JP2001259516A - 建築物又は土木構築物用の表装材及びその製造方法 - Google Patents

建築物又は土木構築物用の表装材及びその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塗料層表面に縞模様を表現して良好な外観を
発揮できる建築物又は土木構築物用の表装材及びその製
造方法を提供する。 【解決手段】 基材12上に複数箇所に玉状に吹き付
けられた塗料により基材12上に凹所及び凸所を形成す
る。次に、基材12上に吹き付けられた塗料がまだ流動
性を有する状態において、カーテン材の下端部が撓むよ
うに、カーテン材を塗料上に載置する。そして、カーテ
ン材を一定方向へ移動させると、カーテン材の下端部に
接触する複数の凸所の上部がカーテン材の進行方向へ引
張られる。すると、凸所の上部はカーテン材の進行方向
に沿って線状又は帯状に延びて凸条15が複数箇所に形
成される。さらに、隣接する凸条15間にそれら凸条1
5と同じ方向へ延びる凹条16が形成される。そして、
塗料を乾燥して塗料層13が形成されるとともに、表装
材11が製造される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば建築物の
壁面に使用される建築物又は土木構築物用の表装材及び
その製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の建築物の壁面に使用され
る建築物用の表装材としては、例えば特開昭64−66
353号公報に開示されている方法により製造されるも
のが知られている。その方法としては、まず、シート状
をなす基材表面に、着色骨材を混入した第1混合塗布材
を点在させて凹凸をなすように塗布し、次にその上に異
なる色の着色骨材が混入された第2混合塗布材を塗布す
る。次いで、第1及び第2混合塗布材が硬化し、基材上
に塗料層が形成された後に、前記第1混合塗布材の少な
くとも1部分が塗料層表面に露出する程度に同塗料層表
面を研磨する。その結果、色が異なる第1及び第2混合
塗布材がそれぞれ塗料層表面に露出した表装材が得られ
る。そして、その表装材を建築物の壁面に装着すること
により、その壁面に意匠性が付与される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来方
法により得られる建築物用の表装材では、その製造工程
において、第1混合塗布材が基材上に点在するように塗
布される。そのため、塗料層表面を研磨して、第1混合
塗布材を塗料層表面に露出させたとき、第1混合塗布材
は斑模様にしか露出しない。従って、従来の建築物用の
表装材は装飾性に欠け、外観を向上させることができな
いという問題があった。
【0004】また、製造工程は、第1混合塗布材の塗布
工程、第2混合塗布材の塗布工程、乾燥工程及び塗料層
表面の研磨工程から構成されている。そのため、従来の
建築物用の表装材の製造方法は工程数が多く、面倒であ
るという問題があった。
【0005】この発明は、このような従来の技術に存在
する問題点に着目してなされたものである。その目的と
するところは、塗料層表面に縞模様を表現して良好な外
観を発揮できる建築物又は土木構築物用の表装材を提供
することにある。その他の目的とするところは、塗料層
表面に縞模様を表現して良好な外観を発揮できる建築物
又は土木構築物用の表装材を容易に製造することができ
る建築物又は土木構築物用の表装材の製造方法を提供す
ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1に記載の発明の建築物又は土木構築物用
の表装材は、基材と、その基材上に形成された塗料層と
よりなり、その塗料層表面の少なくとも一部分に線状又
は帯状に延びる凸部分が形成され、塗料層の内部が粒子
状に形成されるとともに、その凸部分と複数の凸部分間
