JP2001250553A - リチウム二次電池 - Google Patents
リチウム二次電池Info
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Abstract
径を調整することにより、良好な導電パスが形成された
正極とし、この正極を用いることで、サイクル特性、レ
ート特性の優れたリチウム二次電池を提供する。 【解決手段】 池活物質となるリチウム含有複合酸化物
粒子と、該リチウム含有複合酸化物粒子表面に機械的に
付着され、平均粒径比において該リチウム含有複合酸化
物粒子の2/1000以下となる粒径をもち、導電材と
して機能する炭素物質粒子とからなる複合活物質材料
を、結着剤で結着して形成された正極を備えてなるよう
に、リチウム二次電池を構成する。
Description
脱離現象を利用したリチウム二次電池に関し、特に、良
好な特性のリチウム二次電池を構成することのできる正
極材料に関する。
ラ等の普及により、通信機器、情報関連機器等の分野で
は高性能な二次電池の開発が盛んに行われ、その結果、
高エネルギー密度のリチウム二次電池が既に実用化され
るに至っている。一方、自動車の分野では、資源問題、
環境問題から、電気自動車の開発が急がれ、この電気自
動車の駆動用電源として、リチウム二次電池の採用が検
討されている。
に、繰り返される充放電によってもその容量が低下しな
いという良好なサイクル特性が求められる。電気自動車
用電源としての用途にあっては、自動車が高温環境下に
放置されることも想定され、特に、高温サイクル特性が
良好であることが望まれる。さらに、加速時等には大量
の電気量を必要とすることから、パワー特性が良好であ
ることも望まれる。
特性の低下の原因の一つは、電極内の内部抵抗の増加が
考えられる。正極についてみれば、活物質にLiCoO
2等のリチウム含有複合酸化物を使用するのが一般的で
あり、このリチウム含有複合酸化物の電子伝導性が低い
ことから、サイクル特性、パワー特性の低下は、正極の
内部抵抗により大きく起因することになる。
の電子伝導性を確保するため、活物質であるリチウム含
有複合酸化物に、導電材としてカーボンブラック等の炭
素材料を混合し、これを結着剤で結着して形成される。
しかし、充放電の繰り返しにより、正極活物質の膨張・
収縮等が原因して正極の構造が変化し、正極内の導電パ
スが崩壊する現象が生じることが解った。
形成するために、従来から、特開平9−92265号公
報等に示すような、正極活物質表面に導電材を付着させ
る技術が検討されている。しかし、従来の技術では、活
物質表面の大部分を導電材で覆うことは難しく、サイク
ル特性、パワー特性についての要求を充分に満たすもの
とはなっていなかった。
なるリチウム含有複合酸化物と導電材となる炭素材料と
の正極内における関係について研究し、数多くの実験を
重ねた結果、リチウム含有複合酸化物の粒子の表面に炭
素物質粒子を付着させる場合、その炭素物質粒子の粒子
径が良好な導電パスの形成に大きく影響するとの知見を
得た。
正極活物質に付着させる導電材の粒子の粒子径を調整す
ることにより、良好な導電パスが形成された正極とし、
この正極を用いることで、サイクル特性、パワー特性の
優れたリチウム二次電池を提供することを課題としてい
る。
池は、活物質となるリチウム含有複合酸化物粒子と、該
リチウム含有複合酸化物粒子表面に機械的に付着され、
平均粒径比において該リチウム含有複合酸化物粒子の2
/1000以下となる粒径をもち、導電材として機能す
る炭素物質粒子とからなる複合活物質材料を、結着剤で
結着して形成された正極を備えてなることを特徴とす
る。つまり、本発明のリチウム二次電池は、その正極
に、活物質粒子の表面に導電材の粒子を固着させた複合
材料を用いた態様のものであり、導電材粒子が活物質粒
子に比べ極めて小さい粒径をもつように構成するもので
ある。
することで、活物質となるリチウム含有複合酸化物粒子
表面の広い範囲に均一に付着させることが容易となる。
この理由は、大きい炭素物質粒子を用いた場合に比べ同
じ面積内に固着できる数が多く、必然的に固着面積が増
えるためであると考えられる。
に付着したリチウム含有複合酸化物粒子という態様の複
