JP2001272385A - 線形予測係数法を用いた打検方法および打検装置 - Google Patents

線形予測係数法を用いた打検方法および打検装置

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JP2001272385A JP2000088143A JP2000088143A JP2001272385A JP 2001272385 A JP2001272385 A JP 2001272385A JP 2000088143 A JP2000088143 A JP 2000088143A JP 2000088143 A JP2000088143 A JP 2000088143A JP 2001272385 A JP2001272385 A JP 2001272385A
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Junichi Takada
淳一 高田
Takeshi Takenouchi
健 竹之内
Hideo Kurashima
秀夫 倉島
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  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Ultrasonic Waves (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の課題は、時間と共にノイズ成分が多
くなり複雑な振動波形となっている2ピース缶の打検に
おける反響振動を解析して、精度のよい周波数スペクト
ルを得て缶内圧力に対応する周波数を正確に把握し、信
頼性が高い缶の検査法並びにそれを実現する検査装置を
提供することにある。 【解決手段】 本発明は、比較的ノイズの少ない初期の
反響振動から、等しいサンプリング間隔を決めて複数の
測定点の検出信号を取り込み、過去の所定数測定点の線
形和として次の点を予測するステップと、この予測値を
すべての測定点に対して実行し最も誤差が少なくなる係
数を求めるステップと、そこで得られた係数から周波数
スペクトルを得るステップと、ピ−ク周波数を特定して
該周波数が判定基準の領域内か否かにより被検査体の良
否を判定するステップとからなる打検方法を採用するも
のである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、缶等の密封容器に
衝撃を加えその際の発生振動の周波数を解析して内圧状
態を検知する検査法に関し、特に2ピース微陽圧缶の打
検に好適な検査方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、金属缶内の圧力検査を打検に
よって行うことはよく知られている。これは例えば、ミ
ルク入り飲料等の低酸性飲料の缶詰であれば、常温まで
冷えると陰圧缶詰となるが、腐敗・発酵すると缶内でガ
スを発生し、圧力が上がってしまうし、缶の密封が不完
全で漏れがある場合にも外気が侵入して圧力が上がって
しまう。しかし正常に充填・密封されたものは陰圧を維
持できることに着目し、缶の一部に衝撃を加え、その缶
の反響振動を解析することで、缶内圧力を検知し正常に
充填・密封されたものか否かを判定し、不良な缶を排除
するものである。圧力と振動との関係は、強く張った弦
が高い固有振動となって高音を発し、ゆるんだ弦が低い
固有振動となって低音を発する物理現象と同様で、缶内
圧力と外気圧力の差が大きいほど缶壁は張って缶の固有
振動は高くなり高音を発することになる。缶の材質、大
きさ、厚みそして2ピース缶か3ピース缶かといった缶
の形態が同じであれば、その反響振動は主として缶の内
圧情報に依存することになる。
【0003】打検プローブはインパルスの印加により缶
壁を強く変位させるエキサイタコイルと反響振動音を検
出するマイクとから構成される。マイクによって拾われ
た音の周波数分布においてピーク値を示すものが缶の固
有振動であり、この値が適正缶内圧力に対応する周波数
