JP2001247640A - ビスマレイミド変性フェノール樹脂、パッド、シュー - Google Patents

ビスマレイミド変性フェノール樹脂、パッド、シュー

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JP2001247640A
JP2001247640A JP2000060662A JP2000060662A JP2001247640A JP 2001247640 A JP2001247640 A JP 2001247640A JP 2000060662 A JP2000060662 A JP 2000060662A JP 2000060662 A JP2000060662 A JP 2000060662A JP 2001247640 A JP2001247640 A JP 2001247640A
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phenolic resin
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resin
modified phenolic
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Satoshi Fujita
聡 藤田
Masaaki Kobayashi
雅明 小林
Iera Redei Paidei
イエラ レディ パイディ
Tomio Inoue
富雄 井上
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Aisin Chemical Co Ltd
Aisin Corp
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Aisin Seiki Co Ltd
Aisin Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 約300〜600℃の温度範囲内での耐熱性
を向上させたビスマレイミド変性フェノール樹脂を提供
すること。また、耐フェード性を向上させたパッド及び
シューを提供すること。 【解決手段】 本実施の形態のビスマレイミド変性フェ
ノール樹脂では、フェノール樹脂にマレイミド基が架橋
する構造を有している。従って、約300〜600℃の
温度範囲での熱分解の一段階において、分子鎖のランダ
ム解裂過程の途中で発生する遊離基を、マレイミド基で
捕捉することによって、分子鎖のランダム解裂の進行を
防いでおり、所謂「ラジカルトラップ剤」としてのマレ
イミド基をフェノール樹脂に架橋させているので、約3
00〜600℃の温度範囲での耐熱性を向上させること
ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、摩擦材などの耐熱
性成形品を製作する際に使用されるビスマレイミド変性
フェノール樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ディスクブレーキのパッドやドラ
ムブレーキのシューにおいては、パッドやシューで使用
される摩擦材の中に、樹脂材として、多環芳香族変性フ
ェノール樹脂を含ませている。その多環芳香族変性フェ
ノール樹脂としては、例えば、特開昭62−26731
3号公報に記載されたノボラック型フェノール樹脂があ
る。そして、特開昭62−267313号公報には、ノ
ボラック型フェノール樹脂は良好な硬化性に伴い耐熱性
が向上した効果を有していると記載されていることか
ら、摩擦材の樹脂材として、ノボラック型フェノール樹
脂を使用すれば、ブレーキのフェード現象の抑制に十分
に貢献できると期待されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、摩擦材
の表面温度が通常の使用温度である400℃を超える
と、ノボラック型フェノール樹脂の熱分解が非常に速く
進行するので、摩擦材の樹脂材として、ノボラック型フ
ェノール樹脂を使用しても、ブレーキのフェード現象の
抑制に十分に貢献することはできなかった。そのため、
ブレーキのフェード現象の抑制に十分に貢献するという
観点から、摩擦材の通常の使用温度範囲内(約300〜
600℃)での耐熱性を向上させた新たなフェノール樹
脂の開発が望まれていた。
