JPH08261817A - 回転機械のラビング判定方法およびその装置 - Google Patents

回転機械のラビング判定方法およびその装置

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JPH08261817A
JPH08261817A JP6095795A JP6095795A JPH08261817A JP H08261817 A JPH08261817 A JP H08261817A JP 6095795 A JP6095795 A JP 6095795A JP 6095795 A JP6095795 A JP 6095795A JP H08261817 A JPH08261817 A JP H08261817A
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JP
Japan
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rubbing
rotating machine
cepstrum
envelope
acoustic
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JP6095795A
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English (en)
Inventor
Hiroyuki Oba
場 裕 幸 大
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
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  • Measurement Of Mechanical Vibrations Or Ultrasonic Waves (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 回転機械のラビング発生の精度良い判定が可
能なラビング判定方法および装置を提供すること、なら
びに精度良いラビング発生位置評定の可能なラビング発
生位置評定方法および装置を提供すること。 【構成】 回転機械のラビング発生を判定する方法にお
いて、前記回転機械の回転部と静止部とが接触するとき
に発生する音響を検出して音響信号を取り出し、この音
響信号を包絡線検波処理して包絡線検波後データを形成
し、この包絡線検波後データにケプストラム分析処理を
行い、前記回転機械の回転周波数に相当するケフレンシ
ーでのケプストラム値と前記回転機械の運転状態に応じ
て選択された基準値との比較を行い、この判定結果から
ラビング判定を行うことを特徴とする回転機械のラビン
グ判定方法、およびこの方法を実施するための装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プラント設置型回転機
械のラビング判定方法および装置に係り、とくに発電プ
ラント、製鉄プラント、化学プラント等のプラントに設
置された回転機械におけるラビング発生の判定ならびに
ラビング発生位置の評定を行うラビング判定方法および
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】たとえば発電プラントに設置された蒸気
タービン、ガスタービン、圧縮機、発電機、ポンプ等の
大型回転機械において、回転部と静止部との接触、すな
わちラビングが発生することがある。このラビングは、
回転機械における異常振動発生の代表的な原因である。
そして、回転機械の運転中にラビング現象が生じると、
異常振動が発生して運転継続が不可能になったり、重大
事故に発展したりすることがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このため、この種の回
転機械で発生するラビングを精度良く判定すること、お
よびラビング発生位置を精度良く評定することは、発電
プラントにおいて重要な課題である。
【0004】とくに、回転機械においてラビングを発生
させる要因は多くのものがあり、位置評定は、ラビング
