JP2001253848A - (メタ)アクリル酸の精製方法 - Google Patents

(メタ)アクリル酸の精製方法

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JP2001253848A
JP2001253848A JP2000067310A JP2000067310A JP2001253848A JP 2001253848 A JP2001253848 A JP 2001253848A JP 2000067310 A JP2000067310 A JP 2000067310A JP 2000067310 A JP2000067310 A JP 2000067310A JP 2001253848 A JP2001253848 A JP 2001253848A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】不純物としてアルデヒド類を含有する粗(メ
タ)アクリル酸から、重合物の生成を抑制しつつ、工業
的に簡便かつ安価な方法で、該不純物を効率よく除去す
ることができる、(メタ)アクリル酸の精製方法を提供
する。 【解決手段】不純物としてアルデヒド類を含有する粗
(メタ)アクリル酸にアルデヒド処理剤を作用させるこ
とによりアルデヒド処理を施した後に、蒸留を行う(メ
タ)アクリル酸の精製方法であって、前記アルデヒド処
理剤としてヒドラジン化合物を用い、前記アルデヒド処
理後の残存ヒドラジン化合物の含有量を100重量pp
m以下とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プロピレン、アク
ロレイン、イソブチレンまたはターシャリーブタノール
の気相酸化法によって得られる粗(メタ)アクリル酸中
に不純物として含まれるアルデヒド類を効率良く除去す
ることができる、アクリル酸および/またはメタクリル
酸(以下、(メタ)アクリル酸と称する)の精製方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】プロピレン、アクロレイン、イソブチレ
ンまたはターシャリーブタノールを気相酸化させて(メ
タ)アクリル酸を得る場合、製造工程において、フルフ
ラール、アクロレイン、ベンズアルデヒド等のアルデヒ
ド類やアセトン、アセトニルアセトン等のケトン類が副
次的に生成し、(メタ)アクリル酸中に不純物として含
まれてしまうことが知られている。そして、これらの不
純物は、例えば、(メタ)アクリル酸を吸水性樹脂等の
高分子体の原料として用いた場合に、重合反応時におけ
る反応の遅延、重合度の低下、重合物の着色等の問題を
引き起こす。
【0003】そこで、気相酸化法で得られた粗(メタ)
アクリル酸は、一般に、蒸留等による精製処理を行って
不純物を除去してから、各種用途に利用される。但し、
前記不純物のうち、フルフラール等のアルデヒド類は、
(メタ)アクリルと沸点が近く、蒸留での除去が困難
であるため、蒸留する前に、例えばアミン類やヒドラジ
ン類等のアルデヒド処理剤により薬剤処理を行って高沸
点化させる技術が知られている。このアルデヒド処理剤
による処理においては、アルデヒド類とアルデヒド処理
剤との反応が平衡反応であるために、通常、不純物とし
て存在するアルデヒド類の量に対して過剰のアルデヒド
処理剤が使用される。さらに、蒸留時にアルデヒド類が
平衡により再生することを防止するためには、相当量の
残存アルデヒド処理剤の存在下で蒸留を行わなければな
らない。しかし、余剰のアルデヒド処理剤は、蒸留工程
において(メタ)アクリル酸の重合を引き起こす原因と
なり、ひいては蒸留塔内にポリマーが付着して、リボイ
ラー伝熱面の伝熱性能を低下させたり、蒸留機能を阻害
したり、蒸留塔内で閉塞を起こして運転を停止せざるを
得なくなる等の問題を発生させる。
【0004】そこで、(メタ)アクリル酸の重合を起こ
すことなく、アルデヒド類を効率よく除去することがで
きる精製方法が要望され、種々の方法が提案されてい
る。例えば、特開平9−316027号公報では、粗ア
クリル酸にヒドラジン化合物と硫酸とを添加してから蒸
留する方法が、特開平7−228548号公報では、粗
アクリル酸にヒドラジン化合物とジブチルカルバミン酸
