JP3776593B2 - 排ガス処理用触媒、排ガス処理方法及び処理装置 - Google Patents

排ガス処理用触媒、排ガス処理方法及び処理装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、排ガス中の塩素含有化合物の塩素を引き抜き、排出される排ガスを浄化する技術に関し、特に都市ゴミ焼却炉,産業廃棄物焼却炉,汚泥焼却炉等の各種焼却炉、溶融炉等から排出される排ガス中に含有されるダイオキシン類等の塩素化芳香族化合物等を無害化するための排ガス処理用触媒、排ガス処理方法及び処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
都市ゴミ焼却炉,産業廃棄物焼却炉,汚泥焼却炉等の各種焼却炉から排出される排ガス中には、焼却対象物の種類や焼却条件によって、窒素酸化物の他、ダイオキシン類やPCB類に代表される有害な塩素化芳香族化合物、高縮合度芳香族炭化水素等の有害物質が含有されることがあり、このような有害物質はいわゆる環境ホルモンと称され、人体や動植物に被害をもたらし、自然環境を破壊するものとして、深刻な社会問題化している。
【0003】
従来、排ガス中に含まれる上記有害物質の除去のため、脱硝触媒又はダイオキシン類等の分解用触媒として、チタニア(TiO2 )を担体とし、活性成分として五酸化バナジウム(V2 5 ),三酸化タングステン(WO3 )等の金属酸化物等を少なくとも一つ担持したものが使用されている。
【0004】
このような触媒は、酸化分解触媒であり、塩素化芳香族化合物をCO2 ,H2 O,他の塩化物等へ分解するものであり、これによりダイオキシン類は分解されるものの、完全に分解されない場合には、ダイオキシン類の前駆体で止まる場合もある。
また、従来の酸化触媒では、その比表面積が50〜80m2 /g程度と小さく、触媒性能を向上させるために、分解温度を高くする必要があるが、400℃以下の温度領域ではダイオキシン類の再生成がなされる場合があり、問題となる。
すなわち、酸化触媒を用いてダイオキシン類を分解しても完全に分解されない場合には、ダイオキシン類の前駆体の再合成によりダイオキシン類を再度発生してしまうおそれがある。
【0005】
このため、ダイオキシン類の再生成しない250℃以下の低温におけるダイオキシン類の分解処理が望まれている。
【0006】
また、従来においては、排ガスの煤塵の除去と同時にダイオキシン類を吸着して除去する試みが提案されているが、例えば除塵装置(例えばバグフィルタ)で煤塵と共にダイオキシン類を除去した場合には、該除塵装置のフィルタには、ダイオキシン類が吸着されているので、該ダイオキシン類を吸着したフィルタを別途処理,二次処理する必要があり、手間がかかるという問題がある。
同様に、ダイオキシン類含んだ有害物質を高温で溶融処理する場合も該溶融物の二次処理が必要となり、別途処理工程が増大するという問題がある。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑み、ダイオキシン類等の有害な塩素化芳香族化合物等の有害物質の脱塩素を行い、排ガス中の有害物質を確実に分解する排ガス処理用触媒、排ガス処理方法及び処理装置を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決する[請求項1]の発明は、排ガス中のダイオキシン類,クロルベンゼン類,及びクロロフェノールから選ばれる少なくとも一種の塩素化芳香族化合物である有害物質の塩素を引き抜いて浄化する排ガス処理用触媒であって、窒素基を有する含窒素炭化水素高分子を、空気中で200〜400℃で熱酸化架橋反応を行った後、窒素中で800〜1500℃で熱処理し、さらに2000℃で熱処理して、活性炭素繊維に窒素を1〜25重量%含有させたことを特徴とする。
【0009】
