JP2001252965A - 熱可塑性樹脂シートの製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂シートの製造方法

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JP2001252965A
JP2001252965A JP2000068422A JP2000068422A JP2001252965A JP 2001252965 A JP2001252965 A JP 2001252965A JP 2000068422 A JP2000068422 A JP 2000068422A JP 2000068422 A JP2000068422 A JP 2000068422A JP 2001252965 A JP2001252965 A JP 2001252965A
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thermoplastic resin
tape
resin sheet
sheet
shaped electrode
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Masaaki Kotoura
正晃 琴浦
Satoshi Miyata
聡 宮田
Katsuya Toyoda
勝也 豊田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】テープ電極を用いた静電印加キャスト法におい
て、長時間安定して、印加ムラ欠点のない熱可塑性樹脂
シートの製造方法を提供すること。 【解決手段】熱可塑性樹脂を口金からシート状に押し出
し、静電印加キャスト法にて冷却ドラム上に密着せし
め、シートを冷却、固化して成形するに際し、断面が矩
形で長手方向に一様な形態を有する、ニッケルを10重
量%以上含有するステンレス鋼からなるテープ状電極を
用いて静電印加するように構成した熱可塑性樹脂シート
の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性樹脂シー
トの製造方法に関し、特に静電印加キャスト法を用いて
シートを成形するに際し、長時間安定して、シートに欠
点を生じさせずに成形速度を大幅に増加させることが可
能な熱可塑性樹脂シートの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】溶融熱可塑性樹脂を口金から冷却ドラム
上にシート状に押し出し、冷却ドラム上で、冷却、固化
させて熱可塑性樹脂シートを成形する際に、シート状溶
融樹脂を冷却ドラムの表面に密着させ、望ましい表面形
態に成形するとともに成形速度を増加させる手法とし
て、シート状溶融樹脂に静電荷を付与する静電印加キャ
スト法が有効であることは良く知られている(例えば、
特公昭37−6142号公報、特公昭49−55759
号公報)。この方法は通常、静電印加キャスト法と呼ば
れている。米国特許第3223757号明細書には、細
いワイヤー、ナイフエッジまたは1組の探針からなる静
電荷析出用電極を用いた静電束縛方法及び装置が記載さ
れている。
【0003】このような静電印加キャスト法において
は、樹脂シートの冷却ドラムへの密着性を高めるために
は、シートに付与する静電荷量を大きくしたりその密度
を高めることが有効である。しかし、静電荷量をあまり
大きくすると、つまり、静電荷を付与する電極の電圧を
高くしすぎると、電極から冷却ドラムの放電が生じ、樹
脂シートにピンホール等の欠点が生じるため、シート厚
みにもよるが、電極の電圧増大には限界がある。通常
は、電極から冷却ドラムに放電が起きない条件で使用す
る。ここで、ワイヤーよりも静電荷量を多くする方法と
してテープ状電極を用いる方法がある。しかしながら、
テープ状電極を長時間使用していると、(1)電極の劣化
や、(2)熱可塑性樹脂からのオリゴマーの付着によっ
て、異常放電が起こり樹脂シートに印加ムラが生じると
いう問題が生じる。
【0004】この印加ムラは、フィルムの品質、特に厚
み精度を悪化させる原因となり、さらにフィルム破断の
要因ともなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の課題
は、テープ電極を用いた静電印加キャスト法において、
長時間安定して、印加ムラ欠点のない熱可塑性樹脂シー
トの製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明の熱可塑性樹脂シートの製造方法は、熱可塑性樹脂を
口金からシート状に押し出し、静電印加キャスト法にて
冷却ドラム上に密着せしめ、シートを冷却、固化して成
形するに際し、断面が矩形で長手方向に一様な形態を有
