JP2001246266A - 有害物質分解触媒およびその製造方法 - Google Patents

有害物質分解触媒およびその製造方法

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JP2001246266A
JP2001246266A JP2000063169A JP2000063169A JP2001246266A JP 2001246266 A JP2001246266 A JP 2001246266A JP 2000063169 A JP2000063169 A JP 2000063169A JP 2000063169 A JP2000063169 A JP 2000063169A JP 2001246266 A JP2001246266 A JP 2001246266A
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wall surface
harmful substance
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substance decomposition
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JP2000063169A
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Shigeru Nojima
野島  繁
Kozo Iida
耕三 飯田
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 SO2 の酸化を抑制しながらも、高分子量の
有害物質を効率よく分解処理することができる触媒およ
びその製造方法を提供する。 【解決手段】 触媒成分を壁面11に有してガス中のハ
ロゲン化有機化合物を分解処理するハニカム状のハロゲ
ン化有機化合物分解触媒10において、壁面11の表面
に内部側よりも前記触媒成分の濃度の高い反応活性層1
2を設けた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハロゲン化芳香族
化合物、高縮合度芳香族炭化水素、環境ホルモン等の有
害物質を分解処理する有害物質触媒およびその製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】ハロゲン化芳香族化合物、高縮合度芳香
族炭化水素、環境ホルモン等のような有害物質は、人体
や動植物に被害をもたらし、自然環境を破壊するものと
して深刻な社会問題となっている。このような有害物質
は、都市ごみ焼却炉、産業廃棄物焼却炉、汚泥焼却炉、
RFDボイラ等から排出される各種のガス中に存在する
可能性があるため、これらガス中から取り除く必要があ
る。このため、このようなガスを触媒と反応させること
により、上記有害物質を分解してガス中から除去するよ
うにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
有害物質分解触媒においては、副反応であるSO2 の酸
化も顕著に起こるため、副反応で生じたSO3 がガス中
のアンモニアと反応し、酸性硫安が生成して表面に付着
してしまっていた。このため、表面が酸性硫安で被覆さ
れてしまい、上述したハロゲン化芳香族化合物、高縮合
度芳香族炭化水素、環境ホルモン等のような有害物質と
の反応効率が短期間で低下し、安定した分解反応が困難
となっていた。
【0004】このようなことから、本発明は、SO2
酸化を抑制しながらハロゲン化芳香族化合物、高縮合度
芳香族炭化水素、環境ホルモン等のような有害物質を効
率よく分解処理することができる有害物質分解触媒およ
びその製造方法を提供することを目的とした。
【0005】
【課題を解決するための手段】前述した課題を解決する
ための、第一番目の発明による有害物質分解触媒は、触
媒成分を壁面に有してガス中の有害物質を分解処理する
ハニカム状の有害物質分解触媒において、前記触媒成分
の濃度が前記壁面の内部側よりも表面側ほど高くなって
いることを特徴とする。
