JP2001255686A - リサイクル可能な被記録材の製造方法 - Google Patents

リサイクル可能な被記録材の製造方法

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JP2001255686A
JP2001255686A JP2000063681A JP2000063681A JP2001255686A JP 2001255686 A JP2001255686 A JP 2001255686A JP 2000063681 A JP2000063681 A JP 2000063681A JP 2000063681 A JP2000063681 A JP 2000063681A JP 2001255686 A JP2001255686 A JP 2001255686A
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heating
recording material
heating step
surface layer
layer
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JP2000063681A
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Naoki Yoshie
直樹 吉江
Shigeo Uetake
重夫 植竹
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Minolta Co Ltd
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Minolta Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 印字された後、長期間保管しても画像除去性
能が良好で、リサイクル可能な被記録材の製造方法を提
供すること。カールが発生しにくいリサイクル可能な被
記録材の製造方法を提供すること。 【解決手段】 少なくとも水溶性樹脂を含む表層用塗液
を基材層または中間接着層の上に塗布した後、該塗布層
を比較的強い条件で加熱することを特徴とするリサイク
ル可能な被記録材の製造方法。少なくとも水溶性樹脂を
含む表層用塗液を基材層または中間接着層の上に塗布し
た後、加熱温度、加熱時間および/または加熱時の表層
塗布基材の設置状態が異なる少なくとも2段階の加熱工
程を連続して行うことを特徴とするリサイクル可能な被
記録材の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は複写機やプリンタ等
で画像形成することにより被記録材へ付着した印字材料
を被記録材から除去可能であり、繰り返し再利用可能な
被記録材の製造方法に関する。特に本発明は水などの水
性溶媒を用いたブラッシング法などの物理的摺擦力によ
る除去手段に適している被記録材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】今日、トナーを用いる電子写真複写(い
わゆるコピー)技術が普及し、紙やOHPシート等の被
記録材が多量に用いられている。
【0003】そのような被記録材上に印字あるいはコピ
ーされた印字材料は容易に除去できるものではなく、ま
たそのような技術も実用化されていないのでオフィスで
多量に発生した印字物は不要になるとそのまま破棄され
ているのが実状である。
【0004】これでは環境保全、資源保護に好ましくな
いことは明らかである。そのため破棄対象の被記録材を
再生あるいはリサイクルする技術が盛んに研究されてい
る。例えば、特開平11-218955号公報および特開平6-222
604号公報等においては、被記録材の表面に水により膨
潤する膨潤層を形成しておき、この膨潤層を水で濡らし
て膨潤させることにより、被記録材に記録された画像を
除去する技術が開示されている。
【0005】上記公報の被記録材に形成される膨潤層
は、水溶性樹脂を含む樹脂溶液を被記録材表面に塗布
し、加熱することによって水溶性樹脂を架橋させて得ら
れる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような方法で被記録材を製造した場合、画像除去に関す
る初期性能あるいは繰り返し性能には問題はないが、保
管性に問題が生じる場合があることがわかってきた。す
なわち、従来からの方法によって製造された被記録材に
印字材料を印字し、当該被記録材を長期間保管すると画
像を除去する性能が大幅に低下することがわかってき
た。特に被記録材を高湿環境下に保管した場合、画像除
去性能(脱墨性)の低下は顕著であった。
【0007】そこで、本発明の発明者等は架橋時におい
て長時間(時間オーダー)加熱すると、印字材料が印字
された被記録材を長期間、高湿環境下で保管しても、画
像除去性能が悪化しにくいことを見い出した。
【0008】一方、被記録材を工業的に製造するに際し
ては、例えば、30cm×50m等のような大きな(長い)寸
法のシート基材を用い、表層の形成後、所望の大きさに
カッティングするのが一般的である。このような製造ラ
インにおける表層の形成手段としては、例えば、上記
シート基材に塗液を塗布した後、当該シート基材をオン
ラインで乾燥と同時に硬化させる手段、上記シート基
材に塗液を塗布し、乾燥させた後、別工程で当該シート
基材をオンラインで硬化させる手段、または上記シー
ト基材に塗液を塗布し、乾燥させた後、当該シート基材
をロール状に巻いた状態で硬化させる手段等が知られて
いる。の手段においては、施設便宜上、塗布乾燥後、
一旦保管(放置)され、硬化されることが一般的であ
る。ここで、「オンライン」とは上記シート基材が搬送
されながら連続的に処理されるようライン上に横たえら
れた状態(平面状態)を意味するものとする。
【0009】しかしながら、上述したように長期間保管
時の画像除去性能の低下を防止すべく架橋(硬化)時に
おいて長時間加熱するとき、上記のやの手段を採用
すると、非常に非効率であった。すなわち、上記のや
の手段を採用すると、硬化を長時間かけてオンライン
で行うため、時間的な効率だけでなく、製造施設面での
効率も低く、当該手段による製造は現実的に不可能であ
った。また、上記のの手段を採用すると、硬化の際、
ロール内の温度分布が大きく、例えばロールの外側と内
側とでは実際にシートに与えられる熱量の差が大きくな
