JP3212051B2 - 長繊維不織布 - Google Patents

長繊維不織布

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JP3212051B2
JP3212051B2 JP19147393A JP19147393A JP3212051B2 JP 3212051 B2 JP3212051 B2 JP 3212051B2 JP 19147393 A JP19147393 A JP 19147393A JP 19147393 A JP19147393 A JP 19147393A JP 3212051 B2 JP3212051 B2 JP 3212051B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、連続繊維より成る柔軟
な伸縮性不織布に関する。より詳しくは、プラスター等
の医療衛生材の基布に適した、薄くコンパクト性に優
れ、特に伸長時の応力が低く、伸長回復性に優れた伸縮
性長繊維不織布に関する。
【0002】
【従来の技術】湿布、プラスター等の医療衛生材の基布
として、伸縮性を有するフィルム、編織布、あるいは不
織布等が用いられている。このような基布では通常、柔
軟であることとともに薬剤を塗った時それらが裏面にし
み出さないだけの緻密性と均一性が要求される。
【0003】特にプラスター基布の場合、人体に使用さ
れる部位が肘、膝等非常に伸び縮みの大きな所で有るた
めに緻密な構造であることに加え、薄く、基布自体の高
度の伸縮性が要求される。人体で一番伸び縮みの大きな
所は肘であり、その伸度は約100%以上といわれてい
る。また、人体に貼った時に基布がシワにならないため
には伸度とともにある程度以上の伸長回復性が必要であ
る。さらに、人体に貼った時に基布の収縮力による肌へ
の突っ張り感を与えないために伸長時の応力が小さいこ
とが要求される。これらの伸縮性などは、タテあるいは
ヨコの1方向のみではなく、異方性がないことが好まし
い。
【0004】現在、プラスター基布としては、塩ビフィ
ルム、エステル/綿混の編み物、ミクロクリンプタイプ
のステープルを用いた乾式不織布(特開平4−3272
56号公報)等が用いられているが、それぞれ、優れた
特性はあるものの、伸縮性がない、通気性が悪い、高価
である、嵩高すぎる等の諸問題があった。すなわち、例
えば、塩ビフィルムでは柔軟性はあるものの、通気性が
なく、穴を開けることによって対処はなされているもの
の全く不十分である。また、伸縮性がフィルムであるた
めに殆どない。通気性、伸縮性の面ではフイルムに比べ
て布、不織布等が非常に有利である。エステル/綿混の
編物は必要特性に十分叶う部分もあるが、特に価格が非
常に高価である。
【0005】高伸縮性の不織布として、弾性繊維不織布
が挙げられるが、伸長回復率は高いものの、伸長時の応
力が高く医療衛生材用の基布として必ずしも満足のいく
ものではない。また、価格的にも高価なものである。医
療衛生材用の基布として伸縮性の不織布が特開平4−3
27256号公報に提案されている。該伸縮性不織布
は、潜在捲縮性の繊維と接着性繊維を適度な割合に混合
し、熱処理することによって潜在捲縮性繊維に捲縮を発
現させてから点融着し、この点融着区域以外は両繊維が
殆ど融着しないようにして不織布に大きな伸縮性を与え
ようとしたものである。この様にしても伸縮性が低く、
30%伸長時の伸長回復率がせいぜい50%と低く、見
かけ密度も0.1g/cm3以下とプラスター基布として
は嵩高過ぎる。また、2種の短繊維の混繊等の為にシー
ト化までの製造工程が長く複雑になる等という欠点があ
った。
【0006】潜在捲縮性の長繊維を使用した不織布とし
ては、特開平2−289159号公報に柔軟性に優れた
長繊維不織布が提案されているが、柔軟性には優れてい
ても伸縮性や伸長回復性についての配慮はなされておら
ず、医療衛生材用の基布として必ずしも満足のいくもの
ではない。特開平3−130453号公報、特開平3−
269154号公報に嵩密度が0.1g/cm3以下の嵩
高長繊維不織布が提案されているが、見かけ密度が0.
