JP2004174360A - 排ガス処理方法および吸着剤充填層装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】猛毒成分であるダイオキシン類等を確実に除去するとともに、吸着剤の長寿命化を達成することのできる排ガス処理方法及び吸着剤充填層装置を提供すること。
【解決手段】排ガスの中和処理および除塵処理を経て各種の成分が未だ微量に残存する多成分系の排ガスの処理において、
排ガス中のダイオキシン類で代表される猛毒成分を除去する際に、まず、薬品賦活を経て製造された炭素系吸着剤に排ガスを接触させ、ついで、水蒸気賦活を経て製造された炭素系吸着剤に接触させることにより、排ガスを無害化する。
【選択図】 図1
【解決手段】排ガスの中和処理および除塵処理を経て各種の成分が未だ微量に残存する多成分系の排ガスの処理において、
排ガス中のダイオキシン類で代表される猛毒成分を除去する際に、まず、薬品賦活を経て製造された炭素系吸着剤に排ガスを接触させ、ついで、水蒸気賦活を経て製造された炭素系吸着剤に接触させることにより、排ガスを無害化する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、排ガス中に各種の微量成分が共存する場合に、ダイオキシン類やニトロ化芳香族炭化水素(PAH)などの猛毒成分を高度に除去する際の排ガス処理方法、およびこれを実施するための吸着剤充填層装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
都市ごみ、産業廃棄物等の可燃性廃棄物の焼却、ガス化、溶融の各種工程から排出される排ガス、スクラップ溶解やアルミ精錬等の各種金属精錬過程で排出される排ガス、さらには各種製造工場、化学工場、発電設備等で排出される排ガスには、ばいじん、HClやSOx等の酸性成分、窒素酸化物、水銀等の重金属、ダイオキシン類およびその前駆物質等の有機ハロゲン化合物など、さまざまな有害物質が含まれている。
【0003】
これらの有害物質のうち、HCl、SOx等の酸性成分は、例えば、バグフィルタ装置を用いた消石灰粉の噴霧による乾式処理、ベンチュリースクラバーを用いた苛性ソーダ水溶液噴霧による湿式処理がなされて、所定濃度以下に無害化される。また、窒素酸化物は炉内の燃焼改善または無触媒脱硝や触媒脱硝塔により処理される。さらに、水銀等の重金属は、活性炭吹込法により消石灰粉の噴霧と同様にバグフィルタ装置により処理される。
このように、ダイオキシン類で代表される排ガスに含まれる猛毒成分は、上記の活性炭吹込または脱硝を兼ねた脱硝触媒により、概ね除去でき、一般に広く採用されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0004】
しかしながら、法令によるダイオキシン類の排出規制の強化により、近年、高い水準の処理が求められており、このためバグフィルタや脱硝塔の後段に活性炭充填塔を追設するケースが見られるようになった。この活性炭充填塔(吸着剤充填層装置)は、充填物として一種類の活性炭のみを装置に充填して充填層を形成し、該充填層に排ガスを接触させることにより、排ガス中のダイオキシン類を吸着除去していた。
一方、ダイオキシン類等の猛毒成分を除去する目的ではないが、従来より、活性炭粒や脱硝触媒を充填した吸着剤移動床により、除塵および脱硫、脱硝を行うケースがあった(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−233112号公報
【特許文献2】
特開2000−354736号公報
【特許文献3】
特開2000−70672号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の方法は、ばいじん、酸性成分、窒素酸化物等の排ガス浄化に関して大気汚染防止法等に規定された除去水準を満たすことは達成できていたが、近年のダイオキシン類対策特別措置法により規定されたダイオキシン類の高い水準の除去は必ずしも満たされているとは言えない状況にあった。あるいは、大気放散濃度を十分低くでき法的にはクリアしていたとしても、地方自治体等による上乗せ基準や、密集地域における総量規制を満たす上では、さらに高い水準のダイオキシン類除去が求められることとなった。
【0007】
すなわち、ダイオキシン類の規制値は、大規模施設では、毒性換算濃度0.1ng/Nm3とされているが、上述のごとく、0.05ng/Nm3あるいは0.01ng/Nm3以下が求められる場合もあった。そこで、従来の技術で述べたとおり、活性炭吸着塔による高度処理がなされ、この厳しい値をクリアすることが概ね可能となった。そしてこの活性炭吸着塔(吸着剤充填層装置)は、固定床、移動床、流動床の形式が採用され、複数層で構成される場合もあったが、何れも一種類の活性炭が充填され、所定の交換頻度または切り出し量にて吸着剤(活性炭)の交換がなされていた。
【0008】
一方、排ガス処理として、例えば、中和処理や除塵処理を事前に行い、たとえ大気放散できる水準を満たしたとしても排ガスには未だ各種の微量成分が残存しており、これらの微量成分が、微量で猛毒成分であるダイオキシン類の吸着除去を妨害してしまう問題点を本発明者は着眼した。すなわち、中和処理や除塵処理をしたあとに、活性炭吸着塔を設置してもなお共存する微量成分の影響でダイオキシン類の吸着除去性能を低下させてしまい、吸着剤の寿命を短くしてしまうといった問題点があった。
【0009】
ここで言う、猛毒成分としてのダイオキシン類は、国がその毒性換算濃度で法規制している、ポリジベンゾパラジオキシン(PCDDs、ダイオキシン体)とポリジベンゾフラン(PCDFs)とコプラナPCBであり、ここでは、毒性係数がゼロであっても物理化学性状は類似しているため同族体や異性体も含むものとする。その他の猛毒成分としては、前記ダイオキシン類の構成元素である塩素が別のハロゲン元素で置換されたもの、いわゆる、臭素化ダイオキシン類や、発ガン性が指摘されているニトロ基が結合した多環芳香族系炭化水素(PAHs)であるニトロ化PAHsや、その他塩素化された高分子系の有機ハロゲン化合物が挙げられる。
【0010】
ここで言う、猛毒成分と共存して排ガスに残存する各種の微量成分とは、例えば、数十ppm以下のHCl、SOx、NOx、CO、低分子炭化水素、数十mg/Nm3以下のばいじん、マイクログラムからナノグラムオーダーでは、ダイオキシン類前駆体と言われるクロロベンゼン(CBs)およびクロロフェノール(CPs)、PCB類、高分子炭化水素(タール成分)、多環芳香族系炭化水素(PAHs)、水銀蒸気、その他重金属ミスト、硫酸アンモンなどのアンモニア化合物などである。
【0011】
本発明は、上述の各課題を克服し、猛毒成分であるダイオキシン類等を確実に除去するとともに、吸着剤の長寿命化を達成することのできる排ガス処理方法および吸着剤充填層装置を提供することを目的としたものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る排ガス処理方法は、排ガスの中和処理および除塵処理を経て各種の成分が未だ微量に残存する多成分系の排ガスの処理において、前記排ガス中のダイオキシン類で代表される猛毒成分を除去する際に、薬品賦活を経て製造された炭素系吸着剤に前記排ガスを接触させ、ついで、水蒸気賦活を経て製造された炭素系吸着剤に接触させることにより、前記排ガスを無害化するようにしたものである。
【0013】
本発明に係る吸着剤充填層装置は、排ガスの中和処理および除塵処理を経て各種の成分が未だ微量に残存する多成分系の排ガスの処理において、同排ガス中のダイオキシン類で代表される猛毒成分を除去する装置であって、薬品賦活を経て製造された炭素系吸着剤を充填した充填層と、水蒸気賦活を経て製造された炭素系吸着剤を充填した充填層とを内装し、この順に前記排ガスと接触させるように構成したものである。
【0014】
また、本発明に係る吸着剤充填層装置は、排ガスの中和処理および除塵処理を経て各種の成分が未だ微量に残存する多成分系の排ガスの処理において、同排ガス中のダイオキシン類で代表される猛毒成分を除去する装置であって、除塵用のフィルタ層と、薬品賦活を経て製造された炭素系吸着剤を充填した充填層と、水蒸気賦活を経て製造された炭素系吸着剤を充填した充填層とを内装し、この順に前記排ガスと接触させるように構成したものである。
【0015】
さらに、本発明に係る吸着剤充填層装置は、排ガスの中和処理および除塵処理を経て各種の成分が未だ微量に残存する多成分系の排ガスの処理において、同排ガス中のダイオキシン類で代表される猛毒成分を除去する装置であって、除塵用のフィルタ層と、薬品賦活を経て製造された炭素系吸着剤を充填した充填層と、水蒸気賦活を経て製造された炭素系吸着剤を充填した充填層と、金属成分を含有する触媒粒を充填した充填層とを内装し、この順に前記排ガスと接触させるように構成したものである。
