JP2001234995A - 摩擦ローラ式変速機 - Google Patents

摩擦ローラ式変速機

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JP2001234995A
JP2001234995A JP2000047538A JP2000047538A JP2001234995A JP 2001234995 A JP2001234995 A JP 2001234995A JP 2000047538 A JP2000047538 A JP 2000047538A JP 2000047538 A JP2000047538 A JP 2000047538A JP 2001234995 A JP2001234995 A JP 2001234995A
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outer ring
cylindrical surface
pivot
center
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JP2000047538A
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Ryoichi Otaki
大滝  亮一
Hiroyuki Ito
裕之 伊藤
Takashi Imanishi
尚 今西
Takashi Machida
尚 町田
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NSK Ltd
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NSK Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガイドローラとして機能する中間ローラのラ
ジアル方向に加わる大きな力に拘らず、この中間ローラ
を支持する為の枢軸7aの両端部を支持している部分が
塑性変形するのを防止する。そして、大きなトルク伝達
を行なう場合でも、所望の性能を発揮できる様にする。 【解決手段】 上記枢軸7aの両端部を、軽合金製の蓋
体2及び連結板8に、鋼製のブッシュ34、34を介し
て嵌合固定する。これら蓋体2及び連結板8とブッシュ
34、34との当接面積は広く、上記大きな力に拘ら
ず、当接部の面圧上昇は限られたものである。この為、
上記塑性変形を防止して、上記課題を解決できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、各種機械装置に
組み込んで、減速或は増速しつつ回転運動を伝達する摩
擦ローラ式変速機の改良に関し、大きなトルクの伝達を
行なう場合でも、構成各部材に有害な変形が生じる事を
防止して、長期間に亙り優れた伝達効率を維持できる構
造を実現するものである。
【0002】
【従来の技術】摩擦ローラ式変速機は、遊星歯車式等の
歯車式変速機に比べて、高速で運転した場合にも発生す
る騒音が小さい。この為、例えば摩擦ローラ式変速機を
電動モータの出力部に組み付けて減速機として使用し、
この電動モータの回転運動を減速すると共にトルクを増
大させる構造が、例えば特開平8−210455号公報
に記載されている。この公報等に記載された一般的な摩
擦ローラ式変速機は、各ローラの周面同士の当接圧を、
伝達すべきトルクの変動に拘らず、常に一定のままに保
持している。この為、伝達効率が必ずしも良好とは言え
ない。良好な伝達効率を確保する為には、伝達すべきト
ルクが小さい場合には上記当接圧を低くし、反対に伝達
すべきトルクが大きい場合には上記当接圧を高くする事
が考えられる。
【0003】この様に、伝達すべきトルクの大きさに応
じて、各ローラの周面同士の当接圧を変化させる構造と
して、米国特許第4709589号明細書には、図13
〜15に示す様な摩擦ローラ式変速機が記載されてい
る。この従来の摩擦変速機は、有底円筒状の本体1とこ
の本体1の基端開口部を塞ぐ蓋体2とから成る固定のハ
ウジング3内に中心ローラ4の内半部(図13の右半
部)を、上記蓋体2の略中央部に形成した通孔5を通じ
て挿入している。尚、この通孔5は、上記蓋体2の中心
から、少しだけ外れた位置に設けている。又、上記中心
ローラ4の外半部(図13の左半部)で上記蓋体2から
突出した部分には、第一の回転軸である入力軸6の端部
を結合固定している。
【0004】又、上記ハウジング3の内側で上記中心ロ