【0004】一方、単に耐熱性を重視するならば、摩擦
材の樹脂材として、例えば、特開平9−176241号
公報などに記載されたイミド系樹脂を使用することも考
えられる。しかしながら、イミド系樹脂の硬化物は、そ
の融点が200℃以上と高いので、摩擦材の樹脂材とし
て、イミド系樹脂を使用すると、パッドやシューの既存
の成形設備(最高加熱温度が約165℃程度のもの)で
摩擦材を成形することができなかった。そのため、パッ
ドやシューの既存の成形設備(最高加熱温度が約165
℃程度のもの)の有効利用という観点から、耐フェード
性を向上させたパッドやシューの開発が望まれていた。
【0005】そこで、本発明は、上述した問題点を解決
するためになされたものであり、約300〜600℃の
温度範囲内での耐熱性を向上させたビスマレイミド変性
フェノール樹脂を提供することを課題とする。また、耐
フェード性を向上させたパッドを提供することを課題と
する。また、耐フェード性を向上させたシューを提供す
ることを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に成された請求項1に係る発明は、フェノール類と、ア
ルデヒド類と、前記フェノール類に対する質量百分率が
3〜20%のビスマレイミド誘導体とを、触媒の存在の
下に反応させることにより得られるものであること、を
特徴としている。
【0007】また、請求項2に係る発明は、請求項1に
記載するビスマレイミド変性フェノール樹脂において、
前記ビスマレイミド誘導体は、一般式
【化2】 (式中、Xはエーテル基又はアルキル基、a、b、c、
d、e、f、g、hはいずれか一つが水素基、アルキル
基又はハロゲン基を表す)で示されること、を特徴とし
ている。
【0008】また、請求項3に係る発明は、請求項1又
は請求項2に記載するビスマレイミド変性フェノール樹
脂において、分子量が3000以上であること、を特徴
としている。
【0009】また、請求項4に係る発明は、請求項1乃
至請求項3のいずれか一つに記載するビスマレイミド変
性フェノール樹脂において、前記フェノール類に対する
前記アルデヒド類のモル比が0.8〜1.0であるこ
と、を特徴としている。また、請求項5に係る発明は、
請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載するビスマ
レイミド変性フェノール樹脂において、前記フェノール
類に対する前記アルデヒド類のモル比が1.0以上であ
ること、を特徴としている。
【0010】また、請求項6に係る発明は、請求項3に
記載するビスマレイミド変性フェノール樹脂において、
前記分子量が3000〜60000であるとともに、前
記フェノール類に対する前記アルデヒド類のモル比が
0.8〜0.9であること、を特徴としている。
【0011】このような特徴を有する本発明のビスマレ
イミド変性フェノール樹脂では、フェノール樹脂にマレ
イミド基が架橋する構造にある。そして、約300〜6
00℃の温度範囲の熱分解の一段階において、分子鎖の
ランダム解裂過程の途中で発生する遊離基を、マレイミ
ド基で捕捉することによって、分子鎖のランダム解裂の
進行を防いでいる。
【0012】すなわち、本発明のビスマレイミド変性フ
ェノール樹脂では、約300〜600℃の温度範囲の熱
分解の一段階において、分子鎖のランダム解裂過程の途
中で発生する遊離基を、マレイミド基で捕捉することに
よって、分子鎖のランダム解裂の進行を防いでおり、所
謂「ラジカルトラップ剤」としてのマレイミド基をフェ
ノール樹脂に架橋させているので、約300〜600℃
の温度範囲内での耐熱性を向上させることができる。
【0013】もっとも、耐熱性の観点を重視するなら
ば、本発明のビスマレイミド変性フェノール樹脂の分子
量は、3000以上であることが望ましい。また、本発
明のビスマレイミド変性フェノール樹脂をノボラックタ
イプで使用するならば、フェノール類に対するアルデヒ
ド類のモル比が0.8〜1.0であるが望ましい。ま
た、本発明のビスマレイミド変性フェノール樹脂をレゾ
ールタイプで使用するならば、フェノール類に対するア
ルデヒド類のモル比が1.0以上であるが望ましい。
【0014】また、本発明のビスマレイミド変性フェノ
ール樹脂の分子量が3000〜60000であるととも
に、フェノール類に対するアルデヒド類のモル比が0.
