JP2001277872A - 小型車両の動力伝達装置 - Google Patents
小型車両の動力伝達装置Info
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Abstract
機械式自動速機の遠心式変速クラッチとに要求される性
能をともに満足させる。 【解決手段】 エンジン41と機械式自動変速機44と
をベルト式無段変速機43を介して接続する小型車両の
動力伝達装置であり、ベルト式無段変速機には回転数が
上昇すると接続してエンジン動力を伝達する遠心式発進
クラッチ57を設け、機械式自動変速機には回転数が上
昇すると接続して動力伝達するギヤを低速ギヤ65bか
ら高速ギヤ65aへ切り替える遠心式変速クラッチ64
を設けて、遠心式発進クラッチをドライ環境で動作させ
て小さな回転数によっても短い滑り時間で接続して動力
伝達できるようにする一方、遠心式変速クラッチをオイ
ル潤滑環境で動作させて変速ショックを小さくするため
に滑り時間を長くしても小型にして十分な耐久性を得
る。
Description
力をベルト式無段変速機と機械式自動変速機とを介して
左右の駆動輪へ伝達する小型車両の動力伝達装置に関
し、特に、1人或いは2人程度が乗車する簡易な構造の
小型車両に用いて好適な動力伝達装置の潤滑構造に関す
る。
の低減などの観点から、1人或いは2人程度が乗車して
移動することができる小型車両が開発され、実用にも供
されている。このような小型車両は4輪車や3輪車など
の自立し得る形式で構成され、例えば特開平9―286
348号公報に記載されるように、小排気量のエンジン
を動力源として、少人数が低燃費にして低排出ガス量で
手軽に移動することができる手段として利用される。
59―227523号公報、特開昭62―246648
号公報、特開昭63―145854号公報、特公平6―
56196号公報などに記載されるように、エンジンの
動力をベルト式無段変速機により駆動輪へ伝達して手軽
に運転することができるようにするとともに、油圧制御
系を用いる自動変速機に比べて簡易で安価且つ軽量な構
造の動力伝達装置を採用している。そして更に、このよ
うな小型車両では、ベルト式無段変速機と共に機械式の
変速機も併用しており、ベルト式無段変速機と機械式変
速機とによりエンジン動力を幅広い変速比で駆動輪に伝
達するとともに、ベルト式無段変速機が負担する変速比
を抑えてベルトが掛け回されるプーリーの大型化を抑え
ている。
ベルト式無段変速機と機械式自動変速機を併用した小型
車両では、ベルト式無段変速機に回転数が上昇すると接
続してエンジン動力を伝達する遠心式発進クラッチを設
ける一方、機械式自動変速機に回転数が上昇すると接続
して動力伝達するギヤを低速ギヤから高速ギヤへ切り替
える遠心式変速クラッチを設けることが考えられる。す
なわち、エンジン回転数がアイドリング状態から上昇す
ると遠心式発進クラッチにより自動的にエンジン動力が
パワートレインに伝達されるようにし、また、走行に伴
ってエンジン回転数が更に上昇すると遠心式変速クラッ
チにより機械式変速機の動力伝達ギヤが高速用に自動的
に切り替えられるようにして、簡易な構造にして手軽な
運転を実現するとともに、動力伝達機構を軽量小型にし
て低燃費などの所期の目的を達成することが考えられ
る。
ッチと遠心式変速クラッチとを設けるときは、それぞれ
のクラッチには異なる性能が要求されるため、これら両
要求を満足させるための構成としなければならない。す
なわち、遠心式発進クラッチには、摩擦力を稼いで、小
さな回転数によっても短い滑り時間で接続して動力伝達
できるようにすることが要求される一方、遠心式変速ク
ラッチには、滑り時間を長くして変速ショックが小さく
なるようにしても、小型にして十分な耐久性があること
が要求される。
低排出ガス量を実現するために小型車両のエンジンは比
較的小排気量の低出力なものとなるため、車体や懸架系
などといった車両各部の構造を簡単且つ軽量化すること
が要求される。このような要求を満たすための方策とし
て、エンジン、変速機、ディファレンシャル機構といっ
