JP2001266873A - 非水二次電池用負極、その製造方法および前記負極を用いた非水二次電池 - Google Patents

非水二次電池用負極、その製造方法および前記負極を用いた非水二次電池

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JP2001266873A JP2000073219A JP2000073219A JP2001266873A JP 2001266873 A JP2001266873 A JP 2001266873A JP 2000073219 A JP2000073219 A JP 2000073219A JP 2000073219 A JP2000073219 A JP 2000073219A JP 2001266873 A JP2001266873 A JP 2001266873A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エネルギー密度が大きく、高容量の非水二次
電池用負極および非水二次電池を提供することを目的と
する。 【解決手段】 少なくともカーボンナノチューブと結着
剤を含む負極合剤含有ペーストを導電性基材の少なくと
も一部に塗布し、乾燥して負極合剤層を形成し、その負
極合剤層を120〜150℃で加圧成形することにより
負極合剤の充填密度を1.5g/cm3 以上にすること
によって非水二次電池用負極を製造し、その負極を用い
て非水二次電池を構成する。上記負極合剤含有ペースト
には、カーボンナノチューブ以外の炭素材料を含んでい
てもよく、前記カーボンナノチューブはX線広角回折に
よる(002)面の面間隔d002 が0.342nm以下
のものが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非水二次電池用負
極、その製造方法および前記負極を用いた非水二次電池
に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、負極に金属リチウムを用いた非
水二次電池では、充電時に生成するデンドライト状リチ
ウムによる内部短絡の発生が二次電池化への大きな障害
となっていた。また、リチウム電池などの非水二次電池
に対しては、電解質の溶媒として有機溶媒を用いている
関係もあって、厳しい安定性が要求されているが、負極
に金属リチウムやリチウム合金を用いた電池系では、前
記のようなデンドライト状リチウムによる内部短絡の発
生により、安全性の確保が非常に困難な状態にあった。
【0003】そのため、層状化合物のインターカレーシ
ョン反応を利用した新しいタイプの電極活物質が注目を
集めており、活性炭や黒鉛などの炭素材料を負極活物質
として用いることが提案されている。この炭素材料を負
極活物質として用いた負極は、上記のような金属リチウ
ムやリチウム合金を用いた負極とは製造方法が異なり、
炭素材料を結着剤と混合し溶剤でペースト状にした負極
合剤含有ペーストを導電性基材上に塗布し、乾燥して負
極合剤層を形成する工程を経て製造される。つまり、前
記乾燥により負極合剤含有ペースト中の溶剤などの揮発
性成分が除去されて、導電性基材上に負極合剤の層が形
成され、その工程を経て負極が製造される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記の炭素
材料はその層間にリチウムイオンがインターカレートす
ることにより充電される機構になっていることから、高
容量化のためにはリチウムイオンがインターカレートす
る量をできる限り多くすることが望ましい。
【0005】しかしながら、黒鉛構造の炭素材料の場
合、理論的には炭素原子6個に対してリチウムが最大1
個の割合で存在するのが上限であるため、それ以上にリ
チウムイオンがインタカレートする量を増やすことがで
きず、そのため、単位体積当りにリチウムイオンをイン
ターカレートできる量の多い炭素材料や、黒鉛の場合よ
りも炭素原子の割合が少ない状態でリチウムが存在でき
る炭素材料が要望されている。
【0006】一方、最近、炭素の同素体である中空円筒
状のカーボンナノチューブと呼ばれる特殊な炭素材料が
見出されている。このカーボンナノチューブは筒部分が
通常6員環で形成された炭素のシートが中空部を中心に
単層から数十層巻かれた構造を有し、その両端部は閉口
または開口されているが、このカーボンナノチューブは
黒鉛に比べて多くのリチウムイオンのインターカレート
ができ、また、チューブ内にリチウムイオンがインター
カレートした際、黒鉛の場合よりも少ない炭素原子でリ
チウムが存在でき、負極活物質に適する新規な炭素材料
として期待されている。
【0007】しかしながら、上記カーボンナノチューブ
を負極活物質として用い、結着剤と混合して溶剤でペー
スト状にした負極合剤含有ペーストを導電性基材上に塗
布し、乾燥して負極合剤層を形成する工程を経て負極を
製造したところ、黒鉛を負極活物質として用いた負極よ
りも単位体積当りの容量が小さくなり、カーボンナノチ
ューブの有する特性を有効に発揮させることができない
ことが判明した。
【0008】本発明は、上記のような問題点を解決し、
カーボンナノチューブの特性を有効に発揮させ、高容量
の非水二次電池用負極および非水二次電池を提供するこ
とを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、カーボンナノ
チューブを負極活物質として用い、少なくとも上記カー
ボンナノチューブと結着剤とを含む負極合剤含有ペース
トを導電性基材の少なくとも一部に塗布し、乾燥して負
極合剤層を形成し、その負極合剤層を120〜150℃
で加圧成形することによって負極合剤の充填密度を1.