8〜0.9であれば、耐熱性や成形性などの観点から、
本発明のビスマレイミド変性フェノール樹脂は、パッド
やシューの摩擦材の樹脂材として最適なものとなると同
時に、本発明のビスマレイミド変性フェノール樹脂にお
いて、マレイミド基の含有量、未反応フェノールの含有
量、水分量などのバランスから、本発明のビスマレイミ
ド変性フェノール樹脂の融点が120℃前後となるの
で、本発明のビスマレイミド変性フェノール樹脂を、パ
ッドやシューの摩擦材の樹脂材として使用しても、パッ
ドやシューの既存の成形設備(最高加熱温度が約165
℃程度のもの)を利用することが可能となる。
【0015】また、上述した課題を解決するために成さ
れた請求項7に係る発明は、パッドであって、請求項6
に記載するビスマレイミド変性フェノール樹脂を摩擦材
の樹脂材として使用したこと、を特徴としている。ま
た、請求項8に係る発明は、シューであって、請求項6
に記載するビスマレイミド変性フェノール樹脂を摩擦材
の樹脂材として使用したこと、を特徴としている。
【0016】従って、パッドやシューが、本発明のビス
マレイミド変性フェノール樹脂を摩擦材の樹脂材として
使用したパッドやシューであれば、摩擦材の通常の使用
温度範囲内(約300〜600℃)での耐熱性が向上し
ているので、ブレーキのフェード現象の抑制に十分に貢
献することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照にして説明する。本実施の形態のビスマレイミド
変性フェノール樹脂は、図1に示すように、フェノール
と、ホルムアルデヒドと、ビスマレイミド誘導体とを、
触媒であるシュウ酸の存在の下に反応させることによ
り、ノボラックタイプのもの(パウダー状のもの)とし
て製造されるものである。従って、本実施の形態のビス
マレイミド変性フェノール樹脂は、パッドの製造工程に
おいて、摩擦材の樹脂材の成形粉として用いることが可
能となり、摩擦材の他の構成成分とともに混合機で均一
に混合された後、その混合物を裏金とともに焼き固める
ことによって、摩擦材と裏金が一体となったパッドとな
る。
【0018】但し、パッドの製造工程において、混合物
を裏金とともに焼き固める既存の成形設備の最高加熱温
度は、従来技術の摩擦材の樹脂材の融点などを考慮し
て、約165℃程度しかない。
【0019】そして、製造されたパッドはディスクブレ
ーキに装備されるので、摩擦材は、回転するロータに押
しつけられることになる。このとき、摩擦材の表面温度
は、約300〜600℃に達することになり、熱分解が
起こりやすい条件となる。しかし、摩擦材の樹脂材とし
て使用されている本実施の形態のビスマレイミド変性フ
ェノール樹脂においては、以下の構造を有することか
ら、熱分解が起こりにくくなっている。
【0020】すなわち、本実施の形態のビスマレイミド
変性フェノール樹脂では、図1の合成スキームに基づい
て製造されるものであり、フェノール樹脂にマレイミド
基が架橋する構造を有している。そして、本実施の形態
のビスマレイミド変性フェノール樹脂の表面において
も、約300〜600℃の温度範囲の熱分解の一段階に
なれば、分子鎖のランダム解裂過程が進行し、酸素ラジ
カル(図2参照)や炭素ラジカル(図3参照)が発生す
るものと考えられる。
【0021】しかし、酸素ラジカルの不対電子に対して
は、図2に示すように、マレイミド基で捕捉するととも
に、最終的には、遊離フェノールなどによって捕捉する
ことによって、分子鎖のランダム解裂の進行を防いでい
る。同様に、炭素ラジカルの不対電子に対しても、図3
に示すように、マレイミド基で捕捉するとともに、最終
的には、遊離フェノールなどによって捕捉することによ
って、分子鎖のランダム解裂の進行を防いでいる。
【0022】また、酸素ラジカルは、図2に示すよう
に、分子鎖が解裂する直前に発生するものであり、炭素
ラジカルは、図3に示すように、分子鎖が解裂した直後
に発生するものと考えられることから、本実施の形態の
ビスマレイミド変性フェノール樹脂は、分子鎖のランダ
