JP2001260260A - 段ボールシート - Google Patents

段ボールシート

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JP2001260260A
JP2001260260A JP2000070687A JP2000070687A JP2001260260A JP 2001260260 A JP2001260260 A JP 2001260260A JP 2000070687 A JP2000070687 A JP 2000070687A JP 2000070687 A JP2000070687 A JP 2000070687A JP 2001260260 A JP2001260260 A JP 2001260260A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 印刷後に発生するウォッシュボードパターン
が少なく面感が良好で、さらに印刷後の段潰れも小さい
ため、段ボールとして使用する際の箱圧縮強度も低下す
ることなく使用できる段ボールシート。 【解決手段】 波形に成形した紙シートの両面に、ある
いは片面に平坦な紙シートを貼合した段ボールシートに
おいて、該紙シートの少なくともいずれか一つが、機械
パルプ、カールドファイバー、またはマーセル化パルプ
の少なくとも1種から選ばれたパルプを主体とする紙層
を有し、その紙層の密度が0.20〜0.70g/cm3
である段ボールシート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、剛度が高く、高い
耐久性を保持することのできる段ボールシートであり、
特に、多色のフレキソ、オフセット印刷を施す場合に要
求される、印刷面感を向上させた低米坪で剛度の高い段
ボールシートに関する。
【0002】
【従来の技術】従来の段ボールは古紙を主体としたもの
が用いられておりその圧縮強度を高くするには米坪を高
くする方法がとられる。しかし、最近の環境問題の変化
や容器包装の簡略化によりゴミの量を減量しようとする
動きがある。各種包装容器の減量化はゴミ問題だけでな
く、地球温暖化の対策としても要請されている。段ボー
ルなどの包装材料として用いる場合においてもその環境
負荷を最小限にすることが求められている。特に、二酸
化炭素の放出にともなう地球温暖化の問題では、パルプ
の出発物質となる木材が二酸化炭素を固定するとはいっ
ても、その使用は最小限にすべきである。そのため、省
資源包装を目的として二重包装を廃止したり、包装その
ものを省略する方法もとられているが、内容物の保護
が、包装の目的であり、その信頼性を格段に向上させる
という意味で、環境負荷の少ない軽量で剛度の高い段ボ
ールシートを使用することが望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】段ボールシートは段ボ
ール箱を始めとする容器素材としての利用が主である。
特に、その構造から発現される高い箱圧縮性能を利用し
て、比較的低米坪な原紙を用い、段高を低くして段山数
を増やしたマイクロフルートと称される段ボールなども
開発されている。このような段ボールの段高は1.2m
m、0.8mm、0.5mmなどの小さいものである
が、近年、坪量が300〜600g/cm2の白板紙代替
としての使用事例も見られるようになってきた。
【0004】このような使用事例、たとえば白板紙使用
と同様のオフセット印刷やグラビア印刷を施した場合、
段ボール構造形成後のシート表面にウォッシュボードパ
ターンと称される、中芯の段山構造が出っぱって洗濯板
状に浮き出て見える波状パターンが残存しやすく、波状
部の山部分と谷部分で印刷濃度に差が出て中芯の段跡が
出てしまい面感を損ない問題であった。一方、紙器とし
て使用する場合の箱圧縮強度は同一坪量の板紙を使用し
たものの箱圧縮強度と比較すると、段ボールシートは中
芯と外装シートによる段ボール構造をとるために厚さが
厚くなり、また段ボール構造体として形状的にも強くす
ることができ、同一重量では強度は強くでき、有利であ
る。しかし、先に述べた印刷を施した場合、高い印圧が
かかり、段ボールの構造、すなわち、波形を形成した中
芯シートの両側にシートを貼りつけた段ボール構造の段
高が潰れてしまい、本来発現すべき強度が出なくなって
しまうことなどの問題があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は段ボール用の紙
シートの密度に注目し、上記目的を達成するため、波
形に成形した中芯の両面、あるいは片面に平坦な紙シー
トを貼合した段ボールシートにおいて、該紙シートの少
なくともいずれかが機械パルプ、カールドファイバー、
またはマーセル化パルプの少なくとも1種から選ばれた
パルプを主体とする紙層を含み、その紙層の密度が0.
