JP2001277457A - 積層装置およびそれを用いた積層方法 - Google Patents

積層装置およびそれを用いた積層方法

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JP2001277457A JP2000092182A JP2000092182A JP2001277457A JP 2001277457 A JP2001277457 A JP 2001277457A JP 2000092182 A JP2000092182 A JP 2000092182A JP 2000092182 A JP2000092182 A JP 2000092182A JP 2001277457 A JP2001277457 A JP 2001277457A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】少なくとも2つのシートを精度よく積層するに
際して、被積層物自体の変形による位置ずれを補正し精
度の高い積層を行ない、高い精度で回路形成され、高密
度配線化が可能なプリント配線基板を得る。 【解決手段】第1の被積層物3と第2の被積層物4を位
置合わせして積層するための積層装置であって、第1の
被積層物3の位置および寸法情報を検知する手段8と、
検知した情報に基づき、第1の被積層物3と第2の被積
層物4との位置ずれを補正するために、第1の被積層物
3および/または第2の被積層物4の縁部を把持部材1
0によって把持し、伸縮装置11によってX−Y方向に
強制的に伸縮させて変形せしめる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、有機樹脂
を含む絶縁層の表面に、銅などの低抵抗金属を主体とす
る配線回路を転写法によって形成する場合などに適し、
位置合わせ精度の高い積層装置と、それを用いた積層方
法、ならびにプリント配線基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】従来より、多層プリント配線基板は、プリ
プレグと呼ばれるガラスクロス中に樹脂を含浸させたシ
ートの全面に銅箔を接着した後、銅箔をエッチングして
微細な配線回路を形成して配線単板を作製し、同様にし
て作製した複数の配線単板を積層した後、積層物の所望
位置にマイクロドリルによりスルーホールを形成し、そ
のホール内壁に金属メッキ膜を付着させてスルーホール
導体を形成し、これにより配線回路間を接続して回路形
成することによって製作されている。
【0003】ところが、上記のスルーホール導体は、基
板に対して貫通して形成されるため、積層数が増加する
とスルーホール導体数も増加し、その結果、配線に必要
なスペースが確保できなくなり、電子機器の軽薄短小化
に伴うプリント配線板の多層化、配線の微細化の要求に
答えられないという問題がある。
【0004】そこで、スルーホール中に金属粉末を含む
金属ペースト等を充填したスルーホール導体を形成し、
それらを積層して多層配線基板を作製することが提案さ
れている。この方法は、従来のスルーホール内壁に金属
メッキ膜を形成して配線回路間を接続する方法に比較し
て、スルーホール導体の形成位置が自由であることか
ら、高密度回路の形成が可能であるという利点を有す
る。
【0005】一方、従来から、複数の配線板を積層圧着
する方法としては、複数の配線板を一対の金属からなる
加圧パンチ間に配置して、その上下から圧力を印加する
とともに加熱処理する、いわゆるホットプレス法が主と
して行われている。その際、積層する2つの被積層物を
位置合わせする場合には、一方の被積層物をステージ上
に載せて、このステージをX−Y方向に移動させて位置
合わせを行なうことが行なわれる。
【0006】また、最近では、未硬化または半硬化の樹
脂を含む絶縁シートに、スルーホールを形成して導電性
ペーストを充填した後に、別途フィルム上に金属箔によ
って作製した配線回路を絶縁シート表面に積層し、転写
することで、絶縁シートに対してエッチング処理などの
工程を経ることなく配線回路の形成を行なうことも行な
われている。この方法は、個々の配線基板に対する硬化
処理を必要とせず、未硬化状態の配線基板を積層して、
一括して硬化させることが可能となるために工程数が少
