JP2001237467A - 圧電体素子、インクジェット式記録ヘッド及びこれらの製造方法並びにインクジェットプリンタ - Google Patents
圧電体素子、インクジェット式記録ヘッド及びこれらの製造方法並びにインクジェットプリンタInfo
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Abstract
量を増大する。 【解決手段】 菱面体晶系の圧電体膜7の膜面方向にx
軸及びy軸をとり、膜厚方向をz軸とする直角座標系を
定めたとき、原点をOとして(111)面方位をベクト
ルOPで表し、終点Pからxy平面へ降ろした垂線の足
と同平面との交点をQとし、z軸とOPとのなす角を
θ、x軸とOQとのなす角をφとしたとき、上記θ及び
φについて、14deg≦θ≦23deg、且つ、0≦
φ≦360degの条件を満たすように構成する。本構
成により、外部電界によって分極軸は膜面方向から反転
又は回転するため、分極軸の回転に起因する圧電体膜の
膜厚方向の歪み量を増大させることができる。
Description
係わり、特に、分極軸の反転或いは回転による膜厚方向
の歪み量を増大する技術に関する。
ネルギーを機械的エネルギーに変換する素子として、従
来からチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を備えた圧電体
素子を使用したインクジェット式記録ヘッドがある。こ
のインクジェット式記録ヘッドは、一般には、多数の個
別インク通路(インクキャビティやインク溜り等)を形
成した加圧室基板と、全ての個別インク通路を覆うよう
に加圧室基板に取り付けた振動板膜と、この振動板膜の
前記個別インク通路上に対応する各部分に被着形成した
圧電体素子(電気機械変換素子)とを備えて構成されて
いる。この構成のインクジェット式記録ヘッドは、圧電
体素子に電界を加えて振動板を変位させることにより、
個別インク通路内に収容されているインクを、個別イン
ク通路に設けられたノズルプレートに開口しているノズ
ルから吐出するように設計されている。
を駆動したときの総歪み量は、分極軸(ドメイン)の回
転に起因する歪み量と、分極回転後の電界による伸長に
起因する歪み量(逆圧電効果に起因する歪み量)との和
で表すことができる。例えば、PZTの結晶系を菱面体
晶系(rhombohedral)とし、(111)面配向になるよ
うに処理した場合、すなわち(111)面配向が面内分
布を有さない場合、分極軸が取り得る方向は図11にお
いて双極子の正負を区別すると4方向になる。つまり膜
厚方向で2方向(P上向きとB下向き)、z軸から71
°傾いた上向きの方向(C)と、z軸から109°傾い
た下向きの方向(D)とである。このとき面内での方向
は区別しない。
ある場合は、双極子の正負には依存しないから、結局膜
厚方向(P−B方向)とz軸から71°傾いた方向(C
−D方向)の2通りが存在する。電界方向がz軸と平行
となるよう電界を圧電体膜に印加すると、ドメインの回
転を伴う歪みが生じる。但し、図でBからPへの180
°反転、DからCへの反転では歪みは生じない。
またはB,CからP又はBの2通りであるが、これは歪
む方向に関しては等価である。すなわち電界を膜に印加
したときに膜が歪むその方向はCD方向からPB方向の
1通りしか存在しない。初期の分極軸がPB方向である
ときは、電界印加によるドメインの反転はあっても回転
がない。つまりドメインの回転に伴う歪みは生じない。
反転に伴う歪みはもともとない。初期の分極軸がCD方
向にあるときは、初期歪みの方向もCD方向にある。従
って、電界を膜に印加することで、歪みの方向はCD方
向からAB方向に変化し、膜厚方向に歪みが生じる。