【0016】
また、上記各吸着剤充填層装置の各種の充填層は、各々着脱可能なカートリッジ型として、ひとつの装置に内装したものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
[実施の形態1]
図1は本発明の実施形態1に係る固定床式、断面円筒縦型の吸着剤充填層装置の模式図である。
図において、1は吸着剤充填層装置(本体)、2は排ガス導入ダクト、3は排ガス排出ダクト、4は薬品賦活炭の充填層、5は水蒸気賦活炭の充填層、6は両者の間に設けた仕切板である。
【0018】
図示しない排ガス発生源として例えば廃棄物焼却炉から排出された排ガスは、熱回収手段等を経て図示しない中和工程および除塵工程を経て、所定濃度以下の酸性成分およびばいじん濃度となって、例えば150℃の温度で吸着剤充填層装置1の排ガス導入ダクト2に導入される。吸着剤充填層装置1の下部には薬品賦活を経て製造された炭素系吸着剤を充填した充填層、すなわち、薬品賦活炭の充填層4が形成され、パンチングメタル、金網などの通気性を有する仕切板6を介して、その上部に、水蒸気賦活を経て製造された炭素系吸着剤を充填した充填層、すなわち、水蒸気賦活炭の充填層5が形成されている。
【0019】
導入された排ガスは、中和工程および除塵工程を経たものでありながら、ダイオキシン類で代表される猛毒成分をはじめ、各種の成分を微量に共存する多成分系の排ガスであり、薬品賦活炭の充填層4を通過する際に、これら成分のうち、極性を有する比較的低分子の成分が積極的に吸着されるとともに、その他の成分およびダイオキシン類で代表される猛毒成分が吸着除去される。続いて、排ガスは水蒸気賦活炭の充填層5を通過し、ごくわずかに残存する上記成分を確実に吸着除去する。水蒸気賦活炭の充填層5を経た清浄ガスは排ガス排出ダクト3を介して、図示しない煙突より大気放散される。
【0020】
図1に示した吸着剤充填層装置1は円筒型の固定床式としたので、薬剤賦活炭の装置への充填は、例えば本体1の上部に設けた図示しない薬剤投入口より投入し、抜き出し時は、下部に排出口を設置するか、吸引具などで投入口より抜き出すように構成してもよい。抜き出したあとの充填剤は別途再生処理して再利用するか、炉へ投入して無害化してもよい。2つの充填層の区切りに用いた仕切板13は、被処理排ガスが通過でき、充填剤が通過しない構造であればよいが、例示の縦方向に充填する方式では、仕切板6は設置しなくともよく、薬剤賦活炭充填層4の上に直接水蒸気賦活炭を充填するようにしてもよい。また、後述する実施の形態4(図4)に示すように、横方向から抜き出すようにしたカートリッジ型の充填でよい。なお、その他の態様については、実施の形態5で説明する。
【0021】
吸着剤充填層装置1の運転または設計に際して、充填層を通過するろ過速度LV(空塔速度)は、圧損の過度な上昇や充填剤の飛沫を考慮し、さらには吸着剤との反応時間の確保を考慮し、好ましくは0.3m/s以下とすることが望ましい。また、空間速度SVは、ろ過速度LVとも関連する値で、圧損を低く抑える場合にはろ過断面を大きくとればSVの値をある程度確保できる。すなわち、充填量を少なめに設定できるが、その代わりに接触時間が短くなることに留意し、例えば500〜10000[1/h]を採用できる。但し、これは吸着剤の破過時間の設定、すなわち、交換頻度の設定にもよるので、必ずしも上記範囲でなくともよい。また、差圧を高く設定してもよい場合は、ろ過速度LVの上限値を0.3m/s以上の0.5m/sとすることもでき、特に粒度が大きい充填物の場合は、高めのろ過速度とすることができる。これらは被処理ガスの性状や運転の諸事情により、上記に限らず適宜設定できるものとする。
以上のように吸着剤充填層装置1を構成すると次のような効果が得られる。
【0022】
すなわち、各種の共存成分を含む排ガスに、薬品賦活炭を接触させて排ガスを精製し、次に水蒸気賦活炭と接触させてさらに精製するので、結果としてダイオキシン類を代表とする猛毒成分を高い水準で除去できるとともに、吸着剤の長寿命化を達成できる。
詳しく述べると、前者の工程の薬品賦活炭は、その吸着表面に各種の官能基が構成されて物理吸着作用以外に化学吸着作用が生じるので、次の効果が得られる。すなわち、ダイオキシン類等の猛毒成分と共存する微量成分のうち、低分子、低沸点で比較的濃度が高くppmまたはmgオーダーで存在する酸性成分や、アンモニア化合物、さらには高分子であっても極性を有する化合物は、表面に官能基が少ない後続の水蒸気賦活炭では吸着除去されにくく、あるいは水蒸気賦活炭に吸着されても吸着破過が相対的に早いため、系外へ放散されてしまうおそれがあったが、化学吸着作用を生じる薬品賦活炭を用いれば、これらの共存成分を前段の処理で確実に吸着除去できる。
【0023】
このとき、前記以外の微量である共存成分やダイオキシン類等の猛毒成分も、前段の薬品賦活炭の主に物理吸着作用により概ね除去できる。これに引き続き、被処理排ガスを水蒸気賦活炭と接触させるので、前段の薬品賦活炭から不所望に猛毒成分が流出するおそれがあっても安全にこれを吸着除去でき、結果としてダイオキシン類で代表される猛毒成分を高い水準で除去することが可能で、同時に、共存する酸性成分やアンモニア化合物等の有害な成分の系外への排出量をごく低くすることが可能である。
【0024】
また、前段の薬品賦活炭との接触過程で、共存成分として、ダイオキシン類の前駆体とされるクロロベンゼン(CBs)やクロロフェノール(CPs)は、水蒸気賦活炭よりも吸着されやすく、そのほとんどが実質的に除去されるので、ダイオキシン類が被処理ガスの負荷変動等の外乱により不所望に再合成されてしまうおそれをより確実に回避することができる。また、前段の工程で、上述のとおり、極性を有する共存成分を化学吸着により概ね除去しているので、後段の工程におけるダイオキシン類等の猛毒成分の吸着がなされる際の吸着妨害作用が少なくて済み、以て、高い水準の猛毒成分除去を達成できる。
【0025】
上述の吸着妨害作用とは、多成分系における競合吸着や置換吸着の作用で、共存成分が吸着表面(サイト)付近に存在すると、既吸着あるいは吸着されつつある猛毒成分と入れ替わって吸着されてしまい、結果として猛毒成分の吸着率が低下してしまうことなどを指す。本来は、極性を有するものや低分子系の成分の多くは、高分子であるダイオキシン類よりも吸着力が弱いため、置換されて揮散される(ここではこれを順置換吸着と称する)と考えられるが、存在濃度の比が大きく異なることにより、ごく一部の吸着表面では上述したようにダイオキシン類が揮散脱離する逆の現象(ここではこれを逆置換吸着と称する)が発生しているものと推定される。現象は不明な点があるが、何れにしても、置換吸着等により猛毒成分であるダイオキシン類等が系外へ不所望に排出されるのをより確実に回避できると言える。
【0026】
また、前段の薬品賦活炭で化学吸着により積極的に共存成分の一部を吸着除去しているので、物理吸着よりも吸着力が強いため、相対的に多く発生するとされる順置換吸着が発生せずに済み、すなわち、極性を有するなどの共存成分が揮散脱離し後段へ流出して、逆置換作用を不所望に発生させることを確実に回避できる。このように、薬品賦活炭、水蒸気賦活炭の順に被処理排ガスと接触させるので、ダイオキシン類で代表される猛毒成分を確実に高い水準で除去できる。
また、吸着機構にあわせてその吸着負荷を効率よく分担させて、上述のように高い水準で猛毒成分を除去できるので、充填する吸着剤の量を相対的に少なくできる利点、あるいは吸着剤の破過時間または平衡時間を長く設定でき長寿命化が達成できる利点が得られる。
【0027】
ここで、薬品賦活炭は、石炭系、やしがら系、木炭系、ピッチ系、各種の原料が用いられるが、吸着剤の表面に官能基が生成されやすい木炭系(木質系)が相対的に好ましい。木質原料は、従来材料以外に、例えば間伐材、廃木材、建設廃材などを用いれば、バイオマスの有効利用という環境配慮型とすることができる。木質系でない場合は、例えば下水処理過程から排出される有機成分を多く含有する汚泥を乾燥して、原料として用いても良く、不純物としてNやSが含有しているので、この場合も多く官能基が構成される。製造工程で用いる薬品は、塩化亜鉛、リン酸やその他脱水性無機薬品が用いられるが、好ましくはリン酸を用いることがよく、本発明の多成分系の排ガス処理に適した炭素系吸着剤が得られる。賦活は上記の薬品添加のもと、例えば500〜800℃の温度でなされる。
【0028】
一方、水蒸気賦活炭は、上述と同様に、石炭系、やしがら系、木炭系、ピッチ系等、各種の原料が用いられるが、吸着剤の表面に官能基が生成されないことが多い石炭系が相対的に望ましい。水蒸気による賦活は公知の方法が用いられ、例えば800〜1000℃で水蒸気を流通しながら、必要に応じてCO2や空気を混入させて賦活処理がなされる。