ないなどの利点を有する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】現在、配線基板は、更
に配線回路の密度を高めることが求められている。配線
密度を高めるためには配線幅を狭くすることと、ビアホ
ール導体同士、またはビアホール導体と配線回路層とを
接続するためのビアランドと呼ばれる導体部の径を小さ
くすることが必要である。
【0008】上記の転写法でプリント配線基板を作製す
る場合、配線幅は銅箔のエッチング技術によるが、ビア
ランドの直径は、ビアランド導体が形成された転写シー
トと、ビアホール導体が形成された絶縁シートとの位置
合わせ精度に依存している。即ち、両者の積層時の位置
あわせが精度良く行われる場合には、ビアランド径は限
りなくビア径に近づけ小さくすることができるが、位置
合せ精度が悪い場合には、両者の位置のばらつきを考慮
して、ビアホール導体に対してビアランド導体がはみ出
さないように、ビアランド径を大きくする必要がある。
【0009】このような積層時の位置合せ精度は、積層
装置における位置合わせ精度によって決定される部分
と、ビアランド導体が形成された転写シートまたはビア
ホール導体が形成された絶縁シートの変形によって決定
される部分がある。
【0010】ところが、従来のX−Yステージを用いた
位置合わせ法では、被積層物全体の位置を移動するもの
であるために、シートの載置位置のずれなどの調整は可
能である。しかしながら、転写シートまたは絶縁シート
自体の変形、例えば製造プロセス中の温度変化や応力が
原因となって、シート材料自体の強度、熱膨張率、その
他の特性により生じる変形による位置ずれは、解消でき
ず、位置合わせ精度には限界があった。
【0011】また、上記の転写法によって配線回路層を
形成するにあたり、樹脂シートからなる転写シートの全
面に銅箔を形成した後、エッチングして銅箔の一部を除
去するとその部分が変形する傾向がある。また、樹脂シ
ートは熱膨張係数が大きいために、転写する絶縁シート
との熱膨張差によって、転写時の温度によって寸法が変
わってしまい、これによって位置ずれが発生しやすいも
のであった。
【0012】従って、本発明は、例えば、少なくとも2
つのシートを精度よく積層するに際して、被積層物自体
の変形による位置ずれを補正し精度の高い積層を行なう
ことのできる積層装置と積層方法を提供するとともに、
かかる積層方法を用いて、高い精度で回路形成され、高
密度配線化が可能なプリント配線基板の製造方法を提供
することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的に
対して鋭意検討した結果、少なくとも一方の被積層物の
位置を検知し、その位置および寸法情報に基づき、位置
補正するにあたり、被積層物を強制的に変形させる手段
を設けることによって上記の目的が達成されることを見
いだし、本発明に至った。
【0014】即ち、本発明の積層装置は、第1の被積層
物と第2の被積層物を位置合わせして積層するための積
層装置であって、第1の被積層物の位置および寸法の情
報を検知する手段と、検知した前記情報に基づき、前記
第1の被積層物と第2の被積層物との位置ずれを補正す
るために、前記第1の被積層物および/または前記第2
の被積層物を強制的に変形せしめる手段とを具備するこ
とを特徴とするものであって、前記変形手段が、被積層
物をX−Y方向に伸縮させる手段であることが望まし
い。また、前記変形手段は、前記被積層物の端部の少な
くとも一部を把持してX−Y方向に伸縮させる手段から
なることが望ましい。さらには、前記第1の被積層物を
保持する第1の保持手段と、前記第2の被積層物を保持
する第2の保持手段と、前記第1および/または第2の
保持手段を上下動させる上下駆動手段とを具備すること
が望ましい。
【0015】また、本発明の積層方法は、弾性を有する
第1のシート体と、第2のシート体を積層する方法であ
って、前記第1のシートおよび第2のシートの位置およ
び寸法を検知した後、前記第1のシートを強制的にX−
Y方向に変形せしめて前記第1のシートと前記第2のシ
ートとの位置ずれを修正した後、前記第1のシートと前
記第2のシートと積層することを特徴とするものであ
る。
【0016】また、プリント配線基板の製造方法とし
て、少なくともスルーホール導体を有する第1のシート
