JP2001237133A - 樹脂磁石組成物の製造方法 - Google Patents

樹脂磁石組成物の製造方法

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JP2001237133A
JP2001237133A JP2000043941A JP2000043941A JP2001237133A JP 2001237133 A JP2001237133 A JP 2001237133A JP 2000043941 A JP2000043941 A JP 2000043941A JP 2000043941 A JP2000043941 A JP 2000043941A JP 2001237133 A JP2001237133 A JP 2001237133A
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resin magnet
magnet composition
magnetic powder
resin
kneading
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JP2000043941A
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Hajime Tamura
一 田村
Yasuaki Shiomura
恭朗 塩村
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Bridgestone Corp
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Bridgestone Corp
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    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F41/00Apparatus or processes specially adapted for manufacturing or assembling magnets, inductances or transformers; Apparatus or processes specially adapted for manufacturing materials characterised by their magnetic properties
    • H01F41/02Apparatus or processes specially adapted for manufacturing or assembling magnets, inductances or transformers; Apparatus or processes specially adapted for manufacturing materials characterised by their magnetic properties for manufacturing cores, coils, or magnets
    • H01F41/0253Apparatus or processes specially adapted for manufacturing or assembling magnets, inductances or transformers; Apparatus or processes specially adapted for manufacturing materials characterised by their magnetic properties for manufacturing cores, coils, or magnets for manufacturing permanent magnets
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁性粉を高充填した場合でも良好な溶融流動
性が得られ、成形性の低下を招くことなく高磁力化を達
成することができる樹脂磁石組成物を得ることを目的と
する。 【解決手段】 かみ合い型同方向回転2軸押出機を用い
て、下記式(1)で表されるТ値が1000〜6000
となる混練条件で混練操作を行うことを特徴とする樹脂
磁石組成物の製造方法。 【数1】 (Rはスクリュー回転数[rpsec]、Dはバレル直
径[m]、Qは材料投入量[kg/sec]、lは混練
用エレメント総長[m]、ρは材料密度[kg/
3])

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、樹脂バインダーに
磁性粉を分散した樹脂磁石組成物に関し、更に詳述する
と、比較的低い印加磁場の下で磁性粉の配向操作を行っ
た場合に得られる磁力をより高磁力化することができ、
複写機、ファクシミリ、プリンター等の電子写真装置や
静電記録装置のマグネットローラ用材料として好適な樹