に形成された凹部分とにより塗料層表面に凹凸形状が形
成されたものである。
【0007】請求項2に記載の発明の建築物又は土木構
築物用の表装材は、請求項1に記載の発明において、前
記塗料層表面の凹凸における凹部分の厚みは凸部分の厚
みの4/5〜1/5に形成されているものである。
【0008】請求項3に記載の発明の建築物又は土木構
築物用の表装材の製造方法は、基材上に塗料層を形成す
るための塗料を、前記基材上に凹所及び凸所を形成する
べく吹き付け、その塗料が流動性を有する状態におい
て、少なくとも前記塗料の凸所をカーテン材を使用して
引張った後、塗料を乾燥して塗料層表面のうちの少なく
とも一部分に線状又は帯状に延びる凸部分を形成し、塗
料層の内部を粒子状に形成するとともに、その凸部分と
複数の凸部分間に形成された凹部分とにより塗料層表面
に凹凸形状を形成するものである。
【0009】請求項4に記載の発明の建築物又は土木構
築物用の表装材の製造方法は、請求項3に記載の発明に
おいて、前記基材上の凹凸における凹所の厚みが凸所の
厚みの7/10〜1/10の状態において、塗料層表面
の凹凸における凹部分の厚みが凸部分の厚みの4/5〜
1/5となるように前記凸所をカーテン材により引張る
ものである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を建築用の表装材に
具体化した一実施形態を図面に基づいて詳細に説明す
る。
【0011】図1に示すように、建築用の表装材(以
下、単に表装材と称す)11は、基材12と、その基材
12上に凹凸状に吹き付けられた塗料を図示しないカー
テン材を使用して所定方向へ引張ることにより、その塗
料が内部が粒子状に形成されるとともに、表面が線状又
は帯状に形成された塗料層13とから構成されている。
【0012】基材12としては、可撓性のある不織布、
織布、ガラスクロス、紙等が使用されるとともに、可撓
性のない合板、窯業用サイディング、金属サイディン
グ、ALC板、GRC板、PC板等が使用され、特に可
撓性のある不織布又はガラスクロスが好適に使用され
る。この実施形態では平面四角形状をなす不織布を使用
した。
【0013】塗料層13は基材12の一対角線方向に沿
って線状又は帯状に延びる凸部分としての凸条15と隣
接する凸条15間に形成された凹部分としての凹条16
とにより断面凹凸形状をなすとともに、その凹凸により
塗料層13表面に縞模様が形成されている。なお、塗料
層13の表面において、凸条15が形成されず、点状を
なす凸部分としての凸部17と前記凹条16とにより凹
凸が形成されている部分もある。
【0014】さらに、塗料層13中には1種又は2種以
上の色の着色骨材や天然石が混入され、それら着色骨材
が前記凸条15、凸部17及び凹条16に点在して、表
装材11の表面に色調が発揮されるようになっている。
また、塗料層13の内部は図示しないが塗料が粒子状に
形成されている。なお、塗料層13の凸部分の厚みは、
2〜10mmに設定されるのが好ましい。凸部分の厚み
が2mm未満の場合は、表装材11に凹凸感を付与する
ことが困難になり、表装材11全体が平板状になってし
まい好ましくない。一方、凸部分の厚みが10mmより
厚くなると、表装材11の重量が嵩んで、その表装材1
1の施工作業が行いにくくなり、さらに、塗料層13の
原材料コストが嵩んでしまい好ましくない。
【0015】図3(c)に示すように、塗料層13の凹
凸において、凹条16の厚みt1は凸条15及び凸部1
7の厚みt2の4/5〜1/5に設定するのが好まし
く、1/2〜1/4に設定するのがより好ましい。凹条
16の厚みt1が凸条15及び凸部17の厚みt2の4
/5より大きくなると、塗料層13の表面が平面的にな
り凹凸形状を表現することができず、良好な外観を得る
ことができなくなり好ましくない。一方、凹条16の厚