り、シートの硬化度合のばらつきが大きくなる。さらに
は、上記のの手段においては被記録材はロール状態で
硬化(加熱)されるため、その硬化に時間がかかりすぎ
るだけでなく、得られた被記録材に比較的大きなカール
が生じ、その通紙性が悪化するという新たな問題も生じ
ていた。
【0010】本発明は上記事情に鑑みてなされたもので
あり、印字された後、長期間保管しても画像除去性能が
良好で、リサイクル可能な被記録材の製造方法を提供す
ることを第1の目的とする。
【0011】本発明はまた、ロール状態で加熱しても、
カールの発生が抑制され、画像除去性能の安定性に優れ
たリサイクル可能な被記録材の製造方法を提供すること
を第2の目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、少なくと
も水溶性樹脂を含む表層用塗液を基材層または中間接着
層の上に塗布した後、該塗布層を比較的強い条件で加熱
することを特徴とするリサイクル可能な被記録材の製造
方法に関する。このように加熱することにより上記第1
の目的を達成できる。
【0013】第2の発明は、少なくとも水溶性樹脂を含
む表層用塗液を基材層または中間接着層の上に塗布した
後、加熱温度、加熱時間および/または加熱時の表層塗
布基材の設置状態が異なる少なくとも2段階の加熱工程
を連続して行うことを特徴とするリサイクル可能な被記
録材の製造方法に関する。このように加熱することによ
り上記第2の目的を達成できる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明(第1〜第2の発明)の被
記録材の製造方法においては、まず、少なくとも水溶性
樹脂を含む表層用塗液を基材層の上に塗布し、表層が塗
布された表層塗布基材を得る。本明細書中、表層用塗液
を塗布された後、加熱が完結するまでの基材を表層塗布
基材と呼ぶ。
【0015】基材層は耐水性(強度)があり、透明なプ
ラスチックフィルムまたは無機微粒子が添加されて不透
明化したプラスチックフィルムが好適に使用される。プ
ラスチックフィルムの材質は特に問わないが耐熱性等を
考慮すると、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイ
ミド、ポリメチルメタクリレート等が好ましい。さらに
汎用性、値段、耐熱性、耐久性等を考慮に入れると、ポ
リエステル、特にポリエチレンテレフタレート(PE
T)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等が望ましい。
OHPとして入手可能な各種シートを使用することも可能
である。また、プラスチックをベースとした紙や、PET
繊維などのプラスチック繊維を抄紙したものなどのいわ
ゆる合成紙も市販されており、このような合成紙も基材
として有用である。これ以外にも、金属箔、パルプ紙、
耐水性の改良された紙、さらに樹脂・紙・金属などの複
合材料も用いることができる。要は印字材料の印字およ
び除去を通して平面性を保つことができ、かつ適度な耐
水性と適度な機械的強度とを備えたものであればよい。
【0016】本発明においては被記録材の工業的生産性
の観点から、寸法の大きな基材、例えば、幅30cm×長さ
50m、幅100cm×長さ100m等の寸法の基材を用いることが
好ましく、特に、後述する第2の発明においては、その
ような基材を用いることは有効である。
【0017】基材層と表層との接着性を向上させる目的
で、基材層における表層形成面にコロナ放電処理を施し
てもよい。
【0018】表層用塗液は、少なくとも水溶性樹脂を、
水、水と水性有機溶剤との混合溶媒または水性有機溶剤
等の適当な水性媒体に溶解してなる水性溶液であり、所
望により架橋剤や架橋開始剤が含まれる。水溶性樹脂と
しては、分子中に水酸基、アミノ基、アミド基、チオー
ル基、カルボキシル基、スルホン酸基等の活性水素を有
する官能基を持つ水溶性樹脂、例えばポリビニルアルコ
ール、メチルセルロース、ポリアクリル酸、カルボキシ
メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリ
ビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ジアセトンア
クリルアミド、ポリエチレンオキサイド等が使用でき
る。好ましくは水酸基を多く持つポリビニルアルコール
を使用する。
【0019】水溶性樹脂の重合度は300〜3000、好まし
くは500〜2000、より好ましくは500〜1700であるものが
よい。このような水溶性樹脂は水性媒体100重量部に対
して2〜30重量部、好ましくは5〜10重量部溶解させて用
いるのが適当である。
【0020】表層用塗液には架橋剤が好ましく添加され
る。水溶性樹脂が効率よく架橋されるためである。架橋
剤としては、上記水溶性樹脂分子中に存在する官能基、
例えば、水酸基、アミノ基、アミド基、チオール基、カ
ルボキシル基、スルホン酸基等と反応性を有し、該水溶
性樹脂を架橋できれば特に制限されず、公知の架橋剤が
使用される。例えば、エポキシ化合物、イソシアネート
化合物、ジアルデヒド系化合物、メチロール化合物、メ
ラミン樹脂、ジカルボン酸系化合物、アジリジン化合
物、ジヒドラジド化合物等が挙げられる。エポキシ化合
物を用いることが好ましい。
【0021】エポキシ化合物としては、例えば、ポリエ
チレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレ
ングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリ
グリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテ
ル、グリセロールポリグリシジルエーテル等が挙げられ
る。これら以外にも種々のエポキシ化合物が使用可能で
ある。上記のエポキシ化合物の中でもグリセロールポリ
グリシジルエーテル用いることが好ましい。
【0022】イソシアネート化合物としては、一つの分
子中に2つ以上のイソシアネート基を有するものを使用
することができる。イソシアネート基を複数有する化合
物を使用することにより、効率よく水溶性樹脂を架橋で
きる。かかるイソシアネートとしては、例えば4,4'−
ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4'−メチレン
ビスシクロヘキシルイソシアネート、トリス(p−イソシ