ときのドメインの回転を伴う歪み方向について説明す
る。(111)面配向の傾きには、図12、図13に示
すyz面内における回転と、図14に示すyz面のy軸
を中心とする回転とがある。図12と図13とに示した
配向の傾きでは、膜の歪みは下式に表される係数kに比
例する。
比例することを意味する。図13の場合は、(111)
面配向が傾くことにより歪み効率は低下する。しかし、
図12の場合は、cos(θ±Δθ)が0に近づく為に、膜
厚方向の歪み効率は著しく大きくなる。特に、傾きが1
9°、即ちΔθ=(19/180)×π[rad]のと
き、cos(θ±Δθ)=0となるから、このときの膜厚方
向の歪み効率は理論上無限大となる。結局、(111)
面配向が傾いたとき、歪み効率が高くなる。図14の場
合は、膜厚方向の歪みの寄与には変化がない。
る歪みについて考察したところ、図12に示すように、
(111)面方位をz軸(膜厚方向及び電界方向)に対
して19°傾けると、電界を印加する前後における歪み
効率を最大にすることができることを見出した。従っ
て、膜厚方向に対してある程度の傾きを有するように、
(111)配向方位を設定することで、分極軸の回転に
起因する歪み量を向上させることができるものと考えら
れる。
電極について、電極内部に圧縮応力を生じる膜で構成す
ると、圧電体膜は引っ張り応力を受けるため、図12に
示すように、分極軸がOC方向からOP方向へと回転し
ても、引っ張り応力の作用によって分極軸はOP方向か
らOC方向へと戻り、残留分極にならないと考えられ
る。
み量を増大することのできる圧電体素子及びその製造方
法を提供することを課題とする。また、当該圧電体素子
をインク吐出駆動源とするインクジェット式記録ヘッド
及びその製造方法を提供することを課題とする。さら
に、当該インクジェット式記録ヘッドを備えたインクジ
ェットプリンタを提供することを課題とする。
く、本発明の圧電体素子は、菱面体晶系の圧電体膜の膜
面方向にx軸及びy軸をとり、膜厚方向をz軸とする直
角座標系を定めたとき、原点をOとして(111)面方
位をベクトルOPで表し、終点Pからxy平面へ降ろし
た垂線の足と同平面との交点をQとし、z軸とOPとの
なす角をθ、x軸とOQとのなす角をφとしたとき、上
記θ及びφについて、0deg≦θ≦36deg、且
つ、0≦φ≦360degの条件を満たすように構成す
る。
膜面方向から反転又は回転するため、分極軸の回転に起
因する圧電体膜の膜厚方向の歪み量を増大させることが
できる。好ましくは、上記θの値について、14deg
≦θ≦23degの範囲に設定する。
膜内部に分布している白金、イリジウム或いはペロブス
カイト構造の金属酸化物が好適である。この場合も、下
部電極の(111)面の配向方位について、上記θ及び
φの値を満たすように構成する。
極の下地となる振動板膜の表面に凹凸を形成し、当該振
動板膜上に(111)配向の下部電極を成膜することで
下部電極内の(111)配向を膜内部に分布させる工
程、及び当該下部電極上に菱面体晶系の圧電体膜を成膜
することで圧電体膜内の(111)配向を膜内部に分布
させる工程によって製造することができる。
さが5nm以上50nm以下の範囲にある多結晶体、或
いはアモルファス層で構成することが好ましい。
上記圧電体素子と、当該圧電体素子の機械的変位によっ
て内容積が変化する加圧室と、当該加圧室に連通してイ
ンク滴を吐出する吐出口とを備えている。当該インクジ
ェット式記録ヘッドを印字手段に備えることで、本発明
のインクジェットプリンタを提供することができる。
態について説明する。
示す。インクジェットプリンタは、主にインクジェット
式記録ヘッド100、本体102、トレイ103、ヘッ
