JP4542214B2 - アクリル酸の精製方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アクリル酸の精製方法に関し、詳しくは、気相接触酸化法で得られた粗アクリル酸を精製して高純度のアクリル酸を製造する方法を対象にしている。
【0002】
【従来の技術】
アクリル酸の製造方法として、プロピレンを気相酸化させてアクリル酸を得る方法が知られており、工業的に最も好ましい方法として広く普及している。
この気相酸化法もしくは気相接触酸化法では、製造工程において、アクロレイン、フルフラール、ベンズアルデヒド等のアルデヒド類やアセトン等のケトン類その他の成分が副次的に生成し、アクリル酸に不純物として含まれてしまう。
【0003】
これらの不純物は、アクリル酸を吸水性樹脂などの高分子体の原料として用いたときに、重合反応時における反応の遅延、重合度の低下、重合物の着色などの問題を引き起こす。
そこで、気相酸化法で得られた粗アクリル酸は、蒸留などによる精製処理を行って、不純物を除去してから各種用途に利用される。
【0004】
但し、不純物のうち、フルフラールなどのアルデヒド類は、通常の蒸留処理だけでは除去が困難である。フルフラールは蒸留時にアクリル酸とともに蒸発して留出されてしまうため、アクリル酸と分離され難いのである。この問題を解決するため、アクリル酸を蒸留する前にアルデヒド処理剤を添加しておく技術が知られている。フルフラール等とアルデヒド処理剤との反応生成物は、蒸留によってアクリル酸と確実に分離させて除去することが可能である。
【0005】
ところが、フルフラールなどのアルデヒド類とアルデヒド処理剤との反応生成物は、蒸留処理中における加熱昇温によって分解してしまい、元のアルデヒド類に戻ってしまうという問題がある。この問題を解決するために、不純物として存在するアルデヒド類の量に対して過剰のアルデヒド処理剤、例えば、アルデヒド類の合計モル数に対して10モル倍程度のアルデヒド処理剤を添加しておくという方法が採用されている。余分に添加されたアルデヒド処理剤が、分解して元に戻ったアルデヒド類と再び反応して、アクリル酸と分離し易い反応生成物にすることができる。
【0006】
しかし、過剰のアルデヒド処理剤を添加すると、アルデヒド処理剤がアクリル酸の重合を引き起こすという別の問題が発生する。重合したアクリル酸は、蒸留塔の内壁に付着して、リボイラー伝熱面の伝熱性能を低下したり、蒸留機能を損なったり、蒸留塔内で閉塞を起こして運転停止などの問題を発生させることもある。
【0007】
そこで、アクリル酸の重合を起こすことなくアルデヒド類などの除去を効率的に行える方法が要望され、種々の方法が提案されている。
例えば、特開平9−316027号公報では、粗アクリル酸にヒドラジン化合物および硫酸を添加してから蒸留する技術が示されている。特開平7−228548号公報では、粗アクリル酸にヒドラジン化合物とジブチルカルバミン酸銅を添加して100℃以下で蒸留する技術が示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前記先行技術では、アルデヒド処理剤であるヒドラジン化合物に加えて硫酸やジブチルカルバミン酸銅などを用いており、これらの物質は、蒸留塔や配管などの処理装置の内壁を構成する金属を腐食させるという問題がある。装置に耐腐食性の材料を用いたり耐腐食処理を施したりすることは、装置コストの増大を招き、ひいてはアクリル酸の製造コストを増大させることになる。
【0009】
また、硫酸やジブチルカルバミン酸銅を用いても、ヒドラジン化合物の添加量を削減できず、アクリル酸の重合を防止する効果も乏しい。例えば、特開平7−228548号公報の技術では、ヒドラジン化合物を従来と同様に10モル倍程度の大過剰量で使用している。ジブチルカルバミン酸銅は気化し難いため、アクリル酸の重合防止にはあまり効果がないものと推定できる。本発明者らが、特開平9−316027号公報の技術を追試してみたところ、明確な効果を認めることはできなかった。
