JP2006216388A - 導電性微粒子及び異方性導電材料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材微粒子の表面が導電性膜で被覆されており、前記導電性膜は表面に隆起した突起を有する導電性微粒子であって、前記導電性膜の表面の隆起した突起は、軟質の金属粒子と硬質の非金属粒子とをそれぞれ芯物質とし、軟質の金属粒子の平均粒子径は、硬質の非金属粒子の平均粒子径に対して1.05〜6倍である導電性微粒子、好ましくは軟質の金属粒子の平均粒子径は10.5〜600nm硬質の非金属粒子の平均粒子径は10〜100nmである導電性微粒子、好ましくは軟質の金属粒子のビッカース硬度は50〜999硬質の非金属粒子のビッカース硬度は1000〜3000である導電性微粒子。
【選択図】なし
Description
これらの異方性導電材料は、例えば、液晶ディスプレイ、パーソナルコンピュータ、携帯電話等の電子機器において、基板同士を電気的に接続したり、半導体素子等の小型部品を基板に電気的に接続したりするために、相対向する基板や電極端子の間に挟み込んで使用されている。
上記導電性微粒子の接続抵抗を低減するためには、例えば表面に突起を有する導電性微粒子が報告されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
特許文献2には、非導電性微粒子に、無電解ニッケルメッキ法におけるニッケルメッキ液の自己分解を利用して、ニッケルの微小突起とニッケル被膜を同時に形成させ、導電性無電解メッキ粉体を製造する方法が記載されている。しかしながら、この製造方法では、その突起部分はニッケル塊からなる突起であり、その大きさ、形状等を制御することは極めて困難であった。
例えば、ITO電極とAl電極とのように異なる電極間に異方性導電フィルムで熱圧着する際に、特許文献1や特許文献2のように突起部分が単一の材質で形成されているものでは、突起部分の硬さの違いによりそれぞれの電極に適した接続をするためには、非常に精密な圧力制御を必要とするという問題があった。また、非常に精密な圧力制御を行ったとしてもなお、軟らかくて絶縁性樹脂の排除が十分でなかったり、硬くて電極を傷つけたりすることがあり、電極間の接続の導電信頼性は十分ではなかった。
本発明の導電性微粒子は、基材微粒子の表面が導電性膜で被覆されており、前記導電性膜は表面に隆起した突起を有するものである。
また、軟質の金属粒子の平均粒子径は、硬質の非金属粒子の平均粒子径に対して、1.05〜6倍であることが必要である。
従って、本発明における突起は、軟質の金属粒子と硬質の非金属粒子とからなる芯物質と、上記導電性膜とから構成され、導電性膜の表面に隆起した突起として現れる。この突起の存在により、異方性導電フィルム等により電極間を熱圧着する際に、突起が絶縁性樹脂の排除効果等により、接続抵抗値が低く導電信頼性に優れた導電接続を得ることができる。
軟質の金属粒子の平均粒子径が10.5nm未満である場合は、芯物質として小さすぎ導電性膜表面に隆起した突起として現れず突起の効果が得られないことがあり、600nmを超える場合は、芯物質として大きすぎ導電性膜表面に隆起した突起が大きくなりすぎて導電性微粒子の粒子径が不揃いとなり安定した接続が得られないことがある。
同様に、硬質の非金属粒子の平均粒子径が10nm未満である場合は、芯物質として小さすぎ導電性膜表面に隆起した突起として現れず突起の効果が得られないことがあり、100nmを超える場合は、芯物質として大きすぎ導電性膜表面に隆起した突起が大きくなりすぎて導電性微粒子の粒子径が不揃いとなり安定した接続が得られないことがある。
上記ビッカース硬度は、押込硬さの一種であり、対面角が136度の正四角錐形のダイヤモンド圧子に静荷重をかけて試験片に永久くぼみをつけ、くぼみの対角線の長さを測定して硬さ(指数)を求めたものである。ビッカース硬度の特長は、荷重の大小にかかわらずくぼみが常に相似形になるので、試験荷重に無関係に硬さの測定値が同じ数値になるという相似の法則がなりたち、従って異なった荷重による値をそのまま比較できる点である。
また、硬質の非金属粒子のビッカース硬度が1000未満である場合は、硬質なものとした効果が得られないことがあり、3000を超える場合は、芯物質として硬すぎて突起が電極を傷つけたりすることがある。
芯物質が基材微粒子に接触しているか、又は基材微粒子から5nm以内の距離に存在することにより、芯物質が確実にメッキ被膜で覆われることになり、隆起した突起の基材微粒子に対する密着性が優れた導電性微粒子を得ることができ、また、隆起した突起の高さが揃った導電性微粒子を得ることができる。従って、上記導電性微粒子を異方性導電材料として用いた電極間の接続時には、導電性微粒子の導電性能のばらつきが小さくなり、導電信頼性に優れるという効果が得られる。