ーラ4の周囲部分には、3本の枢軸7a、7b、7c
を、それぞれこの中心ローラ4と平行に配置している。
即ち、これら各枢軸7a、7b、7cの一端部(図13
の左端部)を上記蓋体2に支持すると共に、他端部(図
13の右端部)を連結板8に支持している。尚、これら
3本の枢軸7a、7b、7cのうち、図14〜15の上
部中央に位置する1本の枢軸7aは、その両端部を上記
蓋体2及び連結板8に形成した嵌合孔に圧入固定してい
る。従って、この枢軸7aが、上記ハウジング3内で円
周方向或は直径方向に変位する事はない。
【0005】これに対して、図14〜15の下部左右両
側に位置する残り2本の枢軸7b、7cは、両端部を上
記蓋体2及び連結板8に対し、上記ハウジング3の円周
方向及び直径方向に亙る若干の変位自在に支持してい
る。この為に、上記蓋体2及び連結板8の一部で上記枢
軸7b、7cの両端部に整合する部分には、図15に示
す様に、上記両枢軸7b、7cの外径よりも大きな内径
を有する支持孔9、9を形成し、これら各支持孔9、9
に、上記両枢軸7b、7cの両端部を緩く係合させてい
る。そして、これら各枢軸7a、7b、7cの中間部周
囲に、それぞれが中間ローラであるガイドローラ10及
びウェッジローラ11a、11bを、それぞれラジアル
ニードル軸受12により、回転自在に支持している。
尚、上記連結板8は、上記蓋体2の内面(上記ガイドロ
ーラ10及びウェッジローラ11a、11bを設置した
空間側の面で、図13の右面)の一部で、上記ガイドロ
ーラ10及びウェッジローラ11a、11bから外れた
位置に突設した突部13、13に突き当て、連結ボルト
14、14により、上記蓋体2に連結固定している。
【0006】又、上記ハウジング3の内側で上記ガイド
ローラ10及びウェッジローラ11a、11bを囲む部
分には、円環状の外輪15を、回転自在に設けている。
この外輪15の内周面中央部は直径方向内方に突出させ
る事により、土手状の凸部16とし、この凸部16の内
周面を第二の円筒面17としている。そして、この第二
の円筒面17と、上記ガイドローラ10及びウェッジロ
ーラ11a、11bの外周面である第三の円筒面18、
18とを当接自在としている。又、上記外輪15には、
結合ブラケット19の外径側端部を外嵌固定し、この結
合ブラケット19の中心部に、第二の回転軸である出力
軸20の内端部を結合固定している。この出力軸20
は、前記ハウジング3を構成する本体1の中央部に形成
した第二の通孔21を回転自在に挿通して、このハウジ
ング3外に突出させている。
【0007】上記ガイドローラ10及びウェッジローラ
11a、11bの外周面である、上記各第三の円筒面1
8、18は、それぞれ前記中心ローラ4の外周面に設け
た第一の円筒面22と、上記外輪15の内周面に設けた
上記第二の円筒面17とに当接させている。上記中心ロ
ーラ4の中心と上記出力軸20及び外輪15の中心とは
互いに偏心している。即ち、前述の様に、上記中心ロー
ラ4を挿通する通孔5は、上記ハウジング3の中心から
少しだけ外れた位置に設けているのに対して、上記出力
軸20を挿通する第二の通孔21は、上記ハウジング3
の中心に設けている。又、この第二の通孔21の内側に
回転自在に支持した出力軸20と外輪15とは、互いに
同心である。従って、上記中心ローラ4と上記外輪15
及び出力軸20とは、上記通孔5のハウジング3の中心
からのずれ量δ(図13参照)分だけ、互いに偏心して
いる。そして、上記中心ローラ4の外周面に設けた上記
第一の円筒面22と上記外輪15に設けた上記第二の円
筒面17との間に存在して上記ガイドローラ10及びウ
ェッジローラ11a、11bが設けられた環状空間23
の幅寸法が、このδ分の偏心量に見合う分だけ、円周方
向に関して不同になっている。
【0008】この様に、上記環状空間23の幅寸法を円
周方向に関して不同にした分、上記ガイドローラ10及
びウェッジローラ11a、11bの外径を異ならせてい
る。即ち、上記外輪15に対し中心ローラ4が偏心して
いる側(図13〜15の下側)に位置するウェッジロー
ラ11a、11bの径を、互いに同じとすると共に比較
的小径にしている。これに対し、上記外輪15に対し中
心ローラ4が偏心しているのと反対側(図13〜15の
上側)に位置するガイドローラ10の径を、上記両ウェ
ッジローラ11a、11bよりも大きくしている。そし
て、これら3個の、それぞれが中間ローラであるガイド
ローラ10及びウェッジローラ11a、11bの外周面