【0029】
このようにして製造した薬品賦活吸着剤の表面(吸着サイト)には、官能基として炭素Cと酸素Oの結合からなる酸性酸化物(C‥Oで示す)や、炭素Cと窒素等の化合物との結合からなる塩基性化合物(C‥Rで示す)が生じている。そしてこれら、C‥OおよびC‥Rは、非吸着物の一部であるSOxやNH3等との接触により、その性状は互いに可変であるものと考えられる。すなわち、C‥O⇔C‥Rの関係が吸着表面にて発生しているものと考えられる。C‥Oの例示として、−COOH(カルボキシル基)、−C6H5−OH(フェノール基)、−OCO(ラクトン基)、その他キノン型カルボニル基などが挙げられる。C‥Rの例示として、−C−NH2(アミノ基)、−C−NHNH2(ヒドラジン基)、その他、ジアゾ基、イミノ基、アジノ基などが挙げられる。そして、これらの基の存在により、主に極性を有する排ガス中の微量の共存成分を、同基の化学親和力(化学結合力)により物理吸着よりも強い結合力で吸着させるのである。
【0030】
また、上記の薬品賦活炭、水蒸気賦活炭は、ダイオキシン類で代表される分子径に相当するミクロポアを有し、かつBET比表面積が500m2/g以上と高いものが好適であり、破砕状、成形状などの粒状が好ましい。また、Na等のアルカリ水溶液に含浸させるなどしてアルカリ処理等を施したものも採用でき、このアルカリ処理により共存成分としてのHCl、SOx等の酸性ガスをより確実に除去できる。また、製造過程でグラファイト粉末を混入して焼成するか、熱伝導性向上剤としてアルミナ粉末をバインダとともに従来の活性炭と混合して焼成、成形する方法を採用すれば、1W/m℃以上の熱伝導率の得られる高熱伝導炭とすることができ、充填層内のヒートスポットによる発火のおそれをより安全に回避できる。
【0031】
ここで言う、猛毒成分としてのダイオキシン類は、国がその毒性換算濃度で法規制している、ポリジベンゾパラジオキシン(PCDDs、ダイオキシン体)とポリジベンゾフラン(PCDFs)とコプラナPCBであり、ここでは、毒性係数がゼロであっても物理化学性状は類似しているため同族体や異性体も含むものとする。その他の猛毒成分としては、前記ダイオキシン類の構成元素である塩素が別のハロゲン元素で置換されたもの、いわゆる、臭素化ダイオキシン類や、発ガン性が指摘されているニトロ基が結合した多環芳香族系炭化水素(PAHs)であるニトロPAHsや、その他塩素化された高分子系の有機ハロゲン化合物が挙げられる。
【0032】
ここで言う、猛毒成分と共存して排ガスに残存する各種の微量成分とは、例えば、数十ppm以下のHCl、SOx、NOx、CO、低分子炭化水素、数十mg/Nm3以下のばいじん、マイクログラムからナノグラムオーダーでは、ダイオキシン類前駆体と言われるクロロベンゼン(CBs)およびクロロフェノール(CPs)、PCB類、高分子炭化水素(タール成分)、多環芳香族系炭化水素(PAHs)、水銀蒸気、その他重金属ミスト、硫酸アンモンなどのアンモニア化合物などである。
【0033】
[実施の形態2]
図2は本発明の実施の形態2に係る固定床式、断面円筒縦型の吸着剤充填層装置の模式図である。なお、実施の形態1と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、説明を省略する。
【0034】
本実施の形態は、吸着剤充填層装置1内に薬品賦活炭の充填層4の下部(上流側)に仕切板6を介して、除塵用のフィルタ層7を設置したものである。中和処理および除塵処理を経た各種の微量成分を含有する排ガスは、まず、吸着剤充填層装置1内のフィルタ層7に導入され、不所望に飛散して流入してくるばいじんを除去し、ついで薬剤賦活炭の充填層4と接触し、続いて水蒸気賦活炭の充填層5と接触し、充填層の目詰まりを発生させずに排ガス中の猛毒成分が確実に除去されて、清浄ガスとなって排出される。
このように構成すると、実施の形態1の場合と同様の作用・効果が得られるとともに、さらに以下に説明するような効果が得られる。
【0035】
すなわち、猛毒成分と共存して、排ガスに残存する各種の微量成分のうち、ばいじんは、除塵処理後であってもごくわずかに存在する。装置に導入する前の集塵機としてバグフィルタ装置を用いれば、その濃度はごく低く粒径はごく小さいが、例えば、慣性集塵、重力集塵、湿式洗浄集塵、電気集塵では無視できない濃度である。何れにしても、吸着剤充填層装置1に導入する排ガスは、充填層の目詰まり、圧損上昇を回避するため、できるだけ高度にばいじんを除去しておくことが望ましい。しかしながら、ごく低濃度であっても長期の通ガスでは、特に固定床の場合は圧損上昇を引き起こしてゆゆしき問題となり、移動床の場合は、吸着剤の更新速度を速くする必要や切り出し剤の分級を必要とする問題点が生じてしまう。
【0036】
また、固定床式において、高度に除塵された場合では、半年ごとの定期点検の間は安定運転できると期待されるが、産業廃棄物の焼却処理、ガス化溶融処理、その他、排ガスの負荷変動が相対的に大きい排ガスの処理では、不所望にバグフィルタ装置をすり抜ける微細ばいじんが発生して、半年よりも短い期間で固定層の目詰まり(圧損上昇)を発生してしまうおそれがあった。あるいは、吸着剤充填層装置1に至るまでのダクト内の錆や堆積物などが飛散して、圧損上昇を引き起こしてしまうおそれもあった。
すなわち、除塵後の排ガスであっても、簡易式の除塵用のフィルタ層7を吸着剤充填層装置1の排ガス導入部に設置することにより、上述の圧損上昇の問題点を未然に回避することができ、長期にわたり、より確実な排ガス処理運転を達成できる。
【0037】
除塵用のフィルタ層7は、炭素繊維からなるシート状のフィルタとし、あるいはビーズ状、ペレット状、球状の充填物を充填した充填層とすることもでき、何れも簡易的に設置することができる。前者は、炭素繊維自体にダイオキシン類の吸着性能を有するので、吸着剤充填層装置1の処理負荷を低減できる作用が得られる。また、ロール巻き取り式とすれば、通ガス中にろ過面を更新できる利点が得られる。後者は、充填物の材質として、金属製、シリコン製、アルミナ製とし、粒径は1mmから50mmの範囲とすることができ、不所望に飛散したばいじんを充填物に付着または慣性衝突させることにより、必ずしも高い収率ではないが除去することができる。この充填層は、薬品賦活炭を内装するカートリッジ型の充填層と同等のものとして、すなわち、ダミー層として薬品賦活炭の充填層4の入口部に設置することができる。あるいは、例えば、パチンコ玉の如き金属物を充填物として用いれば、自重が大きく、抜き出し操作が容易であるので、ごく小型の投入部と排出部を備えることにより、通ガス中に除塵用の充填層を更新することも可能である。
【0038】
[実施の形態3]
図3は本発明の実施の形態3に係る固定床式、断面円筒縦型の吸着剤充填層装置の模式図である。なお、実施の形態2と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、説明を省略する。
【0039】
本実施の形態は、水蒸気賦活炭の充填層5の上部(下流側)に仕切板6を介して、金属成分を含有する触媒粒の充填層8を設置したものである。中和処理および除塵処理を経た各種の微量成分を含有する排ガスは、まず、吸着剤充填層装置1内のフィルタ層7に導入され、不所望に飛散して流入してくるばいじんを除去し、ついで、薬剤賦活炭の充填層4と接触し、続いて水蒸気賦活炭の充填層5と接触し、充填層の目詰まりを発生させずに排ガス中の猛毒成分が確実に除去され、つづいて、触媒粒の充填層8に導入され、長期の運転で不所望に流出するおそれのある猛毒成分が触媒の分解作用で確実に除去される。その後、清浄ガスとなって排出される。
このように構成することにより、実施の形態1、2と同様の作用・効果が得られるとともに、さらに以下の効果が得られる。
【0040】
すなわち、薬品賦活炭および水蒸気賦活炭の充填層4,5の設置により、十分に高い水準の猛毒成分除去が達成でき、長寿命化も達成できるが、さらに後続にダイオキシン類を分解できる金属成分を含有する触媒粒の充填層8を設置することにより、前段の2層4,5が吸着破過付近に達して不所望にダイオキシン類等の猛毒成分が流出してしまう場合であっても、この流出成分を分解除去できるため、より確実に猛毒成分を除去できるとともに、充填層全体の寿命をより長くできる効果が得られる。
吸着剤充填層装置1に充填する金属成分を含有する触媒粒は、チタン、バナジウム、アルミニウムから選ばれる酸化物に、タングステン、白金、モリブデンから選ばれる貴金属を担持したもので粒状のものが用いられるが、成分および担持方法は特に限定されるものでなく、脱硝用に用いられる触媒を用いても同等の効果が得られる。
【0041】
[実施の形態4]
