JPH07229815A - エンジン診断装置 - Google Patents

エンジン診断装置

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JPH07229815A
JPH07229815A JP2090094A JP2090094A JPH07229815A JP H07229815 A JPH07229815 A JP H07229815A JP 2090094 A JP2090094 A JP 2090094A JP 2090094 A JP2090094 A JP 2090094A JP H07229815 A JPH07229815 A JP H07229815A
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JP
Japan
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engine
frequency
ignition
order
ignition frequency
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Application number
JP2090094A
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English (en)
Inventor
Keisuke Oda
啓介 小田
Shinichi Sato
慎一 佐藤
Yumi Takizawa
由美 滝沢
Atsushi Fukazawa
敦司 深澤
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Oki Electric Industry Co Ltd
Original Assignee
Oki Electric Industry Co Ltd
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  • Measurement Of Mechanical Vibrations Or Ultrasonic Waves (AREA)
  • Testing Of Engines (AREA)
  • Electrical Control Of Ignition Timing (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 短時間で生じているエンジンの異常を検出す
る。 【構成】 エンジンに振動センサ11とを設け、振動信
号を周波数分析部13、19などを用いて低次のピーク
周波数と高次のピーク周多数とを検出し、エンジンに回
転数センサ17からの出力を用いてエンジン点火周波数
と気筒点火周波数とを求め、それらの周波数やパワーに
基づいて異常を判定または表示する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は自動車エンジンの故障・
不良などのエンジン異常を検出するエンジン診断装置に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車エンジンの異常を検出すること
は、自動車整備点検において重要な点検項目の一つであ
る。また、これは自動車の安全運行の面からも重要なこ
とである。従来、エンジン(以下特にことわらない限
り、エンジンとは自家用の自動車エンジンをいう)の異
常状態を検出する方法として、次の様に、回転数センサ
を用いるものと振動センサを用いるものとがあった。回
転数センサを用いるものは、一般的に広く用いられてい
る方法で、これは、回転数センサをエンジンからの駆動
出力であるシャフト等に取り付け、回転数センサからの
エンジン回転数の情報を運転台に設置されたエンジン回
転計(いわゆるタコメータ)に表示することで、その回
転数(一般には1分間あたりの回転数rpm)の値から
エンジンの異常状態を把握する方法である。また、振動
センサを用い、エンジンの振動からエンジンの異常を検
出する方法も知られている。例えば特開昭58ー100
717のような異常検出装置では、エンジン周辺に装着
した振動検出用のピックアップから振動信号を検出し、
線形予測フィルタを用いた信号処理および単位秒間の異
常度のカウント値によって、エンジンの正常状態と異常
