JP2001247903A - ニッケル粉、導電ペースト及びニッケル粉の製造方法 - Google Patents

ニッケル粉、導電ペースト及びニッケル粉の製造方法

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JP2001247903A
JP2001247903A JP2000397504A JP2000397504A JP2001247903A JP 2001247903 A JP2001247903 A JP 2001247903A JP 2000397504 A JP2000397504 A JP 2000397504A JP 2000397504 A JP2000397504 A JP 2000397504A JP 2001247903 A JP2001247903 A JP 2001247903A
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nickel powder
nickel
mill
powder
particles
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Yasuhide Yamaguchi
靖英 山口
Hisao Hayashi
尚男 林
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Mitsui Mining and Smelting Co Ltd
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Mitsui Mining and Smelting Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ニッケル中の酸素濃度が低く、粒度分布特性が
優れており、且つ凝集が小さいニッケル粉であることに
より、粉体の電気抵抗率が小さく、導電ペースト製造時
の有機ビヒクル中への分散性に優れており且つニッケル
酸化物の量が少ないことに起因して焼成時に誘電体中へ
拡散する量も少ないニッケル粉、該ニッケル粉を含有す
る導電ペースト及び該ニッケル粉の製造方法を提供する
こと。 【解決手段】レーザ回折散乱式粒度分布測定による平均
粒子径の1.5倍以上の粒子径を持つ粒子個数が全粒子
個数の20%以下であり、平均粒子径の0.5倍以下の
粒子径を持つ粒子個数が全粒子個数の5%以下であり、
SEM観察による平均一次粒子径が0.1〜2μmであ
り、且つニッケル粉中に含まれる酸素含有量が2質量%
以下であるニッケル粉、該ニッケル粉を含有する導電ペ
ースト、該ニッケル粉の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はニッケル粉、導電ペ
ースト及びニッケル粉の製造方法に関し、より詳しく
は、ニッケル中の酸素濃度が低く、粒度分布特性が優れ
ており、且つ凝集が小さいニッケル粉であることによ
り、粉体の電気抵抗率が小さく、導電ペースト製造時の
有機ビヒクル中への分散性に優れており、且つニッケル
酸化物の量が少ないことに起因して焼成時に誘電体中へ
拡散する量も少ないので導電ペースト用として優れてい
るニッケル粉、特に、積層セラミックコンデンサの電極
形成に用いる導電ペースト用として最適なニッケル粉、
該ニッケル粉を含有する導電ペースト及び該ニッケル粉
の製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】積層セラミックコンデンサは交互に積層さ
れた複数のセラミック誘電体層と内部電極層とが一体化
しており、更に外部電極が設けられているものであり、
このような積層セラミックコンデンサにおける電極の形
成は、従来、主として白金、パラジウム、銀、銀−パラ
ジウム合金等の貴金属粉末を含む導電ペーストを塗布
し、焼成することにより実施されていた。しかし、コス
トを低減させるために、近時には、これらの貴金属の代
わりに銅やニッケル等の卑金属を用る技術が開発され、
進歩してきている。
【0003】積層セラミックコンデンサの電極は上記の
ように内部電極と外部電極とに区別されるが、何れの電
極についても導電性についての信頼度が高いものが要求
されることは言うまでもない。しかし、積層セラミック
コンデンサ等は近年ますます小型化しており、それに伴
い、必然的に、セラミック誘電体層及び内部電極層の薄
膜化、多層化が進み、現在積層部品、特に積層セラミッ
クコンデンサでは誘電体層の厚さ2μm以下、内部電極
膜の厚さ1.5μm以下、積層数100層以上の部品が
作られている。とりわけ、内部電極については形成電極
についての信頼度が重要視されている。
【0004】ニッケル中にニッケル酸化物を含むニッケ
ル粉を含有する導電ペーストを内部電極の形成に用いて
積層セラミックコンデンサを作製すると、その焼成工程
でニッケル酸化物が誘電体と固溶して誘電体中に拡散す
る。ニッケル中のニッケル酸化物の量が多いと、即ち、
ニッケル中の酸素濃度が高いと、誘電体中に拡散するニ
ッケル酸化物の量も多くなり、その結果として積層セラ
ミックコンデンサの電気容量や温度特性を変化させると
いう問題が生じやすい。金属粉の酸化度、特にニッケル
粉の酸化度については、特公昭61−39373号公
報、特開平3−280304号公報、特開平6−495
57号公報、特開平11−189804号公報、特開平
11−236606号公報、特開平11−236631
号公報、特開平11−256209号公報等で言及され
ている。
【0005】また、薄い内部電極層を作製するためには
それに見合った平均粒子径の小さい金属微粉を用いれば
よいと考えられる。しかし、平均粒子径が小さくても粗
粉が混入していると、そのような金属粉を含む導電ペー
ストを用いて内部電極層を形成すると、そのような粗粉
が内部電極層上に突起を形成し、その突起が薄いセラミ
ック誘電体層を突き破って内部電極層間の短絡を引き起
こすことがある。このような内部電極層間の短絡を防止
するためには、薄い内部電極層を得るのに見合った平均
粒子径の金属微粉よりもかなり小さい平均粒子径の金属
微粉を用いる必要がある。
【0006】例えば、特開平11−189801号公報
には、平均粒子径が0.2〜0.6μmであり、かつ平
均粒子径の2.5倍以上の粒子径を持つ粗粒子の存在率
が個数基準で0.1%以下であるニッケル超微粉が開示
されており、該公報の第4欄21〜24行には「例えば