これらの樹脂微粒子は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記突起部分の平均高さは、芯物質の粒子径と導電性膜とに依存するが、導電性微粒子の平均粒子径の0.5%未満であると、突起の効果が得られにくく、25%を超えると、電極に深くめり込み電極を破損させる恐れがある。
上記突起部分の平均高さのより好ましい範囲は、導電性微粒子の平均粒子径の1〜20%である。
なお、突起部分の平均高さは、後述する電子顕微鏡による測定方法により求める。
最表面を金層とすることにより、接続抵抗値の低減化や表面の安定化を図ることができる。なお、導電性膜が金層である場合は、あらためて金層を形成しなくても、上述の、接続抵抗値の低減化や表面の安定化を図ることができる。
本発明における導電性微粒子の各種特性、例えば、導電性膜の膜厚、金層の膜厚、基材微粒子の平均粒子径、導電性微粒子の平均粒子径、金属粒子又は非金属粒子の平均粒子径、芯物質の形状、突起の形状、突起部分の平均高さ等は、電子顕微鏡による導電性微粒子の粒子観察又は断面観察により得ることができる。
上記導電性微粒子の平均粒子径は、無作為に選んだ20個の導電性微粒子について粒子径を測定し、それを算術平均したものとする。
上記金属粒子又は非金属粒子の平均粒子径は、無作為に選んだ金属粒子又は非金属粒子それぞれ各20個について粒子径を測定し、それを算術平均したものとする。
本発明における導電性膜の形成は、例えば、無電解ニッケルメッキ法により形成することができる。上記無電解ニッケルメッキを行う方法としては、例えば、次亜リン酸ナトリウムを還元剤として構成される無電解ニッケルメッキ液を所定の方法にしたがって建浴、加温したところに、触媒付与された基材微粒子を浸漬し、Ni2++H2PO2 -+H2O→Ni+H2PO3 -+2H+ からなる還元反応でニッケル層を析出させる方法等が挙げられる。
次に、本発明の異方性導電材料は、上述した本発明の導電性微粒子が樹脂バインダーに分散されてなるものである。
(無電解メッキ前処理工程)
平均粒子径3μmのジビニルベンゼン系重合体からなる基材微粒子10gに、水酸化ナトリウム水溶液によるアルカリ脱脂、酸中和、二塩化スズ溶液におけるセンシタイジングを行った。その後、二塩化パラジウム溶液におけるアクチベイチングからなる無電解メッキ前処理を施し、濾過洗浄後、粒子表面にパラジウムを付着させた基材微粒子を得た。
得られた基材微粒子を脱イオン水300mlで攪拌により3分間分散させた後、その水溶液に金属粒子としてニッケル粒子(三井金属社製「2020SUS」、平均粒子径200nm、ビッカース硬度500)1g、及び非金属粒子としてシリカ粒子(平均粒子径100nm、ビッカース硬度1800)1gを添加し、芯物質を付着させた基材微粒子を得た。
得られた基材微粒子を更に水1200mlで希釈し、メッキ安定剤4mlを添加後、この水溶液に硫酸ニッケル450g/l、次亜リン酸ナトリウム150g/l、クエン酸ナトリウム116g/l、メッキ安定剤6mlの混合溶液120mlを81ml/分の添加速度で定量ポンプを通して添加した。その後、pHが安定するまで攪拌し、水素の発泡が停止するのを確認し、無電解メッキ前期工程を行った。
その後、更に、置換メッキ法により表面に金メッキを施し、導電性微粒子を得た。
芯物質複合化工程において、非金属粒子としてシリカ粒子(平均粒子径100nm、ビッカース硬度1800)1gの代わりに、シリコンカーバイド粒子(イビデン社製、平均粒子径100nm、ビッカース硬度2400)1gを用いたこと以外は実施例1と同様にして、ニッケルメッキされた導電性微粒子を得た。
その後、更に、置換メッキ法により表面に金メッキを施し、導電性微粒子を得た。
芯物質複合化工程において、金属粒子としてニッケル粒子(三井金属社製「2020SUS」、平均粒子径200nm、ビッカース硬度500)1gの代わりに、ニッケル粒子(三井金属社製「2007SUS」、平均粒子径50nm、ビッカース硬度500)1gを用いたこと、及び、非金属粒子としてシリカ粒子(平均粒子径100nm、ビッカース硬度1800)1gの代わりに、シリカ粒子(平均粒子径40nm、ビッカース硬度1800)1gを用いたこと以外は実施例1と同様にして、ニッケルメッキされた導電性微粒子を得た。
その後、更に、置換メッキ法により表面に金メッキを施し、導電性微粒子を得た。