みt1が凸条15及び凸部17の厚みt2の1/5より
小さくなると、塗料層13の凹凸形状の凹凸差が大きく
なり、凹条16に埃等がたまりやすく、汚れの原因とな
るおそれがあり好ましくない。加えて、凹条16の厚み
が薄くなり、表装材11が透けてしまうおそれがあり好
ましくない。
【0016】塗料層13を形成する塗料としては、一般
の溶剤型塗料、エマルション型塗料、加熱硬化型塗料等
の他、感熱ゲル塗料、スキン系塗料等が使用され、これ
らの塗料の中でも、顔料、骨材成分の観点から考慮した
場合は、骨材固有の色調を効果的に発揮することができ
るスキン系塗料を使用するのが好ましい。また、結合材
成分の観点から考慮した場合は、塗料層13を厚く形成
した場合において、その塗料層13内部までの硬化時間
を短くできる感熱ゲル塗料を使用するのが好ましい。
【0017】なお、塗料は、骨材固有の色調を効果的に
発揮することができ、塗料層13内部までの硬化時間を
短くできることからスキン系塗料と感熱ゲル塗料を併用
するのが好ましい。また、塗料層13は、2色以上の着
色骨材、天然石等を含有させたりして、2色以上の塗料
により形成するのが好ましく、このようにすることによ
り表装材11の外観をより一層良好にすることができ
る。
【0018】塗料を構成するエマルションとしては、各
種アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸
エステル共重合体、ベオバアクリル酸エステル共重合
体、SBRラテックス、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等
が挙げられ、特にアクリル系のエマルションが好適に使
用される。これらの重合体は、少なくとも1種が適宜選
択して使用される。
【0019】感熱ゲル塗料としては、エマルションと感
熱ゲル化剤とを配合したものが使用される。感熱ゲル化
剤としては、亜鉛アンモニウム錯塩、ノニオン系界面活
性剤、無機金属塩、ポリプロピレングリコール、シリコ
ーンポリエーテル共重合体、ポリビニルメチルエーテル
等が使用され、特に亜鉛アンモニウム錯塩が使用され
る。これらの感熱ゲル化剤はそれぞれ単独で使用しても
よいし、併用してもよい。感熱ゲル塗料に着色骨材、天
然石等を添加して使用してもよい。
【0020】スキン系塗料は前記エマルション中に主に
着色骨材や天然石を含有した塗料であり、その着色骨材
としては、けい砂、寒水石等に着色を施したものが使用
され、天然石としては、寒水石、けい砂、大理石等又は
これらの天然石の砕粒が使用される。これらの着色骨材
及び天然石は、それぞれ適宜選択して使用される。ま
た、着色骨材及び天然石の他に陶磁器粉砕粒、ガラスビ
ーズ、プラスチック粒、顔料、パール顔料、マイカ粉等
が挙げられる。これらの添加物は、1種又は2種以上が
適宜選択して使用される。
【0021】なお、塗料の粘度としては400〜900
dPa・sに設定されるのが好ましい。塗料の粘度が4
00dPa・s未満にあると、塗料が基材12上全体に
広がってしまい、塗料層13に凹凸形状を形成しにくく
なり好ましくない。一方、塗料の粘度が900dPa・
sより大きいと、カーテン材14による塗料の引張り作
業を行いにくくなり好ましくない。この実施形態では、
塗料として前記スキン系塗料を使用した。
【0022】次に、図3(b)に示すように、塗料の引
張りの際に使用されるカーテン材14について説明する
と、このカーテン材14は可撓性を有する合成樹脂材
料、金属材料、紙材料(防水加工を施したもの)等をシ
ート状、板状、へら状に成形したものが、塗料の粘度等
に対応させて適宜使用される。
【0023】カーテン材14は、次の方法により撓み量
を測定した場合に撓み量5〜50mmのものを使用する
のが好ましい。その方法としては、例えば100mm四
方のカーテン材14において、図2(a)に示すよう
