くの高圧部と、各ボルト
間の低圧部との差を顕著にし得る。特に、当該金属ビー
ドを燃焼室用孔の径方向に離して二つ以上形成して断面
波状にすると、線接触数が増加してシール面が高圧とな
るためラビリンス効果を促し、仮に一つの金属ビードで
リークすることがあっても他の金属ビードでシール性を
確保し得る。
【0033】請求項15に記載の発明によれば、ボルト
等の締結具による締め付け力に対し、金属ビードは高い
ほど反発力が増大し、逆に低いほど反発力が減少する
が、前記締結具から遠く,締め付け力の小さい箇所では
金属ビードを高く形成し、同じく締結具に近く,締め付
け力の大きい箇所では金属ビードを低く形成すること
で、シリンダブロック,シリンダヘッドに発生する燃焼
室用孔周りの面圧が一層均一化される。
【0034】ところで、金属ガスケットは、燃焼室用孔
の折り返しや、例えば基板外周端縁やボルト用孔に形成
した折り返しの部分と、他の基板一枚のみの部分とで
は、介装時にシリンダブロックあるいはシリンダヘッド
と前記基板一枚のみの部分との間には隙間が生じる。こ
こで、特に水冷エンジンでは、ポンプで冷却水を循環さ
せているが、ポンプの近くでは水圧が高く、逆に遠くで
は水圧が低くなる傾向がある。このため、水冷エンジン
のウォータージャケットに対応して基板に水孔を形成し
た金属ガスケットでは、前記水圧の調整を当該水孔の大
きさを変えることで対応しているが、板厚の厚い基板を
用いたときは、前記隙間が大きくなって短絡する可能性
がある。そこで、請求項16に記載の発明によれば、こ
のような場合は、折り返しを除いた基板の両接合面に、
面圧が少なくて済む発泡ゴムを配することで、多くの面
圧を費やすことなく各水孔間の短絡を防止することが可
能となる。
【0035】請求項17に記載の発明によれば、折り返
した基板の端縁を、さらに基板側に向けて折り曲げたこ
とで、折り返し内部に抱き込ませた軟質材が当該折り返
し内部から突出するのを防止し得る。請求項18に記載
の発明によれば、折り返しの内側が高摩擦抵抗面となっ
ているから、この折り返しに抱き込まれた軟質材が動き
にくくなり、したがって軟質材が折り返し内部で変位し
たり、折り返し内部から突出したりしにくくなる。
【0036】請求項19に記載の発明によれば、高摩擦
抵抗面にゴム系材料からなるビードを形成することで、
例えば一筆書きのディスペンサ法やスクリーンプリン
ト,金型による形成等により当該ビードを形成する際
に、ビードが基板へ一層堅固に固着することになる。
【0037】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づき詳細に
説明する。図1ないし図4は、本発明の一実施例を示す
図であって、これらの図において、図1は金属ガスケッ
ト10の平面構成図,図2は図1のA−A線断面図,図
3は図1のB−B線断面図,図4は図1のC−C線断面
図である。
【0038】これらの図を参照すると、金属ガスケット
10は、ステンレス鋼等の金属製の基板11に複数の孔
を開設してなっている。基板11は、前記各孔の内面と
当該各孔の周りの両接合面とに、例えば金属メッキ,樹
脂メッキあるいは金属と樹脂とを混合させたメッキが施
された上で、エンジンを構成するシリンダブロック及び
シリンダヘッドの両接合面の仕上げ荒さに対応して、表
面にフッ素ゴム,ニトリルゴム(NBR)又は二硫化モ
リブデン等の表面処理材12が焼き付けられている。な
お、この表面処理材12は、図4にのみ若干誇張して示
しているが、他の図では示していない。
【0039】また、前記複数の孔は、シリンダブロック
のシリンダボア(燃焼室)に対応した複数個のシリンダ
ボア孔13と、前記シリンダブロックとシリンダヘッド
とを結合する締結ボルトの配設位置に対応したボルト孔
14と、図示しないピストン等の各摺動部分に潤滑油を
供給するオイルギャラリ等に対応した油孔15と、燃料
の燃焼やピストン等の摺動によって温度上昇するシリン
ダブロック,シリンダヘッドに冷却水を供給するウォー
タジャケットの内側の部分に位置した水孔16と、から
なる。勿論、これらの孔13〜16は、この金属ガスケ
ット10をシリンダブロックとシリンダヘッドとの間に
介装してエンジンを構築したとき、前記エンジンの各部
位に連通するようになっている。
【0040】これら各孔13〜16のうち、シリンダボ
ア孔13は、図2ないし図4に示すように、その縁が折
り返されて折り返し部21が形成され、この折り返し部
21の内側には例えば膨張黒鉛シート等からなる軟質材
17が抱き込まれている。軟質材17の板厚は、エンジ
ンの構成により変化するが、概ね0.3mm前後が標準で
あり、この例では密度1.0のものを抱き込ませて60
0kg/cm2 で圧縮させることにより約30〜40%
の圧縮変形をしたものが抱き込まれている。一方、基板
11の外周端縁においては、基板11の幅方向全体と、
同長手方向の各ボルト孔14間及びボルト孔14近くと
に対応した箇所に、シリンダボア孔13の折り返し部2
1と同一接合面側に折り返されて折り返し部22が形成
されており、この折り返し部22にあっては、その内側
