JP2001254279A - 皮革様シートおよびその製造方法 - Google Patents
皮革様シートおよびその製造方法Info
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- JP2001254279A JP2001254279A JP2000066373A JP2000066373A JP2001254279A JP 2001254279 A JP2001254279 A JP 2001254279A JP 2000066373 A JP2000066373 A JP 2000066373A JP 2000066373 A JP2000066373 A JP 2000066373A JP 2001254279 A JP2001254279 A JP 2001254279A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】低歪み域での高抗変形性を有し、更に高い繊維
密度を有していることから天然皮革に極めて類似した充
実感を有する皮革様シートを提供する。 【解決手段】0.3デニール以下の極細繊維からなる不
織布と補強布帛とが一体絡合化されており、かつ該絡合
体中に弾性重合体を含有した繊維構造体であって、かつ
該構造体のタテ方向の第一時ピークまでの歪が15%以
上、ヨコ方向の第一時ピークまでの歪が20%以上で、
且つ、タテ方向裂断長−歪み曲線およびヨコ方向裂断長
−歪み曲線が特定の範囲にあり、シート密度が0.4g
/cm3以上である皮革様シート。
密度を有していることから天然皮革に極めて類似した充
実感を有する皮革様シートを提供する。 【解決手段】0.3デニール以下の極細繊維からなる不
織布と補強布帛とが一体絡合化されており、かつ該絡合
体中に弾性重合体を含有した繊維構造体であって、かつ
該構造体のタテ方向の第一時ピークまでの歪が15%以
上、ヨコ方向の第一時ピークまでの歪が20%以上で、
且つ、タテ方向裂断長−歪み曲線およびヨコ方向裂断長
−歪み曲線が特定の範囲にあり、シート密度が0.4g
/cm3以上である皮革様シート。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、極細繊維集合体に
補強用布帛を強固に一体化した繊維構造体に弾性樹脂を
含浸させたもので、より詳細には、高い繊維密度を有す
る極細繊維不織布に低歪み域での高抗変形性を付与した
皮革様シート、およびそれの製造方法、さらにそれに用
いられる補強布帛に関するものである。
補強用布帛を強固に一体化した繊維構造体に弾性樹脂を
含浸させたもので、より詳細には、高い繊維密度を有す
る極細繊維不織布に低歪み域での高抗変形性を付与した
皮革様シート、およびそれの製造方法、さらにそれに用
いられる補強布帛に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より織編物により補強された人工皮
革は公知であり、例えば特公平4−1113号公報に
は、撚数1000T/m以上の強撚糸からなる編織物を
補強材として用いる技術が示されており、この技術は、
ステープルウェッブと補強布帛をニードルパンチを用い
て一体化する際に、ニードルパンチによる補強布帛の損
傷を最小限に抑えることを目的とし、高強力で柔軟な皮
革様シートの製造方法が提案されている。また特開平1
0ー273885号公報には、上記特公平4ー1113
号公報と同じく、強撚糸からなる編織物を補強材として
用いた高強力で特にストレッチ性を有する繊維立毛シー
トが提案されている。これら両技術は、ステープルウエ
ッブと補強布帛をニードルパンチにより積層一体化し、
得られた複合シートにわずかな収縮を与えた後、さらに
PVA(ポリビニルアルコール)を含浸付着させ、そし
てその後に主体繊維の一成分を抽出除去し、さらに弾性
樹脂を含浸して皮革様シートを製造するものである。
革は公知であり、例えば特公平4−1113号公報に
は、撚数1000T/m以上の強撚糸からなる編織物を
補強材として用いる技術が示されており、この技術は、
ステープルウェッブと補強布帛をニードルパンチを用い
て一体化する際に、ニードルパンチによる補強布帛の損
傷を最小限に抑えることを目的とし、高強力で柔軟な皮
革様シートの製造方法が提案されている。また特開平1
0ー273885号公報には、上記特公平4ー1113
号公報と同じく、強撚糸からなる編織物を補強材として
用いた高強力で特にストレッチ性を有する繊維立毛シー
トが提案されている。これら両技術は、ステープルウエ
ッブと補強布帛をニードルパンチにより積層一体化し、
得られた複合シートにわずかな収縮を与えた後、さらに
PVA(ポリビニルアルコール)を含浸付着させ、そし
てその後に主体繊維の一成分を抽出除去し、さらに弾性
樹脂を含浸して皮革様シートを製造するものである。
【0003】また特開昭55−57059号公報には、
潜在収縮性を有するフィラメントよりなる補強布帛が記
載されており、ここでは繊維長10mm以下の短繊維か
らなる抄紙ウエッブと該補強布帛の積層品を高圧水流に
より交絡一体化させた後に補強布帛を収縮させ、シート
の見掛け繊維密度を向上させる方法が記載されている。
また他の補強用布帛として、繊維ウエッブ単独での絡合
が終了した後に、この裏に補強布帛を貼りつける、いわ
ゆる裏張り材として知られるものもある。
潜在収縮性を有するフィラメントよりなる補強布帛が記
載されており、ここでは繊維長10mm以下の短繊維か
らなる抄紙ウエッブと該補強布帛の積層品を高圧水流に
より交絡一体化させた後に補強布帛を収縮させ、シート
の見掛け繊維密度を向上させる方法が記載されている。
また他の補強用布帛として、繊維ウエッブ単独での絡合
が終了した後に、この裏に補強布帛を貼りつける、いわ
ゆる裏張り材として知られるものもある。
【0004】しかしながら、これらは何れも以下の様な
一長一短を有している。すなわち、特公平4−1113
号公報や特開平10−273885号公報に記載の技術
の場合には、補強布帛が極細繊維ウエッブと一体化され
た、高い切断強力を有し、かつ柔軟性を有する構造体の
製造を目的とするものであり、シート切断時の強力値は
比較的高く、繊維ウエッブのみの状態に比べれば確かに
補強材の効果によりシートの変形性は低くなっている
が、それでも歪みが数10%程度の範囲での変形性は非
常に高い。すなわち、前述の技術の場合には、確かにニ
ードルパンチングの際に生じる補強布帛の損傷は抑えら
れ、絡合後のシートの高強力化は達成されるものの、絡
合後の繊維ウエッブの見掛け密度の点では好適とはいえ
ない。すなわち、一般に見掛け密度を向上させる目的で
絡合後ウエッブを熱収縮させる手法を用いても、この公
報の技術では、繊維ウエッブはほとんど収縮性を有して
いないため、熱処理により補強布帛の構成糸である強撚
フィラメント糸のトルク解除に相当するようなわずかな
形態変化処理しか得られない。実際にウエッブと布帛の
一枚ずつの積層物の見掛け密度を上げるために、仮にウ
エッブ、布帛の一方を熱処理して収縮させたとしても、
熱処理により積層シートにはカールや皺、表面の凹凸等
が発生し、後の工程でトラブルを発生したり、また製品
品位を低下させてしまう。またウエッブ/布帛/ウエッ
ブの3層積層形態にすると、収縮はするものの、その程
度は非常に小さくなり、見掛け密度はほとんど向上しな
い。また前記公報には、PVAを付着させることが記載
されているが、PVAを付与した場合には、繊維空間部
がPVAにより充填され、このようなシート中の繊維間
の空間部が大きくなり、従って出来上がったシートの見
掛け密度は低くなり、引張歪み時にも変形しやすいシー
ト構造となる。
一長一短を有している。すなわち、特公平4−1113
号公報や特開平10−273885号公報に記載の技術
の場合には、補強布帛が極細繊維ウエッブと一体化され
た、高い切断強力を有し、かつ柔軟性を有する構造体の
製造を目的とするものであり、シート切断時の強力値は
比較的高く、繊維ウエッブのみの状態に比べれば確かに
補強材の効果によりシートの変形性は低くなっている
が、それでも歪みが数10%程度の範囲での変形性は非
常に高い。すなわち、前述の技術の場合には、確かにニ
ードルパンチングの際に生じる補強布帛の損傷は抑えら
れ、絡合後のシートの高強力化は達成されるものの、絡
合後の繊維ウエッブの見掛け密度の点では好適とはいえ
ない。すなわち、一般に見掛け密度を向上させる目的で
絡合後ウエッブを熱収縮させる手法を用いても、この公
報の技術では、繊維ウエッブはほとんど収縮性を有して
いないため、熱処理により補強布帛の構成糸である強撚
フィラメント糸のトルク解除に相当するようなわずかな
形態変化処理しか得られない。実際にウエッブと布帛の
一枚ずつの積層物の見掛け密度を上げるために、仮にウ
エッブ、布帛の一方を熱処理して収縮させたとしても、
熱処理により積層シートにはカールや皺、表面の凹凸等
が発生し、後の工程でトラブルを発生したり、また製品
品位を低下させてしまう。またウエッブ/布帛/ウエッ
ブの3層積層形態にすると、収縮はするものの、その程
度は非常に小さくなり、見掛け密度はほとんど向上しな
い。また前記公報には、PVAを付着させることが記載
されているが、PVAを付与した場合には、繊維空間部
がPVAにより充填され、このようなシート中の繊維間
の空間部が大きくなり、従って出来上がったシートの見
掛け密度は低くなり、引張歪み時にも変形しやすいシー
ト構造となる。
【0005】また特開昭55−57059号公報の技術
は、潜在収縮性フィラメントよりなる補強布帛と繊維長
10mm以下の繊維からなる抄紙ウエッブとを水流絡合
させて得られる布帛に関するものであるが、抄紙ウエッ
ブのため、構成各繊維間の絡合が小さく且つ補強布帛と
の絡合も低い。また、弾性樹脂の付着も僅かであること
から、シートに歪みがかかった時にウエッブは抗変形性
に殆ど寄与せず、自ずと達成される変形性の程度も低い
ものとならざるを得ないという宿命がある。また、製品
性能の一つを見た場合、上記のような製法のため繊維が
シートより脱落しやすい等の欠点もある。
は、潜在収縮性フィラメントよりなる補強布帛と繊維長
10mm以下の繊維からなる抄紙ウエッブとを水流絡合
させて得られる布帛に関するものであるが、抄紙ウエッ
ブのため、構成各繊維間の絡合が小さく且つ補強布帛と
の絡合も低い。また、弾性樹脂の付着も僅かであること
から、シートに歪みがかかった時にウエッブは抗変形性
に殆ど寄与せず、自ずと達成される変形性の程度も低い
ものとならざるを得ないという宿命がある。また、製品
性能の一つを見た場合、上記のような製法のため繊維が
シートより脱落しやすい等の欠点もある。
【0006】また繊維ウエッブ単独での絡合が終了した
後に補強用布帛を裏貼りする方法の場合には、裏張り材
を選択すればいくらでもシートの抗変形性を制御できる
点、更にウエッブのみの状態で収縮処理できるため収縮
性のウエッブを用いれば高い見掛け密度のものが製造可
能であるが、繊維ウエッブと補強布帛との接合が弱く、
加工時に剥離してしまうこと、および貼り合わせのため
の工程が必要でそのため製造コストが高くなってしまう
という欠点を有している。
後に補強用布帛を裏貼りする方法の場合には、裏張り材
を選択すればいくらでもシートの抗変形性を制御できる
点、更にウエッブのみの状態で収縮処理できるため収縮
性のウエッブを用いれば高い見掛け密度のものが製造可
能であるが、繊維ウエッブと補強布帛との接合が弱く、
加工時に剥離してしまうこと、および貼り合わせのため
の工程が必要でそのため製造コストが高くなってしまう
という欠点を有している。
【0007】より効果的に高抗変形性シートを作製する
には、繊維ウエッブと補強用布帛の接合は繊維ウエッブ
自身の絡合度の低い状態時に補強布帛を積層させ、水流
やニードルパンチにより両者を機械的に非常に強固に絡
合させることが望ましい。このように補強布帛を積層絡
合することにより、特に補強布帛を十分に選択すること
により最終製品シートの低歪み域での抗変形性の特性が
付与されるだけでなく、数多い製造工程中で、繊維シー
トの形態変化(特に工程張力による伸び)が抑えられ
る。これにより繊維間距離が比較的近い状態に維持さ
れ、後の弾性樹脂含浸時に形態変化を抑制し易い構造と
なる。また、特にスエード調皮革様シートとした場合に
は、表面繊維密度は、製品品位を決定する非常に重要な
ファクターである。複合シートの見掛け密度を高くする
ための重要な点は、繊維ウエッブの収縮により見かけ
密度を上げること、および製造工程中の張力などによ
るシートが伸びないようにすることが重要となる。しか
し、上述したように、これまでの技術では、低歪み域で
の変形が抑制され、且つ見掛け密度が高いものは得られ
ない。
には、繊維ウエッブと補強用布帛の接合は繊維ウエッブ
自身の絡合度の低い状態時に補強布帛を積層させ、水流
やニードルパンチにより両者を機械的に非常に強固に絡
合させることが望ましい。このように補強布帛を積層絡
合することにより、特に補強布帛を十分に選択すること
により最終製品シートの低歪み域での抗変形性の特性が
付与されるだけでなく、数多い製造工程中で、繊維シー