である第三の円筒面18、18を、上記第一、第二の円
筒面22、17に当接させている。
【0009】尚、それぞれが中間ローラである、上記1
個のガイドローラ10及び2個のウェッジローラ11
a、11bのうち、ガイドローラ10を支持した枢軸7
aは、前述の様に、上記ハウジング3内に固定してい
る。これに対して、ウェッジローラ11a、11bを支
持した枢軸7b、7cは、やはり前述した様に上記ハウ
ジング3内に、円周方向及び直径方向に亙る若干の変位
を自在に支持している。従って、上記ウェッジローラ1
1a、11bも、上記ハウジング3内で円周方向及び直
径方向に亙り若干の変位自在である。そして、前記蓋体
2のシリンダ孔24、24内に装着した圧縮コイルばね
25、25等の弾性材により、上記各ウェッジローラ1
1a、11bを支持した枢軸7b、7cを、これら各枢
軸7b、7cに回転自在に支持したウェッジローラ11
a、11bを前記環状空間23の幅の狭い部分に向け移
動させるべく、弾性的に軽く押圧している。
【0010】上述の様に構成される従来構造の摩擦ロー
ラ式変速機の場合、入力軸6に結合した中心ローラ4の
回転は、この中心ローラ4の外周面である第一の円筒面
22と、ガイドローラ10及びウェッジローラ11a、
11bの外周面である第三の円筒面18、18との当接
部である、各内径側当接部26、26を介して、これら
ガイドローラ10及びウェッジローラ11a、11bに
伝わる。更に、これらガイドローラ10及びウェッジロ
ーラ11a、11bの回転は、上記各第三の円筒面1
8、18と前記外輪15の内周面に設けた第二の円筒面
17との当接部である、各外径側当接部27、27を介
して、この外輪15に伝わる。そして、この外輪15に
結合固定した前記出力軸20が回転する。
【0011】上記中心ローラ4が図14〜15の時計方
向(又は反時計方向)に、外輪15が同じく反時計方向
(又は時計方向)に、それぞれ回転すると、図14〜1
5の右側の枢軸7b(又は左側の枢軸7c)に回転自在
に支持したウェッジローラ11a(又は11b)が、上
記第一、第二の円筒面22、17同士の間に存在する環
状空間23内で、この環状空間23の幅の狭い部分(図
14〜15の下側中央部分)に向け移動する。この結
果、上記枢軸7b(又は7c)に回転自在に支持したウ
ェッジローラ11a(又は11b)の外周面である第三
の円筒面18が、上記第一の円筒面22と第二の円筒面
17とを強く押圧する。そして、当該ウェッジローラ1
1a(又は11b)に関する第三の円筒面18と上記第
一の円筒面22との当接部である内径側当接部26、及
び、当該ウェッジローラ11a(又は11b)に関する
第三の円筒面18と上記第二の円筒面17との当接部で
ある外径側当接部27の当接圧が高くなる。
【0012】上記1個のウェッジローラ11a(又は1
1b)に関する内径側、外径側両当接部26、27の当
接圧が高くなると、上記中心ローラ4と外輪15とのう
ちの少なくとも一方の部材が、組み付け隙間、或は弾性
変形等に基づき、それぞれの直径方向に亙り僅かに変位
する。この結果、残り2個の中間ローラである、ガイド
ローラ10及びウェッジローラ11b(又は11a)の
外周面である第三の円筒面18、18と上記中心ローラ
4の外周面である第一の円筒面22との当接部である2
個所の内径側当接部26、26、及びこれらウェッジロ
ーラ11b(又は11a)及びガイドローラ10の外周
面である第三の円筒面18、18と外輪15の内周面で
ある第二の円筒面17との当接部である2個所の外径側
当接部27、27の当接圧が高くなる。
【0013】上記1本の枢軸7b(又は7c)に回転自
在に支持したウェッジローラ11a(又は11b)を、
上記環状空間23内でこの環状空間23の幅の狭い部分
に向け移動させようとする力は、上記中心ローラ4から
上記外輪15に伝達するトルクの大きさに応じて変化す
る。即ち、上記中心ローラ4の駆動トルクが大きくなる
程、上記ウェッジローラ11a(又は11b)を上記環
状空間23の幅の狭い部分に向け移動させようとする力
が大きくなる。そして、この力が大きくなる程、上記各
内径側、外径側両当接部26、27の当接圧が大きくな
る。逆に言えば、上記駆動トルクが小さい場合には、こ
れら各内径側、外径側両当接部26、27の当接圧が小
さい。
【0014】又、特開平10−252852号公報に
は、図16〜17に示す様な摩擦ローラ式変速機が記載
されている。この従来構造の第2例の場合には、それぞ
