JP2001279406A - 強度及び成形性が優れたAl−Mg−Si系アルミニウム合金板並びにその製造方法 - Google Patents

強度及び成形性が優れたAl−Mg−Si系アルミニウム合金板並びにその製造方法

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JP2001279406A
JP2001279406A JP2000089975A JP2000089975A JP2001279406A JP 2001279406 A JP2001279406 A JP 2001279406A JP 2000089975 A JP2000089975 A JP 2000089975A JP 2000089975 A JP2000089975 A JP 2000089975A JP 2001279406 A JP2001279406 A JP 2001279406A
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健夫 櫻井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 強度が高く、成形性及び曲げ加工性に富んだ
強度及び成形性が優れたAl−Mg−Si系アルミニウ
ム合金板並びにその製造方法を提供する。 【解決手段】 Al−Mg−Si系アルミニウム合金板
は、大きさが1μm以上であるMgSi系化合物がSE
M観察による1mm2の視野の範囲内に300個以下で
ある。また、このアルミニウム合金板は、Al−Mg−
Si系アルミニウム合金材を溶解及び鋳造して得た鋳塊
を530℃以上560℃未満の温度で均質化熱処理を施
し、鋳塊を熱間圧延する。得られた圧延板を冷間圧延し
て所定の板厚とし、得られた板材を溶体化処理した後焼
入れすることにより製造される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車用、家電用
及び機械部品用等のパネル材に使用される強度及び成形
性が優れたAl−Mg−Si系アルミニウム合金板並び
にその製造方法に関し、特に、最終製品の状態における
MgSi系化合物の大きさ及び密度が調節されており、
時効処理により高い強度が得られ、かつ成形性及び曲げ
加工性が良好な強度及び成形性が優れたAl−Mg−S
i系アルミニウム合金板並びにその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車用、家電用及び機械部品用
等のパネル材を軽量化するため、主に使用されているA
l−Mg−Si系合金板は、溶体化処理後、人工時効処
理等をすることにより高い強度を得ることができる。ま
た、塗装焼き付け時の熱処理によっても、強度を高くす
ることが可能である。このAl−Mg−Si系合金板は
時効処理前にプレス又は曲げ等の成形加工が施されてい
る。このようなAl−Mg−Si系合金板としては、プ
レス又は曲げ等の成形加工が容易で、かつ成形加工後は
人工時効又は焼き付け塗装時の加熱処理により、強度が
向上する材料であることが理想とされている。本出願人
は、焼付塗装等の短時間の加熱により強度を向上させる
ことができるAl−Mg−Si系合金板を提案している
(特開平1−111851号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来、
自動車、家電及び機械部品等に使用されるAl−Mg−
Si系合金板及び特開平1−111851号公報に開示
されているAl−Mg−Si系合金板は、塗装焼き付け
後の強度向上及び優れた成形性を得ることを目的とし
て、冷間圧延後の溶体化処理及び溶体化処理後の熱処理
(予備熱処理又は復元処理)等に着目して開発されてい
る。このため、このようなアルミニウム合金では、強度
及びプレス成形性について十分な特性を得ることができ
ないという問題点がある。
【0004】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、強度が高く、成形性及び曲げ加工性に富ん
だ強度及び成形性が優れたAl−Mg−Si系アルミニ
ウム合金板並びにその製造方法を提供することを目的と
する。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係る強度及び成