た左右の駆動輪へ至る動力伝達系の各機構を小型化し
て、これら各機器を一体的に組み付けたパワーユニット
に構成し、このパワーユニットを車体に対して揺動自在
に取り付けた構造として、パワーユニットの車体へのマ
ウンティングと駆動輪の懸架とを一挙に行う車両構造が
考えられるが、懸架系のばね下重量を軽減して乗り心地
を良好にしたり、パワーユニットを揺動させるための空
間を小さくして車体構造をコンパクトにするなどの観点
から、動力伝達装置を小型軽量なものとすることが要求
される。
もので、遠心式発進クラッチと遠心式変速クラッチとに
要求される性能を実現し、且つ、機械式自動速機を併用
してベルト式無段変速機にかかる変速比負担の軽減を達
成しつつ当該機械式自動速機を構造簡単にして小型軽量
なものとすることができる小型車両の動力伝達装置を提
供することを目的とする。また、本発明は、エンジンか
らディファレンシャル機構へ至る動力伝達系をパワーユ
ニット化し、これを車体に揺動自在に取り付けた構造の
小型車両に特に好適な動力伝達装置を提供することを目
的とする。なお、本発明の更なる目的は、以下の説明に
おいて明らかなところである。
械式自動変速機とをベルト式無段変速機を介して接続す
る小型車両の動力伝達装置であり、ベルト式無段変速機
には回転数が上昇すると接続してエンジン動力を伝達す
る遠心式発進クラッチを設け、機械式自動変速機には回
転数が上昇すると接続して動力伝達するギヤを低速ギヤ
から高速ギヤへ切り替える遠心式変速クラッチを設け
て、ベルト式無段変速機はドライ環境でケースに収容し
て遠心式発進クラッチをドライ環境で動作させる一方、
機械式自動変速機は潤滑油と共にケースに収容して遠心
式変速クラッチをオイル潤滑環境で動作させる。したが
って、遠心式発進クラッチは潤滑油のない摩擦係数の高
い環境で動作するため、小さな回転数によっても短い滑
り時間で接続して動力伝達できる一方、遠心式変速クラ
ッチは潤滑油で潤滑された環境で動作するため、変速シ
ョックを小さくするために滑り時間を長くしても小型に
して十分な耐久性を得ることができる。
置では、遠心式発進クラッチと遠心式変速クラッチとを
動力伝達系路において同軸に配置して動力伝達装置の小
型化を実現し、小型車両に対する要求を満たしている。
更に、本発明に係る小型車両の動力伝達装置では、機械
式自動変速機を収容するケースと、ベルト式無段変速機
を収容するケースとを隔壁をもって隔てられた一体的な
ユニットに構成し、更に当該ユニットにエンジンおよび
左右の駆動輪を駆動回転するディファレンシャル機構を
組み付けて動力伝達系をパワーユニット化し、このパワ
ーユニットを小型車両に懸架機構として揺動可能に取り
付けている。したがって、小型軽量に構成される動力伝
達装置と相俟って、懸架系のばね下重量が軽減して乗り
心地が良好となり、パワーユニットを揺動させるための
空間も小さくなって車体構造をコンパクトにすることが
できる。
用いて具体的に説明する。図1〜図4に示すように、本
例の小型車両は前輪1と後輪2とにそれぞれ2つ車輪を
備えた四輪車であり、中央部に1人の乗員(運転者)が
着座する単座運転シート3が備えられている。この小型
車両の基本的な車体構造は、アルミニュームなどの金属
製パイプ材で構成した枠型の車体フレーム4に樹脂製ボ
ディーカバー5を被せたものであり、更に、このボディ
ーカバー5の上方に樹脂製のルーフパネル6を配して乗
員の着座シート3上方を覆ってキャビンを構成してい
る。
あり、ステアリングホイール7からの操舵力を図外の操
舵機構を介して加えることにより、前輪1が向きを変え
て車両の走行方向が任意に変更できるようになってい
る。また、図1中の8はシート3の側部に設けられたセ
レクトレバーであり、後述するように、このセレクトレ
バー8により機械式2速自動変速機を先進または後退に
選択できるようになっている。
の後部には枠型のスイングフレーム10がその先端をピ
ボットとして上下に揺動自在に取り付けられており、こ
のスイングフレーム10上にエンジン、遠心式発進クラ
ッチを備えたベルト式無段変速機、遠心変速クラッチ式