トの形態変化(特に工程張力による伸び)が抑えられ
る。これにより繊維間距離が比較的近い状態に維持さ
れ、後の弾性樹脂含浸時に形態変化を抑制し易い構造と
なる。また、特にスエード調皮革様シートとした場合に
は、表面繊維密度は、製品品位を決定する非常に重要な
ファクターである。複合シートの見掛け密度を高くする
ための重要な点は、繊維ウエッブの収縮により見かけ
密度を上げること、および製造工程中の張力などによ
るシートが伸びないようにすることが重要となる。しか
し、上述したように、これまでの技術では、低歪み域で
の変形が抑制され、且つ見掛け密度が高いものは得られ
ない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、極細繊維ウ
エッブと補強布帛が一体化された皮革様シートであっ
て、製造工程中の伸びやカールの発生が抑制され、かつ
収縮処理により皮革様シートの見掛け密度が高められて
おり、最終シートでの高抗変形性が達成された、高い商
品価値を有する、従来の貼り合わせ品に比べより製造コ
ストが低廉な皮革様シートを提供するものである。
エッブと補強布帛が一体化された皮革様シートであっ
て、製造工程中の伸びやカールの発生が抑制され、かつ
収縮処理により皮革様シートの見掛け密度が高められて
おり、最終シートでの高抗変形性が達成された、高い商
品価値を有する、従来の貼り合わせ品に比べより製造コ
ストが低廉な皮革様シートを提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前述の問
題点を解決するために鋭意検討した結果、本発明に至っ
た。すなわち本発明は、0.3デニール(drと略す)
以下の極細繊維からなる不織布と補強布帛とが絡合一体
化されており、かつ該絡合一体化物中に弾性重合体が含
有された繊維構造体であって、かつ該構造体のタテ方向
の第一ピークまでの歪が15%以上で、且つ、第一ピー
クまでの裂断長−歪み曲線が下記のOAを通過する直線
とOCを通過する直線に挟まれる範囲にあり、ヨコ方向
の第一ピークまでの歪が20%以上で、且つ、第一ピー
クまでの裂断長−歪み曲線が下記のOA'を通過する直
線とOC'を通過する直線に挟まれる範囲にあり、シー
ト密度が0.4g/cm3以上であることを特徴とする
皮革様シートである。 タテ(歪み(%),裂断長(km))=O(0,0)、
A(30,2.0)、C(5,3.5) ヨコ(歪み(%),裂断長(km))=O(0,0)、
A'(40,1.5)、C'(20,2.5) 尚、ここでいう“裂断長”とは以下の数式により算出さ
れる。 裂断長(km)=シート強力(g/cm)/シート目付
(g/m2)/10
題点を解決するために鋭意検討した結果、本発明に至っ
た。すなわち本発明は、0.3デニール(drと略す)
以下の極細繊維からなる不織布と補強布帛とが絡合一体
化されており、かつ該絡合一体化物中に弾性重合体が含
有された繊維構造体であって、かつ該構造体のタテ方向
の第一ピークまでの歪が15%以上で、且つ、第一ピー
クまでの裂断長−歪み曲線が下記のOAを通過する直線
とOCを通過する直線に挟まれる範囲にあり、ヨコ方向
の第一ピークまでの歪が20%以上で、且つ、第一ピー
クまでの裂断長−歪み曲線が下記のOA'を通過する直
線とOC'を通過する直線に挟まれる範囲にあり、シー
ト密度が0.4g/cm3以上であることを特徴とする
皮革様シートである。 タテ(歪み(%),裂断長(km))=O(0,0)、
A(30,2.0)、C(5,3.5) ヨコ(歪み(%),裂断長(km))=O(0,0)、
A'(40,1.5)、C'(20,2.5) 尚、ここでいう“裂断長”とは以下の数式により算出さ
れる。 裂断長(km)=シート強力(g/cm)/シート目付
(g/m2)/10
【0010】また本発明は、上記皮革様シートの好適な
製造方法に関するもので、具体的には、90℃の熱水中
で10〜30%の収縮率を有する繊維から構成された糸
からなり、20%伸長時のタテ強力が6kg/cm以上
で、且つヨコ強力が4kg/cm以上である補強布帛の
少なくとも片面に、繊維長が3〜150mmの極細繊維
または極細化可能繊維よりなり、絡合後の90℃の熱水
中での収縮率がタテ、ヨコとも10〜30%の範囲であ
る繊維ウエッブが重ね合わされ、該布帛と該繊維ウェッ
ブが絡合一体化されている繊維シートを加熱収縮させた
後、弾性重合体を付与し、そして極細化可能繊維が海島
構造繊維である場合には、海成分を除去して極細化する
ことを特徴とする皮革様シートの製造方法である。
製造方法に関するもので、具体的には、90℃の熱水中
で10〜30%の収縮率を有する繊維から構成された糸
からなり、20%伸長時のタテ強力が6kg/cm以上
で、且つヨコ強力が4kg/cm以上である補強布帛の
少なくとも片面に、繊維長が3〜150mmの極細繊維
または極細化可能繊維よりなり、絡合後の90℃の熱水
中での収縮率がタテ、ヨコとも10〜30%の範囲であ
る繊維ウエッブが重ね合わされ、該布帛と該繊維ウェッ
ブが絡合一体化されている繊維シートを加熱収縮させた
後、弾性重合体を付与し、そして極細化可能繊維が海島
構造繊維である場合には、海成分を除去して極細化する
ことを特徴とする皮革様シートの製造方法である。
【0011】さらに本発明は、上記方法に用いられる繊
維シートを構成している補強布帛であって、90℃の熱
水中で10〜30%の収縮率を有する繊維から構成され
た糸からなり、20%伸長時のタテ強力が6kg/cm
以上で、且つヨコ強力が4kg/cm以上であることを
特徴とする人工皮革補強布帛である。
維シートを構成している補強布帛であって、90℃の熱
水中で10〜30%の収縮率を有する繊維から構成され
た糸からなり、20%伸長時のタテ強力が6kg/cm
以上で、且つヨコ強力が4kg/cm以上であることを
特徴とする人工皮革補強布帛である。
【0012】図1はタテ方向の裂断長―歪み曲線を示
し、図2はヨコ方向の裂断長−歪み曲線を示す。なお本
発明で言う第一ピークとは、シートの裂断長−歪み曲線
において、歪みを0から加えていったときに歪みの増加
に伴い裂断長が増加し、裂断長がピークに達した後、下
降する現象が通常見られるが、このピークを意味する。
なお切断に至るまでピークが実質的に存在しない場合に
は、切断点が本発明で言うピークを意味する。また皮革
様シートや補強布帛は、長さ方向に連続する長尺のシー
トとして製造され、本発明においてタテ方向とはシート
や補強布帛の長さ方向、すなわち一般的に機械方向と称
されている方向を意味し、そしてヨコ方向とはタテ方向
に対して直角な方向(幅方向)を意味する。
し、図2はヨコ方向の裂断長−歪み曲線を示す。なお本
発明で言う第一ピークとは、シートの裂断長−歪み曲線
において、歪みを0から加えていったときに歪みの増加
に伴い裂断長が増加し、裂断長がピークに達した後、下
降する現象が通常見られるが、このピークを意味する。
なお切断に至るまでピークが実質的に存在しない場合に
は、切断点が本発明で言うピークを意味する。また皮革
様シートや補強布帛は、長さ方向に連続する長尺のシー
トとして製造され、本発明においてタテ方向とはシート
や補強布帛の長さ方向、すなわち一般的に機械方向と称
されている方向を意味し、そしてヨコ方向とはタテ方向
に対して直角な方向(幅方向)を意味する。
【0013】本発明の高い形態安定性を有する皮革様シ
ートにおいて、まず第一に低歪み領域で変形のし難いこ
とが重要であって、これは変形時の応力−歪み曲線に相
当するシートの裂断長−歪み曲線の形状が重要である。
すなわちこの裂断長−歪み曲線の初期から第一ピークの
存在する所までの曲線がタテ方向、ヨコ方向それぞれ タテ(歪み(%),裂断長(km))=O(0,0)、
A(30,2.0)、C(5,3.5) ヨコ(歪み(%),裂断長(km))=O(0,0)、
A'(40,1.5)、C'(20,2.5) で示される、タテはOとAを通る直線とOとCを通る直
線で挟まれる領域内にありかつ第一ピークまでの歪み伸
度が15%以上であること、より好ましくは曲線の存在
域がO(0,0)とA−2(30,3.0)を通る直線
とOCを通る直線で挟まれる範囲にあることである。ま
た、ヨコはOとA’を通る直線とOとC’を通る直線で
挟まれる領域内に存在しかつ第一ピークまでの歪み伸度
が20%以上であること、より好ましくは曲線の存在域
がO(0,0)とA’−2(40,2.0)を通る直線
とOC’を通る直線で挟まれる範囲にあることである。
上記したように、図1はタテ方向の裂断長―歪み曲線を
示し、図2はヨコ方向の裂断長−歪み曲線を示す。
ートにおいて、まず第一に低歪み領域で変形のし難いこ
とが重要であって、これは変形時の応力−歪み曲線に相
当するシートの裂断長−歪み曲線の形状が重要である。
すなわちこの裂断長−歪み曲線の初期から第一ピークの
存在する所までの曲線がタテ方向、ヨコ方向それぞれ タテ(歪み(%),裂断長(km))=O(0,0)、
A(30,2.0)、C(5,3.5) ヨコ(歪み(%),裂断長(km))=O(0,0)、
A'(40,1.5)、C'(20,2.5) で示される、タテはOとAを通る直線とOとCを通る直
線で挟まれる領域内にありかつ第一ピークまでの歪み伸
度が15%以上であること、より好ましくは曲線の存在
域がO(0,0)とA−2(30,3.0)を通る直線
とOCを通る直線で挟まれる範囲にあることである。ま
た、ヨコはOとA’を通る直線とOとC’を通る直線で
挟まれる領域内に存在しかつ第一ピークまでの歪み伸度
が20%以上であること、より好ましくは曲線の存在域
がO(0,0)とA’−2(40,2.0)を通る直線
とOC’を通る直線で挟まれる範囲にあることである。
上記したように、図1はタテ方向の裂断長―歪み曲線を
示し、図2はヨコ方向の裂断長−歪み曲線を示す。
【0014】この曲線が、タテ、ヨコのいずれか一方で
も、より低伸度で高裂断長側にずれた場合には(図1、
図2中の領域I、I' )、シートの高強力性は非常に
優れたものとなるが伸度があまりにも低く、変形性があ
まりにも乏しいシートとなってしまう。このようなシー
トは、引裂強力等のいくつかの物性値が劣り、また2次
加工を施そうとしてもシートが硬すぎて成型性が悪く、
各種の用途に用いようとしても非常に不都合の多いシー
トとなってしまう。また逆に曲線が高伸度で低裂断長側
(図1、図2中の領域III、III')に入る場合には、シ
ートの柔軟性の点では優れ、また2次加工などもしやす
いものの、変形性が大きすぎて、2次加工時に伸び過ぎ
たり、製品化後、使用中に形態変化が生じたりして好ま
しいシートとは言えない。すなわち、本発明で示す範囲
内(II、II’)に前述の曲線を存在させることが重要で
ある。従来の収縮させない場合や、収縮させてもその程
度が少ない場合や、さらに繊維ウェッブと布帛のいずれ
か一方のみを収縮させる場合は、いずれも、通常、III
とIII’の領域に入る。またタテ方向及びヨコ方向のい
ずれか一方のみを収縮させる場合にも、収縮させなかっ
た方向は、通常、領域IIIやIII’に入ることとなる。
も、より低伸度で高裂断長側にずれた場合には(図1、
図2中の領域I、I' )、シートの高強力性は非常に
優れたものとなるが伸度があまりにも低く、変形性があ
まりにも乏しいシートとなってしまう。このようなシー
トは、引裂強力等のいくつかの物性値が劣り、また2次
加工を施そうとしてもシートが硬すぎて成型性が悪く、
各種の用途に用いようとしても非常に不都合の多いシー
トとなってしまう。また逆に曲線が高伸度で低裂断長側
(図1、図2中の領域III、III')に入る場合には、シ
ートの柔軟性の点では優れ、また2次加工などもしやす
いものの、変形性が大きすぎて、2次加工時に伸び過ぎ
たり、製品化後、使用中に形態変化が生じたりして好ま
しいシートとは言えない。すなわち、本発明で示す範囲
内(II、II’)に前述の曲線を存在させることが重要で
ある。従来の収縮させない場合や、収縮させてもその程
度が少ない場合や、さらに繊維ウェッブと布帛のいずれ
か一方のみを収縮させる場合は、いずれも、通常、III
とIII’の領域に入る。またタテ方向及びヨコ方向のい
ずれか一方のみを収縮させる場合にも、収縮させなかっ
た方向は、通常、領域IIIやIII’に入ることとなる。
【0015】次に、上記したような範囲内(II、II’)
となるように該曲線を調整する上で今一つ重要なこと
は、複合シートである本発明の皮革様シートの見掛け密
度を特定の範囲内とすることである。本発明の複合シー
トは、基本的には、主体繊維である極細繊維、補強布
帛、およびこれらを接着させる弾性樹脂からなる複合体
である。本発明のシートに前述のような効果を発現させ
るには、シートの密度が0.4g/cm3以上であるこ
とが必要であり、より好ましくは0.43〜0.51g
/cm3である。密度が0.4g/cm3未満の場合に
は、繊維同士の絡合が不十分で、かつ絡合時の繊維間距
離がやや大きくなり弾性樹脂での接着状態も不足する。
従って、シートの高抗変形性を得るには不十分で、この
ような密度のシートは、低裂断長で伸度の大きなもので
ある。すなわち、シートの密度を本発明で規定する0.