アネートフェニル)メタン、トリメチロールプロパンの
トリレンジイソシアネート3付加物、分子内に親水性基
を有する脂肪族ポリイソシアネート等が使用できる。ま
たこれらの化合物を含め、本実施形態で使用されるイソ
シアネートはフェノール、亜硫酸等で保護されていても
よい。
【0023】ジアルデヒド系化合物としては、例えば、
グリオキサール、グルタルアルデヒド等が挙げられる。
これら以外にも種々のグリオキサール系化合物が使用可
能である。
【0024】メチロール化合物としては、例えば、ジメ
チロールメラミン、トリメチロールメラミン等のメチロ
ール化メラミン、ジメチロール化尿素、メラミン−ホル
ムアルデヒド樹脂等があげられる。これら以外にも種々
のメチロール化合物が使用可能であり、適度に高分子量
体のものほど、さらに分子鎖が適度に長いものほど好ま
しく、かかる観点からは上記表示のメチロール化合物の
中では、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂が好ましい。
【0025】ジカルボン酸系化合物としては、例えば、
シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸等が使用可
能である。これら以外にも種々のジカルボン酸系化合物
が使用可能である。
【0026】アジリジン化合物としては、例えば、ジフ
ェニルメタン−ビス−4,4’−N,N’−ジエチル尿
素、2,2'−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリ
ス−[3−(1−アジリジイニル)プロピネート]を使
用することができる。また、オキサゾリン基含有ポリマ
ーも使用することができる。
【0027】ジヒドラジド化合物としては、例えば、ア
ジピン酸ジヒドラジド等を使用することができる。これ
ら以外にも種々のジヒドラジド化合物が使用可能であ
る。
【0028】上記のような化合物を架橋剤として添加す
る場合、膨潤時および乾燥時の表層強度の観点から、水
溶性樹脂100重量部に対して0.1〜100重量部、好ましく
は1〜50重量部が好適である。
【0029】表層用塗液には、例えば、界面活性剤、微
粒子、帯電防止剤等の添加剤が添加されてもよい。
【0030】界面活性剤は塗布性能および表層に対する
水の浸透性を上げるために添加され、その具体例として
は、アニオン性、カチオン性、ノニオン性の界面活性剤
等、各種界面活性剤が挙げられ、特に制約はない。添加
量は水溶性樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部、好ま
しくは0.5〜10重量部が適当である。
【0031】微粒子は、筆記性を向上させるために添加
され、その具体例としては、例えば、シリカ、酸化チタ
ン、アルミナ、酸化亜鉛、炭酸カルシウム等の無機微粒
子や樹脂微粒子が挙げられる。かかる微粒子を添加する
場合、水溶性樹脂100重量部に対して0.1〜200重量部、
好ましくは10〜100重量部添加する。
【0032】帯電防止剤は通紙性を上げるために添加さ
れ、例えば、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活
性剤等が挙げられる。カチオン性界面活性剤の具体例と
して、例えば、四級アンモニウム塩等が挙げられ、アニ
オン性界面活性剤として脂肪族スルホン酸塩や硫酸エス
テル塩等が挙げられる。帯電防止剤は表層を形成する材
料に添加してもよいし、表層を形成した後に、適当な溶
媒に溶解・分散させたものを塗布するようにしてもよ
い。
【0033】表層用塗液には、二重結合を持つモノマー
もしくはオリゴマーおよびそれらの重合開始剤をさらに
添加されてもよい。後述の各種加熱工程において加熱を
行いながら、所望により紫外線または電子線等を照射し
て、水溶性樹脂中、非水溶性成分を生成させて、当該水
溶性樹脂に水膨潤性を容易に付与できるためである。
【0034】以上のような材料からなる表層用塗液の塗
布方法は、表層を均一な膜厚で形成でき、かつ塗布量を
加熱乾燥後の量で0.5〜30g/m2、好ましくは5〜20g/m2
制御できれば、特に制限されず、公知のいかなる方法を
採用してもよい。例えば、浸漬塗布、スプレー塗布等が
例示できる。
【0035】表装用塗液を塗布した後は、得られた表層
塗布基材を加熱する。加熱を行うことによって、水溶性
樹脂を架橋して塗布層を硬化させ、水膨潤性の表層を形
成する。水膨潤性とは水や水性の溶媒に膨潤するが、溶
解しないことを意味するものとする。加熱は以下に従っ
て行われる。表層用塗液に、二重結合を持つモノマーも
しくはオリゴマーが添加されている場合、後述の各種加
熱工程において加熱を行いながら、所望により紫外線ま
たは電子線等を照射してもよい。
【0036】第1の発明においては、比較的強い条件で
加熱する。詳しくは、加熱温度(℃)と加熱時間(時
間)との積を加熱指数としたとき、当該加熱指数が1000
(℃・時間)以上、好ましくは2000〜10000(℃・時
間)、より好ましくは3000〜10000(℃・時間)となる
条件で加熱する。このように加熱することによって、印
字した後、長期間保管しても被記録材の画像除去性能は
ほとんど低下しないという優れた効果が得られる。当該
加熱工程には熱を加えて処理する全ての工程が含まれる
ものとし、そのような工程として、例えば、塗布層を単
に乾燥するためのいわゆる乾燥工程や架橋のためのいわ
ゆる架橋工程、ならびに乾燥または架橋を所望により他
段階で行う場合における各段階の加熱工程等が挙げられ
る。このように加熱工程を多段階で行う場合において
は、全ての加熱工程の加熱指数の和が上記範囲内になれ
ばよい。
【0037】例えば、表層用塗布液を塗布した後、塗布
層に熱を与えて乾燥させ(乾燥工程)、その後、加熱し
て架橋させて被記録材を得る場合、乾燥工程および加熱
工程における各工程の加熱指数の和が上記範囲内になれ
ばよい。具体的には、表装用塗布液を塗布した後、100
℃で5分間加熱して乾燥させ(乾燥工程)、その後、80
℃で30時間加熱して被記録材を得る場合、加熱指数の和
は約2408である。
【0038】加熱工程における加熱指数(加熱を多段階
で行う場合においてはそれらの和)が1000未満である
と、製造された被記録材に印字材料を印字し、当該被記
録材を長期間保管したとき画像除去性能が大幅に低下
し、特に被記録材を高湿環境下に保管したとき画像除去
性能(脱墨性)の低下は顕著となる。これは加熱条件が