1g/cm3以下と嵩高であり、柔軟で高伸縮性であると
の記載はあるが具体的に50%伸長時の伸長回復率につ
いての記載はなく、湿布、プラスター等の医療衛生材用
の基布として必ずしも満足のいくものではない。また、
特開平3−220358号公報にはポリブチレンテレフ
タレートを1成分とする複合長繊維からなる柔軟な複合
長繊維不織布が提案されているが、柔軟性には優れてい
るとしても、伸度が小さく強力の大きい強靱な不織布で
あり、湿布、プラスター等の医療衛生材用の基布として
必ずしも満足のいくものではない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上述べてきたように
肘や膝等の伸び縮みの大きな所に使用するプラスターな
どの基布としての必要特性を満足させる伸縮性の不織布
は現在ない。本発明の目的は、柔軟で、薬剤が裏面にシ
ミださないだけの緻密性と均一性を有し、しかも、伸縮
性、特に伸長時の応力が小さくしかも伸長回復率が大き
く(以下特に断りのない限り伸長時の応力と伸長回復率
を総称して伸縮性という)、異方性の小さい長繊維不織
布を安価に提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前述の様
な従来技術では達成できなかった、この課題を解決する
ために、鋭意検討した結果、以下に示す様な発明に到達
したものである。即ち、本発明は、融点の異なる2成分
のポリマーからなり捲縮を有する長繊維が間欠的な領域
で低融点成分により融着固定されており、見掛密度が
0.10g/cm3以上、タテ、ヨコ方向の50%伸長時
強力がいずれも150g/cm以下、かつ50%伸長時の
伸長回復率がいずれも50%以上であることを特徴とす
る長繊維不織布である。
【0009】以下に本発明について詳細に説明する。本
発明の不織布を構成する繊維は、融点の異なる2種のポ
リマーをサイドバイサイド型や偏芯芯鞘型等に複合紡糸
して得られる潜在捲縮性の長繊維を熱処理することによ
って捲縮発現した長繊維である。融点の異なる2種のポ
リマーの組み合わせは、熱処理することによって捲縮が
発現されるものなら従来公知の任意のポリマーの組み合
わせでよく、例えば、ポリエステル/ポリエステル、ポ
リエステル/コポリエステル、ポリアミド/ポリエステ
ル、ポリオレフィン/ポリオレフィン等、複合紡糸が可
能な繊維の組み合わせが挙げられる。中でも比較的高伸
縮性の不織布を作成するための、後述する高K1値の繊
維を得るためには、ポリエチレンテレフタレートとポリ
ブチレンテレフタレートを並列的に複合紡糸した繊維が
適している。
【0010】本発明の伸長時応力が小さく伸長回復性に
優れた不織布を得るためには、捲縮発現後に下記式で定
義される捲縮伸長率K1値が10以上、好ましくは15
以上となるような複合紡糸繊維を用いることが好まし
い。K1値が大きな繊維で作成した不織布程伸縮性に優
れた布ができる。なお、複合紡糸繊維のK1値は、組み
合わせるポリマーの種類、紡糸、延伸、熱処理条件等を
変更することによりある程度コントロール可能である。 K1(%)=(L2−L1)/L2×100 L1;捲縮発現後の糸長 L2;捲縮発現後糸に0.1g/drの荷重を掛けたとき
の糸長
【0011】また、繊維の単繊維繊度は得られる不織布
の見かけ密度、すなわち、緻密性やコンパクト性等に大
きな影響を及ぼす。単繊維繊度が細くなるほど、見かけ
密度を上げ易く、本発明でいう0.10g/cm3以上の
高密度不織布を作成する為には使用繊維の単繊維繊度は
3dr/fil以下が良く、好ましくは2dr/fil以下とする
のが望ましい。また、繊維の単繊維繊度は得られる不織
布の柔軟性にも大きく影響し、柔軟性の観点等からも、
この様な繊維を用いることが望ましい。また、単繊維繊
度が大きいと、基布の見かけ密度を0.10g/cm3
上としても塗布した薬液の裏面へのしみ出し等の問題が
生じ易い。さらに、プラスターや湿布基布等として用い