帯域に有るか無いかで缶の良不良の判定をし、不良な缶
を検査後の工程でリジェクタ等により排除する。この
際、温度により気体が膨張圧縮して缶内圧力は変化する
ため、温度測定を行い基準温度に換算補正して判定する
ことが行われている。陰圧缶詰は、真空度が略27〜8
0kPa の範囲にあり、圧力のバラツキが少なく、且
つ内圧変動に対する固有振動数の変化が大きいので、打
検による検知分解能が高く、打検によって洩れや内容液
の変敗の検出が正確にできる利点がある。しかしなが
ら、陰圧缶詰の場合、陰圧に耐える剛性の高い缶体を必
要とし、陽圧缶よりも側壁が厚くなり、特に缶体が3ピ
ースの場合は、製造コストが高くなるという問題点を有
している。
【0004】一方、上記した3ピース缶の問題点を解決
するため、陰圧缶詰において製造コストを低減するた
め、その缶体を絞り−しごき加工、絞り−ストレッチ加
工−しごき加工等によって側壁を薄肉化した2ピース缶
が採用されている。更に上記2ピース缶の製造コストを
低減するため、密封時に液体窒素等の不活性(液化・ミ
スト化・固化)ガスを充填することよって、液体窒素等
の気化膨張により缶内の微陽圧化を行い、缶内圧力で剛
性を付与して2ピース缶の側壁をさらに薄くすることが
提案されている。この微陽圧化した缶詰は、缶内が陽圧
であるため外圧に対して窪みにくく、缶体の板厚を薄く
することが可能であるが、図3に示すように2ピース缶
の底部分は胴部分と連続した形態となっていること、及
び側壁がさらに薄肉化されていることに起因して、打検
による内圧検査適性に欠けていた。即ち、3ピース缶の
場合は、底蓋を胴部分の端部に巻き締める形態であるた
め、その巻き締め部の存在により、太鼓の振動のような
固有振動を主とする比較的単純な振動となる。これに対
し、2ピース缶の場合は、底部分は胴部分に滑らかに連
続しているため、振動における端部となる箇所が明確で
なく複雑となる。また、振動体である底部分の材質は、
錫メッキ銅板、ティンフリースチール、アルミニウム等
の薄板であるため、それ自体の振動というよりは、缶
胴、ヘッドスペースの共振や内容物の影響を強く受けて
しまい、特に衝撃から時を経るに従い振動は缶内圧以外
の要素が重畳されて、一層複雑な振動波形になるといっ
た現象もある。そして、これらの現象は、特に、密封時
に液体窒素等の不活性(液化・ミスト化・固化)ガスを
充填して微陽圧化した2ピース缶に顕著に現れる。
【0005】現在はこの複雑に周波数成分が重畳されて
いる打検信号について高速フーリエ変換(FFT)法を
もちいてスペクトル解析を実行し、最大値を示す周波数
を缶内圧力に対応するものとして特定し、それが判定基
準の範囲内にあるか否かで良不良判定を行っている。し
かし、このFFT法を2ピース缶の打検に適用すると得
られる周波数スペクトルは分解精度が低く、グラフで表
すと鈍った波形となってしまい、満足できるものとなっ
ていない。それはこの方法による周波数分解能が観測時
間に依存することに起因している。すなわち、2ピース
缶の打検において周波数分解能を高めようとして観測時
間を長くとると、打検反響振動が時間と共にノイズが重
畳し複雑に変化してしまうため検出信号そのもののS/
N比が低くなってしまうという問題にぶつかってしま
う。そのため、分解能を高くするために観測時間を長く
することもできず、精度の良い周波数分析が出来ないと
いうことになっている。そのような状況の中で、信頼性
の高い2ピース缶の打検法の開発と提供が強く望まれて
いる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
した時間と共にノイズ成分が多くなり複雑な振動波形と
なっている2ピース缶の打検における反響振動を解析し
て、精度のよい周波数スペクトルを得て缶内圧力に対応
する周波数を正確に把握し、信頼性が高い缶の検査法並
びにそれを実現する検査装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、比較的ノイズ
の少ない初期の反響振動から、等しいサンプリング間隔
を決めて複数の測定点の検出信号を取り込み、過去の所