発生の明確な原因究明とラビング発生後の開放点検個所
の重要な保守情報を与えるため、精度良いラビング発生
位置評定が望まれている。
【0005】本発明は上述の点を考慮してなされたもの
で、回転機械のラビング発生の精度良い判定が可能なラ
ビング判定方法および装置を提供すること、ならびに精
度良いラビング発生位置評定の可能なラビング発生位置
評定方法および装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的達成のため、本
発明では、請求項1記載の、回転機械のラビング発生を
判定する方法において、前記回転機械の回転部と静止部
とが接触するときに発生する音響を検出して音響信号を
取り出し、この音響信号を包絡線検波処理して包絡線検
波後データを形成し、この包絡線検波後データにケプス
トラム分析処理を行い、前記回転機械の回転周波数に相
当するケフレンシーでのケプストラム値と前記回転機械
の運転状態に応じて選択された基準値との比較を行い、
この判定結果からラビング判定を行うことを特徴とする
回転機械のラビング判定方法、請求項2記載の、請求項
1記載の方法における前記基準値は、前記回転機械の回
転数または前記回転機械の負荷のパラメータによって選
択するようにした回転機械のラビング判定方法、請求項
3記載の、回転機械の軸受け部に設置され、該回転機械
の回転部と静止部とが接触するときに発生する音響を検
出する音響センサと、この音響センサの検出信号を処理
して包絡線を検出する包絡線検波器と、この包絡線検波
器の出力を受けてケプストラム分析を行う分析手段と、
この分析手段からのケプストラム分析結果におけるケフ
レンシーでのケプストラム値を予め設定されている基準
値と比較してラビング判定するラビング判定手段と、を
そなえたプラント設置型回転機械のラビング判定装置、
および請求項4記載の、回転機械のそれぞれ異なる位置
に設けられた複数の軸受け部に設置され、該回転機械の
回転部と静止部とが接触するときに発生する音響を検出
する複数の音響センサと、これら音響センサの検出信号
を各別に包絡線処理してそれぞれの包絡線を検出する包
絡線検波器と、この包絡線検波器の出力を受けてそれら
を加算した信号を形成する加算手段と、この加算手段の
出力につきケプストラム分析を行う分析手段と、この分
析手段からのケプストラム分析結果におけるケフレンシ
ーでのケプストラム値を予め設定されている基準値と比
較してラビング判定するラビング判定手段と、このラビ
ング判定手段がラビング判定したとき、前記ケプストラ
ム分析結果におけるピーク値のケフレンシーを求めるピ
ーク値検出手段と、この求められたケフレンシーから一
次元の位置評定式に基づきラビング発生位置の評定を行
う位置評定手段と、をそなえたプラント設置型回転機械
のラビング判定装置、を提供するものである。
【0007】
【作用】本発明は、回転機械における回転部と静止部と
が、何らかの異常により接触すなわちラビングを起こす
と、軸振動に異常が現れる以前に、ロータの触れ回り運
動にしたがって、接触部から一回転に一回、高周波帯域
の超音波(AE)が発生する現象を利用して判定動作を
行う。
【0008】請求項1記載の構成では、回転機械のラビ
ング発生を判定する方法において、回転機械の回転部と
静止部とが接触するときに発生する音響を検出して音響
信号を取り出す。そして、この音響信号を包絡線検波処
理して包絡線検波後データを形成し、この包絡線検波後
データにケプストラム(後述)分析処理を行う。これに
より、回転機械の回転周波数に相当するケフレンシー
(後述)でのケプストラム値を得、このケプストラム値
と回転機械の運転状態に応じて選択された基準値との比
較を行い、この判定結果からラビング判定を行う。
【0009】請求項2記載の構成では、請求項1記載の
方法における基準値は、回転機械の回転数または回転機
械の負荷のパラメータによって選択する。
【0010】請求項3記載の構成では、回転機械の回転
部と静止部が接触するときに発生する音響を軸受部に設
置した音響センサで検出した後、包絡線検波処理を行う
とともに、包絡線検波後信号に対してケプストラム分析
処理を行い、次に回転周波数時間(ロータの一回転時
間)に相当するケフレンシーでのケプストラム値と回転