ム解裂を防止すると同時に、ランダム解裂した分子鎖を
修復することによって、分子鎖のランダム解裂の進行を
防いでいると言うことができる。
【0023】すなわち、本実施の形態のビスマレイミド
変性フェノール樹脂では、約300〜600℃の温度範
囲での熱分解の一段階において、分子鎖のランダム解裂
過程の途中で発生する酸素ラジカル(図2参照)や炭素
ラジカル(図3参照)を、マレイミド基で捕捉すること
によって、分子鎖のランダム解裂の進行を防いでおり、
所謂「ラジカルトラップ剤」としてのマレイミド基をフ
ェノール樹脂に架橋させているので(図1参照)、約3
00〜600℃の温度範囲での耐熱性を向上させること
ができる。
【0024】特に、本実施の形態のビスマレイミド変性
フェノール樹脂の分子量が3000〜60000である
とともに、フェノールに対するホルムアルデヒドのモル
比が0.8〜0.9であれば、耐熱性や成形性などの観
点から、本実施の形態のビスマレイミド変性フェノール
樹脂は、パッドやシューの摩擦材の樹脂材として最適な
ものとなる。と同時に、本実施の形態のビスマレイミド
変性フェノール樹脂において、マレイミド基の含有量、
未反応フェノールの含有量、水分量などのバランスか
ら、本実施の形態のビスマレイミド変性フェノール樹脂
の融点が120℃前後となるので、本実施の形態のビス
マレイミド変性フェノール樹脂を、パッドやシューの摩
擦材の樹脂材として使用しても、パッドやシューの既存
の成形設備(最高加熱温度が約165℃程度のもの)を
利用することが可能となる。
【0025】尚、本実施の形態のビスマレイミド変性フ
ェノール樹脂の分子量は、本実施の形態のビスマレイミ
ド変性フェノール樹脂を製造する際に使用する触媒の種
類を変更するとによって、容易に調整することができ
る。
【0026】従って、本実施の形態においては、パッド
が、本実施の形態のビスマレイミド変性フェノール樹脂
を摩擦材の樹脂材として使用したものであり、摩擦材の
通常の使用温度範囲内(約300〜600℃)での耐熱
性が向上しているので、ブレーキのフェード現象の抑制
に十分に貢献することができる。
【0027】
【実施例】次に、本実施の形態のビスマレイミド変性フ
ェノール樹脂の製造方法を具体的な数字を用いて説明す
る。本実施の形態のビスマレイミド変性フェノール樹脂
の製造するには、先ず、ビスマレイミドジフェニルメタ
ンの合成を行って、ビスマレイミド誘導体を得ている。
そこで、ここでは、ビスマレイミドジフェニルメタンの
合成の方法について説明する。
【0028】ビスマレイミドジフェニルメタンを合成す
るには、先ず、4,4‘−ジアミノジフェニルメタン
(100g、0.505mol)を2リットルのセパラ
ブルフラスコに入れ、次いで、酢酸1リットルを加えて
室温で30分撹拌して、ジアミン誘導体を完全に溶解す
る。次に、無水マレイン酸(99g、2moleq)を
加え、室温で6時間撹拌して、ビスマレアミド酸を沈殿
させる。このビスマレアミド酸の沈殿物を、吸引濾過し
て得た後、酢酸エチルで洗浄すると、198gのビスマ
レアミド酸を収率99.9%で得ることができる。
【0029】そして、このビスマレアミド酸160g
(0.4mol)を2リットルのセパラブルフラスコに
入れ、次いで、トルエンを入れ室温で30分撹拌して、
ビスマレアミド酸を完全に溶解させる。次に、ヘキサメ
チルジシラザン95ml(2.2moleq)を加え、
80℃で15分撹拌する。その後、さらに、臭化亜鉛9
2g(2moleq)を加え、加熱環流を5時間行う。
この環化反応の終了をTLCで確認した後、トルエンを
減圧留去し、次いで、塩化メチレンで抽出するととも
に、塩化メチレンを減圧留去すれば、130gのビスマ
レイミドジフェニルメタンを収率92%で得ることがで
きる。
【0030】尚、上述した方法は、特開平10−330
337号公報に記載された複環式マレイミドの製造方法
に準拠したものである。
【0031】また、上述した方法で得られたビスマレイ
ミドジフェニルメタンの構造は、NMRにより確認し
た。これによれば、上述した方法で得られたビスマレイ