図4は本発明の実施の形態4に係る固定床式、断面角形の吸着剤充填層装置の模式的斜視図である。なお、実施の形態1〜3と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、説明を省略する。
【0042】
図4は排ガスを浄化するための各種の充填層を着脱可能なカートリッジ型とした場合の一例を示すもので、排ガス導入側の図示は省略してある。水蒸気賦活炭の充填層5で説明すると、この充填層5は上面と下面を金網9として被処理ガスが通過できる構成とし、側面に車輪10を4つ設置して前後方向に移動可能としたものである。図4の手前側には図示しない開閉扉があり、所定の交換時期に開閉扉を開放し、カートリッジ型の水蒸気賦活炭の充填層5を手動または機械的操作により取り出し、新鮮な水蒸気賦活炭を内装したカートリッジ型の充填層5と交換する。カートリッジ型の充填層5は、ガイドレール11の上を走行させて取り出す構成としたが、車輪10を具備しなくても着脱可能に収納して、リフターやフォークリフトを用いて取り出し作業を実施するようにしてもよい。これらは排ガス処理規模やカートリッジ型の充填層5の大きさにより、適宜決定すればよい。また、着脱可能なカートリッジ型としたので、壁面とカートリッジ型の充填層5との間には、図示しないガス流れ短絡防止のシール剤が必要であり、これによりガス流れの短絡を防止し、均一なガス流れと吸着処理がなされる。
このように構成することにより実施の形態1〜3と同様の作用・効果に加えて、さらに以下の効果が得られる。
【0043】
すなわち、充填物の取り替え頻度をごく少なくできる効果に加えて、取り替え作業を容易にでき、簡易型で小型の固定床装置とすることができる。また、それぞれの充填層が着脱可能であるため、定期点検時に必要な充填層のみを交換できる、例えば、ガス導入側の薬品賦活炭の充填層4のみを交換し、水蒸気賦活炭の充填層5は次回の交換とし点検のみとするなどの選択的な交換作業が容易に実施でき、充填物の有効利用が達成できる。
【0044】
[実施の形態5]
図5は実施の形態1〜4とは別の実施の形態に係る吸着剤充填層装置の構成、配置例の模式図である。なお、実施の形態1〜4と同一又は相当部分にはこれと同じ符号が付してある。また、特記しない作用効果はすでに述べた通りなので、説明を省略する。
【0045】
図5(a)は実施の形態1の固定床に対して、排ガス導入ダクト2を上部に設置し、排ガス排出ダクト3を下部に設置したものである。内装する充填層は、上段に薬品賦活炭の充填層4を設置し、下段に水蒸気賦活炭の充填層5を設置する。また、図示しない最上段に除塵用のフィルタ層7を設置してもよく、図示しない最下段に触媒粒の充填層8を設置してもよい。ガス流れを下降流としたので、流速が高い場合、すなわち、ろ過速度(空塔速度)が大きい場合でも充填物の飛沫が発生しない利点が得られる。
【0046】
図5(b)は吸着剤充填層装置1を横型の固定床としたものであり、左側の排ガス導入ダクト2から排ガスを導入し、順に薬品賦活炭の充填層4、水蒸気賦活活性炭の充填層5と接触させる構成とした。2つの充填層4,5の間は通気性を有する仕切板(図示せず)により区分されている。必要に応じて、除塵用のフィルタ層7や触媒粒の充填層8を追設してもよい。本発明は、このように横型の固定床として実施することも可能である。
【0047】
図5(c)は、吸着剤充填層装置1を、2つの塔により構成したもので、ガス導入側である左の塔に、薬品賦活炭を充填した充填層4を内装し、ガス排出側の右の塔に水蒸気賦活炭を充填した充填層5を内装したものである。設置スペースは大きくなるが、カートリッジ型としない場合は、別々に充填物の抜き出し操作が可能である。
【0048】
図5(d)は、吸着剤充填層装置1を、横型の移動床としたものである。ガス導入側に薬品賦活炭を充填した充填層4、ガス排出側に水蒸気賦活炭を充填した充填層5を内装し、これら2つの層4,5は通気性を有する仕切板(図示せず)で区切られ、ガスの導入側と排出側には、複数のルーバ12が設置されている。なお、ルーバ12の代わりに、パンチングメタルのごとき、通気性構造としてもよい。移動床式であるので、一定時間ごとに、図示しない充填物貯槽から、新らしい薬品賦活炭が投入バルブ13aを介して充填層4の上部より補充され、同時に、古い薬品賦活炭充填層4の下部から排出バルブ14aを介して系外に排出される。排出物は再生処理を行うか、炉で燃焼させるなどの無害化処理がなされる。同様に、水蒸気賦活炭も投入バルブ13b、排出バルブ14bにより定期的に補充、切り出し操作がなされる。排ガス導入側の薬品賦活炭の充填層4は排ガス導入側であるので、切り出し速度は水蒸気賦活炭の充填層5よりも速く設定することが望ましいが限定するものではない。このように、移動床式として構成することが可能である。
【0049】
吸着剤充填層装置1の構成は図5のものに限定されるものではなく、例えば、通気性の平板を複数並列に並べた容器にひとつおきに充填物を充填する側流式として、被処理ガスの接触側に薬品賦活炭を充填し、ガス排出側に水蒸気賦活炭を充填するようにしてもよい。あるいは、互い違いに目をふさいだ通気性を有するハニカム式の容器に上記と同様に充填物を充填する方式としてもよい。
【0050】
以上、本発明の実施の形態1〜5について説明したが、本発明の各実施の形態に共通する補足事項を以下に記載する。
本発明で用いる排ガスは、中和処理および除塵処理を行った排ガスであればよいが、この排ガスの発生源として、都市ごみ、産業廃棄物等の可燃性廃棄物の焼却、ガス化、溶融の各種工程から排出される排ガス、スクラップ溶融やアルミ精錬等の各種金属精錬過程で排出される排ガス、さらには各種製造工場、化学工場、発電設備等で排出される排ガスを採用でき、排ガス中にダイオキシン類で代表される猛毒成分が含まれていればよい。
また、本発明の吸着剤充填層装置1は、被処理ガスの層内ガス流れの均一化のために、排ガス導入部に整流板、分散板などを設置してもよく、これにより相応の効果が得られる。
【0051】
また、本発明の吸着剤充填層装置1は、温度によっては発火のおそれがあるため、熱伝導性の低い従来の活性炭を用いる場合は、例えば130〜180℃を採用できる。この温度域で通ガス処理すればダイオキシン類の再合成も回避でき、より確実にダイオキシン類等の猛毒成分を除去できる。熱伝導性改良型の活性炭の場合は、運転温度の上限を220℃程度とすることが可能であるが、高温にすると物理吸着性能がやや低下するおそれがある。但し、触媒粒の充填層を設置する場合は触媒活性が上昇するので、高温でも高い除去水準が得られる。また、排ガス負荷変動等により不所望に層内にヒートスポットが発生し、発火に至ることを回避する目的や、通ガス停止時における装置内点検時の空気接触による発火防止のため、層内の温度監視と窒素パージラインの設置を実施した方が好ましい。
以上のように、本発明を構成することができるが、上記に限らず、本発明の主旨を逸脱しない範囲で様々な態様が採用できる。
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、排ガスの中和処理および除塵処理を経て各種の成分が未だ微量に残存する多成分系の排ガスの処理において、同排ガス中のダイオキシン類で代表される猛毒成分を除去する際に、まず、薬品賦活を経て製造された炭素系吸着剤に前記排ガスを接触させ、続いて、水蒸気賦活を経て製造された炭素系吸着剤に接触させるので、それぞれの吸着特性に見合った処理が可能であり、ダイオキシン類を代表とする猛毒成分を高い水準で除去できるとともに、吸着剤の長寿命化を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の模式図である。
【図2】本発明の実施の形態2の模式図である。
【図3】本発明の実施の形態3の模式図である。
【図4】本発明の実施の形態4の模式的斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態5の模式図で、実施の形態1〜4とは別の形態に係るものである。
【符号の説明】
1 吸着剤充填層装置(本体)
2 排ガス導入ダクト
3 排ガス排出ダクト
4 薬品賦活炭の充填層
5 水蒸気賦活炭の充填層
6 仕切板
7 除塵用のフィルタ層
8 触媒粒の充填層
9 金網
10 車輪
11 ガイドレール
12 ルーバ
13 投入バルブ
14 排出バルブ
【発明の属する技術分野】
本発明は、排ガス中に各種の微量成分が共存する場合に、ダイオキシン類やニトロ化芳香族炭化水素(PAH)などの猛毒成分を高度に除去する際の排ガス処理方法、およびこれを実施するための吸着剤充填層装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