に、カーテン材14の片側半分{図2(a)においては
左側}を基台18上に片持ち支持させ、残りの片側半分
{図2(a)においては右側}を支持しないで開放状態
にする。そして、そのカーテン材14の右側端縁中心に
重さ8gのおもりをぶら下げて、カーテン材14の右側
半分を撓ませる。図2(b)に示すように、そのときの
カーテン材14の上端面から下方へ撓んだカーテン材1
4の下端縁までの距離L1を撓み量として測定した。使
用するカーテン材14において、上記方法により得られ
る撓み量が5mm未満にあると、カーテン材14が撓み
にくくなり、塗料の引張り作業においてカーテン材14
が、凸条15及び凸部17の塗料を掻き取ってしまい、
その塗料が凹条16を埋めてしまい好ましくない。
【0024】また、カーテン材14はカーテン材14を
塗料に押し付けて塗料をカーテン材14により確実に引
張り、塗料層13表面に確実に凹凸を形成するために、
その重量1〜3kg/m2のものを使用するのが好まし
い。なお、この実施形態においては、塩化ビニル樹脂材
料により、厚み1mm、重量1.2kg/m2、撓み量
45mmに形成されたカーテン材14を使用した。
【0025】次に、表装材11の製造方法について説明
する。表装材11の製造方法は基材12上に塗料を吹き
付ける吹き付け工程、基材12上に吹き付けられた塗料
をカーテン材14により引張る引張り工程、塗料を乾燥
させる乾燥工程よりなっている。
【0026】まず、吹き付け工程について説明する。図
3(a)に示すように、塗料の吹き付け工程は、基材1
2上に玉状に塗料を吹き付けるために、スプレー等によ
る吹付け塗装法や刷毛等によるブラッシングにより行わ
れる。そして、吹き付け工程により複数箇所に玉状に吹
き付けられた塗料により基材12上に凹所19及び凸所
20が複数箇所に形成され、それら凹所19及び凸所2
0により基材12表面が断面凹凸状になる。
【0027】次に、引張り工程について説明する。上記
吹き付け工程により基材12上に吹き付けられた塗料が
まだ流動性を有する状態、即ち、塗料が未硬化、未乾燥
の状態において、まず、図3(b)に2点鎖線で示すよ
うに、上記カーテン材14の下端部が撓むように、カー
テン材14を塗料上に載置する。そして、凹所19の厚
みが凸所20の厚みの7/10〜1/10の状態におい
て、カーテン材14が図3(b)に実線で示す位置とな
るように、カーテン材14又は基材12を同基材12の
一角部からその対角線上に位置する一角部方向へ移動さ
せる。すると、カーテン材14の下端部により、凹凸に
吹き付けられた塗料のうち、カーテン材14の下端部に
接触する複数の凸所20の上部がカーテン材14の進行
方向又は基材12の進行方向とは反対方向へ引張られ
る。
【0028】このとき、凸所20の上部の引張り量は1
5〜300mmに設定されるのが好ましい。引張り量が
15mm未満にあると、塗料層13の表面に線状又は帯
状に延びる凸条15を形成しにくく好ましくなく、引張
り量を300mmより大きくしても凸条15がそれ以上
延びなくなり好ましくない。一方、図3(b)に破線で
示すカーテン材14の下端部の通過する高さより低い凸
所20は、その上部がカーテン材14により引張られ
ず、そのままの状態となる。
【0029】すると、図1及び図3(c)に示すよう
に、凸所20の上部は線状又は帯状に延びて凸条15が
複数箇所に形成される。一方、撓んだカーテン材14の
下端部が通過する線より低い凸所20により基材12上
に凸部17が形成される。さらに、隣接する凸条15間
にそれら凸条15と同じ方向へ延びる凹条16が形成さ
れ、その凹条16の厚みt1は凸条15及び凸部17の
厚みt2の4/5〜1/5になる。また、塗料層13内
部は塗料により粒子状に形成される。
【0030】なお、凸条15の幅やその延びる方向への
長さは塗料の表面とカーテン材14の上端縁との間の距