【0010】
このように従来の技術では、ヒドラジン化合物の添加量を多くしなければならず、蒸留塔における重合物の生成を防ぐことができなかった。
本発明の課題は、上記従来技術の問題点を解消し、気相接触酸化法で得られた粗アクリル酸から、重合物の生成を抑制しつつアルデヒド類等の不純物を効率的に除去して、高純度のアクリル酸を得ることである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかるアクリル酸の精製方法は、気相接触酸化法で得られた粗アクリル酸から高純度のアクリル酸を得る方法であって、下記の工程(a) 〜(c) を含む。
工程(a) :粗アクリル酸にアルデヒド処理剤を添加する。
【0012】
工程(b) :工程(a) で得られた添加液を第1蒸留塔に供給して塔底での処理液温度50〜70℃の処理条件で粗アクリル酸を蒸留し、第1蒸留塔の塔頂側から留出するアクリル酸を回収し、第1蒸留塔の塔底側からアクリル酸を含有する残存液を取り出す。
工程(c) :工程(b) で取り出された残存液を第2蒸留塔に供給して塔底での処理液温度80〜100℃の処理条件で残存液を蒸留し、第2蒸留塔の塔頂側から留出するアクリル酸を回収し、第2蒸留塔の塔底側から排液を排出させる。
〔粗アクリル酸〕
気相接触酸化法を適用して、通常の製造工程で得られたアクリル酸であり、製造工程で不可避的に生成されたり混入したりする不純物を含んでいる。
【0013】
気相接触酸化法によるアクリル酸の製造は、既知の原料、反応方法および製造条件が採用できる。製造されたアクリル酸は、水などの溶媒に溶解された溶液状態で得られる。アクリル酸溶液には、アクリル酸のほかに、アクロレイン、フルフラール、ベンズアルデヒド等のアルデヒド類、アセトン等のケトン類、その他の不純物が含まれる。
〔アルデヒド処理剤:工程(a) 〕
アルデヒド処理剤は、粗アクリル酸に含まれる不純物のうち、特にアルデヒド類の除去に有効な化合物を含む薬剤である。除去の対象とする不純物に合わせて適切な成分を含む処理剤を用いることができる。アルデヒド処理剤は、通常、液体で添加されるが粉体などの固体で添加される場合もある。
【0014】
具体的には、ヒドラジンヒドラート、フェニルヒドラジン、硫酸ヒドラジン、塩酸ヒドラジン等のヒドラジン化合物が、フルフラールなどの除去に有効であり、好ましい材料となる。
アルデヒド処理剤の添加量は、粗アクリル酸に含まれる不純物であるアルデヒド類の合計モル数に対して1.0〜8.0モル倍に設定することができる。好ましくは、1.5〜6.0モル倍、さらに好ましくは2.5〜4.0モル倍に設定する。本発明では、蒸留工程を2段階で行うため、アルデヒド処理剤の添加量を比較的に少なくしておいてもアルデヒド類の除去を十分に行うことができ、何れの段階の蒸留工程でもアクリル酸の重合が起こり難くなる。但し、アルデヒド処理剤の添加量が少な過ぎると、アルデヒド類の除去が十分に行えない。
【0015】
粗アクリル酸へのアルデヒド処理剤の添加は、粗アクリル酸が製造されてから第1蒸留塔で蒸留されるまでの何れかの段階で行えばよい。粗アクリル酸とアルデヒド処理剤を混合してから第1蒸留塔に送り込んでもよいし、粗アクリル酸とアルデヒド処理剤とを別々に第1蒸留塔に送り込むこともできる。
〔第1蒸留塔:工程(b) 〕
蒸留塔は、塔内に供給された溶液を加熱し、蒸発した成分を塔頂側から留出させて回収することができれば、通常の蒸留処理あるいは精留処理、濃縮処理、分離処理などに利用されている塔状の処理装置と同様の構造を有するものが用いられる。
【0016】
蒸留塔には、処理溶液の供給機構、加熱機構、攪拌機構、蒸発成分の液化機構、蒸発成分が留出したあとに残存した溶液の取り出し機構など、通常の蒸留塔と同様の構造を備えている。