弱すぎるために表層における水溶性樹脂の架橋が充分で
ないか、または弱いため、比較的長い時間が経過する
と、表層が劣化し、水溶性樹脂の架橋度の低下が顕著に
なって、画像除去性能が悪化するためと考えられる。一
方で、あまりに加熱条件が強すぎると、得られる被記録
材が黄変する傾向が強いため、着色性の観点から、注意
することがより好ましい。
【0039】加熱が多段階で行われる場合、または1段
階で行われる場合、いずれの場合においても、それぞれ
の段階における加熱温度および加熱時間は加熱指数の和
が上記範囲内である限り、特に制限されないが、加熱温
度は20〜250℃、好ましくは80〜200℃の範囲内で選択さ
れることが望ましい。
【0040】第1の発明においては、加熱工程終了直後
の表層塗布基材(被記録材)における表層1gあたりの
吸水量が3g以下となるように加熱することがより好ま
しい。このように加熱を行い、水溶性樹脂を充分に架橋
することによって、長期間保管時の画像除去性能の低下
をより有効に防止することができる。
【0041】また、第1の発明において加熱を多段階で
行う場合は、最終の加熱工程の加熱指数が加熱指数の和
の80%以上、好ましくは90%以上を占めることが望まし
い。
【0042】第1の発明において加熱に供される表層塗
布基材の設置状態は、上記のような加熱が行われる限
り、特に制限されず、例えば、平面状態またはロール状
態であってよい。
【0043】第2の発明においては、加熱を少なくとも
2段階で行い、かつ、最終の加熱工程直前の加熱工程を
行った後、連続して最終の加熱工程を行う。好ましく
は、最終の加熱工程直前の加熱工程において表層塗布基
材を平面状態で加熱し、最終の加熱工程において表層塗
布基材をロール状態で加熱する。このように加熱するこ
とにより、表層塗布基材をロール状態で加熱してもカー
ルの発生が抑制され、画像除去性能の安定性が向上する
という優れた効果が得られる。また、放置され冷却され
たロール状態の表層塗布基材を、硬化させるべく加熱す
る従来の方法と比較して、硬化は比較的短時間で完了す
るという効果も得られる。
【0044】従来からの被記録材の製造方法において
は、工業的な生産性の観点から寸法の大きな基材を用
い、また施設便宜上、表装用塗液を塗布乾燥した後、一
旦保管(放置)し、さらには製造効率の観点から放置冷
却された、寸法の大きな表層塗布基材をロール状に巻い
た状態で硬化させることが一般的であった。このため、
硬化の際、ロール内で比較的顕著な温度分布が発生し、
ロール部位によって硬化度にバラツキが生じ、これによ
って、画像除去性能等の品質の安定性が低下したり、被
記録材に顕著なカールが生じたと考えられる。第2の発
明においては、寸法の大きな基材を用いた表層塗布基材
をロール状態で硬化させる場合であっても、上記のよう
に、最終の加熱工程で硬化(架橋)させるに先だって、
最終の加熱工程直前の加熱工程で表層塗布基材を平面状
態で加熱し、かつこのような最終の加熱工程直前の加熱
工程および最終の加熱工程を連続的に行うため、硬化の
際のロール内での温度分布の発生が抑制されるとともに
硬化度のバラツキが低減され、カールの発生に伴う通紙
性の悪化や画像除去性能の安定性の低下が防止されると
考えられる。
【0045】第2の発明においては、さらに第1の発明
のように加熱工程を比較的強い条件で行うことによっ
て、表層塗布基材をロール状態で加熱してもカールの発
生が抑制され、画像除去性能の安定性が向上するという
効果と、印字した後、長期間保管しても被記録材の画像
除去性能はほとんど低下しないという効果が同時に得ら
れる。詳しくは、全ての加熱工程における加熱指数の和
が第1の発明において記載の範囲内、すなわち1000(℃
・時間)以上、好ましくは2000〜10000(℃・時間)、
より好ましくは3000〜8000(℃・時間)となるように加
熱する。このように上記の両効果が同時に得られる場合
について以下、詳しく説明する。
【0046】第2の発明においては、加熱を少なくとも
2段階で行うに際して、最終の加熱工程直前の加熱工程
(以下、加熱工程(X)という)と最終の加熱工程(以
下、加熱工程(Y)という)を規定する。すなわち、当該
発明においては、「加熱温度」「加熱時間」および/ま
たは「加熱時の表層塗布基材の設置状態」が異なる少な
くとも2以上の加熱工程を実施するに際して、加熱工程
(X)および加熱工程(Y)を連続的に実施する。
【0047】第2の発明における第1の態様において
は、表装用塗布液を塗布した後は、塗布層に熱を与えて
乾燥させ、その後、加熱工程(X)および加熱工程(Y)
を連続して実施する。当該態様においては、一旦乾燥さ
せた後(乾燥工程)、加熱工程(X)および加熱工程
(Y)を行うため、乾燥後の一時保管が可能となり、工程
管理が容易になる。当該態様において加熱は、結果的
に、乾燥工程を含めて3段階で行われる。
【0048】乾燥工程において、塗布層を乾燥する。通
常、乾燥は表層用塗液の塗布後、ただちに行われ、例え
ば、図6に示すような塗布乾燥手段が用いられる。詳し
くは、図6では、寸法の大きな(長い)基材50に、塗布
装置51を用いて表層用塗液52を塗布し、塗布された基材
(表層塗布基材)60をその後ただちに加熱装置53に水平
に搬送し、乾燥する。本発明においては、このように搬
送されながら連続的に処理されることを目的としてライ
ン上に水平に横たえられたシート基材の状態を「オンラ
イン」状態というものとする。図6の加熱装置53におい
ては、公知の加熱手段、例えば、加熱用ヒーター等が表
層形成面側、好ましくは両側(図6上において基材の上
下)に設置され、被処理体が当該装置内を通過するとき
加熱されるようになっている。乾燥工程における加熱温
度および加熱時間は所望の乾燥の程度に依存するため、
特に限定的でないが、乾燥後の表層塗布基材をロール状
に巻いて保管する場合は、乾燥後、ロール状で保管でき
る程度に表層が粘着性を有さない温度および時間とす
る。通常、90〜110℃、好ましくは95〜105℃で1〜3分
間、好ましくは1.5〜2.5分間が適当である。加熱温度は
上記加熱手段およびその出力を適宜選択することによっ
て制御でき、また、加熱時間は加熱装置53の基材進行方
向の長さおよび基材搬送速度等を適宜選択することによ
って制御できる。加熱装置53の基材進行方向の長さは通
常、約1〜30mが好適とされる。
【0049】乾燥後の表層塗布基材はただちに、後述の
加熱工程(X)に供されてもよいし、または所望により