4g/cm3以上にすることは発明の目的を達成するた
めには非常に重要で必要不可欠なことである。さらに天
然皮革の見掛け密度は、通常0.5g/cm3前後であ
り、天然皮革調の充実感を得る上からも、本発明の皮革
様シートの見掛け密度を0.4g/cm3以上とするこ
とが重要である。従来公知のスエード調人工皮革の殆ど
が見掛け密度0.4g/cm3未満であり、本発明で規
定する0.4g/cm3以上を満足するものでは殆どな
い。
となるように該曲線を調整する上で今一つ重要なこと
は、複合シートである本発明の皮革様シートの見掛け密
度を特定の範囲内とすることである。本発明の複合シー
トは、基本的には、主体繊維である極細繊維、補強布
帛、およびこれらを接着させる弾性樹脂からなる複合体
である。本発明のシートに前述のような効果を発現させ
るには、シートの密度が0.4g/cm3以上であるこ
とが必要であり、より好ましくは0.43〜0.51g
/cm3である。密度が0.4g/cm3未満の場合に
は、繊維同士の絡合が不十分で、かつ絡合時の繊維間距
離がやや大きくなり弾性樹脂での接着状態も不足する。
従って、シートの高抗変形性を得るには不十分で、この
ような密度のシートは、低裂断長で伸度の大きなもので
ある。すなわち、シートの密度を本発明で規定する0.
4g/cm3以上にすることは発明の目的を達成するた
めには非常に重要で必要不可欠なことである。さらに天
然皮革の見掛け密度は、通常0.5g/cm3前後であ
り、天然皮革調の充実感を得る上からも、本発明の皮革
様シートの見掛け密度を0.4g/cm3以上とするこ
とが重要である。従来公知のスエード調人工皮革の殆ど
が見掛け密度0.4g/cm3未満であり、本発明で規
定する0.4g/cm3以上を満足するものでは殆どな
い。
【0016】次に、前述の様な適度な伸度と高い裂断長
を有するシートの製造方法について詳細に説明する。ま
ず、本発明における補強布帛を構成する繊維は、布帛と
した時点において90℃の熱水中で10〜30%の収縮
率を有するものであらねばならない。このような熱水収
縮率を有する繊維であれば特に限定されず、繊維を構成
するポリマーは変性されていてもいなくても構わない
が、90℃の熱水中で前述の収縮率を有するものが容易
に得られることから、好ましくはポリエステル系繊維で
あって、例えばイソフタル酸等の非晶性の置換基を導入
したものや、パーヒドロジメタノナフタレンジメタノー
ル(MNDM)、ノルボルナン−2,3−ジメタノール
(NDM)、トリシクロデカンジメタノール(TCDD
M)などの脂環骨格系の置換基を導入したもの、また変
性されていなくてもポリエステルの溶融粘度や紡糸、延
伸、熱処理条件を調整して繊維の結晶性を制御すること
により収縮率を上記範囲としたもの等が用いられる。ポ
リエステル繊維は、多くの繊維の中で、もっとも所望す
る収縮率の繊維が得られやすく、しかも、収縮率が安定
している点で最も好ましい。アラミド繊維や天然繊維等
は繊維強力、熱水での収縮性の両者をバランス良く満足
するものではなく、好ましくない。
を有するシートの製造方法について詳細に説明する。ま
ず、本発明における補強布帛を構成する繊維は、布帛と
した時点において90℃の熱水中で10〜30%の収縮
率を有するものであらねばならない。このような熱水収
縮率を有する繊維であれば特に限定されず、繊維を構成
するポリマーは変性されていてもいなくても構わない
が、90℃の熱水中で前述の収縮率を有するものが容易
に得られることから、好ましくはポリエステル系繊維で
あって、例えばイソフタル酸等の非晶性の置換基を導入
したものや、パーヒドロジメタノナフタレンジメタノー
ル(MNDM)、ノルボルナン−2,3−ジメタノール
(NDM)、トリシクロデカンジメタノール(TCDD
M)などの脂環骨格系の置換基を導入したもの、また変
性されていなくてもポリエステルの溶融粘度や紡糸、延
伸、熱処理条件を調整して繊維の結晶性を制御すること
により収縮率を上記範囲としたもの等が用いられる。ポ
リエステル繊維は、多くの繊維の中で、もっとも所望す
る収縮率の繊維が得られやすく、しかも、収縮率が安定
している点で最も好ましい。アラミド繊維や天然繊維等
は繊維強力、熱水での収縮性の両者をバランス良く満足
するものではなく、好ましくない。
【0017】本発明において、補強用布帛を構成する繊
維の収縮率は90℃の熱水中で10〜30%であるが、
好ましくは15〜30%の範囲である。収縮率が10%
未満の場合には、織編物などの布帛とした場合に布帛で
の収縮率が不足する。また30%を越える場合には、収
縮による繊維の太化で布帛が硬化したり構成樹脂の脆化
により布帛の物性が低下してしまい、補強布としての用
をなさない。
維の収縮率は90℃の熱水中で10〜30%であるが、
好ましくは15〜30%の範囲である。収縮率が10%
未満の場合には、織編物などの布帛とした場合に布帛で
の収縮率が不足する。また30%を越える場合には、収
縮による繊維の太化で布帛が硬化したり構成樹脂の脆化
により布帛の物性が低下してしまい、補強布としての用
をなさない。
【0018】補強用布帛の収縮率は、組み合わせる極細
繊維又は極細化可能な繊維ウェッブの収縮性とほぼ近似
のものにするのが好ましく、両者の収縮率が大きく離れ
ている場合には、収縮時にカール、皺、シート表面凹凸
等が発生することがある。本発明者等の研究結果では、
優れた製品表面品位、触感をもたらす極細繊維又は極細
化可能な繊維ウェッブの収縮率(90℃熱水中)は、タ
テ、ヨコとも10〜30%の範囲であり、10%未満の
場合には繊維密度が不足し、30%を超えるとシートが
硬くなる。したがって補強布帛を積層する本発明におい
て、ウェッブの前記の収縮率範囲を支障なく実現させる
ために、本発明では補強布帛を構成する繊維の90℃熱
水収縮率を10〜30%にする。このことからも明らか
なように、補強布帛と絡合後の繊維ウエッブとの90℃
熱水中での収縮率差は低い方が好ましく、ウェッブの繊
維長が20mm以上の場合には、タテ方向で収縮率差が
0〜10%、ヨコ方向で収縮率差が0〜6%の範囲内に
あるのが好ましい。また繊維長が20mm未満の場合に
は、タテ方向で0〜20%、ヨコ方向で0〜15%の範
囲内に収縮率差を押さえることが好ましい。なおタテ方
向とヨコ方向での差は工程張力による差であり、タテ方
向は、収縮率差がやや高くてもカールなどが発生しにく
いからである。また繊維長による収縮率差に関しては、
20mm未満の場合は繊維同士の絡合性が弱く、やや大
きな収縮率差があっても前述の様な問題が比較的発生し
難いからである。
繊維又は極細化可能な繊維ウェッブの収縮性とほぼ近似
のものにするのが好ましく、両者の収縮率が大きく離れ
ている場合には、収縮時にカール、皺、シート表面凹凸
等が発生することがある。本発明者等の研究結果では、
優れた製品表面品位、触感をもたらす極細繊維又は極細
化可能な繊維ウェッブの収縮率(90℃熱水中)は、タ
テ、ヨコとも10〜30%の範囲であり、10%未満の
場合には繊維密度が不足し、30%を超えるとシートが
硬くなる。したがって補強布帛を積層する本発明におい
て、ウェッブの前記の収縮率範囲を支障なく実現させる
ために、本発明では補強布帛を構成する繊維の90℃熱
水収縮率を10〜30%にする。このことからも明らか
なように、補強布帛と絡合後の繊維ウエッブとの90℃
熱水中での収縮率差は低い方が好ましく、ウェッブの繊
維長が20mm以上の場合には、タテ方向で収縮率差が
0〜10%、ヨコ方向で収縮率差が0〜6%の範囲内に
あるのが好ましい。また繊維長が20mm未満の場合に
は、タテ方向で0〜20%、ヨコ方向で0〜15%の範
囲内に収縮率差を押さえることが好ましい。なおタテ方
向とヨコ方向での差は工程張力による差であり、タテ方
向は、収縮率差がやや高くてもカールなどが発生しにく
いからである。また繊維長による収縮率差に関しては、
20mm未満の場合は繊維同士の絡合性が弱く、やや大
きな収縮率差があっても前述の様な問題が比較的発生し
難いからである。
【0019】補強布帛を構成する繊維に用いられるポリ
マーとしては、前記したように、熱による収縮性の制御
のしやすさ、染色時の発色性、染色堅牢度のよさ、且つ
汎用的で安価であること等の点よりポリエチレンテレフ
タレート系繊維あるいは変性ポリエステル系繊維等のポ
リエステル系が望ましい。特に後述するように、本発明
の補強布帛は、組み合わせる繊維ウェッブの収縮性に応
じて微妙な収縮性を制御することが好ましく、この点で
特にポリエステル系繊維が好ましい。もちろんポリエス
テル以外の、例えばナイロン系繊維、ビニロン系繊維、
ポリオレフィン系繊維、アクリル系繊維なども用いるこ
とができる。
マーとしては、前記したように、熱による収縮性の制御
のしやすさ、染色時の発色性、染色堅牢度のよさ、且つ
汎用的で安価であること等の点よりポリエチレンテレフ
タレート系繊維あるいは変性ポリエステル系繊維等のポ
リエステル系が望ましい。特に後述するように、本発明
の補強布帛は、組み合わせる繊維ウェッブの収縮性に応
じて微妙な収縮性を制御することが好ましく、この点で
特にポリエステル系繊維が好ましい。もちろんポリエス
テル以外の、例えばナイロン系繊維、ビニロン系繊維、
ポリオレフィン系繊維、アクリル系繊維なども用いるこ
とができる。
【0020】補強布帛を構成する繊維の太さは、単繊維
繊度で0.1〜2.5dr(0.11〜2.8デシテッ
クス)が好ましい。単繊維の太さがこの範囲であれば、
布帛とした後の熱収縮加工後においても繊度が大き過ぎ
てシートが硬くなりすぎたりせず良好なものとすること
ができる。
繊度で0.1〜2.5dr(0.11〜2.8デシテッ
クス)が好ましい。単繊維の太さがこの範囲であれば、
布帛とした後の熱収縮加工後においても繊度が大き過ぎ
てシートが硬くなりすぎたりせず良好なものとすること
ができる。
【0021】本発明において、補強布帛を構成する糸
は、前述の収縮率を満足するものであればマルチフィラ
メント糸や紡績糸等のどの様なものでも用いることがで
きるが、後述する理由から、紡績糸で構成させることが
好ましい。糸には、束ねるために撚が付与されている
が、糸の撚数の好適範囲としては、収縮処理の前で、5
50〜2000T/mの範囲であり、より好ましくは6
50〜900T/mの範囲である。そして本発明におい
て、用いる繊維の収縮率を考慮して収縮処理後に以下の
撚数範囲内に収まるように、収縮前の糸の撚数を設定す
ることが好ましい。具体的には、収縮処理後の補強布帛
を構成する糸の撚数は650T/m以上、2800T/
m以下であることが好ましく、より好ましくは800T
/m〜1200T/mの範囲である。収縮処理後の糸の
撚数が2800T/mを超える場合には、収縮により糸
を構成する繊維の脆化も起こりやすく、収縮シートの見
掛け密度、低歪み域での抗変形性、引張強力等は向上す
るが、引裂強力の弱い硬化したシートとなってしまい、
好ましくない。特に紡績糸の場合にはこの傾向が顕著と
なる。また、収縮処理後の糸の撚数が650T/mに満
たない場合には、補強布帛として期待されるシートの抗
変形性の効果が十分には発揮されず好ましくない。特に
収縮処理後において、糸の撚数が800〜1200T/
mの場合に、風合いと低歪み域での変形性とのバランス
の取れた優れた皮革様シートが得られる。
は、前述の収縮率を満足するものであればマルチフィラ
メント糸や紡績糸等のどの様なものでも用いることがで
きるが、後述する理由から、紡績糸で構成させることが
好ましい。糸には、束ねるために撚が付与されている