た場合、カット面の繊維先端が直接人体へ接触し皮膚を
刺激することによる”かぶれ”等の実用上の問題も多く
発生しやすいが、この様な点からも繊維の単繊維繊度が
前述の様な範囲にあることが望ましい。
【0012】本発明の不織布は、捲縮を有する長繊維が
間欠的な領域で低融点成分により融着固定され、形態安
定化されている。本発明の高伸縮性、高伸縮回復性を満
足するためには、長繊維が間欠的な領域で融着固定され
ていることが重要であり、連続した線状の領域あるいは
全面にわたって融着固定やバインダー樹脂等により接着
固定したものでは高伸縮性、高伸縮回復性の不織布とす
ることはできない。また、不織布中での繊維の絡合は、
捲縮発現時に隣接する繊維同士で捲縮部が相互に絡まる
ことは差し支えないが、積極的に水流絡合やニードルパ
ンチによる3次元絡合を行うことは伸長時の応力が大き
くなるために好ましくない。
【0013】本発明の不織布は、薬剤を塗布したとき薬
剤が裏面にしみ出さないためにその見かけ密度が0.1
g/cm3以上、好ましくは0.15〜0.18g/cm3
ある。見かけ密度が0.1g/cm3以下であると、薬剤
の裏面へのしみ出しを防止するためには不織布の厚さを
厚くする必要があるが、この場合、薬剤が不織布の厚み
にとられて必要量以上に多量に塗布することが必要とな
り、薬剤の無駄であるばかりでなく得られるプラスター
が厚ぼったいものとなる。見かけ密度を大きくすること
は一般に困難であるが、見かけ密度が大きくなると、薬
剤の裏面へのしみ出しは問題ないものの、風合いが硬く
なったり、伸長回復率が低下して本発明の範囲に入らな
くなる。
【0014】不織布の目付けは特に限定されるものでは
ないが、薬剤が裏面にしみ出さない範囲で小さいことが
好ましく、好ましくは100g/m2以下、さらに好まし
くは70〜100g/m2の範囲であり、また、厚さは本
発明の効果を奏する限り薄いものほど好ましく、1mm以
下であることが好ましい。厚さが厚くなると、使用時に
衣服の下で嵩張り、基布端が引っかかり易くなって、こ
すれた時などに非常にはがれ易くなるという問題が発生
する。
【0015】本発明の不織布は、50%伸長時の伸長回
復率が50%以上であり、伸度は好ましくは80%以上
である。これは医療衛生材の基布として、特にプラスタ
ー基布等として用いた時にその使用部位が人体の比較
的、伸び縮みの大きな所に使用される為に少なくとも5
0%の伸度が必要であり、しかも、50%伸長時の伸縮
回復率が50%以上であることが必要である。50%伸
長時の伸縮回復率が50%未満、あるいは伸度が50%
未満であると、肘や膝に使用した時皮膚の繰り返し伸縮
に十分追随できず、シワを生じたり、基布破れや皮膚か
らの剥離等の問題が発生する。
【0016】また、本発明の不織布の伸長時応力は、医
療衛生材の基布として使用した時の人体への違和感、加
工性等の点から、低ければ低いほど好ましく、50%伸
長時の応力で150g/cm、好ましくは120g/cm以
下であることが望ましい。不織布の伸長時の応力が大き
くなると、人体へ貼り付け使用時に肌への突っ張り感が
大きくなって長時間の使用ができなくなるという問題が
生ずる。また、大きな伸長時応力を基布が有すると基布
への薬剤塗布や離型シートの貼り付け加工時にあるいは
加工後に製品の形態安定性が悪くなり、基布の大きな収
縮応力の為にまるまってしまったり、基布が離型シート
からずれてしまう等の問題が生ずる。
【0017】上記の伸長回復率や伸長時応力等の特性は
タテ、ヨコ方向のいずれもが上記範囲を満足する必要が
あり、異方性の小さなものでなければならない。1方向
のみ伸縮性に優れ他方向はほとんど伸縮性のない不織布
であると、医療衛生材の基布として使用し人体への貼り
付け時に、貼り付け方向が制限されるとともに、肘等の
皮膚の伸縮に十分追随できない。
【0018】本発明の不織布は前記したように潜在捲縮
性の複合長繊維を用いて得ることができるが、従来行わ
れているように単に熱風処理により捲縮発現させたり、