脂磁石組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、複写機、プリンタ等の電子写真装
置や静電記録装置等において、感光ドラム等の潜像保持
体上の静電潜像を可視化する現像ローラとして、回転す
るスリーブ内に樹脂磁石よりなるマグネットローラを配
設し、スリーブ表面に把持した磁性現像剤(トナー)を
該マグネットローラの磁力特性により潜像保持体上に飛
翔させる所謂ジャンピング現象によって供給し、静電潜
像を可視化する現像方法が知られている。
【0003】上記マグネットローラを形成する樹脂磁石
としては、ナイロンやポリプロピレン等の熱可塑性樹脂
にフェライトや希土類系合金などの磁性粉を混合分散し
た樹脂磁石組成物が用いられており、マグネットローラ
は、この樹脂磁石組成物を磁場を印加しながら射出成形
又は押出成形することによって、ローラ状に成形すると
共に上記磁性粉を所望の状態に配向させた後、一旦脱磁
して所望の磁力パター一ンに着磁することにより製造さ
れている。
【0004】マグネットローラ等の樹脂磁石成形物を得
る場合、上記バインダー樹脂と磁性粉とを2軸押出機に
投入して混練し押出成形することにより、バインダー樹
脂中に磁性粉が混合分散したペレット状の樹脂磁石組成
物を得、この樹脂磁石組成物を射出成形や押出成形に供
して、マグネットローラ等の樹脂磁石成形物を成形する
手順が一般的に採られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この場合、良好な寸法
精度や成形面の平滑性、更には良好な磁力性能を有する
樹脂磁石成形物を得るためには、成形に供される樹脂磁
石組成物の溶融流動性が大きく影響する。特に、高寸法
精度及び高磁力が要求されるマグネットローラを射出成
形法により成形する場合には、成形時における樹脂磁石
組成物の溶融流動性が得られる製品の性能に及ぼす影響
は極めて大きい。
【0006】しかしながら、マグネットローラなどの高
磁力が求められる用途に用いられる樹脂磁石組成物で
は、磁力を向上させるために磁性粉の高充填が行われ、
具体的には磁性粉の充填率が組成物全体の55容量%以
上にも及ぶため、良好な溶融流動性を得ることが困難で
あり、これが磁性粉の高充填による高磁力化を妨げる一
因となっている。
【0007】本発明は、上記事情に鑑みなされたもの
で、磁性粉を高充填した場合でも良好な溶融流動性が得
られ、成形性の低下を招くことなく高磁力化を達成する
ことができる樹脂磁石組成物を得ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】本
発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結
果、バインダー樹脂と磁性粉とを2軸混練機に投入して
混練し、樹脂バインダー中に磁性粉が混合分散した樹脂
磁石組成物を得る場合に、混練機のスクリュー回転数の
設定や材料投入量の設定、更にはスクリューの構成によ
って得られる樹脂磁石組成物の流動性等の物性が変化
し、特に磁性粉の充填率が高い場合にはその変化の度合
いが大きいことが見出された。
【0009】そこで、本発明者は、バインダー樹脂と磁
性粉とを2軸混練機で混練する場合のスクリュー構成、
スクリュー回転数、材料投入量などから決定される「混
練の指標」と得られる樹脂磁石組成物の物性との関係を
正確に見出すと共に、かかる関係から成形性を低下させ
ることなく磁性粉の高充填が可能な樹脂磁石組成物を調
製するに適正な混練条件を見出すべく更に検討を進めた
結果、混練機としてかみ合い型同方向2軸押出機を用
い、下記式(1)で表されるТ値が1000〜6000
となる条件で混練を行うことにより、55容量%を超え
るような高い充電率で磁性粉を充填した場合でも、良好
な溶融流動性を有する樹脂磁石組成物を確実に得ること
ができ、高磁力で成形性に優れた樹脂磁石組成物が得ら
れることを見出し、本発明を完成したものである。
【数2】 (Rはスクリュー回転数[rpsec]、Dはバレル直
径[m]、Qは材料投入量[kg/sec]、lは混練
用エレメント総長[m]、ρは材料密度[kg/
3])
【0010】従って、本発明は、樹脂バインダーと磁性
粉とを2軸混練機かみ合い型同方向回転2軸押出機を用
いて混練し、樹脂バインダーに磁性粉が混合分散してな
る樹脂磁石組成物を調製する場合に、上記2軸混練機と
して、かみ合い型同方向回転2軸押出機を用いると共
に、上記式(1)で表されるТ値が1000〜6000
となる混練条件で混練操作を行うことを特徴とする樹脂
磁石組成物の製造方法を提供するものである。
【0011】以下、本発明につき更に詳述する。本発明
の樹脂磁石組成物の製造方法は、上述のように、樹脂バ
インダーと磁性粉とを2軸混練機を用いて混練する場合
の混練条件を適正化したものである。
【0012】本発明の製造方法に用いられる上記樹脂バ
インダーとしては、ナイロン6,ナイロン12等のポリ
アミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレンテレフタ
レート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹
脂(PBT)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PP
S)、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)、
エチレン−エチルアクリレート樹脂(EEA)、エポキ
シ樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVO
H)、ポリプロピレン,ポリエチレン,ポリエチレン共
重合体等のポリオレフィンや、これらポリオレフィンの
構造中に無水マレイン酸基,カルボキシル基,ヒドロキ
シル基,グリシジル基等の反応性をもつ官能基を導入し
た変性ポリオレフィン等の熱可塑性樹脂が挙げられ、こ
れらの1種又は2種以上を混合して用いることができ
る。なお、特に制限されるものではないが、本発明の樹
脂磁石組成物でマグネットローラを得る場合にはこれら
の中でもポリアミド樹脂、EVA、EEAが特に好まし
く用いられる。
【0013】また、上記磁性粉としては、異方性Srフ
ェライトや異方性Baフェライトなどの磁気異方性を有
するフェライト粉末や、異方性Sm−Fe−N化合物,
HDDR法を適用したNd−Fe−B化合物等の磁気異
方性を有する希土類金属化合物が用いられ、特にフェラ
イト粉末では異方性Srフェライトが、希土類金属化合
物では異方性Sm−Fe−Nがそれぞれ好ましく用いら
れる。また、磁性粉の配合割合は、要求される磁力の強
さに応じて適宜選定されるものであり、特に制限される
ものではないが、高磁力化の観点から組成物全体の55
容量%以上、特に58〜70容量%であることが好まし
く、本発明の製造方法によれば、このような高充填率で
磁性粉を充填しても、熔融流動性を大幅に低下させるこ
となく、良好な成形性を有する樹脂磁石組成物を得るこ
とができるものである。
【0014】磁性粉には、必要に応じて適宜な表面処理
を施すことができ、例えば予め磁性粉にカップリング処
理を施して上記樹脂バインダーに混合分散することがで
きる。この場合、カップリング剤としては、γ−ウレイ
ドプロピルトリエトキシシラン,γ−ベンジルアミノプ
ロピルトリメトキシシラン,N−β−(アミノエチル)
−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のシランカ
ップリング剤、又はチタン系カップリング剤など、種々
のカップリング剤を用いることができる。
【0015】本発明製造方法で調製される樹脂磁石組成
物には、上記バインダー成分及び磁性粉に加えて、必要
に応じマイカやウィスカ或いはタルク、炭素繊維、ガラ
ス繊維等の補強効果の大きな充填材を添加することがで
きる。即ち、樹脂磁石組成物は、その用途に応じて適宜
な形状の樹脂磁石に成形されるが、その樹脂磁石成形物
に要求される磁力が比較的低く、上記磁性粉の充填量が
少ない場合には、成形物の剛性が低くなりやすく、この
ような場合には剛性を補うためにマイカやウィスカ等の
充填材を添加して成形品の補強を行うことができる。こ
の場合、充填材としては、特に制限されるものではない
が、マイカ或いはウィスカが好ましく、ウィスカとして
は、炭化ケイ素,窒化ケイ素等からなる非酸化物系ウイ
スカ、ZnO,MgO,TiO2、SnO2、A123
からなる金属酸化物系ウィスカ、チタン酸カリウム,ホ
ウ酸アルミニウム,塩基性硫酸マグネシウム等からなる
複酸化物系ウィスカなどが挙げられる。中でも、熱可塑
性樹脂との複合化が容易な点から複酸化物系ウィスカが
特に好ましく使用される。
【0016】これら充填材を用いる際の配合割合は、特
に制限されるものではないが、通常は樹脂磁石組成物全
体の2〜32重量%、特に5〜20重量%程度とされ
る。なお、本発明製造方法により調製される樹脂磁石組
成物には、本発明の目的を逸脱しない限り、上記充填材
以外の添加剤を添加して差し支えない。
【0017】本発明の製造方法は、上記樹脂バインダ
ー、磁性粉及び必要に応じて添加される添加剤を2軸混
練機により混練して、上記樹脂バインダー中に上記磁性
粉が混合分散した樹脂磁石組成物を得るものであり、こ
の場合本発明では、2軸混練機としてかみ合型同方向回
転2軸押出機を用いると共に、その混練条件を下記式
(1)で表されるТ値が1000〜6000となるよう
に調整して、混練操作を行うものである。この場合、上
記Т値が1000未満であると調製した樹脂磁石組成物
から得られる樹脂磁石の磁力が低下して、用途によって
は十分な磁力が得られず、一方6000を超えると樹脂
バインダーの分子量が大きく低下して、樹脂磁石組成物
から得られる樹脂磁石成形物の強度が著しく低下してし
まう。なお、より好ましいТ値は、1100〜3500
である。
【数3】 (上記式中、Rはスクリュー回転数[rpsec]、D
はバレル直径[m]、Qは材料投入量[kg/se
c]、lは混練用エレメント総長[m]、ρは材料密度
[kg/m3])
【0018】ここで、上記式(1)の意義は、次ぎの通
