JP2001257478A - 超音波装置、及び多層フレキシブル配線板製造方法。 - Google Patents

超音波装置、及び多層フレキシブル配線板製造方法。

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JP2001257478A
JP2001257478A JP2000065049A JP2000065049A JP2001257478A JP 2001257478 A JP2001257478 A JP 2001257478A JP 2000065049 A JP2000065049 A JP 2000065049A JP 2000065049 A JP2000065049 A JP 2000065049A JP 2001257478 A JP2001257478 A JP 2001257478A
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metal
ultrasonic
ultrasonic wave
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JP2000065049A
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Soichiro Kishimoto
聡一郎 岸本
Hiroyuki Hishinuma
啓之 菱沼
Hideji Namiki
秀次 波木
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Original Assignee
Sony Chemicals Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】導通信頼性の高い多層構造のフレキシブル配線
板を製造する。 【解決手段】本発明の超音波装置の共鳴部の先端表面5
5の面積はフレキシブル基板素片10、30の超音波を
印加すべき部分の面積よりも小さくなるように構成され
ており、この共鳴部の先端表面55を重ね合わせた状態
のフレキシブル基板素片10、30に当接し、超音波を
印加すると、先端表面55直下の領域が金属突起40を
介して接続される。超音波の印加すべき部分の面積が大
きい場合でも、共鳴部先端表面55を当接する位置を移
動させながら、複数回に分けて超音波接続を行えば、全
体を超音波接続することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はフレキシブル配線板
の技術分野にかかり、特に、多層構造のフレキシブル配
線板の製造技術に関する。
【0002】
【従来の技術】近年では、多層構造のフレキシブル配線
板が電子機器の分野で広く用いられている。このフレキ
シブル配線板の製造方法には単層構造のフレキシブル基
板素片同士を複数枚貼り合わせる方法がある。
【0003】図6(a)を参照し、符号110、130は
二種類のフレキシブル基板素片を示しており、これらの
フレキシブル基板素片110、130を用いて従来技術
の多層構造のフレキシブル配線板を製造する工程を説明
する。
【0004】各フレキシブル基板素片110、130は
ベースフィルム112、137と、該ベースフィルム1
12、137上に配置された金属配線115、135
と、該金属配線115、135上に貼付されたカバーフ
ィルム117、132とをそれぞれ有している。
【0005】金属配線115、135とカバーフィルム
117、132とは、それぞれ所定形状にパターニング
されている。パターニングによってカバーフィルム11
7、132には複数の開口部120が設けられている。
各開口部120底面は金属配線115上の位置に配置さ
れている。
【0006】これら2枚のフレキシブル基板素片11
0、130のうち、一方のフレキシブル基板素片110
の各開口部120の底面に位置する金属配線115上に
は金属被膜121がメッキ法により形成されている。
【0007】他方のフレキシブル基板素片130の各開
口部138内にはメッキ法によって銅が充填されてお
り、その銅がカバーフィルム132表面から突き出るま
で成長され、金突起本体142が形成されている。突起
本体142の先端表面には、金属被膜142がメッキ法
によって形成され、突起本体142と金属被膜143と
で、金属突起140が構成されている。
【0008】上記のようなフレキシブル基板素片11