エンボスカレンダーにより熱融着と同時に捲縮発現させ
るだけの製法によっては、本発明で指向するような伸長
時の応力が小さくしかも見かけ密度や伸長回復率の大き
い不織布は得られない。
【0019】すなわち、本発明の不織布は、以下に述べ
る方法によって得ることができる。まず、複合紡糸した
無撚のフィラメント束は紡糸、延伸に直結して、あるい
は一旦ボビンなどに巻き取った後、モノフィラメント状
にまで開繊し、高圧エアー流と共にその下に吸引装置が
設置された捕集ネット上にほぼランダムな無配向状態に
堆積させ、シート状に捕集する。フィラメント束の開繊
方法は従来公知の方法が適用できるが、摩擦、接触剥離
帯電、コロナ放電あるいは両者の組み合わせによって静
電気的に帯電開繊することが好ましい。このとき連続繊
維束は、帯電処理への影響のない程度に油剤が少し付着
されていることが連続の工程処理安定上の点から好まし
い。
【0020】捕集されたウエブは、実質的に繊維の束状
部が存在しないモノフィラメントにまで開繊され、繊維
が特定の方向に配向していないランダムな状態で堆積し
ていることが重要であり、開繊が不十分であったり、繊
維の配向が強いと伸縮性に優れ異方性の少ない不織布と
することは困難である。
【0021】ネット上に捕集されたウエブはまず、捲縮
を発現し得る比較的低温で軽いプレス熱処理をし、第一
次捲縮発現を行う。この第一次捲縮発現は、潜在捲縮性
複合繊維の捲縮を緩く発現させ、次に行う収縮処理にお
いて収縮が均一に起こるように収縮応力の効果的な伝達
のための第一次の微弱な繊維同士のひっかかり核を形成
させるものである。したがって熱処理温度は捲縮を発現
し始める温度よりやや高い温度とし、捲縮発現の程度は
十分に捲縮発現させたときの前記K1値に対して3〜5
割程度の範囲となる条件を目安とする。処理条件は複合
繊維を構成する二種のポリマーによっても異なるが、例
えば、ポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレ
フタレートの組み合わせでは130〜135℃程度の範
囲の熱ローラーでプレスすることによって行われる。
【0022】第一次捲縮発現処理によって軽く捲縮発現
したウエブは、次いで第一次捲縮発現時よりやや高い温
度で熱処理して収縮処理(第二次捲縮発現)を行う。こ
の収縮処理は、捲縮の発現によって繊維が見かけ上収縮
することによりウエブのタテ、ヨコ方向に収縮させるも
ので、この収縮処理により不織布の優れた伸縮性が得ら
れる。このウエブの収縮は、単に繊維の捲縮による見か
け収縮によるものだけでなく、第一次捲縮によって得ら
れた繊維同士のひっかかり核の作用により繊維の収縮応
力がウエブ全体に伝達されることにより経て、ヨコ方向
に均一に収縮する。ウエブの収縮率は、複合繊維のK1
値や処理条件によっても異なるが、通常、20〜30%
程度の範囲で選ばれる。
【0023】収縮処理はタテ、ヨコ方向を実質的に拘束
せず自由に収縮できるようにクリアランス規制した熱ロ
ーラーの間を通すことによって行われる。このクリアラ
ンスの大きさはウエブの目付けにもよるが、通常5〜2
0mmの範囲で設定される。熱処理時にクリアランス規制
することは不織布の伸縮性を高めるために重要で、クリ
アランスが小さすぎると、タテ、ヨコ方向の収縮が不十
分となり得られる不織布の伸縮性が不十分なものとな
る。また、クリアランスは得られる不織布の見かけ密度
を0.1g/cm3以上とするためにも重要で、クリアラ
ンスが大きすぎると捲縮は3次元的で嵩高くなり、後の
エンボス条件を種々変更しても見かけ密度を0.1g/
cm3以上とすることが困難であるか、あるいは十分な伸
縮性が得られなくなる。したがって、ウエブの収縮を阻
害しない限りクリアランスは小さいことが好ましい。ま
た、収縮処理の温度は、第一次捲縮発現時よりやや高い
温度で、捲縮は完全には発現させず、K1値として十分
に捲縮発現したときの8割程度となるような温度で行う