ロール状に巻いた状態で保管されてもよい。なお、乾燥
後の表層塗布基材をロール状態で保管した後は、当該表
層塗布基材はロールを解いて加熱工程(X)に供され
る。
【0050】加熱工程(X)においては、表層塗布基材
を、当該表層塗布基材が曲げられていない状態、すなわ
ち平面状態で加熱する。加熱時の表層塗布基材の設置状
態は平面状態であれば特に制限されないが、好ましくは
水平に設置されるオンライン状態である。加熱に際して
具体的には、例えば、上記の乾燥工程における加熱装置
を用いることができる。加熱工程(X)においては後述
の加熱工程(Y)と比較して高温で短時間、加熱すること
が好ましい。通常、130〜220℃、好ましくは150〜200℃
で、3秒〜5分間、好ましくは20秒〜1分間が好適であ
る。より好ましくは加熱工程(X)の直後の表層塗布基
材、すなわち加熱工程(Y)の直前の表層塗布基材にお
ける表層1gあたりの吸水量は7g以下、好ましくは5
g以下となるよう加熱する。このように加熱を行うこと
によって、被記録材のカールの発生および長期間保管時
の画像除去性能の低下をより有効に防止することができ
る。
【0051】加熱工程(X)を終えた表層塗布基材はた
だちにロール状に巻かれ、後述の加熱工程(Y)に供さ
れる。加熱工程(X)を終えた表層塗布基材は、加熱工
程(Y)においてロールに温度分布が顕著に発生しない程
度の連続性をもって、ロール状に巻かれ、加熱工程
(Y)に供されればよい。このように、加熱工程(X)お
よび加熱工程(Y)を連続的に実施することによって、
加熱工程(Y)においてロール状態の表層塗布基材内部
における温度分布の発生を抑制し、架橋密度のバラツキ
を低減できるため、カールの発生を低減し、また画像除
去性能の安定性を向上することができる。ロール状表層
塗布基材はロール中心の表層塗布基材ほどカールが発生
し易い傾向があるため、ある程度大きな芯材(図7にお
ける72参照)を用いてロール状に巻くことが好ましく、
例えば、A4版の被記録材の製造を目的とする場合、直径
15cm以上の紙製芯材を用いることがより好ましい。
【0052】加熱工程(Y)においては、表層塗布基材
をロール状に巻いた状態で加熱する。このように表層塗
布基材をロール状態で加熱することによって、寸法の大
きな(長い)基材を用いた場合であっても、大規模な設
備を必要とすることなく効率的に硬化(架橋)すること
ができる。このような加熱は具体的には、例えば、図7
に示すように、所定温度に設定された加熱室71内にロー
ル状表層塗布基材70を所定時間静置することによって達
成できる。当該工程における加熱温度および加熱時間は
表層を構成する水溶性樹脂の架橋が充分に行われれば特
に制限されないが、ロール内での温度分布の発生をより
抑制し、より均一な加熱架橋が行われるよう、比較的低
温で行うことが好ましく、通常、50〜140℃、好ましく
は70〜90℃が好適である。加熱時間は通常、10〜90時
間、好ましくは30〜70時間が好適である。より好ましく
は加熱工程(Y)の直後の表層塗布基材(被記録材)に
おける表層1gあたりの吸水量は3g以下、好ましくは
0.3〜3g、より好ましくは0.5〜2gとなるように加熱す
る。このように加熱を行うことによって、被記録材のカ
ールの発生および長期間保管時の画像除去性能の低下を
より有効に防止することができる。
【0053】第2の発明における第2の態様において
は、表装用塗布液を塗布した後は、加熱工程(X)を実
施し、その後連続して加熱工程(Y)を実施する。当該
態様においては、結果的に加熱を2段階で行うため、生
産性が向上する。生産性のさらなる向上の観点から、表
装用塗布液を塗布した後は、ただちに加熱工程(X)を
実施することが好ましい。加熱工程(X)および加熱工
程(Y)はそれぞれ、表層用塗布液を塗布した後の表層
塗布基材を加熱工程(X)に供すること以外、上記の第
1の態様における加熱工程(X)および加熱工程(Y)と
同様であるため、その説明を省略する。
【0054】第2の発明においては、「加熱温度」「加
熱時間」および/または「加熱時の表層塗布基材の設置
状態」が異なる少なくとも2以上の加熱工程を実施し、
かつ上記のような加熱工程(X)および加熱工程(Y)を連
続的に実施すれば、上記の態様に制限されるものではな
く、すなわち他に、熱を加えて処理する工程、例えば、
乾燥および/または架橋を所望により他段階で行う場合
における各段階の加熱工程等が実施されても良い。第2
の発明において加熱工程(X)および加熱工程(Y)以外
の1以上の加熱工程が実施されるとき、当該「1以上の
加熱工程」における表層塗布基材の設置状態は特に制限
されない。
【0055】以上のような方法によって製造され得る被
記録材の一例の模式的断面図を図1に示す。1は基材
層、3は表層である。なお、図1においては表層3の表
面に印字材料4が印字されている構成を示してある。ま
た、図1には基材層1の片面に表層3が形成された構成
を示しているが、両面に表層3を形成してもよい。
【0056】本発明(第1〜第2の発明)においては、
表層と基材層との接着性向上の観点から、基材層への表
層の形成に先だって、基材層における表層が形成される
面に中間接着層を形成しておくことが好ましい。
【0057】中間接着層は基材層と接着性の高い樹脂か
ら構成され、所望により表層構成樹脂と化学結合可能な
官能基を有する化合物(反応性化合物)が含まれる。そ
うすることにより、当該中間層を介して、表層と基材層
との接着性、接合性を向上させることができる。
【0058】中間接着層を構成する接着性の高い樹脂と
しては、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、
ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、酢酸ビニル
樹脂、塩化ビニル樹脂等が挙げられ、好ましくは、ポリ
メチルメタクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカ
ーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂等が挙
げられる。
【0059】所望により中間接着層に含まれる反応性化
合物としては、表層を構成する樹脂と化学結合可能な官
能基を有するものであれば特に限定されないが、例えば
メチロール化合物、イソシアネート化合物、アルデヒド