ド駆動機構106を備えて構成されている。インクジェ
ット式記録ヘッド100は、イエロー、マゼンダ、シア
ン、ブラックの計4色のインクカートリッジ101を備
えており、フルカラー印刷が可能なように構成されてい
る。また、このインクジェットプリンタは、内部に専用
のコントローラボード等を備えており、インクジェット
式記録ヘッド100のインク吐出タイミング及びヘッド
駆動機構106の走査を制御し、印字データに基づいて
インクドット制御を実現する。また、本体102は背面
にトレイ103を備えるとともに、その内部にオートシ
ードフィーダ(自動連続給紙機構)105を備え、記録
用紙107を自動的に送り出し、正面の排出口104か
ら記録用紙107を排紙する。
斜視図を図2に示す。ここではインクの共通通路が加圧
室基板内に設けられるタイプを示す。同図に示すよう
に、インクジェット式記録ヘッドは加圧室基板1、ノズ
ルプレート2及び基体3から構成される。加圧室基板1
はシリコン単結晶基板がエッチング加工された後、各々
に分離される。加圧室基板1には複数の短冊状の加圧室
10が設けられ、全ての加圧室(キャビティ)10にイ
ンクを供給するための共通通路12を備える。加圧室1
0の間は側壁11により隔てられている。加圧室基板1
の基体3側にはインク吐出駆動源として圧電体素子が取
り付けられている。各圧電体素子からの配線はフレキシ
ブルケーブルである配線基板4に収束され、プリントエ
ンジン部によって制御される。
の主要部の断面図である。加圧室基板1には加圧室10
がエッチング加工により形成されている。加圧室10の
上面には振動板膜51が成膜されており、当該振動板膜
51には圧電体素子91が形成されている。当該素子の
機械的変位は加圧室10内の内容積を変化させ、加圧室
10に充填されているインクをノズル21から吐出す
る。圧電体素子91は逆圧電効果によって電気エネルギ
ーを機械エネルギーに変換する素子であり、下部電極6
1、圧電体膜7及び上部電極8を備えて構成されてい
る。
細な構成について説明する。基板上には振動板膜51が
凹凸上に形成されており、その上に成膜された下部電極
61も振動板膜51の凹凸に沿って凹凸状に形成されて
いる。振動板膜51は酸化ジルコニウム(ZrO2)、
酸化チタン(TiO2)等の酸化金属から成る多結晶体
から構成されている。振動板膜51は表面の凹凸の高さ
が5nm〜50nm程度の平滑性を有する薄膜であり、
その膜厚は0.1μm〜2.0μm程度である。下部電
極61は(111)配向した立方細密構造の白金或いは
イリジウムから構成されている。ここで、図6を参照し
て下部電極61の結晶配向方位を説明する。下部電極6
1の底面をxy平面にとり、膜厚方向をz軸にとる。下
部電極61の(111)配向の向きをOP方向とし、P
からxy平面に降ろした垂線と同平面との交点をQとす
る。そして、OPとz軸とのなす角をθとし、OQとx
軸とのなす角をφとする。振動板膜51の凹凸の高さを
約5nm〜50nm程度にし、その上に(111)配向
の下部電極61を成膜すると、上記θ及びφについて下
式が成り立つ。
配向が下部電極61全体にわたって分布する(以下、面
内分布という)。分極の回転に起因する歪み量を増大す
るためには、θ及びφは下式を満たすことが好ましい。
体膜7として、例えば、ジルコン酸チタン酸鉛(Pb
(Zr,Ti)O3:PZT)、ジルコニウム酸鉛(P
bZrO3)、チタン酸鉛ランタン((Pb,La),
TiO3)、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン((Pb,
La)(Zr,Ti)O3)又は、マグネシウムニオブ
酸ジルコニウムチタン酸鉛(Pb(Zr,Ti)(M