20〜0.60g/cm3であることを特徴とする段ボー
ルシートとし、紙シートが3層以上の多層抄き合わせ
紙シートであり、その紙シートの最外層の密度が0.7
0〜0.90g/cm3であることを特徴とする記載の
段ボールシート、波形に成形した中芯の両面にあるい
は片面に平坦な紙シートを貼合した段ボールシートにお
いて、該紙シートの少なくともいずれかが3層以上の多
層抄き合わせ紙シートであり、さらに該シートが機械パ
ルプ、カールドファイバー、またはマーセル化パルプの
少なくとも1種から選ばれたパルプを主体とする紙層を
含み、該紙シートの全体の密度が0.40〜0.70g
/cm3であることを特徴とする段ボールシート、を用い
るものとした。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明に用いられる紙シートは、
段ボールにした場合の剛度と印刷性能を向上させるため
に用いられるものであり、抄紙機の複数のワイヤーパー
トから抄きあげた多層のシートを乾燥して得られるもの
である。さらにシート全体の密度が0.50〜0.70
g/cm3の嵩高シートである。この密度で嵩高であり剛
度の高いシートを得るためには、このシートのいずれか
の層が、0.20〜0.70g/cm3の密度をもつこと
が必要である。複層の場合はこれらの密度のものをおの
おの適宜選んで構成する。これら複層構造以上のシート
の場合は、段ボール箱の外側に位置する部位に配置する
紙シートの層構成において、オモテ面には、密度が0.
70〜0.90g/cm3のものからなる紙層を形成して
前記紙粉などの発生を防止して対応することが好まし
い。
【0007】3層以上の構成からなるシートの場合、中
層は密度が0.20〜0.60g/cm3と低くして嵩を
得るための層として形成し、この中層に接して外層とし
て形成される紙層の密度を0.70〜0.90g/cm3
と高くして形成することにより中層に形成された低密度
層のヤング率の低下を、外層の高密度層を加えることに
より補完するとともに、サンドイッチ構造を作り、剛度
が高い包装材料を得ることができる。これらのサンドイ
ッチ構造で示す、外層とは中層よりも外側に位置する層
であり中層と実質的に接しているか、あるいは別の層を
介して外側に位置している層であり、最外層に存在する
層を指す。これらのサンドイッチ構造は低い密度の中層
を、それより高い密度の外層で補完するように構成され
ていればよく、つまり、低密度な中層以外の層はすべて
外層とした構成である。
【0008】シートの剛度Sはシートを片持ち梁と考え
たとき、S=E・I/B・W=E・T3/12・W、
(E:ヤング率MPa、I:断面二次モーメントN・c
2、B:試料巾mm、W:試料重量kg、T:試料厚
さmm)で示され、剛度Sはヤング率とシート厚さの3
乗に比例すると考えることができる。
【0009】さらに板紙のような積層構造のシートの剛
度は、Tappi Nov、1963、Vol.46、
No.11のA.T.Lueyによると、同様に前述の
式を用いて、それぞれの層のヤング率と断面二次モーメ
ントから、各層の剛度値を求め、それら各層の剛度値の
和で全層の剛度値が求められるとしている。この考え方
に基づけば、紙の厚さ中心からの距離が遠いほど、すな
わち紙厚さが厚いほど剛度が出るので、中層は嵩高にす
れば良い。また、剛度は厚さの3乗とヤング率の積で示
されるのでヤング率は外層ほど高い方が剛度向上に効果
的である。
【0010】このことから、中層の密度は0.20〜
0.60g/cm3である。0.20g/cm3未満にしよ
うとすると層間強度の低下が激しく、0.60g/cm3
を越えると目的とする最終的なシートの密度を得ること
ができない。さらに好ましい中層の密度は0.30〜
0.50g/cm3である。外層に形成する紙層の密度
は、0.70〜0.90g/cm3である。0.70g/
cm3未満であるとヤング率の低下を招き、剛度の向上
が期待できない。一方、外層の密度は高い方がヤング率
向上という意味では良いが、抄紙段階で0.90g/c
3を越える密度を得ることは実質的に困難であるのが
現状である。
【0011】このように、剛度を向上させるため、中層
のいずれの側にも外層を形成し、さらに外層のヤング率
を上げることが好ましいが、外層の一方の面のみ、密
度、ヤング率を高くした外層を設け、その外層のみの高
密度化で全体の密度が上昇することを抑止する方法も可
能である。この方法により、もう一方の面では密度、ヤ
ング率は上げずに、全体の厚さを薄くすることなく、剛
性とヤング率をバランスさせて、なお、操業性を改善す
ることもできる。ただし、表と裏のいずれの外層も密
度、ヤング率を高くした場合に比べ、剛度向上の程度は
小さくなる。しかしながら、外層に高いヤング率を持た
ない場合や一層で構成して全体の密度を0.50〜0.