5g/cm3 以上にした非水二次電池用負極を製造する
ことにより、上記課題を解決したものである。
【0010】本発明者が上記構成からなる本発明を完成
するにいたった経過および上記構成によって高容量が得
られるようになる理由について詳細に説明すると次の通
りである。
【0011】まず、本発明者は、前記のように、カーボ
ンナノチューブを通常の炭素材料を用いた場合と同様に
結着剤と混合して溶剤でペースト状にした負極合剤含有
ペーストを導電性基材の少なくとも一部に塗布し、乾燥
して負極合剤層を形成する工程を経て負極を製造し、そ
の容量密度を調べたところ、黒鉛を負極活物質として用
いて製造した負極と容量密度が変わらないかむしろ劣っ
ていることが判明した。
【0012】この原因について、検討したところ、カー
ボンナノチューブを負極活物質として用いた負極は負極
合剤の充填密度が黒鉛を負極活物質として用いた負極に
比べて小さく、そのため、容量密度が黒鉛を負極活物質
として用いた場合より小さくなったものと考えられる。
これを詳しく説明すると、カーボンナノチューブは、前
記のように6員環を有し、黒鉛構造を有する炭素材料の
1種であるが、結晶性は黒鉛と乱層構造の炭素材料との
中間に位置していて、そのチューブの中心は中空構造に
なっており、その中空の最内径は数nmとなっている。
カーボンナノチューブのこのような構造は負極としたと
きに内部に空間が生まれやすく、他の炭素材料(つま
り、カーボンナノチューブ以外の炭素材料)を負極活物
質として用いた非水二次電池用負極の作製時に負極合剤
の充填密度を向上させるために行っている加圧成形処理
では低密度の負極しか得られず、そのため体積当りの容
量密度が低下するものと考えられる。実際、上記のよう
にカーボンナノチューブを負極活物質として用いて負極
を製造し、その負極合剤の充填密度を測定したところ、
負極合剤の充填密度は1g/cm3 程度にしかならない
のに対し、同様の条件で黒鉛を負極活物質として用いて
製造した負極の負極合剤の充填密度は1.5g/cm3
程度もあり、カーボンナノチューブを負極活物質として
用いて製造した負極における負極合剤の充填密度は、黒
鉛を負極活物質として用いた負極における負極合剤の充
填密度に比べて、小さかった。
【0013】そのため、本発明者は、黒鉛を用いた場合
とほぼ同等の充填密度にまで向上させるため、加圧成形
時の圧力を高くする検討を行ったが、圧力を高くしても
負極合剤の充填性はそれほど向上せず、充填密度は思っ
たほどには高くならなかった。これは、負極合剤の充填
性を向上させるためには負極合剤中に含まれている炭素
材料が動く必要があるのに対し、通常の条件下では、カ
ーボンナノチューブは圧力によっては動きにくいためで
あると考えられる。
【0014】上記検討結果から、本発明者は、負極合剤
層を結着剤の軟化点以上の温度、特に120℃以上に上
昇させて加圧成形することによって、動きにくいカーボ
ンナノチューブの微粒子を空孔部がなくなるように再配
列することにより、黒鉛を負極活物質として用いた場合
よりも負極合剤の充填密度を高め得ることを見出した。
しかも、黒鉛を負極活物質として用いた負極では120
℃での加圧成形では負極合剤の充填密度の向上が室温の
場合に比べて10数%にすぎないのに対し、カーボンナ
ノチューブを負極活物質として用いた場合は実に50%
以上の向上効果があることが判明した。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の負極は、前記のように、
少なくともカーボンナノチューブと結着剤とを含む負極
合剤含有ペーストを導電性基材の少なくとも一部に塗布
し、乾燥して負極合剤層を形成し、その負極合剤層を1
20〜150℃で加圧成形して負極合剤の充填密度を
1.5g/cm3 以上にすることによって製造される
が、その加圧成形時の温度が120℃より低い場合は、
負極に使用されている結着剤の軟化点以下になるため、
負極合剤中の成分が動きにくくなり、負極合剤の充填密
度を1.5g/cm3 以上に向上させることができず、
一方、加圧成形時の温度が150℃より高い場合は、ポ
リフッ化ビニリデンなどの結着剤の結晶化が進み、負極