g,Nb)O 3:PZT―PMN)等の強誘電性セラミ
ックスから成る多結晶体が好適である。圧電体膜7は菱
面体晶系の結晶構造を有しており、(111)配向が
(1)式或いは(2)式を満たすように成膜されてい
る。特に、圧電体膜7の(111)配向の向きが(2)
式を満たすことで、θの値は19deg±5degの範
囲内になるため、図12に示すように、分極軸はほぼ膜
面方向の位置から反転するため、分極の回転に起因する
膜厚方向の歪み量を増大させることができる。
きる導電性材料であれば特に限定されるものではなく、
例えば、Pt、RuO2 、IrO2 等の単層膜又はPt
/Ti、Pt/Ti/TiN、Pt/TiN/Pt、T
i/Pt/Ti、TiN/Pt/TiN、Pt/Ti/
TiN/Ti、RuO2 /TiN、IrO2 /Ir、I
rO2 /TiN等の2層以上の積層膜であってもよい。 (実施例)以下、図4を参照して圧電体素子の製造例を
インクジェット式記録ヘッドの製造例と併せて説明す
る。まず、同図(A)に示すように、加圧室基板1に振
動板膜51を成膜した。加圧室基板1として、例えば、
直径100mm、厚さ220μmのシリコン単結晶基板
を用いた。振動板膜51として、スパッタ法で膜厚が
0.5μm〜1.0μm程度のZrを成膜し、その後、
基板を1000℃前後で熱処理することで、膜厚0.1
μm〜2.0μm程度の酸化ジルコニウムを形成した。
続いて、エッチング処理によって表面に凹凸形状を形成
した。凹凸の高さは5nm〜50nm程度とした。凹凸
の形状として、その断面をV字状、矩形状、鋸状、扇
状、波形状或いは円弧状としてもよい。
膜51上に下部電極61を形成した。具体的には、(1
11)配向を有する白金をスパッタ法で成膜した。この
とき、振動板膜51の表面には高さ5nm〜50nm程
度の凹凸が形成されているため、白金電極中の(11
1)配向の向きは(1)式を満たすように結晶が成長す
る。振動板膜51の凹凸の形状やその高さを適当に設定
すれば、白金電極中の(111)配向の向きは(2)式
を満たすことができる。
膜7及び上部電極8を形成した。本実施例では圧電体膜
7としてPZTを用いた。一般に、PZTの場合、各構
成成分の比率に対応して結晶構造が定まる特性を有し、
ペロブスカイト構造におけるBサイトの構成元素比、即
ち、Zr/Tiのモル比が0.53/0.47以上、
0.90/0.10以下の範囲にあるときは菱面体晶系
を構成することが知られている。そこで、PZTのZr
/Tiのモル比を0.56/0.44とし、ジルコン酸
鉛とチタン酸鉛のモル混合比が56%:44%となる2
成分系のPZTとした。圧電体膜7を成膜するために、
上記PZTを構成する分散した有機金属錯体、即ち、ゾ
ルを調整した。このゾルを調整するため、2−n−ブト
キシエタノールを主溶媒として、これにチタニウムテト
ライソプロポキシド、テトラ−n−プロポキシジルコニ
ウムを混合し、室温下で20分間攪拌した。次いで、ジ
エタノールアミンを加えて室温で更に20分間攪拌し、
更に酢酸鉛を加え、80℃に加熱した。加熱した状態で
20分間攪拌し、その後、室温になるまで自然冷却し
た。
1上に塗布するためにスピンコートした。このとき、膜
厚を均一にするために最初は500rpmで30秒間、
次に1500rpmで30秒間、最後に500rpmで
10秒間、スピンコーティングした。この工程でPZT
を構成する各金属原子は有機金属錯体として分散してい
る。ゾルを下部電極61上に塗布した後、180℃で3
0分間乾燥させ、ホットプレートを用いて空気中におい
て330℃で10分間脱脂した。スピンコートから脱脂
までの工程を2回繰り返し、その後、環状炉にて酸素雰
囲気中700℃で30分間結晶化熱処理を行った。この