離を調整することにより適宜変更することができるよう
になっている。例えば、カーテン材14をその撓み量が
大きく、軽量なものを使用した場合、上記距離が短くて
もカーテン材14は容易に撓むため、凸所20上部を確
実に引張ることができる。
【0031】続いて、乾燥工程について説明する。乾燥
工程は、遠赤外線炉による加熱の他、直火加熱、熱風加
熱、電熱による加熱、電子線照射などの手段が挙げられ
る。なお、塗料が乾燥すればよいので、強制乾燥ではな
くて自然乾燥でもよい。
【0032】以上のような工程を経ることにより、塗料
層13の表面に凸条15と凹条16とにより縞模様が形
成され、内部が粒子状に形成された表装材11を製造す
ることができる。
【0033】上記のような実施形態によって発揮される
効果について以下に記載する。 ・ 基材12上に塗料を凹凸状をなすように吹き付け、
カーテン材14により塗料の複数の凸所20の上部を一
定方向へ引張ることにより、塗料層13表面に線状又は
帯状に延びる凸条15を形成し、隣接する凸条15間に
凸条15と同じ方向へ延びる凹条16を形成した。さら
に、塗料層13内を塗料により粒子状に形成した。その
ため、得られる表装材11に縞模様及び凹凸を表現し
て、良好な外観を発揮させることができる。
【0034】・ 表装材11の製造方法は吹き付け工
程、引張り工程及び乾燥工程よりなっている。そのた
め、従来の表装材の製造方法のように第1混合塗布材の
塗布工程、第2混合塗布材の塗布工程、乾燥工程及び研
磨工程からなる場合と異なり、製造工程を簡易化して、
表装材11を容易に製造することができる。
【0035】・ 塗料の粘度は400〜900dPa・
sに設定されているため、引張り工程において、カーテ
ン材14による塗料の引張り作業を確実に行うことがで
きるとともに、得られる表装材11の塗料層13に凹凸
形状を確実に形成することができる。
【0036】・ 塗料層13の凹凸において、凹条16
の厚みt1は凸条15及び凸部17の厚みt2の4/5
〜1/5に設定されているため、塗料層13が汚れた
り、薄くなりすぎるのを防止することができるととも
に、その塗料層13の表面に凹凸形状を確実に表現する
ことができる。
【0037】・ カーテン材14はその撓み量が5〜5
0mm、重量が1〜3kg/m2に設定されたものが使
用される。そのため、カーテン材14による塗料の引張
り作業を確実に行うことができるとともに、得られる表
装材11の塗料層13に凹凸形状を確実に形成すること
ができる。
【0038】・ 塗料層13をスキン系塗料によって形
成することにより、着色骨材や天然石により所定の色や
模様を容易に発現させることができ、表装材11の質感
を向上させることができる。
【0039】・ 凹所19の厚みが凸所20の厚みの7
/10〜1/10の状態において、得られる表装材11
の塗料層13の凹条16の厚みt1が凸条15及び凸部
17の厚みt2の4/5〜1/5となるようにカーテン
材14を引っ張るようにした。そのため、表装材11に
凹凸を確実に形成することができる。
【0040】・ 引張り工程において、カーテン材14
による凸所20の上部の引張り量は15〜300mmに
設定されている。そのため、塗料層13の表面に線状又
は帯状に延びる凸条15を確実に形成することができ
る。
【0041】
【実施例】以下に、前記実施形態をさらに具体化した実
施例について説明する。 (実施例1)アクリル系合成樹脂エマルション(固形分
45重量%)を250重量部、着色骨材(粒度500〜
45μm)を300重量部、寒水石(粒度800〜45
μm)を700重量部、その他の成分(固形分20重量
%)50重量部づつ配合して塗料を調製した。次に、着
色骨材の色をそれぞれ変更して3色の塗料を調製し、水
希釈により各塗料を粘度400dPa・sに調整した。
【0042】次いで、3色の塗料を、吹き付け量が5.