銅とを添加して100℃以下で蒸留する方法が、それぞ
れ提案されている。しかし、これらの方法によれば、ア
ルデヒド処理剤であるヒドラジン化合物に加えて硫酸や
ジブチルカルバミン酸銅を用いており、これらの物質
は、蒸留塔や配管等の装置の内壁を構成する金属を腐食
させるという問題があった。この問題に対処すべく、装
置に耐腐食性の材料を用いたり、耐腐食処理を施したり
することは、装置コストの増大を招き、ひいてはアクリ
ル酸の製造コストを増大させることになるので、工業的
に簡便かつ安価な方法とは言えなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の課題
は、不純物としてアルデヒド類を含有する粗(メタ)ア
クリル酸から、重合物の生成を抑制しつつ、工業的に簡
便かつ安価な方法で、該不純物を効率よく除去すること
ができる、(メタ)アクリル酸の精製方法を提供するこ
とにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記課題を
解決するべく鋭意検討を行った。その結果、アルデヒド
類はヒドラジン化合物と(メタ)アクリル酸中で低温で
一定時間反応させることにより、完全に高沸点化され、
しかも蒸留時に残存ヒドラジン化合物が存在しなくても
アルデヒド類の再生を防止できること、および、ヒドラ
ジン化合物は(メタ)アクリル酸中で熱的に分解され易
く、特に温度が上がるにつれ加速的に分解すること、を
見いだした。これらの知見に基づき、アルデヒド処理の
際に、低温で長時間処理するか、あるいは、初めに低温
で短時間処理させた後に高温で処理することにより、ア
ルデヒド類を完全に高沸点化処理するとともに余剰のヒ
ドラジン化合物を分解させることができ、このようにし
て余剰のヒドラジン化合物を分解させて一定量以下とす
ることによって、アルデヒド類を完全に除去すると同時
に、蒸留工程における重合物の生成を抑制しうることを
見いだし、本発明を完成した。
【0007】すなわち、本発明の(メタ)アクリル酸の
精製方法は、不純物としてアルデヒド類を含有する粗
(メタ)アクリル酸にアルデヒド処理剤を作用させるこ
とによりアルデヒド処理を施した後に、蒸留を行う(メ
タ)アクリル酸の精製方法であって、前記アルデヒド処
理剤としてヒドラジン化合物を用い、前記アルデヒド処
理後の残存ヒドラジン化合物の含有量を100重量pp
m以下とすることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の一形態に
ついて詳しく説明する。本発明において用いられる粗
(メタ)アクリル酸は、プロピレン、アクロレイン、イ
ソブチレンまたはターシャリーブタノールの気相酸化法
による製造工程で得られる(メタ)アクリル酸であり、
製造工程において副生あるいは混入する不純物を含有す
るものである。該不純物とは、例えば、フルフラール、
アクロレイン、ベンズアルデヒド等のアルデヒド類や、
アセトン、アセトニルアセトン等のケトン類等である
が、本発明は、特に、フルフラールやアクロレイン等の
アルデヒド類を不純物として含有する粗(メタ)アクリ
ル酸を効率よく精製するものである。気相酸化法による
(メタ)アクリル酸の製造は、特に制限されるものでは
なく、公知の原料、反応方法、および製造条件によって
行われる。得られる粗(メタ)アクリル酸は、水等の溶
媒に溶解された溶液状態であってもよい。
【0009】本発明においては、前記粗(メタ)アクリ
ル酸を蒸留によって精製する前に、該粗(メタ)アクリ
ル酸にアルデヒド処理剤によるアルデヒド処理を施すの
であるが、該アルデヒド処理剤としてヒドラジン化合物
を用いることが重要である。アルデヒド処理剤としてヒ
ドラジン化合物を用い、該ヒドラジン化合物をアルデヒ
ド類と(メタ)アクリル酸中で反応させることにより、
アルデヒド類を完全に高沸点化させ、しかも蒸留時に残
存ヒドラジン化合物が存在しなくても平衡反応によるア
ルデヒド類の再生を防止することができるのである。前
記ヒドラジン化合物としては、具体的には、例えば、ヒ
ドラジン、ヒドラジンヒドラート(ヒドラジン1水和
物)、フェニルヒドラジン、硫酸ヒドラジン、塩酸ヒド
ラジン等が挙げられる。これらの中でも特に、ヒドラジ