する、ニッケルを10重量%以上含有するステンレス鋼
からなるテープ状電極を用いて静電印加するように構成
したことを特徴とする熱可塑性樹脂シートの製造方法で
ある。
【0007】すなわち、本発明に係る製造方法において
は、テープ状電極にニッケルを10重量%以上含有する
ステンレス鋼からなるテープを用いることにより、長時
間、異常放電がなく安定して印加ムラ欠点のない熱可塑
性樹脂シートを製造することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】本発明に係る熱可塑性樹脂シートの製造方
法では、成形される樹脂の種類は、熱可塑性樹脂を対象
とする。熱硬化性樹脂等では、静電印加キャスト法を適
用しにくく、適用したとしてもその効果はもともと小さ
い。
【0010】本発明における熱可塑性樹脂は、芳香族ジ
カルボン酸、脂環族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボ
ン酸とジオールを主たる構成成分とするポリエステルで
ある。芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、テレ
フタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレ
ンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、
2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニ
ルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエ−テルジカル
ボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸な
どを用いることができ、なかでも好ましくは、テレフタ
ル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸を用
いることができる。脂環族ジカルボン酸成分としては例
えば、シクロヘキサンジカルボン酸などを用いることが
できる。脂肪族ジカルボン酸成分としては、例えば、ア
ジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸
などを用いることができる。これらの酸成分は1種のみ
用いてもよく、2種以上併用してもよく、さらには、ヒ
ドロキシエトキシ安息香酸などのオキシ酸などを一部共
重合してもよい。
【0011】また、ジオール成分としては、例えば、エ
チレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3
−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3
−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−
ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2
−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサ
ンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノー
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
ポリアルキレングリコール、2,2’−ビス(4’−β
−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパンなどを用いる
ことができ、なかでも好ましくは、エチレングリコー
ル、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサン
ジメタノール、ジエチレングリコールなどを用いること
ができ、特に好ましくは、エチレングリコールなどを用
いることができる。これらのジオール成分は1種のみ用
いてもよく、2種以上併用してもよい。また、ポリエス
テルにはトリメリット酸、ピロメリット酸、グリセロー
ル、ペンタエリスリトール、2,4−ジオキシ安息香
酸、ラウリルアルコール、イソシアン酸フェニルなどの
単官能化合物などの他の化合物を、ポリマーが実質的に
線状である範囲内で共重合されていてもよい。
【0012】もちろん、これらの熱可塑性樹脂には必要
に応じて、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収
剤、帯電防止剤、顔料、染料、脂肪酸エステル、ワック
スなどの有機滑剤、あるいは消泡剤を配合することがで
きる。また、クレー、マイカ、酸化チタン、炭酸カルシ