合活物質材料を結着させてなる正極は、その内部に良好
な導電パスが形成され、また、充放電の繰り返しよる活
物質の膨張・収縮等に伴う正極の構造変化にも対応し、
その良好な導電パスが維持される。この理由は、絶縁物
質である結着剤によるリチウム含有複合酸化物と炭素物
質粒子との接触ではなく、また、結着剤の膨潤劣化によ
る接触不良という現象がなくなるためであると考えられ
る。
は、正極の内部抵抗の増加が抑制され、サイクル特性、
特に電池反応が活性化する高温環境下におけるサイクル
特性、パワー特性の良好なリチウム二次電池となる。
池の実施形態について、リチウム含有複合酸化物、炭素
物質、炭素物質粒子とリチウム含有複合酸化物粒子との
複合化、正極の構成および製造、リチウム二次電池の構
成および製造という項目に分けて、詳しく説明する。
ウム二次電池では、正極活物質として、リチウム含有複
合酸化物を用いる。リチウム含有複合酸化物は、その種
類を特に限定するものではなく、従来から用いられてい
る既に公知のものを用いればよい。例えば、4V級のリ
チウム二次電池を構成できるものとして、代表的組成が
LiCoO2となる層状岩塩構造リチウムコバルト複合
酸化物、代表的組成がLiNiO2となる層状岩塩構造
リチウムニッケル複合酸化物、代表的組成がLiMn2
O4となるスピネル構造リチウムマンガン複合酸化物を
用いることができる。また、構成元素であるCo、N
i、Mn等のサイトの一部を、他の遷移金属等で置換し
た組成を有するものであってもよい。製造しようとする
リチウム二次電池の特性に応じ、これらのうちの1種を
単独でまたは2種以上を混合して用いればよい。
でも、代表的組成がLiNiO2となる層状岩塩構造リ
チウムニッケル複合酸化物が望ましい。中心構成元素と
して高価なコバルトを採用していないことから、安価な
リチウム二次電池が構成でき、サイクル特性等について
もリチウムコバルト複合酸化物に次ぐ良好なものとなる
からである。また、リチウムニッケル複合酸化物は、充
放電に伴う体積変化が大きく、それに起因する導電パス
の崩壊が大きいことを考えれば、その粒子表面に導電材
粒子を付着させた複合活物質材料を用いる効果がより大
きく発揮されることとなるからである。
を用いる。リチウム含有複合酸化物粉末の粉末粒子の粒
径も、リチウム二次電池の特性を左右する。望ましく
は、平均粒径において、3μm以上30μm以下のもの
を用いることが望ましい。3μm未満のものは、好適範
囲内のものに比べ、リチウムイオンの拡散距離は短いも
のの、比表面積が大きく、充分な結着力を確保するため
に多量の結着剤を要し、これが特性低下の原因となり、
また、30μmを超えるものは、リチウムイオンの拡散
距離が長く、充てん性が低いとともに、高出力を目指し
た電極の薄膜化が困難となるからである。
粒子が凝集結合して2次粒子を構成している。このよう
な粒子構造をもつ場合には、ここでいうリチウム含有複
合酸化物粒子とは2次粒子を意味し、その粒径とは2次
粒子の粒径を意味する。また、本明細書におけるリチウ
ム含有複合酸化物粒子の粒径は、レーザー回折法にて測
定した値を採用している。
おいて、上記リチウム含有複合酸化物粒子に付着させる
炭素物質粒子は、導電材として機能し、正極内の電子伝
導性を確保する。用いることのできる炭素物質として
は、カーボンブラック、アセチレンブラック、黒鉛等を
挙げることができる。これらの中でも、吸湿しにくく、
導電性が高いという点を考慮すれば、アセチレンブラッ
クを用いることが望ましい。
素物質は粉末状のものを用い、その粉末粒子は、平均粒
径比において上記リチウム含有複合酸化物粒子の2/1
000以下のとなる粒径をもつものとする。言い換えれ
ば、(炭素物質粒子の平均粒径)/(リチウム含有複合
酸化物の平均粒径)≦2/1000 という式で表され
る関係である。2/1000という比の値は本発明者が
実験により見出した値であり、この比が2/1000よ
りも大きくなる場合は、上記リチウム含有複合酸化物の
表面の80%以上を炭素物質粒子で覆うことが困難とな
り、本発明のリチウム二次電池では好ましくない。
望ましい範囲(3μm以上30μm以下)にある場合、
炭素物質粒子の平均粒径は、具体的に、最大でも0.0