が、糸の撚数の好適範囲としては、収縮処理の前で、5
50〜2000T/mの範囲であり、より好ましくは6
50〜900T/mの範囲である。そして本発明におい
て、用いる繊維の収縮率を考慮して収縮処理後に以下の
撚数範囲内に収まるように、収縮前の糸の撚数を設定す
ることが好ましい。具体的には、収縮処理後の補強布帛
を構成する糸の撚数は650T/m以上、2800T/
m以下であることが好ましく、より好ましくは800T
/m〜1200T/mの範囲である。収縮処理後の糸の
撚数が2800T/mを超える場合には、収縮により糸
を構成する繊維の脆化も起こりやすく、収縮シートの見
掛け密度、低歪み域での抗変形性、引張強力等は向上す
るが、引裂強力の弱い硬化したシートとなってしまい、
好ましくない。特に紡績糸の場合にはこの傾向が顕著と
なる。また、収縮処理後の糸の撚数が650T/mに満
たない場合には、補強布帛として期待されるシートの抗
変形性の効果が十分には発揮されず好ましくない。特に
収縮処理後において、糸の撚数が800〜1200T/
mの場合に、風合いと低歪み域での変形性とのバランス
の取れた優れた皮革様シートが得られる。
【0022】補強布帛と極細繊維または極細化可能な繊
維からなるウェッブの絡合は、水流絡合処理やニードル
パンチ処理などの、有効に絡合を行うことが出来る方法
ならいずれの方法でもよいが、好ましくは高絡合が得ら
れる方法であるニードルパンチ処理による方法である。
このとき、ニードルパンチ処理による補強布帛の損傷が
問題となるが、撚数が、収縮処理前で、前述したように
550T/m〜2000T/m、特に650〜900T
/mであることにより、糸損傷が少なく、かつ繊維ウェ
ッブとの十分な絡合が達成でき、更に高い見掛け密度が
得られ且つ低歪み域での形態変化を防ぐことができるこ
とから、好ましく、本発明の繊維シートの製造に適す
る。より詳細に説明すると、ウェッブと布帛の積層絡合
時に行うニードルパンチ処理により補強用布帛中の糸は
ある程度の損傷を受けるが、撚数を上記範囲とすること
により損傷を低減することができ、特に撚数の低い紡績
糸の場合に損傷を大きく低減することができる。なぜな
らば、紡績糸は非連続繊維で構成されているため、構成
繊維がニードルパンチにより傷ついたり、す抜けを生じ
ても、全糸強力降下に与える影響は小さく、本発明者ら
の研究によれば、撚数が収縮処理前で、2000T/m
以下、好ましくは900T/m以下の時にこの効果が顕
著に得られる。すなわち撚数が、収縮処理前で2000
T/mを超えると、糸中の繊維の拘束力が増し、自由度
が失われているため繊維がニードルのバーブに引っかか
った時に逃げにくく傷つきやすくなることと単繊維同士
の間隔が狭くなるためにニードル針のバーブに複数本が
引っかかりやすくなるためと推定される。繊維の微少な
損傷によりニードルパンチ直後の補強布帛そのものの強
力は一時若干低下するが、後の収縮処理により繊維太さ
が増大化して望まれるシート物性を実現させることがで
きる。したがって、前述の様な収縮処理後の撚数の影響
を考慮すると、本発明における補強用布帛は、収縮処理
前において撚数2000T/m以下の高収縮を有する糸
が好ましく、より好ましくは紡績糸で構成されている場
合である。しかし撚数が550T/m未満の場合には、
低歪み域での形態変化の大きなものとなりやすく、且つ
収縮処理を行っても十分に見掛け密度が向上しない。以
上のことから、もっとも好ましくは、撚数650T/m
〜900T/mの範囲の高収縮性紡績糸である。
維からなるウェッブの絡合は、水流絡合処理やニードル
パンチ処理などの、有効に絡合を行うことが出来る方法
ならいずれの方法でもよいが、好ましくは高絡合が得ら
れる方法であるニードルパンチ処理による方法である。
このとき、ニードルパンチ処理による補強布帛の損傷が
問題となるが、撚数が、収縮処理前で、前述したように
550T/m〜2000T/m、特に650〜900T
/mであることにより、糸損傷が少なく、かつ繊維ウェ
ッブとの十分な絡合が達成でき、更に高い見掛け密度が
得られ且つ低歪み域での形態変化を防ぐことができるこ
とから、好ましく、本発明の繊維シートの製造に適す
る。より詳細に説明すると、ウェッブと布帛の積層絡合
時に行うニードルパンチ処理により補強用布帛中の糸は
ある程度の損傷を受けるが、撚数を上記範囲とすること
により損傷を低減することができ、特に撚数の低い紡績
糸の場合に損傷を大きく低減することができる。なぜな
らば、紡績糸は非連続繊維で構成されているため、構成
繊維がニードルパンチにより傷ついたり、す抜けを生じ
ても、全糸強力降下に与える影響は小さく、本発明者ら
の研究によれば、撚数が収縮処理前で、2000T/m
以下、好ましくは900T/m以下の時にこの効果が顕
著に得られる。すなわち撚数が、収縮処理前で2000
T/mを超えると、糸中の繊維の拘束力が増し、自由度
が失われているため繊維がニードルのバーブに引っかか
った時に逃げにくく傷つきやすくなることと単繊維同士
の間隔が狭くなるためにニードル針のバーブに複数本が
引っかかりやすくなるためと推定される。繊維の微少な
損傷によりニードルパンチ直後の補強布帛そのものの強
力は一時若干低下するが、後の収縮処理により繊維太さ
が増大化して望まれるシート物性を実現させることがで
きる。したがって、前述の様な収縮処理後の撚数の影響
を考慮すると、本発明における補強用布帛は、収縮処理
前において撚数2000T/m以下の高収縮を有する糸
が好ましく、より好ましくは紡績糸で構成されている場
合である。しかし撚数が550T/m未満の場合には、
低歪み域での形態変化の大きなものとなりやすく、且つ
収縮処理を行っても十分に見掛け密度が向上しない。以
上のことから、もっとも好ましくは、撚数650T/m
〜900T/mの範囲の高収縮性紡績糸である。
【0023】また絡合法に水流方式を用いた場合、糸の
撚数が高すぎると糸が締まりすぎて単繊維間に緩みがな
くなることが繊維と布帛の絡合性を低下させ、特に抄紙
ウェッブとの積層時は繊維抜けが多くなる。しかし、撚
数が収縮処理前で2000T/m以下であれば、特に紡
績糸の場合には、ウェッブと紡績糸特有の毛羽との絡合
が有効に働き、また糸を構成する繊維の同士の間の緩み
部も適度に存在し、この部分への絡合もなされ、ウェッ
ブ繊維と補強布帛との絡合が有効になる現象がみられ、
その結果、補強布帛がマルチフィラメント糸からなる布
帛である場合に起こり易いウェッブ繊維の脱落を解消す
ることができる。また紡績糸の場合には、収縮性の異な
る繊維を混綿することにより糸の熱収縮の程度を調整す
ることが可能で、この意味でも紡績糸の使用は有用であ
る。
撚数が高すぎると糸が締まりすぎて単繊維間に緩みがな
くなることが繊維と布帛の絡合性を低下させ、特に抄紙
ウェッブとの積層時は繊維抜けが多くなる。しかし、撚
数が収縮処理前で2000T/m以下であれば、特に紡
績糸の場合には、ウェッブと紡績糸特有の毛羽との絡合
が有効に働き、また糸を構成する繊維の同士の間の緩み
部も適度に存在し、この部分への絡合もなされ、ウェッ
ブ繊維と補強布帛との絡合が有効になる現象がみられ、
その結果、補強布帛がマルチフィラメント糸からなる布
帛である場合に起こり易いウェッブ繊維の脱落を解消す
ることができる。また紡績糸の場合には、収縮性の異な
る繊維を混綿することにより糸の熱収縮の程度を調整す
ることが可能で、この意味でも紡績糸の使用は有用であ
る。
【0024】本発明に用いられる補強布帛を構成する糸
の太さとしては、綿番手として30〜45番手が、糸強
力、布帛としての取り扱い性、ニードルパンチや水流絡
合時のウエッブとの絡合性、糸損傷等の面で好ましい。
また本発明に用いられる補強布帛を紡績糸で構成する場
合には、紡績糸を構成する繊維の繊維長としては、30
〜100mmが好ましく、繊維長が30mm未満の場合
には、糸の強度が低く補強布帛として要求される強度が
低下する。また繊維長が100mmを越える場合には、
フィラメント糸を用いる場合に類似した欠点を有するこ
ととなる。
の太さとしては、綿番手として30〜45番手が、糸強
力、布帛としての取り扱い性、ニードルパンチや水流絡
合時のウエッブとの絡合性、糸損傷等の面で好ましい。
また本発明に用いられる補強布帛を紡績糸で構成する場
合には、紡績糸を構成する繊維の繊維長としては、30
〜100mmが好ましく、繊維長が30mm未満の場合
には、糸の強度が低く補強布帛として要求される強度が
低下する。また繊維長が100mmを越える場合には、
フィラメント糸を用いる場合に類似した欠点を有するこ
ととなる。
【0025】次に補強布帛の布帛化の方法について述べ
ると、一般的な公知の天竺編、トリコット編などの編
物、平織などの織物が好ましい。特に糸の収縮が直接的
に補強用布帛に反映される点や後の工程性の点等から織
物が望ましい。織物の構造は、後でのニードルパンチや
水流絡合処理が可能なものならば何れの構造でもかまわ
ないが、強度の出しやすさ、バランスの取り易さ、縦方
向の抗張力、糸の収縮性がより直接的に現れ、調整しや
すいなどの点から平織が好ましい。
ると、一般的な公知の天竺編、トリコット編などの編
物、平織などの織物が好ましい。特に糸の収縮が直接的
に補強用布帛に反映される点や後の工程性の点等から織
物が望ましい。織物の構造は、後でのニードルパンチや
水流絡合処理が可能なものならば何れの構造でもかまわ
ないが、強度の出しやすさ、バランスの取り易さ、縦方
向の抗張力、糸の収縮性がより直接的に現れ、調整しや
すいなどの点から平織が好ましい。
【0026】また織物の場合,タテ糸とヨコ糸は同種の
ものであっても異なる種類のものであっても、本発明の
内容に沿うものであれば差し支えないが、タテ糸の収縮
率がヨコ糸の収縮率の0.3〜0.95倍の範囲である
ことが好ましい。なぜならば、製造工程中の工程張力の
ためにタテ方向は、やや収縮が入りにくくなる。そのた
め布帛設計時にタテ方向の収縮率をヨコ方向に比しある
程度低くしてやらないと繊維内に収縮処理時の歪みが残
り、染色などのより厳しい熱条件下で歪みの緩和が発生
して縦方向に収縮し、シートの縦方向に垂直(巾方向に
並行に)皺が入ってしまう。従って前述の範囲にタテ
糸、ヨコ糸の収縮率比を設定することが好ましい。
ものであっても異なる種類のものであっても、本発明の
内容に沿うものであれば差し支えないが、タテ糸の収縮
率がヨコ糸の収縮率の0.3〜0.95倍の範囲である
ことが好ましい。なぜならば、製造工程中の工程張力の
ためにタテ方向は、やや収縮が入りにくくなる。そのた
め布帛設計時にタテ方向の収縮率をヨコ方向に比しある
程度低くしてやらないと繊維内に収縮処理時の歪みが残
り、染色などのより厳しい熱条件下で歪みの緩和が発生
して縦方向に収縮し、シートの縦方向に垂直(巾方向に
並行に)皺が入ってしまう。従って前述の範囲にタテ
糸、ヨコ糸の収縮率比を設定することが好ましい。
【0027】織密度に関しては、補強用布帛として満足
されるものであれば良いが、タテは40〜100本/イ
ンチ、ヨコは30〜90本/インチが好ましく、より好
ましくはタテ50〜80本/インチ、ヨコ40〜70本
/インチの範囲であり、この好適範囲の場合には、最終
シートの抗変形性および製造工程での抗変形性の面で、
また取り扱い性の面でも優れている。タテ糸密度は、ヨ
コ糸密度より多くしておくことが、工程張力によりシー
トが変形することを防ぐ点で好ましい。本発明者等の研
究結果では タテが伸びると、ヨコが多少縮んでも、総
合的に面積的には拡大してゆき、シート中の繊維の見か
け密度は低下してしまう現象が生じる。その結果、製品