粗粒子の粒子径を1.5μm以上程度に限定すれば、本
発明のニッケル超微粉の平均粒子径は、0.6μmに限
定する必要がある訳である。」と記載されており、薄い
内部電極層を得るためにかなり小さい平均粒子径の金属
微粉を用いる必要があることが示されている。
【0007】更に、乾式反応又は湿式反応により製造さ
れたままの状態の金属粉は程度の差はあっても何れも凝
集しており、一次粒子径が小さくなるほどその凝集度合
いは強くなっている。ニッケル粉においても、勿論この
凝集の問題は大きく、特に導電ペーストを製造する場合
には有機ビヒクル中への分散性が重要なポイントである
ので、ニッケル粒子の凝集度が小さい(ニッケル粉の分
散度が大きい)ニッケル粉が求められている。
【0008】このニッケル粉の凝集の解消に関しては、
特開平11−140511号公報にはニッケル粉を含め
た種々の金属微粒子粉末の製造方法であって、金属微粒
子を含むスラリーを2以上の方向から当該スラリーが交
差するように噴射して当該スラリーを互いに衝突させる
ことにより、独立単分散状態の金属微粒子粉末にする製
造方法が開示されており、即ち特定の装置を用いること
により、凝集した金属微粒子を効果的に開裂、解粒でき
ることが開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来技術の説明
から分かるように、ニッケル粉に要求されている課題と
しては、第一に酸化度の低いことが挙げられるが、それ
に加えて、粗粉を減らして粒度分布をシャープにするこ
と、薄い内部電極層を得るためにかなり小さい平均粒子
径にすること、凝集が少なく粉体分散性に優れているこ
と、といった課題をも考慮しなければならない。しか
し、未だかかる課題に答え得る提案はなされていない。
これは、金属粉においては、酸化し易さに差はあれ、微
粒になればなるほど酸化し易いので、その両立が難しい
からである。
【0010】本発明は、ニッケル中の酸素濃度が低く、
粒度分布特性が優れており、且つ凝集が小さいニッケル
粉であることにより、粉体の電気抵抗率が小さく、導電
ペースト製造時の有機ビヒクル中への分散性に優れてお
り、且つニッケル酸化物の量が少ないことに起因して焼
成時に誘電体中へ拡散する量も少ないので導電ペースト
用として優れているニッケル粉、特に、積層セラミック
コンデンサの電極形成に用いる導電ペースト用として最
適なニッケル粉、該ニッケル粉を含有する導電ペースト
及び該ニッケル粉の製造方法を提供することを課題とし
ている。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記の課題
を達成する為に鋭意検討した結果、レーザ回折散乱式粒
度分布測定による粒子径について特定の粒度分布を有し
ており、SEM観察による平均一次粒子径が特定の範囲
内にあり、且つ酸素含有量が特定値以下に抑制されてい
るニッケル粉であれば、上記の課題が達成されることを
見いだし、本発明を完成した。
【0012】即ち、本発明のニッケル粉は、レーザ回折
散乱式粒度分布測定による平均粒子径の1.5倍以上の
粒子径を持つ粒子個数が全粒子個数の20%以下であ
り、平均粒子径の0.5倍以下の粒子径を持つ粒子個数
が全粒子個数の5%以下であり、SEM観察による平均
一次粒子径が0.1〜2μmであり、且つニッケル粉中
に含まれる酸素含有量が2質量%以下であることを特徴
とする。
【0013】また、上記のニッケル粉を製造する本発明
の製造方法は、凝集体を含むニッケル粉を原粉として用
いて湿式解粒処理を実施する際に、該原粉を含有するス
ラリー中に還元剤を添加して湿式解粒処理を実施するこ
とを特徴とする。更に、上記のニッケル粉を製造する本
発明の製造方法は、凝集体を含むニッケル粉を原粉とし
て用いて乾式解粒処理を実施する際に、不活性ガス又は
還元性ガス雰囲気中で該原粉の解粒処理を実施すること
を特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】レーザ回折散乱式粒度分布測定に
よる粒子径は、一次粒子の大きさではなく、凝集粒子の
大きさを捉えているので、凝集体を含めた粒子の粒度分
布が分かるので好都合である。なお、本発明において、
凝集体とは一次粒子が2個以上、通常は数個以上密に集
合したものを意味し、凝集体を含むニッケル粉とは凝集
体のみからなるニッケル粉並びに凝集体と一次粒子とか
らなるニッケル粉の両方を意味する。
【0015】本発明のニッケル粉においては、レーザ回
折散乱式粒度分布測定による平均粒子径の1.5倍以上
の粒子径を持つ粒子個数が全粒子個数の20%以下であ
ることが重要である。この範囲内であれば、粗粉が多量
には存在しないので、電極層間の短絡が生じにくい。平
均粒子径の1.5倍以上の粒子径を持つ粒子個数が全粒
子個数の15%以下であることが好ましく、10%以下
であることがより好ましい。
【0016】また、本発明のニッケル粉においては、レ
ーザ回折散乱式粒度分布測定による平均粒子径の0.5
倍以下の粒子径を持つ粒子個数が全粒子個数の5%以下
であることが重要である。この範囲内であれば、微粒の
量が少ないので、凝集がおきにくく(ニッケル粒子の凝
集度が小さく)、従ってペースト化する際の有機ビヒク
ル中へのニッケル粉の分散性に優れている(ニッケル粉
の分散度が高い)。平均粒子径の0.5倍以下の粒子径
を持つ粒子個数が全粒子個数の3%以下であることが好
ましく、1%以下であることがより好ましい。
【0017】また、本発明のニッケル粉においては、酸
素含有量が2質量%以下であることが重要である。この
範囲内であれば、そのようなニッケル粉をペースト化
し、積層セラミックコンデンサの電極、特に内部電極の
形成に用いても、焼成過程で誘電体中に拡散されるニッ
ケル酸化物の量が少ないので、その電極の導電性を十分
に確保することができる。酸素含有量が1.5質量%以
下であることが好ましく、1質量%以下であることがよ
り好ましい。
【0018】一般にニッケル粉は解粒処理中に酸化され
るとは考えられていなかった。しかし、凝集体を含むニ
ッケル粉に解粒処理を施した場合、各々の粒子と装置機
構や介在媒体との間、あるいは粒子同士間で生じるさま
ざまな物理的エネルギーがニッケル粉に与えられること
による発熱が粒子表面を中心とした酸化を助長する。一
次粒子径が小さくなればなるほどその凝集体の凝集度合
いは強くなるので、一次粒子径が2μm以下、特に1.