定数測定点の線形和として次の点を予測するステップ
と、この予測値をすべての測定点に対して実行し最も誤
差が少なくなる係数を求めるステップと、そこで得られ
た係数から周波数スペクトルを得るステップと、ピ−ク
周波数を特定して該周波数が判定基準の領域内か否かに
より被検査体の良否を判定するステップとからなる打検
方法を採用するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】2ピース缶に衝撃を加えたときの
反響振動は、先にも触れたように構造上底板だけの振動
の検出が難しい上、衝撃から時を経るにしたがい振動
は、他の部分の共振や内容物の振動等缶内圧以外の要素
が重畳されて一層複雑な振動波形になってしまう。そこ
で本発明者はS/N比のよい初期の反響振動のみを用い
て周波数分析を実行することを考えた。しかし、この打
検検査で用いられている高速フーリエ変換(FFT)法
で周波数分析を行うとその分解能が原理上測定時間に依
存するものであるため、初期の反響振動のみでは検査に
必要な分解能を得ることができない。そこで、このFF
T法をもちいずに、周波数分析法の一つである線形予測
係数(LPC)法を打検に適用することを考えた。この
LPC法は周波数分析法の一つとして学術的には知られ
ていたが、FFT法に較べ演算処理が複雑であるため通
信の分野において音声波形の標準値を過去の隣接する標
本値系列から線形予測するモデルに基づいて音声を分析
し、かつ、分析によって抽出されたパラメータから元の
音声を復元する技術等、特殊な分野で実用化されている
程度のものである。そして1分間に1500〜2000個という
多数の缶に対しリアルタイムの迅速検査が求められる缶
の打検解析にこのLPC法を採用することは、その演算
処理が複雑であるために困難と考えられていた。
【0009】図1を参照しながら本発明の作用を説明す
る。図中のグラフは横軸に時間を縦軸に振幅値を取った
二次元座標上に缶の打検反響振動を示したものである。
黒点は今予測しようとしている測定点であり白抜きの点
は過去の測定点であって、これらの点は等サンプリング
時間間隔の関係にある。LPC法の原理に基づき過去の
測定点の線形和として次の点を予測し、これをすべての
測定点に対して行い、実際の測定値とその予測値との差
である誤差が最も少なくなる係数をまず求める。そのた
めに、缶に衝撃を加えその反響振動を検出してその初期
の振動からN個のサンプリング値を得る。いまn番目
(n=1,2,3,‥‥‥‥N)のサンプリング値x
(n)をそれ以前のp個のサンプリング値をモデル式に入
れて予測すると、次の式で表せる。なお、この場合LP
Cのパラメータは測定点数Nと次数pとなる。実際に処
理においては最終の予測誤差FPEがはっきりとした極
小値を示さない場合があり、FPEを計算するpの範囲
は2√N〜3√Nとしその範囲でFPEを最小にするp
を最適な次数とする。
【数1】 ここで aは過去のサンプル値x(n−k)の加重係数
を表す線形予測係数、e(n)は予測値と測定値との差を
表す予測誤差である。さて、この線形予測係数a
当初未知数であるが、平均自乗誤差を最小にするという
最小自乗法の基準を用いて決定する。この場合平均自乗
誤差は次式となる。
【数2】 この式でEは集合平均(期待値)を意味し、Rxx は自
己相関関数であり、Rxx(k−l)=E[{x(n−k)x
(n−l)] となる。上式の最小値を求めるには、k=
1,2,3,‥‥,pの各a について上式をa
偏微分し値を0とすることによりこの線形予測係数a
を求めモデル式を完成させる。
【0010】完成されたモデル式(式数1)において予測
誤差e(n)は、次数pが十分に大きな場合は白色雑音と
なるという性質を利用して、この自己回帰モデルからパ
ワースペクトルを導く。予測誤差e(n)は白色雑音であ
るから、平均値=0,分散=σ とし、測定信号x
(n)のパワースペクトルをX(f)とすれば次式で表さ
れる。
【数3】 ここで、Δt はサンプリング間隔 この式から分かるようにスペクトルが周波数fの連続関