となった時に繊維間隔の開いた変形性の大きなシートと
なりかつ表面品位が悪くなる。したがって、補強用布帛
の織密度を前述のように調整することが好ましい。
されるものであれば良いが、タテは40〜100本/イ
ンチ、ヨコは30〜90本/インチが好ましく、より好
ましくはタテ50〜80本/インチ、ヨコ40〜70本
/インチの範囲であり、この好適範囲の場合には、最終
シートの抗変形性および製造工程での抗変形性の面で、
また取り扱い性の面でも優れている。タテ糸密度は、ヨ
コ糸密度より多くしておくことが、工程張力によりシー
トが変形することを防ぐ点で好ましい。本発明者等の研
究結果では タテが伸びると、ヨコが多少縮んでも、総
合的に面積的には拡大してゆき、シート中の繊維の見か
け密度は低下してしまう現象が生じる。その結果、製品
となった時に繊維間隔の開いた変形性の大きなシートと
なりかつ表面品位が悪くなる。したがって、補強用布帛
の織密度を前述のように調整することが好ましい。
【0028】補強用布帛の製織に用いられる織機として
は、ズルツア−織機やフライ織機、ウオータージェット
織機、レピア織機、エアージェット織機など公知の織機
が挙げられる。
は、ズルツア−織機やフライ織機、ウオータージェット
織機、レピア織機、エアージェット織機など公知の織機
が挙げられる。
【0029】本発明に用いられる補強布帛の20%伸長
時の強力値は、タテ強力が6kg/cm以上、ヨコ強力
が4kg/cm以上であり、好ましくはタテ強力が8〜
20kg/cm、ヨコ強力が5〜15kg/cmであ
る。ウェッブとの複合シートでは補強布帛の物性、繊維
ウェッブの絡合性、弾性樹脂の接着状態や存在状態など
が相互に関係し合って皮革様シートの物性値が決定され
るが、本発明者等の研究によれば、低歪み域での高抗変
形性を有する皮革様シートを作製するためには補強布帛
単体での強力値が前述の範囲内にあることが重要な点の
一つである。また、補強布帛の抗変形性は、製造工程中
の形態変化と最終製品の皮革様シートでの変形性の低さ
に関連する。製品として椅子やソファー等の表面材、研
磨材、産業用資材などに該皮革様シートを用いた場合、
低歪み時の強力が高いことが要求され、したがって前記
のタテ方向およびヨコ方向の強力値が満たされている布
帛を用いなければならない。
時の強力値は、タテ強力が6kg/cm以上、ヨコ強力
が4kg/cm以上であり、好ましくはタテ強力が8〜
20kg/cm、ヨコ強力が5〜15kg/cmであ
る。ウェッブとの複合シートでは補強布帛の物性、繊維
ウェッブの絡合性、弾性樹脂の接着状態や存在状態など
が相互に関係し合って皮革様シートの物性値が決定され
るが、本発明者等の研究によれば、低歪み域での高抗変
形性を有する皮革様シートを作製するためには補強布帛
単体での強力値が前述の範囲内にあることが重要な点の
一つである。また、補強布帛の抗変形性は、製造工程中
の形態変化と最終製品の皮革様シートでの変形性の低さ
に関連する。製品として椅子やソファー等の表面材、研
磨材、産業用資材などに該皮革様シートを用いた場合、
低歪み時の強力が高いことが要求され、したがって前記
のタテ方向およびヨコ方向の強力値が満たされている布
帛を用いなければならない。
【0030】このようにして作製された補強布帛は、後
での熱収縮性を維持させるために熱セットせずに生機の
まま、高収縮性を有する繊維ウェッブと積層し絡合処理
される。
での熱収縮性を維持させるために熱セットせずに生機の
まま、高収縮性を有する繊維ウェッブと積層し絡合処理
される。
【0031】もう一方の、絡合される極細繊維または極
細化可能な繊維からなるウェッブは、カードにより開繊
した薄ウェッブをクロスラッパーにより所定目付まで複
数枚積層させて作製したり、ランダムウェッバ−により
作製する。補強布帛とより緊密に絡合させるために、絡
合度の低いウェッブの状態で両者を積層し絡合処理する
のがが好ましい。具体的には、ニードルパンチによる絡
合処理を用いる時には、約300パンチ/cm2以下、
また水流絡合を用いる場合には、未絡合状態のウェッブ
と積層させて100kgf/cm2以上の高水圧で処理
するのが好ましい。
細化可能な繊維からなるウェッブは、カードにより開繊
した薄ウェッブをクロスラッパーにより所定目付まで複
数枚積層させて作製したり、ランダムウェッバ−により
作製する。補強布帛とより緊密に絡合させるために、絡
合度の低いウェッブの状態で両者を積層し絡合処理する
のがが好ましい。具体的には、ニードルパンチによる絡
合処理を用いる時には、約300パンチ/cm2以下、
また水流絡合を用いる場合には、未絡合状態のウェッブ
と積層させて100kgf/cm2以上の高水圧で処理
するのが好ましい。
【0032】上述したように繊維ウェッブの収縮率は、
タテ方向、ヨコ方向ともに10〜30%の範囲にあるこ
とが必要である。この繊維ウェッブの収縮性は、製品で
の抗変形性を与えるシート構造及び表面毛羽数に関連
し、本発明の目的とする高抗変形性と製品品位の両面を
決める重要な値である。特に研磨材などの用途には製品
表面が極細繊維で十分に密になっていることが研磨精度
などに大きく影響する。収縮が10%未満では繊維密度
が粗で表面立毛の面で低品位の製品となる。また30%
を超えるとシートは硬くなりすぎる。本発明でいう繊維
ウェッブの収縮率とは、補強用布帛と繊維ウェッブとを
絡合一体化する際の絡合処理を繊維ウェッブ単独に行
い、得られる絡合不織布を90℃の熱水中にフリーな状
態で5分間浸漬したのち、繊維ウェッブのタテ方向及び
ヨコ方向の長さを測定し、それぞれの長さが浸漬前と後
とで小さくなった割合を意味する。
タテ方向、ヨコ方向ともに10〜30%の範囲にあるこ
とが必要である。この繊維ウェッブの収縮性は、製品で
の抗変形性を与えるシート構造及び表面毛羽数に関連
し、本発明の目的とする高抗変形性と製品品位の両面を
決める重要な値である。特に研磨材などの用途には製品
表面が極細繊維で十分に密になっていることが研磨精度
などに大きく影響する。収縮が10%未満では繊維密度
が粗で表面立毛の面で低品位の製品となる。また30%
を超えるとシートは硬くなりすぎる。本発明でいう繊維
ウェッブの収縮率とは、補強用布帛と繊維ウェッブとを
絡合一体化する際の絡合処理を繊維ウェッブ単独に行
い、得られる絡合不織布を90℃の熱水中にフリーな状
態で5分間浸漬したのち、繊維ウェッブのタテ方向及び
ヨコ方向の長さを測定し、それぞれの長さが浸漬前と後
とで小さくなった割合を意味する。
【0033】また繊維ウェッブを構成する繊維は、繊維
長が3〜150mmで、好ましくは20〜150mmの
範囲内である。繊維長が3mm未満の場合には、水流絡
合やニードルパンチ法によっては有効な繊維の絡合状態
が得られず、製品となった時の表面摩耗性が悪いものに
なる。一方、150mmを越える場合にはカード時にネ
ップとなりやすくきれいなウェッブが得難い。
長が3〜150mmで、好ましくは20〜150mmの
範囲内である。繊維長が3mm未満の場合には、水流絡
合やニードルパンチ法によっては有効な繊維の絡合状態
が得られず、製品となった時の表面摩耗性が悪いものに
なる。一方、150mmを越える場合にはカード時にネ
ップとなりやすくきれいなウェッブが得難い。
【0034】繊維ウェッブを構成する繊維としては、こ
れらの条件を満足する極細繊維または極細化可能な繊維
であれば何でも良く、好ましくは極細化可能繊維であ
る。これら繊維は、単一ポリマーよりなる繊維、複数の
ポリマーからなる複合繊維や混合紡糸繊維のいずれでも
よい。なお極細化可能繊維とは、複数のポリマーからな
る複合繊維や混合紡糸繊維から少なくともひとつのポリ
マーを抽出除去または分解除去することにより、あるい
は繊維構成ポリマーの界面でポリマーを剥離させること
により極細繊維が得られることとなる繊維の総称であ
る。本発明において、極細繊維または極細化可能繊維を
極細化した後の極細繊維としては、0.3dr(0.3
3デシテックス)以下が好ましく、0.3drを越えて
太い場合には、繊維が太すぎて、繊維密度の低い充実感
の劣るものとしか得られず、特に表面を毛羽状に仕上げ
る場合には高級感あるスエード調のものが得られない。
好ましくは、2種以上のポリマーを混合紡糸または複合
紡糸して、海島構造の断面を有する繊維を製造し、この
繊維から海成分ポリマーを抽出または分解除去すること
により島成分ポリマーだけを残し、その結果、極細繊維
を得る方法である。複数成分のポリマーよりなる繊維の
ポリマー界面を水流等の方法で分割したり、熱処理して
ポリマーの収縮歪み差や特定溶液中での膨潤、溶解性差
などで界面剥離させて得られる極細繊維でもよい。極細
繊維または極細化可能繊維を極細化した後の極細繊維の
より好ましい繊度は、0.1〜0.001dr(0.1
1〜0.0011デシテックス)である。
れらの条件を満足する極細繊維または極細化可能な繊維
であれば何でも良く、好ましくは極細化可能繊維であ
る。これら繊維は、単一ポリマーよりなる繊維、複数の
ポリマーからなる複合繊維や混合紡糸繊維のいずれでも
よい。なお極細化可能繊維とは、複数のポリマーからな
る複合繊維や混合紡糸繊維から少なくともひとつのポリ
マーを抽出除去または分解除去することにより、あるい
は繊維構成ポリマーの界面でポリマーを剥離させること
により極細繊維が得られることとなる繊維の総称であ
る。本発明において、極細繊維または極細化可能繊維を
極細化した後の極細繊維としては、0.3dr(0.3
3デシテックス)以下が好ましく、0.3drを越えて
太い場合には、繊維が太すぎて、繊維密度の低い充実感
の劣るものとしか得られず、特に表面を毛羽状に仕上げ
る場合には高級感あるスエード調のものが得られない。
好ましくは、2種以上のポリマーを混合紡糸または複合
紡糸して、海島構造の断面を有する繊維を製造し、この
繊維から海成分ポリマーを抽出または分解除去すること
により島成分ポリマーだけを残し、その結果、極細繊維
を得る方法である。複数成分のポリマーよりなる繊維の
ポリマー界面を水流等の方法で分割したり、熱処理して
ポリマーの収縮歪み差や特定溶液中での膨潤、溶解性差
などで界面剥離させて得られる極細繊維でもよい。極細
繊維または極細化可能繊維を極細化した後の極細繊維の
より好ましい繊度は、0.1〜0.001dr(0.1
1〜0.0011デシテックス)である。
【0035】また極細繊維を構成するポリマーとして
は、ポリエチレンテレフタレートあるいはエチレンテレ
フタレート単位を主たる繰返単位とする共重合体等で代
表されるポリエステル類、6ーナイロン、66ーナイロ
ン、610ーナイロン等で代表されるポリアミド類など
が挙げられるが、製品化後の皮革様シートに高抗変形性
を達成させるためにはポリエステル類が好ましい。また
極細化可能繊維として海島断面繊維を用いる場合の海成
分形成ポリマーとしては、ポリエチレン、ポリスチレン
等が挙げられ、島成分形成ポリマーとしては、もちろん
上記極細繊維構成ポリマーが好適例として挙げられる。
は、ポリエチレンテレフタレートあるいはエチレンテレ
フタレート単位を主たる繰返単位とする共重合体等で代
表されるポリエステル類、6ーナイロン、66ーナイロ
ン、610ーナイロン等で代表されるポリアミド類など
が挙げられるが、製品化後の皮革様シートに高抗変形性
を達成させるためにはポリエステル類が好ましい。また
極細化可能繊維として海島断面繊維を用いる場合の海成
分形成ポリマーとしては、ポリエチレン、ポリスチレン
等が挙げられ、島成分形成ポリマーとしては、もちろん
上記極細繊維構成ポリマーが好適例として挙げられる。