[請求項2]の発明は、請求項1において、上記活性炭素繊維にピリジンを添加しCVD法で焼成することを特徴とする。
【0010】
[請求項3]の発明は、請求項1又は2において、上記活性炭素繊維に窒素化合物を添着してなることを特徴とする。
【0011】
[請求項4]の発明は、請求項1又は2において、上記活性炭素繊維に塩素引き抜き反応性を有する金属酸化物を担持してなることを特徴とする。
【0012】
[請求項5]の発明は、請求項1又は2において、上記活性炭素繊維に窒素化合物及び塩基性を有する金属酸化物を複合的に担持してなることを特徴とする。
【0013】
[請求項6]の発明は、請求項1乃至5の何れかに記載の排ガス処理触媒において、上記活性炭素繊維の比表面積が500m2 /g以上であることを特徴とする。
【0014】
[請求項7]の発明は、排ガス中の有害物質を請求項1乃至6の何れかに記載の排ガス処理触媒に接触させ、排ガス中の有害物質の塩素を引き抜き分解処理することを特徴とする。
【0016】
[請求項]の発明は、排ガスを浄化する排ガス処理装置であって、排ガス中の煤塵を除塵する除塵装置と、該除塵装置の後流側に設けた請求項1乃至6の何れかに記載の排ガス処理用触媒を有する触媒装置とからなることを特徴とする。
【0017】
[請求項]の発明は、排ガスを浄化する排ガス処理装置であって、請求項1乃至6の何れかに記載の排ガス処理用触媒を有する触媒装置と、該触媒装置の後流側に設けた排ガス中の煤塵を除塵する除塵装置とからなることを特徴とする。
【0018】
[請求項1]の発明は、請求項又はにおいて、上記触媒装置に塩基性物質を導入する手段を設けたことを特徴とする。
【0019】
[請求項1]の発明は、請求項又はにおいて、脱硝装置を設けたことを特徴とする。
【0020】
[請求項1]の発明は、請求項乃至1の何れかに記載の排ガス処理装置において、上記触媒装置に導入する排ガスの温度を100〜400℃としたことを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0022】
本発明に係る触媒は、例えば焼却炉等から排出される塩素を含有する化合物等を含む排ガスを浄化する排ガス処理用触媒であって、活性炭素繊維が塩基性を有するものである。
ここで、一般に炭素繊維とは、アクリル繊維,強力レーヨン,石油ピッチ,石炭ピッチ等を溶融紡糸したピッチ繊維を用い、空気中で200〜400℃で熱酸化架橋反応を行った後、窒素中で800〜1500℃で熱処理し、2000℃で熱処理して炭素含有量の高い黒鉛化した繊維をいい、窒素含有量が0.1重量%以下のものである。
本発明の塩基性を有する活性炭素繊維とは、上記炭素繊維に被処理化合物中の塩素を引き抜く反応性を有する窒素を含有させたものをいう。
上記塩基性の活性炭素繊維の製造の一例としては、窒素基を含有する含窒素炭化水素高分子を炭化,不溶化したものや、活性炭素繊維へ窒素化合物を添着したものを、焼成して炭素繊維とすることで得られる。
また、PAN(ポリアクリロニトリル)繊維を高温で焼成した炭素繊維はPAN繊維原料に窒素基を含有しているので、そのままでも塩基性活性炭素繊維として使用することができる。さらに、このPAN系の活性炭素繊維に窒素基を有するピリジン等をCVD法により焼成することで活性炭素繊維に窒素基の含有量を高くした塩基性活性炭素繊維(窒素含有量:5重量%)とすることができる。
【0023】
上記塩基性の活性炭素繊維は、繊維状の炭素繊維にミクロの細孔を有するものであり、該細孔に窒素を担持させ、窒素の活性点を無数に有することで、塩素引き抜き活性が非常に高いものとなる。
なお、酸化分解触媒である金属触媒(TiO2 ,V2 5 ,WO3 ,Au,Pt等)を活性物質として担持させた炭素繊維と本発明の塩基性の活性炭素繊維との相違は、前者が該ガス中の有害物質の分解作用が酸化分解であり、ダイオキシン類を分解してもダイオキシン類の前駆体(例えばクロルベンゼン,クロロフェノール等)となる場合があるが、後者の本発明の塩基性の活性炭素繊維触媒は、塩素引き抜きによる還元分解反応であるのでダイオキシン類を分解した場合には、例えばベンゼン,フェノール等に分解され、ダイオキシン類の前駆体の発生がないので、両者の作用・機構が大きく異なる点である。