工程をさらに7回繰り返すことで合計14層から成る膜
厚1.6μmの圧電体膜7を成膜した。この結晶化熱処
理工程の際に圧電体膜7の(111)配向が下部電極6
1の凹凸に沿ってさまざまな方位に成長するため、上記
θ及びφについて(1)式或いは(2)式が成立し、
(111)配向が圧電体膜7中に面内分布する。圧電体
膜7の成膜後、スパッタ法により白金を50nmの厚み
に成膜して上部電極8を形成した。
及び/又は下部電極61は膜内に圧縮応力を生じる導電
性薄膜で構成する必要がある。このように構成すること
で、圧電体膜7には引っ張り応力が作用するため、膜面
方向から回転した分極軸は当該引っ張り応力によっても
との位置に復帰する。従って、分極軸の回転に起因する
歪みは残留分極とならない。
が形成されるべき位置に合わせてエッチングマスクを施
し、平行平板型反応性イオンエッチング等の活性気体を
用いたドライエッチングにより、予め定められた深さま
で加圧室基板1をエッチングし、加圧室10を形成し
た。エッチングされずに残った部分は側壁11となる。
コートし、加圧室が形成されるべき位置に合わせて露光
・現像してパターニングする。残ったレジストをマスク
として上部電極8及び圧電体膜7をエッチングし、加圧
室が形成されるべき位置に対応して圧電体素子91を分
離した。
を用いてノズルプレート2を加圧室基板1に接合した。
ノズル21はリソグラフィ法、レーザ加工、FIB加
工、放電加工等を利用してノズルプレート2の所定位置
に開口することで形成することができる。ノズルプレー
ト2を加圧室基板1に接合する際には、各ノズル21が
加圧室10の各々の空間に対応して配置されるよう位置
合せする。ノズルプレート2を接合した加圧室基板1を
基体3に取り付ければ、インクジェット式記録ヘッドが
完成する。
子91を構成する圧電体膜7について、(111)配向
分布を広角XRD法で観測した。図7は従来の製法で得
られたペロブスカイト構造を有する圧電体膜の(11
1)配向分布、図8は上記圧電体膜7の(111)配向
分布である。また、図中の傾き角度は膜厚方向からの
(111)面方位の角度を示す。これらの図を参照する
と、従来の製法で得られた圧電体膜の(111)配向は
特定の角度に集中して分布しているのに対し、上記圧電
体膜7の(111)配向は面内分布していることがわか
る。これは、振動板膜51に凹凸を形成することで、そ
の上に成膜された下部電極61の(111)配向が膜内
に面内分布する結果、下部電極61上に成膜された圧電
体膜7の(111)配向は下部電極の(111)配向に
沿って成長し、上記の実験結果が得られたものと考えら
れる。
布について同様の観測を行った。図9は従来の製法によ
る下部電極(白金電極)の(111)配向分布、図10
は上記下部電極61の(111)配向分布を示してい
る。また、図中の傾き角度は膜厚方向からの(111)
面方位の角度を示す。これらの図を参照すると、下部電
極61の下地となる振動板膜51に凹凸を形成すること
で、下部電極61内の(111)配向は面内分布を有す
ることがわかる。 (変形例)図5に変形例の圧電体素子92を示す。基板
上には振動板膜52を介して下部電極62、圧電体膜7
及び上部電極8から成る圧電体素子92が形成されてい
る。振動板膜52は表面の凹凸の高さが5nm〜50n
m程度の平滑性を有するアモルファス状の層で構成され
ている。振動板膜52として例えばシリコン酸化膜、シ
リコン窒化膜等が好適である。下部電極62は(11
1)配向した立方細密構造の白金或いはイリジウムから
構成されており、結晶中の(111)配向方位は(1)
式或いは(2)式を満たすように成膜されている。ま
た、下部電極62上に成膜されている圧電体膜7は菱面