の2速自動変速機、ディファレンシャル機構などを一体
化したパワーユニット40が設けられている。そして、
このパワーユニット40のディファレンシャル機構から
張り出された一対のドライブシャフト80の先端にそれ
ぞれ後輪2が取り付けられており、パワーユニット40
からの動力により左右の後輪2を駆動するようになって
いる。
グフレーム10は略T字型のメインフレーム11と一対
のトレーリングアーム12とを組み合わせた構造であ
る。メインフレーム11は、車幅方向に延びたメインパ
イプ13の中央に車長方向に延びたセンターパイプ14
を溶接し、更に、メインパイプ13とセンターパイプ1
4との間にパワーユニット40を支持するためのサブパ
イプ15を掛け渡して溶接した構造である。
ト17を介してドライブシャフト80を回転自在に支持
するアクスルブロック18に取り付けられており、これ
により、ドライブシャフト80に取り付けられた後輪2
を支持している。センターパイプ14は、その前端で車
体フレーム4の後端パネル4aに穿設された支持孔4b
に若干の余裕を持って挿入支持されており、これによ
り、メインパイプ13の揺動は許容しつつも平行なスラ
イド移動を規制している。なお、支持孔4bにはラバー
環ブシュ4cが設けられており、センターパイプ14と
支持孔4bとの間のこじりによる磨耗や騒音を抑えてい
る。
体フレーム4に取り付けられているブラケット19にピ
ボットピン20を介して取り付けられており、ピボット
ピン20を中心として上下方向に揺動自在となってい
る。また、トレーリングアーム12は、その先端でブラ
ケット17に取付ピン21およびラバーブシュ22を介
して取り付けられており、アクスルブロック18(メイ
ンパイプ13)との間で、ピン21を中心とした揺動変
位およびラバーブシュ22の撓みによるねじり変位を許
容している。
4との間には、サスペンションスプリングとショックア
ブソーバとを組み付けたサスペンションユニット25が
設けられており、これらサスペンションユニット25は
車体フレーム4に取り付けたブラケット26とトレーリ
ングアーム12に取り付けたブラケット27とにそれぞ
れ枢着されている。すなわち、スイングフレーム10
は、車両の走行に伴って後輪2と共にピボットピン20
を中心として上下方向に揺動し、また、ラバーブシュ2
2の撓みとセンターパイプ14の軸線周りの若干の回転
とにより、左右の後輪2の間で高低差が生じ得るように
独立懸架的に動作する。
10上にはパワーユニット40が3点でラバーマウント
されている。すなわち、センターパイプ14とサブパイ
プ15とにそれぞれブラケット29を取り付け、これら
ブラケット29にラバープラグ30を取り付け、これら
ラバープラグ30にパワーユニット40の前端部(エン
ジン部)を取り付けるとともに、メインパイプ13にブ
ラケット31を取り付け、このブラケット31にラバー
プラグ32を取り付け、このラバープラグ32にパワー
ユニット40の後端部(ディファレンシャル部)を取り
付けて、スイングフレーム10上にパワーユニット40
を3点で弾性支持している。
グフレーム10と共に揺動して後輪2の懸架を行い、ま
た、パワーユニット40はスイングフレーム10にラバ
ーマウントされていることからエンジン振動がスイング
フレーム10を介して車体に伝達されるのが防止され、
更には、スイングフレーム10自体もラバー環ブシュ4
cおよびラバーブシュ22を介して車体に支持されてい
ることから、より一層、エンジン振動の車体への伝達が
防止されている。
ニット40は、エンジン41、ACジェネレータ42、
ベルト式無段変速機43、後退ギヤを有した機械式の2
速自動変速機44、ディファレンシャル機構45を一体
的に組み付けたものであり、エンジン41から出力され
た動力をベルト式無段変速機43および機械式2速自動
変速機44で変速し、この動力をディファレンシャル機
構45から左右の後輪2に接続されるドライブシャフト
80にそれぞれ伝達する。
では、500cc程度の単気筒)であり、燃焼爆発によ
るピストン47の運動をコネクションロッド48でクラ