70g/cm3とした場合に比べて、前述したようにサン
ドイッチ構造をとるために、剛性の高いシートを得るこ
とができる。
【0012】外層に用いる密度を高くするパルプとして
は、特段の制約はなく、どの種類のパルプを選択しても
かまわないが、NUKP、NBKP、などのN材(針葉
樹)パルプの叩解度を高くして剛度を失わないようにす
る。これらサンドイッチ構造を効果的なものとするため
には、最外層の坪量は15〜100g/cm2であること
が好ましい。すなわち15g/cm2未満であると抄紙で
きないか、できても高ヤング率発現の効果は小さい。一
方100g/cm2を越えると相対的に中層の坪量が減
り、嵩高な構造ができにくいからである。
【0013】シートの製造方法として、一般には約5ス
テーション程度の複数のワイヤーパート上に数十g/c
2の乾燥米坪に対応するパルプスラリーを展開してウ
エットシートを形成する。たとえばまず最外層に位置す
る外層を形成するワイヤーパートに40g/cm2程度の
パルプ層を形成して脱水したのち毛布に転移させる。次
に中層も同様に別のワイヤーパートで紙層を形成し毛布
に乗った最外層を重ね合わせて2層を形成する。この2
層をさらに別のワイヤーパートで形成した紙層に重ね合
わせる手法を繰り返し、最後にもう一方の最外層を形成
し、全体で4〜10層程度の多層抄き板紙を得る。
【0014】一方、中層に用いるパルプのフリーネスが
再離解状態で200ml未満であると抄紙後の水切れが
悪い状態で、抄紙、窄水されるため、吸引堆積しパルプ
繊維は抄紙後、嵩高、低密度化とは逆に、緻密な構造に
なりやすい。そのため、所望のバルキーな構造を作りに
くくなるので得策ではない。650mlを越えると、低
密度になりすぎて、抄き合わせ後、プレス、搾水される
際に、バルーン状のフクレが発生しやすくなることがあ
る。さらに、これら、JIS P 8121のカナダ標
準形に準じて、使用するパルプを再離解して測定するこ
とは、良好な操業性を示した製品を使用して必要なパル
プ特性を短時間で把握するのに有効である。再離解状態
で200〜650mlのフリーネスを示すような紙料
は、そこに用いるパルプの種類に関わらず、混合紙料の
状態でのカナダ標準型フリーネスで250〜700ml
とすれば良い。機械的離解作用により水中で分散しやす
いパルプを主成分とするものであれば特に制限はない
が、クラフトパルプや機械パルプを主体とするものが好
ましい。
【0015】外層、特にオモテ層は、オフセット印刷や
フレキソ印刷して使用されるので、紙器箱に用いられ
る、いわゆるコートボールなどの白板紙と同様の表面性
を持つことが好ましい。コートボールでは、原紙がカバ
ーリングできる塗工量として20g/m2程度以上を塗工
しているので、この程度以上の塗工をしていることが好
ましい。その塗工は、ブレードコーター、ロールコータ
ー、エアナイフコーター、グラビアコーター、ロッドコ
ーター、バーコーターやチャンピョンコーターなどが適
宜使用できる。
【0016】紙シートの坪量は30〜750g/m2、好
ましくは50〜400g/m2である。紙シートの平滑度
は王研式平滑度で1秒〜1000秒が好ましい。紙シー
トの吸水度は、コブ吸水度(JIS P8140「紙お
よび板紙の吸水度測定法」2分)で5g/m2〜100g
/m2が好適である。吸水度が5g/m2未満だと塗料水分
が原紙に染み込まず乾燥性が悪くなり、吸水度が100
g/m2を越えると塗料が紙シートに染み込みすぎて塗膜
層の厚さが小さくなり、多くの塗工量が必要となる。
【0017】段ボールシートで形成される箱の強度は、