ことが好ましい。この段階で急激に高温で熱処理する
と、2次元的な伸縮性の起点となる捲縮フィラメント同
士の引っかかりが繊維の急に起こる捲縮発現の為に十分
な引っかかり形態を維持できずに、それぞれのフィラメ
ント単独で捲縮収縮が起こることになり、ウエブの収縮
はシート全体に伝わった均一な収縮とはならず、シート
中で局部的に発生する。この様な処理をされたウエブは
ムラの発生と力を伝える繊維の引っかかりが減少し且
つ、不均一なために不織布となった後の2次元的な伸縮
性が悪くなると考えられる。
【0024】収縮処理を行ったウエブは、繊維の捲縮方
向は三次元方向にランダムにではなく、面方向のやや2
次元的な捲縮となるが、さらに捲縮を2次元方向に固定
するために再度軽くプレスする。プレスは通常ローラー
で行い、プレス圧は特に限定するものではないが、線圧
で3〜5kg/cm程度が目安となる。このプレス処理によ
りウエブは見かけ密度を高められるとともに、捲縮繊維
の再配列が起こり隣接フィラメント間の引っかかりの数
が増大し、より強固なものとなる。このプレス処理は実
質的に捲縮が増大しないような温度条件、すなわち、上
記収縮処理と同温度もしくはやや低めの温度で行われ
る。捲縮が大きく増大するような条件でプレス処理を行
うと隣接フィラメント間の引っかかりの数は増大するよ
りむしろ減少し、不織布の伸縮性が不十分なものとなり
易い。また、このプレス処理は、上記の収縮処理を行っ
た後に行う必要があり、あまり初期の段階でいきなりプ
レス処理を行うと、力を伝える様なクリンプとその絡み
が形成される前にウエブ中でのびきった状態の繊維がそ
の位置を固定されてしまうために、その後力の伝達状態
が悪くなり、熱処理過程でのウエブの収縮、できあがっ
た不織布の伸縮性が悪くなる。以上のように、不織布の
コンパクト性、伸縮性を優れたものにするには、特に初
期の処理が重要である。
【0025】プレス処理を行った後、ウェブはネット間
に軽く挟み厚さ方向を規制した状態で低融点成分ポリマ
ーの融点以下の温度に設定された熱風炉中を通過させる
ことにより、収縮熱処理を十分に行い全繊維に捲縮を均
一に発現させる(第3次捲縮発現)。また、熱処理をす
ることにより同時に繊維を構成するポリマーの分子構造
の耐熱性が増大される。特にこの工程での熱固定は後の
接着処理時の圧着点以外でのフィラメントの溶融による
融着を防ぎ接着工程の処理安定性を向上させるために重
要である。なお、第一次捲縮発現処理から第三次捲縮発
現までのかく工程においては繊維同士の融着が起こらな
い条件で処理する必要がある。この間に繊維同士の融着
を起こすと得られる不織布は伸縮性の不十分なものとな
ってしまう。
【0026】十分に熱処理された捲縮発現されたウエブ
はエンボスロールで間欠的な領域で低融点成分により融
着固定されるように熱圧着接着処理する。このときウエ
ブ中の繊維がエンボス点以外では融解等による接合は起
こさないような温度、圧力で処理する。また、熱融着の
ためのエンボス柄は融着部が間欠的な領域となるよう
に、連続していない断続的な柄を用いる必要がある。柄
が線状に連続していると伸長時の低応力、伸長回復率な
どの伸縮性が不十分となる。さらに、等方性の不織布と
するために、エンボス柄は等方性であることが好まし
い。エンボスロールによるシート中の融着部の面積率は
シートに要求される柔軟さ、コンパクト性等で若干異な
るがおよそ14〜22%である。
【0027】本発明の長繊維不織布は、潜在捲縮性の長
繊維を特定の条件で熱処理、熱融着することにより、捲
縮を2次元的に発現させ、コンパクト性に優れるととも
に伸縮性に優れた長繊維不織布とすることができる。前
述の様な処理によって伸縮性を有する長繊維不織布が作
成される。連続繊維を用いることは連続的に比較的短
い、少ない工程で不織布化することが可能であり、その
ために製造コストが安価にすることができ、また、物理
的な特徴として、布となった後、嵩高さを抑えたフラッ
トなシートにしやすく、毛羽立ちや、カット端のほつれ