ンク軸49に伝え、エンジン動力をクランク軸49の回
転により出力する。クランク軸49の一端にはACジェ
ネレータ42が連結されており、エンジンの回転動力に
よって車両の運転に必要な電力が発電される。
速機43のドライブプーリー50が取り付けられてお
り、クランク軸49に平行に軸支されている第1トラン
スファ軸51には円筒状の第1サブトランスファ軸51
aが同軸に回転自在に設けられており、この第1サブト
ランスファ軸51aにはドリブンプーリー52取り付け
られ、このドライブプーリー50とドリブンプーリー5
1とは断面略V字型の環状ベルト53を掛け回して連結
されている。ドライブプーリー50は、クランク軸49
に固定された固定プレート50aと、クランク軸49に
軸方向溝で嵌合して連れ回りするが軸方向へ移動可能に
設けられた可動プレート50bとを有しており、更に、
可動プレート50bの背後にはクランク軸49に固定さ
れた抑えプレート50cが設けられ、可動プレート50
bと抑えプレート50cとの間には遠心ローラ50dが
設けられている。
トランスファ軸51aに固定された固定プレート52a
と、第1サブトランスファ軸51に軸溝で嵌合して連れ
回りするが軸方向へ移動可能に設けられた可動プレート
52bとを有しており、更に、可動プレート52bはそ
の背面に設けたリターンスプリング52cによって固定
プレート52a側へ付勢されている。したがって、エン
ジン回転数(クランク軸回転数)が小さい状態では、リ
ターンスプリング52cによって可動プレート52bと
固定プレート52aとの間隔が狭まってドリブンプーリ
ー52のベルト掛け回し径が大きくなり、これによるベ
ルト53の引張で固定プレート50aと可動プレート5
0bとの間隔が広がってドライブプーリー50のベルト
掛け回し径が小さくなり、ドライブプーリー50からド
リブンプーリー51へのベルト伝達減速比が大きくな
る。
と、遠心ローラ50dが遠心力によって放射外方へ移動
して可動プレート50bを背後から押圧し、可動プレー
ト50bと固定プレート50aとの間隔が狭まってドラ
イブプーリー50のベルト掛け回し径が大きくなり、こ
れによるベルト53の引張でリターンスプリング52c
に抗して可動プレート52bと固定プレート52aとの
間隔が広がってドリブンプーリー52のベルト掛け回し
径が小さくなり、ドライブプーリー50からドリブンプ
ーリー51へのベルト伝達減速比が小さくなる。すなわ
ち、ベルト式無段変速機43によると、エンジン回転数
が上昇するに応じて減速比が徐々に小さくなり、第1サ
ブトランスファ軸51aの回転数が上昇する。
はシュープレート54が固定され、第1トランスファ軸
51の先端部にはドラム55が固定されており、シュー
プレート54には遠心シュー56が外方へ移動可能に設
けられて、これらによって、第1トランスファ軸51と
第1サブトランスファ軸51aとの間に遠心式の発進ク
ラッチ57が構成されている。すなわち、エンジンアイ
ドリング時のように第1サブトランスファ軸51aの回
転数が小さい状態では、遠心シュー56はドラム55の
内周面に圧接しておらず、第1サブトランスファ軸51
aの回転動力は第1トランスファ軸51へ伝わらない一
方、エンジン回転数が上昇して行くと、遠心シュー56
が遠心力によって放射外方へ移動してドラム55の内周
面に圧接し、第1トランスファ軸51を第1サブトラン
スファ軸51aに接続して回転させ、第1トランスファ
軸51からエンジン動力を自動変速機44へ入力する。
を説明すると、エンジンブロックにボルト58aにより
取り付けたメインケース58にベルト式無段変速機43
を収める空所と機械式自動変速機44およびディファレ
ンシャル機構45を収める空所とを互いに反対面に形成
し、ベルト式無段変速機43を収めた空所をボルト59
aで取り付けたカバーケース59で覆い、機械式自動変
速機44およびディファレンシャル機構45を収めた空
所をボルト60aで取り付けたカバーケース60で覆っ
て、エンジン41からディファレンシャル機構45へ至
るパワートレイン機構を一体的なケースに収めている。
