JP2001261834A - 硫黄原子含有重合体およびその製造方法 - Google Patents
硫黄原子含有重合体およびその製造方法Info
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Abstract
芳香環を有する繰り返し単位によって構成された硫黄原
子含有重合体およびその製造方法の提供。 【解決手段】 この硫黄原子含有重合体は、下記式
(1)で示される構造の繰り返し単位によって構成さ
れ、下記式(2)で示される環状チオアリールエステル
を加熱重合することにより、得られる。重合用触媒とし
て、第四オニウム塩およびクラウンエーテル化合物から
選ばれたものが用いられる。 【化1】 【化2】
Description
体およびその製造方法に関する。
部材の材料として有用である。現在、光学部材の材料と
しては無機ガラスあるいは有機重合体が用いられている
が、特に、高い屈折率を有する透光性物質は、レンズ、
光学フィルターなどの材料として有用である。また、或
る光学特性を有する物質が膜形成能を有する場合には、
基材の表面にコート層を形成するための塗布材料とし
て、またフィルム形成材料として有用であり、更に高い
屈折率を有する場合には、これを屈折率の小さいものと
組合せて積層フィルムとすることにより、反射防止膜を
形成することができる。更に、当該物質が膜形成能を有
しない場合であっても、これを適当なバインダーと組合
せることによってフィルムを形成することができ、従っ
て当該物質の有する光学特性を利用して、例えば高屈折
率層の形成に利用することができる。
な事情を背景として、分子中に多数の硫黄原子を有する
或る種の環状チオアリールエステルに着目し、その化学
的諸特性を知る目的で種々の研究を行った結果として得
られたものである。具体的には、特定の化学構造を有す
る環状チオアリールエステルが、特定の化合物からなる
触媒の存在下において加熱すると重合し、その結果、高
い密度で硫黄原子を含有すると共に多数の芳香環を有す
る繰り返し単位によって構成された硫黄原子含有重合体
が生成されることが本発明者らによって見出され、これ
により、本発明が完成されたものである。
有すると共に多数の芳香環を有する繰り返し単位によっ
て構成された硫黄原子含有重合体を提供することにあ
る。本発明の他の目的は、上記の硫黄原子含有重合体の
製造方法を提供することにある。
合体は、下記式(1)で示される繰り返し単位によって
構成されるものである。
(2)で示される環状チオアリールエステル(以下「特
定の環状チオアリールエステル」という。)を加熱重合
して得られる。
は、特定の環状チオアリールエステル化合物を、第四オ
ニウム塩よりなる触媒の存在下において加熱することに
より重合させることを特徴とする。この場合に、加熱温
度は160℃〜240℃とされることが好ましい。
方法は、特定の環状チオアリールエステル化合物を、ク
ラウンエーテル化合物よりなる触媒の存在下において加
熱することにより重合させることを特徴とする。この場
合に、加熱温度は200℃〜260℃とされることが好
ましい。
体が提供される。この硫黄原子含有重合体は、その繰り
返し単位が、高い密度で硫黄原子を含有すると共に多数
の芳香環を有する構造を有し、大きい分子量を有する安
定な重合体である。従って、全体として構造的に嵩高い
ものでありながら高い屈折率を有することによって光学
部材の材料として有用であり、例えば反射防止膜を構成
する高屈折率層の形成に用いることができる。また、本
発明の製造方法によれば、上述の硫黄原子含有重合体を
製造することができる。
体およびその製造方法について、具体的に説明する。本
発明においては、原料化合物として上記の式(2)で示
される特定の環状チオアリールエステルを用い、これ
を、特定の化合物よりなる重合用触媒の存在下におい
て、加熱重合することにより、硫黄原子含有重合体を製
造する。ここに、重合用触媒としては、第四オニウム塩
およびクラウンエーテル化合物から選ばれたものが用い
られる。
として用いられる特定の環状チオアリールエステルは、
例えば、下記の反応式(1)に示すように、4,4′−
チオビスベンゼンチオール(TBBT)と、適宜のフェ
ニレンジカルボン酸ハロゲン化物、例えばフタル酸クロ
リド(PC)とを付加反応させることにより、環状チオ
アリールエステル(CTE)を合成する方法により、調
製されるものである。
物としては、フタル酸クロリドのほか、例えばフタル酸
ブロミド、その他を挙げることができる。このフェニレ
ンジカルボン酸ハロゲン化物は、そのベンゼン環に置換
基を有するものであってもよい。
第四オニウム塩またはクラウンエーテル化合物を重合用