ウム、カリオン、タルク、湿式または乾式シリカ、コロ
イド状シリカ、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、アル
ミナ、ジルコニアなどの無機粒子、アクリル酸類、スチ
レンなどを構成成分とする有機粒子などを配合したり、
ポリエステル重合反応時に添加する触媒などによって析
出する、いわゆる内部粒子を含有せしめたり、界面活性
剤を配合したりすることができる。
【0013】本発明は、上記した熱可塑性樹脂の中で
も、主にポリエチレンテレフタレートに有効である。特
に限定されないが、該ポリエステルを70モル%以上含
むポリエステルであれば効果は大きい。なお、上記ポリ
エステルは単一のものでもよいし、共重合体であっても
よいし、また他の成分を、例えば30モル%未満などの
適宜の割合で単に混合したものでもよい。
【0014】また、口金から押し出される溶融樹脂シー
トは、上記熱可塑性樹脂が単層でも、多層に積層された
ものであってもよい。
【0015】本発明において、熱可塑性樹脂の溶融手
段、口金は、従来知られているものを用いることができ
る。
【0016】例えば、溶融手段としては、単軸もしくは
二軸の押出機にチップを供給し溶融押出する。ポリエス
テルなどの熱可塑性樹脂では、チップを押出機に供給す
る前に、十分乾燥することが必要である。溶融、押出さ
れた熱可塑性樹脂はフィルターによって濾過され、また
ギアポンプによって計量された後、口金に送られ、押し
出される。口金はTダイ、コートハンガー、フィシュテ
ールダイなどのスリットを有するものを用いることがで
きる。
【0017】このようにして、熱可塑性樹脂が溶融状態
で口金から溶融樹脂がシート状に押し出され、静電印加
キャスト法にて冷却ドラム上に密着され、冷却、固化さ
れて樹脂シートに成形される。
【0018】図1は、本発明の熱可塑性樹脂シートの製
造方法を実施することのできる静電印加キャスト装置の
キャスト部全体の構成の一例を示す概略構成図である。
図1において、1は口金、2は溶融樹脂シート、3は冷
却ドラム、4は冷却固化された樹脂シート、5はテープ
状電極である。この際の電極両端部、すなわち冷却ドラ
ムの樹脂シートがのっていない部分を被覆するように、
図2に示したように、セラミックや樹脂などからなる放
電防止部材6を用いる。
【0019】静電印加キャスト法を実現する静電荷の付
与にはテープ状電極を用いること、特に、長手方向に一
様な断面を有するテープ電極が好ましい。このようなテ
ープ状電極は、針状電極やワイヤー電極に比べ、その一
様な形状の先端面から樹脂シートに均一な密度で静電荷
を付与できる。したがって、電極の電圧をある程度高め
ても、局部的に電荷が集中するようなことはなく、樹脂
シートに付与する静電荷を比較的高電位でかつ均一、高
密度の状態とすることができる。その結果、冷却ドラム
とシートとの間に局部的に空気が噛み込む、いわゆる印
加むらは発生しにくくなり、印加むらに起因するシート
の表面欠点の発生が抑えられて、実質的にキャスト速度
を大幅に増加できるようになる。
【0020】静電印加キャストで用いられる電極は、常
温よりもはるかに温度が高い、熱可塑性樹脂が溶融する
温度近傍の高温下で使用される。さらに、熱可塑性樹脂
の溶融ポリマーから昇華するオリゴマーが電極に付着
し、汚れやすい特殊な環境下で使用される。
【0021】ここで、テープ状電極としては、ニッケル
を10重量%以上含有するステンレス鋼からなるテープ
状電極を用いることが必要である。ニッケルの含有量が
10重量%未満のテープ状電極では、静電印加を行うと
電極が著しく劣化し、異常放電を起こしやすく、溶融樹
脂シート製造中に印加むらが生じてしまい、長時間安定
してシートを製造することができない。そのため、溶融
樹脂シートを二軸延伸、熱処理を施して、二軸配向フィ
ルムとする過程において、フィルム破れが生じ生産性を
大きく低下させてしまう。
【0022】また、ニッケルを10重量%以上含有する
ステンレス鋼からなるテープ状電極を用いると、理由は
定かではないが、溶融ポリマーから昇華するオリゴマー
付着による放電防止効果に優れる。そのため、二軸配向
フィルムとする過程において、フィルム破れが生じにく
くなる。
【0023】ここでいう、一般的なステンレス鋼とは、
クロムを12重量%以上含有する鉄ベースの合金の総称
で、耐食金属材料として最も広く用いられる合金であ
る。そのクロムの含有量は12重量%から30重量%の
範囲にあり、さらに、鋼種に応じて、ニッケル、モリブ
デン、銅、シリカその他の元素が添加されている。
【0024】静電印加用の電極としては、長手方向にほ
ぼ一様な断面形状を有するテープ状電極であればよく、
横断面の具体的な形状は特に限定されない。代表的には
矩形断面が好ましいが、角形や楕円形等の他の断面形状