れが中間ローラである、1個のガイドローラ10と2個
のウェッジローラ11a、11bとを各枢軸7a、7
b、7cの周囲に、それぞれ深溝型の玉軸受29、29
により、スラスト方向の変位を阻止した状態で、回転自
在に支持している。又、上記1個のガイドローラ10と
2個のウェッジローラ11a、11bとの外周面に螺旋
溝30、30を形成し、これら各螺旋溝30、30内に
潤滑油を取り込み自在としている。又、外輪15aは有
底円筒状とし、出力軸20に対し直接結合固定してい
る。
【0015】上述の様に構成する従来構造の第2例の摩
擦ローラ式変速機によれば、運転時に作用する遠心力に
拘らず、中心ローラ4aの外周面に設けた第一の円筒面
22と、上記1個のガイドローラ10及び2個のウェッ
ジローラ11a、11bの外周面に設けた第三の円筒面
18、18との接触部の近傍に十分な量の油を存在させ
る事ができる。
【0016】尚、上述した従来構造の2例は何れも、3
個の中間ローラのうち、1個の中間ローラのみをガイド
ローラ10とし、残り2個の中間ローラをウェッジロー
ラ11a、11bとした構造に就いて示した。但し、後
述する図19に示す様に、3個の中間ローラのうちの2
個の中間ローラをガイドローラ10a、10bとし、残
り1個の中間ローラのみをウェッジローラ11とする構
造も、従来から知られている。この様な構造を有する摩
擦ローラ式変速機の場合には、一方向の回転力のみを伝
達可能であり、逆方向の回転力に対しては内部で滑りが
発生して、この回転力を伝達しない。言い換えれば、回
転力の伝達を一方向のみ行なう、クラッチ機能を備え
る。更には、中間ローラを2個設け、このうちの一方の
中間ローラをガイドローラとし、他方の中間ローラをウ
ェッジローラとする構造も、従来から知られている。こ
の様な構造の場合も、一方向の回転力のみを伝達可能で
ある。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】上述の様に構成され作
用する、ウェッジローラを組み込んだ摩擦ローラ式変速
機は、伝達すべきトルクが小さい場合には特に問題を生
じないが、より大きなトルクを伝達しようとした場合
に、ガイドローラ10として機能する中間ローラを支持
している枢軸7a部分が損傷する事が、本発明者等の研
究により分かった。即ち、上述の様な摩擦ローラ式変速
機を従来は、電動補助自転車の様な、比較的小さなトル
クを伝達する部分にしか使用していなかった。この為、
摩擦ローラ式変速機の耐久性が上記枢軸7a部分も含
め、特に問題となる様な事はなかった。これに対して、
近年、上述の様な摩擦ローラ式変速機を、自動車用補機
の回転伝達部等、比較的大きなトルクを伝達する部分に
組み込む事が検討されている。
【0018】ところが、上述の様な摩擦ローラ式変速機
により大きなトルクの伝達を行なうと、上記ガイドロー
ラ10として機能する中間ローラを支持している枢軸7
aに大きなラジアル荷重が加わり、この枢軸7aの両端
を支持している部分が損傷する。即ち、ウェッジローラ
11a、11bとして機能する中間ローラは、元々ハウ
ジング3内に変位自在に支持している為、上記各ウェッ
ジローラ11a、11bに加わるラジアル荷重が、これ
ら各ウェッジローラ11a、11bを支持している枢軸
7b、7cの両端支持部に加わる事はない。これに対し
て、上記ガイドローラ10として機能する中間ローラを
支持している枢軸7aには、このガイドローラ10に加
わるラジアル荷重がほぼそのまま加わる。
【0019】一方、このガイドローラ10に加わるラジ
アル荷重として従来は、このガイドローラ10の外周面
である第三の円筒面18に関する内径側、外径側両当接
部26、27部分で生じる接線力のみを考慮していた。
即ち、摩擦ローラ式変速機の運転時にこれら両当接部2
6、27では、上記第三の円筒面18と第一、第二の円
筒面22、17との間での回転力伝達に伴って、上記両
当接部26、27部分に於ける上記第三の円筒面18の
接線方向の力が加わる。そして、この力が、上記ガイド
ローラ10を介して上記枢軸7aに、ラジアル荷重とし
て加わる。但し、この様にして枢軸7aに加わるラジア
ル荷重は、上記各ウェッジローラ11a、11bに関す
る第三の円筒面18が上記第一、第二の円筒面22、1
7を押圧する力の1/10以下である。従って、上記枢
軸7aに加わるラジアル荷重が、上記接線方向の力によ
るものだけであれば、摩擦ローラ式変速機を、自動車用
補機の回転伝達部等、比較的大きなトルクを伝達する部