【0024】
本発明で塩基性の活性炭素繊維が塩基性を強化してなるとは、窒素含有比率が高いものをいい、窒素の担持量が1〜25重量%のもの、特に5〜25重量%のものが好適である。
これは、窒素の担持量が1重量%未満の場合には、中性の活性炭素繊維や酸化触媒を担持した活性炭素繊維と同様に有効な塩素引き抜き反応が良好に進行しないからである。
一方、窒素の担持量が25重量%を超えるような担持の場合は、担持による増量効果に更なる効果が発現せず、また、細孔に窒素を担持するにも限界があるからである。
【0025】
上記塩基性活性成分として、窒素を含有させるものとは異なり塩素引き抜き反応性を有する金属酸化物を担持するようにしてもよい。
本発明で上記塩素引き抜き反応性を有する金属酸化物は、例えば酸化スズ(SnO)を挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばMgO,CaO,SrO,BaO,ZrO2 ,ZnO及びこれらのSiO2 との複合酸化物,Al2 3 ,TiO2 との複合酸化物を挙げることができる。
【0026】
また、他の塩基性活性成分として、塩素引き抜き反応性を有するロジウム(Rh)を担持するようにしてもよい。
【0027】
上記塩基性活性成分としては、各々を単独で活性炭素繊維に担持してもよく、また複数種の活性成分を複合的(例えば、PAN系活性炭素繊維に酸化スズ又は/及びロジウムを担持させる)ようにしてもよい。
【0028】
本発明の塩基性の活性炭素繊維の比表面積は、従来の酸化触媒の比表面積(60〜80m2 /g)よりも数十倍から数百倍と高く、500m2 /g以上のものが好ましく、500〜10000m2 /gの範囲のものが好適である。
このように、本発明の塩基性の活性炭素繊維触媒は、比表面積が大きいので活性が高く、ダイオキシン類のような高沸点の分子量の大きいものを良好に分解することができ、有利である。
【0029】
排ガス処理に使用される触媒は、ガスとの接触面積を大とすることが好ましいことは当然であるが、繊維状触媒の充填密度の程度によっては排ガスの流動背圧が上がり好ましくない。この対策としては通常は繊維状触媒をその比表面積を過度に低下させることなく所定の密度に圧縮して得た、例えばハニカム状の成型体が使用される。
また、塩基性の活性炭素繊維を板状にしたり、石膏ボード等のボードや布に貼着するようにしてもよい。
【0030】
ここで、本発明の触媒で分解処理する排ガスの対象としては都市ゴミ焼却炉,産業廃棄物焼却炉,汚泥焼却炉等の各種焼却炉、溶融炉等から排出される排ガスや、ゴミ固化燃料(RDF)製造プラント等の各種プラント、その他一般の化学合成施設からの排ガス等が対象となり、特に限定されるものではない。また、排ガス中のに含まれる有害物質とは、窒素酸化物の他、ダイオキシン類やPCB類に代表される有害な塩素化芳香族化合物等の有害物質をいうが、本発明の塩素引き抜き作用により分解できる排ガス中の有害物質(又は環境ホルモン)であればこれらに限定されるものではない。
【0031】
ここで、上記ダイオキシン類とは、ポリ塩化ジベンゾ−p−ダイオキシン類(PCDDs)及びポリ塩化ジベンゾフラン類(PCDFs)の総称であり、塩素系化合物とある種の有機塩素化合物の燃焼時に微量発生するといわれ、化学的に無色の結晶である。塩素の数によって二塩化物から八塩化物まであり、異性体にはPCDDsで75種類、PCDFsで135種類におよび、これらのうち、特に四塩化ジベンゾ−p−ダイオキシン(T4 CDD)は、最も強い毒性を有するものとして知られている。なお、有害な塩素化芳香族化合物としては、ダイオキシン類の他にその前駆体となる種々の有機塩素化合物(例えば、フェノール,ベンゼン等の芳香族化合物(例えばクロルベンゼン類,クロロフェノール及びクロロトルエン等)、塩素化アルキル化合物等)が含まれており、排ガス中から除去する必要がある。