【0036】極細繊維または極細化可能繊維に収縮性を
付与するための方法としては、前記した補強用布帛の場
合と同様である。極細化処理前の極細化可能繊維の太さ
としては、1〜5dr(1.11〜5.55デシテック
ス)がウエッブとして繊維を絡合させる上で好ましい。
繊維ウェッブの目付としては、染色後のシート中の極細
繊維のみの目付に換算して極細処理後において200〜
550g/m2が好ましい。
付与するための方法としては、前記した補強用布帛の場
合と同様である。極細化処理前の極細化可能繊維の太さ
としては、1〜5dr(1.11〜5.55デシテック
ス)がウエッブとして繊維を絡合させる上で好ましい。
繊維ウェッブの目付としては、染色後のシート中の極細
繊維のみの目付に換算して極細処理後において200〜
550g/m2が好ましい。
【0037】補強用布帛と繊維ウェッブの絡合処理は、
高圧水流法であっても、またニードルパンチ法であって
も、あるいはこの両者を組み合わせたものであってもよ
い。ニードルパンチ方法を用いる場合には、片面からそ
れぞれ400〜1800パンチ/cm2、両面あわせて
800〜3600パンチ/cm2のパンチ数でパンチン
グするのが好ましい。
高圧水流法であっても、またニードルパンチ法であって
も、あるいはこの両者を組み合わせたものであってもよ
い。ニードルパンチ方法を用いる場合には、片面からそ
れぞれ400〜1800パンチ/cm2、両面あわせて
800〜3600パンチ/cm2のパンチ数でパンチン
グするのが好ましい。
【0038】絡合処理された補強用布帛と繊維ウエッブ
の積層体は、シートの見掛け繊維密度向上とシート強力
の向上等のために熱収縮処理される。この時、高絡合状
態の繊維ウェッブの見掛け繊維密度をより向上させてお
くことは、各繊維間の距離が短くなり、後で含浸する弾
性樹脂との相乗効果によって最終的にはシートの高抗変
形性を達成する上で重要となる。
の積層体は、シートの見掛け繊維密度向上とシート強力
の向上等のために熱収縮処理される。この時、高絡合状
態の繊維ウェッブの見掛け繊維密度をより向上させてお
くことは、各繊維間の距離が短くなり、後で含浸する弾
性樹脂との相乗効果によって最終的にはシートの高抗変
形性を達成する上で重要となる。
【0039】この時に上記したような、優れた性能を達
成するためには、積層シートの収縮は、タテ方向、ヨコ
方向とも10〜30%であることが好ましい。10%未
満の収縮率の場合には、繊維の見掛け密度やシート強力
の向上効果は見られず、また30%を越える場合には、
収縮し過ぎてかえってシート全体が硬化してしまい良く
ない。
成するためには、積層シートの収縮は、タテ方向、ヨコ
方向とも10〜30%であることが好ましい。10%未
満の収縮率の場合には、繊維の見掛け密度やシート強力
の向上効果は見られず、また30%を越える場合には、
収縮し過ぎてかえってシート全体が硬化してしまい良く
ない。
【0040】また、積層シートの熱処理時の工程性と良
好なシート品位を得るためにウェッブと補強用布帛の熱
収縮率は前記したように、ほぼ一致しているのが好まし
く、したがって補強用布帛の90℃温水中での収縮率
も、繊維ウェッブと同等にタテ方向およびヨコ方向とも
に10〜30%の範囲内にあるのが好ましい。両者間で
収縮率が大きく異なる場合には、シートは熱収縮処理時
に収縮率の高い層を内側にしてカールしてしまい、この
ような状態では後加工が困難になってしまう。本発明に
おいて、収縮処理方法としては、補強用布帛と繊維ウェ
ッブとの積層一体化物を80〜100℃の熱水中に浸漬
して、積層物としてタテ方向およびヨコ方向ともに10
〜30%の収縮を起こさせる方法や、また100〜18
0℃の温風中に放置させることにより積層物としてタテ
方向およびヨコ方向ともに10〜30%の収縮を起こさ
せる方法などがある。均一な収縮が得られる点で好まし
くは前者の方法である。
好なシート品位を得るためにウェッブと補強用布帛の熱
収縮率は前記したように、ほぼ一致しているのが好まし
く、したがって補強用布帛の90℃温水中での収縮率
も、繊維ウェッブと同等にタテ方向およびヨコ方向とも
に10〜30%の範囲内にあるのが好ましい。両者間で
収縮率が大きく異なる場合には、シートは熱収縮処理時
に収縮率の高い層を内側にしてカールしてしまい、この
ような状態では後加工が困難になってしまう。本発明に
おいて、収縮処理方法としては、補強用布帛と繊維ウェ
ッブとの積層一体化物を80〜100℃の熱水中に浸漬
して、積層物としてタテ方向およびヨコ方向ともに10
〜30%の収縮を起こさせる方法や、また100〜18
0℃の温風中に放置させることにより積層物としてタテ
方向およびヨコ方向ともに10〜30%の収縮を起こさ
せる方法などがある。均一な収縮が得られる点で好まし
くは前者の方法である。
【0041】熱収縮により繊維シート中の見掛け繊維密
度や繊維シートの強力が向上し、収縮繊維ウェッブの収
縮特性が最大限に生かせる加工ができ、製品品位が驚く
ほど良好となる。主に補強布帛により高い抗変形性、お
よび収縮処理により高繊維密度が達成されたシートは、
この後さらに目的の皮革様シートとするために 弾性重
合体溶液又は弾性重合体のエマルジョン液を含浸し、弾
性重合体を湿式凝固又は感熱凝固させ、更に繊維ウェッ
ブとして極細化可能繊維を用いている場合には、該繊維
を抽出剤や分解剤などで処理して極細繊維とする。剥離
型の極細化可能繊維が用いられている場合には、弾性重
合体付与前に高圧水流処理、収縮歪み処理等を付与し機
械的方法により繊維分割をしておくことが分割性の面、
皮革様シートの風合いの面でも好ましい。
度や繊維シートの強力が向上し、収縮繊維ウェッブの収
縮特性が最大限に生かせる加工ができ、製品品位が驚く
ほど良好となる。主に補強布帛により高い抗変形性、お
よび収縮処理により高繊維密度が達成されたシートは、
この後さらに目的の皮革様シートとするために 弾性重
合体溶液又は弾性重合体のエマルジョン液を含浸し、弾
性重合体を湿式凝固又は感熱凝固させ、更に繊維ウェッ
ブとして極細化可能繊維を用いている場合には、該繊維
を抽出剤や分解剤などで処理して極細繊維とする。剥離
型の極細化可能繊維が用いられている場合には、弾性重
合体付与前に高圧水流処理、収縮歪み処理等を付与し機
械的方法により繊維分割をしておくことが分割性の面、
皮革様シートの風合いの面でも好ましい。
【0042】本発明で使用される弾性重合体としては、
ポリウレタン、SBR、NBR、ポリアミノ酸、アクリ
ル系などのゴム状弾性を有するものなら何でも良いが、
得られる皮革様シートの風合いの点で、さらに諸物性の
点でポリウレタンが最も好ましい。弾性重合体は溶液で
用い、湿式凝固させるのが好ましいが、風合い的にはや
や劣るものの、用途によってはポリウレタン系やアクリ
ル系単独あるいはこれらを混合した水性エマルジョン等
を用いてもよい。付与するゴム状弾性重合体の量として
は、皮革様シート構成繊維重量の10〜25%が好まし
い。
ポリウレタン、SBR、NBR、ポリアミノ酸、アクリ
ル系などのゴム状弾性を有するものなら何でも良いが、
得られる皮革様シートの風合いの点で、さらに諸物性の
点でポリウレタンが最も好ましい。弾性重合体は溶液で
用い、湿式凝固させるのが好ましいが、風合い的にはや
や劣るものの、用途によってはポリウレタン系やアクリ
ル系単独あるいはこれらを混合した水性エマルジョン等
を用いてもよい。付与するゴム状弾性重合体の量として
は、皮革様シート構成繊維重量の10〜25%が好まし
い。
【0043】更に、得られたシートの繊維ウェッブ側の
表面をサンドペーパーでバッフィングなどして毛羽立て
ることによりスエード調の人工皮革が得られる。また表
面を毛羽立てる代わりに表面に樹脂を塗布し、天然皮革
調の表面凹凸となるようにエンボス処理やフラットに処
理することにより銀面付人工皮革が得られる。得られた
人工皮革に対して、さらに必要に応じ染色加工や、他の
仕上げ加工を行なうことも可能である。
表面をサンドペーパーでバッフィングなどして毛羽立て
ることによりスエード調の人工皮革が得られる。また表
面を毛羽立てる代わりに表面に樹脂を塗布し、天然皮革
調の表面凹凸となるようにエンボス処理やフラットに処
理することにより銀面付人工皮革が得られる。得られた
人工皮革に対して、さらに必要に応じ染色加工や、他の
仕上げ加工を行なうことも可能である。
【0044】必要とする最終皮革様シートの低歪み域で
の変形性挙動は、これまで説明してきたような補強布帛
を使用し、極細繊維または極細化可能な繊維からなるウ
ェッブと補強布帛を一体に絡合し、得られる積層体を収
縮処理して構造体中の繊維見掛け密度を高め、そして弾
性樹脂を付与することにより得ることができる。
の変形性挙動は、これまで説明してきたような補強布帛
を使用し、極細繊維または極細化可能な繊維からなるウ
ェッブと補強布帛を一体に絡合し、得られる積層体を収
縮処理して構造体中の繊維見掛け密度を高め、そして弾
性樹脂を付与することにより得ることができる。
【0045】
【実施例】次に実施例により本発明を詳細に説明する
が、本発明の内容は以下の実施例により制限されるもの
ではない。本発明でいう、繊維の90℃熱水中での収縮
率は、繊維に1/500g/drの荷重をかけた状態で
測定した長さと、フリーな状態で90℃の温水中に5分
間浸漬し風乾した後に再度1/500g/drの荷重下
で測定した長さとの差より求められる。また布帛の90
℃熱水中での収縮率は、該布帛を90℃の熱水中にフリ
ーな状態で5分間浸漬した場合の浸漬前と後とでの面積
減少割合を意味している。
が、本発明の内容は以下の実施例により制限されるもの
ではない。本発明でいう、繊維の90℃熱水中での収縮
率は、繊維に1/500g/drの荷重をかけた状態で
測定した長さと、フリーな状態で90℃の温水中に5分
間浸漬し風乾した後に再度1/500g/drの荷重下
で測定した長さとの差より求められる。また布帛の90
℃熱水中での収縮率は、該布帛を90℃の熱水中にフリ
ーな状態で5分間浸漬した場合の浸漬前と後とでの面積
減少割合を意味している。
【0046】また皮革様シートの歪み−裂断長曲線、及
び布帛の20%伸長時のタテ方向及びヨコ方向強力は、
それぞれの方向に1cm幅で切出した短冊状試料をイン
ストロン等により測定した応力−歪み曲線及び曲線の2
0%伸長時の強力値として測定される。裂断長を算出す
る際のシート強力は、この応力−歪み曲線の所定伸度で
の応力値が用いられ、 裂断長(km)= シート強力(g/cm)/シート目
付(g/m2)/10 により算出される。またシートの見掛け密度は、シート
目付をシート厚さで割りg/cm3単位で表したもので
ある。シート厚さは、JIS K 6550に準じて測
定した。
び布帛の20%伸長時のタテ方向及びヨコ方向強力は、
それぞれの方向に1cm幅で切出した短冊状試料をイン
ストロン等により測定した応力−歪み曲線及び曲線の2
0%伸長時の強力値として測定される。裂断長を算出す
る際のシート強力は、この応力−歪み曲線の所定伸度で
の応力値が用いられ、 裂断長(km)= シート強力(g/cm)/シート目
付(g/m2)/10 により算出される。またシートの見掛け密度は、シート
目付をシート厚さで割りg/cm3単位で表したもので
ある。シート厚さは、JIS K 6550に準じて測
定した。
【0047】実施例1 海成分としてポリエチレン、島成分としてポリエチレン
テレフタレートを用い、海成分と島成分の比率が35:
65で複合紡糸により作製した抽出タイプの極細化可能