触媒として用いることにより、実行することができる。
ここに、溶剤の具体例としては、例えば塩化メチレン、
トルエン、クロロベンゼン、アニソール、酢酸エチル、
メチルセロソルブアセテート、N−メチルピロリドン、
N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホル
ムアミド、ジメチルスルホキシド、o−ジクロロベンゼ
ン、その他を挙げることができる。
の第四オニウム塩およびクラウンエーテル化合物として
は、後述する特定の環状チオアリールエステルの重合用
触媒として掲げられている、種々の第四オニウム塩およ
びクラウンエーテル化合物から選ばれたものを用いるこ
とができ、その使用割合は、反応原料化合物の合計量に
対して、通常、1〜20質量%、好ましくは5〜10質
量%である。この付加反応の反応温度は、通常、60〜
180℃、好ましくは80〜150℃、より好ましくは
80〜120℃であり、反応時間は、通常、6〜96時
間である。上記の反応により、式(2)で示される特定
の環状チオアリールエステル(CTE)が得られる。
4,4′−チオビスベンゼンチオール(TBBT)と2
分子のフェニレンジカルボン酸ハロゲン化物とによる原
子団が交互に結合された環状体構造を有し、1分子中に
6個の硫黄原子が含有されたものであって、熱的に安定
な化合物である。
ルエステル(CTE)は、特定の重合用触媒の存在下に
おいて加熱することにより重合するので、これにより、
繰り返し単位が、高い密度で硫黄原子を含有すると共に
多数の芳香環を有する硫黄原子含有重合体が得られる。
リールエステルを重合させるための重合用触媒として、
第四オニウム塩およびクラウンエーテル化合物から選ば
れたものか用いられる。
具体例としては、例えばテトラブチルアンモニウムクロ
リド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチ
ルアンモニウムヨード、テトラブチルアンモニウムアセ
テート、テトラブチルホスホニウムクロリド、テトラブ
チルホスホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウ
ムクロリド、テトラフェニルホスホニウムブロミド、セ
チルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラプロピル
アンモニウムブロミド、ベンジルトリエチルアンモニウ
ムクロリド、その他を挙げることができる。これらは1
種のみでなく、2種以上を併用することもできる。
ルホスホニウムクロリド、テトラブチルホスホニウムブ
ロミド、テトラフェニルホスホニウムクロリドおよびテ
トラフェニルホスホニウムブロミドが好ましく、更に、
対イオンが臭素イオンとなるものが好ましい。特に、テ
トラブチルホスホニウムブロミドによれば、高い分子量
の硫黄原子含有重合体を得ることができる。
いて、例えば160℃以上の温度で加熱することによ
り、特定の環状チオアリールエステルを重合させること
ができる。この第四オニウム塩よりなる重合用触媒の使
用割合は特に限定されるものではないが、特定の環状チ
オアリールエステルに対して例えば0.1〜20モル%
の範囲であり、更に0.5〜10モル%の範囲が好まし
く、実際上は例えば1モル%またはそれ以上であること
が好ましい。
いずれも限定されるものではなく、実際に用いる第四オ
ニウム塩の種類およびその使用割合、目的とする重合体
の分子量、その他の条件に応じて適宜の温度および時間
とすることができる。一般的には、加熱温度は140℃
〜300℃の範囲とされ、特に160℃〜240℃の範
囲が好ましく、加熱時間は例えば数分間から数時間とさ
れる。
ドを1モル%の使用割合で用いた場合には、後述する実
験例から明らかなように、160℃またはその近傍の加
熱温度において、約10分間の加熱時間で比較的大きな
分子量を有する重合体が得られる。重合用触媒として第
四オニウム塩を用いた場合に得られる重合体は、通常、
その数平均分子量Mnが例えば50000以下のものと
なる。
反応 本発明において、重合用触媒とされるクラウンエーテル
化合物は、クラウンエーテルと、アルカリ金属塩とによ
り構成される錯体または塩である。クラウンエーテルの
具体例としては、例えば18−クラウン−6−エーテ
ル、ジベンゾ−18−クラウン−6−エーテル、ジシク
ロヘキシル−18−クラウン−6−エーテル、その他を
挙げることができ、一方、アルカリ金属塩の具体例とし
ては、例えば塩化カリウム、臭化カリウム、沃化カリウ
ム、塩化セシウム、カリウムフェノキシド、ナトリウム
フェノキシド、安息香酸カリウム、その他を挙げること