には何も抱き込まれず単に折り返された状態となってい
る。
【0041】なお、特に図示しないが、前記折り返し部
21,22における両接合面には、例えば二硫化モリブ
デン,グラファイト等の潤滑材が塗布されている一方、
折り返し部21,22の内側の面は、若干の凹凸(疵)
が形成されている。ここで、軟質材17は、エンジンの
剛性により異なるが、剛性が大きければ大きい程その厚
さを減少させることができる。また、その材質は膨張黒
鉛シートに限らず、例えば鉛板,亜鉛板,銅板,軟鋼板
等の軟質金属板や、四フッ化エチレンシート(例えばボ
リイミドシート等)や雲母でも可能である。
【0042】シリンダボア孔13の縁と、基板11の外
周端縁におけるボルト孔14に対応した箇所とは、それ
ぞれ折り返し部21,22を形成したことにより当該折
り返し部21,22において基板11の一方の接合面側
に突出した状態となるが、これら折り返し部21,22
は、基板11の他の部位との連続位置において段差23
が形成され、この段差23は、基板11の図2〜図4に
おいて上の接合面側から下の接合面側に下ることによ
り、前記折り返し部21,22における上下の接合面の
それぞれが、基板11における上下の接合面のそれぞれ
から高さが等しくなっている。なお、図2に示すよう
に、シリンダボア孔13の隣接した部位にあっては、そ
の間隔が狭いがゆえに段差23は形成していない。
【0043】一方、基板11の両接合面には、例えばシ
リコンゴムからなるゴムビード24が形成されている。
このゴムビード24は、シリンダボア孔13の周りと、
各ボルト孔14の周りを巡って形成されるとともに、こ
れらシリンダボア孔13,ボルト孔14,油孔15及び
水孔16の各孔を区画するように形成されている(図1
ではこのゴムビード24の軌跡を一点鎖線で表示してい
る)。そして、図2ないし図4に示すように、特にボル
ト孔14の周囲に形成されたゴムビード24は、基板1
1の接合面に垂直な断面が半円状をなすとともに、両接
合面側でそれぞれ対称となっており、その他の箇所に形
成されたゴムビード24は、基板11の接合面に垂直な
断面が台形状をなすとともに、両接合面側でそれぞれ対
称となっている。なお、この例ではゴムビード24の断
面形状を半円状と台形状としたが、全てのゴムビード2
4を断面半円状あるいは台形状のいずれかで形成しても
よいし、その他の断面形状となるように形成してもよ
い。また、ゴムビード24が良好に施されるように、基
板11における当該ゴムビード24の形成箇所に極めて
若干の凹凸(疵)を形成しておくことも可能である。
【0044】これらゴムビード24は、前記折り返し部
21,22における両接合面のそれぞれからの高さが同
一となるように形成され、しかもその高さは、前記折り
返し部21,22の厚さより全体で1.5倍以上となる
ように形成されている。因みに、金属ガスケット10の
厚さは、ゴムビード24の高さをT1 とし、シリンダボ
ア孔13の折り返し部21の厚さをT2 とし、ボルト孔
14近くの外周端縁の折り返し部22の厚さをT3 とし
たとき、これら板厚の関係がT1 ,T2 ,T3の順に大
きくあることが必要である。また、このゴムビード24
は、例えば一筆書きのディスペンサ法やスクリーンプリ
ント,又は金型を用いたモールドタイプ等により施すこ
とが可能であって、特にスクリーンプリントによれば編
み目模様の形成が容易に実現することができる。
【0045】なお、ゴムビード24は、一方の接合面側
にのみ形成し、他方の接合面側には基板11に当該接合
面側へ隆起した金属ビードを形成することも可能ではあ
るが、この場合は金属ビードを形成するための金型が必
要になる。このように形成された金属ガスケット10
は、シリンダヘッドとシリンダブロックとの接合面間に
介装された際、これらシリンダヘッドとシリンダブロッ
クとの接合面と金属面(実際には表面処理材12が施さ
れている)で接触する面積が、金属ガスケット10全体
の約25%となるように設計されている。これは、金属
ガスケット10がシリンダブロックとシリンダヘッドと
の間に介装され、ボルト等の締結具で締結された際の絶
対荷重をできるかぎり低減させる目的でなされるもので
ある。
【0046】次に、上記の構成からなる金属ガスケット
10の作用について説明する。金属ガスケット10は、
エンジンを構成するシリンダブロックとその上のシリン
ダヘッドとの間に介装され、これらシリンダブロックと
シリンダヘッドとがボルト等の締結具で締結された際、
この締め付け力に伴うシリンダブロック,シリンダヘッ
ドの面圧によって潰れる方向に変形する。さらに詳しく
は、最も高さのあるゴムビード24が潰れる方向に弾性
変形し、次いで折り返し部21,22が潰れる方向に変
形し、この折り返し部21の変形によって軟質材17が
変形する。この際、折り返し部21においては、その内
側の軟質材17が、例えば板厚0.3mmとしたとき、ボ
ルトに近い面圧の高い部分では約50%変形して0.1
5mm程度となり、ボルトから遠い面圧の低い部分(例え
ば各シリンダボア孔13間やボルト孔14間)では0.