箱構造および段ボールシートすなわち、フルートと呼ば
れる中芯とライナーから構成される構造体の強度に依存
する。フルートはその形状、大きさ、高さ、ピッチで異
なるがA、B、C、E、F、Gフルートと呼ばれてその
大きさを区別している。これらフルートによる形状、大
きさ、高さ、ピッチで段高、段数は規定されるのはもち
ろんである。さらに、これらをそれぞれ構成する原紙の
強度によって最終的な箱強度や段ボールシートの強度が
論じられるのは言うまでもない。尚、本発明において使
用可能な中芯の素材については特に限定はなく、通常の
段ボールの中芯として使用されている中芯原紙の他、最
終的な段ボールシート、及び構造体に要求される強度や
性能に応じて適宜任意に選択することが可能である。ま
た耐水、撥水加工等を任意に施すことも可能である。
【0018】段ボールシート、及び段ボールシートを構
成する原紙の強度から、最終的な箱強度を推定する試み
は古くから行われており、箱圧縮強度の計算による推定
式がいくつも示されている。それらは、たとえば、ケリ
カット、マルテンフォルト、マッキー、ウォルフ等の式
であり、シート厚さ、シートのリングクラッシュ値から
エンドクラッシュそして、段ボール箱の縦横の箱寸法か
ら推定する箱強度は現実の箱強度と相関があることが示
されている。たとえば、ケリカットの式は、構成原紙の
リングクラッシュ値を測定して、箱の周辺長と段ボール
のフルート種類、の関係から段ボール箱の圧縮強度を算
定する式として、箱圧縮強さ(P)=PX(総合リング
クラッシュ値:オモテと裏のライナーのリングクラッシ
ュ値+中芯原紙のリングクラッシュ値×段繰り率)×
[aX2(各フルートにおける定数)/(箱の周辺長Z
/4)]の3/2乗 ×箱の周辺長Z×箱のフルートに
よる定数J として示している。これらからシート全体
の厚さと原紙のリングクラッシュ値が箱強度に影響を与
えることが示される。
【0019】段ボールシートの表面、特にケースの表面
側になるダブル側ライナーの表面が洗濯板状に凸凹な状
態になる現象をウォッシュボードパターンと呼ぶ。これ
らが発生すると段頂部分が出っぱって外観の見栄えが悪
くなるのみならず、印刷かすれが発生しやすい。そのた
め印圧を上げて印刷するとシートが潰れてしまう。その
結果前述したようにシート厚が薄くなり、箱強度が低下
することになる。特に紙器箱代替として使用されるマイ
クロフルートと呼ばれる段高の低く小さい段ボールシー
トは高い印圧で印刷されるため、ウォッシュボードパタ
ーンの発現と厚さ低下による強度低下が発生しやすい。
【0020】そのため、強度特性とオフセット印刷適
性、特に印刷後表面性の変化について、鋭意検討したと
ころ、段ボールシートを構成する紙シートについて嵩高
で密度を低下させ、さらに、圧縮率を高くすると、ウォ
ッシュボードパターンを発生しにくくでき、印圧を下げ
ても印刷性を保つことができ、結果としてシート厚さの
目減りを少なくすることができるため、箱強度の低下も
押さえられることに有効であることを見出した。すなわ
ち、波形に成形した紙シート1を平坦な紙シート2、3
でサンドイッチ状に貼り合わせた段ボール用シートにお
いて、該段ボール用紙シートの少なくともいずれか一つ
が機械パルプ、カールドファイバー、またはマーセル化
パルプの少なくとも1種から選ばれたパルプを主体とす
る紙層を含み、その紙層の密度が0.20〜0.70で
あることを特徴とする段ボール用紙シートを使用し、ま
た、そのシートの、少なくともいずれか一つが3層以上
の多層抄き合わせであり、その紙シートの最外層の密度
が0.70〜0.90であることを特徴とする段ボール