とすることも可能である。また、テープ状電極の材質を
研磨したり、表面にメッキ、蒸着、スパッタリングなど
の表面処理を施した電極でもよく、その最表層の電気比
抵抗が、10μΩ・cm以上であることが好ましい。
【0025】本発明において、テープ状電極としては特
に限定されないが、モリブデンを含有するステンレス鋼
からなることが好ましい。ステンレス鋼にモリブデンが
含まれていると表面により強固な不動態が形成される。
そのため、静電印加用のテープ状電極として用いた場
合、長時間高電圧がかかっても劣化しにくく、オリゴマ
ーが付着しても異常放電しにくくなるため、好ましい。
【0026】本発明において、テープ状電極としては特
に限定されないが、ニッケルを11重量%以上、モリブ
デンを1重量%以上含有するステンレス鋼からなるテー
プ状電極を用いることが好ましい。さらに好ましくはニ
ッケルを12重量%以上、モリブデンを2重量%以上含
有するテープ状電極である。
【0027】本発明において、テープ状電極としては特
に限定されないが、炭素の含有量が、0.05重量%以
下であるステンレス鋼からなるテープ状電極を用いるこ
とが好ましい。テープ状電極として、表面に、より強固
な不動態を形成し、長時間高電圧がかかっても劣化しに
くく、オリゴマーが付着しても異常放電しにくくする観
点から、炭素の含有量が、0.05重量%以下であるこ
とが好ましい。炭素の含有量としては、0.03重量%
以下であるとさらに好ましい。
【0028】本発明において、テープ状電極としては特
に限定されないが、ステンレス鋼の中でも、オーステナ
イト系ステンレス鋼をテープ状電極として用いることが
好ましい。オーステナイト系ステンレス鋼とは、クロム
16〜26重量%、ニッケル6〜22重量%でかつ低い
炭素含有量であり、熱処理効果はなく、また磁性もない
ステンレス鋼である。また成形性や溶接性も比較的よい
ため、化学プラントをはじめ、家庭用・業務用各種機
器、建材その他多くの分野で適用されており、その種類
もステンレス鋼の中では最も多いものである。
【0029】本発明のテープ状電極の厚みは、特に限定
されないが、0.01mm以上0.5mm以下であるこ
とが好ましい。テープ状電極の厚みは、火花放電防およ
び、電極として使用した際の腐食による切断防止の観点
からは、0.01mm以上が好ましく、高い印加力を得
て、熱可塑性樹脂シートの高速成形を達成する観点から
は0.5mm以下が好ましい。なお、テープ状電極の厚
みは、より好ましくは0.015mm以上0.3mm以
下の範囲であり、さらに好ましくは、0.02mm以上
0.1mm以下の範囲である。
【0030】本発明において、テープ状電極の幅は特に
限定されないが、1mm以上20mm以下であることが
好ましい。高い印加力を得て、熱可塑性樹脂シートの高
速成形を達成すること、および電極の捻れを防止し幅方
向の印加を均一にする観点からは、テープ状電極の幅は
1mm以上が好ましく、印加の安定性、火花放電防止の
観点からは20mm以下が好ましい。なお、テープ状電
極の幅は、より好ましくは2mm以上17mm以下の範
囲であり、さらに好ましくは3mm以上15mm以下の
範囲である。
【0031】本発明において、熱可塑性樹脂の溶融比抵
抗は、特に限定されないが、溶融比抵抗の小さな熱可塑
性樹脂に有効である。具体的には、溶融比抵抗が、10
6Ω・cm以上、1010Ω・cm以下であることが好ま
しい。冷却ドラムへの放電防止の観点からは、107Ω
・cm以上が好ましく、冷却ドラムへの密着によるキャ
スト速度増速の観点からは、109Ω・cm以下が好ま
しい。さらに好ましくは、熱可塑性樹脂の溶融比抵抗
が、5×107Ω・cm以上、8×108Ω・cm以下で
ある。
【0032】本発明において、テープ状電極を移動する
方法としては、例えば、電極を巻いたリールを、新日本
素材(株)製パーマトルク、(株)新鋼電機製ヒステリ
シスクラッチ/ブレーキなどでトルクコントロールしな
がら、もう一方のリールをモーターなどで巻き取り、移
動させる方法などが具体的に採用できる。
【0033】本発明のテープ状電極に印加する電圧は正
の直流電圧とすることが、印加の安定性の点から好まし
い。印加電圧が、負の直流電圧の場合、テープ状電極端
面の微細な傷、バリ、腐食などから火花放電し易くなっ
てしまう。また、交流電圧の場合も、電極が負の極性の
際に同じ現象が起こってしまうので、好ましくない。
【0034】本発明で得られる熱可塑性樹脂シートの厚
みは、特に限定されないが、0.05mm以上2mm以
下であることが好ましい。火花放電防止の観点からは、
熱可塑性樹脂シートの厚みが0.05mm以上であるこ
とが好ましく、冷却ドラムへの十分な密着力を得る観点
からは、厚みが2mm以下であることが好ましい。な
お、熱可塑性樹脂シートの厚みは、より好ましくは0.