都市ごみ、産業廃棄物等の可燃性廃棄物の焼却、ガス化、溶融の各種工程から排出される排ガス、スクラップ溶解やアルミ精錬等の各種金属精錬過程で排出される排ガス、さらには各種製造工場、化学工場、発電設備等で排出される排ガスには、ばいじん、HClやSOx等の酸性成分、窒素酸化物、水銀等の重金属、ダイオキシン類およびその前駆物質等の有機ハロゲン化合物など、さまざまな有害物質が含まれている。
【0003】
これらの有害物質のうち、HCl、SOx等の酸性成分は、例えば、バグフィルタ装置を用いた消石灰粉の噴霧による乾式処理、ベンチュリースクラバーを用いた苛性ソーダ水溶液噴霧による湿式処理がなされて、所定濃度以下に無害化される。また、窒素酸化物は炉内の燃焼改善または無触媒脱硝や触媒脱硝塔により処理される。さらに、水銀等の重金属は、活性炭吹込法により消石灰粉の噴霧と同様にバグフィルタ装置により処理される。
このように、ダイオキシン類で代表される排ガスに含まれる猛毒成分は、上記の活性炭吹込または脱硝を兼ねた脱硝触媒により、概ね除去でき、一般に広く採用されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0004】
しかしながら、法令によるダイオキシン類の排出規制の強化により、近年、高い水準の処理が求められており、このためバグフィルタや脱硝塔の後段に活性炭充填塔を追設するケースが見られるようになった。この活性炭充填塔(吸着剤充填層装置)は、充填物として一種類の活性炭のみを装置に充填して充填層を形成し、該充填層に排ガスを接触させることにより、排ガス中のダイオキシン類を吸着除去していた。
一方、ダイオキシン類等の猛毒成分を除去する目的ではないが、従来より、活性炭粒や脱硝触媒を充填した吸着剤移動床により、除塵および脱硫、脱硝を行うケースがあった(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−233112号公報
【特許文献2】
特開2000−354736号公報
【特許文献3】
特開2000−70672号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の方法は、ばいじん、酸性成分、窒素酸化物等の排ガス浄化に関して大気汚染防止法等に規定された除去水準を満たすことは達成できていたが、近年のダイオキシン類対策特別措置法により規定されたダイオキシン類の高い水準の除去は必ずしも満たされているとは言えない状況にあった。あるいは、大気放散濃度を十分低くでき法的にはクリアしていたとしても、地方自治体等による上乗せ基準や、密集地域における総量規制を満たす上では、さらに高い水準のダイオキシン類除去が求められることとなった。
【0007】
すなわち、ダイオキシン類の規制値は、大規模施設では、毒性換算濃度0.1ng/Nm3とされているが、上述のごとく、0.05ng/Nm3あるいは0.01ng/Nm3以下が求められる場合もあった。そこで、従来の技術で述べたとおり、活性炭吸着塔による高度処理がなされ、この厳しい値をクリアすることが概ね可能となった。そしてこの活性炭吸着塔(吸着剤充填層装置)は、固定床、移動床、流動床の形式が採用され、複数層で構成される場合もあったが、何れも一種類の活性炭が充填され、所定の交換頻度または切り出し量にて吸着剤(活性炭)の交換がなされていた。
【0008】
一方、排ガス処理として、例えば、中和処理や除塵処理を事前に行い、たとえ大気放散できる水準を満たしたとしても排ガスには未だ各種の微量成分が残存しており、これらの微量成分が、微量で猛毒成分であるダイオキシン類の吸着除去を妨害してしまう問題点を本発明者は着眼した。すなわち、中和処理や除塵処理をしたあとに、活性炭吸着塔を設置してもなお共存する微量成分の影響でダイオキシン類の吸着除去性能を低下させてしまい、吸着剤の寿命を短くしてしまうといった問題点があった。
【0009】
ここで言う、猛毒成分としてのダイオキシン類は、国がその毒性換算濃度で法規制している、ポリジベンゾパラジオキシン(PCDDs、ダイオキシン体)とポリジベンゾフラン(PCDFs)とコプラナPCBであり、ここでは、毒性係数がゼロであっても物理化学性状は類似しているため同族体や異性体も含むものとする。その他の猛毒成分としては、前記ダイオキシン類の構成元素である塩素が別のハロゲン元素で置換されたもの、いわゆる、臭素化ダイオキシン類や、発ガン性が指摘されているニトロ基が結合した多環芳香族系炭化水素(PAHs)であるニトロ化PAHsや、その他塩素化された高分子系の有機ハロゲン化合物が挙げられる。
【0010】
ここで言う、猛毒成分と共存して排ガスに残存する各種の微量成分とは、例えば、数十ppm以下のHCl、SOx、NOx、CO、低分子炭化水素、数十mg/Nm3以下のばいじん、マイクログラムからナノグラムオーダーでは、ダイオキシン類前駆体と言われるクロロベンゼン(CBs)およびクロロフェノール(CPs)、PCB類、高分子炭化水素(タール成分)、多環芳香族系炭化水素(PAHs)、水銀蒸気、その他重金属ミスト、硫酸アンモンなどのアンモニア化合物などである。
【0011】
本発明は、上述の各課題を克服し、猛毒成分であるダイオキシン類等を確実に除去するとともに、吸着剤の長寿命化を達成することのできる排ガス処理方法および吸着剤充填層装置を提供することを目的としたものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る排ガス処理方法は、排ガスの中和処理および除塵処理を経て各種の成分が未だ微量に残存する多成分系の排ガスの処理において、前記排ガス中のダイオキシン類で代表される猛毒成分を除去する際に、薬品賦活を経て製造された炭素系吸着剤に前記排ガスを接触させ、ついで、水蒸気賦活を経て製造された炭素系吸着剤に接触させることにより、前記排ガスを無害化するようにしたものである。
【0013】
本発明に係る吸着剤充填層装置は、排ガスの中和処理および除塵処理を経て各種の成分が未だ微量に残存する多成分系の排ガスの処理において、同排ガス中のダイオキシン類で代表される猛毒成分を除去する装置であって、薬品賦活を経て製造された炭素系吸着剤を充填した充填層と、水蒸気賦活を経て製造された炭素系吸着剤を充填した充填層とを内装し、この順に前記排ガスと接触させるように構成したものである。
【0014】
また、本発明に係る吸着剤充填層装置は、排ガスの中和処理および除塵処理を経て各種の成分が未だ微量に残存する多成分系の排ガスの処理において、同排ガス中のダイオキシン類で代表される猛毒成分を除去する装置であって、除塵用のフィルタ層と、薬品賦活を経て製造された炭素系吸着剤を充填した充填層と、水蒸気賦活を経て製造された炭素系吸着剤を充填した充填層とを内装し、この順に前記排ガスと接触させるように構成したものである。
【0015】
さらに、本発明に係る吸着剤充填層装置は、排ガスの中和処理および除塵処理を経て各種の成分が未だ微量に残存する多成分系の排ガスの処理において、同排ガス中のダイオキシン類で代表される猛毒成分を除去する装置であって、除塵用のフィルタ層と、薬品賦活を経て製造された炭素系吸着剤を充填した充填層と、水蒸気賦活を経て製造された炭素系吸着剤を充填した充填層と、金属成分を含有する触媒粒を充填した充填層とを内装し、この順に前記排ガスと接触させるように構成したものである。
【0016】
また、上記各吸着剤充填層装置の各種の充填層は、各々着脱可能なカートリッジ型として、ひとつの装置に内装したものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
[実施の形態1]
図1は本発明の実施形態1に係る固定床式、断面円筒縦型の吸着剤充填層装置の模式図である。
図において、1は吸着剤充填層装置(本体)、2は排ガス導入ダクト、3は排ガス排出ダクト、4は薬品賦活炭の充填層、5は水蒸気賦活炭の充填層、6は両者の間に設けた仕切板である。
【0018】
図示しない排ガス発生源として例えば廃棄物焼却炉から排出された排ガスは、熱回収手段等を経て図示しない中和工程および除塵工程を経て、所定濃度以下の酸性成分およびばいじん濃度となって、例えば150℃の温度で吸着剤充填層装置1の排ガス導入ダクト2に導入される。吸着剤充填層装置1の下部には薬品賦活を経て製造された炭素系吸着剤を充填した充填層、すなわち、薬品賦活炭の充填層4が形成され、パンチングメタル、金網などの通気性を有する仕切板6を介して、その上部に、水蒸気賦活を経て製造された炭素系吸着剤を充填した充填層、すなわち、水蒸気賦活炭の充填層5が形成されている。
【0019】
導入された排ガスは、中和工程および除塵工程を経たものでありながら、ダイオキシン類で代表される猛毒成分をはじめ、各種の成分を微量に共存する多成分系の排ガスであり、薬品賦活炭の充填層4を通過する際に、これら成分のうち、極性を有する比較的低分子の成分が積極的に吸着されるとともに、その他の成分およびダイオキシン類で代表される猛毒成分が吸着除去される。続いて、排ガスは水蒸気賦活炭の充填層5を通過し、ごくわずかに残存する上記成分を確実に吸着除去する。水蒸気賦活炭の充填層5を経た清浄ガスは排ガス排出ダクト3を介して、図示しない煙突より大気放散される。