の柔軟性が低下するとともに、負極合剤の充填密度が低
くなる。
【0016】本発明において用いるカーボンナノチュー
ブとしては、酸化処理により少なくとも一方の端部に開
口部を有するものが好ましく、両端部が開口したカーボ
ンナノチューブがより好ましい。このような開口部を有
するカーボンナノチューブは硫酸または硝酸などによる
酸処理により得られることが知られている。前記開口部
の形状としては、リチウムイオンのインターカレートを
円滑にするために、傾斜形状が好ましい。また、カーボ
ンナノチューブの構造としては、単一のチューブのみか
らなる単層構造よりも、同心円筒状のチューブが多層構
造になっていることが好ましい。カーボンナノチューブ
が上記のような多層構造を有することにより、中心のチ
ューブ以外にも多層構造を構成するチューブ間にリチウ
ムイオンがインターカレートすることができ、容量を向
上させることができる。また、カーボンナノチューブ中
心の中空部の内径は1nm以上が好ましく、2nm以上
がより好ましく、また、10nm以下が好ましく、4n
m以下がより好ましい。その中空部の内径が1nm以上
であることによりリチウムイオンのインターカレーショ
ンをより円滑にし、10nm以下であることにより加圧
成形時における負極合剤の圧縮が容易になり、負極合剤
の充填密度を向上させやすくなる。そして、カーボンナ
ノチューブの外径は30nm以下が好ましく、20nm
以下がより好ましく、また、5nm以上が好ましく、1
0nm以上がより好ましい。カーボンナノチューブの外
径が5nm以上であることにより内部のリチウムイオン
の移動をスムーズに行わせ、30nm以下であることに
より黒鉛との差を保ち、カーボンナノチューブの特性を
より適正に発揮させる。
【0017】また、本発明において用いるカーボンナノ
チューブのX線広角回折による(002)面の面間隔d
002 は、0.345nm以下が好ましく、0.340n
m以下がより好ましく、0.338nm以下がさらに好
ましい。カーボンナノチューブのX線広角回折による
(002)面の面間隔d002 が0.345nm以下であ
ることによりカーボンナノチューブが高い結晶性を持つ
ようになり、リチウムイオンのインターカレーションす
る侵入サイトが増加し、高容量化がより達成しやすくな
る。
【0018】また、本発明において結着剤としては、従
来から炭素材料を負極活物質とする負極の製造にあたっ
て結着剤として用いられているものを使用することがで
き、その代表的なものとしては、例えば、ポリフッ化ビ
ニリデン、ポリフッ化エチレン、ゴム系ポリマー、ポリ
オレフィン系ポリマーなどが挙げられるが、それらの中
でもポリフッ化ビニリデンが高温での安定性の点から特
に好ましい。
【0019】また、本発明の負極には、その負極活物質
としてカーボンナノチューブとそれ以外の炭素材料を併
用してもよい。その場合、全炭素材料(つまり、カーボ
ンナノチューブとそれ以外の炭素材料とを合わせたも
の)中のカーボンナノチューブの含有量としては50体
積(vol)%以上であることが好ましい。すなわち、
カーボンナノチューブの含有量が50体積%より少ない
場合は、カーボンナノチューブの特性が現れにくくな
り、カーボンナノチューブ以外の炭素材料の特性が現
れ、高温で加圧成形しても負極合剤の充填密度を充分に
高くすることができなくなる。これは120〜150℃
という高温での加圧成形による負極合剤の充填密度の向
上がカーボンナノチューブの有する性質に基づいている
からである。なお、全炭素材料中のカーボンナノチュー
ブの含有量は透過型電子顕微鏡により測定することがで
きる。本明細書においては、カーボンナノチューブを負
極活物質と呼んでいるが、本明細書において、この負極
活物質とは、リチウムイオンをインターカレーション・
脱インターカレーションさせることができる機能を有し
ている物質という意味である。
【0020】本発明において用いる負極合剤含有ペース
トは、少なくともカーボンナノチューブと結着剤とを含
むものであればよく、この負極合剤含有ペーストには、
それらのほかに、カーボンナノチューブ以外の炭素材料
(例えば黒鉛化質炭素など)を含んでいてもよいし、ま