の表面に、表面に配線回路が形成され、且つ弾性を有す
る第2のシートを積層するに際し、前記第1のシートお
よび/または第2のシートの位置および寸法を検知した
後、前記第1のシートおよび/または第2のシートを強
制的にX−Y方向に変形せしめた後、前記第1のシート
と前記第2のシートとを積層し、前記スルーホール導体
と前記配線回路との電気的な接続を図る工程を具備する
ことを特徴とするものである。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の積層装置について図面を
もとに説明する。図1は、本発明の積層装置の一例を説
明するための概略配置図である。
【0018】図1の積層装置によれば、一対の定盤1、
2が設けられており、各定盤1、2の対向する表面に
は、微細な孔(図示せず)が設けられており、吸引装置
による吸引によって被積層物を吸着することのできる吸
着面が形成されている。
【0019】そして、上部定盤1の吸着面には第1の被
積層物3が、また、下部定盤2の吸着面には、第2の被
積層物4が、吸着固定される。
【0020】また、下部定盤2は、支持台5上にベアリ
ング6または気体あるいは液体を用いた静圧あるいは動
圧軸受け機構を介して支持されており、定盤2は、X−
Y軸方向のいずれの座標点に対して自在に移動可能なよ
うに支持されている。
【0021】そして、支持台5は、油圧などによって駆
動される上下駆動装置7に連結されており、下部定盤2
を上部定盤1側に上下駆動させることができる。
【0022】また、上記上部定盤1と下部定盤2との間
には、定盤1、2に吸着支持された被積層物3や被積層
物4の位置や寸法を検知する検知素子8が設けられてい
る。この検知素子8は、少なくとも一対設けられてお
り、被積層物3あるいは被積層物4の位置ずれや、被積
層物自体の変形を検知することができる。例えば、被積
層物3の表面には、離間した位置に少なくとも2つの検
知用マーク9、9があらかじめ形成されており、そのマ
ーク9、9を2つの検知素子8、8によって検知して、
マーク9、9間の距離を測定し、あらかじめ登録された
マーク間距離との差を変形量として検知する。
【0023】また、この積層装置においては、被積層物
3、4の少なくとも一方の被積層物を強制的に変形せし
める手段を具備する。これは、上記検知素子8によって
検知された位置情報または寸法情報によって算定された
位置ずれに対して、被積層物3および/または被積層物
4を強制的に変形させるものである。強制的変形手段と
しては、機械的に被積層物を引張るあるいは圧縮する、
または熱によって膨張または収縮させるなどの方法があ
る。簡単で且つ積層精度を高めることができる上で、機
械的な手法によって、被積層物を伸縮変形、特に伸長変
形させる手段であることが望ましい。
【0024】そこで、この変形手段について図2の概略
図をもとに説明する。例えば図2に示すように、被積層
物3の少なくとも周縁の一部または全周を把持する把持
部材10を具備する。把持部材10は、図2の場合、図
3(a)に示すように、被積層物3の周縁部を吸引吸着
ヘッド12によって把持する機能を具備するものであ
る。そして、この把持部材10の4隅には、把持部材1
0をX軸方向またはY軸方向に引っ張る、または圧縮さ
せる伸縮装置11が設けられており、伸縮装置11によ
る伸長または圧縮動作によって、把持部材10を通じて
被積層物3を強制的に伸縮させることができる。この伸
縮装置11は、例えば、サーボモータ、リニアモータ
ー、油圧モーター、あるいは大気圧あるいは油圧シリン
ダーによって駆動されるものである。
【0025】なお、上記の把持部材10としては、上記
の吸引吸着による把持以外に、図3(b)に示すよう
に、被積層物の縁部をクランプ13によって挟持して把
持する方法、被積層物に開口14を開けて、その開口1
4に突起部15を通して把持する方法でもよい。
【0026】また、かかる積層装置において、被積層物
4を強制的に変形させるために被積層物を固定する把持
部材10は、被積層物の全周縁を均一に支持固定するこ
とが望ましい。これは、強制的な変形応力を被積層物に
均一に付与するためであって、部分的に支持固定する
と、支持固定していない部分に応力が集中して、その部
分で歪みが発生し、皺などが発生したり、後述する被積
