JP3862778B2 - 芯地 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は芯地、とくに衣服などに用いる伸縮性を有する芯地に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、繊維を樹脂で結合した芯地が用いられていたが、樹脂の結合のみで十分な強度のものを得ようとすると、樹脂量が多くなり、多数の繊維交点に樹脂被膜が形成されるために風合いが硬くなるという欠点があった。
【0003】
この欠点を改良したものとして、繊維ウェブに多数の点状の熱融着部を形成することにより結合した芯地が広く用いられるようになっている。この芯地は点状の熱融着部で結合されているため、厚みの薄いものであっても、ソフトで強度のあるものが得られる。しかし、この芯地は点状の熱融着部の間で繊維が固定されるため伸びや腰がなく、身体の動きや表地の伸びなどに十分追従せず、とくに表地に伸びのある素材を用いた場合には問題があった。
【0004】
これに対して、上記の点状の熱融着部を有する芯地の構成繊維に高捲縮の繊維を用いて、点状の熱融着部間で繊維に捲縮によるスプリング効果を与え、伸縮性を持たせた芯地が提案された。しかし、この芯地は、原料となる繊維に予め高い捲縮がかかっているため、カード機により繊維ウェブを形成する際に繊維どうしが絡み合ってニップ(繊維の絡み合った玉)ができたり、地合が悪くなったりして均質な繊維ウェブを形成することが難しかった。
【0005】
このため、本発明者らは上記の高捲縮繊維に代えて潜在捲縮性繊維を用いることを検討した。潜在捲縮性繊維は加熱すると捲縮数を増す性質を有するため、繊維ウェブの形成時には捲縮の少ない状態で扱えるので均質な繊維ウェブが形成でき、繊維ウェブ形成後に捲縮を発現することで芯地に伸縮性を付与することが可能であった。しかしながら、潜在捲縮性繊維を用いた場合には、捲縮発現に伴って芯地が収縮するという別の問題があった。とくに、幅方向の収縮、いわゆる幅引きは既存の生産装置で製造した場合、製品に必要な幅が得られなくなるため問題があった。
【0006】
なお、とくに潜在捲縮性繊維を用いた点状の熱融着部を有する芯地の場合、毛芯などと積層して用いる際に、毛芯などとの間に繊維の絡みによるファスナー現象が生じて、縫製作業の作業性が低下したり、縫製後毛芯との絡みを原因とするしわが発生するという不具合があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のような従来技術の問題点を解消すべくなされたものであり、製造時に幅引きが生じず、均質な繊維ウェブからなり、ソフトで伸縮性があって、ファスナー現象が生じにくい芯地を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記の課題は、本発明の、潜在捲縮性繊維を主体とする一方向性繊維ウェブと、潜在捲縮性繊維以外の繊維を主体とする交差繊維ウェブとが積層されており、該潜在捲縮性繊維の捲縮が発現されていると共に、繊維重量/樹脂重量の比を90/10〜82/18とした樹脂が含浸されていることを特徴とする芯地によって解決される。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の芯地は、潜在捲縮性繊維を主体とする一方向性繊維ウェブと、潜在捲縮性繊維以外の繊維を主体とする交差繊維ウェブとが積層されているため、製造時に潜在捲縮性繊維の捲縮を発現させても、潜在捲縮性繊維以外の繊維を主体とする交差繊維ウェブの作用により幅引きが防止される。また、該潜在捲縮性繊維の捲縮が発現されていると共に、樹脂が含浸されているため、風合いがソフトであるにもかかわらず、伸縮性に優れ、腰があり、しかも、毛芯などと積層して使用した場合にファスナー現象が生じにくく、取扱い性に優れる。
【0010】
本発明において潜在捲縮性繊維を主体とする繊維ウェブとは、潜在捲縮性繊維が少なくとも50重量%以上含まれている繊維ウェブを言う。潜在捲縮性繊維を主体とする繊維ウェブには、より好ましくは60重量%以上の潜在捲縮性繊維が含まれていることが望ましく、100重量%潜在捲縮性繊維であってもよい。
【0011】