ン、ヒドラジンヒドラートが好ましく、さらに、取扱い
易さの点からはヒドラジンヒドラートが好ましい。な
お、ヒドラジン化合物は、通常、液体として添加される
が、粉体等の固体で添加されてもよい。また、ヒドラジ
ン化合物の添加方法は、特に制限されるものではなく、
例えば、前記粗(メタ)アクリル酸に直接添加する方法
や、適当な溶媒に溶解して添加する方法等が採用され
る。
【0010】本発明において、アルデヒド処理の際のヒ
ドラジン化合物の添加量は、前記粗(メタ)アクリル酸
に含まれるアルデヒド類1モルに対して1.5〜10モ
ルとすることが好ましい。さらに好ましくは、2.0〜
7.0モルとするのがよい。ヒドラジン化合物の添加量
がアルデヒド類1モルに対して1.5モル未満である
と、アルデヒド類の処理が完全に行われず、アルデヒド
類が除去されにくくなる。一方、ヒドラジン化合物の添
加量がアルデヒド類1モルに対して10モルを越える
と、もはやアルデヒド処理に対する効果がさらに向上す
ることはないため経済的に不利となり、しかも過剰のヒ
ドラジン化合物を分解するのに時間がかかることとな
る。
【0011】本発明においては、アルデヒド処理後の残
存ヒドラジン化合物の含有量が100重量ppm以下と
なるようにすることが重要である。好ましくは80重量
ppm以下、さらに好ましくは50重量ppm以下、最
も好ましくは10重量ppm以下とするのがよい。残存
ヒドラジン化合物の含有量を100重量ppm以下にす
ることによって、蒸留工程における重合物の生成を抑制
することができるのである。アルデヒド処理後の残存ヒ
ドラジン化合物の含有量が100重量ppmを越える
と、蒸留工程において装置内に(メタ)アクリル酸の重
合物が付着する等の問題を生じるため、該装置の長期連
続運転が不可能となり、ひいては作業的にも煩雑で、か
つ、(メタ)アクリル酸の精製にかかるコストが増大す
ることとなる。
【0012】本発明において、アルデヒド処理は、50
℃以下(好ましくは0〜50℃、さらに好ましくは20
〜50℃)で処理するか、あるいは、50℃以下(好ま
しくは0〜50℃、さらに好ましくは20〜50℃)で
処理した後、さらに60℃以上(好ましくは60〜10
0℃、さらに好ましくは60〜80℃)で処理すること
が好ましい。処理時間は、ヒドラジン化合物の添加量お
よび処理温度によって適宜決定すればよく、アルデヒド
類が完全に高沸点化処理され、残存ヒドラジン化合物の
含有量が100ppm以下となれば特に限定されるもの
ではないが、50℃以下で処理する場合においては、好
ましくは30分以上、さらに好ましくは1時間以上処理
するのがよい。50℃以下で処理した後、さらに60℃
以上で処理する場合においては、50℃以下で好ましく
は5分以上、さらに好ましくは10分以上処理した後、
60℃以上で好ましくは5分以上、さらに好ましくは1
0分以上処理するのがよい。このように、50℃以下の
低温で長時間処理するか、あるいは、初めに50℃以下
の低温で短時間処理した後に60℃以上の高温で処理す
ることにより、アルデヒド類を完全に高沸点化処理する
とともに、余剰のヒドラジン化合物を分解させて、アル
デヒド処理後の残存ヒドラジン化合物の含有量を100
重量ppm以下とすることができる。なお、アルデヒド
処理は、例えば、粗アクリル酸にヒドラジン化合物を添
加し、上記の処理温度および処理時間になるような滞留
槽を用いて反応させることにより行うことができる。ま
た、アルデヒド処理の際の反応は、バッチ式、連続式の
いずれで行ってもよく、特に制限されないが、工業的に
は連続式で行うのが好ましい。
【0013】本発明においては、蒸留の際に、従来公知
の重合防止剤を添加することもできる。該重合防止剤と
しては、具体的には、例えば、フェノール、ハイドロキ
ノン、メトキノン、カテコール、クレゾール等のフェノ
ール化合物が挙げられる。これらの添加量は、特に制限
されないが、通常、(メタ)アクリル酸に対して10〜
500ppm程度とすることが好ましい。本発明におい
て、蒸留の方法は、特に制限されるものではなく、例え
ば、単蒸留、精密蒸留等の種々の方法を採用することが
できる。該蒸留は、バッチ式、連続式のいずれで行って
もよいが、工業的には、連続式で行うのが好ましい。ま
た、蒸留装置については、特に制限されるものではな