18〜0.20mm程度となる。このように、面圧が高い
箇所では軟質材17が薄く,逆に面圧が低い箇所では前
記高い箇所に比べて軟質材17が厚くなるように変形す
るため、金属ガスケット10には略均一的な面圧が作用
することになる。
【0047】また、締め付けによるシリンダブロック,
シリンダヘッドの変形に対しては、折り返し部21,2
2と折り返し部21内部の軟質材17とが反発力により
追随変形するとにより、これらシリンダブロック,シリ
ンダヘッドの両接合面と金属ガスケット10との間は閉
塞される。さらに、ボルト孔14近くは、折り返し部2
2が直接シリンダブロック,シリンダヘッドの両接合面
に接触しているため、軸力が低下することはなく、また
各折り返し部21,22は、段差23を形成したことに
よりそれ自身バネ特性を有しており、したがってより好
適に追随変形してシール性を確保している。
【0048】次いで、このように金属ガスケット10を
介装したエンジンは、その稼働中ではシリンダボア孔1
3の周囲において最もシール圧が高くなる。そこで、エ
ンジン稼働中の燃焼ガスの最高圧を100kg/cm2
としたとき、ガスケット係数を6とすると、このシリン
ダボア孔13周囲にかかる圧力は、“600kg/cm
2 ×折り返し部21の面積”となり、仮にシリンダボア
孔13の直径を80mm,前記折り返し部21の折り返し
幅を4.0mmとすると、金属ガスケット10が4気筒の
エンジンに対応している場合の面積は約43cm2 とな
り、600×43=25800kgの圧力がかかることに
なる。
【0049】このような圧力が作用した場合にも、折り
返し部21とその内部の軟質材17とが比例変形して良
好なシール性を確保し続ける。また、軟質材17として
の膨張黒鉛シートは、熱伝導が良好で、熱間時において
も復元力は劣化が少なく、特に高密度の圧縮品は復元率
の劣化は非常に少なく耐久性は長時間にわたって保証さ
れる。
【0050】なお、図5に示すように、シリンダボア孔
13の折り返し部21の幅内で、一方の接合面側(図5
(a)参照)あるいは両接合面側(図5(b)参照)
に、シリンダボア孔13の周りを巡る金属ビード21A
を形成すると、さらに以下のような利点を得ることがで
きる。すなわち、金属ビード21Aをシリンダボア孔1
3の径方向に離して複数の形成し、断面波形にした図の
例では、これら金属ビード21Aの形成によってシリン
ダブロックあるいはシリンダヘッドと折り返し部21と
の接触が面接触から線接触になり、これにより折り返し
部21に抱き込ませた軟質材17の変形が容易になり、
例えばボルト孔14近くの高圧部と、各ボルト孔14間
の低圧部との差を顕著にする効果がある。特に、金属ビ
ード21Aを複数形成したことにより、線接触数が増加
してシール面が高圧となるためラビリンス効果を促し、
仮に一つの金属ビードでリークすることがあっても他の
金属ビードでシール性を確保することができる。しかし
勿論、金属ビード21Aが一つであっても、高圧部と低
圧部との差を顕著にする効果を得ることができる。
【0051】また、図6に示すように、軟質材17を抱
き込ませたシリンダボア孔13の折り返し部21におい
て、その折り返した基板11の端縁21Bを、当該基板
11表面側に向けてさらに折り曲げてもよい。このよう
に端縁21Bを折り曲げると、軟質材17が折り返し部
21内部から飛び出すのを防止できる。また、図7ない
し図10には、上記図1ないし図4に示した金属ガスケ
ット10とは別の金属ガスケット30を示す。この金属
ガスケット30においては、前記金属ガスケット10と
同一構成部分には同一符号を付すことにより、その説明
を簡略化する。
【0052】これらの図に示す金属ガスケット30は、
特にシリンダボア孔13の折り返し部21端部に、この
シリンダボア孔13の全周にわたって線状をした軟質の
金属材からなるリング31を抱き込ませている。そし
て、金属ガスケット10において外周端縁のボルト孔1
4近くに形成した折り返し部22を形成せず、ボルト孔
14の縁を折り返して折り返し部32を形成するととも
に、基板11のシリンダブロックとシリンダヘッドとの
接合面域全体において、これらシリンダブロック,シリ
ンダヘッドの接合面の変形を防止し得る箇所(この例で
はボルト孔14の近くであって、基板11の外周端縁と
ゴムビード24との間の箇所)で、図11に示すよう
に、複数の孔33を開設した上でそれら縁を折り返して
折り返し部34を形成し、これら折り返し部34に環状