6μm以下とすることが望ましい。なお、本明細書にお
ける炭素物質粒子の粒径は、バッファーラインスタート
法にて測定した値を採用している。
粒子との複合化〉リチウム含有複合酸化物粒子と炭素物
質粒子との複合化は、上記リチウム含有複合酸化物粒子
の表面に上記炭素物質粒子を機械的に付着させることに
よって行う。機械的に付着させるとは、それぞれの粒子
からなる2つの粉末材料を混合したものに、繰り返し剪
断若しくは圧縮力を加えて、一方の粒子を他方の粒子表
面に固着させることを意味する。いわゆる機械的複合化
方法によって複合化することである。
るものでなく、既に公知の複合化方法によって行えばよ
い。乾式複合であっても、湿式複合であってよい。工程
が簡単である乾式複合法を採用する場合、例えば、図1
にその断面を模式的に示すような、いわゆる楕円ロータ
型粉体混合機を用いて複合化することができる。図1に
示す装置は、楕円形断面を有する内壁をもち回転する混
合室と、その混合室内にあってその混合室と同軸的に配
置され、混合室の楕円短径より僅かに短い長径をもつ楕
円形断面を有し回転するロータとを含んで構成される装
置である。上記それぞれの粒子粉末を混合室内に投入
し、この混合室を粉末が遠心力で混合室内壁に貼りつか
ない程度の速度で回転させることにより、投入した粉末
を流動化させた状態を作り出し、その上でロータをある
程度の高速で回転させることにより、混合室内壁とロー
タとの隙間を粉末が通過するする際に大きな剪断力を粉
末に加え、粉末を均一に混合すると同時に、炭素物質粒
子をリチウム複合酸化物粒子表面に食い込ませるように
固着させるものである。この装置を用いれば、剪断力が
加えられる時間は極めて短い時間に限られるため、複合
化する際の熱の発生は少なく、その熱がリチウム複合酸
化物を変質させるといった影響が小さく、活物質本来の
特性が失われることがない。
おいて、リチウム含有複合酸化物粒子表面に付着する炭
素物質粒子の量をリチウム含有複合酸化物粒子表面が炭
素物質粒子で覆われる割合で表せば、本発明のリチウム
二次電池の場合、その割合が、リチウム含有複合酸化物
粒子全表面の80%以上となるように複合化することが
望ましい。80%未満の場合は、正極活物質の膨張収縮
等による構造変化への対応が不充分になるという理由か
ら、正極内の導電パスの良好さが若干失われることにな
る。なお、導電性をより高め、高出力を実現するという
点を考慮すれば、90%以上となるようにすることが望
ましい。
2/1000以下という粒径比をもつリチウム含有複合
酸化物と炭素物質とを用い、上記複合化装置にて行えば
容易に達成でき、炭素物質粉末の量を多くしかつ複合化
させる時間を長くすることにより、その被覆割合をさら
に大きくすることができる。
ム二次電池では、正極は、上記複合活物質材料を結着剤
で結着して形成される。その構成および製造方法は、特
に限定するものではなく。既に公知の形態に従えばよ
い。例えば、本発明のリチウム二次電池用正極は、金属
箔製の集電体の表面に、上記複合活物質材料と結着剤と
を混合した正極合材を層状に結着させて形成することが
できる。
合し、これらを分散させるための溶剤を添加して、ペー
スト状の正極合材を調製する。次に、この正極合材をア
ルミニウム箔等の正極集電体の表面に塗工機等により塗
布し、乾燥して固形分のみの正極合材を層状に形成すれ
ば良い。必要に応じ、ロールプレス等の圧縮機により圧
縮を行い、活物質密度を高めることもできる。この形態
の正極はシート状であり、作製しようとする電池に適合
する大きさに裁断等して完成させればよい。
材を添加してもよい。この導電材は、上記複合活物質材
料を構成するリチウム含有複合酸化物粒子表面に固着さ
せた炭素物質と同じものであってもよく、また、他の種
類の導電材、例えばカーボンブラック、アセチレンブラ
ック、黒鉛等から選ばれる1種以上の炭素物質等であっ
てもよい。
複合化の場合、すべての炭素物質粒子がリチウム含有複
合酸化物粒子表面に固着するとは限らず、一部の粒子は
単体のまま残存する。この場合、楕円ロータ型粉体混合
機から取り出した粉末は、複合活物質材料と導電材とが
混合された状態のものとなっている。したがって、この
粉末を使用して正極を作製する場合、既に、複合活物質