本発明に使用する潜在捲縮性繊維としては、加熱により捲縮、とくにコイル状、またはスパイラル状の捲縮が多数生じる繊維が望ましい。潜在捲縮性繊維は、最適な捲縮発現条件を選んだ場合に、外力がかからない状態で発現後の捲縮数が発現前の室温での捲縮数の少なくとも2倍以上に増加するものが望ましく、例えば、室温で10〜20個/インチの捲縮数が、繊維単独で外力がかからない状態で170℃で15分間加熱した場合に、40〜200個/インチ程度に増加するものが好ましい。
【0012】
このような潜在捲縮性繊維としては、融点の異なる2種類の樹脂が複合された複合繊維や、繊維の一部に特定の熱履歴を施した繊維が使用される。複合繊維には、例えば偏芯型の芯鞘構造の複合繊維や、サイドバイサイド(貼り合わせ)型の複合繊維が好適に用いられる。融点の異なる樹脂の組合わせとしては、ポリエステル−低融点ポリエステル、ポリアミド−低融点ポリアミド、ポリエステル−低融点ポリアミド、ポリエステル−ポリプロピレン、ポリプロピレン−低融点ポリプロピレン、ポリプロピレン−ポリエチレンなど種々の合成樹脂を組合わせたものが使用できる。とくに、ポリエステル−低融点ポリエステルからなる潜在捲縮性繊維は耐熱性や捲縮発現後の伸縮性に優れているのでよい。また、繊維の一部に特定の熱履歴を施した繊維としては、例えば、熱刃などにポリエステル、ポリアミド、ポリアクリルなどの熱可塑性樹脂からなる繊維の一側面をあてながら通過させて熱履歴を与えた繊維などが使用される。
【0013】
また、潜在捲縮性繊維以外の繊維としては、実質的に加熱により捲縮の増加が生じない繊維が使用され、例えば、一般的に汎用されているポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリアクリル繊維、レーヨン繊維、綿、羊毛などの繊維や、実質的に加熱により捲縮の増加が生じない複合繊維が用いられる。このような複合繊維としては、例えば可染性ポリエステル−ポリアミドなどの樹脂の組合わせからなる芯鞘型複合繊維などがある。なお、ここで実質的に加熱により捲縮の増加が生じない繊維とは、繊維単独で外力が加わらない状態で加熱した場合に多少の捲縮の増加が生じても、その捲縮数の増加分が元の捲縮数の5割未満のものを意味する。
【0014】
本発明において、潜在捲縮性繊維以外の繊維を主体とする繊維ウェブとは、潜在捲縮性繊維以外の繊維が少なくとも50重量%以上含まれている繊維ウェブを言う。潜在捲縮性繊維以外の繊維を主体とする繊維ウェブには、より好ましくは60重量%以上の潜在捲縮性繊維以外の繊維が含まれていることが望ましい。
【0015】
潜在捲縮性繊維以外の繊維を主体とする交差繊維ウェブは、潜在捲縮性繊維を主体とする繊維ウェブと積層して潜在捲縮性繊維を主体とする一方向性繊維ウェブの生産時の幅引きを防止する働きをするが、繊維ウェブの繊維配向によっては生産方向の伸縮性を低下させることがある。このため、潜在捲縮性繊維以外の繊維を主体とする交差繊維ウェブには必要に応じて潜在捲縮性繊維が配合されていてもよい。ただし、その潜在捲縮性繊維の量は40重量%以下、より好ましくは30重量%以下であることが望ましい。
【0016】
本発明の芯地においては潜在捲縮性繊維を主体とする一方向性繊維ウェブと、潜在捲縮性繊維以外の繊維を主体とする交差繊維ウェブとが積層されるが、各繊維ウェブの積層数は1つであってもよいし、2以上であってもよい。
【0017】
とくに、毛芯などとのファスナー現象の防止が強く要求される場合には、毛芯などと接触する芯地の下面(接着芯地の場合には、接着用樹脂を配置した面と逆の面)を形成する下層の繊維ウェブに、潜在捲縮性繊維以外の繊維を主体とする交差繊維ウェブを使用することが望ましい。潜在捲縮性繊維以外の繊維を主体とする繊維ウェブには、ファスナー現象の原因となる潜在捲縮性繊維の捲縮を発現することにより得られるコイル状やスパイラル状などの捲縮を多数有する繊維があまり含まれないため、ファスナー現象が生じにくくなる。
【0018】