ができる。クラウンエーテルとアルカリ金属塩は、適宜
の組合せで用いることができ、また、いずれも、1種の
みでなく、2種以上を併用することができる。
は、例えば18−クラウン−6−エーテル/塩化カリウ
ム、ジシクロヘキシル−18−クラウン−6−エーテル
/塩化カリウム、ジベンゾ−18−クラウン−6−エー
テル/塩化カリウム、18−クラウン−6−エーテル/
臭化カリウム、ジシクロヘキシル−18−クラウン−6
−エーテル/臭化カリウム、ジベンゾ−18−クラウン
−6−エーテル/臭化カリウムを挙げることができる。
合には、その存在下において、例えば200℃以上の温
度で加熱することにより、特定の環状チオアリールエス
テルを重合させることができる。このクラウンエーテル
化合物よりなる重合用触媒の使用割合は特に限定される
ものではないが、第四オニウム塩の場合と同様に、特定
の環状チオアリールエステルに対して例えば0.1〜2
0モル%の範囲であり、更に0.5〜10モル%の範囲
が好ましく、実際上は例えば1モル%またはそれ以上で
あることが好ましい。
第四オニウム塩の場合と同様に、いずれも限定されるも
のではなく、実際に用いるクラウンエーテル化合物の種
類およびその使用割合、目的とする重合体の分子量、そ
の他の条件に応じて適宜の温度および時間とすることが
できる。実際に必要な加熱温度は、第四オニウム塩の場
合よりも高く、例えば180℃〜320℃の範囲とさ
れ、特に200℃〜260℃の範囲が好ましく、加熱時
間は例えば数分間から数時間である。
を用いる場合には、第四オニウム塩を用いる場合に比し
て最大分子量が大きい重合体が得られ、例えば数平均分
子量Mnが100000以上のものを得ることもでき
る。
りなる重合用触媒による特定の環状チオアリールエステ
ルの重合反応は固相反応であり、得られる重合体は、当
該環状チオアリールエステルが開環して重合した重合体
であり、下記の式(1)に示される構造の繰り返し単位
によって構成される。nは繰り返し数である。
重合用触媒として実際に用いられる第四オニウム塩また
はクラウンエーテル化合物の種類および使用割合によっ
て分子量が異なったものとなり、また重合反応の条件に
よっても分子量の異なった重合体が得られる。
ると、得られる重合体の分子量が増大する傾向がある
が、重合用触媒の使用割合に比例的に分子量が増大する
ものではなく、増大の程度は僅かである。なお、重合用
触媒は、第四オニウム塩およびクラウンエーテル化合物
のいずれの場合も、十分に乾燥させたものを用いること
が好ましく、これにより、十分な触媒活性を得ることが
できる。
高い温度を採用すると、重合反応速度が大きくなり、或
る温度までは得られる重合体の分子量は増大するが、加
熱温度が更に高くなると、得られる重合体は分子量の小
さいものとなる。加熱温度が低過ぎる場合には、重合反
応そのものが生じない。また、加熱時間が長くなると重
合転化率は増加するが、加熱時間の長さに応じて生成重
合体の分子量が増大するものではなく、加熱時間が短い
間は或る程度重合体の分子量が増大するが、反応時間が
あまり長くなると、得られる重合体の分子量は著しく小
さいものとなる。これは、加熱時間が長くなると、生成
した重合体に熱分解が生じるためと考えられる。なお、
これらの事情は、後述する実施例および実験例の結果か
らも明らかである。
ステルを加熱重合することによって硫黄原子含有重合体
が得られる。この重合体の分子量は、重合反応の条件に
よっても異なるが、例えば数平均分子量Mnが概略10
00〜200000の範囲のものが得られる。この重合
体は、特定の環状チオアリールエステルの構造に基づい
て、繰り返し単位が高い密度で硫黄原子を含有すると共
に多数の芳香環を有するものであり、相当に長い鎖状の
分子中に多数の硫黄原子が含有された構造的に嵩高いも
のである。従って、この硫黄原子含有重合体は、硫黄原
子の密度が高いことによって高い屈折率を有するもので
あり、しかも安定な重合体である。
具体的に説明するが、本発明がこれらに限定されるもの
ではない。 調製例〔特定の環状チオアリールエステルの調製〕容量
1リットルの三つ口フラスコに、相間移動触媒であるセ
チルトリメチルアンモニウムブロミド(CTMAB)
0.66ミリモル(0.240g)を採り、これに、塩
化メチレン300ミリリットルと蒸留水50ミリリット
ルを加えて攪拌して触媒溶液を調製した。一方、フタル
酸クロリド(PC)の9.9ミリモル(2.010g)
を塩化メチレン66ミリリットルで希釈してフタル酸ク
ロリド溶液を調製した。また水酸化ナトリウム3.6ミ
リモル(0.144g)を蒸留水12ミリリットルに溶
解させたものに4,4′−チオビスベンゼンチオール
(TBBT)の1.8ミリモル(0.451g)を加え