状態の違いを検出している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】エンジン回転数に着目
した従来の方法では、エンジンの分単位程度の比較的長
時間の平均的異常は検出はできるが、秒単位程度もしく
はそれ以下の短時間で生じているエンジンの種々の異常
状態を把握し、原因を推定することは不可能であり、ま
た、異常の度合いを定量的に把握することも困難であっ
た。また、振動センサを用いた方法では、秒単位での異
常度が計数カウントされエンジンの異常度合いを定量的
に把握できることが示されているが、異常の原因を推定
する手段に関しては開示されていない。さらに、一般に
エンジンは複数の気筒を有し、それらの動力を合わせる
ことによって、必要な馬力を得ている。もし、エンジン
に異常が発生した場合、そのうち特定の気筒が異常なの
か、あるいはすべての気筒が異常なのか、異常ならばど
のような異常なのかを判断する手段について従来の技術
では明らかにされていなかった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記のような
課題を解決するものであり、以下の手段を有する。ま
ず、エンジンに振動センサを装着してエンジンの振動を
ディジタルの時系列信号として取り出す振動検出手段
と、エンジンの比較的長時間の平均的回転数を検出する
回転数検出手段を有する。また、時系列信号を低次の線
形予測法を用いて周波数分析し低次のピーク周波数を求
める低次分析手段と、前記回転数検出手段によってえら
れた平均的回転数をもとに、それに近い低次ピーク周波
数をエンジン点火周波数として選択するエンジン点火周
波数選択手段を有する。また、時系列信号を高次の線形
予測法を用いて周波数分析し高次のピーク周波数を求め
る高次分析手段と、この高次ピーク周波数のうち、エン
ジン点火周波数及びその整数倍に対応しないものを選択
し、またはエンジン点火周波数よりも小さいものを選択
し、選択したこれら高次ピーク周波数のスペクトル成分
の強度の総和を気筒点火周波数強度として求める気筒点
火周波数強度計算手段を有する。更に、前記エンジン点
火周波数と前記気筒点火周波数強度とをエンジン状態の
特徴量とみなし、それら2つの特徴量を正規化したの
ち、これをエンジン状態の診断状況として表示するか、
またはエンジンの異常を判定する手段を有する。
【0005】
【作用】一般にエンジンの異常状態は、4個の尺度、す
なわち、エンジン回転数(回転数センサで計測)、エン
ジン振動波形(振動センサ・音響センサで計測)、エン
ジン温度(温度センサで計測)、及びエンジン排気臭
(ガスセンサで計測)、から計測可能であると考えられ
る。また、一般にエンジンの異常原因は以下の3点に集
約できることが、自動車整備の分野では周知となってい
る。 (1)燃料・空気混合系の異常、(2)気筒気密の異
常、(3)エンジン点火プラグ異常。次に、これらの異
常原因の発生原因と異常時の状態を簡単に説明する。ま
ず、(1)の燃料系の異常原因としては、例えばガゾリ
ン燃料と空気の混合比が規定値を外れた場合がある。こ
の場合は自動車エンジンの全ての気筒への燃料系に異常
を来し、クランク状態を引き起こしエンジン回転数に周
期的な変化が見られる。また、このほかにも、例えばあ
る特定の気筒への燃料パイプがはずれていたり、燃料パ
イプが詰まってしまい十分な燃料が与えられていないこ
とも燃料系の異常原因として考えられる。エンジン回転
数は周期的な時間変動を伴い、エンジン振動波形は歪む
が故障の程度としては、後者よりは軽い。また、(2)
の気筒気密の異常原因としては、気筒内部は常に高温・
高圧環境下にあるため、気筒上れ部の上蓋部(いわゆる
気筒ヘッダ)には亀裂が生じやすく、その場合気筒内部
の気密性が保たれず、正常な圧縮と爆発が行われない。
この場合も点火プラグと同様に特定の気筒のみで異常が
発生するのが普通である。エンジン回転数に安定性がな
くなり、エンジン振動波形の歪も増大する。故障の程度
としては中である。さらに、(3)のエンジン点火プラ
グ異常は、例えば点火プラグの点火部が長年の使用によ
り摩耗し点火火花が正常に発生しない場合や、点火部が
電気的にショートし点火火花が全く発生しない場合など
が代表的な異常発生原因である。どちらの場合も、ある
特定の点火プラグだけが異常を来すことが普通であり、
特定の気筒内で燃料爆発が弱いか爆発そのものがない状
態である。一般にエンジンは個々の気筒での爆発が吸気