【0006】第二番目の発明による有害物質分解触媒
は、第一番目の発明において、前記壁面が内部側よりも
前記触媒成分の濃度の高い反応活性層を表面に備えてい
ることを特徴とする。
【0007】第三番目の発明による有害物質分解触媒
は、第二番目の発明において、前記壁面が前記触媒成分
を前記反応活性層のみに含有していることを特徴とす
る。
【0008】第四番目の発明による有害物質分解触媒
は、第二または三番目の発明において、前記反応活性層
の厚さが前記壁面の表面から3〜30%の範囲であるこ
とを特徴とする。
【0009】第五番目の発明による有害物質分解触媒
は、第一〜四番目の発明のいずれかにおいて、前記触媒
成分がVの酸化物であることを特徴とする。
【0010】第六番目の発明による有害物質分解触媒
は、第一〜五番目の発明のいずれかにおいて、前記有害
物質が、ダイオキシン類、ポリハロゲン化ビフェニル
類、ハロゲン化ベンゼン類、ハロゲン化フェノール類、
ハロゲン化トルエン類から選ばれる少なくとも一種のハ
ロゲン化芳香族化合物、高縮合度芳香族炭化水素、環境
ホルモンのうちの少なくとも一種であることを特徴とす
る。
【0011】第七番目の発明による有害物質分解触媒
は、第六番目の発明において、前記ダイオキシン類が、
ポリ塩化ジベンゾ−p−ダイオキシン類(PCDD
s)、ポリ塩化ジベンゾフラン類(PCDFs)、ポリ
臭化ジベンゾ−p−ダイオキシン類(PBDDs)、ポ
リ臭化ジベンゾフラン類(PBDFs)、ポリ弗化ジベ
ンゾ−p−ダイオキシン類(PFDDs)、ポリ弗化ジ
ベンゾフラン類(PFDFs)、ポリ沃素化ジベンゾ−
p−ダイオキシン類(PIDDs)、ポリ沃素化ジベン
ゾフラン類(PIDFs)のうちの少なくとも一種であ
ることを特徴とする。
【0012】一方、第八番目の発明による有害物質分解
触媒の製造方法は、触媒成分を壁面に有してガス中の有
害物質を分解処理するハニカム状の有害物質分解触媒の
製造方法であって、前記壁面の内部側の前記触媒成分の
元素の濃度よりも高い濃度の当該触媒成分の元素を含有
する液状物を当該壁面に付着した後、乾燥、焼成するこ
とを特徴とする。
【0013】第九番目の発明による有害物質分解触媒の
製造方法は、第八番目の発明において、前記液状物が溶
液であり、当該溶液中に浸漬することにより前記壁面に
当該溶液を付着させることを特徴とする。
【0014】第十番目の発明による有害物質分解触媒の
製造方法は、触媒成分を壁面に有してガス中の有害物質
を分解処理するハニカム状の有害物質分解触媒の製造方
法であって、前記触媒成分の元素を含有する液状物をハ
ニカム状をなす母材の壁面に付着した後、当該母材を乾
燥、焼成することを特徴とする。
【0015】第十一番目の発明による有害物質分解触媒
の製造方法は、第十番目の発明において、前記母材がコ
ージェライトまたはアルミナからなることを特徴とす
る。
【0016】第十二番目の発明による有害物質分解触媒
の製造方法は、第十または十一番目の発明において、前
記液状物がスラリであり、当該スラリ中に浸漬すること
により前記壁面に当該スラリを付着させることを特徴と
する。
【0017】第十三番目の発明による有害物質分解触媒
の製造方法は、触媒成分を壁面に有してガス中の有害物
質を分解処理するハニカム状の有害物質分解触媒の製造
方法であって、前記壁面の表面に前記触媒成分の元素の
ハロゲン化物を化学蒸着(CVD)により担持させた後
に酸化することを特徴とする。
【0018】第十四番目の発明による有害物質分解触媒
は、第八〜十三番目の発明のいずれかにおいて、前記触
媒成分の元素がVであることを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明による有害物質分解触媒お
よびその製造方法の実施の形態を以下に説明するが、本
発明はこれらの実施の形態に限定されることはない。
【0020】本発明による有害物質分解触媒およびその
製造方法の実施の形態を図1,2を用いて説明する。図
1は、有害物質分解触媒の全体概略構造図、図2は、図
1の要部の一部抽出拡大図である。
【0021】ハロゲン化芳香族化合物、高縮合度芳香族
炭化水素、環境ホルモン等のような高分子量の有害物質
