JP2001254158A - 非晶質Mg−Ni系水素吸蔵合金成形体とその製造方法 - Google Patents
非晶質Mg−Ni系水素吸蔵合金成形体とその製造方法Info
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Abstract
水素の吸蔵量が多く、かつサイクル特性に優れたMg−
Ni系水素吸蔵合金、Mg−Ni系水素吸蔵合金成形体
およびその製造法方法を提供する。 【構成】 原子%による組成が、組成式:Mg100-a-b
NiaPdb(式中、25≦a+b≦40、2≦b≦15
を満足する)により表わされ、50%以上の非晶質相を
含有し、かつ室温における電気化学による10回の充放
電サイクル後の容量が初期容量の90%以上であること
を特徴とする非晶質Mg−Ni系水素吸蔵合金。
Description
-Ni系水素吸蔵合金およびその成形体に関するもので
ある。さらに詳しくは、本発明は、吸放出およびサイク
ル特性の水素吸蔵特性に優れたニッケル-水素電池の負
極活物質として用いられる非晶質Mg-Ni系水素吸蔵
合金に関するものである。
ル)-Ni系、Ti-V系など種々の合金が知られてい
る。特にMm-Ni系およびTi-V系は、電池の電極材
や水素貯蔵用として使用されている。しかし、従来の水
素吸蔵合金は、水素の吸蔵量が少ないため、電池の電極
材においては電池の容量不足を生じ、水素貯蔵用として
は大型な製品となってしまう問題があった。
Ni系水素吸蔵合金が開発されいる。Mg-Ni系水素
吸蔵合金は、従来のMm-Ni系やTi-V系に比べて水
素の吸蔵量が多く、輸送用や貯蔵用の水素吸蔵合金とし
て使用されていたが、水素吸蔵放出温度が高いため、用
途が制限され、特に、水素吸蔵合金の主用途である電池
の電極材として使用することができなかった。
吸蔵放出温度を低下する方法として、メカニカルアロイ
ングにより合金を非晶質にすることにより、室温でも水
素を吸蔵放出が可能なMg-Ni系水素吸蔵合金が開発
され、例えば、特開平11−61313号公報、特開平
11−269572号公報に開示されている。
ロイングにより製造するMg-Ni系水素吸蔵合金は、
80時間以上の混合・合金化を行わなければ非晶質化せ
ず製品にできないことが知られており、生産性に乏しい
という問題点があった。そのため、生産性に優れた非晶
質Mg-Ni系水素吸蔵合金が求められていた。
する非晶質Mg-Ni系水素吸蔵合金は、サイクル特性
が良好ではないという問題もあり、電気化学的な水素の
吸蔵放出を10〜20回行うことによって、20%以上
も吸蔵放出量が激減して、電池の負極材として実用に供
することができないという問題点もあった。特開平11
−329422号公報には、急冷凝固法によって作製し
たMg-Ni-Ca水素吸蔵合金が開示されているが、サ
イクル経過による容量の低下の抑制は十分ではなかっ
た。そのため、サイクル特性に優れた非晶質Mg-Ni
系水素吸蔵合金の開発が求められていた。
現状を鑑みて、生産性に優れ、かつサイクル特性に優れ
た非晶質Mg-Ni系水素吸蔵合金、非晶質Mg-Ni系
水素吸蔵合金成形体およびその製造方法を提供すること
を目的として鋭意検討を行った。
添加し、その組成を限定することによりニッケル-水素
電池の負極として用いて、サイクル特性に優れた非晶質
Mg-Ni系水素吸蔵合金が得られることを見出した。
さらに、作製した非晶質Mg-Ni系水素吸蔵合金粉末
と銅粉を混合することにより放電特性に優れた非晶質M
g-Ni系水素吸蔵合金成形体が得られることを見出し
た。また、非晶質Mg-Ni系水素吸蔵成形体の製造方
法として、溶融合金から急冷を行う方法により作製した
粉末をCu粉末と混合することにより、諸性能に優れた
非晶質Mg-Ni系水素吸蔵成形体が得られることを見
出し本発明を完成するに至った。
による組成が、組成式:Mg100-a-bNiaPdb(式
中、25≦a+b≦40、2≦b≦15を満足する)に
より表わされ、50%以上の非晶質相を含有することを
特徴とする非晶質Mg-Ni系水素吸蔵合金である。
の粉末を重量分率で15%以上35%未満含有し残部C
u粉末からなることを特徴とするMg-Ni系水素吸蔵
合金成形体である。
晶質Mg-Ni系水素吸蔵合金を負極活物質とし、上記
の成形体として用いることを特徴とするニッケル-水素
電池である。
ける電気化学による重放電サイクルの10サイクル目の
容量が初期容量の90%以上であることを特徴とする上
記のニッケル-水素電池である。
り作製した母合金の溶湯を、104K/s以上の冷却速度に
おいて急冷凝固して非晶質合金を作製することを特徴す