・圧縮・爆発・排気の4サイクルで順次効率よく行わ
れ、複数の気筒でそのサイクルをずらすことによって、
エンジン全体で同期した動作をしている。いま特定のエ
ンジン点火プラグに異常が発生した場合、エンジン全体
の同期がずれ、エンジン回転数に大きな変化がみられる
と同時に、エンジン振動波形には同期ずれによって生じ
た波形の歪が観測される。故障の程度としてはかなり大
である。
【0006】これらのことから、上に示した4つの計測
手段のうち、エンジン回転数とエンジン振動波形からの
情報を用いることだけでも、エンジンの異常状態を検出
し、かつ異常の主原因を推定することが可能であると考
えられる。そこで本発明では、エンジン回転数とエンジ
ン振動の情報を分析対象とし、それから得られる信号を
もとに変換を施す手法を用いてエンジンの状態表示と異
常検出を行うことにする。まず、振動検出手段、回転数
検出手段、低次分析手段、及びエンジン点火周波数選択
手段とによって、瞬時的回転数を表わすエンジン点火周
波数を得る。このエンジン点火周波数は上述のエンジン
回転数と対応関係にある尺度であり、この点火周波数の
時間変動を観測することによりエンジン点火の不安定性
が検出可能となる。また、振動検出手段、高次分析手
段、及び気筒点火周波数強度計算手段によって、気筒点
火周波数強度を得る。この尺度は、エンジン振動波形の
歪度合いを反映したものであり、この強度の観測により
エンジン点火の不均一性が検出できる。さらに、特徴量
正規化変換手段によって、エンジン点火の不安定性を示
すエンジン点火周波数と、エンジン点火の不均一性を示
す気筒点火周波数強度を用いて、これら2つの特徴量に
正規化変換を施したのち、エンジンの状態を表示するこ
とを可能にする。
【0007】図2〜図5は、振動検出手段から得られた
エンジン振動波形例を示したものである。サンプリング
周波数は200Hzである。エンジンの動作が正常の場合
は、図2のように、エンジン回転数に対応した繰り返し
波形が周期的に規則正しく現われる。また繰り返し波形
の振幅も比較的安定している。一方、図3における振動
波形は、燃料と空気の混合比が不良の場合である。繰り
返し波形の周期にはほとんど変化がないものの、振幅の
大小に変動が現われている。このことからエンジン点火
周波数の短時間的変動があることが推察される。また図
4における振動波形は、気筒内の圧縮圧力が低下した場
合である。振動波形そのものが乱れており、繰り返し周
期や振幅も時間変動していることがわかる。さらに図5
における振動波形は、ある1つの点火プラグが不良でそ
の気筒内で異常な爆発がおきている場合である。振動波
形の振幅がさらに大きくなり、かつ振動波形の繰り返し
周期が正常時のそれと比べて長く(約4倍の時間長)に
なっていることがわかる。
【0008】ところで、分析対象の信号のモデル化を考
えた場合、いま対象としているエンジンはその物理的機
構から周期的な機械運動を継続して行う装置である。こ
のような場合、その対象となるものから得られる時間領
域の信号を周波数領域の信号に変換して取り扱うと有利
であることが知られている。この代表的な変換手法とし
て高速フーリエ変換(FFT)の適用が考えられる。し
かし、FFTを用いた場合、周波数分解能は信号のサン
プリング周波数とFFT分析フレーム長から一意に決定
されること、またスペクトルピークの検出が不安定であ
ることなどから、エンジン異常の場合のような短時間に
周波数が変化する信号の分析法としては適当ではない。
そこで、本発明ではエンジン振動の周波数領域への信号
変換手法として線形予測法を適用する。線形予測法と
は、分析する時系列データ間に相関に基ずく高い予測性
があると仮定し、 L個の過去のデータs(k-1)〜s(k-L)を
使って時刻 kのデータS(k)を次式(1)の関係で近似す
るように L個の係数 aL(=aL1〜aLL)を決定するものであ
る。
【0009】
【数1】
【0010】またここで Lを分析次数といい、これは対
象信号の性質、サンプリング周波数などからあらかじめ
決定する。さらに、ここで得られた係数aLと周波数特性
S(ω) には次式(2)の関係がある。
【0011】
【数2】
【0012】ここで、ω(-π<ω<π) と周波数 fの間
には、2π f=サンプリング周波数の関係があり、j は
虚数単位である。式(2)のように一般に周波数特性は
複素数であり、その実数部を u、虚数部を vとすると、
その絶対値|u-jv|を周波数特性と呼ぶ。線形予測法を