5kg/m2となるように基材12(この実施例1では
不織布を使用した)の上に同時にスプレーして吹き付け
工程を行った。続いて、塗料が未硬化、未乾燥の時に、
撓み量45mm、重量1.23kg/m2の塩化ビニル
樹脂製のカーテン材14を使用して引張り工程を行っ
た。最後に乾燥工程を行って塗料を乾燥させ塗料層13
を基材12上に形成した。得られた表装材11は、塗料
層13表面の凹条16、凸条15、凸部17及び着色骨
材とにより奇麗な色調や縞模様が発揮されるとともに、
凹凸形状が形成されて良好な外観を有するものであっ
た。
【0043】(実施例2)アクリル−スチレン系合成樹
脂エマルション(固形分50重量%)を200重量部、
着色骨材(粒度500〜45μm)を500重量部、寒
水石(粒度800〜45μm)を500重量部、その他
の成分(固形分20重量%)50重量部づつ配合して塗
料を調製した。次に、着色骨材の色をそれぞれ変更して
3色の塗料を調製し、水希釈により各塗料を粘度600
dPa・sに調整した。
【0044】次いで、3色の塗料を基材12(この実施
例2では基材として建築物のコンクリート面)10m2
に同時にスプレーして吹き付け工程を行った。続いて、
塗料が未硬化、未乾燥の時に、撓み量10mm、重量2
kg/m2のアクリル樹脂製のカーテン材14を使用し
て引張り工程を行った。最後に乾燥工程を行って塗料を
乾燥させ塗料層13をコンクリート面に形成し、土木構
築物用の表装材11を形成した。得られた表装材11
は、塗料層13表面の凹条16と凸条15とにより奇麗
な色調や縞模様が発揮されるとともに、凹凸形状が形成
されて良好な外観を有するものであった。
【0045】なお、前記実施形態を次のように変更して
具体化することもできる。 ・ 塗料における着色骨材、天然石のうちの少なくとも
いずれか一方を省略してもよい。実施形態では基材12
として不織布を使用したが、基材12として建築物の壁
面、床面等に塗料を直接吹き付けてもよい。また、実施
形態では、凸条15及び凹条16を平面四角形状の不織
布の対角線に沿って形成したが、凸条15及び凹条16
を不織布の縦又は横方向へ延びて形成してもよい。
【0046】・ 表装材11の塗料層13の凹凸におい
て、凹条16の厚みt1を凸条15及び凸部17の厚み
t2の4/5〜1/5以外に設定してもよい。さらに、
前記実施形態より把握される技術的思想について以下に
記載する。
【0047】・ 前記塗料の粘度は400〜900dP
a・sに設定されている請求項3又は請求項4に記載の
建築物又は土木構築物用の表装材の製造方法。このよう
に構成した場合、請求項3又は請求項4に記載の効果に
加え、塗料の凸所をカーテン材を使用して引張ったと
き、そのカーテン材による塗料の引張り作業を確実に行
うことができるとともに、得られる表装材の塗料層に凹
凸形状を確実に形成することができる。
【0048】・ 前記塗料に着色骨材及び天然石から選
ばれる少なくとも1種を配合した請求項3又は請求項4
に記載の建築物又は土木構築物用の表装材の製造方法。
このように構成すれば、請求項3又は請求項4に記載の
発明の効果に加え、塗料層に複数の色調や質感を付与す
ることができ、得られる建築物又は土木構築物用の表装
材の外観をさらに向上させることができる。
【0049】・ 前記塗料を2色以上の塗料を混合して
形成した請求項3又は請求項4に記載の建築物又は土木
構築物用の表装材の製造方法。このように構成すれば、
請求項3又は請求項4に記載の発明の効果に加え、塗料
層に複数の色調を付与することができ、得られる建築物
又は土木構築物用の表装材の外観をさらに向上させるこ
とができる。
【0050】・ 前記カーテン材は、100mm四方の
カーテン材において、その片側半分を基台上に片持ち支
持させるとともに、残りの片側半分を開放状態にし、そ
の開放側の端縁中心に重さ8gのおもりを吊り下げて、
カーテン材の片側半分を撓ませたときにおける同カーテ
ン材の上端面からカーテン材の下端縁までの距離を撓み
量としたとき、その撓み量が5〜50mmに設定されて
いる請求項3又は請求項4に記載の建築物又は土木構築
物用の表装材の製造方法。このように構成した場合、請
求項3又は請求項4に記載の発明の効果に加え、塗料の