材料に単体の導電材を別途添加した態様の正極を作製す
ることとなる。
割合、つまり、リチウム含有複合酸化物とそれに固着し
たおよび固着せず単体で存在する導電材との割合も、リ
チウム二次電池の特性を左右する。本発明のリチウム二
次電池においては、正極に含まれる活物質の総量に対す
る導電材の総量の比は、重量比において、2/100以
上10/100以下とすることが望ましい。2/100
未満の場合、つまり導電材が少なすぎる場合は、正極中
に良好な導電パス形成することができず、リチウム二次
電池はサイクル特性等について劣るものとなる。逆に、
10/100を超える場合、つまり導電材が多すぎる場
合は、正極のエネルギー密度が小さくなりすぎてしまう
ことになる。
導電材粒子が単体で存在する場合にはその導電材粒子を
繋ぎ止める役割を果たすものでポリテトラフルオロエチ
レン、ポリフッ化ビニリデン、フッ素ゴム等の含フッ素
樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂
を用いることができる。また、分散させるための溶剤と
しては、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤を用
いることができる。結着剤の配合量、溶剤の添加量は、
特に限定するものでなく、リチウム二次電池の特性、正
極合材の塗工性等を考慮し、適切な量とすればよい。
発明のリチウム二次電池は、上述した正極用いて構成す
ればよく、他の構成要素については、特に限定するもの
ではなく、既に公知の構成要素を用いればよい。
チウム、リチウム合金等を、シート状にして、あるいは
シート状にしたものをニッケル、ステンレス等の集電体
網に圧着して形成したものを用いることができる。ま
た、デンドライトの析出等を考慮し、安全性に優れたリ
チウム二次電池とするために、リチウムを吸蔵・脱離可
能な炭素物質を活物質とする負極を用いることができ
る。使用できる炭素物質としては、天然あるいは人造の
黒鉛、フェノール樹脂等の有機化合物焼成体、コークス
等の粉状体が挙げられる。この場合は、負極活物質に結
着剤を混合し、適当な溶剤を加えてペースト状にした負
極合材を、銅等の金属箔集電体の表面に塗布乾燥して形
成する。なお、炭素物質を負極活物質とした場合、正極
同様、負極結着剤としてはポリフッ化ビニリデン等の含
フッ素樹脂等を、溶剤としてはN−メチル−2−ピロリ
ドン等の有機溶剤を用いることができる。
ポリエチレン、ポリプロピレン等の薄い微多孔膜を用い
ることができる。非水電解液は、有機溶媒に電解質であ
るリチウム塩を溶解させたもので、有機溶媒としては、
非プロトン性有機溶媒、例えばエチレンカーボネート、
プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエ
チルカーボネート、エチルメチルカーボネート、γ−ブ
チロラクトン、アセトニトリル、1,2−ジメトキシエ
タン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、塩化メチレ
ン等の1種またはこれらの2種以上の混合溶媒を用いる
ことができる。また、溶解させる電解質としては、Li
I、LiClO4、LiAsF6、LiBF4、LiP
F6、LiN(CF3SO2)2等のリチウム塩を用いるこ
とができる。
二次電池であるが、その形状は円筒型、積層型、コイン
型等、種々のものとすることができる。いずれの形状を
採る場合であっても、正極および負極にセパレータを挟
装させ電極体とし、正極集電体および負極集電体から外
部に通ずる正極端子および負極端子までの間を集電用リ
ード等を用いて接続し、この電極体を非水電解液ととも
に電池ケースに密閉して電池が完成する。
等、本発明のリチウム二次電池の実施形態について説明
したが、上述した実施形態は一実施形態にすぎず、本発
明のリチウム二次電池は、上記実施形態を始めとして、
当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々
の形態で実施することができる。
酸化物粒子表面に付着する炭素物質粒子の粒径比が2/
1000以下となる複合活物質材料を用いた本発明のリ
チウム二次電池を、実施例として作製した。また、これ