する遠心発進クラッチ57は潤滑油のないドライ環境な
ケース空間に収められる一方、以下に詳述する機械式自
動変速機44およびディファレンシャル機構45は潤滑
油と共にケース空間に収められてオイル潤滑がなされる
が、このケース構造では、ベルト式無段変速機43を収
めた空所と機械式自動変速機44およびディファレンシ
ャル機構45を収めた空所とはメインケース58の隔壁
部58bによって隔絶されており、ベルト式無段変速機
43およびこれに付随する遠心発進クラッチ57は潤滑
油のないドライ環境で動作することが保証され、機械式
自動変速機44およびディファレンシャル機構45は潤
滑油によるウエット環境で動作することが保証されてい
る。
8bを貫通して軸受58cにより回転自在に支持されて
おり、更に、その先端でカバーケース60に軸受60b
により回転自在に支持されている。なお、軸受58cに
は上記のウエット環境空間からドライ環境空間への潤滑
油の浸入を防止するシール58dが付設されている。第
1トランスファ軸51の軸受60bに近い部分には歯車
部51が形成され、軸受58cに近い部分には円筒状の
第2サブトランスファ軸51cが同軸に固定され、この
歯車部51と第2サブトランスファ軸51cとの間には
円筒状の第3サブトランスファ軸51dが同軸に回転自
在に設けられている。すなわち、第1トランスファ軸5
1が回転すると、第2サブトランスファ軸51cは常に
一緒に回転するが、第3サブトランスファ軸51dはこ
のような連れ回りをせずに相対回転可能となっている。
はシュープレート61が固定され、第3サブトランスフ
ァ軸51dにはドラム62が固定されており、シュープ
レート61には遠心シュー63が外方へ移動可能に設け
られて、これらによって、第2サブトランスファ軸51
cと第3サブトランスファ軸51dとの間に遠心式の変
速クラッチ64が構成されている。したがって、この遠
心式変速クラッチ64と上記の遠心式発進クラッチ57
とは第1トランスファ軸51上で同軸に配置されてお
り、これら機器の配置構成がコンパクトとなっている。
ンジン回転数が比較的小さく第1トランスファ軸51の
回転数が小さい状態では、遠心シュー63はドラム62
の内周面に圧接しておらず、第1トランスファ軸51の
回転動力は第3サブトランスファ軸51dへ伝わらず
に、第2サブトランスファ軸51cか回転してエンジン
動力を伝達する。一方、エンジン回転数が更に上昇して
第1トランスファ軸51(すなわち、第2サブトランス
ファ軸51c)の回転数が大きくなると、遠心シュー6
3が遠心力によって放射外方へ移動してドラム62の内
周面に圧接し、第3サブトランスファ軸51dを第2サ
ブトランスファ軸51cに接続して回転させ、第3サブ
トランスファ軸51dによってエンジン動力を伝達させ
る。
51eが形成されており、変速用の高速ギヤ65aが常
時噛み合っている。また、上記第1トランスファ軸51
の歯車部51には変速用の低速ギヤ65bが常時噛み合
っており、高速ギヤ65aは低速ギヤ65bより減速比
が小さくなるように設定されている。ケースのウエット
環境空間には第1トランスファ軸51と平行に第2トラ
ンスファ軸66が設けられており、この第2トランスフ
ァ軸66はメインケース58とケースカバー60との間
に両端で軸受を介して回転自在に支持されている。高速
ギヤ65aはこの第2トランスファ軸66に同軸に固定
して設けられており、低速ギヤ65bはワンウエイクラ
ッチ軸受65cを介して高速ギヤ65a上に同軸に設け
られている。
ギヤ65aによる低速ギヤ65bの追い越し回転のみを
許容するものであり、低速ギヤ65bが回転すれば高速
ギヤ65aは連れ回りするが、低速ギヤ65bが回転せ
ずとも高速ギヤ65aは回転し得るようになっている。
したがって、エンジン回転数が比較的小さく遠心変速ク
ラッチ64が接続されていない状態では、エンジン動力
は第1トランスファ軸51の歯車部51bに噛み合った
低速ギヤ65bを回転させ、ワンウエイクラッチ軸受6
5cによって連れ回りする高速ギヤ65aを介して第2
トランスファ軸66を回転させる。
変速クラッチ64が接続されると、エンジン動力は第3