化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物などが使用
可能である。表層を構成する樹脂がポリビニルアルコー
ルやメチルセルロースなどの水酸基を有する樹脂の場
合、イソシアネート化合物、メチロール化合物、アルデ
ヒド化合物、エポキシ化合物が好適である。また、表層
を構成する樹脂がポリアクリル酸等のカルボキシル基を
有する樹脂である場合、イソシアネート化合物、エポキ
シ化合物、アジリジン化合物が好適である。これらの化
合物の具体例としては、前述の架橋剤として例示した化
合物と同様の化合物が挙げられる。
【0060】反応性化合物としては、常温で固体状ない
しはワックス状または常温で粘張な液状のものがよい。
反応性化合物が常温で固体状ないしワックス状または常
温で粘張な液状であると、中間接着層の塗布形成時にお
ける乾燥によって蒸発してしまうことがなく、しかも乾
燥時に表面がべとつかないので表層の塗布が容易になる
という利点がある。また、反応性化合物として、水に溶
解するかまたは水に親和性のあるものを使用すると、中
間接着層を塗布形成するのに有機溶媒を使用する必要が
なくなり、中間接着層中に有機溶媒が残留するのを防止
することができる。
【0061】中間接着層を基材層にコートするには、樹
脂および所望により上記反応性化合物を適当な溶媒、例
えばテトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、アセト
ン、酢酸エチル、メチルエチルケトン(MEK)等に溶解
させた溶液を塗布乾燥する溶剤塗布法や溶融塗布法等で
行うことができる。水溶性または親水性のポリウレタン
やポリエステルなどの樹脂を水に溶解または分散したも
のを使用することもできる。このような樹脂溶液や樹脂
エマルジョンは市販されており、これらを用いると、有
機溶剤、特に非水系有機溶剤を使用することなく塗膜を
形成できるという利点がある。中間接着層および表層と
もに水性溶媒を使用して形成すると、非水系有機溶剤を
使用することなく被記録材を製造することが可能とな
り、安全性が向上し、被記録材中への非水系有機溶剤の
残留の問題を防止することができる。すなわち、製造時
の安全性を向上することができ、また複写機への通紙な
どによって被記録材が加熱されることにより内部から残
留溶媒のガス発生が生じるなどの問題が抑制できる。水
性溶媒を使用する場合、界面活性剤を添加しておくと中
間接着層を塗布するのが容易になる。塗布ムラ、被記録
材の強度および耐熱性の観点から、塗布量が0.5〜20g/m
2程度、好ましくは0.5〜6g/m2程度になるように中間接
着層を形成することが望ましい。
【0062】反応性化合物が高分子量体でそれ自体成膜
性があり、基材層との接着性に優れているものであれ
ば、それ自体を溶媒等に溶解させて塗布乾燥して形成す
ることも可能である。樹脂溶液に添加して塗布する場
合、反応性化合物の添加量は中間接着層構成樹脂100重
量部に対して、例えば5〜50重量部とすることができ
る。
【0063】なお、中間接着層と表層との接着性をより
向上させる目的で、中間接着層にコロナ放電処理を施し
てもよい。
【0064】紙や繊維質の基材を用いる場合は、中間接
着層を形成する塗布溶液に基材を浸漬し、基材中に塗布
溶液を含浸させ、基材を構成する繊維間に中間接着層材
料を満たすようにしてもよい。
【0065】本発明においては、中間接着層を形成する
場合、当該中間接着層上に表層を形成する。表層の構成
材料および形成方法等については前述と同様とする。
【0066】本発明の方法によって製造され得る中間接
着層を有する被記録材の一例の模式的断面図を図2に示
す。1は基材層、2は中間接着層、3は表層である。な
お、図2においては表層3の表面に印字材料4が印字さ
れている構成を示してある。また、図2には基材層1の
片面に中間接着層2および表層3が形成された構成を示
しているが、両面に中間接着層2および表層3を形成し
てもよい。
【0067】以上のような本発明の方法により得られた
被記録材は、表層の膨潤→ブラッシング等による物理的
摺擦→乾燥過程を経る印字材料の除去方法に好適に使用
できる。
【0068】以下に表面にトナー等の印字材料が印字さ
た被記録材から、印字材料を除去する方法について記載
する。該方法は、表層を膨潤させることのできる溶媒に
印字材料の印字された被記録材を供給し、膨潤した被記
録材表面から物理的な力で該印字材料を掻き取る工程か
らなる。以下、さらに詳しく図を用いて説明する。
【0069】図3は印字材料の除去方法の一例を説明す
るための工程系統図である。図3においては被記録材10
0はその両面に中間接着層および表層が形成されてお
り、中間接着層および表層をまとめて12として示してい
る。該被記録材の表面にはトナー等の印字材料4が印字
されている。印字材料としては電子写真に使用されるト
ナーが好適に使用されるが、これら以外にもホットメル
トインクを用いるインクジェット法、熱転写法、および
印刷法などに用いられる記録材料や、その他の油性ペイ
ント剤などの被記録材の表面に付着して皮膜状の像とな
るタイプのものが使用できる。被記録材は図中右側から
左方に搬送される。
【0070】印字材料4が印字されている被記録材はま
ず、溶媒供給装置11から表層に表層膨潤溶媒が供給され
る。表層を膨潤させることのできる溶媒としては水性溶
媒、すなわち水、水と水性有機溶媒との混合溶媒、ある
いは水性有機溶媒等種々用いることができる。また、界
面活性剤等の所望の添加剤が添加されていてもよい。こ
のように本実施形態においては水を用いて印字材料を除
去できる点に大きな利点がある。以下の説明においては
水を使用する場合を説明する。
【0071】水の供給は図3に示したようにシャワー装
置11より、水のシャワーを表層に降りかけてもよいし、
または図示していないが、水に浸漬させてもよい。被記
録材表層に水が浸透するために約15秒から150秒程度水
に接触させることが好ましい。接触時間が長いほど充分
に水を浸透させられるが、その分処理に時間がかかる。
被記録材表層に水が浸透すると、表層は膨潤し(膨潤し
た表層が13として示されている)、印字材料4と表層の
間の接着力が減少する。このとき、水温は15℃〜45℃く
らいが適当である。温度が高すぎると水の蒸発が多くな
り温度が低すぎると充分なクリーニング効果が得られな
い恐れがある。
【0072】水が充分被記録材の表層に浸透した後、被
記録材はさらに印字材料除去領域に搬送され、ブラシ14