た、金属窒化物、金属酸化物やSi、Snなどの金属合
金などを含んでいてもよい。特にカーボンナノチューブ
とそれ以外の炭素材料とが併用された場合、とりわけカ
ーボンナノチューブと黒鉛とが併用された場合、電子伝
導性の向上により負極の単位体積当りの容量が向上する
ので好ましい。そして、この負極合剤含有ペーストは、
例えば、少なくともカーボンナノチューブを含む炭素材
料と結着剤とを混合して調製した負極合剤を溶剤でペー
スト状にするか、あるいは結着剤をあらかじめ溶剤に溶
解させておき、その結着剤含有溶液を少なくともカーボ
ンナノチューブと混合することによって、調製される。
ただし、負極合剤含有ペーストの調製方法は上記例示の
もののみに限られることはなく、他の方法によってもよ
い。溶剤としては、種々のものを用い得るが、特にN−
メチル−2−ピロリドンなどが好適に用いられ、また、
導電性基材としては、例えば、銅、ニッケル、アルミニ
ウム、ステンレス鋼などの箔、エキスパンドメタル、パ
ンチングメタル、網などを用い得るが、特に銅箔が好適
に用いられる。
【0021】上記のようにして製造される負極は、負極
合剤の充填密度を黒鉛を用いた場合と同程度にするため
にも、負極合剤の充填密度を1.5g/cm3 以上にす
る必要があり、1.6g/cm3 以上にすることが好ま
しく、1.7g/cm3 以上にすることがより好まし
い。この負極合剤の充填密度が大きくなると、理論的に
は容量が高くなるものの、あまりにも負極合剤の充填密
度が大きくなりすぎると電解液(液状電解質)が浸透し
にくくなる傾向があるので、2g/cm3 以下が好まし
く、1.8g/cm3 以下がより好ましい。
【0022】上記負極合剤の充填密度の向上は、導電性
基材の少なくとも一部に形成された負極合剤層を120
〜150℃で加圧成形することによって行われるが、そ
のような高温下での加圧成形によりカーボンナノチュー
ブが空間部がなくなるように再配列した状態になって圧
縮され、それによって、負極合剤の充填密度が向上す
る。
【0023】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、本発明はそのような実施例に例示のものに
限定されることはない。
【0024】実施例1 グラファイト電極を630Torrのヘリウム雰囲気中
で95A電流密度、28〜30Vでアーク放電すること
により得られたカーボンナノチューブを硫酸と硝酸との
モル比1:9の混合液中で120℃で2時間処理するこ
とによって両端部が傾斜形状に開口したカーボンナノチ
ューブ〔内径4nm、外径20nmで、(002)面の
面間隔d002 =0.341nm〕を得た。この酸処理で
得られたカーボンナノチューブを負極活物質として用
い、ポリフッ化ビニリデンを結着剤として用い、上記カ
ーボンナノチューブ90重量部とポリフッ化ビニリデン
10重部とを混合して負極合剤を調製し、その負極合剤
をN−メチル−2−ピロリドンに分散させて負極合剤含
有ペーストを調製し、得られた負極合剤含有ペーストを
厚さ10μmの銅箔からなる導電性基材の両面に塗布
し、乾燥して負極合剤層を形成した後、カレンダーロー
ルを用いて上記負極合剤層を120℃で30kg/cm
2 の圧力で加圧成形して負極を製造した。この負極にお
ける負極合剤の充填密度を、負極の重さと厚みを測定
し、それから導電性基材(銅箔)の重さと厚みを除き、
残りの部分の重さと厚みから計算によって求めたとこ
ろ、1.76g/cm3 であった。
【0025】実施例2 グラファイト電極を630Torrのヘリウム雰囲気中
で380A電流密度、28−30Vでアーク放電するこ
とにより得られたカーボンナノチューブを実施例1と同
様の硫酸と硝酸との混合液中で120℃で2時間処理す
ることによって少なくとも一方が傾斜形状に開口された
カーボンナノチューブ〔内径6nm、外径28nmで、
(002)面の面間隔d002 =0.339nm〕を得
た。この酸処理で得られたカーボンナノチューブを負極
活物質として用いた以外は、実施例1と同様に負極合剤
含有ペーストを調製し、得られた負極合剤含有ペースト
を実施例1と同様の厚さ10μmの銅箔からなる導電性