分に組み込んだ場合でも、上記枢軸7a部分が損傷する
事はないものと考えられる。
【0020】ところが、本発明者等が、上記摩擦ローラ
式変速機で大きなトルクを伝達したところ、上記枢軸7
aの両端部を支持固定している部分に、図18に示す様
な塑性変形が生じた。即ち、この枢軸7aの両端部は前
述した通り、ハウジング3を構成する蓋体2と連結板8
とに掛け渡す様にして、このハウジング3内に支持固定
している。一方、これら蓋体2及び連結板8、特に容積
が大きな蓋体2は、軽量化の為にアルミニウム合金等の
軽金属により造っている。そして、上記蓋体2及び連結
板8に互いに同心に形成した円孔31、31に、上記枢
軸7aの両端部を圧入固定している。ところが、軽合金
は塑性変形しやすいので、この枢軸7aに大きなラジア
ル荷重が加わると、図18に示す様に上記円孔31、3
1が塑性変形し、上記枢軸7aの両端部がこれら各円孔
31、31内でがたつき、上記ガイドローラ10が所定
位置からずれ動いてしまう。
【0021】この様にガイドローラ10が正規位置から
ずれ動いた状態では、摩擦ローラ式変速機に所望の性能
を発揮させる事ができない。即ち、前記各ウェッジロー
ラ11a、11bが環状空間23の幅が狭い側に変位し
ても、これら各ウェッジローラ11a、11b及び上記
ガイドローラ10に関する第三の円筒面18と、前記第
一、第二の円筒面22、17との当接圧を十分に上昇さ
せられず、前記内径側、外径側各当接部26、27で滑
りが生じ、トルクの伝達効率が著しく悪化する可能性が
ある。或は、ウェッジローラを1個のみ設ける構造の場
合に、環状空間の狭い側に変位したウェッジローラが、
そのままの位置に固定され、この環状空間の広い側に変
位できなくなって、動力の伝達を断てなくなる可能性も
ある。
【0022】この様な事情に鑑みて本発明者等は、上記
各円孔31、31の塑性変形に結び付く様な大きなラジ
アル荷重が上記ガイドローラ10に加わる理由に就いて
知るべく、このガイドローラ10に加わる力に就いて、
図19に示す様な条件の下で解析した。この図19に示
した構造は、前述した通り、3個の中間ローラのうちの
2個の中間ローラをガイドローラ10a、10bとし、
残り1個の中間ローラのみをウェッジローラ11として
いる。
【0023】この図19に示した様な摩擦ローラ式変速
機で、中心ローラ4と外輪15との間でトルク伝達を行
ない、上記ウェッジローラ11に関する内径側、外径側
両当接部26、27に、F1 なるラジアル方向の力が加
わった場合に就いて説明する。尚、上記摩擦ローラ式変
速機を自動車用補機の回転伝達部に組み込んだ場合、上
記ラジアル方向の力F1 は、9.8×103 N(100
0kgf )程度になる。この様な条件で、上記各ガイドロ
ーラ10a、10bに関する内径側、外径側両当接部2
6、27でラジアル方向に加わる力F2 、F2 ´、F
3 、F3 ´、及び、上記各ガイドローラ10a、10b
を支承する枢軸7a、7bに加わるラジアル方向の力F
4 、F5 を、上記F1 との関係で算出したところ、次の
様な結果を得られた。 F2 =0.9665F12 ´=0.9461F13 =0.8626F13 ´=1.0892F14 =0.2534F15 =0.2676F1
【0024】この様な計算結果から明らかな通り、上記
各ガイドローラ10a、10bを支持する枢軸7a、7
bには、前記接線方向の力だけではなく、上記各ガイド
ローラ10a、10bの設置位置の僅かなずれに基づく
力が、無視しない程度に加わる。即ち、上記ガイドロー
ラ10aに関する内径側、外径側両当接部26、27で
ラジアル方向に加わる力F2 、F2 ´の作用方向は同一
直線上に存在しない。従って、これら両力F2 、F2 ´
の合力F4 が、上記した通り、上記力F1 の1/4程度
の力として、上記枢軸7aのラジアル方向に発生する。
同様に、上記ガイドローラ10bを支持する枢軸7bに
も、上記両力F3 、F3 ´の合力F5 が、ラジアル方向
に加わる。この様にして上記各枢軸7a、7bに加わる
力F4 、F5 は、前記摩擦ローラ式変速機を自動車用補
機の回転伝達部に組み込んだ場合には2.45×103
N(250kgf )程度にもなる為、上記各枢軸7a、7
bの両端部を内嵌固定すべき円孔31、31を形成した
蓋体2及び連結板8が軽合金であった場合には、前述の
図18に示す様な塑性変形が生じる。
【0025】ウェッジローラを組み込んだ摩擦ローラ式
変速機には、前述した米国特許第4709589号明細