用紙シートを使用することである。これらのシートを用
いれば、表層は密度が高く、良好な印刷性を維持し、中
層の密度が低いため、クッション性を有することで表面
の変形が押さえられることが考えられる。
【0021】これらの理由は、シートの厚さ方向に荷重
をかけたときの潰れ具合の程度としての圧縮率が30k
gf/cm2の荷重値のとき、一般のライナーでは10〜
18%であるのに対して、これらの紙シートでは、20
〜50%にも及ぶからである。さらに、段ボールシート
平面に対しての強度値であるフラットクラッシュ値は、
一般の段ボールに使用されるライナーを使用した場合、
Bフルートでは1.8から2.5kg/cm2であり、マ
イクロフルートでは2.0からおおよそ5.0kg/c
2程度であるのに対して、前述の紙シートを使用する
とフラットクラッシュ値を、それぞれ、おおよそ20%
から50%まで上げて、Bフルートでは2.2から3.
0kg/cm2であり、マイクロフルートでは2.5から
おおよそ7.0kg/cm2とすることができる。オフセ
ット印刷の印圧は、3.0から6.0kg/cm2程度の
圧力がかかるため、これ以下であれば段ボールシートは
変形してしまうが、3.0から4.0kg/cm2程度ま
で向上させれば変形を小さくできるからである。
【0022】また、段ボールシート形成の接着貼合時に
すら、オモテ面のダブルフェーサー部分と裏面のシング
ルフェーサー部分いずれも、段山形状の影響を受け、ラ
イナーには凹凸が発現する傾向があるが、この紙シート
を用いれば、紙シート自体にクッション性があるために
貼合時にこのように発生する凸凹の形成をより少なくす
ることができる。すなわち、貼合時に段繰りロールの段
頂部分がライナーを押し付ける圧力は5.0〜50kg
/cm2かかるが、20〜50kg/cm2の圧力をかけた
ときの厚さ方向の変位量は、前述したように一般のライ
ナーに比べて、本発明の紙シートでは倍以上にすること
ができるため、シート自体で圧力を吸収して凹凸発生を
押さえることができるからである。さらにこの凹凸発生
が少ないことで、段形成後に加熱圧着する工程で、熱盤
を通過する際に、突端部分で熱盤に接触するとその部分
で紙表面が金属面に擦られて光沢が出てしまい、醜くく
なることも抑止できる。すなわち、貼合接着時に凹凸発
生が少ない本発明のシートでは、面全体で熱をうけ、異
常光沢が出にくくなると考えることができる。本発明で
示されるシートに使用の製法や製造条件は特に制限され
るものではなく、前述の規定条件を有していればかまわ
ない。
【0023】
【実施例】以下の実施例により本発明を詳細に説明する
が、もちろん本発明はこれらの実施例によって限定され
るものではない。なお、以下において部、%とあるのは
すべて重量部、及び重量%を示す。 <実施例1>熊谷理機工業製の配向性抄紙機を用い、ワ
イヤースピード300m/minで熊谷理機工業製のパ
ルプ叩解機を用いて以下の〜の三種類のパルプをそ
れぞれ叩解し、順次、抄紙し、抄き合わせていく。抄き
合わせる際に、各層の表側(フェルトサイド)へ王子コ
ーンスターチの澱粉ONL510を澱粉濃度2.0%と
して霧吹きスプレーで固型分付着量が1.0g/m2とな
るようにスプレーした後、抄き合わせる。市販NBK
P、450mlcsf、30g/m2、ラジアータパイ
ンTMP350mlcsf、120g/m2、市販NB
KP450mlcsf、30g/m2。さらに由利ロール
機械のキャレンダーのエア圧制御で、ニップ圧を10k
g/cmとして、30m/minのスピードで抄き合わ
せた湿紙状のシートを敷島カンバス製のモノプラスチッ