機械の運転状態に応じて選択した基準しきい値との比較
判定からラビング発生を判定する。さらに、ラビング発
生時に、ロータ両端の軸受部での包絡線検波後のデータ
を加算し、加算後のデータに対してケプストラム分析処
理を行い、次にケプストラム分析処理結果のピーク値を
探索し、ピーク値を与えるケフレンシーをロータ両端の
軸受部での音響信号の到達時間差とし、ラビング発生位
置を求める。
【0011】そして請求項4記載の構成では、回転機械
のそれぞれ異なる位置に設けられた複数の軸受け部に設
置された複数の音響センサの検出信号を、包絡線検波器
が各別に包絡線処理してそれぞれの包絡線を検出し、加
算手段がこの包絡線検波器の出力を加算した信号を形成
する。この加算手段の出力につき、分析手段がケプスト
ラム分析を行う。このケプストラム分析結果におけるケ
フレンシーでのケプストラム値を、ラビング判定手段が
予め設定されている基準値と比較してラビング判定す
る。ラビング判定手段がラビング判定したとき、ピーク
値検出手段がケプストラム分析結果におけるピーク値の
ケフレンシーを求め、位置評定手段が求められたケフレ
ンシーから、一次元の位置評定式に基づきラビング発生
位置の評定を行う。
【0012】
【実施例】以下、添付図面を参照しながら、本発明につ
き、複合発電プラント等に設置される回転機械を対象と
したラビング判定・位置評定装置を例として説明する。
【0013】図1は、複合発電プラントに設置される回
転機械のうち、蒸気タービン、ガスタービン、圧縮機、
発電機を対象とする、本発明によるラビング判定・位置
評定装置の全体構成を示すものである。
【0014】この図1に示すように、圧縮機1、ガスタ
ービン2、発電機3、蒸気タービン4は、共通軸(ロー
タ)5を介して互いに連結されている。これら機器は、
ロータ5により連結されている。ロータ5の回転基準信
号は、回転基準センサ7で検出され、回転基準検出器8
で増幅されてA/D変換器13に制御信号として与えら
れる。
【0015】ロータ5の各軸受6a、6b、6c、6d
には、音響センサ(AEセンサ)9a、9b、9c、9
dが設置されており、音響信号の計測が行われる。音響
センサ9a、9b、9c、9dの出力は、増幅器10に
よって増幅された後、フィルタ11を経由して包絡線検
波器12による包絡線検波が行われた上で、A/D変換
器13に入力信号として与えられる。ここで、フィルタ
11は、S/N比の向上に向けて、ラビング判定に必要
な帯域の信号のみを通すために設置されたものである。
【0016】これにより、A/D変換器13は、音響セ
ンサ9a、9b、9c、9dによって検出された音響信
号の包絡線検波信号を、回転基準信号を制御信号つまり
トリガとして高速A/D変換し、ラビング判定・位置評
定処理部15に与える。また、A/D変換器13は、ラ
ビングの検知対象となる回転機械の運転特性を表すプロ
セスデータ14をA/D変換して、ラビング判定・位置
評定処理部15に入力する。入力するのは、例えば回転
数、負荷(発電機出力)等のデータである。
【0017】ラビング判定・位置評定処理部15は、音
響センサ9a、9b、9c、9dによって検出され、入
力された包絡線検波後の音響データと、回転機械の運転
特性を表すプロセスデータ14を基に、ラビング判定お
よび位置評定を行う処理部である。ラビング判定・位置
評定処理部15の判定処理結果は、表示装置16に表示
される。
【0018】図2は、ラビング判定・位置評定処理部1
5の構成を示している。この図2におけるデータ受信手
段17は、音響信号の包絡線検波の後に、A/D変換さ
れたデータおよびプロセスデータを受信して、データ格
納領域18へ格納する手段である。
【0019】そして、ラビング判定手段19は、2つの
動作を行う。すなわち、一方でデータ格納領域18に格
納された音響信号の包絡線検波後データと回転機械の運
転特性を表すプロセスデータとに基づいて、ラビング判
定に必要なケプストラム分析を行う。また他方で、予め
回転機械の運転特性を表すプロセスデータに対して設定
され、ラビング判定基準しきい値格納領域20に格納さ
れているしきい値を用いて比較判定を行うことにより、
ラビング判定を行う。