5μm以下の粒子の凝集体を解粒処理する場合に上記の
酸化が特に問題となる。
【0019】即ち、解粒処理によって得られた一次粒子
径が2μm以下の粒子径を持つニッケル粉を含有する導
電ペースト用いて形成されたセラミックコンデンサ電極
の場合、ニッケル粉表面の酸化がコンデンサの特性に悪
影響を及ぼす。とはいえ、解粒処理で一旦酸化されたニ
ッケル粉を再還元することはコスト面も含めて困難であ
る。
【0020】従って、本発明においてはSEM観察によ
る平均一次粒子径が0.1〜2μm、特に0.1〜1.
5μmであるニッケル粉を対象にしている。また、この
ような粒子径のニッケル粉を含む導電ペーストは積層セ
ラミックコンデンサの内部電極形成用として特に適して
いる。
【0021】本発明のニッケル粉は、上記したようにレ
ーザ回折散乱式粒度分布測定による平均粒子径の1.5
倍以上の粒子径を持つ粒子個数が全粒子個数の20%以
下であり、平均粒子径の0.5倍以下の粒子径を持つ粒
子個数が全粒子個数の5%以下であり、SEM観察によ
る平均一次粒子径が0.1〜2μmであり、且つニッケ
ル粉中に含まれる酸素含有量が2質量%以下であるの
で、粉体の電気抵抗率が小さく、導電ペースト製造時の
有機ビヒクル中への分散性に優れており、且つニッケル
酸化物の量が少ないことに起因して焼成時に誘電体中へ
拡散する量も少ないので導電ペースト用として優れてお
り、特に、積層セラミックコンデンサの電極形成に用い
る導電ペースト用として最適である。従って、本発明の
ニッケル粉を含有する導電ペーストは積層セラミックコ
ンデンサの電極形成に用いるのに特に適している。
【0022】本発明の積層セラミックコンデンサ用導電
ペーストの好ましい製造方法について述べる。本発明の
積層セラミックコンデンサ用導電ペーストは、上記した
本発明のニッケル粉、樹脂、溶剤等で構成され、更に必
要により分散剤、焼結抑制剤等を含有することができ
る。具体的には、樹脂としてエチルセルロース等のセル
ロース誘導体、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール樹
脂、ポリビニルアルコール等のビニル系の非硬化型樹
脂、エポキシ、アクリル等の好ましくは過酸化物を併用
した熱硬化性樹脂等を用いることができる。また、溶剤
として、テルピネオール、テトラリン、ブチルカルビト
ール、カルビトールアセテート等を単独で又は混合して
用いることができる。また、このペーストには必要に応
じてガラスフリットを加えてもよい。本発明の積層セラ
ミックコンデンサ用導電ペーストは以上の原料をボール
ミル、三本ロール等の混合用機械を用いて混合攪拌する
ことにより得られる。
【0023】次に本発明のニッケル粉の製造方法につい
て述べる。ニッケル粉は、一般的には、液相還元析出
法、気相化学反応法、ガス中蒸発法等の湿式、乾式の何
れの製造方法でも製造可能であるが、製造方法の違いに
よって形状、粒度分布、凝集性等の粉体特性が異なる。
【0024】本発明の課題である、酸素濃度が低く、粒
度分布特性が優れており、且つ凝集が小さく、導電ペー
スト製造時の有機ビヒクル中への分散性に優れているニ
ッケル粉を提供しようとしても、上記の製造方法で製造
されたままの状態では金属粉は程度の差はあっても何れ
も凝集しているので、上記の製造方法だけではそれらの
全ての特性を安定に達成することは困難である。かかる
問題を解決するためには、上記の製造方法により製造さ
れたニッケル粉を粉砕機、混練機、表面処理機等の各種
の装置を用いて、凝集をほぐしたり、断ち切ったりして
粒子を単分散に近づけ、個々の粒子表面の整面化や粒子
の球形化等を行う必要がある(本発明においては、便宜
上、これらの作用・効果をもたらす処理を全て「解粒処
理」と称する)。
【0025】しかし、凝集体を含むニッケル粉に解粒処
理を施した場合、各々の粒子と装置機構や介在媒体との
間、あるいは粒子同士間で生じるさまざまな物理的エネ
ルギーがニッケル粉に与えられることによる発熱が粒子
表面を中心とした酸化を助長し、遂には目標とする酸素
含有量の上限を超えてしまう恐れがある。
【0026】本発明では、かかる解粒処理時の不具合を
抑制する手段として、湿式法、乾式法のそれぞれに別個
の手段を見出した。即ち、本発明のニッケル粉の製造方
法において、凝集体を含むニッケル粉を原粉として用い
て湿式解粒処理を実施する際には、該原粉を含有するス
ラリー中に還元剤を添加して湿式解粒処理を実施する。
【0027】この方法によれば、凝集を断ち切る際や粒
子表面を整面する際等に粒子表面に生じる新しい断面や
破面に還元剤が作用して、酸化の進行を抑制することが
可能である。この効果をより確実にするためには、処理
するニッケル粒子含有スラリー中の総ニッケル含有量に
対して、各種還元剤を0.0005〜1当量分投入した
後、解粒処理を実施すれば良い。この還元剤の量が0.