適用することにより、FFTに比べて、少ないデータ
で、周波数分解能がよく、周波数特性からのピーク周波
数の抽出が正確でかつ容易であることが信号処理の分野
で知られている。
【0013】図6〜図9に、線形予測法を用いて式
(2)をもとに計算した周波数分析の結果を示す。横軸
は時間軸と周波数特性の強度を示している。分析時間は
8秒間、分析次数は40次である。縦軸は周波数軸でこ
こではサンプリング周波数が200Hzであるため、ナイ
キストの定理より最大分析周波数は100Hzとなる。予
測分析は40msec毎に行ったが、図6〜図9は120ms
ec毎のものを示している。。各分析においてスペクトル
強度が強ければ強いほど右側に高い山が表示され、弱け
れば弱いほど左側に谷が表示されている。図6の正常状
態では、20数Hz付近およびその整数倍の周波数にスペ
クトルピークがある。このスペクトルピーク周波数がエ
ンジン点火周波数である。エンジンの動作が正常な場
合、エンジン点火周波数は分析時間8秒間にわたってほ
とんど変化していないことがわかる。また20数Hz付近
以外にも、その整数倍および整数分の1の付近にもスペ
クトルピークが存在するのは、厳密には図2の振動波形
のようにエンジンが正常であっても、エンジン点火に伴
う振動波形が歪んでおり、きれいな正弦波ではないため
である(波形が角ばっていることがそれを意味してい
る)。
【0014】図7の異常状態では、20数Hz付近のエン
ジン点火周波数が約2秒周期で変動している。この状態
は燃料系の異常である。図7よりこのエンジンは軽いノ
ッキング状態であり、エンジン回転数が不安定であると
想像できる。図8は圧力異常の場合で、ノッキングはな
いものの、正常状態に比べ20数Hz付近のエンジン点火
周波数以外のスペクトルピークの数が増加している。エ
ンジンの動作そのものが不安定と考えられる。このこと
は、図4に示したように、異常時には正常時に比べ振動
波形の歪が増加していることを示してしる。この波形歪
は、エンジンの複数の気筒それぞれの点火に伴う振動波
形の同期がずれによって生じるものであり、点火に伴う
爆発が不均一になっていることを示している。さらに図
9は、20数Hz付近のエンジン点火周波数とそれ以外の
ピーク周波数の違いが判定困難となりエンジンの動作状
態が非常に不安定となり、不均一な度合いが増加してい
ると考えられる。
【0015】以上のことから、エンジンの異常状態検出
の定量的な取扱いには、エンジン点火の不安定性を示す
エンジン点火周波数と、エンジン点火の不均一性を示す
気筒点火周波数強度に着目すればよいことがわかる。こ
のような事実に着目し、本発明は時間領域の信号である
エンジン振動信号をエンジン線形予測法を用いて周波数
領域の信号に変換したのち、図6〜図9に示したような
周波数特性からエンジンの点火周波数と気筒点火周波数
強度という2つの特徴量を自動的に抽出する手段を有す
る。さらに、特徴量正規化変換手段によって、エンジン
点火の不安定性を示すエンジン点火周波数と、エンジン
点火の不均一性を示す気筒点火周波数強度を用いて、こ
れら2つの特徴量に正規化変換を施したのち、表示装置
に出力することによって時々刻々のエンジン状態を表示
し、その異常を即座に検出するものである。
【0016】本発明の低次分析よって得られるエンジン
点火周波数によれば、大局的かつ瞬時的なエンジン回転
数の状態を知ることができ、エンジン回転数が安定か不
安定かが正確に把握できる。低次分析における線形予測
分析の次数は、エンジン点火周波数成分が気筒点火周波
数成分に隠れることもあり得るので、4次以上である必
要があり、また、気筒数に対応した順位より小さい順位
で検出されることも一般にはあり得ないので、後述の実
施例ではサンプリング周波数との兼ね合いから気筒数の
2倍の次数とした。また、本発明の高次分析に基づいて
得られる気筒点火周波数強度は、エンジン回転周波数に
対応しないもの(エンジン点火周波数成分及びその高調
波成分)を除いた残余の成分の強度を表わすものであ
り、振動波形の歪の度合いに良く対応し、気筒点火不良
などの局所・微細的なエンジン振動の状態を知ることが
できる。つまり各気筒における点火タイミングが均一か
不均一かが正確に判定できる。ここでまた高周波成分は
エンジン異常と関連性が小さいので、エンジンの回転周
波数以上の高調波成分を除いた残余の成分の強度を気筒
点火周波数強度として用いることもできる。高次分析に