をしたシム板35を抱き込ませている。さらに、シリン
ダボア孔13の隣接する部位には、図8にその平面を示
すような軟質の金属材からなるシム板36を抱き込ませ
ている。なお、前記シム板35は、折り返し部34へ抱
き込まれているか,否かを容易に確認できるように、折
り返し部34の幅より大きい幅を有するものが好まし
い。
【0053】このような金属ガスケット30は、シリン
ダブロック,シリンダヘッドがアルミニウム合金等剛性
の小さい素材からなる場合に、膨張黒鉛シート等の軟質
材17との併用により、かかる面圧の一層の均一化なら
びにシール性の確保を期待することができる。すなわ
ち、金属ガスケット30がシリンダブロックとシリンダ
ヘッドとの間に介装された後、ボルトによって締結され
て面圧が付加された際は、先ず最も高さのあるゴムビー
ド24が潰れる方向に弾性変形し、次いで折り返し部2
1,22が潰れる方向に変形し、これによって軟質材1
7,リング31が変形する。リング31は、線状すなわ
ち断面が略円形となっているから、最初は前記面圧を狭
い面積において受けることになり、次第に潰れるにした
がって当該面圧を受ける面積が増加する。
【0054】リング31は、折り返し部21によって抱
き込まれているから、その潰れ性は次第に低下してい
く。この際、折り返し部21,軟質材17及びリング3
1には反発力が生じているから、シリンダブロックとシ
リンダヘッドとの接合面のシール性が確保され、さらに
この反発力がシリンダブロック及びシリンダヘッドの変
形に追随変形してシール性を確保し続ける。
【0055】一方、リング31は、シリンダボア孔13
の全周にわたって抱き込まれているとともに、隣接した
シリンダボア孔13の間にはシム板36が抱き込まれて
おり、また折り返し部32によってボルト等からの締め
付け力に対して反発力が作用しているから、前記締め付
け力による面圧が金属ガスケット30全体に均一化傾向
となり、特に締め付け面圧の弱いシリンダボア孔13
間,ボルト孔14間にあっても充分なシール性が確保さ
れる。
【0056】また、折り返し部34を形成してシム板3
5を抱き込ませたことで、金属ガスケット30とシリン
ダブロック,シリンダヘッドとがシリンダボア孔13周
りのみで接触せず、各折り返し部34においても接触す
ることになり、これによって、面圧がシリンダボア孔1
3周りのみに集中することがなく、シリンダブロック,
シリンダヘッド接合面の変形が抑制される。
【0057】なお、図12(a)及び(b)に示すよう
に、シリンダボア孔13の折り返し部21に、当該シリ
ンダボア孔13の全周にわたって径の異なる複数のリン
グ37〜39を抱き込ませることもできる。ここで、こ
れらリング37〜39は、前記リング31と同様に線状
をした軟質の金属材からなる。以下は、この例について
説明していく。
【0058】シリンダボア孔13の端部において高い面
圧が必要な場合、図12(a)に示すように、折り返し
部21の内側に最も径の太いリング37を抱き込ませ,
且つ折り返し部21外側に連れて次に径の太いリング3
8,最も径の細いリング39を抱き込ませる。このよう
な構成によれば、ボルト等による締め付け力に対し、シ
リンダボア孔13の端部で最も潰れ量が大きく、この端
部から離れるにしたがって潰れ量が小さくなるから、リ
ング37〜39の変形が面圧と好適に比例し、シリンダ
ボア孔13の端部において高い面圧を確保することがで
きる。
【0059】一方、例えばアルミニウム製シリンダブロ
ックに鋳鉄スリーブを圧入したようなエンジンでは、シ
リンダボア孔13の折り返し部21における端部に大き
な荷重がかかると、鋳鉄スリーブのだれ込み変形が起こ
ったり、シリンダボアの真円度が損なわれるといった不
都合が生じる可能性がある。そこで、このような場合
は、図12(b)に示すように、リング39を折り返し
部21の端部に抱き込ませ、順に折り返し部21内を外
側に向かうに連れてリング38,リング37を抱き込ま
せる。これによって、端部に遠い側が同近い側より潰れ
量が大きくなり、リング37〜39の変形が面圧と好適
に比例して締め付け面圧が平均化するので、鋳鉄スリー
ブのだれ込み変形の防止と、シリンダボアの真円度の確
保ができるのである。
【0060】このように、本発明の金属ガスケット1
0,30によれば、一枚の基板11からなるとともに、
この基板11に折り返し部21,22,32,34を形
成することにより、金型の製作数及び工程を減らすこと