層物表面に形成された配線回路層に断線などが発生しや
すくなる。
【0027】また、把持部材10は、把持部材10によ
って固定されるシート体とともにある程度変形すること
が必要である。そのために、図3における吸着ヘッド1
2、クランプ13、突起部15をゴム、プラスチック、
薄いステンレス板などの弾性体によって形成することが
望ましい。
【0028】なお、上記積層装置においては、上部定盤
1および下部定盤2に、被積層物を支持固定するととも
に、被積層物を所定の温度に加熱、または冷却する手段
を設け、この温度制御による被積層物を強制的に変形さ
せる手段を付加することも可能である。
【0029】さらに、伸縮装置11によれば、被積層物
の位置ずれを強制的に被積層物を変形させるに最低限の
応力がされ、その応力は被積層物が破損しない程度の応
力であることが必要である。
【0030】次に、上記の積層装置を用いた具体的な積
層方法について図4をもとに説明すると、2つの被積層
物としてシート体を積層する。このシート体は少なくと
も一方が弾性を有するものであり、ここでは、一方のシ
ート体が樹脂シート3からなりその表面に金属箔からな
る配線回路層16が形成されたものであり、他方のシー
ト体は有機樹脂を含む絶縁シート4からなるものであっ
て、この絶縁シート4の内部には、シート4を貫通して
形成されたスルーホール内に金属粉末を含有する導体ペ
ーストを充填したスルーホール導体17が形成されてい
る。
【0031】そして、この図4では、絶縁シート4のス
ルーホール導体17の端部に樹脂シート3の表面に形成
されたビアランドとなる配線回路層16を位置整合させ
て積層するものである。
【0032】なお、樹脂シート3、および絶縁シート4
の積層面には、あらかじめ位置検知用のマーク9を形成
する。このマーク9としては、各シート表面に、印刷
や、孔開け等によるマークなどが用いられる。そして、
樹脂シート3を上部定盤1に、また絶縁シート4を下部
定盤2に吸着固定する。そして、樹脂シート3の周囲を
把持部材10によって把持固定する。
【0033】次に、樹脂シート3、絶縁シート4に設け
られた位置検知用のマーク9を検知素子8によって検知
し、樹脂シート3、絶縁シート4の相対的な位置を検知
し、変形の大きい樹脂シート3については、シート3の
寸法変化を検知して、両者の位置ずれを計算する。そし
て、この位置ずれ情報に基づいて伸縮装置11によっ
て、弾性を有する樹脂シート3を強制的に伸長または圧
縮させることによって、樹脂シート3と絶縁シート4と
の相対的な位置ずれを補正する。その後、絶縁シート4
が載置された下部定盤2を上下駆動装置7によって上部
定盤1側に移動せしめて、樹脂シート3と絶縁シート4
とを高い位置精度で積層することができる。
【0034】なお、積層にあたっては、樹脂シート3お
よび/または絶縁シート4自体の接着性、あるいは樹脂
シート3および/または絶縁シート4の表面にあらかじ
め接着剤など塗布して積層することによって両者を接着
させることができる。これによって、ビアランドとなる
配線回路層16とビアホール導体17とを精度よく位置
合わせしつつ、樹脂シート3と絶縁シート4とを積層す
ることができる。
【0035】なお、上記の樹脂シート3と絶縁シート4
との積層においては、伸縮装置11によって、0.01
〜50kgfの引っ張り応力または圧縮応力が付与され
るのが適当であって、かかる応力によって樹脂シート3
の外辺が0.001〜0.5mmの間で伸縮を行なうこ
とができるように設計されることが望ましい。
【0036】次に、上記の積層装置および積層方法を用
いたプリント配線基板の製造方法について図5〜図6を
もとに説明する。まず、図5に示すように未硬化ま
たは半硬化状態の軟質の絶縁シート21に対して、レー
ザー加工などによってビアホール22を形成する。
【0037】次に、に示すように、そのビアホール2
2内に、所定の粘度に調整された金属粉末を含有する導
体ペーストをスクリーン印刷法等によって充填してビア
ホール導体23を形成する。
【0038】次に、に示すように、転写シート24の
表面に、金属箔からなる配線回路層25を形成する。こ
の配線回路層25は、転写シート24の全面に金属箔を
接着剤によって接着した後、この金属箔の表面にレジス
トを回路パターン状に塗布した後、エッチング処理およ