く、腐食対策等を要することなく既存の設備をそのまま
使用することができる。
【0014】蒸留の際の条件については、特に制限され
るものではないが、具体的には、滞留時間が1〜15時
間、蒸留温度が40〜100℃、濃縮倍率が4〜100
倍となるように設定するのがよい。本発明の精製方法で
得られる(メタ)アクリル酸は、好ましくはアルデヒド
類の含有量が10重量ppm以下である。これは、(メ
タ)アクリル酸中においてヒドラジン化合物とアルデヒ
ド類とを反応させて、アルデヒド類を高沸点化させると
同時に、平衡により再び元のアルデヒド類に戻ることを
防止することによりはじめて達成される。このように、
本発明で得られる(メタ)アクリル酸は、不純物である
アルデヒド類の含有量が10重量ppm以下と純度が高
いので、吸水性樹脂等の高分子体の原料として用いた場
合にも、重合反応時における反応の遅延、重合度の低
下、重合物の着色等の問題を引き起こすことなく、各種
用途に有用なものである。
【0015】
【実施例】以下、本発明に係る実施例および比較例につ
いて説明するが、本発明は該実施例により何ら制限され
るものではない。なお、フルフラール、アクロレイン、
および残存ヒドラジン化合物の含有量は、以下の方法に
て測定した。 (フルフラール、アクロレインの含有量)試料をガスク
ロマトグラフィーで分析することにより、定量した。 (残存ヒドラジンの含有量)試料1mlと、0.1重量
%のp−ジメチルアミノベンズアルデヒド溶液(溶媒;
10vol%の塩酸含有エタノール)40mlとを褐色
瓶中で混合し、25℃で10分間放置した後、UV測定
装置を用いて波長458nmでの吸収強度を測定するこ
とにより、定量した。
【0016】〔実施例1〕フルフラール450重量pp
m、アクロレイン50重量ppmを含む粗アクリル酸
に、粗アクリル酸に対して419重量ppm(アルデヒ
ド類1モルに対して1.5モル相当)のヒドラジンヒド
ラート(ヒドラジン1水和物)を添加し、滞留温度が5
0℃、滞留時間が30分になるような滞留槽を用いて連
続抜き出し反応を行うことによりアルデヒド処理を施し
た。このアルデヒド処理後の粗アクリル酸中のヒドラジ
ン濃度を測定したところ、残存ヒドラジンの含有量は1
00重量ppmであった。
【0017】次いで、このアルデヒド処理後の粗アクリ
ル酸を、精製蒸留塔の塔底部に11kg/hrの速度で
供給し、連続操作による蒸留精製を行った。用いた精製
蒸留塔は、段数5段、段間隔147mmのシーブトレー
を備え、さらに、塔頂上部には留出管および還流管を備
え、塔底部には原料供給管および塔底液抜き出し管を備
えたものである。蒸留条件は、塔頂圧55hPa、還流
比0.5、塔頂からの留出量は10kg/hr、塔底か
らの缶出量は1kg/hrとした。なお、蒸留の際に
は、アクリル酸に対して250ppmのメトキシフェノ
ールを重合防止剤として還流液から添加し、かつ、塔底
液中に酸素を吹き込みながら蒸留を行った。
【0018】留出液として得られた精製アクリル酸中の
フルフラールの含有量は0.5重量ppm、アクロレイ
ンの含有量は0.1重量ppm以下であった。また、上
記精製操作を20日間連続稼働にて行った後、精製蒸留
塔を点検したが、塔内のアクリル酸ポリマー等の付着物
は極わずかであった。 〔比較例1〕アルデヒド処理の際の滞留時間が10分に
なるようにした以外は、実施例1と同様にして精製操作
を行った。なお、アルデヒド処理後の粗アクリル酸中の
ヒドラジン濃度を測定したところ、残存ヒドラジンの含
有量は160重量ppmであった。
【0019】留出液として得られた精製アクリル酸中の
フルフラールの含有量は0.5重量ppm、アクロレイ
ンの含有量は0.1重量ppm以下であった。しかし、
上記精製操作を3日間連続稼働にて行うと、精製蒸留塔
内にアクリル酸ポリマー等が付着して、安定運転が困難
となった。 〔比較例2〕アルデヒド処理の際の滞留時間が20分に
なるようにした以外は、実施例1と同様にして精製操作
を行った。なお、アルデヒド処理後の粗アクリル酸中の
ヒドラジン濃度を測定したところ、残存ヒドラジンの含
有量は140重量ppmであった。
【0020】留出液として得られた精製アクリル酸中の
フルフラールの含有量は0.5重量ppm、アクロレイ