の触媒による分解挙動を検討したところ、分解反応温度
(150℃以上)における律速は、触媒表面への有害物
質の拡散であることが判明した。すなわち、ハニカム構
造をなす触媒において、上述した高分子量の有害物質
は、触媒の表面で分解反応が進行し、触媒の内部側で分
解反応がほとんど起こらないのである。一方、副反応で
あるガス中のSO2 の酸化反応は、反応律速となるた
め、触媒の内部側で起こることが解明された。
【0022】つまり、触媒の表面側に触媒成分のほとん
どを分布させることにより、上述したような高分子量の
有害物質を分解させながらも、副反応であるガス中のS
2の酸化反応を抑えることが可能となるのである。
【0023】そこで、本発明は、触媒成分を壁面に有し
てガス中の有害物質を分解処理するハニカム状の有害物
質分解触媒において、前記触媒成分の濃度を前記壁面の
内部側よりも表面側ほど高くしたのである。
【0024】具体的には、図1,2に示すように、有害
物質分解触媒10の壁面11の表面に内部側よりも前記
触媒成分の濃度の高い反応活性層12を備えたのであ
る。
【0025】ここで、反応活性層12の厚さが壁面11
の表面から3〜30%の範囲であると好ましい。なぜな
ら、3%未満であると、有害物質を十分に分解処理する
ことができず、30%を超えると、副反応であるガス中
のSO2 の酸化反応を抑えることが困難になってしまう
からである。
【0026】また、反応活性層12の触媒成分の濃度
は、1〜30%であると好ましい。
【0027】このような構造をなす有害物質分解触媒1
0は、触媒成分の元素を含む原料を始めとして各種原料
を混練してハニカム状に成形した後、壁面11の内部側
の触媒成分の元素の濃度よりも高い濃度の触媒成分の元
素を含有する溶液(液状物)を壁面11の表面に付着し
て、乾燥、焼成すれば、壁面11の表面に反応活性層1
2を形成することが容易にでき、低コストで簡単に製造
することができる(溶液付着法)。
【0028】ここで、溶液を壁面11の表面に付着させ
ると、当該溶液が壁面11の内部にまで浸透して触媒成
分の元素が壁面11の内部にまで到達するものの、乾燥
工程において、上記溶液の液体分が壁面11の表面から
揮発するため、表面張力により触媒成分の元素も表面側
に移行して表面側ほど多くなるように偏在するので、反
応活性層12が形成されるようになり、さらに、乾燥速
度を調整することにより、反応活性層12の厚さを容易
に調整することができる。
【0029】また、コージェライトやアルミナからなる
ハニカム状をなす母材の壁面11に、Vを含有するスラ
リ(液状物)を付着した後、乾燥、焼成して壁面11に
反応活性層12を形成すれば、触媒成分を反応活性層1
2のみに含有させることが容易にでき、触媒成分を有効
に使用することができ、コストを大幅に低減することが
できる(スラリ付着法)。
【0030】一方、各種原料を混練してハニカム状に成
形し、乾燥、焼成した後、壁面11の表面に触媒成分の
元素のハロゲン化物を化学蒸着(Chemical Vapor Depos
ition;CVD)により担持させた後に酸化すれば、壁面
11の表面に反応活性層12を形成することが容易にで
き、確実で簡単に製造することができる(CVD法)。
【0031】すなわち、触媒成分の元素のハロゲン化物
(例えば、VOCl3 )は、壁面11に存在している水
酸基(−OH)と下記のように反応して、当該壁面11
に担持される。これを酸化すれば、V2 5 として壁面
11に固定化することができる。
【0032】 −OH+VOCl3 → −OVOCl2 +HCl↑
【0033】ここで、上記反応は、非常に起こりやすい
ことから、壁面11の内部側で起こらずに壁面11の最
表層側で起こるため、非常に好ましい結果を得ることが
できる。
【0034】上述したような方法で製造された上記有害
物質分解触媒10は、触媒装置内に配設されて、例え
ば、都市ごみ焼却炉、産業廃棄物焼却炉、汚泥焼却炉等
から排出される排ガス中の煤塵を除去する除塵装置の後
に設置され、上述したようなハロゲン化芳香族化合物、
高縮合度芳香族炭化水素、環境ホルモン等のような有害
物質の分解除去に使用される。