ができ、材料コストを含む製造コストを著しく低下させ
ることができ、またゴムビード24の形成は、一筆書き
のディスペンサ法やスクリーンプリント,金型を用いた
モールドタイプ等により容易に行うことができるので、
極めて廉価な金属ガスケットの製造を実現することがで
きる。
【0061】そして、このような金属ガスケット10,
30によれば、シリンダブロックとシリンダヘッドとの
接合面間に介装して締結した際、締め付け力の偏差に対
してシリンダボア孔13にあっては折り返し部21,折
り返し部21内部の軟質材17あるいはリング31が好
適に追随変形するとともに、この変形によって前記締め
付け力による面圧が一層均一化され、さらにゴムビード
24もが弾性変形して前記締め付け力が一層均一化され
るので、充分なシール効果の確保を実現することができ
る。このように、締め付け力の偏差の回避及びシール効
果の確保を達成することにより、エンジン稼働時に生じ
る振動振幅の影響によって金属ガスケットに亀裂,破断
が引き起こるのを防止し、さらに燃焼ガスの影響による
金属ガスケットの寿命の低下を防止し得るのである。そ
して、エンジン全体においては、燃費の向上,パワーロ
スの低減ならびに寿命の向上を達成することができる。
【0062】なお、本実施例では、基板11における接
合面と折り返し部21,22,32,34における接合
面との高さを、段差23を形成することにより同一とし
たが、例えば図13に示すように、段差を形成せず、ゴ
ムビード24の高さを折り返し側を高くし,逆側を低く
することにより、基板11における接合面からゴムビー
ド24の厚さ方向上端までの高さを同一とすることも可
能である。
【0063】また、折り返し部,特に基板11の外周端
縁に形成した折り返し部22を形成することにより、当
該折り返し部22の端部は完全に平坦な状態とはならな
い場合が起こり得る。このように平坦でないままシリン
ダブロックとシリンダヘッドとの間に介装すると、容易
に推定されるように、この端部においてシール性が低下
してしまう一方、この端部を潰して平坦な状態とするに
は過大な荷重が必要であるとともに、荷重を付加して潰
すことによりスプリングバックが発生する可能性があ
る。因みに、板厚が0.3mm以上であれば、端部を潰し
て平坦にするのは極めて困難となる。
【0064】そこで、図14(a)及び(b)に示すよ
うに、折り返し部22の端部22Aをシリンダヘッド,
シリンダブロックの少なくともいずれかの接合面域外に
位置させると、シール性が損なわれることがなく、また
端部を平坦とするための荷重を付加する必要もない。そ
して、このような構成とすることにより、前記介装時の
正確なガスケット荷重を計算することができるのであ
る。
【0065】また、金属ガスケット10,30を特に水
冷エンジンに介装する場合には、図15に示すように、
折り返し部21,22,32,34を除いた基板11の
両接合面に、発泡ゴム40を配することで、以下のよう
な効果を得ることができる。すなわち、水冷エンジンで
は、ポンプで冷却水を循環させているが、ポンプの近く
では水圧が高く、逆に遠くでは水圧が低くなる傾向があ
る。このため、水冷エンジンのウォータージャケットに
対応した水孔16を有する金属ガスケットでは、従来こ
のような水圧の調整を水孔16の大きさを変えることで
対応していたが、板厚の厚い基板を用いたときは、折り
返し部21,22,32,34と、他の基板11一枚の
みの部分とでは、介装時にシリンダブロックあるいはシ
リンダヘッドと前記基板一枚のみの部分との間に生じる
隙間が大きくなって短絡する可能性があった。そこで、
このように水冷エンジンに介装するような場合は、面圧
が少なくて済む発泡ゴム40を配することで、多くの面
圧を費やすことなく各水孔16間の短絡を防止すること
ができるのである。
【0066】なお、特に図示はしなかったが、上述した
ようなボルト等の締結具から遠い箇所や、各シリンダボ
ア孔13間や、油孔15及び水孔16の数が多い場合に
は、軟質材17の幅ならびに厚さを部分的に大きくする
ことで、面圧の均一化傾向を実現することもできる。つ
まり、軟質材17は、その幅ならびに厚さが大きいほど
反発力が増大し、逆に小さいほど反発力が減少するか
ら、締め付け力の作用が小さい箇所において軟質材17
の幅ならびに厚さを部分的に大きくすれば、面圧が好適
に均一化傾向になる。
【0067】なお、これも特に図示はしないが、例えば
板厚の大きい金属ガスケットを形成したい場合には、基