書、特開平10−252852号公報に記載されたもの
の他、特開平10−281248号公報、同10−28
1250号公報、同11−2299号公報、同11−2
300号公報等に記載されたものが知られているが、何
れも、同様の問題を有する。本発明は、この様な事情に
鑑みて、上記各ガイドローラ10a、10bを支持する
枢軸7a、7b(前述した図13〜17に示した構造の
場合には、ガイドローラ10を支持する枢軸7a)のラ
ジアル方向に作用する力に拘らず、これら各枢軸7a、
7bの両端支持部の損傷を防止できる構造を実現すべく
発明したものである。
【0026】
【課題を解決するための手段】本発明の摩擦ローラ式変
速機は何れも、前述した従来から知られている摩擦ロー
ラ式変速機と同様に、ハウジングと、このハウジングに
対し回転自在に支持された第一の回転軸と、この第一の
回転軸の端部にこの第一の回転軸と同心に且つ回転力の
伝達自在に結合され、外周面を第一の円筒面とした中心
ローラと、内周面を第二の円筒面としてこの中心ローラ
の周囲に、この中心ローラに対する相対回転を自在に設
けた外輪と、この外輪と同心で一端部をこの外輪に回転
力の伝達自在に結合すると共に上記ハウジングに対し回
転自在に支持した第二の回転軸と、上記第一の円筒面と
上記第二の円筒面との間の環状空間内に、上記第一の回
転軸と平行に配置された複数本の枢軸と、これら各枢軸
により回転自在に支持され、それぞれの外周面を第三の
円筒面とした複数個の中間ローラとを備える。そして、
上記第一の回転軸の中心と上記第二の回転軸及び外輪の
中心とを偏心させる事により、上記環状空間の幅寸法を
円周方向に関して不同にし、上記複数個の中間ローラの
うちの少なくとも1個の中間ローラを、少なくとも上記
環状空間の円周方向に変位自在に支持してウェッジロー
ラとする共に、残りの中間ローラをガイドローラとする
事により、上記第一の回転軸及び外輪が所定方向に回転
した場合に、上記ウェッジローラとなる少なくとも1個
の中間ローラを、上記環状空間の幅の狭い部分に向け移
動自在としている。
【0027】特に、請求項1に記載した摩擦ローラ式変
速機に於いては、この摩擦ローラ式変速機に最大定格ト
ルクを入力し、上記中心ローラと上記外輪と上記各中間
ローラとに最大荷重が負荷された状態で、上記ガイドロ
ーラとなる中間ローラを枢支する為の枢軸の上記ハウジ
ングに対する変位量が、このハウジングに対する上記第
一、第二の回転軸の変位量よりも少ない。尚、この場合
の変位量とは、構成各部材の弾性変形に基づくものと、
何れかの部材が塑性変形した場合には、この塑性変形に
基づくものとの合計である。この為に例えば、次の〜
に記載した何れかの構造を採用する。 枢軸の両端部を支持する1対の部材に、この枢軸の
両端部よりも大径の支持孔を形成する。そして、これら
各支持孔に、鋼製で中心部に円孔を形成したブッシュを
圧入固定する。更に、上記枢軸の両端部を、これら両ブ
ッシュの円孔に圧入固定する。 枢軸の一端部に大径の鍔部を形成すると共に、この
枢軸の両端部を支持する1対の部材のうちの一方の部材
に形成した第一の支持孔に上記鍔部を圧入固定する。一
方、上記1対の部材のうちの他方の部材に形成した、上
記枢軸の他端部よりも大径の第二の支持孔に、鋼製で中
心部に円孔を形成したブッシュを圧入固定する。更に、
上記枢軸の他端部を、このブッシュの円孔に圧入固定す
る。 枢軸の両端部を支持する1対の部材のうち、容積が
小さい一方の部材を鋼製とし、この一方の部材に形成し
た円孔に上記枢軸の一端部を圧入固定する。又、容積が
大きい他方の部材に上記枢軸の他端部よりも大径の支持
孔を形成し、この支持孔に、鋼製で中心部に第二の円孔
を形成したブッシュを圧入固定する。更に、上記枢軸の
他端部を、この第二の円孔に圧入固定する。
【0028】更に、請求項2に記載した摩擦ローラ式変
速機に於いては、上記中心ローラ及び上記外輪のラジア
ル方向の変位に繋がる第一のラジアル隙間を、上記ガイ
ドローラとなる中間ローラのラジアル方向の変位に繋が
る第二のラジアル隙間よりも大きくしている。この為に
例えば、次の〜に記載した何れかの構造を採用す
る。 外輪の一端部に形成した底板部の中心部にスプライ
ン孔を形成し、このスプライン孔と、第二の回転軸の一
端部に設けた雄スプライン部とを、ラジアル方向に関す
る若干の変位自在にスプライン係合させる。 外輪を単なる円筒状に形成すると共に、第二の回転
軸の一端部に外向フランジ状の鍔部を形成する。そし