【0035】この有害物質分解触媒10は、上記触媒成
分の濃度が壁面11の内部側よりも表面側ほど高くなっ
ているので、高分子量の有害物質を分解させながらも、
副反応であるガス中のSO2 の酸化反応を抑えることが
できる。
【0036】したがって、このような有害物質分解触媒
10によれば、酸性硫安等の表面への付着を抑制するこ
とができるので、有害物質の分解能力の低下を大幅に抑
制することができ、有害物質の安定した分解処理を長期
にわたって維持することができる。
【0037】なお、上述した高分子量の有害物質を分解
する触媒成分の元素としては、Vが好ましく、触媒成分
としては、V2 5 が好ましい。また、このような触媒
成分の他に、Cr2 3 、MoO3 等の触媒成分を含有
していると、安定性や分散性などを向上させることがで
きるので好ましく、また、基材としてTiO2 だけでな
くSiO2 を含有していると、酸点が増え、吸着度や分
解度などを向上させることができるので好ましい。
【0038】ここで、本発明による有害物質分解触媒で
分解処理する有害物質とは、ダイオキシン類やPXB
(Xはハロゲンを表す。)類に代表される有害なハロゲ
ン化芳香族化合物、高縮合度芳香族炭化水素等の有害物
質をいうが、本発明の触媒作用により分解できる有害物
質(又は環境ホルモン)であればこれらに限定されるも
のではない。
【0039】また、本発明で分解処理する芳香族ハロゲ
ン系化合物としては、ダイオキシン類やPCB類に代表
される有害な物質(例えば環境ホルモン)であればこれ
らに限定されるものではない。
【0040】ここで、前記ダイオキシン類とは、ポリハ
ロゲン化ジベンゾ−p−ダイオキシン類(PXDDs)
及びポリハロゲン化ジベンゾフラン類(PXDFs)の
総称であり(Xはハロゲンを示す)、ハロゲン系化合物
とある種の有機ハロゲン化合物の燃焼時に微量発生する
といわれる。ハロゲンの数によって一ハロゲン化物から
八ハロゲン化物まであり、これらのうち、特に四塩化ジ
ベンゾ−p−ダイオキシン(T4 CDD)は、最も強い
毒性を有するものとして知られている。なお、有害なハ
ロゲン化芳香族化合物としては、ダイオキシン類の他に
その前駆体となる種々の有機ハロゲン化合物(例えば、
フェノール,ベンゼン等の芳香族化合物(例えばハロゲ
ン化ベンゼン類,ハロゲン化フェノール及びハロゲン化
トルエン等)、ハロゲン化アルキル化合物等)が含まれ
ており、灰中から除去する必要がある。すなわち、ダイ
オキシン類とは塩素化ダイオキシン類のみならず、臭素
化ダイオキシン類等のハロゲン化ダイオキシン類を表
す。
【0041】また、PXB類(ポリハロゲン化ビフェニ
ル類)は、ビフェニルにハロゲン原子が数個付加した化
合物の総称であり、ハロゲンの置換数、置換位置により
異性体があるが、PCB(ポリ塩化ビフェニル)の場
合、2,6−ジクロロビフェニル、2,2'−ジクロロビ
フェニル、2,3,5−トリクロロビフェニル等が代表
的なものであり、毒性が強く、焼却等した場合にダイオ
キシン類が発生するおそれがあるものとして知られてお
り、除去する必要がある。なお、PXB類にはコプラナ
ーPXBも当然含まれる。
【0042】また、高縮合度芳香族炭化水素は、多核芳
香族化合物の総称であり、単数又は複数のOH基を含ん
でもよく、発癌性物質として認められており、これらも
分解除去することができる。
【0043】また、多くの製造工程においては、煤塵に
加えて、例えばホルムアルデヒド,ベンゼン又はフェノ
ールのような気体状有機化合物を含む排ガスが発生する
こともある。これらの有機化合物もまた、環境汚染物質
であり、人間の健康を著しく損ねるので、これらも分解
除去することができる。
【0044】
【実施例】本発明による有害物質分解触媒の効果を確認
するため、以下のような試験を行った。
【0045】[サンプルの製造] <試験体1の製造:溶液付着法>アナターゼ型の酸化チ
タン(TiO2 )100重量部に対して、グラスファイ
バ3重量部、ジョウジアカオリン2重量部、細孔付与剤
としての結晶性セルロース7重量部および水を添加して
混練する。この混練物をさらに真空混練および脱気した
後、格子状のハニカム形状(目開き6mm、壁面厚1.