第1蒸留塔では、粗アクリル酸を含む溶液を加熱し、蒸発したアクリル酸を塔頂側から留出させて回収する。粗アクリル酸を含む溶液には、アルデヒド処理剤が添加されているので、溶液中に含まれる不純物のうちのアルデヒド類は、アルデヒド処理剤と反応して不揮発化し、アクリル酸と分離される。留出したアクリル酸は、不純物の含有量が極めて少なく、実質的に不純物を含まないと言える高純度のアクリル酸である。
【0017】
第1蒸留塔の塔底側には、アクリル酸が留出したあとに残った溶液すなわち残存液が溜まる。残存液には、粗アクリル酸溶液に含まれていた成分のうち、留出されなかったアクリル酸が残る。不純物も残っている。アルデヒド処理剤とアルデヒド類との反応生成物が含まれる。さらに、未反応のアルデヒド処理剤が含まれる可能性もある。
【0018】
この残存液は、第1蒸留塔の塔底側から取り出されて、第2蒸留塔に送られる。
第1蒸留塔における処理条件としては、アクリル酸の留出が効率的に行えるように設定すればよい。具体的には、粗アクリル酸を含む溶液の塔底における温度を50℃から70℃に設定し、塔底における処理液の滞留時間を1時間から2時間、濃縮倍率を4倍から25倍に設定するのが好ましい。濃縮倍率は、第1蒸留塔に供給された粗アクリル酸を含む溶液の量と、塔底側から取り出される残存液の量との比で表す。
【0019】
溶液温度を比較的に低く設定したり、処理液の滞留時間短くすることで、アクリル酸の重合が起こり難くなる。アルデヒド類とアルデヒド処理剤との反応生成物が分解することも少なくなる。
濃縮倍率が比較的に小さければ、留出されたアクリル酸に不純物が含まれる可能性は少なくなる。但し、残存液には、留出されなかったアクリル酸がかなり含まれることになる。
【0020】
上記した以外の処理条件は、通常の蒸留技術を適宜に組み合わせることができる。例えば、各種の安定剤を用いることができる。
〔第2蒸留塔:工程(c) 〕
蒸留塔の基本的構造は、前記した第1蒸留塔と同じで良い。また、分解蒸留装置を用いることもできる。分解蒸留装置は、アクリル酸の2量体を分解しアクリル酸として回収する装置である。分解蒸留装置の具体的構造は、通常のアクリル酸製造に用いられているものと同様で良い。例えば、熱分解槽と薄膜蒸発器を備えた蒸留塔が使用できる。
【0021】
第2蒸留塔には、第1蒸留塔から取り出された残存液が供給される。残存液は加熱され、蒸発したアクリル酸を塔頂側から留出させて回収する。
残存液に、第1蒸留塔の工程(b) では反応しなかったアルデヒド処理剤およびアルデヒド類、一旦反応した後で分解したアルデヒド類が含まれている場合には、第2蒸留塔で反応して反応生成物ができ、アクリル酸と分離される。
【0022】
回収された留出液が、アクリル酸を高純度で含み、不純物の含有量が規定値以下であれば、そのまま、前記第1蒸留塔の工程(b) で得られたアクリル酸ととも高純度の精製アクリル酸として利用できる。
留出液が、アクリル酸に加えて、アルデヒド類などの揮発性の不純物成分も含んでいる場合は、留出液を、前記第1蒸留塔に送り返して、もう一度、工程(b) から繰り返すことができる。
【0023】
第2蒸留塔の塔底側からは、不純物や使用済のアルデヒド処理剤などを含む廃液が排出される。廃液は、そのまま廃棄されたり、廃液中の有効成分を回収して再利用したりすることができる。
第2蒸留塔における処理条件としては、アクリル酸の留出が効率的に行えるように設定すればよい。具体的には、残存液の塔底における温度を80℃から100℃に設定し、塔底における処理液の滞留時間を10時間から20時間、濃縮倍率を10倍から30倍に設定するのが好ましい。
【0024】