て、この鍔部の外周縁に形成した雄スプラインと、上記
外輪の端部内周面に形成した雌スプライン部とを、ラジ
アル方向に関する若干の変位自在にスプライン係合させ
る。 第一の回転軸と中心ローラとの結合部に、ラジアル
方向に関する若干の変位を許容するスプライン係合部を
設ける。尚、本明細書で言うスプラインの語には、ピッ
チが細かく、一般的にセレーションと呼ばれているもの
も含む。又、上記各部をトルク伝達及びラジアル方向の
変位自在に組み合わせる構造として、スプライン係合に
代えて、キー係合、ドグクラッチ、爪形状による噛み合
い構造等を採用する事もできる。
【0029】
【作用】上述の様に構成する本発明の摩擦ローラ式変速
機のうち、請求項1に記載した摩擦ローラ式変速機の場
合には、ガイドローラとなる中間ローラを枢支する為の
枢軸の変位量を少なくした事に伴い、この枢軸のラジア
ル方向に大きな力が加わった場合でも、この枢軸の両端
を支持した部分に、この枢軸のがたつきに結び付く様な
塑性変形等が生じなくなる。又、請求項2に記載した摩
擦ローラ式変速機の場合には、中心ローラ及び外輪がラ
ジアル方向に変位する事で、ガイドローラとなる中間ロ
ーラを支持した枢軸に、この枢軸のラジアル方向の大き
な力が加わる事がなくなる。この為、何れの摩擦ローラ
式変速機の場合でも、ガイドローラとなる中間ローラを
支持する枢軸の両端支持部の損傷を防止できる。
【0030】
【発明の実施の形態】図1〜2は、請求項1に対応す
る、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、請
求項1に係る発明の特徴は、ガイドローラとなる中間ロ
ーラを枢支する為の枢軸のがたつきに結び付く様な塑性
変形を防止する為の構造にある。その他の部分の構成及
び作用は、前述の図13〜19に示した構造等、前述し
た各公報に記載される等により従来から知られている、
ウェッジローラを有する摩擦ローラ式変速機と同様であ
るから、重複する図示並びに説明は省略し、以下、本発
明の特徴部分を中心に説明する。
【0031】その軸方向中間部にガイドローラ10、1
0a、10bである中間ローラを、ラジアルニードル軸
受12又は玉軸受29により(図13〜19参照。図1
には省略。)回転自在に支持する枢軸7aの両端部は、
請求項に記載した1対の部材である蓋体2と連結板8と
に、これら両部材2、8同士の間に掛け渡す様にして支
持固定している。本例の場合には、上記蓋体2及び連結
板8を、何れもアルミニウム合金等の軽合金により造っ
ている。
【0032】そして、上記蓋体2及び連結板8の互いに
整合する位置には、上記枢軸7aの両端部よりも大径の
支持孔32、33を形成している。このうち、蓋体2に
形成した支持孔32は、この蓋体2を含んで構成するハ
ウジング3の内面側にのみ開口する、有底の円孔として
いる。これに対して、上記連結板8側に形成する支持孔
33は、この連結板8の両側面同士を連通させる、円形
の貫通孔としている。そして、上記各支持孔32、33
に、鋼製で中心部に円孔35を形成した円輪状のブッシ
ュ34、34を圧入固定している。更に、上記枢軸7a
の両端部を、これら両ブッシュ34、34の中心部に形
成した、上記円孔35に圧入固定している。
【0033】尚、これら両ブッシュ34、34の中心部
に形成した円孔35を互いに厳密に同心にする為に、こ
れら両ブッシュ34、34の中心部に円孔35を形成す
る作業は、これら両ブッシュ34、34を上記各支持孔
32、33内に圧入固定した後に行なう。即ち、図2に
示す様に、これら各支持孔32、33内に上記各ブッシ
ュ34、34を圧入固定し、更に上記蓋体2と上記連結
板8とを結合固定した後に、ドリル刃等の工具36によ
り、上記円孔35、35を形成する。尚、この加工作業
を容易にする為、上記各ブッシュ34、34の中心部
に、上記円孔35、35よりも小径の下孔を形成してお
いても良い。又、上記各ブッシュ34、34を構成する
鋼には、調質或は焼き入れにより、十分に大きな硬度を
持たせている。
【0034】上述の様に構成する本発明の摩擦ローラ式
変速機の場合には、前記ガイドローラ10、10a、1
0bである中間ローラを枢支する為の枢軸7aの変位量
を少なくできる。即ち、この枢軸7aの両端部そのもの
が内嵌固定されている上記各円孔35、35を形成した
上記各ブッシュ34、34は、鋼製で硬度が大きく、塑
性変形しにくい。従って、上記摩擦ローラ式変速機の運
転時に、前述の図19で説明した様な機構で、上記枢軸