が起こりにくい等の非常に有用な効果が出せる為、連続
繊維でこの様な不織布を作成することは非常に重要なこ
とである。
【0028】
【実施例】次に、本発明を具体的な実施例で説明する
が、本発明は、これら実施例によって限定されるもので
はない。作成した不織布の目付は全て100g/m2とし
た。結果は表−1にまとめて記した。
【0029】実施例1 ポリブチレンテレフタレート(以下PBTと略記する)
とポリエチレンテレフタレート(以下PETと略記す
る)を繊維断面内で並列に配置するように複合紡糸後連
続して熱延伸された単繊維繊度3.0drでK1値20の
連続繊維を100本ずつ集束した後、摩擦棒との摩擦と
コロナ放電で静電気を帯びさせた後、高圧エアーの作用
で帯電繊維束を吸引、吹き飛ばすエアサッカーに導き、
エアーサッカー直下に設置したフード内に吹き込んだ。
エアーサッカーのエアーとフードの作用によってフード
内で帯電繊維は単繊維まで均一に開繊すると共にランダ
ムに揺動され、吸引装置を備えた捕集ネット上に連続的
に各フィラメントが単一の方向に片寄ることのない状態
でほぼ均一にランダムに堆積させ捕集した。その後連続
して以下の各熱処理、接着を行い、長繊維不織布とし
た。 熱プレス処理 温度:130℃、線圧:3kg/cm 加熱ロール間熱処理 温度:135℃、ロール間距離:
10mm 熱プレス処理 温度:130℃、線圧:5kg/cm 熱風処理 温度:170℃、滞留時間:10
min. エンボス接着処理 温度:195℃、圧着面積率:1
4%(長方形柄) 得られた長繊維不織布は風合いが柔軟で、伸長時の応力
が低く、伸長回復率に優れる高伸縮性の不織布であっ
た。この不織布はプラスターの基布として使用したとき
薬剤の裏面へのしみ出しもなく、皮膚の伸縮に対する追
随性も良好であった。
【0030】
【表1】
【0031】実施例 2 実施例 1において、単繊維繊度1.0drでK1値16の
連続繊維を用いる以外は同様にして長繊維不織布を作製
した。得られた長繊維不織布は、伸縮性に優れるととも
にコンパクト性にも優れ、プラスターなどの医療衛生材
の基布として好適なものであった。
【0032】実施例 3 実施例 1において、単繊維繊度2.0drでK1値20の
連続繊維を用いる以外は同様にして長繊維不織布を作製
した。得られた長繊維不織布は、伸縮性に優れるととも
にコンパクト性にも優れ、プラスターなどの医療衛生材
の基布として好適なものであった。
【0033】実施例 4 実施例 1において、エンボス接着処理に圧着部面積率
が20%のエンボスロールを用いる以外は同様にして長
繊維不織布を作製した。得られた長繊維不織布は、伸縮
性に優れるとともにコンパクト性にも優れ、プラスター
などの医療衛生材の基布として好適なものであった。
【0034】実施例 5 PBTとPETを繊維断面内でPBTが鞘、PETが芯
となるように、且つ、PET成分が偏芯するように複合
紡糸、熱延伸して単繊維繊度3.0drでK1値が10の
連続フィラメントを得た。この繊維を用いて、熱風処理
温度を160℃、エンボス温度を185℃に変更する以
外は実施例1と同じ条件で処理して高伸縮性を有する長
繊維不織布が得られた。
【0035】比較例 1 実施例 1において、単繊維繊度4.0drでK1値16の
連続繊維を用いる以外は同様にして長繊維不織布を作製
した。得られた長繊維不織布は、風合いがやや固く、嵩
高でコンパクト性が不十分であった。
【0036】比較例 2 実施例 1において、単繊維繊度2.0drでK1値6の連
続繊維を用いる以外は同様にして長繊維不織布を作製し
た。得られた長繊維不織布は、やや伸縮性に劣るもので
あった。
【0037】比較例 3 実施例 3において、ウエブをプレス処理及び熱風処理
を行うことなく直接エンボス接着して長繊維不織布を得
た。得られた不織布は、エンボス点以外においても繊維
同士がほぼ全面にわたって融着しており、捲縮の発現が
不十分でしかも伸縮性に乏しくしかも目付け斑の大きい