にかけられる。ブラシ14は回転しており、このブラシに
よって被記録材100上の印字材料4が除去される。本発
明においてはブラシ以外にも表面に物理的あるいは機械
的な力を付与し表面を摺擦あるいは掻き取る態様の手
段、例えばブレード、布帛等を採用してもよい。図3に
おいては、ブラシ14を液外に配置しているが、液中に配
置しても構わない。ブラシ14の毛の長さは5〜20mm程
度、太さは10〜60μm程度とすることができる。材質は
特に限定されないがナイロンなどが適当である。
【0073】通紙速度、すなわち被記録材がブラシ14を
通過する速度は、処理時間とクリーニング性能とのバラ
ンスを勘案して決めればよく、例えば0.5cm/秒〜5cm/秒
とすることができる。ブラシの回転速度は搬送速度の5
倍以上、より好ましくは10倍以上とすることが望まし
い。
【0074】印字材料4を除去した後、被記録材はシャ
ワー領域に搬送され、被記録材表面にクリーニングシャ
ワー15を施し、被記録材表面に残留している印字材料を
洗い流す。シャワー15に使用する液体は表層を膨潤させ
るのに用いたのと同様の水性溶媒を用いることができ
る。表層を膨潤させるのに用いたのと同じ溶媒を用いて
もよい。水を使用することが特に好ましい。
【0075】シャワー15をかけた後、被記録材はさらに
乾燥領域に搬送され、乾燥器16により乾燥される。な
お、乾燥方法は熱ローラのように接触タイプのものでも
よいし、遠赤外線ランプのように非接触タイプのもので
も構わない。加熱温度は70〜150℃程度が適当である。
【0076】図4は、上述したクリーニング方法が適用
可能なクリーニング装置の一実施形態を示す図である。
図4の装置は、ケーシング23内に被記録材を膨張させる
ための液体30を貯溜するクリーニング槽22を備えてい
る。このクリーニング槽22には、槽内の液中の印字材料
を除去するためのフィルタを備えたポンプ20が接続さ
れ、さらにこのポンプ20に管31を介して膨潤用シャワー
11およびリンス用シャワー15が接続されている。
【0077】クリーニング槽22内の液体はポンプ20内の
フィルタによって浄化された後、管31を通ってシャワー
11、15に送られ、シャワー11においては被記録材の膨潤
用液体として、そしてシャワー15においてはリンス用液
体として使用される。
【0078】被記録材は給紙ローラ21により装置内に導
入され、シャワー11により膨潤用液体を吹きかけられた
後、ガイド26および搬送ローラ24を通過してクリーニン
グ槽22内の液体30に浸漬される。そして、所定時間静止
した後、搬送ローラ24およびガイド28によってブラシ14
の対向部に送られ、印字材料を除去される。
【0079】この後、被記録材は、ガイド29、搬送ロー
ラ25およびガイド27を通過し、シャワー15によりリンス
液を吹きかけられ、最後に乾燥ローラ17によって乾燥さ
れ、装置外に排出される。
【0080】図5は、クリーニング装置の他の実施形態
を示す図である。図5の装置においては、給紙ローラ21
によって導入された被記録材を、搬送ローラ32、33およ
びガイド26により、直接クリーニング槽22に搬送して液
体30に浸漬することにより、ブラッシングの前に被記録
材表層に水を浸透させている。また、ブラシ14の対向部
を通過した後、所定時間をかけて液体30中を通過させた
後、乾燥ロ−ラ17に到達させることによってリンス効果
を得るようにしてある。なお、図4と同様の構成部分に
は同じ符号を付し、詳しい説明を省略した。
【0081】
【実施例】以下の実施例において、最終の加熱工程に相
当する工程には加熱工程(Y)、最終の加熱工程直前の加
熱工程に相当する工程には加熱工程(X)と示す。 実験例1 基材層;基材層として秤量80g/m2の上質紙を使用した。 中間接着層;ウレタン樹脂水分散液(HUX-232;旭電化
工業社製)100重量部に、メラミン−ホルムアルデヒド
樹脂(スミレーズ613;住友化学社製)5重量部と高級ア
ルコールアルキレンオキサイド付加物(ナロアクティー
N95;三洋化成社製)0.2重量部とを添加した。得られた
溶液を攪拌後、バーコータで基材層に塗布し、120℃で1
分間加熱した。このとき中間接着層の塗布量は5g/m2
あった。 表層;ポリビニルアルコール(KM-618;クラレ社製)16
重量部を水184重量部に溶解し樹脂溶液を調整した。該
樹脂溶液に、グリセロールポリグリシジルエーテル(デ
ナコールEX-313)3.2重量部と、高級アルコールアルキ
レンオキサイド付加物(ナロアクティーN95;三洋化成
社製)0.4重量部とシリカ微粒子(サイリシア450;富士
シリシア社製)4重量部を添加し、5分間攪拌した。得ら
れた溶液をバーコータで中間接着層の上に塗布し、100
℃で2分間加熱した。このとき表層塗布量は10g/m2であ
った(被記録材A)。このときの被記録材Aの吸水量w
は8.3g/gであった。被記録材Aは幅30cm、長さ100mのロ
ール状であった。被記録材Aをオンライン(平面状)で
180℃1分間加熱(加熱工程(X))し、連続してこれをロ
ール状で、90℃30時間オーブンで加熱した(加熱工程
(Y))。
【0082】実験例2 基材層;基材層として100μmPET(ルミラーT;東レ社
製)を使用した。 中間接着層;ウレタン樹脂水分散液(HUX-232;旭電化
工業社製)100重量部に、メラミン−ホルムアルデヒド
樹脂(スミレーズ613;住友化学社製)5重量部と高級ア
ルコールアルキレンオキサイド付加物(ナロアクティー
N95;三洋化成社製)0.2重量部とを添加した。得られた
溶液を攪拌後、バーコータで基材層に塗布し、120℃で1
分間加熱した。このとき中間接着層の塗布量は5g/m2
あった。 表層;ポリビニルアルコール(KL-318;クラレ社製)16
重量部を水184重量部に溶解し樹脂溶液を調整した。該
樹脂溶液に、グリセロールポリグリシジルエーテル(デ
ナコールEX-313)3.2重量部と、高級アルコールアルキ
レンオキサイド付加物(ナロアクティーN95;三洋化成
社製)0.4重量部とシリカ微粒子(サイリシア450;富士
シリシア社製)0.1重量部を添加し、5分間攪拌した。得
られた溶液をバーコータで中間接着層の上に塗布し、10
0℃2分間加熱した。このとき表層塗布量は8g/m2であっ
た(被記録材B)。このときの被記録材Bの吸水量wは
9.7g/gであった。被記録材Bは幅30cm、長さ100mのロー
ル状であった。被記録材Bをオンライン(平面状)で20
0℃20秒間加熱(加熱工程(X))し、連続してこれをロー