第1蒸留塔の工程(b) よりも温度を高く、滞留時間を長く、濃縮倍率を大きくすることで、残存液に含まれるアクリル酸を効率的に留出させて回収することができる。また、残存液に含まれるアクリル酸および未反応のアルデヒド処理剤の量は何れも少なくなっているので、第1蒸留塔の工程(b) よりも温度が高くてもアクリル酸の重合は起こり難い。但し、従来のように、1回の蒸留工程だけでアクリル酸を精製する場合に比べると、低い温度、短い滞留時間、小さな濃縮倍率で、十分な量のアクリル酸を回収することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
図1に示す実施形態は、本発明を実施する装置の配置構造と処理の流れを示している。図の左側から右側へと基本的な処理が進む。
第1蒸留塔10の塔下部には、溶液状態の粗アクリル酸11が供給される。第1蒸留塔10に供給される前の粗アクリル酸11には、アルデヒド処理剤12が添加される。第1蒸留塔10の塔内で、アルデヒド処理剤12を含む粗アクリル酸11が加熱される。アルデヒド処理剤12は、粗アクリル酸11に含まれる不純物であるアルデヒド類と反応する。反応生成物はアクリル酸と分離され易い。
粗アクリル酸11に含まれるアクリル酸が蒸発し、塔頂側で液化して留出し、精製アクリル酸21として回収される。第1蒸留塔10の塔底からは、アクリル酸が留出したあとの残存液22が取り出される。
【0026】
第2蒸留塔20の塔下部に、残存液22が供給される。残存液22は、塔内で加熱される。残存液22中のアクリル酸が蒸発し、塔頂側で液化して留出し、アクリル酸31として取り出される。アクリル酸31は、前記した粗アクリル酸11に加えられて、再び第1蒸留塔10に送られる。したがって、第1蒸留塔10には、粗アクリル酸11、第2蒸留塔20から戻ったアクリル酸31およびアルデヒド処理剤12の混合液が供給されることになる。
【0027】
第2蒸留塔20の塔底からは、アクリル酸を取り出したあとの廃液32が排出される。
【0028】
【実施例】
本発明の方法でアクリル酸の精製を行った具体例を比較例とともに説明する。
〔実施例1〕
プロピレンを原料にして、通常の気相接触酸化法を用いて、粗アクリル酸を得た。粗アクリル酸には、不純物としてフルフラール150ppm が含まれていた。
【0029】
アルデヒド処理剤としてヒドラジンヒドラートを用いた。粗アクリル酸に含まれるフルフラールのモル数に対して2.5モル倍になるように粗アクリル酸に添加する。また、重合防止剤としてメトキノンを用い、各蒸留塔に導入される原料液量に対して10ppm を還流液に溶かして塔頂より塔内に導入した。さらに、酸素ガスを塔底から各蒸留塔の留出アクリル酸に対して0.3容量%の割合で投入した。
【0030】
図1に示す配置構造の装置を用いた。塔内に充填物を備えたアクリル酸精製用の蒸留塔に、アルデヒド処理剤が添加された粗アクリル酸を連続導入した。第1蒸留塔での塔底液温度を60℃、塔底釜での液の滞留時間を1.5時間に設定し、導入した粗アクリル酸の80%を連続的に留出させた。なお、留出液の一部を還流液として塔頂より塔内に導入した。各蒸留塔における還流比は、何れも0.3であった。
【0031】
次いで、第1蒸留塔の塔底から取り出した残存液を連続的に、第2蒸留塔に導入した。第2蒸留塔での塔底液温度90℃、塔底釜での液の滞留時間を15時間に設定した。残存液の96.7%を連続的に留出させた。留出液は、第1蒸留塔に供給される粗アクリル酸に加えた。
定常状態において、第1蒸留塔の塔頂から得られる精製アクリル酸中の不純物であるフルフラールは1ppm 以下であった。
【0032】
2日間の運転の後、室温にて最小圧力5×10-4Torrの真空ポンプで塔下部より24時間吸引して塔内を乾燥してから、塔内に発生したポリマーの重量を測定して、重合防止効果を評価した。本実験におけるポリマー重量測定結果は0.0gであり、重合物の生成は認められなかった。
〔比較例1〕