07mm以上1mm以下であり、さらに好ましくは、
0.1mm以上0.5mm以下の範囲である。
【0035】また、本発明で得られた熱可塑性樹脂シー
トに、二軸延伸、熱処理を施し、二軸配向フィルムとな
すことも好ましく行われる。二軸延伸、熱処理の方法は
特に限定されないが、代表的な方法として、熱可塑性樹
脂をガラス転移温度以上に加熱し、低速、高速の速度差
をつけた延伸ロール間で一段もしくは多段で長手方向に
延伸した後、冷却して得られた縦延伸フィルムをクリッ
プでフィルム端部を把持、走行させるタイプのテンター
で、横延伸、熱処理を行う、いわゆる逐次二軸を適用す
ることができる。
【0036】
【実施例】次に、本発明の効果をより明確にするために
実施例、比較例を示す。
【0037】なお、ここで用いた物性の測定方法と効果
の評価方法は次のとおりである。
【0038】
【物性の測定方法ならびに効果の評価方法】(1)溶融
比抵抗(Ω・cm) 熱可塑性樹脂を真空乾燥後、50mmφ試験管に入れ、
窒素雰囲気下で溶融する。溶融後、窒素雰囲気下280
℃で熱可塑性樹脂を貯留し、1対の銅製電極を挿入し、
直流高圧発生装置から電圧を印加する。
【0039】このときの電流計および電圧計の指示値、
および電極面積、電極間距離により、次式により溶融比
抵抗を求める。
【0040】溶融比抵抗(Ω・cm)=(印加電圧(V)
×電極面積(cm2))/(電流値(A)×電極間距離(c
m)) (2)テープ状電極の組成 蛍光X線分析から、元素の種類と量を測定した。 (3)テープ状電極の長時間安定性 得られた熱可塑性樹脂シートの成形状態を観察し、フィ
ルム表面に全く欠点がない状態からフィルム表面に薄い
斑点状欠点が部分的に発生する状態に変化した時間を求
めて、長時間安定性とした。テープ状電極は移行させな
かった。
【0041】A.静電印加条件 a.印加電圧:プラスの直流電圧 14kV b.溶融熱可塑性樹脂と電極下面との距離:5mm B.キャスト条件 キャスト速度 50m/分 熱可塑性樹脂シート(フィルム)の厚さ 100μm (4)テープ状電極の平均厚み アンリツ社製フィルムシックネステスターKG601A
および電子マイクロメーターK306Cを用い、長手方
向に10m、連続的に厚みを測定し、平均厚みを求め
た。 (5)テープ状電極の電気比抵抗 長さL(cm)、断面積S(cm2 )のテープ状電極の
抵抗R(Ω)を測定し、下式から電気比抵抗(Ω・c
m)を求める。
【0042】電気比抵抗=R×S/L なお、抵抗Rは20℃で測定する。
【0043】実施例1 溶融比抵抗が5×108 Ω・cmであるポリエチレンテ
レフタレート(PET)のペレットを180℃、真空中
で4時間乾燥後、押出機に供給し280℃で溶融し、フ
ィルターを通過させた後、Tダイにより吐出させ、表面
温度25℃、直径φ1200mmの冷却ドラムに下記の
テープ状電極を用いた。 (1)静電印加用電極 A.材質:ニッケル12重量%、モリブデン2.5重量
%(SUS316L) B.形状 :厚さ0.04mm×幅8mmの断面が矩
形のテープ状 ・テープ状電極の下端に接触または接近させる部材の端
は、放電トラブルを防止するため鋭角部分を除去した。
【0044】ポリエチレンテレフタレートの押出量を調
整しながら、フィルム厚さを調整した。
【0045】このようにして得られたポリエチレンテレ
フタレートシートの成形状態は、表1に示したとおりに
長時間にわたって良好であった。
【0046】
【表1】
【0047】実施例2 実施例1の条件において、溶融比抵抗が7×107 Ω・
cmであるポリエチレンテレフタレート(PET)のペ
レットを用いること以外は、実施例1と同様にした。
【0048】ポリエチレンテレフタレートの押出量を調
整しながら、フィルム厚さを調整した。
【0049】このようにして得られたポリエチレンテレ
フタレートシートの成形状態は、表1に示したとおりに
長時間にわたって良好であった。
【0050】実施例3 実施例1の条件において、溶融比抵抗が8×109 Ω・
cmであるポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボ
キシレート(PEN)のペレットを用いること以外は、
実施例1と同様にした。
【0051】ポリエチレンポリエチレン−2,6−ナフ
タレンジカルボキシレートの押出量を調整しながら、フ
ィルム厚さを調整した。このようにして得られたポリエ
チレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートの成形
状態は表1に示したとおりに、長時間にわたって良好で
あった。
【0052】実施例4 実施例1の条件において、下記の静電印加用電極を用い
ること以外は、実施例1と同様にした。 (1)静電印加用電極 A.材質 :ニッケル13重量%、モリブデン0重量
%(SUS305) B.形状 :厚さ0.04mm×幅8mmの断面が矩
形のテープ状 ・テープ状電極の下端に接触または接近させる部材の端
は、放電トラブルを防止するため鋭角部分を除去した。
【0053】ポリエチレンテレフタレートの押出量を調
整しながら、フィルム厚さを調整した。