びレジスト除去を行って形成される。この時、金属箔か
らなる配線回路層25露出面は、エッチング等により表
面粗さ(Ra)0.1〜5μm、特に0.2〜4μm程
度に粗化されていることが望ましい。
【0039】また、配線回路層25を形成する金属箔
は、厚さ5〜40μmが適当であってこれによってビア
ホール導体23を一端を封止し外気の影響を防止でき、
しかも導体ペーストを充填して形成したビアホール導体
23との電気的な接続性に優れることから最も望まし
い。
【0040】次にの様に、配線回路層25が形成され
た転写シート24を前記ビアホール導体23が形成され
た絶縁シート21の表面に精度よく位置合わせして熱圧
着を行う。熱圧着時の加熱により、導電性ペーストが硬
化または半硬化するのを待って、転写シート24を剥が
して配線回路層25を絶縁シート21に転写させること
により、に示されるように、絶縁シート21のビアホ
ール導体23の少なくとも一方の端部に配線回路層25
を形成した配線単板26を形成することができる。な
お、熱圧着時の圧力は1MPa以上、温度60〜140
℃が適当である。
【0041】そして、図5によって作製した配線単板2
6とともに、図5に従って同様にして作製した単一の配
線単板27、28を図6(a)に示すように、相互に位
置合わせし、それらを積層圧着して(b)に示す積層体
29を作製する。
【0042】そして、図6(b)に示すように、(a)
で得られた積層体29の表裏に、金属箔からなる配線回
路層30を形成した転写シート31を位置あわせして積
層圧着し、(c)に示すように、転写シート31を積層
体29から剥離し、配線回路層30を積層体29の表裏
に転写させて、(d)に示す積層体32を作製する。
【0043】その後、この積層体32を絶縁シート中の
熱硬化性樹脂が完全に硬化するに十分な温度と時間にて
加熱処理を施して、一括して熱硬化させることによっ
て、多層配線基板を作製することができる。なお、加熱
処理にあたっては、積層体32の表裏にフッ素系樹脂な
どの離型性シートを介して、1〜5MPaの圧力で17
0〜230℃の温度で熱処理して硬化した後、離型性シ
ートを剥離して熱処理することが望ましい。
【0044】本発明によれば、上記に例示した一連の製
造工程において、絶縁シートの表面に、配線回路層を有
する転写シートを位置合わせして積層する工程、即ち、
図5および図6の(b)(c)の工程などにおいて、
前述した積層装置が好適に用いられる。また、この積層
装置は、位置合わせを主として行なうためのものとし
て、仮積層を行い、その後、他の積層装置によって圧
力、温度の制御のもとに積層処理を行なうこともでき
る。
【0045】その結果、転写シート表面の配線回路層、
例えば、ビアランドと呼ばれる導体部とビアホール導体
との位置合わせの精度を高めることができるために、ビ
アランドの直径を小さくすることができるために、配線
回路の高密度化を図ることが可能となる。
【0046】ここで用いられる絶縁シート21は、少な
くとも熱硬化性樹脂を含有する絶縁材料からなるもので
あり、例えば、PPE(ポリフェニレンエーテル樹
脂)、BTレジン(ビスマレイドトリアジン樹脂)、ポ
リイミド樹脂、フッ素樹脂、ポリアミノビスマレイミド
樹脂、エポキシ樹脂からなり、とりわけ原料として室温
で液体の熱硬化性樹脂であることが望ましい。
【0047】また、上記絶縁材料には、上記の熱硬化性
樹脂とともに、フィラー成分を20〜80体積%の割合
で均一に分散させることにより、絶縁基板の強度を高め
ることができる。フィラー成分としては、有機質または
無機質の粉末または繊維体が挙げられる。
【0048】前記無機質フィラーとしては、SiO2
Al23、ZrO2、TiO2、AlN、SiC、BaT
iO3、SrTiO3、MgTiO3、ゼオライト、Ca
TiO3、ほう酸アルミニウム等の公知の材料が使用で
きる。また、その形状としては球状、針状など任意のも
のとすることができる。さらに、繊維体としては、ガラ
スなどの繊維体があり、織布、不織布など任意の性状の
ものを用いれば良い。また、有機質フィラーとしては、
アラミド繊維、セルロース繊維などが挙げられる。特
に、本発明によれば、絶縁層としてガラスクロスに前記
樹脂を含浸した絶縁層を具備することが基板の強度を高
める上で最も望ましい。