【0032】
また、PCB類(ポリ塩化ビフェニル類)はビフェニールに塩素原子が数個付加した化合物の総称であり、塩素の置換数、置換位置により異性体があるが、2,6−ジクロロビフェニル、2,2'−ジクロロビフェニル、2,3,5−トリクロロビフェニル等が代表的なものであり、毒性が強く、焼却した場合にはダイオキシン類が発生するおそれがあるものとして知られており、排ガス中から除去する必要がある。
【0033】
また、上記有機塩素化合物以外に、排ガス中には、例えば高縮合度芳香族炭化水素等や、ホルムアルデヒド,ベンゼン又はフェノールのような気体状有機化合物を含む排ガスが発生することもある。これらの有機化合物もまた、環境汚染物質であり、人間の健康を著しく損ねるので、排ガスから除去する必要があるが、炭素繊維本来の吸着作用によりこれらの有害物質も除去が可能となる。
【0034】
また、本発明で処理される有害物質として窒素酸化物を挙げることもできる。この窒素酸化物とは、通常NO及びNO2 の他、これらの混合物をいい、NOxとも称されている。しかし、該NOxにはこれら以外に各種酸化数の、しかも不安定な窒素酸化物も含まれている場合が多い。従ってxは特に限定されるものではないが通常1〜2の値である。雨水等で硝酸、亜硝酸等になり、またはNOは光化学スモッグの主因物質の一つであるといわれており、人体には有害な化合物である。本発明では、排ガス中にアンモニア等の塩基物質を導入することにより、脱硝が可能となる。
【0035】
本発明による上記触媒を使用することにより、上述した有害物質である窒素酸化物,ダイオキシン類,高縮合度芳香族炭化水素等の有害物質や気体状有機化合物を接触的に還元又は分解して無害化処理することができる。
ここで、上記有害物質の内排ガス中のダイオキシン類,ダイオキシン類の前駆体,PCB等の塩素化芳香族化合物、高縮合度芳香族炭化水素は、本発明の塩基性の活性炭素繊維触媒の塩素引き抜き作用により無害化処理がなされる。
また窒素酸化物については本発明の触媒を充填した装置の前流側に塩基性物質(例えばアンモニア等)導入手段を存在させ、還元反応により無害化処理が行われる。
【0036】
図1〜図5に上記触媒を用いた排ガス浄化装置の概略の一例を示すが、本発明の触媒を用いた触媒装置はこれに何ら限定されるものではない。
【0037】
図1に示すように、本実施の形態にかかる排ガス処理装置は、都市ゴミ,産業廃棄物,汚泥等の各種ゴミを焼却する各種焼却炉11から排出される排ガス12を冷却するガス冷却装置13と、冷却後の排ガス中の有害物質を分解処理する触媒装置14と、有害物質を分解・除去した排ガスを外部へ排出する煙突15とから構成されている。
【0038】
また、図2には、上記排ガス処理装置に排ガス除塵装置を設けた場合を示す。すなわち、図1に示すように、本実施の形態にかかる排ガス処理装置は、都市ゴミ,産業廃棄物,汚泥等の各種ゴミを焼却する各種焼却炉11から排出される排ガス12を冷却するガス冷却装置13と、冷却後の排ガス中の煤塵を除去する排ガス除塵装置16と、除塵後の排ガス中の有害物質を分解処理する触媒装置14と、有害物質を分解・除去した排ガスを外部へ排出する煙突15とから構成されている。上記除塵装置16により後流の触媒装置14の負荷が低減されることになる。除塵装置としては、電気除塵装置,バグフィルタ等の煤塵処理装置を用いればよい。
【0039】
また、図3には、上記排ガス処理装置に脱硝装置を設けた場合を示す。