おける分析次数は、エンジン点火周波数成分及びその高
調波成分に隠れ易いので十分高次で行い、実施例ではサ
ンプリング周波数との兼ね合いから40次とした。な
お、ここで1つの気筒の点火周期に対応した周波数を気
筒点火周波数と定義すると、一般にエンジン点火周波数
と気筒点火周波数とはエンジンの気筒数で対応し、q 気
筒のエンジンならば、気筒点火周波数はエンジン点火周
波数の1/qの値になる。
【0017】
【実施例】図1は、本発明の一実施例の構成を示すブロ
ック図であり、このエンジン診断装置は、振動センサ1
1、AD変換部12、低次周波数分析部13、根計算部
14、低次ピーク周波数計算部15、エンジン点火周波
数選択部16、回転数センサ17、AD変換部18、高
次周波数分析部19、根計算部20、低次ピーク周波数
計算部21、気筒点火周波数強度計算部22、特徴量正
規化変換部23及び表示判定器24からなる。図1にお
いて、エンジンに装着した振動センサ11から連続的な
電気信号を得、AD変換部12において、サンプリング
周波数=200Hzでサンプリングを行い、ディジタルの
時系列信号X(n)を得、低次周波数分析部13及び高次周
波数分析部18へ入力する。ここで、n は分析時刻であ
る。
【0018】図1の低次周波数分析部13では、表示の
リフレッシュを考慮して1/25(sec) の時間間隔で、
時系列信号X(n)に対して線形予測を行う。分析次数は、
気筒数q に応じて2q とし、ここでは気筒数が4のエン
ジンを対象としているので、分析次数は8次となる。低
次周波数分析部で得られた9個の線形予測係数 aL0(n),
aL1(n),aL2(n), ... ,aL8(n)を得たのち根計算部14へ
入力する。根計算部14では、式(3)に示す予測係数
aLと根RLとの関係を利用し、8次方程式を数値的に解
き、8個の複素根RL1(n),RL2(n),RL3(n), ... , RL8
(n)を得、低次ピーク周波数計算部15へ入力する。こ
こで、一般にこれら8個の複素根は4組の共役複素根で
ある。
【0019】
【数3】
【0020】なお、式(3)における zは、Z変換にお
ける単位時間作用子である。
【0021】低次ピーク周波数計算部15では、虚部が
正の複素根RLi(n)(但し一般には共役複素根なので i=
1〜4)を選択し、次式(4)に従って低次周波数分析
によるスペクトルピーク周波数FLi(n)を得る。
【0022】
【数4】
【0023】ここで、Im( ) は虚数部、Re( ) は実部、
Sfはサンプリング周波数である。エンジン点火周波数計
算部16では、これらの4個のスペクトルピーク周波数
FLi(n)からエンジン点火周波数Fef(n)を決定する。こ
の決定には、回転数センサ17からエンジンの回転数を
得、これをAD変換部18でサンプリングすることによ
って得られたディジタルの回転数データN(n)をを用い、
式(5)に示すように、この回転数データN(n)と4個の
スペクトルピーク周波数FLi(n)との差を計算すること
で、回転数データN(n)に最も近いスペクトルピーク周波
数FLi(n)をエンジン点火周波数Fef(n)として決定する。
【0024】
【数5】
【0025】なお、式(5)において、定数Mはエンジ
ンのサイクル数、気筒数などに依存する値で、かつ回転
数センサで得られる回転数が毎分の値であるため、毎秒
の回転数に単位変換する役目も含む定数である。また時
系列信号X(n)は、気筒点火周波数強度を求めるために高
次周波数分析部19へ入力され、高次周波数分析部18
では、分析次数を40次として、時系列信号X(n)に対し
て線形予測をおこない、41個の線形予測係数aH0(n),a
H1(n),aH2(n), ... ,aH40(n)を得て根計算部19へ入力
する。根計算部20では、その41個の線形予測係数を
入力として、40次方程式を数値的に解き、40個の複
素根 RH1(n),RH2(n),RH3(n), ... , RH40(n)を得、高次
ピーク周波数計算部21へ入力する。ここで、一般には
これら40個の複素根は20組の共役複素根である。高
次ピーク周波数計算部21では、次式(6)に従って高
次周波数分析のスペクトルピーク周波数FHi(n)を得る。
【0026】
【数6】
【0027】ここで、RHi は複素根の虚部が正のもので
あり、一般には i=1〜20である。また、ここで得ら
れた20個のFHi(n)は、気筒点火周波数とその高調波の