る上記の非晶質Mg-Ni系水素吸蔵合金の製造方法で
ある。
法により製造した非晶質合金粉末を銅粉と混合し、成形
加工を行うことを特徴とする非晶質Mg-Ni系水素吸
蔵合金成形体の製造方法である。
子%以上15原子%以下である。Pdが2原子%未満ま
たは15原子%以上であると、水素吸蔵放出量が低下
し、実用に供することができない。NiとPdの元素の
総和は、25原子%以上40原子%以下である。Niと
Pdの総和が25原子%未満または40原子%を超える
と、作製した合金における非晶質相の割合が50%未満
になるとともに、水素吸蔵放出量が低下し、実用に供せ
なくなる。
とは、示差走査熱量計(DSC)を用いて昇温時におけ
る結晶化に伴う発熱量を測定することによって得られる
値であり、作製した合金と非晶質相のみの合金との発熱
量との比によって表わす。本発明の第1の発明におい
て、Mg-Ni系水素吸蔵合金成形体は、50%以上の
非晶質相を含有している必要がある。非晶質相の割合が
50%未満であると、水素吸蔵放出量が低くなり、実用
に供せなくなる。
-Ni系水素吸蔵合金は、ニッケル-水素電池の負極とし
て用いて、常温における電気化学による重放電サイクル
の10サイクル目の容量が初期容量の90%以上であ
り、好ましくは95%以上である。さらに好ましくは、
10の充放電サイクル後の合金1g当たりの水素放出量
が350mAh以上であり、好ましくは400mAh以上であ
る。
水素吸蔵合金は、その製造方法は限定されないが、単ロ
ール法、双ロール法、ガスアトマイズ法および融液抽出
法などの液体急冷法により104 K/s以上の速度により
急冷凝固して作製することが好ましい。従来公知のメカ
ニカルアロイング法によって作製した場合は、電気化学
による10回の充放電サイクル後の容量が初期容量の9
0%未満となるために、本発明の第4の発明のニッケル
-水素電池に用いるMg-Ni系水素吸蔵合金の製造方法
としては適さない。
水素吸蔵合金成形体は、第1の発明の非晶質Mg-Ni
系水素吸蔵合金からなる粉末と銅粉からなる成形体であ
る。非晶質Mg-Ni系水素吸蔵合金と銅粉の混合比
は、重量分率で非晶質Mg-Ni系水素吸蔵合金が15
%以上35%未満である必要がある。15%未満である
と水素吸蔵合金の割合が少ないため水素の吸蔵放出量が
低くなり実用に供せない。また35%以上であるとCu
粉末の集電効果が得られないため水素の吸蔵放出量が低
くなり実用に供せなくなる。Cu粉末は集電効果に悪影
響を及ぼさないその他の元素を含有していてもよい。
Ni系水素吸蔵合金成形体を作製する方法について説明
する。最初に、本発明の第1の発明に記載される組成に
なるように母合金を溶製する。溶製時は、アルゴン等の
不活性雰囲気を充填した溶解炉や反応管中で行うことが
望ましいが、炭酸ガスもしくはArガスと6フッ化硫黄
ガスとの混合ガスを吹き付けて溶解することも可能であ
る。次に、作製した母合金を、再度溶解した後、その溶
湯を104K/s 以上の冷却速度によって急速凝固合金を
作製する。
速に凝固させる方法は、従来公知の単ロール法、双ロー
ル法、ガスアトマイズ法および回転液中噴霧法などの種
々の液体急冷法を用いることができる。本発明において
は、冷却速度の操作が容易な単ロール法を用いることが
好ましい。
金からなる粉末を、銅粉と混合した後、成形加工する。
混合する方法は、特に限定されないが、生産性に優れる
種々の方法を用いることができる。また、成形加工にお
いても、その成形加工方法は限定されないが、錠剤成形
機などの冷間の軸加圧成形や押し出し成形により加工す
ることができる。
が劣化するため、300℃以上の熱間成形は望ましくな
い。Mg-Ni系水素吸蔵合金粉末と銅粉の混合割合
は、Mg-Ni系水素吸蔵合金が重量分率で15%以上
35%未満である。15%未満または35%以上である
と水素の吸放出速度が低下するため、実用に供せなくな
る。
体的に説明する。 実施例1〜4および比較例1〜4 表1に示す各種組成を有する合金を、アルゴン雰囲気中
でBNるつぼを用いて溶製し母合金を作製した後、単ロ
ール法により偏平状の粉末を作製した。単ロール法にお
いては、石英製ノズルを用いて、アルゴン雰囲気下で溶
融した後、孔径0.3mmの石英製ノズルを用い、400
0rpmで回転している直径20cmの銅ロール上に0.3kg
/cm2で噴出し、急速凝固させて幅1mm厚さ20μmの
非晶質合金を作製した。次に、合金を30μm程度の大
きさに粉砕した後、常温にて水素吸蔵量の測定を行っ
た。測定には鈴木商館製のPCT特性測定装置を用いて
5MPaまでの測定を行った。また、水素吸蔵を行った後
の結晶相の析出の有無を判断するため、吸蔵後の試料を