0、130を貼り合わせ、多層構造のフレキシブル配線
板を作成するためには、先ず、図6(a)に示すように、
一方のフレキシブル基板素片110の開口部120と他
方のフレキシブル基板素片の金属突起140とを向かい
合わせて配置する。次いでこれらを密着させ、開口部1
20底面の金属被膜121と金属突起140表面の金属
被膜142とを当接させる。
【0009】金属突起140が形成されたフレキシブル
基板素片130のカバーフィルム132は熱可塑性樹脂
で構成されており、この熱可塑性樹脂は加熱されると軟
化し、接着性を発現する性質を有している。従って、上
記のようにフレキシブル基板素片110、130を密着
させた状態で押圧しながら加熱すると、このカバーフィ
ルム132が接着性を発現するので、次いでこれを冷却
すると、フレキシブル基板素片110、130の層間は
カバーフィルム132によって接着される。
【0010】次いで、上記のような状態のフレキシブル
基板素片110、130を台154上に配置し、上側に
位置するフレキシブル基板素片130のベースフィルム
137上に超音波発生装置の共鳴部155を当接する
(同図(b))。一般に従来技術の超音波発生装置で
は、共鳴部155の先端表面は貼り合わせるべきフレキ
シブル基板素片よりも大面積になるように構成されてい
るので、この共鳴部155を用いてフレキシブル基板素
片110、130を押圧しながら超音波を印加すると、
フレキシブル基板素片110、130全体に一度に超音
波が印加される。
【0011】フレキシブル基板素片110、130の金
属突起140先端と開口部120底面は互いに当接され
ており、この状態でフレキシブル基板素片110、13
0全体に超音波が印加されると、各金属突起140先端
の金属被膜142と各開口部120底面の金属被膜12
1とが一度に接合される。
【0012】これらの金属被膜121、142の接合部
分では金属結合が形成されるので、各フレキシブル基板
素片110、130の金属配線115、135同士は金
属突起140を介して電気的に強固に接続され、導通信
頼性の高い多層構造のフレキシブル配線板150が得ら
れる(図7(c))。
【0013】しかしながら、表面積が大きいフレキシブ
ル基板素片110、130を上記のように一度に超音波
接続しようとすると、1個あたりの金属突起140に印
加される超音波が弱くなり、金属突起の接続不良が生じ
ることがある。
【0014】更に、金属突起140の高さはばらつきが
生じやすく、上記のように表面積が大きいフレキシブル
基板素片110、130に一括して超音波を印加しよう
としても、各金属突起140に超音波が均一に印加され
ず、接続不良が一層生じやすい。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
のような不都合が生じないフレキシブル配線板とその製
造技術を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らはフレキシブ
ル基板素片同士を重ね合わせ、超音波を印加して接続す
る際に、超音波の出力を大きくしても、一定面積以上の
領域は接続されないことを見出した。
【0017】更に調査すると、用いた超音波装置の共鳴
部の先端表面の面積と、印加する超音波の周波数との間
には一定の関係があり、超音波周波数の値によって、フ
レキシブル基板素片を接続できる共鳴部の先端表面の面
積には上限値があることを見出した。
【0018】図5のグラフの横軸は超音波の周波数(k
Hz)であり、縦軸は超音波装置の共鳴部の先端表面の
面積(cm2)である。図5のグラフの曲線Lは、用い
る超音波の周波数X(kHz)に対し、フレキシブル基
板素片を接続できる共鳴部の先端表面の面積Y(c
2)の上限値を示している(接合範囲)。
【0019】実験によると、この曲線Lは、Y=142
21X2の関係があり、周波数Xの超音波を用いて、そ
の周波数Xに対応する面積Yよりも大きな面積(曲線L
の上側)を接続する場合は、その面積を小面積(曲線L
よりも下側)に区分けし、区分けした領域毎に超音波を
印加する必要がある。
【0020】また、更なる実験の結果、本発明者等は、
超音波の周波数X(kHz)に対し、共鳴部の先端表面
の面積Y(cm2)が曲線Mで示される上限値の半分の
値未満となるときに、より確実に超音波接続が行われる
ことを確認した。
【0021】図5のグラフの曲線Mは超音波の周波数X