数として表現される。このため、所望に応じて分解能を
上げることができる。実際の処理はコンピュータの処理
でありfも離散値となるが、周波数fの計算点数Mは好
きなだけ細かく設定することが出来る。すなわちこの計
算点数Mを多く取れば取るだけ分解能が上ることにな
る。スペクトルの周波数分解能が1/(観測の時間)とな
るFFT法とはこの点が大きな違いである。このLPC
法を缶打検における周波数分析に適用することは従来の
FFT法に較べ、たしかにその演算処理が複雑となる
が、FFT法を採用した場合には分解能を高めるために
測定時間を長く取らなければならないのに対し、このL
PC法を採用した場合には初期信号を基にスペクトルを
得ることができるので、かえって短時間の検査が可能に
なった。その上初期信号は、S/N比がよいので、検査
精度はよく条件の悪い2ピースの微陽圧缶の検査にも実
用できるものとなった。
【0011】
【実施例】次に上述したLPC法を採用した打検試験装
置の例を図2に基づいて説明する。検査される缶2はベ
ルト1上に載せられて搬送されてくる。缶の到達を検知
するための光源31と受光素子32とからなる存在検知器3
が備えられる。この存在検知器はその検出タイミングと
前記ベルトの移送速度Vおよび下流側の打検プローブ4
の設置位置(距離)情報Dとから缶を打検するタイミン
グtとを算出するためのものである。この打検プロー
ブ4は図3に示したようにエキサイタコイル41とマイク
42とを有していて、缶の到達を存在検知器3で検知して
からt後のタイミングで駆動部12から該エキサイタコ
イル41にインパルスを印加して缶底壁面を強制的に変位
させ、振動音を該マイク42にて検出しその打検値をマイ
クロコンピュータ10中のRAMに蓄積する。振動センサ
である打検プローブ4のマイク42で拾われた音響振動は
コンピュータ10に送られ周波数解析が実行されるが、広
い領域にわたる周波数の信号を含んだものであるため、
まずバンドパスフィルタ5を通して缶の固有振動予測領
域を大きく外れる高調波を含む高周波領域や低周波ノイ
ズ領域を除去した後この信号がコンピュータ10に入力さ
れそこでLPC法による周波数分析が行われる。すなわ
ち、該コンピュータ10では等しいサンプリング間隔を決
めて複数の測定点の検出信号をRAMに取り込み、過去
の所定数測定点の線形和として次の点を予測し、この予
測値をすべての測定点に対して実行し最も誤差が少なく
なる係数を求め、そこで得られた係数から周波数スペク
トルを得る演算が実行される。該コンピュータ10には設
定入力部8とディスプレイ9が接続されており、前記サ
ンプリング間隔は該設定入力部8から入力され、それに
よって所望の分解能を設定できる。試験開始前にはディ
スプレイ9にROMに格納されている設定プログラムに
従った設定入力画面が表示され、先のサンプリング間隔
や被試験体である缶の種類(材質、形式、大きさ、内容
物等)の特定を前記設定入力部8から入力できるように
なっている。そしてこの入力された缶の種類情報に対応
した適正周波数の範囲を示すテーブルがRAM上に読み
出される。この周波数は缶内圧力に対応した缶底部の固
有振動の基準となるものであり、その缶内圧力は缶内ガ
スの存在に起因して温度に影響を受けるため、温度セン
サ6の検出温度信号をコンピュータ10に入力して前記適
正周波数の範囲を示すテーブルの値に温度補正を加え
る。先の周波数分析の結果得られたスペクトルから、缶
内圧力に対応した缶底部の固有振動であるピ−ク周波数
を特定して、缶内圧力が先の補正された適正基準の範囲
内か否かを比較判断し、不良製品であるものについては
コンピュータ10からリジェクター7に出力を送り該当す
る缶2をベルト1から外すように作動させる。なお、こ
のリジェクター7の作動タイミングはベルト1の速度V
とリジェクタ−7の位置情報に基づいて決められる。ま
た、ディスプレイ9には必要に応じ周波数分析されたス
ペクトルや適正周波数範囲を画像表示することが出来
る。
【0012】被検査缶としては、ティンフリースチール
の両面にポリエステルフィルムをラミネートしたラミネ