繊維(3.5dr×51mm、島本数:16本)よりな
る目付350g/m2の繊維ウェッブに、90℃での熱
水収縮率が15.0%である51mm長のポリエチレン
テレフタレート繊維の紡績糸より作製した70g/m2
の補強用布帛を積層させた。極細化可能な繊維の90℃
熱水中での収縮率は23%で、この繊維よりなるウェッ
ブはカードにより開繊処理した低目付ウェッブをクロス
ラップ装置により多枚数積層することにより作製し、プ
レパンチ直後に補強用布帛と重ね合わせた。この繊維ウ
ェッブを単独に絡合処理したものの90℃熱水中でのタ
テ方向収縮率は22%、ヨコ方向収縮率は23%であっ
た。
テレフタレートを用い、海成分と島成分の比率が35:
65で複合紡糸により作製した抽出タイプの極細化可能
繊維(3.5dr×51mm、島本数:16本)よりな
る目付350g/m2の繊維ウェッブに、90℃での熱
水収縮率が15.0%である51mm長のポリエチレン
テレフタレート繊維の紡績糸より作製した70g/m2
の補強用布帛を積層させた。極細化可能な繊維の90℃
熱水中での収縮率は23%で、この繊維よりなるウェッ
ブはカードにより開繊処理した低目付ウェッブをクロス
ラップ装置により多枚数積層することにより作製し、プ
レパンチ直後に補強用布帛と重ね合わせた。この繊維ウ
ェッブを単独に絡合処理したものの90℃熱水中でのタ
テ方向収縮率は22%、ヨコ方向収縮率は23%であっ
た。
【0048】一方、補強用布帛は、40番手の紡績糸よ
り作製され、糸に施した最終撚数は800T/mであ
る。この紡績糸をノーセットの生糸のまま使用し、タテ
糸、ヨコ糸に用い平織物(織密度はタテ60本/イン
チ、ヨコ50本/インチ)を作製したものである。この
平織物の20%伸長時のタテ強力は10kg/cmであ
り、ヨコ強力は5.7kg/cmであった。
り作製され、糸に施した最終撚数は800T/mであ
る。この紡績糸をノーセットの生糸のまま使用し、タテ
糸、ヨコ糸に用い平織物(織密度はタテ60本/イン
チ、ヨコ50本/インチ)を作製したものである。この
平織物の20%伸長時のタテ強力は10kg/cmであ
り、ヨコ強力は5.7kg/cmであった。
【0049】補強用布帛と繊維ウエッブとの積層物を繊
維ウェッブ側から1300パンチ/cm2、裏面側から
1300パンチ/cm2のニードルパンチ処理を行い、
絡合シートを得た。この時補強布帛入りシートは両者が
一体に緊密に絡合した状態であった。これらのシートを
90℃の熱水中で処理してタテ、ヨコとも20%の収縮
させた。この時、高収縮により極細繊維化可能な繊維
は、シート全体にわたって繊維密度が向上したシートと
なった。収縮によりシートがカールしたり皺が生じたり
することはなかった。
維ウェッブ側から1300パンチ/cm2、裏面側から
1300パンチ/cm2のニードルパンチ処理を行い、
絡合シートを得た。この時補強布帛入りシートは両者が
一体に緊密に絡合した状態であった。これらのシートを
90℃の熱水中で処理してタテ、ヨコとも20%の収縮
させた。この時、高収縮により極細繊維化可能な繊維
は、シート全体にわたって繊維密度が向上したシートと
なった。収縮によりシートがカールしたり皺が生じたり
することはなかった。
【0050】そしてこのシートをポリエチレンの半溶融
状態まで余熱し所定のクリアランスを有するフラットロ
ール間を通過させてプレスして冷却と同時にポリエチレ
ンの融着効果を利用してシート表面の平滑化とさらにシ
ート中の繊維密度を向上させた。次に、このシートを、
ポリウレタン濃度が15%のポリウレタン−ジメチルホ
ルムアミド(DMF)溶液中に浸漬させて、シート中の
繊維、繊維空間にポリウレタンを含浸後、水中で凝固さ
せた。その後、熱トルエン中でポリエチレン成分を抽出
させて繊維の極細化を行った。極細化後の繊維は0.1
9drであった。この時シートは補強布帛の効果で工程
中の形態変化の非常に小さな状態を維持することが可能
であった。
状態まで余熱し所定のクリアランスを有するフラットロ
ール間を通過させてプレスして冷却と同時にポリエチレ
ンの融着効果を利用してシート表面の平滑化とさらにシ
ート中の繊維密度を向上させた。次に、このシートを、
ポリウレタン濃度が15%のポリウレタン−ジメチルホ
ルムアミド(DMF)溶液中に浸漬させて、シート中の
繊維、繊維空間にポリウレタンを含浸後、水中で凝固さ
せた。その後、熱トルエン中でポリエチレン成分を抽出
させて繊維の極細化を行った。極細化後の繊維は0.1
9drであった。この時シートは補強布帛の効果で工程
中の形態変化の非常に小さな状態を維持することが可能
であった。
【0051】極細繊維ウエッブと補強用布帛との絡合体
は表面をサンドペーパーにより起毛処理した後、染色し
スエード調人工皮革様シートとした。この時、シートの
目付は、519g/m2、密度は0.45g/cm3であ
った。このシートのタテ、ヨコ双方の1cm巾当たりの
応力−歪み曲線より換算した裂断長−歪み曲線は 図
1、図2に示すような概形となり、低歪み域での変形性
が小さく非常に形態安定性に優れるものであった。
は表面をサンドペーパーにより起毛処理した後、染色し
スエード調人工皮革様シートとした。この時、シートの
目付は、519g/m2、密度は0.45g/cm3であ
った。このシートのタテ、ヨコ双方の1cm巾当たりの
応力−歪み曲線より換算した裂断長−歪み曲線は 図
1、図2に示すような概形となり、低歪み域での変形性
が小さく非常に形態安定性に優れるものであった。
【0052】このシート中の補強用布帛を構成する紡績
糸の撚り数を測定するために、染色後のシートを50℃
に保温したDMF液中に浸漬させ付着したポリウレタン
樹脂を溶解除去した後に絡合している極細繊維を剥し取
った。紡績糸の撚り数は、タテ糸1000T/m、ヨコ
糸1010T/mであった。
糸の撚り数を測定するために、染色後のシートを50℃
に保温したDMF液中に浸漬させ付着したポリウレタン
樹脂を溶解除去した後に絡合している極細繊維を剥し取
った。紡績糸の撚り数は、タテ糸1000T/m、ヨコ
糸1010T/mであった。
【0053】実施例2 実施例1と同様の繊維ウエッブと、補強用布帛としてイ
ソフタル酸変性度が12mol%の変性ポリエステルを
用いた90℃の熱水中での収縮率が19.0%である撚
数800T/mの紡績糸をタテ、ヨコに用い作製した平
織物とを実施例1と同様な作業を行いニードルパンチシ
ートを作製した。なお該平織物の20%伸長時のタテ強
力は11kg/cmで、ヨコ強力は6.1kg/cm
で、90℃熱水収縮率はタテ方向20%、ヨコ方向22
%であった。このシートの90℃熱水中での収縮率は、
タテ方向21%、ヨコ方向24%であった。
ソフタル酸変性度が12mol%の変性ポリエステルを
用いた90℃の熱水中での収縮率が19.0%である撚
数800T/mの紡績糸をタテ、ヨコに用い作製した平
織物とを実施例1と同様な作業を行いニードルパンチシ
ートを作製した。なお該平織物の20%伸長時のタテ強
力は11kg/cmで、ヨコ強力は6.1kg/cm
で、90℃熱水収縮率はタテ方向20%、ヨコ方向22
%であった。このシートの90℃熱水中での収縮率は、
タテ方向21%、ヨコ方向24%であった。
【0054】これ以後の操作も実施例1と同様に行い、
得られたシートの染色後の目付、密度はそれぞれ559
g/m2、0.47g/cm3で、裂断長−歪み曲線は本
発明の範囲内であった。このシートのタテ、ヨコ 双方
の1cm巾当たりの応力−歪み曲線より換算した裂断長
−歪み曲線は 図1、図2に示すような概形となり、低
歪み域での変形性が小さく非常に形態安定性に優れるも
のであった。このシート中の紡績糸の撚り数を測定する
とタテ糸1095T/m、ヨコ糸1060T/mであっ
た。この皮革様シートは、形態安定性に優れ、且つ人工
皮革としての柔軟な風合いを有するものであった。
得られたシートの染色後の目付、密度はそれぞれ559
g/m2、0.47g/cm3で、裂断長−歪み曲線は本
発明の範囲内であった。このシートのタテ、ヨコ 双方
の1cm巾当たりの応力−歪み曲線より換算した裂断長
−歪み曲線は 図1、図2に示すような概形となり、低
歪み域での変形性が小さく非常に形態安定性に優れるも
のであった。このシート中の紡績糸の撚り数を測定する
とタテ糸1095T/m、ヨコ糸1060T/mであっ
た。この皮革様シートは、形態安定性に優れ、且つ人工
皮革としての柔軟な風合いを有するものであった。
【0055】実施例3 収縮繊維ウエッブとして、ナイロンとポリエチレンテレ
フタレートからなり、ナイロンとポリエチレンテレフタ
レートが交互に層状に合計11層の積層状態で存在して
いる、太さ2drで、長さ51mmの複合紡糸繊維から
なる目付け160g/cm2の繊維ウェッブを用い、こ
の繊維ウェッブと、実施例1のポリエステル補強用布帛
の撚り数を750T/mとしたもの(20%伸長時タテ
強力8.9kg/cm、ヨコ強力5.0kg/cm、タ
テ収縮率15%、ヨコ収縮率18%)を積層し、50パ
ンチ/cm2のプレニードルパンチング処理をした。こ
の後水流絡合処理により、繊維の分割と追絡合を行っ
た。このシートを90℃熱水中で5分間処理したとこ
ろ、補強布帛入りシートの収縮率はタテ方向14%、ヨ
コ方向17%であり、またウェッブ単独を同一条件で絡
合処理して得られる不織布の90℃温水中での5分間処
理後の収縮率は、タテ方向11%、ヨコ方向13%であ
った。
フタレートからなり、ナイロンとポリエチレンテレフタ
レートが交互に層状に合計11層の積層状態で存在して
いる、太さ2drで、長さ51mmの複合紡糸繊維から
なる目付け160g/cm2の繊維ウェッブを用い、こ
の繊維ウェッブと、実施例1のポリエステル補強用布帛
の撚り数を750T/mとしたもの(20%伸長時タテ
強力8.9kg/cm、ヨコ強力5.0kg/cm、タ
テ収縮率15%、ヨコ収縮率18%)を積層し、50パ
ンチ/cm2のプレニードルパンチング処理をした。こ
の後水流絡合処理により、繊維の分割と追絡合を行っ
た。このシートを90℃熱水中で5分間処理したとこ
ろ、補強布帛入りシートの収縮率はタテ方向14%、ヨ
コ方向17%であり、またウェッブ単独を同一条件で絡
合処理して得られる不織布の90℃温水中での5分間処
理後の収縮率は、タテ方向11%、ヨコ方向13%であ
った。
【0056】その後は抽出工程を行わない以外は実施例
1と同様な処理を行った。目付490g/m2で密度
0.408g/cm3のシートとした。このシートの工
程性は、特に問題はなく、最終シートの品位も優れた、
高級感あるスエード調のものであった。最終シート中の
紡績糸撚り数は、タテ糸850T/m、ヨコ糸903T
/mであり、シートの裂断長−歪み曲線は、図1および
図2に示すように、本発明の範囲内にある、形態安定性
の優れたものであった。
1と同様な処理を行った。目付490g/m2で密度
0.408g/cm3のシートとした。このシートの工
程性は、特に問題はなく、最終シートの品位も優れた、
高級感あるスエード調のものであった。最終シート中の
紡績糸撚り数は、タテ糸850T/m、ヨコ糸903T
/mであり、シートの裂断長−歪み曲線は、図1および
図2に示すように、本発明の範囲内にある、形態安定性
の優れたものであった。
【0057】実施例4 収縮繊維ウエッブとして、ナイロンとポリエチレンテレ
フタレートからなり、ナイロンとポリエチレンテレフタ
レートが交互に層状に合計11層の積層状態で存在して
いる、太さ1.3drで、長さ3mmの複合紡糸繊維に
繊維バインダーを混ぜ40g/cm2の抄紙を行った。