前述したように、各繊維ウェブの繊維配向はとくに限定されないが、潜在捲縮性繊維を主体とする繊維ウェブは一方向性繊維ウェブからなり、潜在捲縮性繊維以外の繊維を主体とする繊維ウェブは交差繊維ウェブからなることが望ましい。ここで、一方向性繊維ウェブとは繊維ウェブを構成する繊維が大体一方向に配向している繊維ウェブを言い、例えばカード機から出た繊維をそのまま積層することなどによって製造される。この場合、構成繊維は一般的には生産方向に配向している。また、交差繊維ウェブとは繊維ウェブを構成する繊維が大体2方向に配向しており、この2方向が交差している繊維ウェブを言い、例えば、カード機から出た繊維をクロスラッパーなどにより交差積層することなどによって製造される。この場合、構成繊維は一般的には幅方向よりに配向している。各繊維ウェブの繊維を上記のように配向させると、潜在捲縮性繊維の捲縮を発現させた場合に、生産方向には収縮が生じても幅方向には収縮がほとんど生じず、幅引きを防止できる。
【0019】
各繊維ウェブは積層された後、加熱により潜在捲縮性繊維の捲縮が発現させられる。加熱手段としては、ドライヤー、加熱ロールなどがあるが、とくに所定の間隔を有する一対の加熱ロール間に積層された繊維ウェブを通すことなどのように、一定の間隔で配置した加熱手段により積層された繊維ウェブの厚みを制限した状態で加熱処理することが望ましい。このようにすると、繊維ウェブ中の潜在捲縮性繊維の捲縮発現が厚みを大きくする方向に働かず、繊維がより絡み合うように働き、他の繊維の結合手段を用いなくてもある程度の強度のある積層繊維ウェブを形成することができる。加熱手段の間隔は、とくに限定されないが、加熱手段を通過させる前の積層された繊維ウェブの厚みより狭いことが望ましく、例えば0.1〜1mmの間隔とすることが望ましい。
【0020】
この後、上記の積層繊維ウェブに樹脂が含浸される。樹脂を含浸すると、潜在捲縮性繊維の捲縮を発現することによって得られた、多数のコイル状またはスパイラル状の捲縮を有する繊維によって発生すると考えられるファスナー現象が抑えられる。この理由は明らかではないが、樹脂の含浸によって繊維の捲縮部に樹脂被膜が形成されて、毛芯などの繊維との絡みが妨げられるためではないかと考えられる。含浸する樹脂としては、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリウレタン樹脂などが用いられる。前記の樹脂は、例えば樹脂エマルジョンなどの溶液状態で積層繊維ウェブに含浸し、乾燥することにより付着される。なお、樹脂の含浸は芯地の下面(接着芯地の場合には、接着用樹脂を配置する面と逆の面)から行うことが望ましい。また、樹脂の含浸は必ずしも芯地の全体に及んでいなくてもよく、少なくとも芯地の下面側に樹脂が含浸されていればよい。
【0021】
樹脂の付着量(固形分の付着量)は、繊維の重量との比(繊維重量/樹脂重量)が90/10〜82/18となる範囲にあることが望ましい。この範囲よりも樹脂の割合が減るとファスナー現象を十分に抑えることが難しくなり、この範囲よりも樹脂の割合が多くなると芯地の風合いが硬い感触のものとなってしまう
【0022】
発明の芯地においては、潜在捲縮性繊維の捲縮を発現することによって、とくに加熱ロール間などで厚みを規制しながら捲縮を発現することによって繊維が絡み合うため、上記のように樹脂の量を少なくしても芯地に十分な強度が付与でき、しかも樹脂量が少ないため、芯地の伸縮性を阻害せず、ソフトな風合いを実現することができる。
【0023】
なお、本発明の芯地は、潜在捲縮性繊維を主体とする一方向性繊維ウェブと、潜在捲縮性繊維以外の繊維を主体とする交差繊維ウェブとを積層した後、加熱エンボスロール間を通して点状の熱融着部を形成すると共に、潜在捲縮性繊維の捲縮を発現したり、水流絡合によって繊維どうしを絡合した後に加熱手段によって潜在捲縮性繊維の捲縮を発現してもよい。このように、積層ウェブを熱接着や機械的絡合などの他の繊維ウェブ結合法と併用することによって、含浸する樹脂の量をより少なくでき、強度があって、よりソフトな風合いの芯地が得られる。
【0024】
また、本発明の芯地は、必要に応じて糸による補強を行ってもよい。糸は例えば、ラッセル編機や単糸環縫いミシンなどを使用して、芯地にチェーンステッチやデンビステッチを施すことにより、糸による編み構造が芯地と複合された構造となっていることが望ましい。このようにすると、芯地の伸縮性を妨げることなく、糸による補強が行える。とくに、芯地のタテ方向(生産方向)にチェーンステッチを施すと、チェーンステッチの編目が伸びきるところまでは良好な伸縮性が得られ、伸びきったところでは糸が伸び止めと芯地の形態を安定にする働きをするのでよい。なお、糸にはねん糸法による加工糸などの伸縮性を持たせることができる糸を用いると更に芯地の伸びへの追従性が向上するのでよい。