0005当量より少ないと効果が不充分となり、また1
当量より多くてもコストに見合った効果が得られない。
【0028】この湿式解粒処理の際に用いることのでき
る還元剤としては弱還元性の液剤が好ましく、例えばエ
チレンジアミン四酢酸、ホルムアルデヒド、テトラヒド
ロホウ酸ナトリウム、次亜リン酸、ヒドラジン系還元剤
等を挙げることができ、またニッケル粉中への無機成分
の残存を避けるためには有機系還元剤がより好ましい。
【0029】また、解粒処理中のニッケル粒子含有スラ
リーの温度を25〜80℃に制御するのことが好まし
い。この温度が80℃より高くてもコストに見合った効
果が得られないし、25℃より低いと還元効果が得られ
にくい。更に、解粒処理後の後処理を行う際の環境も見
逃せない要件で、好ましくは湿度40%以下の環境下で
実施するのが良い。低温低湿下で処理を行うことによ
り、還元反応の進行を緩やかにでき、かつハンドリング
時の酸化度の上昇を防ぐことができる。
【0030】また、本発明のニッケル粉の製造方法にお
いて、凝集体を含むニッケル粉を原粉として用いて乾式
解粒処理を実施する際には、不活性ガス又は還元性ガス
雰囲気中で該原粉の解粒処理を実施する。この乾式解粒
処理の際に用いることのできる不活性ガス、還元性ガス
としては、窒素、アルゴン、ヘリウム、一酸化炭素、水
素含有窒素等が挙げられるが、安全性やコスト面を考慮
すると窒素を使用するのが好ましい。
【0031】この方法によれば、装置内の酸素濃度が抑
制されているので、凝集を断ち切る際や粒子表面を整面
する際等に粒子表面に生じる新しい断面や破面における
酸化の進行を抑制することが可能である。装置内の酸素
濃度については大気中のそれよりも低ければ特に制限さ
れることはないが、上記の効果をより確実にする条件と
しては、装置内の酸素濃度を10000ppm以下、よ
り好ましくは1000ppm以下にして解粒処理を実施
すれば良い。この酸素濃度が高いと酸化抑制効果が得ら
れないことは言うまでもない。
【0032】なお、上記の湿式、乾式の何れの解粒処理
においても、ニッケル粉は前記の湿式、乾式の何れの製
造方法で製造されたものを任意に使用できる。また、本
発明のニッケル粉の製造方法においては、上記した解粒
処理に剪断摩擦式粉砕装置、高速回転式及び/又は圧力
式衝突粉砕装置、メディア攪拌式粉砕装置、及び圧縮剪
断式粉砕装置の内の1種又は2種以上の装置を用いるこ
とができる。
【0033】解粒処理については前記で定義したが、そ
の処理に利用できる各種装置において最も重要な作用は
剪断作用、摩砕(摩擦)作用であるが、それ以外にも衝
突作用、衝撃作用、圧縮作用のある装置も利用できる。
但し、圧縮作用等が大きい装置、例えばニッケル粉が装
置機構より直接大きな応力を受けるような装置を用いた
場合、展延性に富む金属粉ゆえに粒子の変形が生じ易い
ので、加圧条件等に注意を要する。
【0034】また、本発明のニッケル粉の製造方法にお
いては、上記した解粒処理にスーパーハイブリッドミル
(石川島播磨重工製)、ジェットミル(セイシン企業
製)、スーパーマスコロイダー(増幸産業製)、ビーズ
ミル(入江商会製)、ダイノーミル( Willy A. Bachof
en AG Maschinenfabrik 製)、アルティマイザー(スギ
ノマシン製)、NCミル(石井粉砕機械製作所製)、デ
ィスインテグレータ(大塚鉄工製)、ミックスマーラー
(松本鋳造鉄工所製)、ウェットパンミル(三石深井
製)、アイリッヒミル(マツボー製)、ローラミル(栗
本鐵工所製)、パルベライザ(ホソカワミクロン製)、
ターボミル(マツボー製)、スーパーミクロン(ホソカ
ワミクロン製)、マイクロス(奈良機械製)、ニューコ
スモマイザー(奈良機械製)、ファインビクトルミル
(ホソカワミクロン製)、エコプレックス(ホソカワミ
クロン製)、CFミル(宇部興産製)、ハイブリタイザ
(奈良機械製)、ピンミル(アルピネー製)、圧力ホモ
ジナイザ(日本精機製作所製)、ハレルホモジナイザ
(国産精工製)、及びメカノフュージョンシステム(ホ
ソカワミクロン製)の内の1種又は2種以上の装置を用
いることができる。
【0035】これらの装置は、前記の各作用を有する各
種装置であり、これら装置の総称、一般名、商品名等が
種々あって、名称だけ異なっている場合があるが、基本
的には前記の各作用(剪断、摩砕、衝突、衝撃、圧縮作
用)を有す装置であれば何れも使用できる。
【0036】
【実施例】以下に実施例及び比較例に基づいて本発明を
具体的に説明する。 実施例1 硫酸ニッケル・六水和物(品位22.2質量%)44.