4mm)に押し出し成形してハニカム成形体を作製す
る。
【0046】次に、V2 5 換算で5重量%となるよう
にメタバナジン酸アンモニウムをメチルアミン水溶液に
室温下で溶解させ、この溶液に上記ハニカム成形体を浸
漬し(10秒)、熱風乾燥器で乾燥させた後に焼成(5
00℃×5時間)して有害物質分解触媒の試験体1を製
造した。この試験体1の壁面の厚さ方向におけるV2
5 の濃度分布を図3に示す。
【0047】<試験体2の製造:CVD法>上記試験体
1の場合と同一条件で作製したハニカム成形体をそのま
ま乾燥させて焼成(500℃×5時間)してハニカム焼
成体を作製する。
【0048】次に、反応容器内で上記ハニカム焼成物を
加熱(300℃)し、当該ハニカム焼成物のハニカム孔
の内部に気体状態のVOCl3 を窒素気流で流通(0.
5Nm/s×1時間)させて、化学蒸着法(CVD法)
によりVを壁面の表面に担持させた後、窒素パージして
空気を供給(450℃×3時間)して酸化させることに
よりVを壁面の表面に固定し、有害物質分解触媒の試験
体2を製造した。この試験体2の壁面の厚さ方向におけ
るV2 5 の濃度分布を図4に示す。
【0049】<試験体3の製造:スラリ付着法>メタバ
ナジン酸アンモニウムをメチルアミン水溶液に溶解し、
アナターゼ型の酸化チタン(TiO2 )100重量部に
対して、V2 5 換算で5重量部となるように上記溶液
を添加して混練し、蒸発乾固、焼成(500℃×5時
間)することにより、粉末触媒を得た。
【0050】次に、上記粉末触媒に水を加えて粉砕を行
ってスラリ(20%)を作製し、コージェライト製のハ
ニカム状の母材(目開き6.4mm、壁面厚1.0m
m)を上記スラリ中に浸漬した後に乾燥することを3回
繰り返した後、焼成(500℃×3時間)することによ
り、有害物質分解触媒の試験体3を製造した。この試験
体3の壁面の厚さ方向におけるV2 5 の濃度分布を図
5に示す。
【0051】<比較体の製造:従来法>上記試験体3の
前記粉末触媒100重量部に対して、ジョウジアカオリ
ン2重量部、結晶性セルロース7重量部および水を添加
して混練し、真空脱気した後、格子状のハニカム形状
(目開き6mm、壁面厚1.4mm)に押し出し成形す
ることにより、有害物質分解触媒の比較体(従来品)を
製造した。この比較体の壁面の厚さ方向におけるV2
5 の濃度分布を図6に示す。
【0052】[試験方法]試験体1〜3および比較体に
実排ガスを送給して、通過した排ガスを吸引し、種々の
方法により濃縮した後、質量分析計を用いて有害物質と
してダイオキシン類の濃度を測定し、触媒通過前後での
ダイオキシン類の濃度変化からダイオキシン類分解率を
求めた。これと同時に、触媒通過前のSOx 濃度および
触媒通過前後のSO3 濃度も測定し、SO2 酸化率を求
めた。試験条件は以下の通りである。
【0053】 ・温度:190℃ ・ガス送給量:152Nm3 /h ・触媒サイズ:150×150×750mm×2本 ・触媒容積:16.9リットル×2本 ・GHSV:4500h-1 ・空塔速度:3.5Nm/s ・ガス組成:H2 O−20% ,2 −10% ,CO2
8% ,NH3 −30ppm,SOx −100ppm (内SO3
−5ppm ) ,2 −残り ・ダイオキシン類濃度:4ng−TEQ/Nm3
【0054】なお、触媒前後におけるダイオキシン類の
濃度はTQE値にて表示し、下記の式に基づいて、ダイ
オキシン類分解率ηを算出した。
【0055】η(%)=(1−Dd2/Dd1)×100 ただし、Dd1は触媒入口でのダイオキシン類濃度(5n
g−TEQ/Nm3 )、Dd2は触媒出口でのダイオキシ
ン類濃度である。
【0056】また、SO2 酸化率Os は、下記の式に基
づいて求めた。
【0057】 Os (%)=((Ds2−Ds1)/Ds3)×100 ただし、Ds1は触媒入口でのSO3 濃度(5ppm)、