【0020】
図1に示した吸着剤充填層装置1は円筒型の固定床式としたので、薬剤賦活炭の装置への充填は、例えば本体1の上部に設けた図示しない薬剤投入口より投入し、抜き出し時は、下部に排出口を設置するか、吸引具などで投入口より抜き出すように構成してもよい。抜き出したあとの充填剤は別途再生処理して再利用するか、炉へ投入して無害化してもよい。2つの充填層の区切りに用いた仕切板13は、被処理排ガスが通過でき、充填剤が通過しない構造であればよいが、例示の縦方向に充填する方式では、仕切板6は設置しなくともよく、薬剤賦活炭充填層4の上に直接水蒸気賦活炭を充填するようにしてもよい。また、後述する実施の形態4(図4)に示すように、横方向から抜き出すようにしたカートリッジ型の充填でよい。なお、その他の態様については、実施の形態5で説明する。
【0021】
吸着剤充填層装置1の運転または設計に際して、充填層を通過するろ過速度LV(空塔速度)は、圧損の過度な上昇や充填剤の飛沫を考慮し、さらには吸着剤との反応時間の確保を考慮し、好ましくは0.3m/s以下とすることが望ましい。また、空間速度SVは、ろ過速度LVとも関連する値で、圧損を低く抑える場合にはろ過断面を大きくとればSVの値をある程度確保できる。すなわち、充填量を少なめに設定できるが、その代わりに接触時間が短くなることに留意し、例えば500〜10000[1/h]を採用できる。但し、これは吸着剤の破過時間の設定、すなわち、交換頻度の設定にもよるので、必ずしも上記範囲でなくともよい。また、差圧を高く設定してもよい場合は、ろ過速度LVの上限値を0.3m/s以上の0.5m/sとすることもでき、特に粒度が大きい充填物の場合は、高めのろ過速度とすることができる。これらは被処理ガスの性状や運転の諸事情により、上記に限らず適宜設定できるものとする。
以上のように吸着剤充填層装置1を構成すると次のような効果が得られる。
【0022】
すなわち、各種の共存成分を含む排ガスに、薬品賦活炭を接触させて排ガスを精製し、次に水蒸気賦活炭と接触させてさらに精製するので、結果としてダイオキシン類を代表とする猛毒成分を高い水準で除去できるとともに、吸着剤の長寿命化を達成できる。
詳しく述べると、前者の工程の薬品賦活炭は、その吸着表面に各種の官能基が構成されて物理吸着作用以外に化学吸着作用が生じるので、次の効果が得られる。すなわち、ダイオキシン類等の猛毒成分と共存する微量成分のうち、低分子、低沸点で比較的濃度が高くppmまたはmgオーダーで存在する酸性成分や、アンモニア化合物、さらには高分子であっても極性を有する化合物は、表面に官能基が少ない後続の水蒸気賦活炭では吸着除去されにくく、あるいは水蒸気賦活炭に吸着されても吸着破過が相対的に早いため、系外へ放散されてしまうおそれがあったが、化学吸着作用を生じる薬品賦活炭を用いれば、これらの共存成分を前段の処理で確実に吸着除去できる。
【0023】
このとき、前記以外の微量である共存成分やダイオキシン類等の猛毒成分も、前段の薬品賦活炭の主に物理吸着作用により概ね除去できる。これに引き続き、被処理排ガスを水蒸気賦活炭と接触させるので、前段の薬品賦活炭から不所望に猛毒成分が流出するおそれがあっても安全にこれを吸着除去でき、結果としてダイオキシン類で代表される猛毒成分を高い水準で除去することが可能で、同時に、共存する酸性成分やアンモニア化合物等の有害な成分の系外への排出量をごく低くすることが可能である。
【0024】
また、前段の薬品賦活炭との接触過程で、共存成分として、ダイオキシン類の前駆体とされるクロロベンゼン(CBs)やクロロフェノール(CPs)は、水蒸気賦活炭よりも吸着されやすく、そのほとんどが実質的に除去されるので、ダイオキシン類が被処理ガスの負荷変動等の外乱により不所望に再合成されてしまうおそれをより確実に回避することができる。また、前段の工程で、上述のとおり、極性を有する共存成分を化学吸着により概ね除去しているので、後段の工程におけるダイオキシン類等の猛毒成分の吸着がなされる際の吸着妨害作用が少なくて済み、以て、高い水準の猛毒成分除去を達成できる。
【0025】
上述の吸着妨害作用とは、多成分系における競合吸着や置換吸着の作用で、共存成分が吸着表面(サイト)付近に存在すると、既吸着あるいは吸着されつつある猛毒成分と入れ替わって吸着されてしまい、結果として猛毒成分の吸着率が低下してしまうことなどを指す。本来は、極性を有するものや低分子系の成分の多くは、高分子であるダイオキシン類よりも吸着力が弱いため、置換されて揮散される(ここではこれを順置換吸着と称する)と考えられるが、存在濃度の比が大きく異なることにより、ごく一部の吸着表面では上述したようにダイオキシン類が揮散脱離する逆の現象(ここではこれを逆置換吸着と称する)が発生しているものと推定される。現象は不明な点があるが、何れにしても、置換吸着等により猛毒成分であるダイオキシン類等が系外へ不所望に排出されるのをより確実に回避できると言える。
【0026】
また、前段の薬品賦活炭で化学吸着により積極的に共存成分の一部を吸着除去しているので、物理吸着よりも吸着力が強いため、相対的に多く発生するとされる順置換吸着が発生せずに済み、すなわち、極性を有するなどの共存成分が揮散脱離し後段へ流出して、逆置換作用を不所望に発生させることを確実に回避できる。このように、薬品賦活炭、水蒸気賦活炭の順に被処理排ガスと接触させるので、ダイオキシン類で代表される猛毒成分を確実に高い水準で除去できる。
また、吸着機構にあわせてその吸着負荷を効率よく分担させて、上述のように高い水準で猛毒成分を除去できるので、充填する吸着剤の量を相対的に少なくできる利点、あるいは吸着剤の破過時間または平衡時間を長く設定でき長寿命化が達成できる利点が得られる。
【0027】
ここで、薬品賦活炭は、石炭系、やしがら系、木炭系、ピッチ系、各種の原料が用いられるが、吸着剤の表面に官能基が生成されやすい木炭系(木質系)が相対的に好ましい。木質原料は、従来材料以外に、例えば間伐材、廃木材、建設廃材などを用いれば、バイオマスの有効利用という環境配慮型とすることができる。木質系でない場合は、例えば下水処理過程から排出される有機成分を多く含有する汚泥を乾燥して、原料として用いても良く、不純物としてNやSが含有しているので、この場合も多く官能基が構成される。製造工程で用いる薬品は、塩化亜鉛、リン酸やその他脱水性無機薬品が用いられるが、好ましくはリン酸を用いることがよく、本発明の多成分系の排ガス処理に適した炭素系吸着剤が得られる。賦活は上記の薬品添加のもと、例えば500〜800℃の温度でなされる。
【0028】
一方、水蒸気賦活炭は、上述と同様に、石炭系、やしがら系、木炭系、ピッチ系等、各種の原料が用いられるが、吸着剤の表面に官能基が生成されないことが多い石炭系が相対的に望ましい。水蒸気による賦活は公知の方法が用いられ、例えば800〜1000℃で水蒸気を流通しながら、必要に応じてCO2や空気を混入させて賦活処理がなされる。
【0029】
このようにして製造した薬品賦活吸着剤の表面(吸着サイト)には、官能基として炭素Cと酸素Oの結合からなる酸性酸化物(C‥Oで示す)や、炭素Cと窒素等の化合物との結合からなる塩基性化合物(C‥Rで示す)が生じている。そしてこれら、C‥OおよびC‥Rは、非吸着物の一部であるSOxやNH3等との接触により、その性状は互いに可変であるものと考えられる。すなわち、C‥O⇔C‥Rの関係が吸着表面にて発生しているものと考えられる。C‥Oの例示として、−COOH(カルボキシル基)、−C6H5−OH(フェノール基)、−OCO(ラクトン基)、その他キノン型カルボニル基などが挙げられる。C‥Rの例示として、−C−NH2(アミノ基)、−C−NHNH2(ヒドラジン基)、その他、ジアゾ基、イミノ基、アジノ基などが挙げられる。そして、これらの基の存在により、主に極性を有する排ガス中の微量の共存成分を、同基の化学親和力(化学結合力)により物理吸着よりも強い結合力で吸着させるのである。
【0030】
また、上記の薬品賦活炭、水蒸気賦活炭は、ダイオキシン類で代表される分子径に相当するミクロポアを有し、かつBET比表面積が500m2/g以上と高いものが好適であり、破砕状、成形状などの粒状が好ましい。また、Na等のアルカリ水溶液に含浸させるなどしてアルカリ処理等を施したものも採用でき、このアルカリ処理により共存成分としてのHCl、SOx等の酸性ガスをより確実に除去できる。また、製造過程でグラファイト粉末を混入して焼成するか、熱伝導性向上剤としてアルミナ粉末をバインダとともに従来の活性炭と混合して焼成、成形する方法を採用すれば、1W/m℃以上の熱伝導率の得られる高熱伝導炭とすることができ、充填層内のヒートスポットによる発火のおそれをより安全に回避できる。