すなわち、図1に示すように、本実施の形態にかかる排ガス処理装置は、都市ゴミ,産業廃棄物,汚泥等の各種ゴミを焼却する各種焼却炉11から排出される排ガス12を冷却するガス冷却装置13と、冷却後の排ガス中の煤塵を除去する排ガス除塵装置16と、除塵後の排ガス中の有害物質を分解処理する触媒装置14と、触媒装置14の後流側に設けた脱硝を行う脱硝装置17と、有害物質を分解・除去した排ガスを外部へ排出する煙突15とから構成されている。上記除塵装置16により脱硝を独立して行うことができる。
なお、本発明の触媒を用いた触媒装置14は低温型であるので、後流の脱硝装置17も低温型のものとすればよい。しかしながら、脱硝装置17で脱硝効率を向上させるために、排ガスを再加熱した場合であっても、本発明の触媒装置14で塩素を引き抜き反応によりダイオキシン類前駆体の発生がないので、問題が生じることはない。
【0040】
一方、高温型の脱硝装置を用いる場合には、図4に示すように、ガス冷却装置13の前流側に設けたり、図5に示すように、排ガス除塵装置14の後流側に設けたり、或いは排ガス除塵装置16に脱硝機能を併用するようにしてもよい。
【0041】
上述した排ガス浄化装置によれば、触媒装置14で塩素の引き抜きによりダイオキシン類の前駆体の発生がなく、効率的な排ガス中の浄化が可能となる。
【0042】
なお、除塵装置16での効率のよい捕集を行うために低温に冷却した場合において、再加熱する場合であってもダイオキシン類の再生成率が低い250℃を限度とするのがよい。
【0043】
本発明の排ガス浄化装置では、脱硝及びダイオキシン類の除去を一つの触媒装置13で同時に行うこともでき、その場合には、図1及び図2の装置において、塩基性物質として例えばアンモニアを注入する注入ノズルを介してアンモニアを触媒装置14内に導入すればダイオキシン類の分解と脱窒素とを同時に行うことができる。
【0044】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0045】
[実施例1]
窒素含有率が7重量%の塩基性のPAN系活性炭素繊維(比表面積:1200m2 /g)を用い、ダイオキシン類の代用試験物質であるo−ジクロロベンゼンの分解率を測定した。
o−ジクロロベンゼンを1ppm、O2 を5%、H2 Oを10%、残りN2 からなる模擬ガスを作成し、上記触媒を詰めた円筒管の外周にヒータを設け、流通式により常圧で測定した。
測定条件は、温度を250℃と350℃とし、SV(空間速度)をSV=500h-1,SV=1000h-1,SV=5000h-1,SV=1000h-1とした。
分解率は、模擬ガス中のHCl,Cl2 の発生量を測定して求めた。
この結果を「表1」に示す。
【0046】
【表1】
Figure 0003776593
【0047】
[実施例2]
実施例1の塩基性の活性炭素繊維に、ピリジンを添加しCVD法で焼成することにより、N2 の添加率が高いのもの(窒素含有率12重量%)としたPAN系活性炭素繊維(比表面積:1200m2 /g)を用いた以外は、実施例1と同様にして分解率を測定した。
この結果を「表2」に示す。
【0048】
【表2】
Figure 0003776593
【0049】
[実施例3]
実施例2の高い窒素比率(窒素含有率12重量%)の塩基性の活性炭素繊維を用い、模擬ガスとして、実施例1のo−ジクロロベンゼンの代わりに、p−クロロフェノールを1ppm含んだガスと以外は、実施例1と同様にして分解率を測定した。
この結果を「表3」に示す。
【0050】
【表3】
Figure 0003776593
【0051】
[実施例4]
実施例1の塩基性の活性炭素繊維の代わりに酸化スズ(SnO)を担持したフェノール系活性炭素繊維(窒素含有率10重量%、比表面積:1900m2 /g)を用いた以外は、実施例1と同様にして分解率を測定した。
この結果を「表4」に示す。
【0052】
【表4】
Figure 0003776593
【0053】
[実施例5]