りである。上述したように、樹脂バインダーと磁性粉と
を2軸混練機で混練して樹脂磁石組成物を得る場合、混
練機のスクリュー構成、該スクリューの回転数、材料投
入量などの混練条件により、得られる組成物の物性が変
化することに鑑み、本発明者は、同一の配合で最高の性
能が得られる混練条件を見出すべく鋭意検討を行い、こ
の用途での混練操作に汎用されている「かみ合型同方向
回転2軸押出機」を用いた場合の混練条件の指標とし
て、上記式(1)で表されるТ値を案出したものであ
る。
【0019】即ち、かみ合型同方向回転2軸押出機に用
いられるスクリューエレメントの種類は、(a)材料の
搬送を主目的とするフルフライトエレメントと、(b)
材料の混練を主目的とするニーディングエレメント(ミ
キシングエレメントやローターエレメントなどの混練を
主目的とするものを全て含む)との2種類に大別され
る。この場合、上記フルフライトエレメントではほとん
ど混練物が滞留することはなく、またバレルからスクリ
ューを除いた空間を混練物が占める率(充満率)は材料
投入量とスクリュー回転数にもよるが、フルフライトエ
レメントでは0.3を超えることはほとんどないことが
確認された。一方、ニーディングエレメントは、その形
状からも想像されるとおり混練物を搬送する能力はフル
フライトエレメントに比べて著しく低く、そのため混練
物はニーティングエレメント部に滞留し、その間に混練
が行われる。このニーディングエレメントでの充満率は
0.6〜1.0になることが確認された。以上のことか
ら、混練物の物性と混練条件との関係を議論するには、
材料が投入されてからダイスから出てくる間にニーディ
ングエレメントに滞留した時間tを考えればよい。ただ
し、時間tが同じであってもスクリュー回転数が高い場
合と低い場合とではその混練の度合いが異なることは明
らかであり、従って本発明者は、このことを考慮して、
スクリューが1回転するのにかかる時間を1としたとき
のニーディングエレメント部での材料滞留時間Тを求め
ることとし、本発明ではこのТ値を混練の指標として混
練条件を制御するようにしたものである。
【0020】次に、上記式(1)による指標Т値の導入
について説明する。なお、以下の説明における各式中、
Rはスクリュー回転数[rpsec]、Dはバレル直径
[m]、Qは材料投入量[kg/sec]、lは混練用
エレメント総長[m]、ρは材料密度[kg/m3]で
ある。
【0021】まず、かみ合型同方向回転2軸押出機のバ
レル全長に亘ってニーディングエレメント部の材料が充
填される体積(フリーボリューム)を求めると、
【数4】 となる。この場合、バレルの断面積からとスクリューの
断面積を引いた面積をフリーエリアとしたとき、フリー
エリアは概ねバレル断面積の0.5倍程度であり、かみ
合型同方向回転2軸押出機はスクリューが2本なので、
フリーエリアはπ(D/2)2と考えてよいと仮定し
た。なお、この仮定はサイズの異なる様々なかみ合型同
方向回転2軸押出機についてもそれほど大きな個体差は
なく成立するものである。次に、短時間当たりの材料の
投入体積vtは、
【数5】 で表され、従って、材料投入からシリンダー先端より押
し出されるまでに混練物がニーディングエレメント部に
滞留する時間Тallは、
【数6】 となる。そして、スクリュー1回転にかかる時間を1と
すると、
【数7】 となり、上記式(1)が導かれる。この式(1)により
求められるТ値は投入から押し出されるまでに混練物に
与えられたニーディングエレメント部でのスクリュー回
転数に相当し、本発明ではこれを混練の指標としたもの
である。
【0022】本発明の製造方法は、上記式(1)で表さ
れるТ値が1000〜6000であればよく、上記式
(1)中のR(スクリュー回転数)、D(バレル直
径)、Q(材料投入量)、l(混練用エレメント総長)
及びρ(材料密度)に特に制限はないが、通常Rは75
〜450[rpsec]、Dは0.035〜0.1
[m]、Qは5〜40[kg/sec]、lは0.15
〜1[m]、ρは3500〜3900[kg/m3]の
範囲内であることが好ましい。なお、上記Dのバレル直
径、lの混練用エレメント総長は、用いられる押出機に
より決定され、これらの値を調整することは通常困難で
あるため、混練条件の調整は上記スクリュー回転数R、
材料投入量Q及び材料密度ρを調整することにより行わ
れるが、この場合材料密度ρは目的とする樹脂磁石組成
物の用途等に応じた組成によってほぼ決定されるため、
現実的にはスクリュー回転数R及び材料投入量Qを調整
して上記Т値を調節することとなる。なお、例えばバレ
ル温度などのその他の混練条件は、混練材料に応じて通
常の条件とすればよい。
【0023】本発明の製造方法により得られた樹脂磁石
組成物は、その用途に応じて適宜な形状の樹脂磁石に成
形されるが、この場合、通常はかみ合い型同方向回転2
軸押出機を用いて上記混練条件により、ペレット状の組
成物とし、このペレットを射出成形等に供してマグネッ
トローラ等の樹脂磁石成形物を成形することが好まし
い。この場合、本発明の製造方法により得られた樹脂磁