サブトランスファ軸51dを回転させ、歯車部51eに
噛み合った高速ギヤ65aを回転させて第2トランスフ
ァ軸66を直接的に回転させる。なお、この場合にも上
記と同様に低速ギヤ65bも回転するが、ワンウエイク
ラッチ軸受65cにより高速ギヤ65aがこれを追い越
して高速回転する。すなわち、遠心変速クラッチ64が
接続していない状態では低速ギヤ65bによる減速比
で、遠心変速クラッチ64が接続した状態では高速ギヤ
65aによる減速比で、エンジン動力が伝達されて第2
トランスファ軸66を回転させ、このような自動変速が
簡易且つコンパクトな構成の遠心変速クラッチ64、更
には、ワンウエイクラッチ軸受65cを介して2つの変
速ギヤ65a、65bを同軸に配した簡易且つコンパク
トな構成で実現されている。
な変速動作において或る程度の滑りをもって接続するよ
うに構成されて、変速ショックを緩和するようにしてい
るが、この遠心変速クラッチ64はディファレンシャル
機構45と共に同じケース空間に収められてオイル潤滑
がなされるため、このような或る程度長い滑り時間をも
った接続動作を行っても十分な耐久性を有している。こ
れに対して、上記の遠心発進クラッチ57は、このよう
な滑り時間が比較的短く構成されて、要求されるエンジ
ン動力のオンオフ特性を満たしているが、隔壁58bに
よって隔絶された潤滑油のないドライ環境空間で動作す
るため、潤滑油による滑りが生じて所期の性能が損なわ
れる事態発生が防止されている。
車が形成された歯車軸67が回転自在且つ軸方向移動自
在に設けられており、また、この歯車軸67の端部には
爪部67aが設けられている。そして、第2トランスフ
ァ軸66には爪部67aに対向して係合辺66が固定さ
れており、図9に実線で示す通常の前進時には、爪部6
7aが係合片66に噛み合って、歯車軸67は第2トラ
ンスファ軸66と連れ回りする。また、第2トランスフ
ァ軸66には歯車軸67と低速ギヤ65bとの間に後退
ギヤ68が設けられており、後退ギヤ68は第2トラン
スファ軸66上で軸受を介して回転自在となっている。
なお、図9に詳示するように、ケースカバー60に軸受
を介して回転自在に支持されたリバースアイドラギヤ6
8aを介して後退ギヤ68は第1トランスファ軸の歯車
部51bに常時連結されており、第1トランスファ軸5
1が回転すると、高速ギヤ65aや低速ギヤ65bとは
反対方向に回転している。
されてシフトフォーク69が歯車軸67の回転を許容し
て係合しており、また、歯車軸67と後退ギヤ68との
互いに対向する面にはそれぞれ爪部67b、68bが設
けられている。また、メインケース58とケースカバー
60との間に両端を回転自在に支持されたシフトドラム
70が設けられており、このシフトドラム70はケース
外に突出した端部で図外のレバーを介して運転席側部の
セレクトレバー8に接続されている。
後退位置へ操作することによりシフトドラム70を回転
させ、シフトフォーク69により歯車軸67を後退ギヤ
68側へ移動させて、爪部67b、68bを噛み合わせ
るとともに爪部67aと係合片66との噛み合いを外
し、歯車軸67を後退ギヤ68によって第2トランスフ
ァ軸66とは反対方向へ回転させることができる。すな
わち、このような歯車軸67を前進用と後退用とに共用
した簡単でコンパクトなリバース機構により、第2トラ
ンスファ軸66からの前進方向の回転動力を遮断して、
後退ギヤ68からの後退方向への回転動力で歯車軸67
を回転させることができる。
64により選択されたいずれかの前進ギヤ65a、65
bによって前進回転され、また、運転者のセレクトレバ
ー操作により後退ギヤ68によって後退回転されるが、
この歯車軸67にはディファレンシャル機構45のリン
グギヤ45aが常時噛み合っている。ディファレンシャ
ル機構45は、リングギヤ45aが取付固定されたケー
ス45bをメインケース58とケースカバー60との間
に軸受45cにより回転自在に支持し、このケース45
b内に一対の傘型のピニオン45dと一対の傘型のサイ
ドギヤ45eとを互いに噛み合わせて回転自在に設けた