引張り作業においてカーテン材により塗料を確実に引張
ることができる。
【0051】・ 前記塗料の凸所のカーテン材による引
張り量は15〜300mmに設定されている請求項3又
は請求項4に記載の建築物又は土木構築物用の表装材の
製造方法。このように構成した場合、請求項3又は請求
項4に記載の発明の効果に加え、塗料層の表面に線状又
は帯状に延びる凸部分を確実に形成することができる。
【0052】
【発明の効果】この発明は、以上のように構成されてい
るため、次のような効果を奏する。請求項1に記載の発
明によれば、塗料層表面に縞模様を表現して良好な外観
を発揮できる。請求項2に記載の発明によれば、請求項
1に記載の発明の効果に加え、表装材の塗料層が薄くな
るのを防止することができるとともに、その塗料層の表
面に凹凸形状を確実に表現することができる。
【0053】請求項3に記載の発明によれば、塗料層表
面に縞模様を表現して良好な外観を発揮できる建築物又
は建築用の表装材を容易に製造することができる。請求
項4に記載の発明によれば、請求項3に記載の発明の効
果に加え、塗料層を確実に形成することができるととも
に、その塗料層の表面に凹凸形状を確実に形成すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施形態の表装材を示す斜視
図。
【図2】 (a)はカーテン材の撓み量の測定方法を示
す斜視図、(b)はカーテン材の撓み量の測定方法を示
す側面図。
【図3】 (a)は基材上に塗料を吹き付ける吹き付け
工程を示す断面図、(b)はカーテン材を使用した引張
り工程を示す断面図、(c)は表装材の断面図。
【符号の説明】
11…表装材、12…基材、13…塗料層、14…カー
テン材、15…凸部分としての凸条、16…凹部分とし
ての凹条、17…凸部分としての凸部、19…凹所、2
0…凸所。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // B05B 1/00 B05B 1/00 Z (72)発明者 小野木 寅洋 岐阜県各務原市松本町2丁目457番地 菊 水化学工業 株式会社内 Fターム(参考) 2E110 AA57 AB04 BA02 BA12 BB04 BB22 4D075 AA02 AA78 CB21 DA06 DB12 DC02 EA05 4F033 AA01 BA03 PA11 QA01

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材と、その基材上に形成された塗料層
    とよりなり、その塗料層表面の少なくとも一部分に線状
    又は帯状に延びる凸部分が形成され、塗料層の内部が粒
    子状に形成されるとともに、その凸部分と複数の凸部分
    間に形成された凹部分とにより塗料層表面に凹凸形状が
    形成された建築物又は土木構築物用の表装材。
  2. 【請求項2】 前記塗料層表面の凹凸における凹部分の
    厚みは凸部分の厚みの4/5〜1/5に形成されている
    請求項1に記載の建築物又は土木構築物用の表装材。
  3. 【請求項3】 基材上に塗料層を形成するための塗料
    を、前記基材上に凹所及び凸所を形成するべく吹き付
    け、その塗料が流動性を有する状態において、少なくと
    も前記塗料の凸所をカーテン材を使用して引張った後、
    塗料を乾燥して塗料層表面のうちの少なくとも一部分に
    線状又は帯状に延びる凸部分を形成し、塗料層の内部を
    粒子状に形成するとともに、その凸部分と複数の凸部分
    間に形成された凹部分とにより塗料層表面に凹凸形状を
    形成する建築物又は土木構築物用の表装材の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記基材上の凹凸における凹所の厚みが
    凸所の厚みの7/10〜1/10の状態において、塗料
    層表面の凹凸における凹部分の厚みが凸部分の厚みの4
    /5〜1/5となるように前記凸所をカーテン材により
    引張る請求項3に記載の建築物又は土木構築物用の表装
    材の製造方法。
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