板11を複数枚重ね合わせる必要はなく、シリンダブロ
ックあるいはシリンダヘッドの接合面に直接接する折り
返し部に所定厚さの軟質材あるいはシム板を抱き込ま
せ、これに応じてゴムビード,金属ビードの高さを大き
くすることで対応することができる。
【0068】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の金属ガスケットによれば、極めて安価に金属ガスケッ
トを製造することができる上、ボルト等締結具によるシ
リンダブロックとシリンダヘッドとの接合面間の面圧を
一層均一化し、充分なシール性を確保することができ、
さらに燃焼室用孔の真円度を好適に確保することができ
るといった効果を奏し、これによってエンジンの燃費の
向上,パワーロスの低減ならびに寿命の向上を達成する
ことができる。そして、折り返しによってボルト等締結
具による締め付け力を分散して均一化傾向とすることが
できるとともに、折り返し内部の軟質材とビードとによ
り充分なシール性を確保することができ、さらに燃焼室
用孔の真円度を好適に確保することができる。また、一
枚の基板からなり且つこの基板の燃焼室用孔等の縁を折
り返すことにより、金型の製作数を減らすことができ、
これによって材料コストを含む製造コストを著しく低下
させることができる。しかも、シリンダブロックとシリ
ンダヘッドとの接合面間の面圧が一層均一化し、充分な
シール性を確保することができる。
【0069】特に、請求項1に記載の発明によれば、
圧が燃焼室用孔周りのみに集中せず、シリンダブロッ
ク,シリンダヘッド接合面が変形するのを防止すること
ができる。
【0070】また、請求項2に記載の発明によれば、シ
ール性が損なわれることがなく、また端部を平坦とする
ための荷重を付加する必要もなく、介装時の正確なガス
ケット荷重を計算することができる。請求項3に記載の
発明によれば、基板の外周端縁の折り返しがシリンダブ
ロックとシリンダヘッドとの接合面における面圧が一層
均一化され、シリンダブロック,シリンダヘッドの変形
を抑制することができる。
【0071】請求項4に記載の発明によれば、ボルト等
の締結具の軸力に対し、当該ボルト用孔の縁の折り返し
により軸力が分散され、このボルト等の締結具の近くの
締め付け力による面圧が一層均一化され、シリンダブロ
ック,シリンダヘッドの変形を抑制することができる。
【0072】請求項5に記載の発明によれば、折り返し
における接合面をシリンダブロックの接合面側とシリン
ダヘッドの接合面側との双方に均一的に接触させること
ができ、また折り返しが締め付け力あるいは稼働時の熱
の影響によるシリンダブロック,シリンダヘッドの変形
に対して好適に追従変形して、面圧の均一化を促進させ
ることができる。
【0073】請求項6に記載の発明によれば、シリンダ
ブロック,シリンダヘッドに発生する燃焼室用孔周りの
面圧の均一化を促進させることができる。請求項7に記
載の発明によれば、シリンダブロック,シリンダヘッド
に発生する燃焼室用孔周りの面圧の均一化を促進させる
ことができる。請求項8に記載の発明は、表面処理材に
より金属ガスケット表面が滑らかとなり、したがってこ
の表面処理材がシリンダブロック,シリンダヘッドの接
合面の粗さに対応し、内燃機関の稼働時における圧洩れ
を防止することができる。
【0074】請求項9に記載の発明によれば、潤滑材に
よりシリンダブロック,シリンダヘッドの接合面と基板
との金属同士が直接接触することがなく、したがって折
り返し接合面に疵が発生するのが防止されるので、内燃
機関の稼働時における圧洩れを防止することができる。
請求項10に記載の発明によれば、金属ガスケットが介
装される内燃機関が海水等で冷却される構造である場合
にも、メッキによって金属ガスケットの耐腐食性,耐薬
品性を確保することができ、これによって長期間安定し
たシール性を補償することができる。
【0075】請求項11に記載の発明によれば、線状の
軟質材の潰れ量により双方の接合面間が閉塞されるの
で、一層良好なシール性を確保することができる。請求
項12に記載の発明によれば、ボルト等の締結具による
締め付け力に対し、軟質線の変形が面圧と好適に比例し
て平均化させることができる。請求項13に記載の発明
によれば、特にシリンダブロック及びシリンダヘッドの
剛性が小さい場合等に、面圧の低い燃焼室用孔間にシム
板を抱き込ませると、このシム板によって面圧の均一化
を一層促進させることができる。
【0076】請求項14に記載の発明によれば、金属ビ