クカンバスシートに挟み加圧処理する。その後、フエロ
タイプの円筒加熱ドライヤー型乾燥機を用いて乾燥す
る。さらにその後20℃・65%RHで調湿し、由利ロ
ール機械のキャレンダーでニップ圧を20kg/cmと
して、20m/minのスピードでキャレンダー処理し
て塗工前の原紙を得る。その後20℃・65%RHで調
湿し、坪量、厚さ、密度等の紙質を測定する。
【0024】この塗工原紙シートに後述の塗料を塗工す
る。アンダーコート塗料をマイヤーバーで10g/m2
塗りしイスズ社製の熱風乾燥機内で105℃、1分間乾
燥させ、そののち上塗り塗料を前述のアンダーコート塗
料を塗工した原紙に乾燥重量10g/m2になるようにマ
イヤーバーで塗工し、イスズ社製の熱風乾燥機内で10
5℃、1分間乾燥させ、次いで表面温度140度のグロ
スキャレンダーで15kg/cmのニップ圧でキャレン
ダー処理して塗工紙を得た。
【0025】得られた抄紙塗工後のシートに中芯(B級
中芯115g/m2 高崎三興製紙製中芯シート)の片面に
コーンスターチ(王子コーンスターチ製、酸化澱粉王子
エースA)を接着剤として塗布し、テストコルゲーター
のF段ロール(120段/30cm)を用いて貼合する。
次に、前記中芯の反対面にも同様にコーンスターチ(王
子コーンスターチ製、酸化澱粉王子エースA)接着剤を
塗布し、ライナー(D級ライナー120g/m2、高崎三
興製紙製)を貼合して両面段ボールを製造する。そし
て、この両面段ボールをキャンパスで押さえながら熱盤
で180℃前後に加熱し、この熱でデンプンを糊化して
ライナと中芯を強固に接着する。接着した段ボールシー
トは、乾燥させた後、カッターで所定寸法に断裁して、
一定寸法の段ボールシートとする。
【0026】<実施例2>原紙の配合が市販NBK
P、450mlcsf、30g/m2、カールドファイ
バー650mlcsf/ラジアータパインTMP550
mlcsf=10/90、120g/m2市販NUKP
450mlcsf、30g/m2としたこと以外は、実施
例1と同様の条件で抄紙、塗工、貼合を行って段ボール
シートを製造した。
【0027】<実施例3>原紙の配合が市販NBK
P、450mlcsf、30g/m2、マーセル化パ
ルプ550mlcsf/ラジアータパインTMP550
mlcsf=10/90、120g/m2、市販NUK
P450mlcsf、30g/m2としたこと以外は、実
施例1と同様の条件で抄紙、塗工、貼合を行って段ボー
ルシートを製造した。
【0028】<比較例1>原紙の配合が市販NBK
P、450mlcsf、30g/m2、市販NUKP、
450mlcsf、120g/m2、市販NUKP45
0mlcsf、30g/m2としたこと以外は、実施例1
と同様の条件で抄紙、塗工、貼合を行って段ボールシー
トを製造した。
【0029】<比較例2>原紙の配合が市販NBK
P、450mlcsf、30g/m2、新聞古紙、25
0mlcsf、120g/m2、市販NUKP450m
lcsf、30g/m2としたこと以外は、実施例1と同
様の条件で抄紙、塗工、貼合を行って段ボールシートを
製造した。
【0030】<比較例3>原紙の配合が市販NBK
P、450mlcsf/ラジアータパインTMP550
mlcsf=20/80配合として抄き合わせしない一
層抄きとして坪量を180g/m2としたこと以外の他の
条件は、実施例1と同様の条件で、抄紙、塗工、貼合を
行って段ボールシートを製造した。
【0031】上記の実施例1〜3、比較例1〜3につい
ての紙質を表1に示した。各紙質評価の測定法は以下の
方法によった。 <圧縮率>テンシロンで縦×横=50mm×50mmの