【0054】このようにして得られたポリエチレンテレ
フタレートシートの成形状態は、表1に示したとおりに
長時間にわたって良好であった。
【0055】比較例1 テープ状電極の材質を以下のものに変更すること以外
は、表1に示したとおりに実施例1と同様にした。 (1)静電印加用電極 A.材質 :ニッケル8重量%、モリブデン0重量%
(SUS304) B.形状 :厚さ0.04mm×幅8mmの断面が矩
形のテープ状 ・テープ状電極の下端に接触または接近させる部材の端
は、放電トラブルを防止するため鋭角部分を除去した。
【0056】このようにして得られたポリエチレンテレ
フタレートシートの成形状態は、1時間を経過すると、
フィルム表面に薄い斑点状欠点が部分的に生じてしま
い、表1に示したとおりに、長時間安定して成形するこ
とはできなかった。
【0057】比較例2 比較例1の条件において、溶融比抵抗が7×107 Ω・
cmであるポリエチレンテレフタレート(PET)のペ
レットを用いること以外は、実施例1と同様にした。
【0058】このようにして得られたポリエチレンテレ
フタレートシートの成形状態は、1時間を経過すると、
フィルム表面に薄い斑点状欠点が部分的に生じてしま
い、表1に示したとおりに、長時間安定して成形するこ
とはできなかった。
【0059】
【発明の効果】本発明の方法によれば、印加ムラのない
熱可塑性樹脂シートの高速キャスト成形が長時間安定し
て可能である。
【0060】本発明の方法は、テープ状電極を用いた熱
可塑性樹脂シートの成形方法に広く活用できるものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の熱可塑性樹脂シートの製造方
法を実施することのできる静電印加キャスト装置のキャ
スト部全体の構成の一例を示す概略構成図である。
【図2】図2は、図1と同様にキャスト部全体の構成の
一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1:口金 2:溶融樹脂シート 3:冷却ドラム 4:冷却固化された樹脂シート 5:テープ状電極 6:放電防止部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F207 AA24 AB05 AB06 AB07 AB09 AB12 AG01 AJ02 AK02 AM29 KA01 KA17 KF01 KK63 KK66 KL84 KW33 KW41

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性樹脂を口金からシート状に押し出
    し、静電印加キャスト法にて冷却ドラム上に密着せし
    め、シートを冷却、固化して成形するに際し、断面が矩
    形で長手方向に一様な形態を有する、ニッケルを10重
    量%以上含有するステンレス鋼からなるテープ状電極を
    用いて静電印加するように構成したことを特徴とする熱
    可塑性樹脂シートの製造方法。
  2. 【請求項2】テープ状電極として、モリブデンを含有す
    るステンレス鋼からなるものを用いることを特徴とする
    請求項1に記載の熱可塑性樹脂シートの製造方法。
  3. 【請求項3】テープ状電極として、ニッケルを11重量
    %以上、モリブデンを1重量%以上含有するステンレス
    鋼からなるものを用いることを特徴とする請求項1また
    は請求項2に記載の熱可塑性樹脂シートの製造方法。
  4. 【請求項4】テープ状電極として、炭素の含有量が、
    0.05重量%以下であるステンレス鋼からなるものを
    用いることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれ
    かに記載の熱可塑性樹脂シートの製造方法。
  5. 【請求項5】テープ状電極として、オーステナイト系ス
    テンレス鋼からなるのを用いることを特徴とする請求項
    1から請求項4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂シート
    の製造方法。
  6. 【請求項6】前記テープ状電極として、平均厚みが0.
    01mm以上0.5mm以下であり、幅が1mm以上2
    0mm以下であるものを用いることを特徴とする請求項
    1から請求項5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂シート
    の製造方法。
  7. 【請求項7】熱可塑性樹脂が、ポリエステルであること
    を特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の
    熱可塑性樹脂シートの製造方法。
  8. 【請求項8】熱可塑性樹脂シートに二軸延伸、熱処理を
    施して二軸配向フィルムとすることを特徴とする請求項
    1から請求項7のいずれかに記載の熱可塑性樹脂シート
    の成形方法。
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