ードの形成によって折り返し内部に抱き込ませた軟質材
の変形を容易にすることができ、高圧部と低圧部との差
を顕著にすることができる。特に、金属ビードを複数形
成して断面波状にすると、線接触数が増加してシール面
が高圧となるためラビリンス効果を促し、仮に一つの金
属ビードでリークすることがあっても他の金属ビードで
シール性を確保することができる。
【0077】請求項15に記載の発明によれば、シリン
ダブロック,シリンダヘッドに発生する燃焼室用孔周り
の面圧の均一化を促進させることができる。請求項16
に記載の発明によれば、多くの面圧を費やすことなく各
水孔間の短絡を防止することができる。請求項17に記
載の発明によれば、折り返し内部に抱き込ませた軟質材
が当該折り返し内部から飛び出すのを防止することがで
きる。
【0078】請求項18に記載の発明によれば、折り返
し内部に抱き込まれた軟質材が当該折り返し内部で変位
したり、折り返し内部から突出したりするのを防止する
ことができる。請求項19に記載の発明によれば、ビー
ドが基板へ一層堅固に固着することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る金属ガスケットの一例を示す平面
構成図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】同B−B線断面図である。
【図4】同C−C線断面図である。
【図5】シリンダボア孔の折り返し部に金属ビードを形
成した例を示す断面図であり、同図(a)は一方の接合
面側に,同図(b)は両接合面側に金属ビードを形成し
た図である。
【図6】折り返しの端縁を基板表面側に向けてさらに折
り曲げた例を示す要部断面図である。
【図7】本発明に係る金属ガスケットの他の例を示す平
面構成図である。
【図8】本実施例で説明したシム板の平面構成図であ
る。
【図9】図7のA−A線断面図である。
【図10】同C−C線断面図である。
【図11】同D−D線断面図である。
【図12】シリンダボア孔の折り返し部に複数のリング
を抱き込ませた例を示す断面図であり、同図(a)は端
部から順に径が小さくなるように抱き込ませた図,同図
(b)は端部から順に径が大きくなるように抱き込ませ
た図である。
【図13】本発明に係る金属ガスケットの他の例を示す
断面図である。
【図14】折り返し部の端部をシリンダブロック,シリ
ンダヘッドの接合面域外に位置させた例を示す断面図で
あり、同図(a)はシリンダブロックの接合面域外にの
み位置させた場合,同図(b)はシリンダブロック,シ
リンダヘッドの両接合面域外に位置させた場合を示す図
である。
【図15】本実施例で説明した発泡ゴムを配した例を示
す断面図である。
【図16】従来の金属ガスケットの一例を示す断面図で
ある。
【符号の説明】 10,30・・・・・・・金属ガスケット 11・・・・・・・・・・基板 12・・・・・・・・・・表面処理材 13・・・・・・・・・・シリンダボア孔(燃焼室用
孔) 14・・・・・・・・・・ボルト孔 15・・・・・・・・・・油孔 16・・・・・・・・・・水孔 17・・・・・・・・・・軟質材 21,22,32,34・折り返し部 21A・・・・・・・・・金属ビード 21B・・・・・・・・・(折り返し部の)端縁 23・・・・・・・・・・段差 24・・・・・・・・・・ゴムビード 31,37〜39・・・・リング(線状の軟質材) 35,36・・・・・・・シム板 40・・・・・・・・・・発泡ゴム

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも燃焼室用孔を開設した一枚の
    金属製の基板からなり、シリンダブロックとシリンダヘ
    ッドとの間に介装してこれらの接合面間をシールする金
    属ガスケットにおいて、前記燃焼室用孔の縁を折り返
    し、この折り返し内部に軟質材を抱き込ませるととも
    に、前記基板の少なくとも一方の接合面に前記折り返し
    の高さより高くなるようにゴム系材料からなるビードを
    形成したことを特徴とする金属ガスケット。
  2. 【請求項2】 前記基板の接合面域内に、前記燃焼室用
    孔の前記折り返しとは別の折り返しを設けたことを特徴
    とする請求項1に記載の金属ガスケット。
  3. 【請求項3】 前記基板の外周端縁に前記別の折り返し
    を設けたことを特徴とする請求項2に記載の金属ガスケ
    ット。