形性が優れたAl−Mg−Si系アルミニウム合金板
は、大きさが1μm以上であるMgSi系化合物がSE
M観察による1mm2の視野の範囲内に300個以下で
あることを特徴とする。
【0006】本発明に係る強度及び成形性が優れたAl
−Mg−Si系アルミニウム合金板の製造方法は、Al
−Mg−Si系合金材を溶解及び鋳造して得た鋳塊を5
30℃以上560℃未満、好ましくは550℃以上の温
度で均質化熱処理を施す工程と、前記鋳塊を熱間圧延す
る工程と、得られた圧延板を冷間圧延して所定の板厚と
する工程と、得られた板材を溶体化処理した後焼入れす
る工程とを有し、これにより、SEM観察による1mm
2の視野の範囲内に大きさが1μm以上であるMgSi
系化合物が300個以下であることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。Al−Mg−Si系アルミニウム合金板において
は、従来、最終工程の溶体化処理を十分に行い、その
後、予備時効又は復元を行うことで、高い強度が得ら
れ、成形性も良好であると考えられていた。しかし、本
願発明者等は、均質化熱処理等の上工程が不十分である
と、強度及び成形性に対して要求する特性が得られない
ことを知見した。つまり、均質化熱処理時の熱処理を十
分に行い、この時点でMgSi系化合物を制御しなけれ
ば、最終工程である溶体化処理を高い温度でしても、十
分にMgSi系化合物が固溶されず、高い強度が得られ
ないと共に、成形性及び曲げ加工性も低下することを見
出した。
【0008】即ち、均質化熱処理の温度をできる限り高
温にし、熱間圧延、冷間圧延及び溶体化処理をし、焼入
れ処理を行い、このとき、MgSi系化合物の大きさの
分布をできるだけ小さくし、MgSi系化合物の固溶度
を高くすることにより、強度が高く、成形性及び曲げ加
工性が高いAl−Mg−Si系アルミニウム合金板を得
ることができる。
【0009】本発明に係るアルミニウム合金板は、自動
車用、家電用及び機械部品用等のパネル材に使用すると
有益である。自動車用のパネル材には、インナーパネル
とアウターパネルとが貼り合されてなるパネル材があ
る。特に、アウターパネルは焼付塗装されるので、この
ときの熱処理により、MgSi系化合物が析出して強度
が向上するため、アウターパネルとして使用すると有益
である。
【0010】以下、本発明の強度及び成形性が優れたA
l−Mg−Si系アルミニウム合金板の数値限定理由に
ついて説明する。
【0011】大きさが1μm以上であるMgSi系化合
物:SEM観察による1mm2 の視野の範囲内に300
個以下 本発明は、通常の方法により製造したAl−Mg−Si
系アルミニウム合金(6000系合金)板をミクロ組織
観察したとき、即ち、SEM観察したとき、大きさが1
μm以上であるMgSi系化合物が1mm2の視野の範
囲内に300個を超えて存在すると、最終製品での強度
及び成形性が得られない。また、ベーク後の強度を得る
こともできない。更に、晶出物サイズが1μm以上であ
るMgSi系化合物が均質化熱処理後に残存すると、高
強度及び高成形性が得られない。従って、大きさが1μ
m以上であるMgSi系化合物はSEM観察による1m
2の視野の範囲内に300個以下とする。
【0012】また、本発明においては、組成はAl−M
g−Si系アルミニウム合金であれば、特にその組成は
限定されるものではなく、より一層高い性能を必要とす
る場合には以下の成分を含有することが好ましい。
【0013】Mg:0.2乃至1.0質量% Mgはそれ自体の固溶強化と、Siと共同し強度を付与
する元素である。時効析出物β´−Mg2Siを析出
し、この時効析出物の量はMgの添加量に依存する。し
かし、Mgの含有量が0.2質量%未満では、十分な強
度(以下、強度とは、素材及び170℃の温度で焼付塗
装した後の耐力のことをいう)が得られない。一方、M
gの含有量が1.0質量%を超えると、鋳造時に平衡相
Mg2Siが晶出物として成長し、伸びが低下すること
がある。このため、成形性が極めて低下する。従って、
Mgの含有量は0.2乃至1.0質量%とすることが好
ましい。
【0014】Si:0.5乃至2.0質量% SiはMgと共同し、主として時効析出物β´−Mg2
Siの析出による析出硬化により強度を付与する元素で
ある。この時効析出物の量はSiの含有量に依存する。
Siの含有量が0.5質量%未満では、十分な強度が得