複合紡糸繊維は水中で容易に分散するように作成した。
この抄紙ウェッブと、実施例2の変性ポリエステル補強
用布帛と同じ物を抄紙ウェッブの間に挟み実施例3と同
様の水流絡合処理を行った。このシートを90℃の熱水
中で5分間処理するとタテ18%、ヨコ17%収縮し
た。抄紙ウエッブのみの収縮率は、タテ12%、ヨコ1
0%であった。このシートにウレタンエマルジョンの2
0%溶液を含浸させ乾熱凝固させた。130℃で乾燥・
キュアをして、この後の仕上げ処理は実施例2と同様に
処理しスエード調シートとした。目付け260g/
m2、見掛け密度0.42g/cm3で薄くかつ形態安定
性に優れ、縦方向裂断長−歪みの関係および横方向裂断
長−歪みの関係はそれぞれ図1および図2に示すよう
に、本発明の範囲内にあるシートであった。このシート
中の紡績糸の撚数はタテ糸1032T/m、ヨコ糸97
0T/mであった。
フタレートからなり、ナイロンとポリエチレンテレフタ
レートが交互に層状に合計11層の積層状態で存在して
いる、太さ1.3drで、長さ3mmの複合紡糸繊維に
繊維バインダーを混ぜ40g/cm2の抄紙を行った。
複合紡糸繊維は水中で容易に分散するように作成した。
この抄紙ウェッブと、実施例2の変性ポリエステル補強
用布帛と同じ物を抄紙ウェッブの間に挟み実施例3と同
様の水流絡合処理を行った。このシートを90℃の熱水
中で5分間処理するとタテ18%、ヨコ17%収縮し
た。抄紙ウエッブのみの収縮率は、タテ12%、ヨコ1
0%であった。このシートにウレタンエマルジョンの2
0%溶液を含浸させ乾熱凝固させた。130℃で乾燥・
キュアをして、この後の仕上げ処理は実施例2と同様に
処理しスエード調シートとした。目付け260g/
m2、見掛け密度0.42g/cm3で薄くかつ形態安定
性に優れ、縦方向裂断長−歪みの関係および横方向裂断
長−歪みの関係はそれぞれ図1および図2に示すよう
に、本発明の範囲内にあるシートであった。このシート
中の紡績糸の撚数はタテ糸1032T/m、ヨコ糸97
0T/mであった。
【0058】比較例1 補強布帛用の紡績糸撚数を600T/mにして実施例1
と同様な方法で処理を行なった。但し、用いたウェッブ
のみの90℃熱水中での収縮率はタテ方向が8%でヨコ
方向が7%であり、そして補強布帛のみの90℃熱水中
での収縮率は、タテ方向が5%でヨコ方向が5%であ
る。この両者からなる積層シートは、ニードルパンチす
ることにより両者がよく絡合しているが、90℃熱水中
でも収縮率はタテ方向が5%で、ヨコ方向が6%であっ
た。予熱後プレス処理して表面を平滑化し、そしてポリ
ウレタン溶液を含浸し、湿式凝固したのち、表面を起毛
し、さらに染色し、得られるシートの目付は470g/
m2、見掛け密度が0.362g/cm3であった。この
シートの裂断長−歪み曲線は、図1および図2に示すよ
うに、本発明の範囲を外れるものであり、柔軟ではある
が、低歪み域での形態変化のやや大きいものであった。
また見掛け密度が低いことが原因と思われるが、天然皮
革調の充実感と高級感を有する物ではなかった。前述の
方法により取り出した補強布帛中の紡績糸の撚数は、タ
テ糸が632T/mで、ヨコ糸が640T/mであっ
た。
と同様な方法で処理を行なった。但し、用いたウェッブ
のみの90℃熱水中での収縮率はタテ方向が8%でヨコ
方向が7%であり、そして補強布帛のみの90℃熱水中
での収縮率は、タテ方向が5%でヨコ方向が5%であ
る。この両者からなる積層シートは、ニードルパンチす
ることにより両者がよく絡合しているが、90℃熱水中
でも収縮率はタテ方向が5%で、ヨコ方向が6%であっ
た。予熱後プレス処理して表面を平滑化し、そしてポリ
ウレタン溶液を含浸し、湿式凝固したのち、表面を起毛
し、さらに染色し、得られるシートの目付は470g/
m2、見掛け密度が0.362g/cm3であった。この
シートの裂断長−歪み曲線は、図1および図2に示すよ
うに、本発明の範囲を外れるものであり、柔軟ではある
が、低歪み域での形態変化のやや大きいものであった。
また見掛け密度が低いことが原因と思われるが、天然皮
革調の充実感と高級感を有する物ではなかった。前述の
方法により取り出した補強布帛中の紡績糸の撚数は、タ
テ糸が632T/mで、ヨコ糸が640T/mであっ
た。
【0059】
【発明の効果】以上、実施例等で詳細に説明してきたよ
うに、本発明によれば、人工皮革としてのシート風合い
を維持しつつ低歪み域での高抗変形性を有する形態安定
性に優れた、品位の高い皮革様繊維シートが得られる。
このようにして作製された人工皮革は、例えばインテリ
アや資材用途などに使用される。特に補強布による抗変
形性を必要とする、椅子、ソファーなどの表面材とか、
機械ベルト、研磨材等の高強力、高抗変形性を必要とす
る資材用途等に好適に使用することができる。
うに、本発明によれば、人工皮革としてのシート風合い
を維持しつつ低歪み域での高抗変形性を有する形態安定
性に優れた、品位の高い皮革様繊維シートが得られる。
このようにして作製された人工皮革は、例えばインテリ
アや資材用途などに使用される。特に補強布による抗変
形性を必要とする、椅子、ソファーなどの表面材とか、
機械ベルト、研磨材等の高強力、高抗変形性を必要とす
る資材用途等に好適に使用することができる。
【図1】タテ方向の裂断長―歪み曲線を示す。
【図2】ヨコ方向の裂断長−歪み曲線を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F055 AA02 BA11 CA18 DA07 EA04 EA12 EA18 EA22 EA24 EA29 EA30 EA34 EA35 FA15 GA02 HA03
Claims (10)
- 【請求項1】0.3デニール以下の極細繊維からなる不
織布と補強布帛とが絡合一体化されており、かつ該絡合
一体化物中に弾性重合体が含有されている繊維構造体で
あって、かつ該構造体のタテ方向の第一ピークまでの歪
が15%以上で、且つ、第一ピークまでの裂断長−歪み
曲線が下記のOAを通過する直線とOCを通過する直線
に挟まれる範囲にあり、ヨコ方向の第一ピークまでの歪
が20%以上で、且つ、第一ピークまでの裂断長−歪み
曲線が下記のOA'を通過する直線とOC'を通過する直
線に挟まれる範囲にあり、シート密度が0.4g/cm
3以上であることを特徴とする皮革様シート。 タテ(歪み(%),裂断長(km))=O(0,0)、
A(30,2.0)、C(5,3.5) ヨコ(歪み(%),裂断長(km))=O(0,0)、
A'(40,1.5)、C'(20,2.5) 尚、ここでいう“裂断長”とは以下の数式により算出さ
れる。 裂断長(km)= シート強力(g/cm)/シート目
付(g/m2)/10 - 【請求項2】補強布帛が、撚数650〜2800T/m
の糸により構成されている請求項1記載の皮革様シー
ト。 - 【請求項3】補強布帛が、紡績糸により構成されている
請求項1記載の皮革様シート。 - 【請求項4】90℃の熱水中での収縮率が10〜30%
である繊維から構成された糸からなり、20%伸長時の
タテ強力が6kg/cm以上で、且つヨコ強力が4kg
/cm以上である補強布帛の少なくとも片面に、繊維長
が3〜150mmの極細繊維または極細化可能繊維より
なり、絡合後の90℃の熱水中での収縮率がタテ、ヨコ
とも10〜30%の範囲である繊維ウエッブが重ね合わ
され、該布帛と該繊維ウェッブが絡合一体化されている
繊維シートを加熱収縮させた後、弾性重合体を付与し、
そして極細化可能繊維が海島構造繊維である場合には、
海成分を除去して極細化することを特徴とする皮革様シ
ートの製造方法。 - 【請求項5】補強布帛を構成する糸の撚数が550〜2
000T/mである請求項4に記載の製造方法。 - 【請求項6】補強布帛を構成する糸が紡績糸である請求
項4に記載の製造方法。 - 【請求項7】ウェッブの繊維長が20mm以上の場合に
は、補強布帛と絡合後の繊維ウエッブとの90℃熱水中
での収縮率差が、タテ方向で0〜10%、ヨコ方向で0
〜6%の範囲内にあり、繊維長が20mm未満の場合に
は、同収縮率差が、タテ方向で0〜20%、ヨコ方向で
0〜15%の範囲にある請求項4に記載の製造方法。 - 【請求項8】補強布帛を構成するタテ糸の収縮率がヨコ
糸の収縮率の0.3〜0.95倍の範囲である請求項4
に記載の製造方法。 - 【請求項9】補強布帛の織密度が、タテ40〜100本
/インチ、ヨコ30〜90本/インチの範囲で且つタテ
糸密度がヨコ糸密度より多い請求項4に記載の製造方
法。 - 【請求項10】90℃の熱水中で10〜30%の収縮率
を有する繊維から構成された糸からなり、20%伸長時
のタテ強力が6kg/cm以上で、且つヨコ強力が4k
g/cm以上であることを特徴とする人工皮革補強布
帛。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000066373A JP2001254279A (ja) | 1999-03-31 | 2000-03-10 | 皮革様シートおよびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9066199 | 1999-03-31 | ||
JP11-90661 | 2000-01-04 | ||
JP2000-5005 | 2000-01-04 | ||
JP2000005005 | 2000-01-04 | ||
JP2000066373A JP2001254279A (ja) | 1999-03-31 | 2000-03-10 | 皮革様シートおよびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001254279A true JP2001254279A (ja) | 2001-09-21 |
Family
ID=27306503
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000066373A Pending JP2001254279A (ja) | 1999-03-31 | 2000-03-10 | 皮革様シートおよびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001254279A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20050050602A (ko) * | 2003-11-25 | 2005-05-31 | 가부시키가이샤 구라레 | 인조 피혁 시트 기재 및 그 제조 방법 |
JP2010222776A (ja) * | 2005-12-19 | 2010-10-07 | Kolon Ind Inc | 強度及び伸び率特性に優れたスエード調人工皮革 |
-
2000
- 2000-03-10 JP JP2000066373A patent/JP2001254279A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20050050602A (ko) * | 2003-11-25 | 2005-05-31 | 가부시키가이샤 구라레 | 인조 피혁 시트 기재 및 그 제조 방법 |
JP2010222776A (ja) * | 2005-12-19 | 2010-10-07 | Kolon Ind Inc | 強度及び伸び率特性に優れたスエード調人工皮革 |
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