  4. 【請求項4】 前記基板にボルト用孔を開設するととも
    に、このボルト用孔の縁に前記別の折り返しを設けたこ
    とを特徴とする請求項2に記載の金属ガスケット。
  5. 【請求項5】 前記別の折り返しにシム板を抱き込ませ
    たことを特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれか
    に記載の金属ガスケット。
  6. 【請求項6】 前記別の折り返し端部を、前記シリンダ
    ブロックとシリンダヘッドとの少なくとも一方の接合面
    域外に位置させたことを特徴とする請求項2ないし請求
    項5のいずれかに記載の金属ガスケット。
  7. 【請求項7】 前記折り返しにおける接合面の前記基板
    における接合面からの高さが、当該基板の両接合面側で
    等しく又は略等しくしなるように段差を形成したことを
    特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の
    金属ガスケット。
  8. 【請求項8】 前記軟質材の幅を前記燃焼室用孔の周方
    向において部分的に変化させたことを特徴とする請求項
    1ないし請求項7のいずれかに記載の金属ガスケット。
  9. 【請求項9】 前記軟質材の厚さを前記燃焼室用孔の周
    方向において部分的に変化させたことを特徴とする請求
    項1ないし請求項8のいずれかに記載の金属ガスケッ
    ト。
  10. 【請求項10】前記基板の少なくとも一方の接合面に表
    面処理材を施したことを特徴とする請求項1ないし請求
    項9のいずれかに記載の金属ガスケット。
  11. 【請求項11】前記折り返しの接合面に潤滑材を施した
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか
    に記載の金属ガスケット。
  12. 【請求項12】前記基板は、前記孔の少なくとも内面に
    一種類以上のメッキが施されていることを特徴とする請
    求項1ないし請求項11のいずれかに記載の金属ガスケ
    ット。
  13. 【請求項13】前記燃焼室用孔の前記折り返し端部に、
    この燃焼室用孔の全周にわたって線状の軟質材を抱き込
    ませたことを特徴とする請求項1ないし請求項12のい
    ずれかに記載の金属ガスケット。
  14. 【請求項14】前記燃焼室用孔の前記折り返しに、この
    燃焼室用孔の全周にわたって径の異なる二つ以上の線状
    の軟質材を抱き込ませたことを特徴とする請求項1ない
    し請求項13のいずれかに記載の金属ガスケット。
  15. 【請求項15】前記燃焼室用孔の隣接する部位における
    前記折り返しにシム板を抱き込ませたことを特徴とする
    請求項1ないし請求項14のいずれかに記載の金属ガス
    ケット。
  16. 【請求項16】前記燃焼室用孔の前記折り返しの幅内
    で、前記基板の少なくとも一方の接合面に、前記燃焼室
    用孔の周りを巡る金属ビードを一つ以上形成したことを
    特徴とする請求項1ないし請求項15のいずれかに記載
    の金属ガスケット。
  17. 【請求項17】前記金属ビードの高さを前記燃焼室用孔
    の周方向において部分的に変化させたことを特徴とする
    請求項16に記載の金属ガスケット。
  18. 【請求項18】前記基板の前記折り返し以外の両接合面
    に、当該折り返しの高さより高くなるように発泡ゴムを
    配したことを特徴とする請求項1ないし請求項16のい
    ずれかに記載の金属ガスケット。
  19. 【請求項19】前記折り返した基板の端縁を、さらに前
    記基板側に向けて折り曲げたことを特徴とする請求項1
    ないし請求項18のいずれかに記載の金属ガスケット。
  20. 【請求項20】前記折り返しの内側の面を、摩擦抵抗の
    大きい高摩擦抵抗面としたことを特徴とする請求項1な
    いし請求項19のいずれかに記載の金属ガスケット。
  21. 【請求項21】前記基板の少なくとも前記ゴム系材料か
    らなるビードを形成する位置を、摩擦抵抗の大きい高摩
    擦抵抗面としたことを特徴とする請求項1ないし請求項
    20のいずれかに記載の金属ガスケット。
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