構造であり、サイドギヤ45eに取り付けられる一対の
出力軸45fをそれぞれ左右のドライブシャフト80に
連結したものである。したがって、リングギヤ45aを
介して伝えられる歯車軸67の前進方向或いは後退方向
への回転により、ケース45bが回転し、これによって
ピニオン45dを介して両サイドギヤ45eを差動回転
させて、ドライブシャフト80に連結された左右の後輪
2を駆動する。
は、エンジンのクランク軸49、第1トランスファ軸5
1、第2トランスファ軸66、ディファレンシャル機構
の出力軸45fを互いに平行に配置し、クランク軸49
とベルト式無段変速機の伝達ベルト53と機械式変速機
のトランスファ軸51、66とにより略コ字型配置と
し、左右の後輪2の略中間に配置されるディファレンシ
ャル機構45と略面一にエンジン41を配置した構造で
ある。したがって、共に比較的重量が大きいエンジン4
1とディファレンシャル機構45とがスイングフレーム
10の略中心線上に並んで配置されるため、スイングフ
レーム10の揺動バランスが良好となっている。
速機44の軸受部やオイル潤滑される遠心変速クラッチ
64に潤滑油を圧送するためのオイルポンプ71が取り
付けられており、このオイルポンプ71は第2トランス
ファ軸66に連結されて駆動される。スイングフレーム
10上においてパワーユニット40は、図10に示すよ
うに、ディファレンシャル機構45が機械式自動変速機
44より低い位置に配置され、これら機械式自動変速機
44およびディファレンシャル機構45と共にケース内
のウエット環境空間に収容した潤滑油の油面Hはリング
ギヤ45aの下部を浸した状態となる。
上げによってディファレンシャル機構45や機械式自動
変速機44のギヤには潤滑油が供給されるとともに、オ
イルポンプ71がこのウエット環境空間の底部から潤滑
油を汲み上げて、ケースカバー60に形成された油通路
60c、第1トランスファ軸に形成された油通路51
f、第2トランスファ軸に形成された油通路66bなど
を通して機械式自動変速機44の各軸受部や遠心変速ク
ラッチ64に潤滑油を供給している。なお、ドライ環境
となるドリブンプーリー52や遠心発進クラッチ57は
油面Hに対して機械式自動変速機44より更に高い位置
に配置されているため、隔壁部58bによる遮蔽と相俟
ってウエット環境空間からドライ環境空間への潤滑油の
浸入が確実に防止される。
ンケース58とカバーケース60との略鉛直面での接合
部にはそれそれ複数段の凹部72a、72bが形成され
ており、メインケース58とカバーケース60が接合さ
れることによりこれら凹部72a、72bによって複数
段の空所が形成されている。更に、凹部72a、72b
の縁部が互い違いに切り欠かれていることにより、この
複数段の空所はジグザグ路72cによって連通してい
る。更に、この複数段の空所の最下部は通孔72dによ
って機械式自動変速機44およびディファレンシャル機
構45を収めるウエット環境空間に連通し、この複数段
の空所の最上部は通孔72eによって外部に連通してい
る。すなわち、このような構造によって、パワーユニッ
ト40の上部にはラビリンス構造のオイルブリーザ通路
が形成されており、ウエット環境空間内で発生したオイ
ルミストガスからオイルブリーザ通路によりオイル成分
を分離してウエット環境空間内に還流させ、残余の清浄
な気体を外部に放出している。
ば、エンジン41が始動されてアイドリング運転状態に
おいては遠心発進クラッチ57が遮断状態となって駆動
輪2にはエンジン動力が伝えられない。そして、エンジ
ン回転数が上昇すると遠心発進クラッチ57が接続状態
となり、ベルト53を介して対して伝えられたエンジン
動力は低速ギヤ65bで減速されてディファレンシャル
機構45に伝えられ、これによって後輪2が駆動回転さ
れる。
1トランスファ軸51の回転数が上昇すると、遠心変速
クラッチ64が接続状態となって、エンジン動力は高速
ギヤ65aでディファレンシャル機構45に伝えられて
後輪2が駆動回転されるといった自動変速が行われる
が、低速ギヤ65bと高速ギヤ65aとの減速比のギャ