8Kgを純水80Lに溶解して得た水溶液を、水酸化ナ
トリウム濃度200g/Lの水溶液100Lにその液温
を60℃に維持しながらゆっくりと滴下して、ニッケル
の水酸化物を析出させた。
【0037】この懸濁液にその液温を60℃に維持しな
がらヒドラジン・一水和物30Kgを30分間にわたっ
て添加してニッケルの水酸化物をニッケルに還元した。
この生成ニッケル粒子含有スラリーを洗浄液のpHが9
以下になるまで純水で洗浄した後、スラリー中のニッケ
ル総量に対して0.5当量となる量の次亜リン酸を添加
した上で、ハレルホモジナイザKH−2型(国産精工
製)を用いて回転速度5000rpm、スラリー処理速
度27.5L/分、スラリー温度40℃で2時間処理し
た。処理後のニッケル粒子含有スラリーを濾過し、乾燥
してニッケル粉を得た。この間の処理環境については気
温60℃、湿度10%とした。
【0038】このニッケル粉0.1gをSNディスパー
サント5468の0.1%水溶液(サンノプコ社製)と
混合し、超音波ホモジナイザ(日本精機製作所製US−
300T)で5分間分散させた後、レーザ回折散乱式粒
度分布測定装置 Micro TracHRA 9320-X100 型(Leeds
+ Northrup 製)を用いて粒子径を測定したところ、平
均粒子径は0.63μmであり、0.94μm(0.6
3×1.5=0.945)を越える粒子径を有する粒子
個数比率は8.2%であり、0.32μm(0.63×
0.5=0.315)を下回る粒子径を有する粒子個数
比率は0%であった。
【0039】このニッケル粉を1万倍のSEMによって
観察し、500個の粒子の粒子径を測定した結果、平均
粒子径は0.55μmであった。このニッケル粉の酸素
含有率は、堀場製作所製酸素分析計EMGA−550F
A型により分析した結果、0.98質量%であった。こ
のニッケル粉20gをロレスタPD−41型(三菱化学
製)により3.9×103 Nでプレスし、粉体の電気抵
抗率を測定した結果、7×10-2Ω・cmであった。
【0040】また、このニッケル粉100質量部に、エ
チルセルロース10質量部及びテルピネオール90質量
部からなるビヒクルを加え、これらを混合した後、ロー
ルミルで混練して導電ペーストを調製した。調製した導
電ペーストについて、JISK 5400(塗料一般試
験方法)の線条法に準拠し、0−5μmつぶゲージを用
いて導電ペースト中のニッケル粉の分散度 (ニッケル粒
子の凝集度) を測定した。その結果は2.0μmであっ
た。
【0041】実施例2 硫酸ニッケル・六水和物(品位22.2質量%)44.
8Kgを純水80Lに溶解して得た水溶液を、水酸化ナ
トリウム濃度200g/Lの水溶液100Lにその液温
を60℃に維持しながらゆっくりと滴下して、ニッケル
の水酸化物を析出させた。
【0042】この懸濁液にその液温を60℃に維持しな
がらヒドラジン・一水和物30Kgを30分間にわたっ
て添加してニッケルの水酸化物をニッケルに還元した。
この生成ニッケル粒子含有スラリーを洗浄液のpHが9
以下になるまで純水で洗浄した後、スラリー中のニッケ
ル総量に対して0.01当量となる量のテトラヒドロホ
ウ酸ナトリウムを添加した上で、アルティマイザーHJ
P−25030型(スギノマシン製)を用いて、200
0KPa、スラリー温度40℃の条件下で20回通液処
理した。処理後のニッケル粒子含有スラリーを濾過し、
乾燥してニッケル粉を得た。この間の処理環境について
は気温60℃、湿度10%とした。
【0043】このニッケル粉を実施例1で用いた処理法
及び装置を用いて粒子径を測定したところ、平均粒子径
は0.68μmであり、1.02μm(0.68×1.