シートに荷重を1.0mm/secのスピードででかけ
ていき、その変位量を測定する。30kgf/cm2の荷
重値をかけたときの厚さ/荷重0の時の厚さ=圧縮率%
として表記する。 <ウォッシュボードパターン>オフセット印刷機(三菱
重工製8色枚葉印刷機)で印刷前後の厚さを計測すると
ともに、印刷後の表面のウォッシュボードパターンの良
否を面感で○×評価する。
【0032】〔塗料配合〕 上塗り:カオリン(エンゲルハード社製、ウルトラホワ
イト90)/炭酸カルシウム(白石工業社製、ブリリア
ント15)/酸化チタン(トーケムプロダクツ社製、T
CA333)=50/35/15、およびラテックス
(旭化成社製、L1410)/尿素リン酸エステル化澱
粉(日本食品化工社製、MS4600)=15/5。
(固型分重量基準の配合部数、以下同じ) 下塗り:カオリン(シール社製、カオブライト)/炭酸
カルシウム(備北粉化社製、ソフトン2200)=50
/50、およびラテックス(JSR社製、0668)/
尿素リン酸エステル化澱粉(日本食品化工社製、MS4
600)=15/5。
【0033】
【表1】
【0034】
【発明の効果】以上に述べた方法により製造された段ボ
ールシートは、貼合後、オフセット印刷後に発生するウ
ォッシュボードパターンが少なく面感が良好で、さらに
印刷後の段潰れも小さいため、段ボールとして使用する
際の箱圧縮強度も低下することなく使用できる。
フロントページの続き Fターム(参考) 3E078 AA17 AA20 BB02 BB03 BB23 BB45 BC01 4F100 AJ02B AJ02C AJ02D AJ02E AJ07H AP10B AP10C AP10D AP10E BA02 BA03 BA05 BA06 BA07 BA10B BA10D BA10E DD12A DG10B DG10C DG10D DG10E EC18 EC183 EH41 EH412 EH46 EH463 EJ17 EJ172 GB16 JA13D JA13E JK01 JL00 YY00D YY00E 4L055 AC01 BD18 EA08 EA25 FA13 FA15 GA06

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】波形に成形した中芯の両面あるいは片面に
    平坦な紙シートを貼合した段ボールシートにおいて、該
    紙シートの少なくともいずれかが、機械パルプ、カール
    ドファイバー、またはマーセル化パルプの少なくとも1
    種から選ばれたパルプを主体とする紙層を有し、その紙
    層の密度が0.20〜0.70g/cm3であることを特
    徴とする段ボールシート。
  2. 【請求項2】紙シートが3層以上の多層抄き合わせ紙シ
    ートであり、該紙シートの最外層の密度が0.70〜
    0.90g/cm3であることを特徴とする請求項1記載
    の段ボールシート
  3. 【請求項3】波形に成形した中芯の両面あるいは片面に
    平坦な紙シートを貼合した段ボールシートにおいて、該
    紙シートの少なくともいずれかがが3層以上の多層抄き
    合わせ紙シートであり、さらに該紙シートが機械パル
    プ、カールドファイバー、またはマーセル化パルプの少
    なくとも1種から選ばれたパルプを主体とする紙層を有
    し、該紙シートの全体の密度が0.40〜0.70g/
    cm3であることを特徴とする段ボールシート。
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