Ds2は触媒出口でのSO3 濃度、Ds3は触媒入口でのS
Ox 濃度である。
【0058】[試験結果]試験結果を下記の表1に示
す。
【0059】
【表1】
【0060】表1からわかるように、試験体1〜3は、
比較体と同レベルでダイオキシン類を分解処理すること
ができると同時に、比較体に比べてSO2 酸化率を大幅
に低く抑えることができた。このことから、本発明によ
る有害物質分解触媒は、従来品に比べて、酸性硫安等の
表面への付着を抑制することができ、有害物質の分解能
力の低下を大幅に抑制して、安定した分解処理を長期に
わたって維持できることが確認できた。
【0061】
【発明の効果】第一番目の発明による有害物質分解触媒
は、触媒成分を壁面に有してガス中の有害物質を分解処
理するハニカム状の有害物質分解触媒において、前記触
媒成分の濃度が前記壁面の内部側よりも表面側ほど高く
なっているので、有害物質を分解させながらも、SO2
の酸化反応を抑えることができる。したがって、酸性硫
安等の表面への付着を抑制することができるので、有害
物質の分解能力の低下を大幅に抑制することができ、有
害物質の安定した分解処理を長期にわたって維持するこ
とができる。
【0062】第二番目の発明による有害物質分解触媒
は、第一番目の発明において、前記壁面が内部側よりも
前記触媒成分の濃度の高い反応活性層を表面に備えてい
るので、上述した効果をより顕著に得ることができる。
【0063】第三番目の発明による有害物質分解触媒
は、第二番目の発明において、前記壁面が前記触媒成分
を前記反応活性層のみに含有しているので、上述した効
果をさらに確実に得ることができる。
【0064】第四番目の発明による有害物質分解触媒
は、第二または三番目の発明において、前記反応活性層
の厚さが前記壁面の表面から3〜30%の範囲であるの
で、上述した効果を確実に得ることができる。
【0065】第五番目の発明による有害物質分解触媒
は、第一〜四番目の発明のいずれかにおいて、前記触媒
成分がVの酸化物であるので、有害物質を確実に分解除
去することができる。
【0066】第六番目の発明による有害物質分解触媒
は、第一〜五番目の発明のいずれかにおいて、前記有害
物質が、ダイオキシン類、ポリハロゲン化ビフェニル
類、ハロゲン化ベンゼン類、ハロゲン化フェノール類、
ハロゲン化トルエン類から選ばれる少なくとも一種のハ
ロゲン化芳香族化合物、高縮合度芳香族炭化水素、環境
ホルモンのうちの少なくとも一種であるので、これら有
害物質を確実に分解処理することができる。
【0067】第七番目の発明による有害物質分解触媒
は、第六番目の発明において、前記ダイオキシン類が、
ポリ塩化ジベンゾ−p−ダイオキシン類(PCDD
s)、ポリ塩化ジベンゾフラン類(PCDFs)、ポリ
臭化ジベンゾ−p−ダイオキシン類(PBDDs)、ポ
リ臭化ジベンゾフラン類(PBDFs)、ポリ弗化ジベ
ンゾ−p−ダイオキシン類(PFDDs)、ポリ弗化ジ
ベンゾフラン類(PFDFs)、ポリ沃素化ジベンゾ−
p−ダイオキシン類(PIDDs)、ポリ沃素化ジベン
ゾフラン類(PIDFs)のうちの少なくとも一種であ
るので、これら有害物質を確実に分解処理することがで
きる。
【0068】一方、第八番目の発明による有害物質分解
触媒の製造方法は、触媒成分を壁面に有してガス中の有
害物質を分解処理するハニカム状の有害物質分解触媒の
製造方法であって、前記壁面の内部側の前記触媒成分の
元素の濃度よりも高い濃度の触媒成分の元素を含有する
液状物を当該壁面に付着した後、乾燥、焼成するので、
有害物質を分解させながらも、SO2 の酸化反応を抑え
ることができる有害物質分解触媒を簡単に製造すること
ができる。
【0069】第九番目の発明による有害物質分解触媒の
製造方法は、第八番目の発明において、前記液状物が溶