5=1.020)を越える粒子径を有する粒子個数比率
は5.2%であり、0.34μm(0.68×0.5=
0.340)を下回る粒子径を有する粒子個数比率は0
%であった。
【0044】このニッケル粉を1万倍のSEMによって
観察し、500個の粒子の粒子径を測定した結果、平均
粒子径は0.50μmであった。このニッケル粉の酸素
含有率は、堀場製作所製酸素分析計EMGA−550F
A型により分析した結果、0.86質量%であった。こ
のニッケル粉20gをロレスタPD−41型(三菱化学
製)により3.9×103 Nでプレスし、粉体の電気抵
抗率を測定した結果、3×10-3Ω・cmであった。
【0045】また、このニッケル粉100質量部に、エ
チルセルロース10質量部及びテルピネオール90質量
部からなるビヒクルを加え、これらを混合した後、ロー
ルミルで混練して導電ペーストを調製した。調製した導
電ペーストについて、JISK 5400(塗料一般試
験方法)の線条法に準拠し、0−5μmつぶゲージを用
いて導電ペースト中のニッケル粉の分散度 (ニッケル粒
子の凝集度) を測定した。その結果は1.6μmであっ
た。
【0046】実施例3 硫酸ニッケル・六水和物(品位22.2質量%)44.
8Kgを純水80Lに溶解して得た水溶液を、水酸化ナ
トリウム濃度200g/Lの水溶液100Lにその液温
を60℃に維持しながらゆっくりと滴下して、ニッケル
の水酸化物を析出させた。
【0047】この懸濁液にその液温を60℃に維持しな
がらヒドラジン・一水和物30Kgを30分間にわたっ
て添加してニッケルの水酸化物をニッケルに還元した。
この生成ニッケル粒子含有スラリーを洗浄液のpHが9
以下になるまで純水で洗浄した後、スラリー中のニッケ
ル総量に対して0.001当量となる量のヒドラジン・
一水和物を添加した上で、ダイノーミルKDL型( Wil
ly A. Bachofen AG Maschinenfabrik 製)(ガラスビー
ズの粒子径2mmφ)を用いてスラリー処理速度1L/
分、スラリー温度40℃の条件下で15分間処理した。
処理後のニッケル粒子含有スラリーを濾過し、乾燥して
ニッケル粉を得た。この間の処理環境については気温6
0℃、湿度10%とした。
【0048】このニッケル粉を実施例1で用いた処理法
及び装置を用いて粒子径を測定したところ、平均粒子径
は0.65μmであり、0.97μm(0.65×1.
5=0.975)を越える粒子径を有する粒子個数比率
は5.1%であり、0.33μm(0.65×0.5=
0.325)を下回る粒子径を有する粒子個数比率は
1.0%であった。
【0049】このニッケル粉を1万倍のSEMによって
観察し、500個の粒子の粒子径を測定した結果、平均
粒子径は0.52μmであった。このニッケル粉の酸素
含有率は、堀場製作所製酸素分析計EMGA−550F
A型により分析した結果、0.94質量%であった。こ
のニッケル粉20gをロレスタPD−41型(三菱化学
製)により3.9×103 Nでプレスし、粉体の電気抵
抗率を測定した結果、4×10-3Ω・cmであった。
【0050】また、このニッケル粉100質量部に、エ
チルセルロース10質量部及びテルピネオール90質量
部からなるビヒクルを加え、これらを混合した後、ロー
ルミルで混練して導電ペーストを調製した。調製した導
電ペーストについて、JISK 5400(塗料一般試
験方法)の線条法に準拠し、0−5μmつぶゲージを用
いて導電ペースト中のニッケル粉の分散度 (ニッケル粒
子の凝集度) を測定した。その結果は1.5μmであっ
た。
【0051】実施例4 硫酸ニッケル・六水和物(品位22.2質量%)44.
8Kgを純水80Lに溶解して得た水溶液を、水酸化ナ
トリウム濃度200g/Lの水溶液100Lにその液温
を60℃に維持しながらゆっくりと滴下して、ニッケル
の水酸化物を析出させた。
【0052】この懸濁液にその液温を60℃に維持しな
がらヒドラジン・一水和物30Kgを30分間にわたっ
て添加してニッケルの水酸化物をニッケルに還元し、こ
のニッケル粒子含有スラリーを濾過し、洗浄液のpHが
9以下になるまで純水で洗浄した後、乾燥してニッケル
粉を得た。
【0053】このニッケル粉をミックスマーラーである
サンドミルMPUV−2型(松本鋳造鉄工所製)に投入
し、装置内酸素濃度が800ppmとなるように窒素ガ
スを供給しながら、線加重10Kg/cm、装置内雰囲
気温度20℃で30分間処理した。この際の処理環境は
気温60℃、湿度10%とした。
【0054】このニッケル粉を実施例1で用いた処理法
及び装置を用いて粒子径を測定したところ、平均粒子径
は0.58μmであり、0.87μm(0.58×1.
5=0.870)を越える粒子径を有する粒子個数比率
は7.4%であり、0.29μm(0.58×0.5=
0.290)を下回る粒子径を有する粒子個数比率は
3.0%であった。
【0055】このニッケル粉を1万倍のSEMによって
観察し、500個の粒子の粒子径を測定した結果、平均
粒子径は0.50μmであった。このニッケル粉の酸素
含有率は、堀場製作所製酸素分析計EMGA−550F
A型により分析した結果、1.13質量%であった。こ
のニッケル粉20gをロレスタPD−41型(三菱化学
製)により3.9×103 Nでプレスし、粉体の電気抵
抗率を測定した結果、4×10-2Ω・cmであった。
【0056】また、このニッケル粉100質量部に、エ
チルセルロース10質量部及びテルピネオール90質量
部からなるビヒクルを加え、これらを混合した後、ロー
ルミルで混練して導電ペーストを調製した。調製した導
電ペーストについて、JISK 5400(塗料一般試
験方法)の線条法に準拠し、0−5μmつぶゲージを用
いて導電ペースト中のニッケル粉の分散度 (ニッケル粒
子の凝集度) を測定した。その結果は2.1μmであっ
た。
【0057】実施例5 硫酸ニッケル・六水和物(品位22.2質量%)44.