て得られた溶液を調製した。そして、フタル酸クロリド
溶液の9ミリモル相当分と、4,4′−チオビスベンゼ
ンチオール溶液の9ミリモル相当分とを、触媒溶液に、
約6時間をかけて室温で滴下し、その後1時間攪拌し
た。その後、塩化メチレン層を食塩水で3回洗浄した
後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、塩化メチレンを
減圧留去し、得られた固形物を脱水クロロホルムで再結
晶法により精製して、白色板状結晶固体2.06gを得
た。収率は60%である。以下、この化合物を「重合用
化合物A」という。
68℃であり、赤外線吸収スペクトル、核磁気共鳴吸収
スペクトル、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ
ー、並びに質量測定により、式(2)で示される環状チ
オアリールエステルであることが確認された。この重合
用化合物Aの赤外線吸収スペクトルを図1に、また13C
のNMRスペクトルを図2に示す。また、質量測定で
は、762.8(m/z)にシグナルが観察されたが、
これは、環状チオアリールエステル二量体の計算値76
1.0にプロトン分を加えた値762.0とよく一致す
るものである。
に対する溶解性を調べたところ、メチルアルコール、酢
酸エチル、アセトン、クロロホルム、テトラヒドロフラ
ン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、1
−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシドおよ
びジオキサンのいずれに対しても実質上溶解しないもの
であった。また、重合用化合物Aに対して熱天秤示差走
査熱分析を行って加熱に対する性状の変化を調べたとこ
ろ、加熱温度が300℃に達するまでは特に変化は見ら
れなかったが、312℃において熱分解することが確認
された。
に相当するテトラブチルホスホニウムブロミド0.14
mgとを、めのう製乳鉢で混合し、得られた混合試料に
ついて、熱重量減少測定装置「TG/DTA220」
(セイコーインストルメント社製)を用いて、温度18
0℃で10分間の加熱処理を行った。この加熱処理によ
って得られた試料について、ゲルパーミエーションクロ
マトグラフィーによる分析を行ったところ、図3におい
て曲線(イ)で示す結果が得られた。なお、図3におい
て曲線(ロ)は、加熱処理されていない試料についての
結果である。
0℃で10分間の加熱処理によって変化が生じているこ
とが理解される。そして、加熱処理によって得られた試
料について分析したところ、その数平均分子量Mnが1
4400、分子量分布(Mw/Mn)が1.72の重合
体であることが確認された。この重合反応における重合
転化率は57%であった。図4は、この重合体につい
て、溶媒として重クロロホルムを用いて室温で得られた
13CのNMRスペクトルである。また、得られた重合体
の形態は、加熱処理前と同様の粉末状であり、このこと
から、この重合反応が固相で生じていることが認められ
た。
(TBPB)、テトラブチルホスホニウムクロリド(T
BPC)、テトラフェニルホスホニウムブロミド(TP
PB)およびテトラフェニルホスホニウムクロリド(T
PPC)の各々を5モル%となる割合で用い、実施例1
と同様の条件に従って重合用化合物Aと混合し、得られ
た混合試料の各々について、140℃〜280℃の範囲
内の種々の温度で加熱処理を行い、得られた物質につい
てその数平均分子量Mnを測定した。結果は図5に示す
とおりである。
てテトラブチルホスホニウムブロミドを用いた場合にお
いて加熱処理の温度が160℃のときは、数平均分子量
Mnが21800、分子量分布(Mw/Mn)が1.5
7の重合体が生成されることが確認された。また、得ら
れた結果の比較から、重合用触媒の第四オニウム塩とし
ては、対イオンが臭素イオンのものは、塩素イオンのも
のに比して、高分子量の重合体が得られることが理解さ
れる。
上記の第四オニウム塩を用いる場合においては、加熱温
度が160℃以上の高温で加熱処理を行うことによって
重合体が生成されること、並びに、加熱温度が或る程度
以上高くなると重合体は分子量が小さいものとなり、加
熱温度が160℃〜200℃の範囲である場合に、分子
量が最大となる重合体が得られることが理解される。
化カリウム(18−C−6/KCl)、ジシクロヘキシ
ル−18−クラウン−6−エーテル/塩化カリウム(D
CH18−C−6/KCl)およびジベンゾ−18−ク
ラウン−6−エーテル/塩化カリウム(DB18−C−
6/KCl)の各々を5モル%となる割合で用い、実施