実施例1の塩基性の活性炭素繊維の代わりにRhを5重量%担持したフェノール系活性炭素繊維(比表面積:1900m2 /g)を用いた以外は、実施例1と同様にして分解率を測定した。
この結果を「表5」に示す。
【0054】
【表5】
Figure 0003776593
【0055】
[比較例1]
実施例1において、窒素含有率0重量%のフェノール系活性炭素繊維(比表面積:1200m2 /g)を用いた以外は、実施例1と同様にして分解率を測定した。 この結果を「表6」に示す。
【0056】
【表6】
Figure 0003776593
【0057】
「表1」〜「表5」から明らかなように、本発明にかかる触媒を使用することによりダイオキシン類分解率の向上は著しく、SV=1000h-1で、すべて分解率95%以上を確保することができることが判明した。
また、「表2」に示すように、窒素量が高いと分解効率が高くなることが判明した。
なお、「表6」に示すように、窒素量が零の場合には、塩素引き抜き作用が発現されず、SV値が低い場合に吸着によってのみ除去がなされていた。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の「請求項1]の発明によれば、排ガスを浄化する排ガス処理用触媒であって、空気中で200〜400℃で熱酸化架橋反応を行った後、窒素中で800〜1500℃で熱処理して、活性炭素繊維に窒素を含有させたので、排ガス中の有害物質の塩素含有化合物の塩素を引き抜き、排出される排ガスを浄化することができる。
【0059】
[請求項2]の発明によれば、請求項1において、上記活性炭素繊維の窒素の担持量が5〜25重量%であるので、塩素引き抜き活性が高く効率的な浄化が可能となる。
【0060】
[請求項3]の発明によれば、請求項1又は2において、上記活性炭素繊維に窒素化合物を添着してなるので、塩素引き抜き活性が高く効率的な浄化が可能となる。
【0061】
[請求項4]の発明によれば、請求項1又は2において、上記活性炭素繊維に塩素引き抜き反応性を有する金属酸化物を担持してなるので、塩素引き抜き活性が高く効率的な浄化が可能となる。
【0062】
[請求項5]の発明によれば、請求項1又は2において、上記活性炭素繊維に窒素化合物及び塩基性を有する金属酸化物を複合的に担持してなるので、塩素引き抜き活性が高く効率的な浄化が可能となる。
【0063】
[請求項6]の発明によれば、請求項1乃至5の何れかに記載の排ガス処理触媒において、上記活性炭素繊維の比表面積が500m2 /g以上であるので、塩素引き抜き活性が高く効率的な浄化が可能となる。
【0064】
[請求項7]の発明によれば、排ガス中の有害物質を請求項1乃至6の何れかに記載の排ガス処理触媒に接触させ、排ガス中の有害物質の塩素を引き抜き分解処理するので、排ガス中の有害物質を分解処理することができる。
【0065】
[請求項8]の発明によれば、特に、上記排ガス中の有害物質がダイオキシン類,ポリ塩化ビフェニル類,クロルベンゼン類,クロロフェノール及びクロロトルエンから選ばれる少なくとも一種の塩素化芳香族化合物を分解処理することができる。
【0066】
[請求項9]の発明によれば、排ガスを浄化する排ガス処理装置であって、排ガス中の煤塵を除塵する除塵装置と、該除塵装置の後流側に設けた請求項1乃至6の何れかに記載の排ガス処理用触媒を有する触媒装置とからなることを特徴とする。
【0067】
[請求項10]の発明によれば、排ガスを浄化する排ガス処理装置であって、請求項1乃至6の何れかに記載の排ガス処理用触媒を有する触媒装置と、該触媒装置の後流側に設けた排ガス中の煤塵を除塵する除塵装置とからなるので、高比表面積の排ガス処理触媒により排ガス中のダイオキシン類,ダイオキシン類の前駆体,PCB等の塩素化芳香族化合物、高縮合度芳香族炭化水素の酸化分解が可能となる。
【0068】
[請求項11]の発明によれば、請求項9又は10において、上記触媒装置に塩基性物質を導入する手段を設けたので、また塩基性ガスの添加により脱硝が可能となり、両者の併合した分解が可能となる。