ミドジフェニルメタンの構造は、ビスマレイミド誘導体
の一般式
【化3】 において、Xはメチル基であり、a、b、c、d、e、
f、g、hのいずれか一つが水素基である。
【0032】次に、上述した方法で得られたビスマレイ
ミドジフェニルメタンを使用して、ビスマレイミド変性
フェノール樹脂の製造する方法について説明する。ここ
では、フェノールに対する質量百分率が10%のビスマ
レイミドジフェニルメタン(ビスマレイミド誘導体)を
使用して、ビスマレイミド変性フェノール樹脂を製造す
る方法について説明する。
【0033】先ず、フェノール1150gとビスマレイ
ミドジフェニルメタン115gと86%パラホルムアル
デヒド171gを2リットルのセパラブルフラスコに入
れ、室温から120℃まで1時間かけて加熱撹拌して、
ビスマレイミドを完全に溶解させる。次いで、反応液を
70℃まで冷却し、37%のホルムアルデヒドを397
g加える。このとき、フェノールに対するホルムアルデ
ヒドのモル比は0.8となる。そして、反応液を105
℃まで加熱し、105℃到達後、30分ごとにシュウ酸
を2gずつを3回加える。尚、シュウ酸を1回目加えた
後の粘土はA以下で、シュウ酸を2回目加えた後の粘土
はAで、シュウ酸を3回目加えた後の粘土はMとなる。
【0034】次に、このままの温度で2時間加熱撹拌し
た後、80℃まで冷却する。そして、650mmHgで
吸引し、架橋反応によって出てくる水と未反応のフェノ
ールを3時間かけて減圧除去する。この時の反応温度
は、90〜190℃まで上昇させる。次いで、粘性状態
にあるビスマレイミド変性フェノール樹脂をシート上に
流し、空冷して固化させると、1264gのビスマレイ
ミド変性フェノール樹脂を得ることができる。
【0035】尚、上述した方法で得られたビスマレイミ
ド変性フェノール樹脂の構造は、NMRにより確認し
た。また、上述した方法で得られたビスマレイミド変性
フェノール樹脂は、フェノールに対する質量百分率が1
0%のビスマレイミドジフェニルメタン(ビスマレイミ
ド誘導体)を使用して製造されたものである。そこで、
説明の便宜上、以下、「10%ビスマレイミド変性フェ
ノール樹脂」と呼ぶ。
【0036】次に、フェノールに対する質量百分率が5
%のビスマレイミドジフェニルメタン(ビスマレイミド
誘導体)を使用して、ビスマレイミド変性フェノール樹
脂を製造する方法について説明する。
【0037】先ず、フェノール1150gとビスマレイ
ミドジフェニルメタン57.5gと86%パラホルムア
ルデヒド171gを2リットルのセパラブルフラスコに
入れ、室温から120℃まで1時間かけて加熱撹拌し
て、ビスマレイミドを完全に溶解させる。次いで、反応
液を70℃まで冷却し、37%のホルムアルデヒドを3
97g加える。このとき、フェノールに対するホルムア
ルデヒドのモル比は0.8となる。そして、反応液を1
05℃まで加熱し、105℃到達後、30分ごとにシュ
ウ酸を2gずつを3回加える。尚、シュウ酸を1回目加
えた後の粘土はA以下で、シュウ酸を2回目加えた後の
粘土はAで、シュウ酸を3回目加えた後の粘土はMとな
る。
【0038】次に、このままの温度で2時間加熱撹拌し
た後、80℃まで冷却する。そして、650mmHgで
吸引し、架橋反応によって出てくる水と未反応のフェノ
ールを3時間かけて減圧除去する。この時の反応温度
は、90〜190℃まで上昇させる。次いで、粘性状態
にあるビスマレイミド変性フェノール樹脂をシート上に
流し、空冷して固化させると、1260gのビスマレイ
ミド変性フェノール樹脂を得ることができる。
【0039】尚、上述した方法で得られたビスマレイミ
ド変性フェノール樹脂の構造は、NMRにより確認し
た。
【0040】また、上述した方法で得られたビスマレイ
ミド変性フェノール樹脂は、フェノールに対する質量百
分率が5%のビスマレイミドジフェニルメタン(ビスマ
レイミド誘導体)を使用して製造されたものである。そ
こで、説明の便宜上、以下、「5%ビスマレイミド変性
フェノール樹脂」と呼ぶ。