液であり、当該溶液中に浸漬することにより前記壁面に
当該溶液を付着させるので、上述した効果を確実に得る
ことができる。
【0070】第十番目の発明による有害物質分解触媒の
製造方法は、触媒成分を壁面に有してガス中の有害物質
を分解処理するハニカム状の有害物質分解触媒の製造方
法であって、前記触媒成分の元素を含有する液状物をハ
ニカム状をなす母材の壁面に付着した後、当該母材を乾
燥、焼成するので、有害物質を分解させながらも、SO
2 の酸化反応を抑えることができる有害物質分解触媒を
簡単に製造することができる。
【0071】第十一番目の発明による有害物質分解触媒
の製造方法は、第十番目の発明において、前記母材がコ
ージェライトまたはアルミナからなるので、上述した効
果を確実に得ることができる。
【0072】第十二番目の発明による有害物質分解触媒
の製造方法は、第十または十一番目の発明において、前
記液状物がスラリであり、当該スラリ中に浸漬すること
により前記壁面に当該スラリを付着させるので、上述し
た効果を低コストで確実に得ることができる。
【0073】第十三番目の発明による有害物質分解触媒
の製造方法は、触媒成分を壁面に有してガス中の有害物
質を分解処理するハニカム状の有害物質分解触媒の製造
方法であって、前記壁面の表面に前記触媒成分の元素の
ハロゲン化物を化学蒸着(CVD)により担持させた後
に酸化するので、有害物質を分解させながらも、SO 2
の酸化反応を抑えることができる有害物質分解触媒を簡
単に製造することができる。
【0074】第十四番目の発明による有害物質分解触媒
は、第八〜十三番目の発明のいずれかにおいて、前記触
媒成分の元素がVであるので、V2 5 を触媒成分とし
て含有させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による有害物質分解触媒の実施の形態の
全体概略構造図である。
【図2】図1の要部の一部抽出拡大図である。
【図3】試験体1の壁面の厚さ方向におけるV2 5
濃度分布を表すグラフである。
【図4】試験体2の壁面の厚さ方向におけるV2 5
濃度分布を表すグラフである。
【図5】試験体3の壁面の厚さ方向におけるV2 5
濃度分布を表すグラフである。
【図6】比較体の壁面の厚さ方向におけるV2 5 の濃
度分布を表すグラフである。
【符号の説明】
10 有害物質分解触媒 11 壁面 12 反応活性層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B01J 37/02 301 C23C 16/40 // C23C 16/40 B01D 53/36 G Fターム(参考) 4D048 AA11 AA17 AB03 BA23X BA41X BB02 BB16 CC38 4G069 AA03 AA08 BA04A BA04B BB04A BB04B BC54A BC54B CA04 CA10 CA19 EA19 EB10 EB12Y EB15X EB15Y EC22Y EC29 FA06 FB03 FB14 FB15 FB23 FB30 4K030 AA03 BA19 BA42 CA05 FA10

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 触媒成分を壁面に有してガス中の有害物
    質を分解処理するハニカム状の有害物質分解触媒におい
    て、 前記触媒成分の濃度が前記壁面の内部側よりも表面側ほ
    ど高くなっていることを特徴とする有害物質分解触媒。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 前記壁面が内部側よりも前記触媒成分の濃度の高い反応
    活性層を表面に備えていることを特徴とする有害物質分
    解触媒。