【0031】
ここで言う、猛毒成分としてのダイオキシン類は、国がその毒性換算濃度で法規制している、ポリジベンゾパラジオキシン(PCDDs、ダイオキシン体)とポリジベンゾフラン(PCDFs)とコプラナPCBであり、ここでは、毒性係数がゼロであっても物理化学性状は類似しているため同族体や異性体も含むものとする。その他の猛毒成分としては、前記ダイオキシン類の構成元素である塩素が別のハロゲン元素で置換されたもの、いわゆる、臭素化ダイオキシン類や、発ガン性が指摘されているニトロ基が結合した多環芳香族系炭化水素(PAHs)であるニトロPAHsや、その他塩素化された高分子系の有機ハロゲン化合物が挙げられる。
【0032】
ここで言う、猛毒成分と共存して排ガスに残存する各種の微量成分とは、例えば、数十ppm以下のHCl、SOx、NOx、CO、低分子炭化水素、数十mg/Nm3以下のばいじん、マイクログラムからナノグラムオーダーでは、ダイオキシン類前駆体と言われるクロロベンゼン(CBs)およびクロロフェノール(CPs)、PCB類、高分子炭化水素(タール成分)、多環芳香族系炭化水素(PAHs)、水銀蒸気、その他重金属ミスト、硫酸アンモンなどのアンモニア化合物などである。
【0033】
[実施の形態2]
図2は本発明の実施の形態2に係る固定床式、断面円筒縦型の吸着剤充填層装置の模式図である。なお、実施の形態1と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、説明を省略する。
【0034】
本実施の形態は、吸着剤充填層装置1内に薬品賦活炭の充填層4の下部(上流側)に仕切板6を介して、除塵用のフィルタ層7を設置したものである。中和処理および除塵処理を経た各種の微量成分を含有する排ガスは、まず、吸着剤充填層装置1内のフィルタ層7に導入され、不所望に飛散して流入してくるばいじんを除去し、ついで薬剤賦活炭の充填層4と接触し、続いて水蒸気賦活炭の充填層5と接触し、充填層の目詰まりを発生させずに排ガス中の猛毒成分が確実に除去されて、清浄ガスとなって排出される。
このように構成すると、実施の形態1の場合と同様の作用・効果が得られるとともに、さらに以下に説明するような効果が得られる。
【0035】
すなわち、猛毒成分と共存して、排ガスに残存する各種の微量成分のうち、ばいじんは、除塵処理後であってもごくわずかに存在する。装置に導入する前の集塵機としてバグフィルタ装置を用いれば、その濃度はごく低く粒径はごく小さいが、例えば、慣性集塵、重力集塵、湿式洗浄集塵、電気集塵では無視できない濃度である。何れにしても、吸着剤充填層装置1に導入する排ガスは、充填層の目詰まり、圧損上昇を回避するため、できるだけ高度にばいじんを除去しておくことが望ましい。しかしながら、ごく低濃度であっても長期の通ガスでは、特に固定床の場合は圧損上昇を引き起こしてゆゆしき問題となり、移動床の場合は、吸着剤の更新速度を速くする必要や切り出し剤の分級を必要とする問題点が生じてしまう。
【0036】
また、固定床式において、高度に除塵された場合では、半年ごとの定期点検の間は安定運転できると期待されるが、産業廃棄物の焼却処理、ガス化溶融処理、その他、排ガスの負荷変動が相対的に大きい排ガスの処理では、不所望にバグフィルタ装置をすり抜ける微細ばいじんが発生して、半年よりも短い期間で固定層の目詰まり(圧損上昇)を発生してしまうおそれがあった。あるいは、吸着剤充填層装置1に至るまでのダクト内の錆や堆積物などが飛散して、圧損上昇を引き起こしてしまうおそれもあった。
すなわち、除塵後の排ガスであっても、簡易式の除塵用のフィルタ層7を吸着剤充填層装置1の排ガス導入部に設置することにより、上述の圧損上昇の問題点を未然に回避することができ、長期にわたり、より確実な排ガス処理運転を達成できる。
【0037】
除塵用のフィルタ層7は、炭素繊維からなるシート状のフィルタとし、あるいはビーズ状、ペレット状、球状の充填物を充填した充填層とすることもでき、何れも簡易的に設置することができる。前者は、炭素繊維自体にダイオキシン類の吸着性能を有するので、吸着剤充填層装置1の処理負荷を低減できる作用が得られる。また、ロール巻き取り式とすれば、通ガス中にろ過面を更新できる利点が得られる。後者は、充填物の材質として、金属製、シリコン製、アルミナ製とし、粒径は1mmから50mmの範囲とすることができ、不所望に飛散したばいじんを充填物に付着または慣性衝突させることにより、必ずしも高い収率ではないが除去することができる。この充填層は、薬品賦活炭を内装するカートリッジ型の充填層と同等のものとして、すなわち、ダミー層として薬品賦活炭の充填層4の入口部に設置することができる。あるいは、例えば、パチンコ玉の如き金属物を充填物として用いれば、自重が大きく、抜き出し操作が容易であるので、ごく小型の投入部と排出部を備えることにより、通ガス中に除塵用の充填層を更新することも可能である。
【0038】
[実施の形態3]
図3は本発明の実施の形態3に係る固定床式、断面円筒縦型の吸着剤充填層装置の模式図である。なお、実施の形態2と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、説明を省略する。
【0039】
本実施の形態は、水蒸気賦活炭の充填層5の上部(下流側)に仕切板6を介して、金属成分を含有する触媒粒の充填層8を設置したものである。中和処理および除塵処理を経た各種の微量成分を含有する排ガスは、まず、吸着剤充填層装置1内のフィルタ層7に導入され、不所望に飛散して流入してくるばいじんを除去し、ついで、薬剤賦活炭の充填層4と接触し、続いて水蒸気賦活炭の充填層5と接触し、充填層の目詰まりを発生させずに排ガス中の猛毒成分が確実に除去され、つづいて、触媒粒の充填層8に導入され、長期の運転で不所望に流出するおそれのある猛毒成分が触媒の分解作用で確実に除去される。その後、清浄ガスとなって排出される。
このように構成することにより、実施の形態1、2と同様の作用・効果が得られるとともに、さらに以下の効果が得られる。
【0040】
すなわち、薬品賦活炭および水蒸気賦活炭の充填層4,5の設置により、十分に高い水準の猛毒成分除去が達成でき、長寿命化も達成できるが、さらに後続にダイオキシン類を分解できる金属成分を含有する触媒粒の充填層8を設置することにより、前段の2層4,5が吸着破過付近に達して不所望にダイオキシン類等の猛毒成分が流出してしまう場合であっても、この流出成分を分解除去できるため、より確実に猛毒成分を除去できるとともに、充填層全体の寿命をより長くできる効果が得られる。
吸着剤充填層装置1に充填する金属成分を含有する触媒粒は、チタン、バナジウム、アルミニウムから選ばれる酸化物に、タングステン、白金、モリブデンから選ばれる貴金属を担持したもので粒状のものが用いられるが、成分および担持方法は特に限定されるものでなく、脱硝用に用いられる触媒を用いても同等の効果が得られる。
【0041】
[実施の形態4]
図4は本発明の実施の形態4に係る固定床式、断面角形の吸着剤充填層装置の模式的斜視図である。なお、実施の形態1〜3と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、説明を省略する。
【0042】
図4は排ガスを浄化するための各種の充填層を着脱可能なカートリッジ型とした場合の一例を示すもので、排ガス導入側の図示は省略してある。水蒸気賦活炭の充填層5で説明すると、この充填層5は上面と下面を金網9として被処理ガスが通過できる構成とし、側面に車輪10を4つ設置して前後方向に移動可能としたものである。図4の手前側には図示しない開閉扉があり、所定の交換時期に開閉扉を開放し、カートリッジ型の水蒸気賦活炭の充填層5を手動または機械的操作により取り出し、新鮮な水蒸気賦活炭を内装したカートリッジ型の充填層5と交換する。カートリッジ型の充填層5は、ガイドレール11の上を走行させて取り出す構成としたが、車輪10を具備しなくても着脱可能に収納して、リフターやフォークリフトを用いて取り出し作業を実施するようにしてもよい。これらは排ガス処理規模やカートリッジ型の充填層5の大きさにより、適宜決定すればよい。また、着脱可能なカートリッジ型としたので、壁面とカートリッジ型の充填層5との間には、図示しないガス流れ短絡防止のシール剤が必要であり、これによりガス流れの短絡を防止し、均一なガス流れと吸着処理がなされる。
このように構成することにより実施の形態1〜3と同様の作用・効果に加えて、さらに以下の効果が得られる。
【0043】