【0025】
本発明の芯地は接着用樹脂を付着して接着芯地として使用してもよい。接着用樹脂としては、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などが単独、または混合して用いられる。接着用樹脂は、例えば芯地の表面にドット状、ストライプ状などの適宜の模様状に配置して使用されるが、とくに、ドット状に設けると、表地などとの接着後も芯地の伸縮性を阻害しにくいのでよい。接着用樹脂の付着量は、芯地の種類や接着する表地の種類によっても変るためとくに限定されないが、2〜20g/m2、より好ましくは3〜15g/m2の範囲がよい。上記範囲より少ないと接着力が不足し、多いと表地などとの接着後の風合いが硬くなったり、樹脂の染み出しが生じるおそれがある。
【0026】
【実施例】
実施例1
繊度1.5デニール、繊維長51mmのポリエステル/低融点ポリエステル潜在捲縮性複合繊維70重量%と、繊度1.2デニール、繊維長44mmのナイロン/ポリエステル芯鞘型複合繊維30重量%とからなる一方向性繊維ウェブと、繊度1.5デニール、繊維長51mmのポリエステル/低融点ポリエステル潜在捲縮性複合繊維30重量%と、繊度1.2デニール、繊維長44mmのナイロン/ポリエステル芯鞘型複合繊維70重量%とからなる交差繊維ウェブとを積層した後、ロール間スリット0.5mm、温度175℃の一対の加熱ロール間に通して上記の潜在捲縮性複合繊維の捲縮を発現させて目付23g/m2の積層繊維ウェブを形成した。次いで、この積層繊維ウェブにアクリル酸エステル樹脂エマルジョン溶液を含浸し、乾燥して目付28g/m2の芯地を得た。なお、繊維重量/樹脂重量は82/18であった。この芯地の一方向性繊維ウェブ側に、ポリアミド系樹脂(融点115℃)をドット状に10g/m2付着させて接着芯地を得た。付着したドットの数は37個/cm2であった。
【0027】
実施例2
繊度1.5デニール、繊維長51mmのポリエステル/低融点ポリエステル潜在捲縮性複合繊維70重量%と、繊度1.2デニール、繊維長44mmのナイロン/ポリエステル芯鞘型複合繊維30重量%とからなる一方向性繊維ウェブと、繊度1.5デニール、繊維長51mmのポリエステル/低融点ポリエステル潜在捲縮性複合繊維30重量%と、繊度1.2デニール、繊維長44mmのナイロン/ポリエステル芯鞘型複合繊維70重量%とからなる交差繊維ウェブとを積層した後、ロール間スリット0.5mm、温度175℃の一対の加熱ロール間に通して上記の潜在捲縮性複合繊維の捲縮を発現させて目付19g/m2の積層繊維ウェブを形成した。次いで、この積層繊維ウェブにアクリル酸エステル樹脂エマルジョン溶液を含浸し、乾燥して目付22g/m2の芯地を得た。なお、繊維重量/樹脂重量は86/14であった。得られた芯地に、30デニールのねん糸法によるポリエステル加工糸を用いて、ラッセル編機(カールマイヤー社のRS3MSU−V)により、18ゲージのチェーンステッチを施して糸による補強を行った。この芯地の一方向性繊維ウェブ側に、ポリアミド系樹脂(融点115℃)をドット状に10g/m2付着させて接着芯地を得た。付着したドツトの数は、37個/cm2であった。
【0028】
比較例1
繊度1.5デニール、繊維長47mmのポリエステル繊維70重量%と、繊度1.2デニール、繊維長38mmのナイロン/ポリエステル芯鞘型複合繊維30重量%とからなる目付23g/m2の繊維ウェブに、アクリル酸エステル樹脂エマルジョン溶液を含浸し、乾燥して目付29g/m2の芯地を作製した。この芯地にポリアミド系樹脂(融点115℃)をドット状に10g/m2付着させて接着芯地を得た。付着したドットの数は37個/cm2であった。
【0029】
比較例2
繊度1.5デニール、繊維長47mmのポリエステル繊維100重量%からなる一方向性繊維ウェブと、繊度1.5デニール、繊維長47mmのポリエステル繊維100重量%からなる交差繊維ウェブとを積層し、温度190℃の加熱エンボスロールに通すことにより多数の点状の熱融着部を有する目付25g/m2の芯地を得た。この芯地にポリアミド系樹脂(融点115℃)をドット状に10g/m2付着させて接着芯地を得た。付着したドットの数は37個/cm2であった。