基材に実施例1と同様に塗布し、乾燥して負極合剤層を
形成した後、カレンダーロールを用いて上記負極合剤層
を150℃で30kg/cm2 の圧力で加圧成形して負
極を製造した。この負極における負極合剤の充填密度を
実施例1と同様に測定したところ、1.64g/cm3
であった。
【0026】実施例3 実施例1で用いたものと同様のカーボンナノチューブ8
0重量部と鱗片状黒鉛10重量部とポリフッ化ビニリデ
ン10重量部とを混合して負極合剤を調製し、その負極
合剤をN−メチル−2−ピロリドンに分散させて負極合
剤含有ペーストを調製し、得られた負極合剤含有ペース
トを用いた以外は、実施例1と同様にして負極を製造し
た。この実施例3において負極合剤層の加圧成形時の温
度はもちろん実施例1と同様に120℃である。この実
施例3の負極における負極合剤の充填密度を実施例1と
同様に測定したところ、1.75g/cm3 であった。
【0027】比較例1 実施例1の負極の製造において、カーボンナノチューブ
に代えて人造黒鉛を用いた以外は、実施例1と同様にし
て負極を製造した。この比較例1において負極合剤層の
加圧成形時の温度はもちろん実施例1と同様に120℃
である。この比較例1の負極における負極合剤の充填密
度を実施例1と同様に測定したところ、1.74g/c
3 であった。
【0028】比較例2 実施例1の負極の製造において、加圧成形時の温度を2
5℃に変更した以外は、実施例1と同様に負極を製造し
た。この負極における負極合剤の充填密度を実施例1と
同様に測定したところ、1.15g/cm3 であった。
【0029】比較例3 実施例2の負極の製造において、加圧成形時の温度を2
5℃に変更した以外は実施例2と同様に負極を製造し
た。この負極における負極合剤の充填密度を実施例1と
同様に測定したところ、0.83g/cm3 であった。
【0030】比較例4 実施例3の負極の製造において、加圧成形時の温度を2
5℃に変更した以外は、実施例1と同様に負極を製造し
た。この負極における負極合剤の充填密度を実施例1と
同様に測定したところ、1.22g/cm3 であった。
【0031】比較例5 実施例1の負極の製造において、加圧成形時の温度を8
0℃に変えた以外は、実施例1と同様にして負極を製造
した。この負極における負極合剤の充填密度を実施例1
と同様に測定したところ、1.25g/cm3 であっ
た。
【0032】比較例6 実施例1の負極の作製において、180℃で加圧成形し
た以外は、実施例1と同様にして負極を製造した。この
負極における負極合剤の充填密度を実施例1と同様に測
定したところ、1.23g/cm3 であった。
【0033】以上のようにして製造した実施例1〜3お
よび比較例1〜6の負極を用い、対極および参照極にリ
チウム箔を用いてモデルセルを組立て、25℃で0V対
Li/Li+まで充電した後、0.5mA/cm2 の電
流密度で1.5Vまで放電させたときの放電容量を測定
し、その放電容量に基づき負極の単位体積当りの容量密
度を求めた。その結果を加圧成形時の温度、加圧成形後
の負極合剤の充填密度とともに表1に示す。なお、上記
の負極の単位体積当りの容量密度は、正確に表現する
と、負極の負極合剤部分の単位体積当りの容量密度であ
るが、一般には負極の容量密度と呼ばれていることか
ら、本明細書においても同様に表現している。
【0034】
【表1】
【0035】表1に示すように、実施例1〜3の負極
は、比較例1〜6の負極に比べて、容量密度が大きく、
高容量が得られることが明らかであった。すなわち、カ
ーボンナノチューブを負極活物質として用い120〜1
50℃で加圧成形した実施例1〜2の負極やカーボンナ
ノチューブと黒鉛を併用して120℃で加圧成形した実
施例3の負極は、黒鉛のみを負極活物質として用いた比
較例1の負極に比べて、容量密度が高く、また、カーボ
ンナノチューブを用いていても、加圧成形時の温度が1
20〜150℃の範囲外で加圧成形した比較例2〜6の
負極に比べて、負極合剤の充填密度が大きく、高容量が
得られることが明らかであった。比較例1〜6の負極に
ついてさらに説明すると、比較例1の負極は、黒鉛を負
極活物質として用いているので加圧成形後の負極合剤の