芯物質複合化工程において、金属粒子としてニッケル粒子(三井金属社製「2020SUS」、平均粒子径200nm、ビッカース硬度500)1gに代えて2g用いたこと、及び、非金属粒子は用いなかったこと以外は実施例1と同様にして、ニッケルメッキされた導電性微粒子を得た。
その後、更に、置換メッキ法により表面に金メッキを施し、導電性微粒子を得た。
基材微粒子に無電解メッキ前処理工程の後、芯物質複合化工程を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、ニッケルメッキされた導電性微粒子を得た。
その後、更に、置換メッキ法により表面に金メッキを施し、導電性微粒子を得た。
実施例及び比較例で得られた導電性微粒子について、日本電子データム社製透過電子顕微鏡(TEM)による断面観察、及び日立ハイテクノロジーズ社製走査電子顕微鏡(SEM)による粒子観察を行った。
その結果、実施例1、実施例2、実施例3、及び比較例1の導電性微粒子は、メッキ被膜の表面に隆起した突起が観察されたが、比較例2の導電性微粒子は、突起が観察されなかった。
また、これらの導電性微粒子の、メッキ被膜の膜厚、金層の膜厚を表1に示した。
実施例及び比較例で得られた導電性微粒子を用いて異方性導電材料を作製し、電極間の抵抗値、及び電極間のリーク電流の有無を評価した。
次いで、樹脂バインダーの樹脂としてエポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製、「エピコート828」)100重量部、トリスジメチルアミノエチルフェノール2重量部、及びトルエン100重量部に、得られたそれぞれの導電性微粒子を添加し、遊星式攪拌機を用いて充分に混合した後、離型フィルム上に乾燥後の厚さが7μmとなるように塗布し、トルエンを蒸発させて導電性微粒子を含有する接着性フィルムを得た。なお、導電性微粒子の配合量は、フィルム中の含有量が5万個/cm2 となるようにした。
得られた接着性フィルムと導電性微粒子を含有する接着性フィルムとを常温でラミネートすることにより、2層構造を有する厚さ17μmの異方性導電フィルムを得た。
このガラス基板の接合部を、10N又は5N、100℃の圧着条件で熱圧着した後、電極間の抵抗値、及び電極間のリーク電流の有無を評価した。これらの結果を表1に示した。
Claims (9)
- 基材微粒子の表面が導電性膜で被覆されており、前記導電性膜は表面に隆起した突起を有する導電性微粒子であって、
前記導電性膜の表面の隆起した突起は、軟質の金属粒子と硬質の非金属粒子とをそれぞれ芯物質とし、
軟質の金属粒子の平均粒子径は、硬質の非金属粒子の平均粒子径に対して、1.05〜6倍であることを特徴とする導電性微粒子。 - 軟質の金属粒子の平均粒子径は10.5〜600nmであり、硬質の非金属粒子の平均粒子径は10〜100nmであることを特徴とする請求項1記載の導電性微粒子。
- 軟質の金属粒子のビッカース硬度は50〜999であり、硬質の非金属粒子のビッカース硬度は1000〜3000であることを特徴とする請求項1又は2記載の導電性微粒子。
- 軟質の金属粒子は、ニッケル、銅、金、銀、及び亜鉛から選ばれる少なくとも1種の金属からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電性微粒子。
- 硬質の非金属粒子は、シリカ、シリコンカーバイド、アルミナ、ジルコニア、ダイアモンド、及び窒化ホウ素から選ばれる少なくとも1種の非金属からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電性微粒子。
- 基材微粒子は、樹脂微粒子であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の導電性微粒子。
- 隆起した突起部分の平均高さが、導電性微粒子の平均粒子径の0.5%以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の導電性微粒子。
- 最表面を金層とする導電性膜が形成されてなることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の導電性微粒子。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の導電性微粒子が樹脂バインダーに分散されてなることを特徴とする異方性導電材料。
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