体晶系の結晶構造を有しており、(111)配向が
(1)式或いは(2)式を満たすように成膜されてい
る。このように、下部電極62の下地となる振動板膜5
2の表面に凹凸を形成することで、下部電極62の(1
11)配向を面内分布させることができる。
1、62として、立方細密構造を有する(111)配向
の白金、或いはイリジウムを用いたが、(111)配向
したペロブスカイト構造の金属酸化物、例えば、SrR
uO3,BaPbBiO系,BaLaCuO系,YBa
CuO系等を用いることもできる。
記録ヘッドのインク吐出駆動源としての他、マイクロア
クチュエータ、フィルタ、遅延線、リードセレクタ、音
叉発振子、音叉時計、トランシーバ、圧電ピックアッ
プ、圧電イヤホン、圧電マイクロフォン、SAWフィル
タ、RFモジュレータ、共振子、遅延素子、マルチスト
リップカプラ、圧電加速度計、圧電スピーカ、不揮発性
強誘電体メモリ素子等に応用することができる。
内部に(111)配向を分布させることで、分極軸の回
転による圧電体膜の膜厚方向の歪み量を増加させること
ができ、圧電特性に優れた圧電体素子及びその製造方法
並びにこれらの応用製品を提供することができる。
る。
である。
る。
結果である。
分布の測定結果である。
結果である。
向分布の測定結果である。
を説明する図である。
る図である。
る図である。
る図である。
…振動板膜、61…下部電極、62…下部電極、7…圧
電体膜、8…上部電極、91…圧電体素子、92…圧電
体素子
Claims (16)
- 【請求項1】 菱面体晶系の圧電体膜と、当該圧電体膜
を挟んで一対の電極を構成する上部電極及び下部電極を
備えた圧電体素子において、圧電体膜の膜面方向にx軸
及びy軸をとり、膜厚方向をz軸とする直角座標系を定
めたとき、原点をOとして(111)面方位をベクトル
OPで表し、終点Pからxy平面へ降ろした垂線の足と
同平面との交点をQとし、z軸とOPとのなす角をθ、
x軸とOQとのなす角をφとしたとき、上記θ及びφに
ついて、0deg≦θ≦36deg、且つ、0≦φ≦3
60degの条件を満たす圧電体素子。 - 【請求項2】 菱面体晶系の圧電体膜と、当該圧電体膜
を挟んで一対の電極を構成する上部電極及び下部電極を
備えた圧電体素子において、圧電体膜の膜面方向にx軸
及びy軸をとり、膜厚方向をz軸とする直角座標系を定
めたとき、原点をOとして(111)面方位をベクトル
OPで表し、終点Pからxy平面へ降ろした垂線の足と
同平面との交点をQとし、z軸とOPとのなす角をθ、
x軸とOQとのなす角をφとしたとき、上記θ及びφに
ついて、14deg≦θ≦23deg、且つ、0≦φ≦
360degの条件を満たす圧電体素子。 - 【請求項3】 前記下部電極は(111)配向が膜内部
に分布している白金或いはイリジウムである請求項1又
は請求項2に記載の圧電体素子。 - 【請求項4】 前記下部電極は(111)配向が膜内部
に分布しているペロブスカイト構造の金属酸化物である
請求項1又は請求項2に記載の圧電体素子。 - 【請求項5】 前記下部電極の膜面方向にx軸及びy軸
をとり、膜厚方向をz軸とする直角座標系を定めたと
き、原点をOとして(111)面方位をベクトルOPで
表し、終点Pからxy平面へ降ろした垂線の足と同平面
との交点をQとし、z軸とOPとのなす角をθ、x軸と
OQとのなす角をφとしたとき、上記θ及びφについ
て、0deg≦θ≦36deg、且つ、0≦φ≦360
degの条件を満たす請求項3又は請求項4に記載の圧
電体素子。 - 【請求項6】 前記下部電極の膜面方向にx軸及びy軸
をとり、膜厚方向をz軸とする直角座標系を定めたと
き、原点をOとして(111)面方位をベクトルOPで
表し、終点Pからxy平面へ降ろした垂線の足と同平面