と比較すべく、粒径比が上記範囲外となる複合活物質材
料を用いたリチウム二次電池および導電材となる炭素物
質粒子を複合化させていないリチウム二次電池を、比較
例として作製した。そしてこれらのリチウム二次電池の
特性を評価し、本発明のリチウム二次電池の優秀性を確
認した。以下に、これらについて説明する。
ム二次電池では、正極活物質として、組成式LiNi
0.8Co0.15Al0.05O2で表される層状岩塩構造リチウ
ムニッケル複合酸化物であって、その平均粒径(2次粒
子の平均粒径)が15μmのものを用いた。そのリチウ
ムニッケル複合酸化物の粒子表面に付着させる導電材と
なる炭素物質には、平均粒径0.024μmのアセチレ
ンブラックを用いた。したがって、本リチウム二次電池
の場合、リチウムニッケル複合酸化物粒子に対するアセ
チレンブラック粒子の粒径比は、1.6/1000とな
る。
量部と上記アセチレンブラックの5重量部とを、上述し
た楕円ロータ型粉体混合機を用いて複合化させた。ちな
みに混合機の混合室は、断面楕円形状が長径110m
m、短径70mmで、奥行きが30mmであり、混合室
とロータとの回転はそれぞれ逆向きに回転させるものと
し、混合室の回転速度を40rpm、ロータの回転速度
を1500rpmとして複合化を行った。また、アセチ
レンブラックは全体量の1/10ずつを順次投入するも
のとし、1/10の量を投入した後5分間の複合化を行
うことを10回繰り返し、複合化を完了させるものとし
た。
を製造した。まず、この混合粉末90重量部に結着剤と
してポリフッ化ビニリデン(PVdF)を10重量部混
合し、適量のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を
添加して混練し、ペースト状の正極合材を調製した。こ
の正極合材を厚さ20μmのアルミニウム箔集電体の両
面に塗布し、乾燥して、正極合材層の厚さが片面当たり
30μmのシート状の正極とした。
ェーズ小球体(MCMB)を用い、以下のように作製し
た。まず、このMCMBの95重量部に、結着剤として
PVdFを5重量部混合し、適量のNMPを添加して混
練し、ペースト状の負極合材を調製した。この負極合材
を厚さ10μmの銅箔集電体の両面に塗布し、乾燥し
て、負極合材層の厚さが片面当たり40μmのシート状
の負極とした。
きさに裁断した後、この正極と負極との間に厚さ25μ
mのポリエチレン製セパレータを挟装し、これらを捲回
してロール状の電極体を作製した。この電極体を186
50型電池ケースに挿設し、次いで正極端子および負極
端子まで集電処理をし、非水電解液を注入した後に電池
ケースを密閉して、円筒型リチウム二次電池を完成し
た。ちなみに非水電解液には、エチレンカーボネートと
ジエチルカーボネートとを体積比3:7に混合した混合
溶媒に、電解質としてLiPF6を1Mの濃度で溶解し
たものを用いた。このリチウム二次電池を実施例1のリ
チウム二次電池とした。
のリチウム二次電池は、リチウムニッケル複合酸化物粒
子とアセチレンブラック粒子とを複合化させずに構成し
たリチウム二次電池である。上記実施例1の場合と同じ
リチウムニッケル複合酸化物およびアセチレンブラック
を、同じ割合で用いて構成するものであるが、複合化の
工程を省略し、混練することにより直接ペースト状の正
極合材を調製し、この正極合材を用いて作製した正極を
使用している。他の構成要素については上記実施例1の
場合と同様である。このリチウム二次電池を比較例1の
リチウム二次電池とした。
のリチウム二次電池は、リチウムニッケル複合酸化物と
アセチレンブラックとを複合化して用いるものである
が、アセチレンブラックに平均粒径の大きなものを使用
している。ちなみにリチウムニッケル複合酸化物は、上
記実施例1の場合と同じものを用いているが、本比較例
のリチウム二次電池では、平均粒径0.053μmのア
セチレンブラックを用いた。したがって、本比較例のリ
チウム二次電池の場合、リチウムニッケル複合酸化物粒
子に対するアセチレンブラック粒子の粒径比は、4.0
/1000となる。
り、リチウムニッケル複合酸化物の85重量部に対し、
アセチレンブラックを6重量部とした。複合化のための
装置、方法については上記実施例1の場合と同様とし