(kHz)に対し、フレキシブル基板素片をより確実に
接続できる共鳴部の先端表面の面積Y(cm2)の上限
値を示しており、この曲線MはY=7110X2の関係
がある(最適範囲)。
【0022】本発明は上記知見に基づいて作成されてお
り、請求項1記載の発明は超音波、超音波振動を発生す
る発振部と、前記超音波振動が伝達される共鳴部と、前
記共鳴部の先端表面を、互いに重ね合わせたフレキシブ
ル基板素片に当接させ、前記フレキシブル基板素片に超
音波を印加する超音波装置であって、前記先端表面は、
前期フレキシブル基板素片を重ね合わせた部分の面積よ
りも小面積にされる。請求項2記載の発明は請求項1記
載の超音波装置であって、前記先端表面の面積を平方セ
ンチメートルで表したときの値Yは、超音波の周波数を
kHzで表したときの値Xの2乗に14221を乗じた
値未満(Y<14221X2)にされる。請求項3記載
の発明は請求項1記載の超音波装置であって、前記先端
表面の面積を平方センチメートルで表したときの値Y
は、超音波の周波数をkHzで表したときの値Xの2乗
に7110を乗じた値未満(Y<7110X2)にされ
る。請求項4記載の発明はベースフィルムと、前記ベー
スフィルム上に配置された金属薄膜から成る金属配線
と、前記金属配線上に配置された樹脂フィルムとを有す
るフレキシブル基板素片と、前記金属配線上に、更に金
属突起が形成されたフレキシブル基板素片とを用い、前
記フレキシブル基板素片の前記金属配線同士を、前記金
属突起を介して当接させた状態で重ね合わせ、前記重ね
合わせた位置に超音波装置の共鳴部の先端表面を当接さ
せ、前記先端表面から超音波を印加し、前記金属配線同
士を前記金属突起を介して接続させるフレキシブル配線
板製造方法であって、前記超音波を印加すべき部分の面
積に対し、前記先端表面の面積を小さくし、前記超音波
を印加すべき部分に対し、複数回に分けて超音波を印加
する多層フレキシブル配線板製造方法である。請求項5
記載の発明は請求項4記載の多層フレキシブル配線板製
造方法であって、前記フレキシブル基板素片の前記超音
波を印加する部分の面積を平方センチメートルで表した
ときの値Yを、前記超音波の周波数をkHzで表したと
きの値Xの2乗に14221を乗じた値未満になるよう
に構成する。請求項6記載の発明は請求項4記載の多層
フレキシブル配線板製造方法であって、前記フレキシブ
ル基板素片の前記超音波を印加する部分の面積を平方セ
ンチメートルで表したときの値Yを、前記超音波の周波
数をkHzで表したときの値Xの2乗に7110を乗じ
た値未満になるように構成する。請求項7記載の発明は
請求項4及至請求項6のいずれか1項記載の多層フレキ
シブル配線板製造方法であって、前記少なくと2枚のフ
レキシブル基板素片の層間を接着性の樹脂により接続す
る。
【0023】本発明は上記のように構成されており、こ
の超音波装置が発生する超音波の周波数と共鳴部先端表
面の表面積との関係は、図5のグラフに示された曲線L
(接合範囲)の範囲内にあるので、この共鳴部の先端表
面を重ね合わせたフレキシブル基板素片上に当接し、超
音波を印加すると、先端表面直下に位置する部分は超音
波により接続される。また、より好適に超音波接続を行
うためには、共鳴部先端表面の面積と、超音波周波数と
の関係が図5のグラフで示した曲線M(最適範囲)未満
の範囲にあることが望ましい。
【0024】フレキシブル基板素片の超音波を印加すべ
き部分の面積が、上記のような共鳴部先端表面より大面
積な場合には、超音波を印加する部分を移動させ、超音
波接続を複数回に分けて行えば、印加すべき部分全体を
超音波接続することができる。
【0025】本発明によると、フレキシブル基板素片全
体に超音波を印加する必要が無く、フレキシブル基板素
片の所望の箇所(接続箇所)のみに超音波を印加するこ
とが可能なので、段差のあるような複雑な形状のフレキ
シブル基板素片であっても接続することができる。超音
波を印加する前に接着性の樹脂を用いてフレキシブル基
板素片同士を接続しておくと、超音波接続の際の位置ず
れを防止することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】本発明の超音波発生装置とフレキ
シブル配線板の製造方法を図面を用いて説明する。図1
(a)の符号10、30は本発明に用いる2種類のフレキ
シブル基板素片を示している。これらのフレキシブル基