られない。一方、Siの含有量が2.0質量%を超える
と、平衡相Mg2Siが晶出し、伸びを大きく低下させ
る。即ち、成形性が劣化する。従って、Siの含有量は
0.5乃至2.0質量%であることが好ましい。
【0015】但し、強度及び成形性はMg及びSiの添
加量に依存し、強度の上昇及び焼付塗装による強度の上
昇に寄与するのがMg及びSiにより形成されるβ´−
Mg 2Siである。しかし、このβ´−Mg2Siの含有
量が0.35質量%未満では、強度が極めて低く、焼入
硬化性も殆どない。一方、β´−Mg2Siの含有量が
1.5質量%を超えると、伸びが低下し、成形性が極め
て低下する。従って、Mg及びSiの含有量はβ´−M
2Siに換算して0.35乃至1.5質量%とするこ
とが望ましい。
【0016】また、Siが過剰に添加されると、Siの
1部はβ´−Mg2Siにならず、残Siとして存在す
る。この残Siは成形性を上昇させる効果がある。か
つ、残SiがT4の熱処理条件で固溶していると、固溶
体硬化により強度が上昇する。残Siの含有量が0.3
5質量%未満では、十分な強度が得られない。一方、残
Siの含有量が1.2質量%を超えると、強度は増加す
るものの、成形性が劣化する。従って、残Siの含有量
は0.35乃至1.2質量%とすることが好ましい。こ
のように、β´−Mg2Si及び残Siの含有量を考慮
してMg及びSiの含有量を適性にする必要がある。
【0017】Cu:0.01乃至0.30質量% Cuはスクラップ材等からアルミニウム合金板を製造す
るときに、不純物元素として混入する元素である。Cu
の効果としては、時効析出物θ´−CuAl2により強
度を付与する。本発明においては、強度の増加はβ´−
Mg2Siによるものだけでなく、Cuの添加による時
効析出物θ´−CuAl2が緻密で微細になるので、強
度が向上し、低温焼入れで焼入硬化性が向上する。Cu
の含有量が0.01質量%未満では、低温焼入れ時に十
分な強度を得ることができない。一方、Cuの含有量が
0.30質量%を超えると、θ´−CuAl2の析出量
が増大する。更に、θ´−CuAl2の析出物は室温で
成長するので、経時変化により強度が上昇し、それに伴
い伸び及び成形性が低下する。従って、Cuの含有量は
0.01乃至0.30質量%とすることが好ましい。ま
た、Al−Mg−Si系合金にCuが添加されている
と、自動車の製造工程にあるリン酸亜鉛処理において、
リン酸亜鉛皮膜の膜厚を厚くすることができるので、耐
食性も向上する。また、Al−Mg−Si系アルミニウ
ム合金板の全伸びを向上させ、成形加工時の変形を均等
にすることができる。このため、成形性を向上させるこ
とができる。
【0018】Fe:0.1乃至0.5質量% FeはCuと同様に不純物として混入しうる元素であ
る。Feの含有量が0.1質量%未満では、結晶粒径の
粗大化の原因となり、強度の低下を招く。一方、Feの
含有量が0.5質量%を超えると、粗大な晶出物が生成
されるので、成形性が極めて低下する。従って、Feの
含有量は0.1乃至0.5質量%とすることが好まし
い。
【0019】なお、本発明においては、Al−Mg−S
i系アルミニウム合金は、上述のMg、Si、Cu及び
Feを必須成分とすれば、強度及び成形性の効果はより
一層大きくなる。しかし、他の元素を本発明の効果を損
なわない限度で、必要に応じて添加することができる。
更に不純物として、Ti及びMnのうち少なくとも1種
を含有させることができる。
【0020】Ti:0.1質量%以下 Tiは鋳塊の結晶粒を微細にし、かつ成形性を向上させ
る元素である。しかし、Tiの含有量が0.1質量%を
超えると、粗大な晶出物が生成され、成形性が低下す
る。従って、Tiの含有量は0.1質量%以下とするこ
とが望ましい。
【0021】Mn:0.3質量%以下 Mnの強度を向上させる効果は小さい。しかし、Mnの
含有量が多くなると、析出物の生成が極めて多くなり、
成形性を低下させる。従って、Mnの含有量は0.3質
量%以下とすることが望ましい。
【0022】次に、本発明のAl−Mg−Si系アルミ
ニウム合金板の製造方法の数値限定理由について説明す
る。
【0023】均質化熱処理:530℃以上560℃未満 本発明に係るAl−Mg−Si系アルミニウム合金板は
通常の方法により、溶解し鋳造を行って鋳塊を得、その
後、530℃以上560℃未満の温度で均質化熱処理さ