た。
正極を製造した。まず、この混合粉末91重量部に、さ
らに導電材として同じアセチレンブラックを4重量部と
結着剤としてPVdFを5重量部混合し、適量のNMP
を添加して混練し、ペースト状の正極合材を調製した。
この正極合材を用い、実施例1の場合と同様に、シート
状の正極を作製した。そして、対向させる負極を始め、
他の構成を実施例1の場合と同様とするリチウム二次電
池を作製した。このリチウム二次電池を実施例1のリチ
ウム二次電池とした。
のリチウム二次電池は、リチウムニッケル複合酸化物粒
子とアセチレンブラック粒子とを複合化させずに構成し
たリチウム二次電池である。上記比較例2の場合と同じ
リチウムニッケル複合酸化物およびアセチレンブラック
を、同じ割合で用いて構成するものであるが、複合化の
工程を省略し、混練することにより直接ペースト状の正
極合材を調製し、この正極合材を用いて作製した正極を
使用している。他の構成要素については上記比較例2の
場合と同様である。このリチウム二次電池を比較例3の
リチウム二次電池とした。
1および比較例2において複合化した活物質材料のそれ
ぞれを顕微鏡観察した。図2に、リチウムニッケル複合
酸化物粒子表面に付着するアセチレンブラック粒子の粒
径比が1.6/1000となる実施例1の場合の複合活
物質材料の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を、図3
に、リチウムニッケル複合酸化物粒子表面に付着するア
セチレンブラック粒子の粒径比が4.0/1000とな
る比較例2の場合の複合活物質材料のSEM写真を、そ
れぞれ示す。なお、SEM写真の倍率は、両者とも約1
0000倍である。
ッケル複合酸化物の1次粒子の結晶面はほとんど観察さ
れず、2次粒子全体が丸みを帯びた粒子のように観察さ
れ、活物質となるリチウムニッケル複合酸化物の粒子表
面を略全体にわたってアセチレンブラック粒子が被覆し
ていることが確認できる。これに対して、図3に示す比
較例2のものは、1次粒子の形状が明瞭に観察され、活
物質となるリチウムニッケル複合酸化物の粒子表面の約
10%の面積しかアセチレンブラック粒子が被覆してい
ないことが確認できる。
ウム含有複合酸化物粒子に対して小さくすることによ
り、リチウム含有複合酸化物粒子を被覆する割合を大き
くできることが確認できる。したがって、粒径比が2/
1000以下となる複合活物質材料は、活物質となるリ
チウム含有複合酸化物の表面を大きな割合で炭素物質粒
子が均一に被覆し、正極に用いた場合、その正極内にお
いて良好な導電パスを形成できる活物質材料となること
が判る。
1のリチウム二次電池に対して充放電試験を行い、それ
ぞれのパワー特性を調査した。パワー特性は、種々のS
OC(state of chage:充電状態:可逆的に充放電可能
な領域における満充電状態を100%、空充電状態を0
%とした値で示す)における10秒間の出力密度(正極
活物質単位重量当たりの出力密度)で評価するものとし
た。出力密度の測定条件は、数水準の所定の電流を10
秒間流したときの電圧降下から抵抗を求め、さらに電流
と抵抗との関係を最小二乗法により求め、この関係から
電池電圧が3Vになる電流値を算出し、出力を見積もる
ものとした。
々のSOCにおける10秒間の出力密度を示す。この図
から判るように、導電材を複合化した正極活物質材料を
用いることにより、出力密度の高いリチウム二次電池が
得られることが確認できる。特に、高いSOC状態にお
いてその差が大きいものとなっている。この結果から、
複合化活物質材料を用いたリチウム二次電池が、パワー
特性により優れることが確認できる。
1および比較例1〜比較例3のリチウム二次電池に対し
て充放電サイクル試験を行い、それぞれの二次電池の電
内部抵抗(直流抵抗)の変化を調べた。充放電サイクル
試験は、リチウム二次電池の実使用温度領域の上限とも
目される60℃の高温環境下で実施し、充電終止電圧
4.1Vまで電流密度2mA/cm2の定電流で充電を
行い、その後、放電終止電圧3.0Vまで電流密度2m
A/cm2の定電流で放電を行うサイクルを1サイクル
とし、このサイクルを500サイクルまで繰り返すもの
とした。そして、各サイクルにおける充電平均電圧と放