板素片10、30はベースフィルム12、37と、ベー
スフィルム12、38上に配置された金属配線15、3
5と該金属配線15、35上に貼付されたカバーフィル
ム17、32とを有している。
【0027】金属配線15、35とカバーフィルム1
7、32は所定形状にパターニングされており、パター
ニングによってカバーフィルム17、32には複数の開
口部20、38(ここではそれぞれ70個の開口部が形
成されており、図面上ではそれぞれ10個ずつ示されて
いる)が形成されている。各開口部20、38は金属配
線15、35上の位置に配置されている。
【0028】これら2種類のフレキシブル基板素片1
0、30のうち、一方のフレキシブル基板素片10は、
各開口部20の底面に金属配線15が露出した状態で、
メッキがされており、開口部20底面の金属配線15表
面に金属被膜21が形成されている。ここでは金属被膜
21として純度99.99重量%の金で構成された金被
膜を用いた。
【0029】他方のフレキシブル基板素片30の各開口
部38には、その底面に金属配線35が露出した状態で
メッキがされ、各開口部38内が銅で充填されている。
その銅はカバーフィルム32上に突き出るまで成長され
ており、各開口部38内にそれぞれ突起本体42が形成
されている。各突起本体42先端部にはメッキ法によっ
て金属被膜43が形成されている。ここでは金属突起4
0表面に形成したニッケル被膜の上に金被膜を積層させ
た金属被膜を用いた。この金属被膜43と突起本体42
とでで金属突起40が構成されている。ここでは金属突
起40の高さの平均は45μm(標準偏差1.5μm)
であった。
【0030】これらのフレキシブル基板素片10、30
を貼り合わせ、多層構造のフレキシブル配線板を作製す
るには、先ず、金属突起40を有するフレキシブル基板
素片30と開口部20底面に金属被膜21が露出したフ
レキシブル基板素片10とを向かい合わせ、この金属突
起40と開口部20とを位置合わせする(図1
(a))。
【0031】次いで、これらを密着させ、金属突起40
先端の金属被膜43と開口部18底面の金属被膜21と
を当接させる。金属突起40を有するフレキシブル基板
素片30のカバーフィルム32は接着性の樹脂(ここで
は熱可塑性樹脂を用いた)で構成されており、この接着
性の樹脂は常温では接着性を有しないが、加熱されると
軟化し、接着性を発現する性質を有している。従って、
上記のような状態のフレキシブル基板素片10、30を
押圧しながら加熱すると、接着性の樹脂で構成されたカ
バーフィルム32が接着性を発現し、次いで全体を冷却
すると、フレキシブル基板素片10、30の層間はカバ
ーフィルム32によって接着される(図1(b))。
【0032】次に図4を参照し、同図の符号50は、本
発明の超音波装置の一例を示している。この超音波装置
50は、台座51と、台座51上に立設されたガイド棒
57 1、572と、ガイド棒571、572に上下移動可能
に取り付けられた発振部52と、発振部52先端に取り
付けられた共鳴部53とを有している。
【0033】台座51上にはワーク54(台)が配置さ
れている。このワーク54には図示しない移動装置が取
り付けられており、この移動装置によってワーク54が
台座51上で水平方向に移動できるように構成されてい
る。各ガイド棒571、572 は台座51上に立設され
ており、発振部52は斜め姿勢でガイド571、572
取り付けられている。
【0034】共鳴部53は、一端が発振部52の先端に
取り付けられており、他端は曲げ加工され、その先端表
面55は平坦に加工されている。図3に示すように、発
振部51と共鳴部53はガイド571、572に対して傾
いて取り付けられており、その先端表面55が台座51
に対して水平になるように構成されている。この先端表
面55の面積は加工対象物であるフレキシブル基板素片
10、30よりも小さくなるように構成されており、こ
こではその表面積が0.1cm2(2mm×5mmの長
方形形状)のものを用いた。
【0035】上記のような超音波装置50を用いてフレ
キシブル基板素片10、30を超音波接続するには、先
ず、ワーク54の所定の位置に図1(b)で示した状態
のフレキシブル基板素片10、30を水平に配置する。
次に、超音波装置50に設けられたエアシリンダ59を
動作させ、発振部51と共鳴部52をガイド571、5
2に沿って垂直に降下させ、共鳴部53の先端表面5
5を上側に位置するフレキシブル基板素片30上に当接