石組成物は、磁性粉を55容量%以上の高率に充填して
も成形時の熔融流動性に優れ、良好な成形性をもって、
十分な強度を有し寸法精度に優れた樹脂磁石成形物を得
ることができるものである。なお、用途等によっては上
記2軸押出機で本発明樹脂磁石組成物を混練、調製する
際に、直接目的成形物を押出成形することも可能であ
る。
【0024】本発明の製造方法で得られた樹脂磁石組成
物は、その用途に応じた所望の形状に成形すると同時又
は成形後、用途等に応じた所望の磁力及び磁力パターン
に着磁することにより、樹脂磁石成形物とすることがで
きる。この場合、本発明製造法により得られた樹脂磁石
組成物によれば、最終的な成形物の磁力の向上も達成さ
れる。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の樹脂磁石
組成物の製造方法によれば、磁性粉を高充填した場合で
も良好な溶融流動性が得られ、成形性の低下を招くこと
なく高磁力化を達成することができる高性能な樹脂磁石
組成物を得ることができる。
【0026】
【実施例】以下、実施例と比較例を示し、本発明をより
具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限される
ものではない。
【0027】[実施例1]異方性Srフェライト8.0
kgを尿素系シランカップリング剤80gとともに高速
ミキサーで撹拌し、上記異方性Srフェライトに表面処
理を施した。
【0028】次いで、上記表面処理を施した異方性Sr
フェライトに、射出成形グレードの6ナイロン0.84
2kgを混合後、かみ合い型同方向回転2軸押出機(テ
クノベル社製)で下記の条件により混練し、ペレタイズ
してペレット状の樹脂磁石組成物を調製した。得られた
組成物の密度はρは3.7g/cm3(3700kg/
3)であった。混練条件 押出機L/D=30 バレル直径D=φ0.032m エレメント総長l=0.22m 材料投入量Q=5kg/h(1.388×10-3kg/
sec) スクリュー回転数R=240rpm(4.0rpse
c) バレル設定温度:240℃ Т値=1884
【0029】得られたペレットにつき、JIS−K72
01(流れ試験方法)により流れ値を測定したところ、
3.37×10-3[ml/sec]であった。なお、測
定は、温度270℃、ダイス穴形状φ1×5mm、試験
荷重15kgfの条件で行った。
【0030】また、得られた各ペレットを、300mT
の外部配向磁場を印加しながら温度290℃で射出成形
してφ20×6mmの試験ピースを作成した。得られた
試験ピースの磁力性能を測定したところ、残留磁束密度
Brは291.6mT、BHmaxは17.1kJ/m
3で、良好な磁力が得られていた。
【0031】更に、得られた各ペレットから100mm
×10mm×4mmのサンプルを290℃で射出成形
し、このサンプルの曲げ強度をJIS−K7203(硬
質プラスチックの曲げ試験方法)により測定した。結果
は、曲げ強度16.14[kgf/mm2]で、良好な
強度を有していた。
【0032】[比較例1]混練条件を下記の設定にした
こと以外は、実施例1と同様にしてペレット状の樹脂磁
石組成物を調製した。得られたペレットの密度ρは実施
例1と同様に3.7g/cm3(3700kg/m3)で
あった。混練条件 押出機L/D=30 バレル直径D=φ0.032m エレメント総長l=0.22m 材料投入量Q=10kg/h(2.778×10-3kg
/sec) スクリュー回転数R=150rpm(2.5rpse
c) バレル設定温度:240℃ Т値=589
【0033】得られたペレットにつき、実施例1と同様
にして、流れ性、曲げ強度及び磁力性能を評価したとこ
ろ、流れ性は1.12×10-3[ml/sec]、残留
密度Brは287.2mT、BHmaxは16.48k
J/m3、曲げ強度は16.66[kgf/mm2]であ
った。
【0034】このように、Т値が589と小さい条件で
混練を行った樹脂磁石組成物は、流動性が低く、また得
られる磁力も実施例1に比べて低くなる。
【0035】[比較例2]混練条件を下記の設定にした
こと以外は、実施例1と同様にしてペレット状の樹脂磁
石組成物を調製した。得られたペレットの密度ρは実施
例1と同様に3.7g/cm3(3700kg/m3)で
あった。混練条件 押出機L/D=30 バレル直径D=φ0.032m エレメント総長l=0.22m 材料投入量Q=2.8kg/h(7.78×10-4kg
/sec) スクリュー回転数R=300rpm(5rpsec) バレル設定温度:240℃ Т値=6883
【0036】得られたペレットにつき、実施例1と同様
にして、流れ性、曲げ強度及び磁力性能を評価したとこ
ろ、流れ性は5.2×10-3[ml/sec]、残留密
度Brは292.2mT、BHmaxは17.1kJ/
3、曲げ強度は9.33[kgf/mm2]であった。
【0037】このように、Т値が6000を超えて大き
くなると、良好な流れ性及び磁力は得られるものの成形
物の強度が著しく低下してしまう。
【0038】[実施例2]異方性Srフェライト50.