ート鋼板を、絞り−ストレッチ・しごき加工により充填
量200gの2ピース缶を用いた。上記2ピース缶に、
コーヒーを190g充填後、液体窒素をミスト充填し、
次いで、金属蓋を巻き締めて密封して微陽圧化(缶内圧
35kPa)し、レトルト殺菌後に打検を行った。本発
明のLPC法による周波数分析と従来のFFT法による
周波数分析の結果を比較した試験例を2つ示す。 [試験例1]図4にサンプルIの缶に対して従来のFFT
法を用いた打検音周波数分析の結果Cと本発明によるL
PC法による打検音周波数分析の結果Bを対比して示
す。Aは検出した打検音信号をサンプリング周波数20k
、A/D変換12bitで処理したものであるが、この
信号波形にはビート波形がでており、ピーク周波数信号
に近い周波数のノイズ信号が存在していることが窺わ
れ、事実B,Cに示される周波数スペクトルから、約23
50H のピーク周波数近傍の約2050H の周波数成分
が存在している。BのLPC法ではサンプリング間隔を
50μsとし4msの信号から80のサンプリング点をと
り、次数は30として信号処理を実行した。このB,Cに
示される周波数スペクトルは明らかにBのLPC法によ
るグラフの方がCのFFT法によるものよりシャープで
あり、分解能が高いことが分かる。ここでLPC法にお
いて取り込まれ周波数分析された検出信号が振動初期の
4ms間のものであることに着目されたい。微陽圧缶の
場合一般に±10キロパスカルが許容範囲であり対応する
周波数値とピーク周波数の値が対比され良否判断がなさ
れる。この際分解能が高い方が精度の高い判別が出来る
わけで本発明で採用したLPC法が優れていることが確
認できる。
【0013】[試験例2]同じく図5にサンプルIIの缶に
対して従来のFFT法を用いた打検音周波数分析の結果
Cと本発明によるLPC法による打検音周波数分析の結
果Bを対比して示す。試験条件は試験例1の場合と全く
同様である。Aに示された打検信号はやはりビート波形
がでているが、サンプルIの缶に較べてその周期が長く
なっている。そのことからピーク周波数に極近いノイズ
の周波数成分があることが予想されるが、BのLPC法
による周波数スペクトルからは約2700H のピーク周
波数と約2800H のノイズ成分のあることがはっきり
と判別できる。これに対しFFT法によるCのグラフは
両成分が重なって約2650H の最大値と約2800H
隣接極大値の2つこぶ状のスペクトルとなっていて、そ
の頂点は鈍っておりピーク値の特定はその分精度が低く
なる。その上そのピーク値はBのLPC法による周波数
スペクトルからのピーク周波数約2700H と50H
差が生じている。これにはFFT法による周波数分析に
おいて近接する周波数成分がある場合には、相互に影響
し合いその周波数値がずれてしまう現象が見うけられ、
この場合もその現象によるものと解される。これに対
し、本発明のLPC法による周波数スペクトルは近接周
波数成分の影響はなく、この点でも精度の良いピーク周
波数が得られる。なお、このサンプルIIの缶のピーク周
波数が先のサンプルIの缶のピーク周波数より高い値で
あるということは陽圧缶であるこの場合、サンプルIIの
缶の方が缶内圧力が高いことを意味している。
【0014】以上実施例においては2ピース微陽圧缶を
対象にした試験を説明してきたが、この打検方法は条件
の厳しい2ピース微陽圧缶の検査にも精度よく使用でき
ることを示したもので、他のタイプの缶であっても2ピ
ース陰圧缶の検査にも更には缶に限定されず多様な打検
検査に適用できる検査法である。
【0015】
【発明の効果】本発明は、打検において等しいサンプリ
ング間隔を決めて複数の測定点の検出信号を取り込み、
過去の所定数測定点の線形和として次の点を予測するス
テップと、この予測値をすべての測定点に対して実行し
最も誤差が少なくなる係数を求め、そこで得られた係数
から周波数スペクトルを得るようにしたものであって、
計算する周波数間隔を必要に応じて適宜決められること
により、周波数分解能を必要な周波数域まで設定するこ
とが出来る。そして、そのことにより複数の周波数が含
まれていてもそれが近接領域にあってもピ−ク周波数を