すなわち、充填物の取り替え頻度をごく少なくできる効果に加えて、取り替え作業を容易にでき、簡易型で小型の固定床装置とすることができる。また、それぞれの充填層が着脱可能であるため、定期点検時に必要な充填層のみを交換できる、例えば、ガス導入側の薬品賦活炭の充填層4のみを交換し、水蒸気賦活炭の充填層5は次回の交換とし点検のみとするなどの選択的な交換作業が容易に実施でき、充填物の有効利用が達成できる。
【0044】
[実施の形態5]
図5は実施の形態1〜4とは別の実施の形態に係る吸着剤充填層装置の構成、配置例の模式図である。なお、実施の形態1〜4と同一又は相当部分にはこれと同じ符号が付してある。また、特記しない作用効果はすでに述べた通りなので、説明を省略する。
【0045】
図5(a)は実施の形態1の固定床に対して、排ガス導入ダクト2を上部に設置し、排ガス排出ダクト3を下部に設置したものである。内装する充填層は、上段に薬品賦活炭の充填層4を設置し、下段に水蒸気賦活炭の充填層5を設置する。また、図示しない最上段に除塵用のフィルタ層7を設置してもよく、図示しない最下段に触媒粒の充填層8を設置してもよい。ガス流れを下降流としたので、流速が高い場合、すなわち、ろ過速度(空塔速度)が大きい場合でも充填物の飛沫が発生しない利点が得られる。
【0046】
図5(b)は吸着剤充填層装置1を横型の固定床としたものであり、左側の排ガス導入ダクト2から排ガスを導入し、順に薬品賦活炭の充填層4、水蒸気賦活活性炭の充填層5と接触させる構成とした。2つの充填層4,5の間は通気性を有する仕切板(図示せず)により区分されている。必要に応じて、除塵用のフィルタ層7や触媒粒の充填層8を追設してもよい。本発明は、このように横型の固定床として実施することも可能である。
【0047】
図5(c)は、吸着剤充填層装置1を、2つの塔により構成したもので、ガス導入側である左の塔に、薬品賦活炭を充填した充填層4を内装し、ガス排出側の右の塔に水蒸気賦活炭を充填した充填層5を内装したものである。設置スペースは大きくなるが、カートリッジ型としない場合は、別々に充填物の抜き出し操作が可能である。
【0048】
図5(d)は、吸着剤充填層装置1を、横型の移動床としたものである。ガス導入側に薬品賦活炭を充填した充填層4、ガス排出側に水蒸気賦活炭を充填した充填層5を内装し、これら2つの層4,5は通気性を有する仕切板(図示せず)で区切られ、ガスの導入側と排出側には、複数のルーバ12が設置されている。なお、ルーバ12の代わりに、パンチングメタルのごとき、通気性構造としてもよい。移動床式であるので、一定時間ごとに、図示しない充填物貯槽から、新らしい薬品賦活炭が投入バルブ13aを介して充填層4の上部より補充され、同時に、古い薬品賦活炭充填層4の下部から排出バルブ14aを介して系外に排出される。排出物は再生処理を行うか、炉で燃焼させるなどの無害化処理がなされる。同様に、水蒸気賦活炭も投入バルブ13b、排出バルブ14bにより定期的に補充、切り出し操作がなされる。排ガス導入側の薬品賦活炭の充填層4は排ガス導入側であるので、切り出し速度は水蒸気賦活炭の充填層5よりも速く設定することが望ましいが限定するものではない。このように、移動床式として構成することが可能である。
【0049】
吸着剤充填層装置1の構成は図5のものに限定されるものではなく、例えば、通気性の平板を複数並列に並べた容器にひとつおきに充填物を充填する側流式として、被処理ガスの接触側に薬品賦活炭を充填し、ガス排出側に水蒸気賦活炭を充填するようにしてもよい。あるいは、互い違いに目をふさいだ通気性を有するハニカム式の容器に上記と同様に充填物を充填する方式としてもよい。
【0050】
以上、本発明の実施の形態1〜5について説明したが、本発明の各実施の形態に共通する補足事項を以下に記載する。
本発明で用いる排ガスは、中和処理および除塵処理を行った排ガスであればよいが、この排ガスの発生源として、都市ごみ、産業廃棄物等の可燃性廃棄物の焼却、ガス化、溶融の各種工程から排出される排ガス、スクラップ溶融やアルミ精錬等の各種金属精錬過程で排出される排ガス、さらには各種製造工場、化学工場、発電設備等で排出される排ガスを採用でき、排ガス中にダイオキシン類で代表される猛毒成分が含まれていればよい。
また、本発明の吸着剤充填層装置1は、被処理ガスの層内ガス流れの均一化のために、排ガス導入部に整流板、分散板などを設置してもよく、これにより相応の効果が得られる。
【0051】
また、本発明の吸着剤充填層装置1は、温度によっては発火のおそれがあるため、熱伝導性の低い従来の活性炭を用いる場合は、例えば130〜180℃を採用できる。この温度域で通ガス処理すればダイオキシン類の再合成も回避でき、より確実にダイオキシン類等の猛毒成分を除去できる。熱伝導性改良型の活性炭の場合は、運転温度の上限を220℃程度とすることが可能であるが、高温にすると物理吸着性能がやや低下するおそれがある。但し、触媒粒の充填層を設置する場合は触媒活性が上昇するので、高温でも高い除去水準が得られる。また、排ガス負荷変動等により不所望に層内にヒートスポットが発生し、発火に至ることを回避する目的や、通ガス停止時における装置内点検時の空気接触による発火防止のため、層内の温度監視と窒素パージラインの設置を実施した方が好ましい。
以上のように、本発明を構成することができるが、上記に限らず、本発明の主旨を逸脱しない範囲で様々な態様が採用できる。
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、排ガスの中和処理および除塵処理を経て各種の成分が未だ微量に残存する多成分系の排ガスの処理において、同排ガス中のダイオキシン類で代表される猛毒成分を除去する際に、まず、薬品賦活を経て製造された炭素系吸着剤に前記排ガスを接触させ、続いて、水蒸気賦活を経て製造された炭素系吸着剤に接触させるので、それぞれの吸着特性に見合った処理が可能であり、ダイオキシン類を代表とする猛毒成分を高い水準で除去できるとともに、吸着剤の長寿命化を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の模式図である。
【図2】本発明の実施の形態2の模式図である。
【図3】本発明の実施の形態3の模式図である。
【図4】本発明の実施の形態4の模式的斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態5の模式図で、実施の形態1〜4とは別の形態に係るものである。
【符号の説明】
1 吸着剤充填層装置(本体)
2 排ガス導入ダクト
3 排ガス排出ダクト
4 薬品賦活炭の充填層
5 水蒸気賦活炭の充填層
6 仕切板
7 除塵用のフィルタ層
8 触媒粒の充填層
9 金網
10 車輪
11 ガイドレール
12 ルーバ
13 投入バルブ
14 排出バルブ
Claims (5)
- 排ガスの中和処理および除塵処理を経て各種の成分が未だ微量に残存する多成分系の排ガスの処理において、
前記排ガス中のダイオキシン類で代表される猛毒成分を除去する際に、まず、薬品賦活を経て製造された炭素系吸着剤に前記排ガスを接触させ、ついで、水蒸気賦活を経て製造された炭素系吸着剤に接触させることにより、前記排ガスを無害化することを特徴とする排ガスの処理方法。 - 排ガスの中和処理および除塵処理を経て各種の成分が未だ微量に残存する多成分系の排ガスの処理において、同排ガス中のダイオキシン類で代表される猛毒成分を除去する装置であって、
薬品賦活を経て製造された炭素系吸着剤を充填した充填層と、水蒸気賦活を経て製造された炭素系吸着剤を充填した充填層とを内装し、この順に前記排ガスと接触させるように構成したことを特徴とする吸着剤充填層装置。 - 排ガスの中和処理および除塵処理を経て各種の成分が未だ微量に残存する多成分系の排ガスの処理において、同排ガス中のダイオキシン類で代表される猛毒成分を除去する装置であって、
除塵用のフィルタ層と、薬品賦活を経て製造された炭素系吸着剤を充填した充填層と、水蒸気賦活を経て製造された炭素系吸着剤を充填した充填層とを内装し、この順に前記排ガスと接触させるように構成したことを特徴とする吸着剤充填層装置。 - 排ガスの中和処理および除塵処理を経て各種の成分が未だ微量に残存する多成分系の排ガスの処理において、同排ガス中のダイオキシン類で代表される猛毒成分を除去する装置であって、
除塵用のフィルタ層と、薬品賦活を経て製造された炭素系吸着剤を充填した充填層と、水蒸気賦活を経て製造された炭素系吸着剤を充填した充填層と、金属成分を含有する触媒粒を充填した充填層とを内装し、この順に前記排ガスと接触させるように構成したことを特徴とする吸着剤充填層装置。 - 前記各種の充填層は、各々着脱可能なカートリッジ型として、ひとつの装置に内装したことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の吸着剤充填層装置。
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