【0020】こうして得られたケプストラム分析結果お
よびラビング判定結果を、ともに表示出力手段22に与
える。この表示出力手段22は、ラビング判定結果を表
示装置16に表示するための出力信号を形成する手段で
ある。
【0021】図3は、ラビング判定手段19の処理動作
を示すフローチャートを示している。この図3における
処理ステップS101では、データ格納領域18に格納
されたラビング判定時の音響信号の包絡線検波後データ
に対してケプストラム分析を行う。これに続く処理ステ
ップS102では、ラビング判定時の回転数から回転周
波数時間を求め、処理ステップS101で求めたケプス
トラム分析結果から、回転周波数時間に相当するケフレ
ンシーでのケプストラム値を求める。
【0022】この後に続く処理ステップS103では、
予め設定がされているラビング判定用の基準しきい値格
納領域20から、その時の回転数もしくは発電機出力に
最も近い基準しきい値(ラビングが発生していない時の
正常時のケプストラム値)を取り出し、判定時の回転数
もしくは発電機出力に応じて、例えば線形補間による補
正をすることにより、判定しきい値を求める。
【0023】ステップS103に続く処理ステップS1
04では、処理ステップS102で求めた判定時のケプ
ストラム値が、しきい値より大きいかどうかを判定す
る。大きくなければ、次の判定周期に移る。大きい場合
は、処理ステップS105でラビングと判定する。ラビ
ング有りと判定された場合、表示出力手段22によっ
て、表示装置16に判定結果を表示する。
【0024】さらに、処理ステップS105に続く処理
ステップS106では、ロータ両端の軸受部での音響セ
ンサ設置場所において、ラビング判定手段19がラビン
グ発生を判定したら、次にラビング発生位置評定手段2
1を起動する。
【0025】図4は、ラビング発生位置評定手段21の
処理動作を示すフローチャートを示している。この図に
おける処理ステップS201は、データ格納領域18に
格納された音響データのうち、ラビング判定手段19に
よってラビング発生と判定されたとき、(ロータ両端の
軸受部での)包絡線検波ののち2つの音響データを加算
する。
【0026】処理ステップS201に続く処理ステップ
S202は、処理ステップS201で作成した加算後の
音響データに対してケプストラム分析を行う。続く処理
ステップS203は、2つの音響信号の到達時間差を、
処理ステップS202でのケプストラム分析結果におい
てピーク値を与えるケフレンシーとして求める。その後
に続く処理ステップS204は、処理ステップS203
で求めたピーク値を与えるケフレンシーを、ロータ両端
の軸受部での音響信号の到達時間差とし、一次元位置評
定計算式より、ラビング発生位置を求める。
【0027】このようにして、ラビング発生位置評定手
段21によって求められたラビング発生位置は、表示出
力手段22に与えられ、表示装置16に位置評定結果を
表示する出力信号とされる。
【0028】このラビング発生位置評定手段21では、
ラビング発生位置の評定は、ロータ両端の軸受部に設置
された、2つの音響センサの各位置でのラビングAE信
号の到達時間差を基に、一次元の位置評定計算式により
ロータ軸方向のラビング音発生源の位置評定を行うもの
である。
【0029】図5に示すように、音源Sを挾んで振動検
出器が振動検出端A1 、A2 に取付けられているとす
る。
【0030】このとき、図中各諸量の間に成り立つ関係
式は下式のようになる。
【0031】 L=l1 +l2 ……(1) Cτ=l2 −l1 ……(2) ここで、C:波動の伝搬速度、 τ:振動検出端A1 、A2 への波動の到達時間差。
【0032】そして、音源Sの位置は振動検出端A1 、
A2 からの距離l1 、l2 として式(3)および(4)
で与えられる。
【0033】
【数1】 このように、振動検出端A1 、A2 への波動の到達時間
差τを求めることができれば、式(3)あるいは(4)
から音源Sの位置を決定することができる。
【0034】この到達時間差τは、以下のようにしてケ
プストラム分析から求める。すなわち、ケプストラム分
析は、時間信号のスペクトラムを対数処理した後、逆フ
ーリエ変換するというものであり、特徴としては、求め