させる。
【0036】次いで、共鳴部53をフレキシブル基板素
片30に押し当てながら発振部52を動作させ、共鳴部
53に超音波を印加する。ここでは20kHzの超音波
を印加した。
【0037】この超音波装置50では生成された超音波
が先端表面55で水平に振動するので、先端表面55が
当接した部分のフレキシブル基板素片10、30には水
平方向の超音波振動が伝達される。
【0038】図2(c)はこの状態のフレキシブル基板
素片10、30の断面図を示している。これらのフレキ
シブル基板素片10、30の各金属突起40は上述した
共鳴部53の先端表面55よりも大面積の範囲に分散し
て設けられている。このフレキシブル基板素片10、3
0の図1(a)、(b)、図2(c)に示した部分で
は、10個の金属突起40が2つの領域に5個ずつ分か
れて配置されており、2つの領域のうち左方の領域上に
共鳴部53が当接されている。
【0039】各金属突起40は対向する金属被膜21に
当接されており、この状態で超音波振動が水平方向に印
加されると、この左方領域内の各金属突起40が超音波
振動によって水平に振動し、その先端部の金属被膜43
と開口部18底面の金属被膜21との界面が摺動する結
果、金属突起40とこれに対向する金属被膜21とが接
合される。金属突起40と金属被膜21とが接合された
部分では金属結合が形成されるので、左方領域内に位置
する金属配線15、35が金属突起40を介して強固に
接続される。
【0040】次いで、発振部52を停止し、エアシリン
ダ59を動作させ、共鳴部53及び発振部52をガイド
571、572に沿って上方に移動させる(図2
(d))。次に、ワーク54とともにフレキシブル基板
素片10、30を移動させ、共鳴部53先端表面55直
下にフレキシブル基板素片10、30の図2(c)で示
した2つの領域のうち、右方の領域が配置されるように
位置合わせをし、ワーク54を固定する。
【0041】次いで、エアシリンダ59を用いて共鳴部
53及び発振部52をガイド571、572に沿って下方
に移動させ、共鳴部53の先端表面55をフレキシブル
基板素片10、30上に当接させる。
【0042】図3(e)は、その状態のフレキシブル基
板素片10、30の断面図を示している。ここでは金属
突起40が配置された2つの領域のうち、図面右方の領
域上に共鳴部53先端表面55が当接されており、この
部分に超音波が印加されると、図面右方領域内の金属突
起40先端の金属被膜43と、これに当接された開口部
18底面の金属被膜21とが接合される。
【0043】上記の工程を繰り返し、フレキシブル基板
素片10、30の金属突起40が配置された領域全てに
くまなく超音波を印加すると(ここでは超音波を印加す
る領域を移動させながら図2(c)の工程を計7回繰り
返し、70個の金属突起40全てを超音波接続する)、
各金属突起40上の金属被膜42と、それに対応する各
開口部18底面の金属被膜21とが接合され、金属配線
15、35同士が強固に接続されたフレキシブル配線板
60が得られる(図2(f))。
【0044】上記工程で作成したフレキシブル配線板6
0の評価試験を行った。ここでは上記工程で作製された
フレキシブル配線板60を実施例1とし、これとは別
に、実施例2、4、5として共鳴部の先端表面55、超
音波の周波数、超音波接続の回数、及び、フレキシブル
基板素片30の金属突起40の高さを変化させ、実施例
1と同様の工程で多層構造のフレキシブル配線板60を
作製し、評価試験を行った。
【0045】実施例3は、実施例1と同じ共鳴部53と
フレキシブル基板素片10、30とを用い、超音波を印
加する領域を移動させながら超音波接続を10回繰り返
して70個のうち50個の金属突起40を接続した後、
シングルポイントボンダ−(先端表面径300μm)を
用いて残り20個の金属突起を一つずつ超音波接続した
場合である。
【0046】また、実施例6は、実施例5に用いたフレ
キシブル基板素片30の70個の金属突起40(高さ平
均25μm、標準偏差0.8μm)のうち、35個の金
属突起40に保護フィルムを貼着し、露出した他の35
個の金属突起40をメッキ法により更に45μmの高さ
まで成長させた後、保護フィルムを剥離し、高さの違う
2種類の金属突起40をそれぞれ35個作成し、実施例
3に用いたのと同じシングルポイントボンダ−を用いて
超音波接続を行った場合である。それらの評価結果を下
記表1に示す。
【0047】