との交点をQとし、z軸とOPとのなす角をθ、x軸と
OQとのなす角をφとしたとき、上記θ及びφについ
て、14deg≦θ≦23deg、且つ、0≦φ≦36
0degの条件を満たす請求項3又は請求項4に記載の
圧電体素子。 - 【請求項7】 請求項1乃至請求項6のうち何れか1項
に記載の圧電体素子と、当該圧電体素子の機械的変位に
よって内容積が変化する加圧室と、当該加圧室に連通し
てインク滴を吐出する吐出口とを備えたインクジェット
式記録ヘッド。 - 【請求項8】 請求項7に記載のインクジェット式記録
ヘッドを印字機構に備えたインクジェットプリンタ。 - 【請求項9】 下部電極の下地となる振動板膜の表面に
凹凸を形成し、当該振動板膜上に(111)配向の下部
電極を成膜することで下部電極内の(111)配向を膜
内部に分布させる工程と、当該下部電極上に菱面体晶系
の圧電体膜を成膜することで圧電体膜内の(111)配
向を膜内部に分布させる工程とを備えた圧電体素子の製
造方法。 - 【請求項10】 下部電極の膜面方向にx軸及びy軸を
とり、膜厚方向をz軸とする直角座標系を定めたとき、
原点をOとして(111)面方位をベクトルOPで表
し、終点Pからxy平面へ降ろした垂線の足と同平面と
の交点をQとし、z軸とOPとのなす角をθ、x軸とO
Qとのなす角をφとしたとき、上記θ及びφについて、
0deg≦θ≦36deg、且つ、0≦φ≦360de
gの条件を満たす請求項9に記載の圧電体素子。 - 【請求項11】 下部電極の膜面方向にx軸及びy軸を
とり、膜厚方向をz軸とする直角座標系を定めたとき、
原点をOとして(111)面方位をベクトルOPで表
し、終点Pからxy平面へ降ろした垂線の足と同平面と
の交点をQとし、z軸とOPとのなす角をθ、x軸とO
Qとのなす角をφとしたとき、上記θ及びφについて、
14deg≦θ≦23deg、且つ、0≦φ≦360d
egの条件を満たす請求項9に記載の圧電体素子。 - 【請求項12】 圧電体膜の膜面方向にx軸及びy軸を
とり、膜厚方向をz軸とする直角座標系を定めたとき、
原点をOとして(111)面方位をベクトルOPで表
し、終点Pからxy平面へ降ろした垂線の足と同平面と
の交点をQとし、z軸とOPとのなす角をθ、x軸とO
Qとのなす角をφとしたとき、上記θ及びφについて、
0deg≦θ≦36deg、且つ、0≦φ≦360de
gの条件を満たす請求項9乃至請求項11のうち何れか
1項に記載の圧電体素子。 - 【請求項13】 圧電体膜の膜面方向にx軸及びy軸を
とり、膜厚方向をz軸とする直角座標系を定めたとき、
原点をOとして(111)面方位をベクトルOPで表
し、終点Pからxy平面へ降ろした垂線の足と同平面と
の交点をQとし、z軸とOPとのなす角をθ、x軸とO
Qとのなす角をφとしたとき、上記θ及びφについて、
14deg≦θ≦23deg、且つ、0≦φ≦360d
egの条件を満たす請求項9乃至請求項11のうち何れ
か1項に記載の圧電体素子。 - 【請求項14】 前記振動板膜は表面の凹凸の高さが5
nm以上50nm以下の範囲にある多結晶体である請求
項9乃至請求項13のうち何れか1項に記載の圧電体素
子の製造方法。 - 【請求項15】 前記振動板膜は表面の凹凸の高さが5
nm以上50nm以下の範囲にあるアモルファス層であ
る請求項9乃至請求項13のうち何れか1項に記載の圧
電体素子の製造方法。 - 【請求項16】 表面に凹凸形状を有する振動板膜を加
圧室基板上に形成し、請求項9乃至請求項13のうち何
れか1項の方法で圧電体素子を製造する工程を備えたイ
ンクジェット式記録ヘッドの製造方法。
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