8Kgを純水80Lに溶解して得た水溶液を、水酸化ナ
トリウム濃度200g/Lの水溶液100Lにその液温
を60℃に維持しながらゆっくりと滴下して、ニッケル
の水酸化物を析出させた。
【0058】この懸濁液にその液温を60℃に維持しな
がらヒドラジン・一水和物30Kgを30分間にわたっ
て添加してニッケルの水酸化物をニッケルに還元し、こ
のニッケル粒子含有スラリーを濾過し、洗浄液のpHが
9以下になるまで純水で洗浄した後、乾燥してニッケル
粉を得た。
【0059】このニッケル粉をナイフ型ハンマを装備し
たパルベライザAP−1SH型(ホソカワミクロン製)
に投入し、装置内酸素濃度が3000ppmとなるよう
に窒素ガスを供給しながら、回転速度2500rpm、
装置内雰囲気温度20℃で処理した。この際の処理環境
は気温60℃、湿度10%とした。
【0060】このニッケル粉を実施例1で用いた処理法
及び装置を用いて粒子径を測定したところ、平均粒子径
は0.67μmであり、1.00μm(0.67×1.
5=1.005)を越える粒子径を有する粒子個数比率
は8.6%であり、0.34μm(0.67×0.5=
0.335)を下回る粒子径を有する粒子個数比率は
3.4%であった。
【0061】このニッケル粉を1万倍のSEMによって
観察し、500個の粒子の粒子径を測定した結果、平均
粒子径は0.56μmであった。このニッケル粉の酸素
含有率は、堀場製作所製酸素分析計EMGA−550F
A型により分析した結果、1.03質量%であった。こ
のニッケル粉20gをロレスタPD−41型(三菱化学
製)により3.9×103 Nでプレスし、粉体の電気抵
抗率を測定した結果、6×10-2Ω・cmであった。
【0062】また、このニッケル粉100質量部に、エ
チルセルロース10質量部及びテルピネオール90質量
部からなるビヒクルを加え、これらを混合した後、ロー
ルミルで混練して導電ペーストを調製した。調製した導
電ペーストについて、JISK 5400(塗料一般試
験方法)の線条法に準拠し、0−5μmつぶゲージを用
いて導電ペースト中のニッケル粉の分散度 (ニッケル粒
子の凝集度) を測定した。その結果は2.8μmであっ
た。
【0063】比較例1 解粒処理を施さなかった以外は実施例1と同様の方法に
よってニッケル粉を得た。このニッケル粉を実施例1で
用いた処理法及び装置を用いて粒子径を測定したとこ
ろ、平均粒子径は0.94μmであり、1.41μm
(0.94×1.5=1.410)を越える粒子径を有
する粒子個数比率は21.6%であり、0.47μm
(0.94×0.5=0.470)を下回る粒子径を有
する粒子個数比率は5.5%であった。
【0064】このニッケル粉を1万倍のSEMによって
観察し、500個の粒子の粒子径を測定した結果、平均
粒子径は0.49μmであった。このニッケル粉の酸素
含有率は、堀場製作所製酸素分析計EMGA−550F
A型により分析した結果、0.94質量%であった。こ
のニッケル粉20gをロレスタPD−41型(三菱化学
製)により3.9×103 Nでプレスし、粉体の電気抵
抗率を測定した結果、3×100 Ω・cmであった。
【0065】また、このニッケル粉100質量部に、エ
チルセルロース10質量部及びテルピネオール90質量
部からなるビヒクルを加え、これらを混合した後、ロー
ルミルで混練して導電ペーストを調製した。調製した導
電ペーストについて、JISK 5400(塗料一般試
験方法)の線条法に準拠し、0−5μmつぶゲージを用
いて導電ペースト中のニッケル粉の分散度 (ニッケル粒
子の凝集度) を測定した。その結果は5μmを超えるも
のであった。
【0066】比較例2 解粒処理の際に、次亜リン酸を添加しなかった以外は実
施例1と同様の方法にてニッケル粉を得た。このニッケ
ル粉を実施例1で用いた処理法及び装置を用いて粒子径
を測定したところ、平均粒子径は0.64μmであり、
0.96μm(0.64×1.5=0.960)を越え
る粒子径を有する粒子個数比率は8.4%であり、0.
32μm(0.64×0.5=0.320)を下回る粒
子径を有する粒子個数比率は2.9%であった。
【0067】このニッケル粉を1万倍のSEMによって
観察し、500個の粒子の粒子径を測定した結果、平均
粒子径は0.54μmであった。このニッケル粉の酸素
含有率は、堀場製作所製酸素分析計EMGA−550F
A型により分析した結果、2.40質量%であった。こ
のニッケル粉20gをロレスタPD−41型(三菱化学
製)により3.9×103 Nでプレスし、粉体の電気抵
抗率を測定した結果、1×102 Ω・cmであった。
【0068】また、このニッケル粉100質量部に、エ
チルセルロース10質量部及びテルピネオール90質量
部からなるビヒクルを加え、これらを混合した後、ロー
ルミルで混練して導電ペーストを調製した。調製した導
電ペーストについて、JISK 5400(塗料一般試
験方法)の線条法に準拠し、0−5μmつぶゲージを用
いて導電ペースト中のニッケル粉の分散度 (ニッケル粒
子の凝集度) を測定した。その結果は3.5μmであっ
た。
【0069】比較例3 解粒処理の際に、窒素ガスを供給しなかった以外は実施
例4と同様の方法にてニッケル粉を得た。このニッケル
粉を実施例1で用いた処理法及び装置を用いて粒子径を
測定したところ、平均粒子径は0.60μmであり、
0.90μm(0.60×1.5=0.900)を越え
る粒子径を有する粒子個数比率は7.5%であり、0.