例1と同様の条件に従って重合用化合物Aと混合し、得
られた混合試料の各々について、140℃〜300℃の
範囲内の種々の温度で加熱処理を行い、得られた物質に
ついてその数平均分子量Mnを測定した。結果は図6に
示すとおりである。
てジベンゾ−18−クラウン−6−エーテル/塩化カリ
ウムを用いた場合において加熱処理の温度が220℃の
ときは、数平均分子量Mnが167000、分子量分布
(Mw/Mn)が1.74の重合体が生成されることが
確認された。
上記のクラウンエーテル化合物を用いる場合において
は、加熱温度が200℃以上の高温で加熱処理を行うこ
とによって重合体が生成されること、並びに、加熱温度
が或る程度以上高くなると重合体は分子量が小さいもの
となり、加熱温度が200℃〜240℃の範囲である場
合に、分子量が最大となる重合体が得られることが理解
される。
ウンエーテル化合物において、アルカリ金属塩として塩
化カリウムの代わりに臭化カリウムを用い、それ以外は
全く同様にして実験を行った。結果は図7に示すとおり
である。
てジベンゾ−18−クラウン−6−エーテル/臭化カリ
ウムを用いた場合において加熱処理の温度が220℃の
ときは、数平均分子量Mnが161000、分子量分布
(Mw/Mn)が1.88の重合体が生成されることが
確認された。また、図7の結果から、重合体の分子量に
対する加熱温度の影響は、クラウンエーテル化合物のア
ルカリ金属塩が塩化カリウムの場合と同様の状況である
ことが理解される。
−6−エーテル/沃化カリウム(18−C−6/KI)
を5モル%となる割合で用い、実施例1と同様の条件に
従って重合用化合物Aと混合し、得られた混合試料につ
いて240℃で10分間の加熱処理を行ったところ、数
平均分子量Mnが88900、分子量分布(Mw/M
n)が1.85の重合体が得られた。
ニウム塩およびクラウンエーテル化合物から選ばれた特
定の化合物よりなる重合用触媒の存在下において、特定
の環状チオアリールエステルを加熱することにより、そ
の重合体である硫黄原子含有重合体を得ることができ、
特に、クラウンエーテル化合物を用いる場合には、分子
量の大きい重合体を得ることができる。この硫黄原子含
有重合体は、その繰り返し単位が高い密度で硫黄原子を
含有すると共に多数の芳香環を有するものであり、構造
的に嵩高いものでありながら高い屈折率を有することに
よって光学部材の材料として有用である。また、本発明
によれば、上記の硫黄原子含有環状化合物を製造するこ
とのできる方法が提供される。
(重合用化合物A)の赤外線吸収スペクトル図である。
収スペクトル図である。
おいて加熱処理した重合用化合物Aについてのゲルパー
ミエーションクロマトグラフィーの結果を示す曲線図で
ある。
磁気共鳴吸収スペクトル図である。
い、種々の温度で加熱処理した実験例1により得られた
物質の各々について、数平均分子量Mnを測定した結果
を示すグラフである。
化カリウムを用い、種々の温度で加熱処理した実験例2
により得られた物質の各々について、数平均分子量Mn
を測定した結果を示すグラフである。
化カリウムを用い、種々の温度で加熱処理した実験例3
により得られた物質の各々について、数平均分子量Mn
を測定した結果を示すグラフである。
Claims (6)
- 【請求項1】 下記式(1)で示される繰り返し単位に
よって構成される硫黄原子含有重合体。 【化1】 - 【請求項2】 下記式(2)で示される環状チオアリー
ルエステルを加熱重合して得られる硫黄原子含有重合
体。 【化2】 - 【請求項3】 請求項2に記載の式(2)で示される環
状チオアリールエステルを、第四オニウム塩よりなる触
媒の存在下において加熱することにより重合させること
を特徴とする硫黄原子含有重合体の製造方法。 - 【請求項4】 加熱温度が160℃〜240℃であるこ
とを特徴とする請求項3に記載の硫黄原子含有重合体の
製造方法。 - 【請求項5】 請求項2に記載の式(2)で示される環
状チオアリールエステルを、クラウンエーテル化合物よ
りなる触媒の存在下において加熱することにより重合さ
せることを特徴とする硫黄原子含有重合体の製造方法。 - 【請求項6】 加熱温度が200℃〜260℃であるこ
とを特徴とする請求項5に記載の硫黄原子含有重合体の
製造方法。
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JP2000070553A JP2001261834A (ja) | 2000-03-14 | 2000-03-14 | 硫黄原子含有重合体およびその製造方法 |
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