ンの含有量は0.1重量ppm以下であった。しかし、
上記精製操作を5日間連続稼働にて行うと、精製蒸留塔
内にアクリル酸ポリマー等が付着して、安定運転が困難
となった。 〔実施例2〕フルフラール450重量ppm、アクロレ
イン50重量ppmを含む粗アクリル酸に、粗アクリル
酸に対して1397重量ppm(アルデヒド類1モルに
対して5モル相当)のヒドラジンヒドラート(ヒドラジ
ン1水和物)を添加し、滞留温度が50℃、滞留時間が
10分になるような第一の滞留槽を用いて連続抜き出し
反応を行い、続いて、滞留温度が60℃、滞留時間が1
0分になるような第二の滞留槽を用いて連続抜き出し反
応を行うことによりアルデヒド処理を施した。このアル
デヒド処理後の粗アクリル酸中のヒドラジン濃度を測定
したところ、残存ヒドラジンの含有量は30重量ppm
であった。
【0021】次いで、このアルデヒド処理後の粗アクリ
ル酸を用い、実施例1と同様にして蒸留精製を行った。
留出液として得られた精製アクリル酸中のフルフラール
の含有量は0.2重量ppm、アクロレインの含有量は
0.1重量ppm以下であった。また、上記精製操作を
20日間連続稼働にて行った後、精製蒸留塔を点検した
が、塔内にアクリル酸ポリマー等の付着物は認められな
かった。 〔実施例3〕第一の滞留槽の滞留時間が5分、第二の滞
留槽の滞留時間が5分になるようにした以外は、実施例
2と同様にして精製操作を行った。なお、アルデヒド処
理後の粗アクリル酸中のヒドラジン濃度を測定したとこ
ろ、残存ヒドラジンの含有量は70重量ppmであっ
た。
【0022】留出液として得られた精製アクリル酸中の
フルフラールの含有量は1.0重量ppm、アクロレイ
ンの含有量は0.1重量ppmであった。また、上記精
製操作を20日間連続稼働にて行った後、精製蒸留塔を
点検したが、塔内にアクリル酸ポリマー等の付着物は認
められなかった。 〔実施例4〕ヒドラジンヒドラート(ヒドラジン1水和
物)の添加量を、粗アクリル酸に対して1955重量p
pm(アルデヒド類1モルに対して7モル相当)とした
以外は、実施例2と同様にして精製操作を行った。な
お、アルデヒド処理後の粗アクリル酸中のヒドラジン濃
度を測定したところ、残存ヒドラジンの含有量は50重
量ppmであった。
【0023】留出液として得られた精製アクリル酸中の
フルフラールの含有量は0.1重量ppm、アクロレイ
ンの含有量は0.1重量ppm以下であった。また、上
記精製操作を20日間連続稼働にて行った後、精製蒸留
塔を点検したが、塔内にアクリル酸ポリマー等の付着物
は認められなかった。 〔実施例5〕ヒドラジンヒドラート(ヒドラジン1水和
物)の添加量を、粗アクリル酸に対して2515重量p
pm(アルデヒド類1モルに対して9モル相当)とし、
滞留温度が50℃、滞留時間が10分になるような第一
の滞留槽を用いて連続抜き出し反応を行い、続いて、滞
留温度が60℃、滞留時間が30分になるような第二の
滞留槽を用いて連続抜き出し反応を行ったこと以外は、
実施例2と同様にして精製操作を行った。なお、アルデ
ヒド処理後の粗アクリル酸中のヒドラジン濃度を測定し
たところ、残存ヒドラジンの含有量は80重量ppmで
あった。
【0024】留出液として得られた精製アクリル酸中の
フルフラールの含有量は0.1重量ppm以下、アクロ
レインの含有量は0.1重量ppm以下であった。ま
た、上記精製操作を20日間連続稼働にて行った後、精
製蒸留塔を点検したが、塔内にアクリル酸ポリマー等の
付着物は認められなかった。 〔実施例6〕アセトニルアセトン210重量ppmを含
む粗メタクリル酸に、粗メタクリル酸に対して460重
量ppm(アルデヒド類1モルに対して5.0モル相
当)のヒドラジンヒドラート(ヒドラジン1水和物)を
添加し、滞留温度が50℃、滞留時間が1時間になるよ
うな滞留槽を用いて連続抜き出し反応を行うことにより
アルデヒド処理を施した。このアルデヒド処理後の粗メ
タクリル酸中のヒドラジン濃度を測定したところ、残存
ヒドラジンの含有量は75重量ppmであった。
【0025】次いで、このアルデヒド処理後の粗メタク
リル酸を、実施例1と同様の精製蒸留塔の塔底部に11
kg/hrの速度で供給し、連続操作による蒸留精製を
行った。蒸留条件は、塔頂圧45hPa、還流比2.