【0041】そして、「10%ビスマレイミド変性フェ
ノール樹脂」と「5%ビスマレイミド変性フェノール樹
脂」とを融点測定器で測定すると、いずれも、その融点
は120℃であった。
【0042】また、「10%ビスマレイミド変性フェノ
ール樹脂」と「5%ビスマレイミド変性フェノール樹
脂」とを示差熱熱重量同時測定装置で熱重量分析(TG
A)を行うと、「10%ビスマレイミド変性フェノール
樹脂」と「5%ビスマレイミド変性フェノール樹脂」
は、いずれも、図4の実線で示す結果となった。また、
図4には、比較例として、従来のフェノール樹脂の熱重
量分析(TGA)の結果を点線で示してある。
【0043】図4の熱重量分析(TGA)において、8
0%重量を耐熱性の一つの指標とすれば、従来のフェノ
ール樹脂では、460℃付近で80%重量になるけれど
も、「10%ビスマレイミド変性フェノール樹脂」と
「5%ビスマレイミド変性フェノール樹脂」では、50
0℃付近にまでならないと80%重量にならない。従っ
て、「10%ビスマレイミド変性フェノール樹脂」と
「5%ビスマレイミド変性フェノール樹脂」は、80%
重量を指標とする耐熱性を約40℃も向上させたことに
なる。
【0044】さらに、「10%ビスマレイミド変性フェ
ノール樹脂」と「5%ビスマレイミド変性フェノール樹
脂」の減量曲線は、従来のフェノール樹脂の減量曲線よ
りも、温度の高い方向(図の右側)に全般的に移行して
いる。従って、摩擦材の通常の使用温度範囲内(約30
0〜600℃)においても、「10%ビスマレイミド変
性フェノール樹脂」と「5%ビスマレイミド変性フェノ
ール樹脂」は、従来のフェノール樹脂よりも耐熱性に優
れていると言うことができる。
【0045】尚、本発明は上記実施の形態に限定される
ものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が
可能である。例えば、本実施の形態においては、本実施
の形態のビスマレイミド変性フェノール樹脂が、パッド
の摩擦材の樹脂材として使用することを考慮して、ビス
マレイミド変性フェノール樹脂の分子量を3000〜6
0000としているが、耐熱性の観点を重視するだけな
らば、本実施の形態のビスマレイミド変性フェノール樹
脂の分子量は、3000以上であればよい。
【0046】また、本実施の形態では、ディスクブレー
キで使用されるパッドについて説明しているが、ドラム
ブレーキで使用されるシューであっても、同様な効果を
得ることができる。
【0047】また、本実施例においては、「10%ビス
マレイミド変性フェノール樹脂」又は「5%ビスマレイ
ミド変性フェノール樹脂」を製造する際に、フェノール
に対するアルデヒドのモル比を0.8としていた。これ
は、「10%ビスマレイミド変性フェノール樹脂」や
「5%ビスマレイミド変性フェノール樹脂」をノボラッ
クタイプで製造して、パッドの摩擦材の樹脂材として使
用することを考慮にしたものであるが、単に「10%ビ
スマレイミド変性フェノール樹脂」や「5%ビスマレイ
ミド変性フェノール樹脂」をノボラックタイプで使用す
るだけならば、フェノールに対するホルムアルデヒドの
モル比は0.8〜1.0にあればよい。
【0048】一方、「10%ビスマレイミド変性フェノ
ール樹脂」や「5%ビスマレイミド変性フェノール樹
脂」をレゾールタイプで使用するだけならば、フェノー
ルに対するホルムアルデヒドのモル比は1.0以上であ
ればよい。
【0049】
【発明の効果】本発明のビスマレイミド変性フェノール
樹脂では、約300〜600℃の温度範囲の熱分解の一
段階において、分子鎖のランダム解裂過程の途中で発生
する遊離基を、マレイミド基で捕捉することによって、
分子鎖のランダム解裂の進行を防いでおり、所謂「ラジ
カルトラップ剤」としてのマレイミド基をフェノール樹
脂に架橋させているので、約300〜600℃の温度範
囲内での耐熱性を向上させることができる。
【0050】また、本発明のビスマレイミド変性フェノ
ール樹脂の分子量が3000〜60000であるととも
に、フェノール類に対するアルデヒド類のモル比が0.