【表1】 比較例1は、実施例1に用いたのと同じフレキシブル基
板素片同士を、図1(a)、(b)に示した工程で貼り
合わせ、超音波を印加しない場合の評価結果である。
【0048】表1の評価結果のうち、接合状態は、フレ
キシブル配線板の接合部分をミクロト―ムにより切り出
し、走査型電子顕微鏡を用いて断面の写真撮影を行い、
その状態を観察した結果である。「良好」とあるのは、
金属突起と金属配線の界面に金属結合が形成されている
状態を示しており、「接触」とあるのは金属結合が形成
されず、接触しているだけの状態を示している。
【0049】接合信頼性試験は、実施例1〜7及び比較
例1の各フレキシブル配線板を用い、先ず、各フレキシ
ブル配線板に対し、70個の接続箇所について導通試験
を行った後、恒温恒湿装置を121℃、2気圧、湿度1
00%の条件に設定し、各フレキシブル配線板を恒温恒
湿装置中に6時間放置し、同じ接続箇所の導通試験を行
った結果である。
【0050】表1中に記載した数字は、各導通試験にお
ける導通が確認できた説即箇所の個数である(全部導通
していた場合には、数字は70になる)。比較例に比べ
ると、実施例1〜7は導通箇所が多く、不良が全くない
か、又は少ないことが分かる。特に、実施例1〜6では
接続不良が全く存在せず、超音波接続を複数回に分けて
行えばより信頼性の高いフレキシブル配線板が得られる
ことが分かる。
【0051】耐熱性試験は、実施例1〜7及び比較例1
のフレキシブル配線板を用い、70個の接続箇所につい
て導通試験を行った後、各フレキシブル配線板を、温度
30℃、湿度65%の条件に設定した恒温恒湿装置中に
192時間放置した後、220℃の赤外線リフロー炉中
を120秒かけて通過させ、導通試験を行った結果であ
る。接合信頼性試験と同様に、実施例1〜6で特に良好
な結果が得られた。
【0052】実施例7では、接続に用いた共鳴部の先端
部表面と超音波の周波数は上述した相関関係の範囲内で
あったが、実施例1〜6に比べて接合信頼性試験及び耐
熱性試験の結果がやや劣っていた。これは各金属突起の
高さにばらつきがあり(標準偏差1.5μm)、高さの
低い金属突起が対向する金属配線に当接されず、超音波
を印加されても十分な接合が起こらなかったためと推測
される。
【0053】本発明の超音波装置50を用いてフレキシ
ブル基板素片10、30を貼り合わせる際、実施例1の
ように先端表面55が長方形形状の共鳴部53を用いれ
ば、直線上に配置された金属突起40を超音波接続する
ことができ、また実施例2のように正方形形状のものを
用いれば、ブロック上に集合して配置された金属突起4
0を接続することができる。いずれにしても、先端表面
55の面積が印加する超音波周波数に対応する接合面積
未満であればよい。
【0054】上記実施例1〜7では、貼り合わせに用い
るフレキシブル基板素片30のカバーフィルム32を熱
可塑性樹脂で構成したが、本発明はこれに限定されるも
のでは無い。本発明には、接着性樹脂として熱可塑性樹
脂の他に熱硬化性樹脂も好適に用いることができる。ま
た、カバーフィルム32が接着性樹脂で構成されていな
い場合は、貼り合わせる2枚のフレキシブル基板素片の
間に接着性樹脂を配置して、これらを熱圧着すればよ
い。
【0055】接着性樹脂によるフレキシブル基板素片同
士の機械的接続は超音波接続の後に行ってもよいが、フ
レキシブル基板素片同士を機械的に接続した後に超音波
接続を行えば、位置ずれが防止にされる。この場合はフ
レキシブル基板素片同士を接着する前に、予め位置合わ
せを行う必要がある。
【0056】なお、上記のフレキシブル配線板60の金
属被膜21、43には金被膜を用いたが、本発明はこれ
に限定されるものではなく、金の代わりに白金、銀、パ
ラジウム等も用いることができる。
【0057】
【発明の効果】本発明の超音波装置を用いれば、より確
実にフレキシブル基板素片同士を超音波接続することが
できるので、導通信頼性の高い多層構造のフレキシブル
配線板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)、(b):本発明による多層フレキシブル配
線板の製造工程の前半
【図2】(c)、(d):本発明による多層フレキシブル配
線板の製造工程の中半
【図3】(e)、(f):本発明による多層フレキシブル配
線板の製造工程の後半
【図4】本発明の超音波装置を説明するための図
【図5】超音波の周波数Xと先端表面の面積Yとの相関