0、塔頂からの留出量は10kg/hr、塔底からの缶
出量は1kg/hrとした。なお、蒸留の際には、メタ
クリル酸に対して250ppmのメトキシフェノールを
重合防止剤として還流液から添加し、かつ、塔底液中に
酸素を吹き込みながら蒸留を行った。留出液として得ら
れた精製メタクリル酸中のアセトニルアセトンの含有量
は0.1重量ppm以下であった。また、上記精製操作
を20日間連続稼働にて行った後、精製蒸留塔を点検し
たが、塔内にメタクリル酸ポリマー等の付着物は認めら
れなかった。
【0026】〔比較例3〕アルデヒド処理の際の滞留時
間が10分になるようにした以外は、実施例6と同様に
して精製操作を行った。なお、アルデヒド処理後の粗メ
タクリル酸中のヒドラジン濃度を測定したところ、残存
ヒドラジンの含有量は190重量ppmであった。留出
液として得られた精製メタクリル酸中のアセトニルアセ
トンの含有量は0.1重量ppm以下であった。しか
し、上記精製操作を10日間連続稼働にて行うと、精製
蒸留塔内にメタクリル酸ポリマー等が付着して、安定運
転が困難となった。
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、不純物としてアルデヒ
ド類を含有する粗(メタ)アクリル酸から、重合物の生
成を抑制しつつ、工業的に簡便かつ安価な方法で、該不
純物を効率よく除去することができる。また、重合物の
生成を抑制できることから、蒸留の際、装置内に重合物
が付着する等の問題を生じることなく、長期に渡り連続
して該装置を運転することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂元 一彦 兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992番地の 1 株式会社日本触媒内 (72)発明者 中原 整 兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992番地の 1 株式会社日本触媒内 (72)発明者 上岡 正敏 兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992番地の 1 株式会社日本触媒内 Fターム(参考) 4H006 AA02 AD11 AD30 BC50 BC51 BE27 BS10

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】不純物としてアルデヒド類を含有する粗
    (メタ)アクリル酸にアルデヒド処理剤を作用させるこ
    とによりアルデヒド処理を施した後に、蒸留を行う(メ
    タ)アクリル酸の精製方法であって、前記アルデヒド処
    理剤としてヒドラジン化合物を用い、前記アルデヒド処
    理後の残存ヒドラジン化合物の含有量を100重量pp
    m以下とすることを特徴とする(メタ)アクリル酸の精
    製方法。
  2. 【請求項2】前記アルデヒド処理で作用させるヒドラジ
    ン化合物の添加量を、前記粗(メタ)アクリル酸に含ま
    れるアルデヒド類1モルに対して1.5〜10モルと
    し、かつ、前記アルデヒド処理を、50℃以下で処理す
    ることにより行う、請求項1に記載の(メタ)アクリル
    酸の精製方法。
  3. 【請求項3】前記アルデヒド処理で作用させるヒドラジ
    ン化合物の添加量を、前記粗(メタ)アクリル酸に含ま
    れるアルデヒド類1モルに対して1.5〜10モルと
    し、かつ、前記アルデヒド処理を、50℃以下で処理し
    た後、さらに60℃以上で処理することにより行う、請
    求項1に記載の(メタ)アクリル酸の精製方法。
  4. 【請求項4】アルデヒド類の含有量が10重量ppm以
    下である(メタ)アクリル酸を得る、請求項1から3ま
    でのいずれかに記載の(メタ)アクリル酸の精製方法。
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