ものであった。
【0038】比較例 4 実施例 3において、第一次熱プレス処理を行わない以
外は同様にして長繊維不織布を得た。得られた不織布
は、伸縮性は良好であったがプラスターなどの医療衛生
材の基布として使用するには嵩高でコンパクト性に劣る
ものであった。
【0039】比較例 5 実施例 3において、第一次熱プレス処理を行わず、熱
風処理温度を160℃に下げる以外は同様にして長繊維
不織布を得た。得られた不織布は、全面に厚み斑がみら
れしかも嵩高でコンパクト性に欠けるものであった。
【0040】比較例 6 実施例 3において、エンボス温度を210℃に変更す
る以外は同様にして長繊維不織布を得た。得られた不織
布は、コンパクト性は十分であったが、繊維同士がほぼ
全面にわたって融着しており、伸縮性が不十分であっ
た。
【0041】比較例 7 実施例 3において、圧着面積率11%のエンボスロー
ルを使用する以外は同様にして長繊維不織布を得た。得
られた不織布は、伸縮性は十分であったが、嵩高でプラ
スターなどの医療衛生材の基布として使用するにはコン
パクト性に劣るものであった。
【0042】比較例 8 実施例 3において、圧着面積率26%のエンボスロー
ルを使用する以外は同様にして長繊維不織布を得た。得
られた長繊維不織布は、やや伸縮性に劣るものであっ
た。
【0043】比較例9 実施例3の長繊維を繊維長55mmにカットカードウエブ
とした後実施例1と同様の条件で熱処理して短繊維不織
布を得た。得られた不織布は、伸縮性は十分であった
が、嵩高でプラスターなどの医療衛生材の基布として使
用するにはコンパクト性に劣るものであった。
【0044】
【発明の効果】以上詳細について実施例で説明した様
に、本発明者等の提案する潜在捲縮をもつ繊維より作成
された伸縮性を有する長繊維不織布は、繊維束の開繊、
シート化が比較的簡単な工程を用いることで得ることが
出来る。また、この様にして得られた長繊維不織布は、
シート中で各繊維が実質的に無配向に堆積し、特定方向
の配向がない。このウエッブを熱処理プレス、接着し得
られた不織布は従来の伸縮性の不織布に比べ、タテ/ヨ
コの異方性がなく低応力で伸縮性に優れる。また、薄
く、目付が均一で布中の繊維密度が高く、柔らかい布に
なるという特徴を有する。この様な特徴から医療衛生材
の基布等として用いることができる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−125645(JP,A) 特開 平3−213556(JP,A) 特開 平3−167314(JP,A) 特開 平3−19916(JP,A) 特開 平1−321967(JP,A) 特開 昭63−42954(JP,A) 特開 昭63−12746(JP,A) 特開 平2−139415(JP,A) 特開 平5−59655(JP,A) 特開 平4−136255(JP,A) 特開 平4−2818(JP,A) 特開 平2−200859(JP,A) 特開 平2−191757(JP,A) 特開 平5−78916(JP,A) 特開 平4−327257(JP,A) 特開 平4−327256(JP,A) 特開 平5−263344(JP,A) 特開 平5−195406(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D04H 1/00 - 18/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 融点の異なる2成分のポリマーからなり
    捲縮を有する長繊維が間欠的な領域で低融点成分により
    融着固定されており、見掛密度が0.10g/cm3
    上、タテ、ヨコ方向の50%伸長時強力がいずれも15
    0g/cm以下、かつ50%伸長時の伸長回復率がいずれ
    も50%以上であることを特徴とする長繊維不織布。
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