充填密度は高くなるが(黒鉛の場合は25℃で加圧成形
した場合でも負極合剤の充填密度は1.50g/cm3
になる)、容量密度は実施例1〜3の負極に比べて小さ
く、比較例2〜5の負極は、カーボンナノチューブを負
極活物質として用いているものの、加圧成形時の温度が
低いため、負極合剤の充填密度が高くならず、得られた
負極の容量密度も小さかった。また、比較例6の負極
も、カーボンナノチューブを負極活物質として用いてい
るものの、加圧成形時の温度が高すぎるため、負極合剤
の充填密度が高くならず、容量密度も大きくならなかっ
た。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、本発明では、容量
密度が大きく、高容量の非水二次電池用負極を提供する
ことができた。また、その負極を用いることによって高
容量の非水二次電池を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 喜多 房次 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 Fターム(参考) 5H029 AJ03 AL06 AM02 CJ02 CJ03 CJ08 CJ22 HJ08 HJ13 HJ14 5H050 AA08 BA17 CA01 CB07 DA03 DA09 DA10 EA09 EA24 GA02 GA03 GA10 GA22 HA08 HA13 HA14

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともカーボンナノチューブと結着
    剤を含む負極合剤含有ペーストを導電性基材の少なくと
    も一部に塗布し、乾燥して負極合剤層を形成し、その負
    極合剤層を120〜150℃で加圧成形することによっ
    て負極合剤の充填密度を1.5g/cm3 以上にしたこ
    とを特徴とする非水二次電池用負極。
  2. 【請求項2】 カーボンナノチューブとカーボンナノチ
    ューブ以外の炭素材料と結着剤を含む負極合剤含有ペー
    ストを導電性基材の少なくとも一部に塗布し、乾燥して
    負極合剤層を形成し、その負極合剤層を120〜150
    ℃で加圧成形することによって負極合剤の充填密度を
    1.5g/cm3 以上にしたことを特徴とする非水二次
    電池用負極。
  3. 【請求項3】 前記カーボンナノチューブのX線広角回
    折による(002)面の面間隔d002 が0.342nm
    以下であることを特徴とする請求項1または2記載の非
    水二次電池用負極。
  4. 【請求項4】 少なくともカーボンナノチューブと結着
    剤を含み負極合剤含有ペーストを導電性基材の少なくと
    も一部に塗布し、乾燥して負極合剤層を形成し、その負
    極合剤層を120〜150℃で加圧成形することによっ
    て負極合剤の充填密度を1.5g/cm3 以上にするこ
    とを特徴とする非水二次電池用負極の製造方法。
  5. 【請求項5】 カーボンナノチューブとカーボンナノチ
    ューブ以外の炭素材料と結着剤を含む負極合剤含有ペー
    ストを導電性基材の少なくとも一部に塗布し、乾燥して
    負極合剤層を形成し、その負極合剤層を120〜150
    ℃で加圧成形することによって負極合剤の充填密度を
    1.5g/cm3 以上にすることを特徴とする非水二次
    電池用負極の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記カーボンナノチューブのX線広角回
    折による(002)面の面間隔d002 が0.342nm
    以下であることを特徴とする請求項4または5記載の非
    水二次電池用負極の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1、2または3記載の負極を用い
    たことを特徴とする非水二次電池。
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