正確に特定でき、該周波数が判定基準の領域内か否かに
より被検査体の良否を精度よく判定することができる。
また、このLPC法を採用した本発明はFFT法のよう
に分解能が観測時間の長さに依存するものではないた
め、S/N比のよい信号部分だけを短い期間サンプリン
グして取り込みそれに基づいて分析することが可能とな
るから、試験条件の厳しい2ピース缶の検査にこれを適
用して比較的ノイズの少ない初期の反響振動から周波数
分析を実行することができ、格段の効果を発揮すること
ができた。しかもFFT法に較べ信号処理には若干の時
間を要するものの観測時間が短くて良いことからトータ
ルには処理時間を短縮することができた。更に、この方
法を採用した本発明はFFT法におけるように周波数分
析において近接する周波数成分がある場合にも、相互に
影響し合いその周波数値がずれてしまうような現象もな
く、正確なピーク周波数の特定ができるため分解能が高
いことに加え精度のよい打検が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の周波数分析法の原理を説明する図。
【図2】本発明の打検装置の全体構成を説明する図。
【図3】2ピース缶の底部を本発明の打検プローブで打
検する態様を示す図。
【図4】本発明によって2ピース微陽圧缶の打検を実施
した結果を示すもので、Aは検出反響音の波形、Bは本
発明の周波数スペクトル、Cは従来のFFT法による周
波数スペクトルを示す図。
【図5】異なるサンプルによる図4と同様の図。
【符号の説明】
1 ベルト 5 バンドパスフィル
タ 2 缶 6 温度センサ 3 存在検知器 7 リジェクター 31 光源 8 設定入力部 32 受光素子 9 ディスプレイ 4 打検プローブ 10 コンピュータ 41 エキサイタコイル 42 マイク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G10L 101:12 G10L 7/08 A 9/14 301A Fターム(参考) 2G047 AA05 AD18 BC00 BC04 CA03 GG01 GG12 GG24 GG36 GG37 5D015 AA06 CC07 KK02 9A001 BB02 EE05 GG03 GG05 HH16 JJ71 KK54 LL05 LL09

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 反響振動から等しいサンプリング間隔を
    決めて複数の測定点の検出信号を取り込み、過去の所定
    数測定点の線形和として次の点を予測するステップと、
    この予測値をすべての測定点に対して実行し最も誤差が
    少なくなる係数を求めるステップと、そこで得られた係
    数から周波数スペクトルを得るステップと、該周波数ス
    ペクトル中のピ−ク周波数を特定して該周波数が判定基
    準の領域内か否かにより被検査体の良否を判定するステ
    ップとからなる打検方法。
  2. 【請求項2】 被検査体に衝撃を加えて検出した反響振
    動信号の内、比較的ノイズの少ない初期の信号からサン
    プルを取り込む請求項1に記載の打検方法。
  3. 【請求項3】 被検査体に衝撃を加える手段とその反響
    振動を検出するセンサとを有する打検プローブと、反響
    振動の信号情報からから等しいサンプリング間隔を決め
    て複数の測定点の検出信号を取り込み、過去の所定数測
    定点の線形和として次の点を予測する手段と、この予測
    値をすべての測定点に対して実行し最も誤差が少なくな
    る係数を求める手段と、そこで得られた係数から周波数
    スペクトルを得る手段と、該周波数スペクトル中のピ−
    ク周波数を特定して該周波数が判定基準の領域内か否か
    により製品の良否を判定する手段と、判定の結果に従っ
    て被検査体を選別する手段とからなる打検装置。
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