る波動の到達時間差τが、時間領域でピークとなって現
れる点にある。
【0035】本発明では、このことを利用して、ラビン
グ時にロータを伝搬して、ロータ両端の軸受部に設置さ
れた音響センサで検出されるラビングAE信号の到達時
間差を、以下のようにして求める。
【0036】いま信号x(t) に、rで表される反射係数
の反射面で反射した反射波が、dという時間差をもって
重畳しているとき、その時間差dをケプストラム分析で
測定する方法は以下のようである。
【0037】まず信号x(t) およびその反射波の両者が
混じったy(t) は、次のように表される。
【0038】 y(t) =x(t) +r*x(t−d) ……(5) ここで、*は畳込み演算を表す。
【0039】そして、反射係数rがあまり複雑な性質を
もたず、x(t) が継続時間の短いパルス状の信号であれ
ば、遅延時間dは、波形に現れる2つのパルスの時間間
隔として容易に求められる。これに対し、x(t) が連続
的な信号の場合はそうはいかない。
【0040】しかし、ここで波形を形成する各周波数成
分に注目すると、反射波は時間遅れに基づく周波数に比
例した位相回転を受けており、これが原波形と重なるの
で、重なり合った波の周波数スペクトルは位相回転によ
る周期的変化が生じている。したがって、観測信号y
(t) の周波数スペクトルを調べれば、遅延時間dがわか
る。
【0041】そこで、式(5)の両辺のフーリエ変換を
行うと、次式が得られる。
【0042】 Y(f) =X(f) [1+R・exp(−j2πfd)] ……(6) ここで、Y(f) 、X(f) はそれぞれy(t)、x(t) の周
波数スペクトル、Rはrのフーリエ変換である。rが周
波数によってあまり変化せず、Rが実数とみなされるも
のとして、式(6)からy(t) のパワースペクトルを計
算すると次のようになる。
【0043】 | Y(f) |2 =| X(f) |2 [{1+R cos(2πfd)}2 + R2 ・ sin2 (2πfd)] =| X(f) |2 [1+R2 +2R・ cos(2πfd)] ……(7) すなわち、| Y(f) |2 は、原信号のパワースペク
トル| X(f) |2の大きさが周波数軸に沿って1/d
の周期で波打った形になる。もし、Rと|X(f) |2
とに周波数による激しい変化がないならば、| Y(f)
|2 の周波数による変化の周期を測定することにより
遅延時間dが求められる。
【0044】次に、式(7)の両辺の対数をとることに
より、右辺の積の形は次式のように和の形になる。
【0045】 log | Y(f) |2 =2・log | X(f) | +log [1+R2 +2R・ cos(2πfd)]……(8) この式(8)の右辺の第1項と第2項とが、周波数軸上
の全く違う範囲にあるのならば、これで分離できるわけ
である。ただし、X(f) は信号源のスペクトルで全周波
数範囲にわたる可能性があり、 cos(2πfd)は全周
波数帯にわたって一定振幅を保つ余弦波であるから、そ
れらは重なり合ってしまうのが普通である。
【0046】しかし、式(8)を見ると、第1項は信号
源x(t) のパワースペクトルであるから、x(t) が雑音
的な波形であれば、周波数による激しい変化がないこと
が期待でき、右辺の第2項は周期関数であるから、この
2つは明らかに異なる性質を持っている。
【0047】そこで、これを分離するために、式(8)
で表される対数パワースペクトルを周波数軸に沿っての
波形とみなし、その波形のフーリエ変換を行う。
【0048】 C(q) =F[log | Y(f) |2 ] =F[log | X(f) |2 ]+F[log {1+R2 +2R・ cos(2πfd)}] ……(9) この式(9)で定義されるC(q) の2乗は、対数パワー
スペクトルのパワースペクトルに相当するが、フーリエ
変換の性質から、それは時間領域の関数であり、スペク
トルと逆の性質をもつ。フーリエ変換の絶対値を2乗し
たものは、横軸の値がdになるところに鋭いピークを持
つ。これは、上記式(9)の第2項の基本成分である。
上記式(9)の値またはその2乗値が、ケプストラム
(CEPSTRUM)と言われる。
【0049】ケプストラムの横軸は、周波数軸上の関数