【0030】
比較例3
繊度1.5デニール、繊維長44mmのポリエステル/低融点ポリエステル潜在捲縮性複合繊維100重量%からなる繊維ウェブを、温度190℃の加熱エンボスロールに通すことにより、潜在捲縮性複合繊維の捲縮を発現させると共に多数の点状の熱融着部を有する目付25g/m2の芯地を得た。なお、潜在捲縮性複合繊維の捲縮発現時に、25%程度の幅引きが生じた。この芯地にポリアミド系樹脂(融点115℃)をドット状に10g/m2付着させて接着芯地を得た。付着したドットの数は37個/cm2であった。
【0031】
なお、上記の各実施例及び比較例で使用した複合繊維の捲縮数を各々繊維単独で測定したところ、ポリエステル/低融点ポリエステル潜在捲縮性複合繊維の室温(20℃)での捲縮数は12個/インチで、170℃で15分間加熱後の捲縮数は120個/インチであり、一方、ナイロン/ポリエステル芯鞘型複合繊維の室温(20℃)での捲縮数は11個/インチであり、170℃で15分間加熱後も捲縮数に変化はなかった。
【0032】
上記の各実施例、比較例の接着芯地を引張り・せん断試験機(カトーテック(株)製 KES−FB1)、純曲げ試験機(カトーテック(株)製 KES−FB2)を用いて評価し、表1に示した。表1において、EMTは、芯地単体の定荷重(50g/cm)における引張り伸度(単位:%)、Bは、接着芯地と表地とを接着した複合布の単位長さ当たりの曲げ剛性(単位:gf・cm2/cm)、Gは、接着芯地と表地とを接着した複合布の単位幅当たりのせん断剛性(単位:gf/cm・degree)を示す。なお、上記の複合布には各接着芯地を目付け170g/m2のウールトロピカルからなる表地と、リライアントプレス機により温度130℃、圧力3kg/cm2の条件で10秒間プレスして接着したものを使用した。
【0033】
また、接着芯地のファスナー現象を調べるため、以下の方法でファスナー効果を測定し、表2に示した。ファスナー効果は、接着芯地をT/Wトロピカルの表地に接着したものを接着芯地面を上にして置き、この上に、アクリル板(縦15cm、横10cm、重さ155g)に毛芯(東海サーモ株式会社製 品名:AL−350)を貼ったものを毛芯が芯地面と接触するように置いた後、アクリル板を水平方向に引張って、アクリル板が動き出した直後の最大応力(引張るのに要する力)と、動き出してからの平均応力を測定して求めた。
【0034】
【表1】
Figure 0003862778
【0035】
【表2】
Figure 0003862778
【0036】
表1、2から明らかなように、実施例1、2の芯地は、比較例1、2の芯地と比べて、伸縮性があると共に、曲げ剛性やせん断剛性が小さく風合いがソフトであり、また比較例3の芯地に比べてファスナー現象が生じにくい。
【0037】
【発明の効果】
本発明の芯地は、潜在捲縮性繊維を主体とする一方向性繊維ウェブと、潜在捲縮性繊維以外の繊維を主体とする交差繊維ウェブとが積層されており、該潜在捲縮性繊維の捲縮が発現されていると共に、繊維重量/樹脂重量の比を90/10〜82/18として樹脂が含浸されているため、風合いがソフトであるにもかかわらず、伸縮性に優れ、腰がある。また、毛芯などと積層して使用した場合にファスナー現象が生じる心配がなく、取扱い性にも優れる。更に、製造時に幅引きなどのトラブルを生じることなく、均質な繊維ウェブ構造を持つ芯地を簡便に製造できる。

Claims (3)

  1. 潜在捲縮性繊維を主体とする一方向性繊維ウェブと、潜在捲縮性繊維以外の繊維を主体とする交差繊維ウェブとが積層されており、該潜在捲縮性繊維の捲縮が発現されていると共に、繊維重量/樹脂重量の比を90/10〜82/18として樹脂が含浸されていることを特徴とする芯地。
  2. 下層が潜在捲縮性繊維以外の繊維を主体とする繊維ウェブからなることを特徴とする請求項1に記載の芯地。
  3. 芯地にチェーンステッチが施されていることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の芯地。
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