【0049】さらに、配線回路層25、30としては、
配線を形成するに好適な金属より形成され、例えば、
金、銀、銅、アルミニウムの少なくとも1種を含む低抵
抗金属の電解金属箔が好適に使用される。この電解金属
箔の厚みは1〜35μmが良く、望ましくは5〜18μ
mが良い。この電解金属箔の厚み、言い換えれば配線回
路層の厚みが1μmより小さいと配線の抵抗率が高くな
り、また35μmより大きいと、積層時にコア基板の変
形が大きくなったり、絶縁基板への金属の埋め込み量が
多くなり、絶縁基板の歪みが大きくなり樹脂硬化後に基
板が変形を起こしやすいなどの問題がある。
【0050】さらに、ビアホール導体23を形成するた
めにビアホール中に充填する導体ペーストとしては、配
線回路層を形成する金属粉末にエポキシ等の樹脂成分を
添加し、酢酸ブチルなどの溶媒によって混練したものが
使用される。この導体ペーストは、ビアホールへの充填
後溶剤を乾燥させるがはじめから無溶剤であることが望
ましい。また、ビアホール導体の低抵抗化のために、前
記金属粉末に少なくとも鉛や錫を含む低融点金属を含有
させてもよい。
【0051】
【実施例】実施例1 ポリフェニレンエーテル系のプリプレグを用い、厚さ1
00μmの未硬化状態の絶縁シートを形成した。そし
て、この絶縁シートに、100μmの直径のビアホール
を形成し、そのビアホール内に平均粒径8μmの銅粉末
90体積%と、有機樹脂からなる導電性ペースト充填し
乾燥した。
【0052】一方、厚さ25μmのポリエチレンテレフ
タレート樹脂(PET)製の樹脂シートを予め貼り付け
た厚さ12μmの銅箔を用い、公知のレジスト法等によ
り銅箔をエッチングして200μmの直径のビアランド
導体を形成した。なお、回路パターンと同時に、位置検
知用のマークも合わせて銅箔によって形成した。
【0053】次に、上記絶縁シートと、銅箔により形成
された回路パターンを有する樹脂シートを本発明の積層
装置を用いて、樹脂シート側の周囲を吸着装置で吸着し
ながら、強制的に変形させて位置合わせしながら、樹脂
シートと、絶縁シートとを重ね合わせた。積層したシー
トは有効寸法600mm×650mmの大型サイズを用
いた。
【0054】その後、積層装置を用いて一軸加圧を行な
い、100℃、5MPaの温度と圧力により加圧加熱し
て積層処理を施した。
【0055】その後、この積層体を積層装置より取り出
し、樹脂シートを剥がすことによってビアランド導体を
絶縁シートのビアホール導体形成部に転写形成して、配
線単板を作製した。
【0056】その後、上記の配線単板を200℃、3M
Paの温度、圧力の条件で加熱して完全に熱硬化させ
て、プリント配線基板を作製した。
【0057】そして、このプリント配線基板のビアラン
ド導体を基板から剥離して、ビアランド導体の中心と、
ビアホール導体の中心との位置ずれ量を測定した。その
結果、サンプル10個を作製し、各配線基板について測
定を行なった結果、最大位置ずれは、40μmであっ
た。これによって、100μmの直径のビアホール導体
に対して、ビアランド導体の径を200μmとすること
によってもビアランド導体とビアホール導体との正確な
接続が可能となることを確認した。
【0058】また、上記と同様にして作製した未硬化の
配線単板を4枚積層し、再び、図1の積層装置を用い
て、位置合わせして積ね合わせ、200℃、30kg/
cm2の温度、圧力の条件で更に、一括して硬化させる
と同時に配線基板間を強固に接着固定して、多層プリン
ト配線基板を作製した。
【0059】得られた多層プリント配線基板に対して、
複数のビアホール導体が直接つながったビアチェーンを
形成してビアランド導体−ビアホール導体−ビアホール
導体の抵抗を測定するとともに、多層プリント配線基板
を切断して、スルーホール導体の変形の有無を確認し
た。また、多層プリント配線基板に対して、−65℃1
5分、140℃15分の熱サイクルを100回印加後に
同様に導体配線層−スルーホール導体−導体配線層の抵
抗を測定した。その結果、初期において、500mΩで
あり、熱サイクル試験後では、503mΩであり、ほと
んど抵抗変化がなかった。 比較例 従来の絶縁シートを載置したX−Yテーブルによっての
み位置合わせを行なって積層処理を施す以外は、実施例
と全く同様にしてプリント配線基板および多層プリント
配線基板を作製し、同様の評価を行なった。