をフーリエ変換したものの横軸であるから時間の次元を
もつ。したがって、これはfrequency の最初の部分のつ
づりを逆転してquefrency (ケフレンシー)と言われ
る。
【0050】図6は、ラビング発生位置評定にケプスト
ラム分析を適用する場合の、基本的な考え方を図示した
ものである。この図6において、ラビング発生位置で生
じた音響信号x(t) は、その位置からのそれぞれの伝搬
経路を経て、軸受A1 (振動検出端A1 )では観測信号
x1 (t) 、 また軸受A2 (振動検出端A2 )では観測
信号x2 (t) として観測される。
【0051】ここで、軸受A1 での観測信号x1 (t) お
よび軸受A2 での観測信号x2 (t)の加算信号をy(t)
とすると、 y(t) =x1 (t) +x2 (t) ……(10) と表される。
【0052】ラビング発生位置で生じた音響信号x(t)
は、軸受A1 および軸受A2 で観測されるまでに、回転
機械内部の流体流動雑音等、ガウス性の不規則信号がい
ずれにも加わって観測されるものである。そして、近似
的には、x2 (t) は、x1 (t) がその伝搬経路差による
時間遅れdと反射係数r(すなわち、減衰係数と置き換
えられる)を考慮すれば、r・x1 (t) と置き換えて考
えることができる。
【0053】したがって、式(1)は、近似的に次のよ
うになる。
【0054】 y(t) =x1 (t) +r・x1 ( t−d) ……(11) この式(11)は、式(5)と同一であり、ケプストラム
分析によって、軸受A1 および軸受A2 でのAEセンサ
取付位置におけるラビング波形の到達時間差を求め得る
のがわかる。
【0055】すなわち、ケプストラム分析によるラビン
グ発生位置評定では、軸受A1 および軸受A2 で観測さ
れた、それぞれの音響信号x1 (t) 、x2 (t) の加算信
号を作り、ケプストラム分析処理を行う。ケプストラム
分析結果において、ピーク値を与えるケフレンシーが、
求めるラビング時に発生する音響信号の到達時間差dと
なる。この到達時間差dが求まれば、ラビング発生位置
は、一次元の位置評定式(3)または(4)によって計
算することができる。
【0056】このように、上記実施例では、蒸気タービ
ン、ガスタービン、圧縮機、発電機等の回転機械に、ラ
ビングすなわち回転部と静止部との接触が発生した場合
を説明している。この場合、ロータの触れ回り運動にし
たがって、接触部から一回転に一回づつ高帯域のAEが
発生する。
【0057】そこで、AE信号の包絡線検波後データに
対してケプストラム分析を行い、次に回転周波数時間に
相当するケフレンシーでのケプストラム値と回転機械の
運転状態に応じて選択した基準しきい値との比較判定か
ら、この回転に同期したAEの発生を検知することによ
って、ラビングの精度良い判定を行うものである。
【0058】さらに、ラビングの発生を判定した時に、
ラビング発生を検知した2つの(ロータ両端の軸受部で
の)包絡線検波後の音響信号を加算し、加算後のデータ
に対してケプストラム分析を行い、次に2つの(ロータ
両端の軸受部での)音響信号の到達時間差を、ケプスト
ラム分析結果においてピーク値を与えるケフレンシーと
して求め、この到達時間差から一次元の位置評定式によ
り、ラビング発生位置の精度良い評定を行うものであ
る。
【0059】なお、上記実施例においては、音響センサ
の取付位置を軸受部として説明したが、音響センサ取付
位置は、特に軸受部に限定するものではなく、その他例
えば蒸気タービンのパッキングケーシング部等でもよ
い。
【0060】
【発明の効果】本発明は、回転機械にラビングすなわち
回転部と静止部との接触が発生した場合、ロータの触れ
回り運動にしたがって発生するAE信号を包絡線検波
し、包絡線検波後データに対してケプストラム分析を行
い、次に回転周波数時間に相当するケフレンシーでのケ
プストラム値と回転機械の運転状態に応じて選択した基
準しきい値との比較判定から、この回転に同期したAE
の発生を検知するようにしたため、ラビングの精度良い
判定を可能にする。
【0061】また、ラビング発生を検知した2つの(ロ
ータ両端の軸受部での)包絡線検波後の音響信号を加算