実施例1と同じ粗アクリル酸を用いた。実施例1と同じアルデヒド処理剤を同じ量で粗アクリル酸に添加した。
【0033】
アルデヒド処理剤を含む粗アクリル酸を、実施例1の第1蒸留塔と同じ構造を有する単独の蒸留塔に連続導入した。蒸留塔での塔底液温度90℃、塔底釜での液の滞留時間を30時間に設定し、導入した粗アクリル酸の99%を連続的に留出させた。
定常状態において、蒸留塔の塔頂から得られる精製アクリル酸中のフルフラールは30ppm であった。
〔比較例2〕
実施例1と同じ粗アクリル酸に、実施例1と同じアルデヒド処理剤を添加した。但し、添加量は10モル倍であった。
【0034】
アルデヒド処理剤を含む粗アクリル酸を、実施例1の第1蒸留塔と同じ構造を有する単独の蒸留塔に連続導入した。蒸留塔での塔底液温度90℃、塔底釜での液の滞留時間を30時間に設定し、導入した粗アクリル酸の99%を連続的に留出させた。
定常状態において、蒸留塔の塔頂から得られる精製アクリル酸中のフルフラールは1ppm 以下であったが、運転開始より12時間後に塔内でフラッディングが起こり運転の継続が不可能になった。直ちに運転を停止し実施例1と同様にして塔内に発生したポリマーの重量を測定したところ、35gのポリマー発生が認められた。
【0035】
【発明の効果】
本発明にかかるアクリル酸の精製方法は、アルデヒド処理剤を添加された粗アクリル酸を、第1蒸留塔と第2蒸留塔とを用いて2段階で蒸留することにより、高純度のアクリル酸を効率的に得ることができる。しかも、蒸留塔内などでアクリル酸の重合物が発生することを防止できるので、重合物を除去する手間がかからない。腐食性の薬剤を使用しないので、装置構造に高い耐腐食性を要求されない。
【0036】
その結果、比較的に簡単な構造の装置で、アクリル酸の精製を能率的に行えることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態を表す処理装置の配置構造図
【符号の説明】
10 第1蒸留塔
11 粗アクリル酸
12 アルデヒド処理剤
20 第2蒸留塔
21 精製アクリル酸
22 残存液
31 アクリル酸
32 廃液

Claims (5)

  1. 気相接触酸化法で得られた粗アクリル酸から高純度のアクリル酸を得る方法であって、
    前記粗アクリル酸にアルデヒド処理剤を添加する工程(a) と、
    工程(a) で得られた添加液を第1蒸留塔に供給して塔底での処理液温度50〜70℃の処理条件で粗アクリル酸を蒸留し、第1蒸留塔の塔頂側から留出するアクリル酸を回収し、第1蒸留塔の塔底側からアクリル酸を含有する残存液を取り出す工程(b) と、
    工程(b) で取り出された残存液を第2蒸留塔に供給して塔底での処理液温度80〜100℃の処理条件で残存液を蒸留し、第2蒸留塔の塔頂側から留出するアクリル酸を回収し、第2蒸留塔の塔底側から排液を排出させる工程(c) と
    を含むアクリル酸の精製方法。
  2. 前記工程(c) で回収されたアクリル酸を第1蒸留塔に供給する工程(d) をさらに含む請求項1に記載のアクリル酸の精製方法。
  3. 前記工程(a) では、アルデヒド処理剤としてヒドラジン化合物を用いる請求項1または2に記載のアクリル酸の精製方法。
  4. 前記第1蒸留塔における処理条件は、処理液の滞留時間が1〜2時間、処理液の濃縮倍率が4〜25倍であり、前記第2蒸留塔における処理条件は、処理液の滞留時間が10〜20時間、処理液の濃縮倍率が1030倍である請求項1からまでいずれかに記載のアクリル酸の精製方法。
  5. 前記工程(a) では、粗アクリル酸中に含まれるアルデヒド類の合計モル数に対して1.0〜8.0モル倍のヒドラジン化合物を添加するようにする、請求項3または4に記載のアクリル酸の精製方法。
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