X線回折法による相の同定を行った。
の非晶質Mg-Ni系水素吸蔵合金は、水素吸蔵量が
1.5wt%以上であるのに対して、本発明の組成範囲
から逸脱している比較例1〜4のMg-Ni系合金を重
量分率で15%以上35%未満含有し残部Cu粉末から
なることを特徴とするMg-Ni系水素吸蔵合金は、
0.5wt%以下の水素吸蔵量しか得られず、水素吸蔵
特性に劣っていた。
ボールミル中に装入し、100rpmにて10分間粉砕し
た後、さらに250メッシュの銅粉を重量分率で75%
になるようにボールミル中に投入し、100rpmにて3
0分混合した。さらに、その混合粉末を、錠剤成形器に
より圧力250kg/mmの冷間1軸加圧成形を行い1gの
Mg-Ni系水素吸蔵合金成形体を作製した。この成形
体について電気化学によるサイクル特性試験を行った。
サイクル試験は、6mol/lの水酸化カリウムの電解液中
でアルゴンガスをバブリングしながら充電55 mA/g1
5時間、放電は10mA/gの電流密度により行い、1サイ
クル目の初期容量および10サイクル目の放電容量を求
めた。その結果を表2に示す。
Mg-Ni系水素吸蔵合金を用いた成形体はサイクル特
性に優れており、10サイクル後においても350 mA
h/g以上の値を示し、変化率も90%以上を示す。一
方、本発明の組成範囲から逸脱した水素吸蔵合金を用い
た比較例5は、10サイクル後に50mAh/gしか放電す
ることができず、サイクル特性が不良であった。
に変えた後、実施例5と同様に非晶質Mg-Ni系水素
吸蔵合金成形体を作製し、電気化学による放電量の測定
を行った。放電量の測定は、放電電流密度 20 mA/gに
より、水銀参照電極からの電位が−0.3Vになったとき
の放電量を測定した。その結果を表3に示す。
g-Ni系水素吸蔵合金が、本発明の混合比である実施
例9は、320mAh/gと高い放電量を示すが、混合比
が本発明から逸脱する比較例6および7は、200mA
h/g以下の放電量しか得られず、明らかに放電量が低
い。
1の組成になるように直径10mmのステンレス鋼製のボ
ールとともに、200ccのステンレス鋼製のボールミル
ポットに装入し、ポット内をアルゴン置換した後、回転
数100rpmで5日間ボールミルを行った。この後、ポ
ット内の合金を回収し、実施例5と同様にサイクル測定
を行ったが、10サイクル目の放電容量は80mAh/gで
あり、本発明の非晶質Mg-Ni系水素吸蔵合金成形体
よりサイクル特性に劣っていた。
金、非晶質Mg-Ni系水素吸蔵合金成形体は、水素吸
蔵放出特性に優れ、水素吸蔵合金として種々の分野、特
に電池の電極材として使用することができる。また、従
来のメカニカルアロイング法によらず、連続生産が可能
な単ロール法を用いて非晶質Mg-Ni系水素吸蔵合金
を生産することが可能であり、高効率で非晶質Mg-N
i系水素吸蔵合金およびその成形体を得ることができ
る。
Claims (6)
- 【請求項1】 原子%による組成が、組成式:Mg
100-a-bNiaPdb(式中、25≦a+b≦40、2≦
b≦15を満足する)により表わされ、50%以上の非
晶質相を含有することを特徴とする非晶質Mg-Ni系
水素吸蔵合金。 - 【請求項2】 請求項1記載の合金の粉末を重量分率で
15%以上35%未満含有し残部Cu粉末からなること
を特徴とするMg-Ni系水素吸蔵合金成形体。 - 【請求項3】 請求項1記載の合金を負極活物質とし、
請求項2記載の成形体として用いることを特徴とするニ
ッケル-水素電池。 - 【請求項4】 常温における電気化学による充放電サイ
クルの10サイクル目の容量が初期容量の90%以上で
あることを特徴とする請求項3記載のニッケル-水素電
池。 - 【請求項5】 溶製により作製した母合金の溶湯を、1
04 K/s以上の冷却速度において急冷凝固して非晶質合
金を作製することを特徴する請求項1記載の非晶質Mg
-Ni系水素吸蔵合金の製造方法。 - 【請求項6】 請求項5記載の方法により製造した非晶
質合金粉末を銅粉と混合し、成形加工を行うことを特徴
とする請求項2記載の非晶質Mg-Ni系水素吸蔵合金
成形体の製造方法。
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JP2007071547A (ja) * | 2005-09-02 | 2007-03-22 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | マグネシウム・パラジウム合金薄膜を用いた水素センサ |
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