0kgを尿素系シランカップリング剤0.5kgととも
に高速ミキサーで撹拌し、上記異方性Srフェライトに
表面処理を施した。
【0039】次いで、上記表面処理を施した異方性Sr
フェライトに、射出成形グレードの6ナイロン5.24
6kgを混合後、かみ合い型同方向回転2軸押出機(三
菱重工社製)で下記の条件により混練し、ペレタイズし
てペレット状の樹脂磁石組成物を調製した。得られた組
成物の密度はρは3.7g/cm3(3700kg/
3)であった。混練条件 押出機L/D=37 バレル直径D=φ0.045m エレメント総長l=0.21m 材料投入量Q=10kg/h(1.388×10-3kg
/sec) スクリュー回転数R=180rpm(3.0rpse
c) バレル設定温度:240℃ Т値=1334
【0040】得られたペレットにつき、実施例1と同様
にして、流れ性、曲げ強度及び磁力性能を評価したとこ
ろ、流れ性は2.87×10-3[ml/sec]、残留
密度Brは290.8mT、BHmaxは17.4kJ
/m3、曲げ強度は16.52[kgf/mm2]であっ
た。
【0041】このように、流動性、磁力特性及び強度に
優れた樹脂磁石組成物が得られた。
【0042】[比較例3]混練条件を下記の設定にした
こと以外は、実施例2と同様にしてペレット状の樹脂磁
石組成物を調製した。得られたペレットの密度ρは実施
例2と同様に3.7g/cm3(3700kg/m3)で
あった。混練条件 押出機L/D=37 バレル直径D=φ0.045m エレメント総長l=0.21m 材料投入量Q=45kg/h(1.25×10-2kg/
sec) スクリュー回転数R=180rpm(3rpsec) バレル設定温度:240℃ Т値=296
【0043】得られたペレットにつき、実施例1と同様
にして、流れ性、曲げ強度及び磁力性能を評価したとこ
ろ、流れ性は1.01×10-3[ml/sec]、残留
密度Brは286.6mT、BHmaxは16.32A
/m、曲げ強度は16.77[kgf/mm2]であっ
た。
【0044】このように、 このように、Т値が296
と小さい条件で混練を行った樹脂磁石組成物は、流動性
が低く、また得られる磁力も実施例2に比べて低くな
る。
フロントページの続き Fターム(参考) 4F070 AA54 AC14 AC15 AC53 AD06 AE21 FA03 FB06 FB08 FC06 4J002 BB031 BB041 BB061 BB071 BB121 BB201 BB211 BB221 BC031 CD001 CF061 CF071 CL011 CN011 DE096 DE116 FB146 FD010 FD206 GM00 GS00 5E040 AA03 AA19 AB04 AB09 BB04 HB14 HB17 HB19 NN04 NN17 5E062 CC02 CD02 CD05 CE02 CF01 CG01 CG07

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂バインダーと磁性粉とを2軸混練機
    かみ合い型同方向回転2軸押出機を用いて混練し、樹脂
    バインダーに磁性粉が混合分散してなる樹脂磁石組成物
    を調製する場合に、上記2軸混練機として、かみ合い型
    同方向回転2軸押出機を用いると共に、下記式(1)で
    表されるТ値が1000〜6000となる混練条件で混
    練操作を行うことを特徴とする樹脂磁石組成物の製造方
    法。 【数1】 (Rはスクリュー回転数[rpsec]、Dはバレル直
    径[m]、Qは材料投入量[kg/sec]、lは混練
    用エレメント総長[m]、ρは材料密度[kg/
    3])
  2. 【請求項2】 上記磁性粉の配合量が、得られる樹脂磁
    石組成物全体の55容量%以上である請求項1記載の樹
    脂磁石組成物の製造方法。
  3. 【請求項3】 上記磁性粉が、磁気異方性を有するフェ
    ライトである請求項1又は2記載の樹脂磁石組成物の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 上記磁性粉が、磁気異方性を有する希土
    類金属化合物である請求項1又は2記載の樹脂磁石組成
    物の製造方法。
  5. 【請求項5】 上記磁性粉が、Sm−Fe−N化合物で
    ある請求項4記載の樹脂磁石組成物の製造方法。
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