電平均電圧とを測定し、各サイクルにおける電池の直流
抵抗値を、{充電平均電圧−放電平均電圧}/{充放電
電流×2} という式にて求めた。この結果として、図
5に、実施例1および比較例1のリチウム二次電池の各
サイクルにおける電池直流抵抗値を、図6に、比較例2
および比較例3のリチウム二次電池の各サイクルにおけ
る電池直流抵抗値を、それぞれ示す。
000となるリチウムニッケル複合酸化物とアセチレン
ブラックとの組み合わせの場合、リチウムニッケル複合
酸化物とアセチレンブラックとを複合化するときには、
複合化しないときに比べ、各サイクルにおいて直流抵抗
が小さくなっており、サイクルの進行につれてその差は
大きくなっている。このことから、粒径比が小さいとき
には、複合化することにより、電池内部抵抗が小さく、
つまりパワー特性の良好なリチウム二次電池となり、ま
た、サイクルの進行によっても電池内部抵抗の変化が小
さく、つまり、サイクル特性の良好なリチウム二次電池
となることが確認できる。
比が4.0/1000となるリチウムニッケル複合酸化
物とアセチレンブラックとの組み合わせの場合、リチウ
ムニッケル複合酸化物とアセチレンブラックとを複合化
するときと複合化しないときとの間では、各サイクルに
おける直流抵抗値に差はない。したがって、粒径比が大
きいときには、複合化することによる効果が充分には得
られないことが確認できる。
比較例2および比較例3の場合と比べ、アセチレンブラ
ックの正極内における配合割合が小さいが、この結果を
総合すれば、その配合割合を大きくする、つまり導電材
の全体量を多くすることにより、さらに電池内部抵抗の
小さな、さらにサイクル特性の良好なリチウム二次電池
が得られることが確認できる。
複合酸化物を正極活物質とし、炭素物質を正極導電材と
するリチウム二次電池を、その炭素物質の粒径をそのリ
チウム含有複合酸化物に対して2/1000以下とし、
かつ、リチウム含有複合酸化物粒子表面に炭素物質粒子
を機械的に付着して複合化するように構成するものであ
る。このような構成とすることで、本発明のリチウム二
次電池は、正極の内部抵抗の増加が抑制され、サイクル
特性、特に電池反応が活性化する高温環境下におけるサ
イクル特性、パワー特性の良好なリチウム二次電池とな
る。
とを複合化することのできる楕円ロータ型粉体混合機の
断面を模式的に示す。
するアセチレンブラック粒子の粒径比が、そのリチウム
ニッケル複合酸化物粒子に対して、1.6/1000と
なる複合活物質材料のSEM写真を示す。
するアセチレンブラック粒子の粒径比が、そのリチウム
ニッケル複合酸化物粒子に対して、4.0/1000と
なる複合活物質材料のSEM写真を示す。
ッケル複合酸化物とアセチレンブラックとを組み合わせ
たリチウム二次電池において、リチウムニッケル複合酸
化物とアセチレンブラックとを複合化する場合と複合化
しない場合の種々のSOCにおける10秒間の出力密度
を示す。
1.6/1000となるリチウムニッケル複合酸化物と
アセチレンブラックとを組み合わせたリチウム二次電池
において、リチウムニッケル複合酸化物とアセチレンブ
ラックとを複合化する場合と複合化しない場合のリチウ
ム二次電池の各サイクルにおける直流抵抗値を示す。
4.0/1000となるリチウムニッケル複合酸化物と
アセチレンブラックとを組み合わせたリチウム二次電池
において、リチウムニッケル複合酸化物とアセチレンブ
ラックとを複合化する場合と複合化しない場合の各サイ
クルにおける直流抵抗値を示す。
Claims (2)
- 【請求項1】 活物質となるリチウム含有複合酸化物粒
子と、 該リチウム含有複合酸化物粒子表面に機械的に付着さ
れ、平均粒径比において該リチウム含有複合酸化物粒子
の2/1000以下となる粒径をもち、導電材として機
能する炭素物質粒子と、 からなる複合活物質材料を、結着剤で結着して形成され
た正極を備えてなるリチウム二次電池。 - 【請求項2】 前記複合活物質材料は、前記リチウム含
有複合酸化物粒子の表面の80%以上が前記炭素物質粒
子で覆われている請求項1に記載のリチウム二次電池。
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