【0060】その結果、ビアランド導体とビアホール導
体との最大位置ずれは、190μmであった。これによ
って、100μmの直径のビアホール導体に対して、ビ
アランド導体の径を500μmとしなければビアランド
導体とビアホール導体との正確な接続ができないもので
あった。
【0061】また、多層プリント配線基板では、導通不
良率が90%あり、また、電気的な導通が認められた試
料に対して、熱サイクル試験を行なった結果、初期にお
いて800mΩであり、熱サイクル試験後では、1.5
Ωであり、初期の抵抗が高く、しかも大幅な抵抗変化が
認められた。
【0062】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の積層装置に
よれば、転写法によって軟質なシートに回路を転写する
場合において、シートの変形を補正し回路を正確に転写
積層することができる。これにより、歩留まりの改善、
基板の大型化、ビアランド寸法の低減ができ、回路の高
密度化とコストの低減が両立できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層装置の一例を説明するための概略
配置図である。
【図2】本発明の積層装置における変形手段の概略図で
ある。
【図3】本発明の積層装置における把持部材の具体例を
説明するための図である。
【図4】本発明の積層方法の具体例を説明するための概
略図である。
【図5】本発明のプリント配線基板の製造方法の工程を
説明するための図である。
【図6】本発明のプリント配線基板の製造方法の図5に
続く工程を説明するための図である。
【符号の説明】 1、2定盤 3 第1の被積層物(樹脂シート) 4 第2の被積層物(絶縁シート) 5 支持台 6 ベアリング 7 上下駆動装置 8 検知素子 9 位置検知用マーク 10把持部材 11伸縮装置

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第1の被積層物と第2の被積層物を位置合
    わせして積層するための積層装置であって、第1の被積
    層物の位置および寸法の情報を検知する手段と、検知し
    た前記情報に基づき、前記第1の被積層物と第2の被積
    層物との位置ずれを補正するために、前記第1の被積層
    物および/または前記第2の被積層物を強制的に変形せ
    しめる手段とを具備することを特徴とする積層装置。
  2. 【請求項2】前記変形手段が、被積層物をX−Y方向に
    伸縮させる手段であることを特徴とする請求項1記載の
    積層装置。
  3. 【請求項3】前記変形手段が、前記被積層物の端部の少
    なくとも一部を把持してX−Y方向に伸縮させる手段か
    らなることを特徴とする請求項1記載の積層装置。
  4. 【請求項4】前記第1の被積層物を保持する第1の保持
    手段と、前記第2の被積層物を保持する第2の保持手段
    と、前記第1および/または第2の保持手段を上下動さ
    せる上下駆動手段とを具備することを特徴とする請求項
    1記載の積層装置。
  5. 【請求項5】弾性を有する第1のシート体と、第2のシ
    ート体を積層する方法であって、前記第1のシートおよ
    び第2のシートの位置および寸法を検知した後、前記第
    1のシートを強制的にX−Y方向に変形せしめて前記第
    1のシートと前記第2のシートとの位置ずれを修正した
    後、前記第1のシートと前記第2のシートと積層するこ
    とを特徴とする積層方法。
  6. 【請求項6】少なくともスルーホール導体を有する第1
    のシートの表面に、表面に配線回路が形成され、且つ弾
    性を有する第2のシートを積層するに際し、前記第1の
    シートおよび/または第2のシートの位置および寸法を
    検知した後、前記第1のシートおよび/または第2のシ
    ートを強制的にX−Y方向に変形せしめた後、前記第1
    のシートと前記第2のシートとを積層し、前記スルーホ
    ール導体と前記配線回路との電気的な接続を図る工程を
    具備することを特徴とするプリント配線基板の製造方
    法。
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