集合みることができ、最小のFHi(n)の値が気筒点火周波
数Fef_min(n)である。さらに、ここで、エンジンの気筒
数を qとすると、次式(7)の関係が成立する。
【0028】
【数7】
【0029】次に、気筒点火周波数強度計算部22で
は、まず式(7)で得られた気筒点火周波数とその整数
倍の各周波数成分のスペクトルピークの対数パワーを次
式(8)によって計算し、各成分の強度をAi(n)とす
る。
【0030】
【数8】
【0031】ここで、対数の底は10であり、SQRT( )
は平方根を意味する。次に、式(8)で得られた各周波
数成分のパワーの合計(ただし、正常状態との違いを明
確にするため、正常状態時に観測されるエンジン点火周
波数の整数倍の周波数成分は除く)を次式(9)によっ
て計算し、気筒点火周波数強度Icf(n) を計算する。
【0032】
【数9】
【0033】図1における23は特徴量正規化変換部で
ある。これは式(5)から得られたエンジン点火周波数
Fef(n)と式(9)から得られた気筒点火周波数強度Icf
(n)を入力とし、それら2つの特徴量に対して次式(1
0)及び(11)のようなスケール変換を行って正規化
を施すものである。
【0034】
【数10】
【0035】式(10)及び(11)において、Cx=1,
Cy=0.1, G=15であり、これらはエンジンの種類、気筒数
によって決まる定数である。図1における24は表示部
である。式(10)及び(11)によって正規化された
特徴量θX(n),θy(n) をそれぞれ横軸、縦軸成分として
表示装置にプロットする。図10〜図13の各図におい
て、(A)には式(5)から導かれたエンジン点火周波数
を、(B)には式(9)から導かれた気筒点火周波数強度
を示す。図10は正常状態の場合である。(A)のエンジ
ン点火周波数は分析時間8秒間にわたってほとんど変化
なく約21Hzである。また(B)の気筒点火周波数強度は平
均で10以下、最高ピーク値で約20を示している。
【0036】図11は燃料異常の場合である。(A)のエ
ンジン点火周波数は21Hzを中心に+-1.5 Hzで約2秒周期
で変動している。また(B)の気筒点火周波数強度は、正
常値とほとんど変わらない。このことから、燃料異常の
場合はエンジン回転数における不安定性が検出できるも
のの、各気筒の点火タイミングにおける不均一性は検出
できないことがわかる。図12は圧縮異常の場合であ
る。(A)のエンジン点火周波数は最大ふれ幅が約6Hzで
変動していることから、エンジン回転数の不安定度が増
加していることがわかる。また(B)の気筒点火周波数強
度の値も増加し平均で15、最高値で30をこえてお
り、点火に伴う不均一度も増加していることがわかる。
図13は点火異常の場合である。この異常状態では分析
の前半と後半で2つの特徴量の振る舞いが顕著に異なっ
ている。エンジン点火周波数は分析の前半では安定して
いるが、後半ではふれ幅が10Hzを越えている。また気
筒点火周波数強度も分析前半では非常に高く100を越
えている。これは、分析の前半では不均一ながらも何と
かエンジンの点火が行われ、安定した回転が保たれてい
るが、後半ではエンジンの回転数が大きく変化し、エン
ジンとしての正常な動作が行われていないことを示して
いる。
【0037】図14〜図17に表示例を示す。横軸はエ
ンジン点火周波数を正規化した値で、この軸方向の成分
の偏位がエンジン回転数の不安定をはかる尺度となる。
一方、縦軸は気筒点火周波数強度を正規化した値で、こ
の軸方向の成分がエンジン点火に関する不均一度をはか
る尺度となる。表示のリフレッシュは40msec毎におこ
なわれるが、図では軌跡の時間的な動きがわかるように
400ms毎の値の軌跡に矢印をつけて示してある。全体
の表示時間は約 6.5秒間である。図14に示すのは、正
常な場合である。全時間にわたってほとんど変化してい
ない。つまりこの軌跡の位置が本来のこのエンジンが維
持すべき状態である。従ってエンジンの異常状態はこの
位置からの偏位で把握できる。
【0038】図15は燃料異常の場合である。横軸は正
規化されたエンジン点火周波数であり、いまこの図の時
間軌跡は横方向に広がった楕円であるからエンジン回転
数が変化していることがわかる。図16は圧縮異常の場
合である。軌跡の範囲が大きくなり異常状態である。図
17は点火異常の場合である。さらに軌跡の範囲が広く
なり、完全な異常状態である。このように、エンジンの
状態を視覚的に表現することによって、熟練者に頼らず