  3. 【請求項3】 請求項2において、 前記壁面が前記触媒成分を前記反応活性層のみに含有し
    ていることを特徴とする有害物質分解触媒。
  4. 【請求項4】 請求項2または3において、 前記反応活性層の厚さが前記壁面の表面から3〜30%
    の範囲であることを特徴とする有害物質分解触媒。
  5. 【請求項5】 請求項1から4のいずれかにおいて、 前記触媒成分がVの酸化物であることを特徴とする有害
    物質分解触媒。
  6. 【請求項6】 請求項1から5のいずれかにおいて、 前記有害物質が、ダイオキシン類、ポリハロゲン化ビフ
    ェニル類、ハロゲン化ベンゼン類、ハロゲン化フェノー
    ル類、ハロゲン化トルエン類から選ばれる少なくとも一
    種のハロゲン化芳香族化合物、高縮合度芳香族炭化水
    素、環境ホルモンのうちの少なくとも一種であることを
    特徴とする有害物質分解触媒。
  7. 【請求項7】 請求項8において、 前記ダイオキシン類が、ポリ塩化ジベンゾ−p−ダイオ
    キシン類(PCDDs)、ポリ塩化ジベンゾフラン類
    (PCDFs)、ポリ臭化ジベンゾ−p−ダイオキシン
    類(PBDDs)、ポリ臭化ジベンゾフラン類(PBD
    Fs)、ポリ弗化ジベンゾ−p−ダイオキシン類(PF
    DDs)、ポリ弗化ジベンゾフラン類(PFDFs)、
    ポリ沃素化ジベンゾ−p−ダイオキシン類(PIDD
    s)、ポリ沃素化ジベンゾフラン類(PIDFs)のう
    ちの少なくとも一種であることを特徴とする有害物質分
    解触媒。
  8. 【請求項8】 触媒成分を壁面に有してガス中の有害物
    質を分解処理するハニカム状の有害物質分解触媒の製造
    方法であって、 前記壁面の内部側の前記触媒成分の元素の濃度よりも高
    い濃度の当該触媒成分の元素を含有する液状物を当該壁
    面に付着した後、乾燥、焼成することを特徴とする有害
    物質分解触媒の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項8において、 前記液状物が溶液であり、当該溶液中に浸漬することに
    より前記壁面に当該溶液を付着させることを特徴とする
    有害物質分解触媒の製造方法。
  10. 【請求項10】 触媒成分を壁面に有してガス中の有害
    物質を分解処理するハニカム状の有害物質分解触媒の製
    造方法であって、 前記触媒成分の元素を含有する液状物をハニカム状をな
    す母材の壁面に付着した後、当該母材を乾燥、焼成する
    ことを特徴とする有害物質分解触媒の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項10において、 前記母材がコージェライトまたはアルミナからなること
    を特徴とする有害物質分解触媒の製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項10または11において、 前記液状物がスラリであり、当該スラリ中に浸漬するこ
    とにより前記壁面に当該スラリを付着させることを特徴
    とする有害物質分解触媒の製造方法。
  13. 【請求項13】 触媒成分を壁面に有してガス中の有害
    物質を分解処理するハニカム状の有害物質分解触媒の製
    造方法であって、 前記壁面の表面に前記触媒成分の元素のハロゲン化物を
    化学蒸着(CVD)により担持させた後に酸化すること
    を特徴とする有害物質分解触媒の製造方法。
  14. 【請求項14】 請求項8から13のいずれかにおい
    て、 前記触媒成分の元素がVであることを特徴とする有害物
    質分解触媒。
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