れる。このとき、均質化熱処理時の温度が530℃未満
では、Al−Mg−Si系合金中にMgSi系化合物が
十分に固溶されず、最終製品まで残存し、強度及び成形
性が低下する。一方、均質化熱処理温度が560℃を超
えると、均質化熱処理時にバーニングが発生し、熱間圧
延時に割れ等が発生する。従って、均質化熱処理の温度
は530℃以上560℃未満とする。好ましい、均質化
熱処理の温度は550℃以上である。
【0024】本発明においては、均質化熱処理後、通常
の方法により、熱間圧延、冷間圧延及び溶体化処理を行
う。均質化熱処理以降の工程においては、より高い強度
得るため、特に、低い温度で短時間の人工時効処理で高
い強度を得るためには、以下の工程で焼入れを行うこと
が望ましい。
【0025】溶体化処理は、温度を、例えば540℃ま
で高くすることにより、添加されている成分が固溶さ
れ、固溶度が更に高くなり、MgSi系化合物の大きさ
の分布をより一層小さくすることができる。このため、
溶体化処理の温度は540℃とすることが好ましい。
【0026】また、焼入れ温度、即ち、焼入れ終了温度
が50℃未満では、150℃程度の極めて低い温度での
塗装焼付で焼入硬化性が殆どない。更に、常温に放置し
た時間の経過と共に消失する。一方、焼入れ温度が12
0℃を超えると、Mg2Siの析出により、T4の熱処
理で強度が高くなり過ぎ、成形性が劣化すると共に、焼
入硬化性が認められない。従って、焼入れ温度は50乃
至120℃とすることが好ましい。
【0027】50乃至120℃の温度範囲で焼入れする
とき、冷却速度が300℃/分未満では、焼入れ後の強
度が低くなり、かつ、低温(150℃)での焼入硬化性
が認められなくなる。従って、冷却速度は300℃/分
以上とすることが好ましい。
【0028】次に、焼入れ保持時間については、焼入れ
温度が50℃という低温焼入れの場合、焼入れ保持時間
が短時間では、目的とする低温での焼入硬化性が認めら
れない。しかし、この場合、焼入れ保持時間が48時間
を超えると、低温焼入硬化性が消失する。一方、焼入れ
温度が120℃の場合、長時間保持すると、平衡相Mg
2Siが析出しT4での強度が高くなり過ぎ焼入硬化性
が認められなくなる。また、この場合、焼入れ保持時間
が0.5時間未満であっても、Mg2Siが既に析出し
ているため、焼入硬化性が認められない。従って、焼入
れ条件は50乃至120℃の温度範囲で、保持時間を
0.5乃至48時間とすることが好ましい。更に、焼入
れ工程は溶体化処理後、5分以上経過してから行うと、
低温時の焼入硬化性が極めて低下するので、焼入れ工程
は溶体化処理後、5分未満に行うことが好ましい。
【0029】
【実施例】以下、本発明の実施例に係るAl−Mg−S
i系アルミニウム合金板について、その特性を比較例と
比較して具体的に説明する。
【0030】下記表1に示す組成のAl−Mg−Si系
アルミニウム合金板を通常の方法により、溶解及び鋳造
して厚さが50mmの鋳塊を得た。この鋳塊に450乃
至580℃の各均質化処理温度で4時間の均質化熱処理
を施し、熱間圧延を板厚が5mmになるまで行った。熱
間圧延材の温度が室温になるまで放置し、常温で冷間圧
延を施し、板厚が1mmの冷間圧延材(以下、冷延材と
いう)を得た。
【0031】この冷延材を530℃の溶体化処理温度ま
で加熱して20秒間保持し、次に、70℃の温度で2時
間の焼入れ処理を行い、その後、常温まで冷却し供試材
を得た。
【0032】供試材について、焼入れ後、室温で5日間
放置した。そして、供試材の機械的性質(引張強度、耐
力、伸び、成形性及び曲げ加工性)を調べた。
【0033】成形性については、板厚が1.0mm、幅
が110mm及び長さが200mmであるブランクサイ
ズの板材を使用し、この板材に潤滑油として防錆油を塗
り、しわ押さえ力(BHF)が6.5トンで300mm
/秒の速度で板材を成形し、このときの板材の割れ限界
の高さ(LDH0)を測定した。なお、成形性はLDH0
により評価した。
【0034】また、曲げ加工性については、ヘム曲げ加
工性で評価した。このヘム曲げ加工は、供試材をダウン
フランジ(90°曲げ)し、次に、45°曲げ加工し、
そして、板厚が0.8mmの板材を供試材と治具との間
に挟んで180°曲げ加工した。曲げ加工性の評価は、
ヘム曲げ加工後、良好な曲げ性を示したものを評価1と