関係を示すグラフ
【図6】(a)、(b):従来技術による多層フレキシブ
ル配線板の製造工程の前半
【図7】(c):従来技術による多層フレキシブル配線板
の製造工程の後半
【符号の説明】
10、30……フレキシブル基板素片 12、37……ベースフィルム 15、35……金属配線 17、32……カバーフィルム(接着性樹脂) 40……金属突起 60……多層フレキシブル配線板 50……超音波装置 53……共鳴部 54……ワーク(台) 55……先端表面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 波木 秀次 栃木県鹿沼市さつき町12−3 ソニーケミ カル株式会社第2工場内 Fターム(参考) 5E346 AA02 AA04 AA12 AA15 AA22 AA29 AA32 AA43 CC02 CC08 CC32 CC37 CC38 CC54 DD02 DD13 DD22 EE12 FF07 FF18 FF23 FF27 GG01 GG15 GG17 GG28 HH07 HH31

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】超音波振動を発生する発振部と、 前記超音波振動が伝達される共鳴部とを有する超音波装
    置であって、 前記共鳴部の先端表面を、互いに重ね合わせたフレキシ
    ブル基板素片に当接させ、前記フレキシブル基板素片に
    超音波を印加する超音波装置であって、 前記先端表面は、前記フレキシブル基板素片を重ね合わ
    せた部分の面積よりも小面積にされた超音波装置。
  2. 【請求項2】前記先端表面の面積を平方センチメートル
    で表したときの値Yは、超音波の周波数をkHzで表し
    たときの値Xの2乗に14221を乗じた値未満(Y<
    14221X2)にされた請求項1記載の超音波装置。
  3. 【請求項3】前記先端表面の面積を平方センチメートル
    で表したときの値Yは、超音波の周波数をkHzで表し
    たときの値Xの2乗に7110を乗じた値未満(Y<7
    110X2)にされた請求項1記載の超音波装置。
  4. 【請求項4】ベースフィルムと前記ベースフィルム上に
    配置された金属薄膜から成る金属配線と、前記金属配線
    上に配置された樹脂フィルムとを有するフレキシブル基
    板素片と、 前記金属配線上に、更に金属突起が形成されたフレキシ
    ブル基板素片とを用い、 前記フレキシブル基板素片の前記金属配線同士を前記金
    属突起を介して当接させた状態で重ね合わせ、 前記重ね合わせた位置に超音波装置の共鳴部の先端表面
    を当接させ、前記先端表面から超音波を印加し、前記金
    属配線同士を前記金属突起を介して接続させる多層フレ
    キシブル配線板製造方法であって、 前記超音波を印加すべき部分の面積に対し、前記先端表
    面の面積を小さくし、前記超音波を印加すべき部分に対
    し、複数回に分けて超音波を印加する多層フレキシブル
    配線板製造方法。
  5. 【請求項5】前記フレキシブル基板素片の前記超音波を
    印加する部分の面積を平方センチメートルで表したとき
    の値Yを、前記超音波の周波数をkHzで表したときの
    値Xの2乗に14221を乗じた値未満になるように構
    成する請求項4記載の多層フレキシブル配線板製造方
    法。
  6. 【請求項6】前記フレキシブル基板素片の前記超音波を
    印加する部分の面積を平方センチメートルで表したとき
    の値Yを、前記超音波の周波数をkHzで表したときの
    値Xの2乗に7110を乗じた値未満になるように構成
    する請求項4記載の多層フレキシブル配線板製造方法。
  7. 【請求項7】前記少なくと2枚のフレキシブル基板素片
    の層間接着性の樹脂により接続する請求項4乃至請求項
    6のいずれか1項記載の多層フレキシブル基板製造方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007165680A (ja) * 2005-12-15 2007-06-28 Toppan Printing Co Ltd 積層用配線基板、多層配線基板およびそれらの製造方法、ならびに半導体装置

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