とも誰でもエンジンの状態を把握することが可能とな
る。
【0039】
【発明の効果】以上、本発明においては、エンジン本体
に直接振動センサを装着した振動センサからの情報を用
いてエンジンの異常状態を検出する手法によってエンジ
ンの動作状態を表示装置において直接把握し故障状態を
検出することができる。本発明で示したように、エンジ
ンの振動情報を線形予測法を用いた信号処理によって周
波数領域のデータに変換することによって、時間領域で
データでは得られなかったエンジンの動作状態を決定す
る2つの要素(つまりエンジンの回転に関する成分、お
よびエンジン点火に関する成分)を定量的に求めること
が可能となる。そしてこれらの特徴量を正規化し表示す
ることによって、エンジン回転数の状態と気筒の動作状
態が視覚的に把握でき、エンジンの異常判定が容易に可
能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のエンジン診断装置を示すブ
ロック図。
【図2】図1のエンジン診断装置における、エンジン振
動波形を示す図。
【図3】図1のエンジン診断装置における、エンジン振
動波形を示す図。
【図4】図1のエンジン診断装置における、エンジン振
動波形を示す図。
【図5】図1のエンジン診断装置における、エンジン振
動波形を示す図。
【図6】図1のエンジン診断装置における、エンジン振
動波形の周波数分析結果を示す図。
【図7】図1のエンジン診断装置における、エンジン振
動波形の周波数分析結果を示す図。
【図8】図1のエンジン診断装置における、エンジン振
動波形の周波数分析結果を示す図。
【図9】図1のエンジン診断装置における、エンジン振
動波形の周波数分析結果を示す図。
【図10】図1のエンジン診断装置における、エンジン
点火周波数および気筒点火周波数強度を示す図。
【図11】図1のエンジン診断装置における、エンジン
点火周波数および気筒点火周波数強度を示す図。
【図12】図1のエンジン診断装置における、エンジン
点火周波数および気筒点火周波数強度を示す図。
【図13】図1のエンジン診断装置における、エンジン
点火周波数および気筒点火周波数強度を示す図。
【図14】図1のエンジン診断装置における、エンジン
の動作状態を示す図。
【図15】図1のエンジン診断装置における、エンジン
の動作状態を示す図。
【図16】図1のエンジン診断装置における、エンジン
の動作状態を示す図。
【図17】図1のエンジン診断装置における、エンジン
の動作状態を示す図。
【符号の説明】
11 振動センサ 12 AD変換部 13 低次周波数分析部 14 根計算部 15 低次ピーク周波数計算部 16 エンジン点火周波数計算部 17 回転数センサ 18 AD変換部 19 低次周波数分析部 20 根計算部 21 高次ピーク周波数計算部 22 気筒点火周波数強度計算部 23 特徴量正規化変換部 24 表示判定器
フロントページの続き (72)発明者 深澤 敦司 東京都港区虎ノ門1丁目7番12号 沖電気 工業株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンに振動センサを装着してエンジ
    ンの振動をディジタルの時系列信号として取り出す振動
    検出手段と、 エンジンの比較的長時間の平均的回転数を検出する回転
    数検出手段と、 前記時系列信号を低次の線形予測法を用いて周波数分析
    し、低次のピーク周波数を求める低次分析手段と、 前記平均的回転数に近い前記低次ピーク周波数をエンジ
    ン点火周波数として選択するエンジン点火周波数選択手
    段と、 前記時系列信号を高次の線形予測法を用いて周波数分析
    し、高次のピーク周波数を求める高次分析手段と、 当該高次ピーク周波数から、前記エンジン点火周波数及
    びその整数倍に対応しないものを選択しまたは前記エン
    ジン点火周波数よりも小さいものを選択し、選択したこ
    れら高次ピーク周波数成分の強度の総和を気筒点火周波
    数強度として求める気筒点火周波数強度計算手段と、 前記エンジン点火周波数と前記気筒点火周波数強度とを
    用いて、それらを正規化したのちエンジンの診断状況を
    表示するか、またはエンジンの異常を判定する手段と、
    を有することを特徴とするエンジン診断装置。
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