8〜0.9であれば、耐熱性や成形性などの観点から、
本発明のビスマレイミド変性フェノール樹脂は、パッド
やシューの摩擦材の樹脂材として最適なものとなると同
時に、本発明のビスマレイミド変性フェノール樹脂にお
いて、マレイミド基の含有量、未反応フェノールの含有
量、水分量などのバランスから、本発明のビスマレイミ
ド変性フェノール樹脂の融点が120℃前後となるの
で、本発明のビスマレイミド変性フェノール樹脂を、パ
ッドやシューの摩擦材の樹脂材として使用しても、パッ
ドやシューの既存の成形設備(最高加熱温度が約165
℃程度のもの)を利用することが可能となる。
【0051】従って、パッドやシューが、本発明のビス
マレイミド変性フェノール樹脂を摩擦材の樹脂材として
使用したものであれば、摩擦材の通常の使用温度範囲内
(約300〜600℃)での耐熱性が向上しているの
で、ブレーキのフェード現象の抑制に十分に貢献するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のビスマレイミド変性フェノール樹脂の
合成スキームを示した図である。
【図2】本発明のビスマレイミド変性フェノール樹脂に
おけるマレイミド基のラジカルトラップ反応のメカニズ
ムを示した図である。
【図3】本発明のビスマレイミド変性フェノール樹脂に
おけるマレイミド基のラジカルトラップ反応のメカニズ
ムを示した図である。
【図4】本発明のビスマレイミド変性フェノール樹脂を
熱重量分析した結果を示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小林 雅明 愛知県刈谷市朝日町2丁目1番地 アイシ ン精機株式会社内 (72)発明者 パイディ イエラ レディ 愛知県刈谷市八軒町5丁目50番地 株式会 社アイシンコスモス研究所内 (72)発明者 井上 富雄 愛知県西加茂郡藤岡町大字飯野大川ヶ原 1141番地1 アイシン化工株式会社内 Fターム(参考) 3J058 BA34 GA04 GA55 GA92 GA95 4F071 AA41 AA78 AA81 AF45 DA01 DA15 4J033 CA02 CA03 CA11 CA42 CA44 CB02 CB03 CB12 CC09 GA02 HA02 HA07 HA12 HA13 HA28 HB04

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フェノール類と、アルデヒド類と、前記
    フェノール類に対する質量百分率が3〜20%のビスマ
    レイミド誘導体とを、触媒の存在の下に反応させること
    により得られるものであること、を特徴とするビスマレ
    イミド変性フェノール樹脂。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載するビスマレイミド変性
    フェノール樹脂において、 前記ビスマレイミド誘導体は、一般式 【化1】 (式中、Xはエーテル基又はアルキル基、a、b、c、
    d、e、f、g、hはいずれか一つが水素基、アルキル
    基又はハロゲン基を表す)で示されること、を特徴とす
    るビスマレイミド変性フェノール樹脂。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載するビスマ
    レイミド変性フェノール樹脂において、 分子量が3000以上であること、を特徴とするビスマ
    レイミド変性フェノール樹脂。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至請求項3のいずれか一つに
    記載するビスマレイミド変性フェノール樹脂において、 前記フェノール類に対する前記アルデヒド類のモル比が
    0.8〜1.0であること、を特徴とするビスマレイミ
    ド変性フェノール樹脂。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至請求項3のいずれか一つに
    記載するビスマレイミド変性フェノール樹脂において、 前記フェノール類に対する前記アルデヒド類のモル比が
    1.0以上であること、を特徴とするビスマレイミド変
    性フェノール樹脂。
  6. 【請求項6】 請求項3に記載するビスマレイミド変性
    フェノール樹脂において、 前記分子量が3000〜60000であるとともに、前
    記フェノール類に対する前記アルデヒド類のモル比が
    0.8〜0.9であること、を特徴とするビスマレイミ
    ド変性フェノール樹脂。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載するビスマレイミド変性
    フェノール樹脂を摩擦材の樹脂材として使用したこと、
    を特徴とするパッド。
  8. 【請求項8】 請求項6に記載するビスマレイミド変性
    フェノール樹脂を摩擦材の樹脂材として使用したこと、
    を特徴とするシュー。
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