ル状で、80℃70時間オーブンで加熱(加熱工程(Y))し
た。
【0083】実験例3 基材層は実施例1においてと同様であり、中間接着層は
実施例1においてと同様にして形成した。 表層;実施例1においてと同様にして得られた表層用塗
液をバーコータで中間接着層の上に塗布し、オンライン
(平面状)で180℃2分間加熱(加熱工程(X))し、連続
してこれをロール状で、70℃50時間加熱(加熱工程
(Y))した。
【0084】実験例4 実施例1と同様にして被記録材Aを得、放置冷却した
後、これをオンライン(平面状)で180℃、2分間加熱
(加熱工程(Y))した。 実験例5 実施例1と同様にして被記録材Aを得、放置冷却した
後、これをロール状のまま90℃で30時間オーブンで加熱
(加熱工程(Y))した。
【0085】上記実験例においては、中間接着層の形成
直後の基材を25℃/40%RH環境下で4時間乾燥させたとき
の重量W1、最終の加熱工程の前後における表層塗布基材
の重量、W2(最終の加熱工程直前)およびW3(最終の加
熱工程の直後)、ならびに得られた被記録材を25℃/40
%RH環境下で4時間乾燥させたときの重量W4を測定し、
最終の加熱工程の前後における表層1gあたりの吸水量
を算出した。詳しくは、以下に従って求めた。 (最終の加熱工程直前の吸水量)=(W2−W4)/(W4−W
1) (最終の加熱工程直後の吸水量)=(W3−W4)/(W4−W
1)
【0086】被記録材AおよびBの前記吸水量wはそれぞ
れ上記測定方法に準じて測定した。すなわち、加熱直後
の重量W0を測定し、以下に従って求めた。 吸水量w=(W0−W4)/(W4−W1)
【0087】上記実験例で得られた被記録材をA4サイズ
にカッティングし、以下の評価に用いた。
【0088】評価 (画像除去性能(初期、5回および放置後))各被記録
材に、市販のレーザービームプリンター(LP-1700;エ
プソン社製)を用いて画像を形成し、これを図4に示す
構成を有する装置で画像除去した。さらに、複写→画像
除去の工程を5回繰り返した後、上記と同様にして画像
除去した。
【0089】次に、各被記録材に複写機(EP-4050;ミ
ノルタ社製)を用いて印字し、これを25℃85%環境下に
一週間放置した後、図4に示す構成を有する装置で画像
除去した。
【0090】画像除去された各被記録材におけるトナー
除去率によって評価した。なお、評価におけるランクは
以下の通りであった。95%以上のトナーを除去できたも
のを「◎」、80%以上95%未満のトナーを除去できたも
のを「○」、80%未満しか除去できなかったものを
「×」とした。
【0091】また、図4に示す構成を有する装置の運転
条件は以下の通りであった。 ・浸漬時間3分間 ・毛の長さ10mm、太さ30μmのナイロン製ブラシ毛を有
する芯金径12mmのブラシローラを使用 ・槽内の水温30℃ ・通紙速度1cm/秒 ・ブラシの回転速度/通紙速度=30 ・熱ローラの温度110℃
【0092】(カール)カールの評価をカール度によっ
て行った。カール度が20mm未満のものを「○」、20mm以
上のものを×とした。
【0093】得られた結果を表1に示す。
【0094】
【表1】
【0095】
【発明の効果】本発明の方法によれば、高湿環境下に長
期間放置しても画像除去性能が低下しにくいリサイクル
可能な被記録材を得ることができる。また、カールの発
生を抑えた被記録材を得ることができる。さらには、初
期および繰り返し使用時の画像除去性能ならびに画像除
去性能の安定性にも優れた被記録材を得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の方法により得られる被記録材の一例
の模式的断面図を示す。
【図2】 本発明の方法により得られる被記録材の一例
の模式的断面図を示す。
【図3】 印字材料の除去方法を説明するための工程系
統図を示す。
【図4】 クリーニング装置の一例を表す概略構成図を
示す。
【図5】 クリーニング装置の一例を表す概略構成図を
示す。
【図6】 本発明の方法における加熱工程において採用
可能な加熱手段の一例を表す概略構成図を示す。
【図7】 本発明の方法における加熱工程において採用
可能な加熱手段の一例を表す概略構成図を示す。
【符号の説明】
1:基材層、2:中間接着層、3:表層、4:印字材
料、11:シャワー装置、12:中間接着層+表層、13:膨
潤した表層、14:ブラシ、15:クリーニングシャワー、
16:乾燥器、50:基材、51:塗布装置、52:表層用塗
液、53:加熱装置、60:表層塗布基材、70:ロール、7
1:加熱室、72:芯材、100:被記録材。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも水溶性樹脂を含む表層用塗液
    を基材層または中間接着層の上に塗布した後、該塗布層
    を比較的強い条件で加熱することを特徴とするリサイク
    ル可能な被記録材の製造方法。
  2. 【請求項2】 少なくとも水溶性樹脂を含む表層用塗液
    を基材層または中間接着層の上に塗布した後、加熱温
    度、加熱時間および/または加熱時の表層塗布基材の設
    置状態が異なる少なくとも2段階の加熱工程を連続して
    行うことを特徴とするリサイクル可能な被記録材の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 最終の加熱工程直前の加熱工程において
    最終の加熱工程と比較して高温で短時間の加熱を行い、
    最終の加熱工程において最終の加熱工程直前の加熱工程
    と比較して低温で長時間の加熱を行うことを特徴とする
    請求項2に記載の被記録材の製造方法。
  4. 【請求項4】 最終の加熱工程直前の加熱工程において
    表層1gあたりの吸水量が7g以下となるように加熱を
    行い、最終の加熱工程において表層1gあたりの吸水量
    が3g以下となるように加熱を行うことを特徴とする請
    求項2または3に記載の被記録材の製造方法。
  5. 【請求項5】 最終の加熱工程直前の加熱工程において
    表層塗布基材を平面状態で加熱し、その後連続して、最
    終の加熱工程において表層塗布基材をロール状態で加熱
    することを特徴とする請求項2〜4いずれかに記載の被
    記録材の製造方法。
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