【0069】
[請求項12]の発明によれば、請求項9又は10において、脱硝装置を設けたので、排ガス中の塩素含有化合物の分解と、脱硝装置による脱硝とを独立して行うことができる。
【0070】
[請求項13]の発明によれば、請求項9乃至11の何れかに記載の排ガス処理装置において、上記触媒装置に導入する排ガスの温度を100〜400℃としたので、低温で排ガス中の有害物質の分解除去が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】排ガス処理装置の一例を示す概略図である。
【図2】排ガス処理装置の一例を示す概略図である。
【図3】排ガス処理装置の一例を示す概略図である。
【図4】排ガス処理装置の一例を示す概略図である。
【図5】排ガス処理装置の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
11 焼却炉
12 排ガス
13 ガス冷却装置
14 触媒装置
15 煙突
16 排ガス処理装置
17 脱硝装置

Claims (12)

  1. 排ガス中のダイオキシン類,クロルベンゼン類,及びクロロフェノールから選ばれる少なくとも一種の塩素化芳香族化合物である有害物質の塩素を引き抜いて浄化する排ガス処理用触媒であって、
    窒素基を有する含窒素炭化水素高分子を、空気中で200〜400℃で熱酸化架橋反応を行った後、窒素中で800〜1500℃で熱処理し、さらに2000℃で熱処理して、活性炭素繊維に窒素を1〜25重量%含有させた
    ことを特徴とする排ガス処理用触媒。
  2. 請求項1において、
    上記活性炭素繊維にピリジンを添加しCVD法で焼成する
    ことを特徴とする排ガス処理用触媒。
  3. 請求項1又は2において、
    上記活性炭素繊維に窒素化合物を添着してなる
    ことを特徴とする排ガス処理用触媒。
  4. 請求項1又は2において、
    上記活性炭素繊維に塩素引き抜き反応性を有する金属酸化物を担持してなる
    ことを特徴とする排ガス処理用触媒。
  5. 請求項1又は2において、
    上記活性炭素繊維に窒素化合物及び塩基性を有する金属酸化物を複合的に担持してなる
    ことを特徴とする排ガス処理用触媒。
  6. 請求項1乃至5の何れかに記載の排ガス処理触媒において、
    上記活性炭素繊維の比表面積が500m2 /g以上である
    ことを特徴とする排ガス処理用触媒。
  7. 排ガス中の有害物質を請求項1乃至6の何れかに記載の排ガス処理触媒に接触させ、排ガス中の有害物質の塩素を引き抜き分解処理する
    ことを特徴とする排ガス処理方法。
  8. 焼却炉から排出される排ガスを浄化する排ガス処理装置であって、排ガス中の煤塵を除塵する除塵装置と、該除塵装置の後流側に設けた請求項1乃至6の何れかに記載の排ガス処理用触媒を有する触媒装置とからなる
    ことを特徴とする排ガス処理装置。
  9. 排ガスを浄化する排ガス処理装置であって、請求項1乃至6の何れかに記載の排ガス処理用触媒を有する触媒装置と、該触媒装置の後流側に設けた排ガス中の煤塵を除塵する除塵装置とからなる
    ことを特徴とする排ガス処理装置。
  10. 請求項8又は9において、
    上記触媒装置に塩基性物質を導入する手段を設けた
    ことを特徴とする排ガス処理装置。
  11. 請求項8又は9において、脱硝装置を設けた
    ことを特徴とする排ガス処理装置。
  12. 請求項8乃至10の何れかに記載の排ガス処理装置において、
    上記触媒装置に導入する排ガスの温度を100〜400℃とした
    ことを特徴とする排ガス処理装置。
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