30μm(0.60×0.5=0.300)を下回る粒
子径を有する粒子個数比率は3.4%であった。
【0070】このニッケル粉を1万倍のSEMによって
観察し、500個の粒子の粒子径を測定した結果、平均
粒子径は0.50μmであった。このニッケル粉の酸素
含有率は、堀場製作所製酸素分析計EMGA−550F
A型により分析した結果、2.80質量%であった。こ
のニッケル粉20gをロレスタPD−41型(三菱化学
製)により3.9×103 Nでプレスし、粉体の電気抵
抗率を測定した結果、6×101 Ω・cmであった。
【0071】また、このニッケル粉100質量部に、エ
チルセルロース10質量部及びテルピネオール90質量
部からなるビヒクルを加え、これらを混合した後、ロー
ルミルで混練して導電ペーストを調製した。調製した導
電ペーストについて、JISK 5400(塗料一般試
験方法)の線条法に準拠し、0−5μmつぶゲージを用
いて導電ペースト中のニッケル粉の分散度 (ニッケル粒
子の凝集度) を測定した。その結果は3.0μmであっ
た。
【0072】上記した実施例1〜5及び比較例1〜3で
得られたデータからも明らかなように、本発明の構成要
件を満足する実施例1〜5においては、粉体の電気抵抗
率及び導電ペースト中のニッケル粉の分散度 (ニッケル
粒子の凝集度) の点で満足できるものであったが、本発
明の構成要件を満たさない比較例1〜3においては、粉
体の電気抵抗率及び導電ペースト中のニッケル粉の分散
度 (ニッケル粒子の凝集度) の両方について不満足であ
った。
【0073】
【発明の効果】本発明のニッケル粉は、酸素濃度が低
く、粒度分布特性が優れており、且つ凝集が小さく、導
電ペースト製造時の有機ビヒクル中への分散性に優れて
いるので導電ペースト用として優れており、特に、積層
セラミックコンデンサの電極形成に用いる導電ペースト
用として最適である。また、本発明のニッケル粉の製造
方法によれば、上記効果の優れたニッケル粉を複雑な処
理を要さずに、経済的に製造することができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01G 4/008 H01G 4/12 361 4/12 361 1/01

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】レーザ回折散乱式粒度分布測定による平均
    粒子径の1.5倍以上の粒子径を持つ粒子個数が全粒子
    個数の20%以下であり、平均粒子径の0.5倍以下の
    粒子径を持つ粒子個数が全粒子個数の5%以下であり、
    SEM観察による平均一次粒子径が0.1〜2μmであ
    り、且つニッケル粉中に含まれる酸素含有量が2質量%
    以下であることを特徴とするニッケル粉。
  2. 【請求項2】解粒処理によって得られたニッケル粉であ
    ることを特徴とする請求項1記載のニッケル粉。
  3. 【請求項3】請求項1又は2記載のニッケル粉を含有す
    ることを特徴とする積層セラミックコンデンサの電極形
    成に用いる導電ペースト。
  4. 【請求項4】凝集体を含むニッケル粉を原粉として用い
    て湿式解粒処理を実施する際に、該原粉を含有するスラ
    リー中に還元剤を添加して湿式解粒処理を実施すること
    を特徴とする請求項1又は2記載のニッケル粉の製造方
    法。
  5. 【請求項5】凝集体を含むニッケル粉を原粉として用い
    て乾式解粒処理を実施する際に、不活性ガス又は還元性
    ガス雰囲気中で該原粉の解粒処理を実施することを特徴
    とする請求項1又は2記載のニッケル粉の製造方法。
  6. 【請求項6】剪断摩擦式粉砕装置、高速回転式及び/又
    は圧力式衝突粉砕装置、メディア攪拌式粉砕装置、及び
    圧縮剪断式粉砕装置の内の1種又は2種以上の装置を用
    いて解粒処理を実施することを特徴とする請求項4又は
    5記載のニッケル粉の製造方法。
  7. 【請求項7】スーパーハイブリッドミル、ジェットミ
    ル、スーパーマスコロイダー、ビーズミル、ダイノーミ
    ル、アルティマイザー、NCミル、ディスインテグレー
    タ、ミックスマーラー、ウェットパンミル、アイリッヒ
    ミル、ローラミル、パルベライザ、ターボミル、スーパ
    ーミクロン、マイクロス、ニューコスモマイザー、ファ
    インビクトルミル、エコプレックス、CFミル、ハイブ
    リタイザ、ピンミル、圧力ホモジナイザ、ハレルホモジ
    ナイザ、メカノフュージョンシステムの内の1種又は2
    種以上の装置を用いて解粒処理を実施することを特徴と
    する請求項4又は5記載のニッケル粉の製造方法。
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