し、肌荒れが生じたものを評価3とし、割れが生じたも
のを評価5とした。板材の状態が評価1と3との中間の
ものを評価2とし、評価3と5との中間のものを評価4
とした。この結果を表2の曲げの欄に示す。
【0035】更に、この供試材にプレス加工を想定した
2%の歪を付与し、そして、170℃の温度で20分間
のベーキング処理し、ベーキング後の供試材の耐力を測
定し機械的性質(焼入硬化性)を調べた。また、供試材
のミクロ組織をSEM(組成像)により、ランダムに5
乃至6視野観察し、その中のMgSi系化合物の数及び
大きさを測定した。
【0036】この結果を表2に示す。なお、表2に示す
「均熱温度」とは、「均質化熱処理温度」を示し、「A
B耐力」とは、「ベーキング後の耐力」を示す。
【0037】また、成形性においてLDH0が30.0
mm以上であり、曲げ加工性(ヘム曲げ)の評価が3未
満であり、AB耐力が200MPa以上であるものを表
2の評価の欄で○とし、それ以外のものは×とした。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】上記表2に示すように、実施例No.1及び
2は均質化熱処理温度が適切なので、MgSi系化合物
の数が300個以下になった。また、実施例No.1及び
2は引張、耐力、伸び及び成形性が優れ、更に、ベーキ
ング後の耐力が優れており、焼入硬化性が極めて優れて
いた。
【0041】一方、比較例No.3乃至5は均質化熱処理
温度が本発明の下限値未満であるので、MgSi系化合
物の数が300個を超え、引張、耐力、伸び及び成形性
が乏しかった。また、ベーキング後の耐力が乏しく、焼
入硬化性が乏しかった。
【0042】比較例No.6は均質化熱処理温度が本発明
の上限値を超えているので、バーニングにより熱間圧延
時に割れ発生が発生し、機械的性質を調べることができ
なかった。
【0043】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、A
l−Mg−Si系アルミニウム合金板のMgSi系化合
物の大きさ及び密度を適切に規定しているので、時効処
理により高い強度が得られ、かつ成形性及び曲げ加工性
が優れるアルミニウム合金板を得ることができる。よっ
て、アルミニウム合金板の高強度化が図れ、薄肉化が可
能になる。また、成形性が良好であるので、自動車、家
電製品及び機械部品等の軽量化に寄与し、アルミニウム
合金板の工業的な使用頻度を向上させることが可能にな
る。このような、自動車、家電製品及び機械部品等の軽
量化の効果は産業界に多大な貢献をなす。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22F 1/00 630 C22F 1/00 630K 681 681 682 682 683 683 685 685Z 686 686A 691 691B 692 692Z

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 大きさが1μm以上であるMgSi系化
    合物がSEM観察による1mm2の視野の範囲内に30
    0個以下であることを特徴とする強度及び成形性が優れ
    たAl−Mg−Si系アルミニウム合金板。
  2. 【請求項2】 Al−Mg−Si系アルミニウム合金材
    を溶解及び鋳造して得た鋳塊を530℃以上560℃未
    満の温度で均質化熱処理する工程と、前記鋳塊を熱間圧
    延する工程と、得られた圧延板を冷間圧延して所定の板
    厚とする工程と、得られた板材を溶体化処理した後焼入
    れ処理する工程とを有し、これにより、SEM観察によ
    る1mm2の視野の範囲内に大きさが1μm以上である
    MgSi系化合物が300個以下であるアルミニウム合
    金板を製造することを特徴とする強度及び成形性が優れ
    たAl−Mg−Si系アルミニウム合金板の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記均質化熱処理の温度が550℃以上
    であることを特徴とする請求項2に記載の強度及び成形
    性が優れたAl−Mg−Si系アルミニウム合金板の製
    造方法。
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