し、加算後の信号に対してケプストラム分析を行い、次
に2つの(ロータ両端の軸受部での)音響信号の到達時
間差を、ケプストラム分析結果においてピーク値を与え
るケフレンシーとして求め、この到達時間差から一次元
の位置評定式より、ラビング発生位置を求めるようにし
たため、ラビング発生位置の精度良い評定を可能とする
ものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る装置の一実施例の全体構成を示す
説明図。
【図2】図1の装置における実施例の処理部15の構成
を示すブロック線図。
【図3】本発明の一実施例におけるラビング判定動作を
示すフローチャート。
【図4】図1の実施例におけるラビング発生位置評定動
作を示すフローチャート。
【図5】本発明におけるラビング発生位置評定の概念を
示す説明図。
【図6】本発明における音源の一次評定計算の説明図。
【符号の説明】
1 圧縮機 2 ガスタービン 3 発電機 4 蒸気タービン 5 共通軸 6 軸受 7 回転基準センサ 8 回転基準検出器 9 AE(音響)センサ 10 増幅器 11 フィルタ 12 包絡線検波器 13 A/D変換器 14 プロセスデータ 15 ラビング判定・位置評定処理部 16 表示装置 17 データ受信手段 18 データ格納領域 19 ラビング判定手段 20 ラビング判定基準しきい値格納領域 21 ラビング発生位置評定手段 22 表示出力手段

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】回転機械のラビング発生を判定する方法に
    おいて、 前記回転機械の回転部と静止部とが接触するときに発生
    する音響を検出して音響信号を取り出し、 この音響信号を包絡線検波処理して包絡線検波後データ
    を形成し、 この包絡線検波後データにケプストラム分析処理を行
    い、 前記回転機械の回転周波数に相当するケフレンシーでの
    ケプストラム値と前記回転機械の運転状態に応じて選択
    された基準値との比較を行い、 この判定結果からラビング判定を行うことを特徴とする
    回転機械のラビング判定方法。
  2. 【請求項2】請求項1記載の方法において、 前記基準値は、前記回転機械の回転数または前記回転機
    械の負荷のパラメータによって選択するようにした回転
    機械のラビング判定方法。
  3. 【請求項3】回転機械の軸受け部に設置され、該回転機
    械の回転部と静止部とが接触するときに発生する音響を
    検出する音響センサと、 この音響センサの検出信号を処理して包絡線を検出する
    包絡線検波器と、 この包絡線検波器の出力を受けてケプストラム分析を行
    う分析手段と、 この分析手段からのケプストラム分析結果におけるケフ
    レンシーでのケプストラム値を予め設定されている基準
    値と比較してラビング判定するラビング判定手段と、を
    そなえたプラント設置型回転機械のラビング判定装置。
  4. 【請求項4】回転機械のそれぞれ異なる位置に設けられ
    た複数の軸受け部に設置され、該回転機械の回転部と静
    止部とが接触するときに発生する音響を検出する複数の
    音響センサと、 これら音響センサの検出信号を各別に包絡線処理してそ
    れぞれの包絡線を検出する包絡線検波器と、 この包絡線検波器の出力を受けてそれらを加算した信号
    を形成する加算手段と、 この加算手段の出力につきケプストラム分析を行う分析
    手段と、 この分析手段からのケプストラム分析結果におけるケフ
    レンシーでのケプストラム値を予め設定されている基準
    値と比較してラビング判定するラビング判定手段と、 このラビング判定手段がラビング判定したとき、前記ケ
    プストラム分析結果におけるピーク値のケフレンシーを
    求めるピーク値検出手段と、 この求められたケフレンシーから一次元の位置評定式に
    基づきラビング発生位置の評定を行う位置評定手段と、
    をそなえたプラント設置型回転機械のラビング判定装
    置。
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