ップによる変速ショックはベルト式無段変速機43によ
る無段変速によって吸収される。すなわち、後輪2の同
じ回転数を維持するとすれば、このギヤの切り替わりに
よって第1トランスファ軸51の回転数は変化するが、
この変化分をドライブプーリー50とドリブンプーリー
52との間の減速比の無段変化によって吸収し、変速シ
ョックを低減させている。
機械式自動変速機と併用してベルト式無段変速機の負担
を軽減させるとともに、ベルト式無段変速機に用いる遠
心式発進クラッチをドライ環境で動作させる一方、機械
式自動変速機に用いる遠心式変速クラッチをウエット環
境で動作させるようにしたため、これらクラッチに要求
される性能を満足させた小型軽量な動力伝達装置を実現
し、手軽に運転することができる低燃費で低排出ガス量
の小型車両を実現することができる。
から見た斜視図である。
から見た斜視図である。
した透視図である。
した透視図である。
グフレーム構造を示す平面図である。
グフレーム構造を示す側面図である。
ユニットのマウント部を示す側面図である。
ユニットの断面視した平面図である。
ユニットの一部を断面を違えて示す平面図である。
ーユニットの一部断面した側面図である。
0:パワーユニット、 41:エンジン、42:ベルト
式無段変速機、 44:機械式2速自動変速機、45:
ディファレンシャル機構、 51:第1トランスファ
軸、57:遠心式発進クラッチ、 58b:隔壁部、6
4:遠心式変速クラッチ、 65a:高速ギヤ、65
b:低速ギヤ、 66:第2トランスファ軸、
Claims (3)
- 【請求項1】 エンジンと機械式自動変速機とをベルト
式無段変速機を介して接続し、 ベルト式無段変速機には回転数が上昇すると接続してエ
ンジン動力を伝達する遠心式発進クラッチを設け、 機械式自動変速機には回転数が上昇すると接続して動力
伝達するギヤを低速ギヤから高速ギヤへ切り替える遠心
式変速クラッチを設け、 ベルト式無段変速機はドライ環境でケースに収容して遠
心式発進クラッチをドライ環境で動作させる一方、機械
式自動変速機は潤滑油と共にケースに収容して遠心式変
速クラッチをオイル潤滑環境で動作させることを特徴と
する小型車両の動力伝達装置。 - 【請求項2】 請求項1に記載の小型車両の動力伝達装
置において、 遠心式発進クラッチと遠心式変速クラッチとを動力伝達
系路において同軸に配置したことを特徴とする小型車両
の動力伝達装置。 - 【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載の小型車両
の動力伝達装置において、 機械式自動変速機を収容するケースと、ベルト式無段変
速機を収容するケースとは隔壁をもって隔てられた一体
的なユニットに構成され、更に当該ユニットにはエンジ
ンおよび左右の駆動輪を駆動回転するディファレンシャ
ル機構が組み付けられてパワーユニット化され、 当該パワーユニットは小型車両に懸架機構として揺動可
能に取り付けられていることを特徴とする小型車両の動
力伝達装置。
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JP2006275288A (ja) * | 2005-03-25 | 2006-10-12 | Sanyang Industry Co Ltd | 動力伝達機構 |
KR100918545B1 (ko) | 2006-09-29 | 2009-09-21 | 혼다 기켄 고교 가부시키가이샤 | 동력 전달 장치 |
JP2012180916A (ja) * | 2011-03-02 | 2012-09-20 | Honda Motor Co Ltd | 車両用動力伝達装置 |
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- 2000-03-30 JP JP2000094450A patent/JP3993966B2/ja not_active Expired - Fee Related
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