7aにラジアル方向の大きな力が作用しても、上記各円
孔35、35が、その内径を広げる方向に塑性変形する
事はない。
【0035】又、上記各ブッシュ34、34の外径は上
記枢軸7aの外径よりも遥かに大きく、従って、これら
各ブッシュ34、34の外周面と前記各支持孔32、3
3の内周面との接触面積は十分に広い。従って、上記枢
軸7aから上記各ブッシュ34、34に伝わる、ラジア
ル方向の大きな力に拘らず、上記両周面同士の当接部の
面圧の上昇は十分に抑えられる。従って、何れも軽合金
により造られた、前記蓋体2及び連結板8に形成した支
持孔32、33の内周面が、これら各支持孔32、33
の内径を広げる方向に塑性変形する事はない。
【0036】この様に、上記枢軸7aに加わる、ラジア
ル方向の大きな力に拘らず、この枢軸7aの両端部がラ
ジアル方向に変位する事を許容する様な塑性変形が、上
記各円孔35、35や上記各支持孔32、33の内周面
に発生する事はない。言い換えれば、上記枢軸7aの前
記ハウジング3に対する変位量が、このハウジング3に
対する入力軸6及び出力軸20(図13、16参照)の
変位量よりも少ない。この為、摩擦ローラ式変速機に最
大定格トルクを入力し、中心ローラ4、4aと外輪1
5、15aとそれぞれが中間ローラであるガイドローラ
10、10a、10b及びウェッジローラ11、11
a、11bとに(図13〜19参照)最大荷重が負荷さ
れ、上記枢軸7aのラジアル方向に大きな力が加わった
場合でも、この枢軸7aの両端を支持した部分に、この
枢軸7aのがたつきに結び付く様な塑性変形等が生じな
くなる。即ち、この枢軸7aの両端を支持した部分が塑
性変形する以前に、上記入力軸6と出力軸20との少な
くとも一方が変位して上記力を逃がし、上記塑性変形を
防止する。
【0037】次に、図3は、やはり請求項1に対応す
る、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の
場合には、枢軸7aの一端部(図3の右端部)に外向フ
ランジ状の鍔部37を形成し、この鍔部37を、連結板
8に固定したブッシュ34の片面に密接させている。こ
の様な本例の構造の場合には、摩擦ローラ式変速機の運
転時に上記枢軸7aのラジアル方向に加わる大きな力に
拘らず、この枢軸7aが傾斜する事を有効に防止でき
る。その他の構成及び作用は、上述した第1例の場合と
同様である。
【0038】次に、図4は、やはり請求項1に対応す
る、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の
場合には、枢軸7a´の一端部(図3の左端部)に大径
の鍔部40を形成している。そして、この枢軸7a´の
両端部を支持する1対の部材であり、それぞれが軽合金
により造られた蓋体2及び連結板8のうち、一方の部材
である蓋体2の内面に形成した、有底の円孔である第一
の支持孔38に、上記鍔部40を圧入固定している。
【0039】一方、上記1対の部材のうちの他方の部材
である連結板8に、上記枢軸7a´の他端部(図3の右
端部)よりも大径の第二の支持孔39を、上記連結板8
の両側面同士を連通させる貫通孔として形成している。
そして、上記第二の支持孔39に、上述した第1例の場
合と同様に、鋼製で中心部に円孔35を形成したブッシ
ュ34を圧入固定している。更に、上記枢軸7a´の他
端部を、このブッシュ34の円孔35に圧入固定してい
る。その他の構成及び作用は、前述した第1例の場合と
同様である。
【0040】次に、図5は、やはり請求項1に対応す
る、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例の
場合には、枢軸7aの両端部を支持する1対の部材であ
る蓋体2と連結板8とのうち、容積が小さい一方の部材
である連結板8を鋼製としている。そして、この連結板
8に形成した円孔35aに、上記枢軸7aの一端部(図
5の右端部)を圧入固定している。上記連結板8を構成
する鋼には、調質或は焼き入れにより、十分に大きな硬
度を持たせている。又、容積が大きい他方の部材である
上記蓋体2に、上記枢軸7aの他端部(図5の左端部)
よりも大径の支持孔41を形成している。そして、この
支持孔41に、鋼製で中心部に第二の円孔42を形成し
たブッシュ34aを圧入固定している。更に、上記枢軸
7aの他端部を、上記第二の円孔42に圧入固定してい
る。
【0041】尚、図示の例では、上記支持孔41の内周
面と上記ブッシュ34aの外周面との間にシールリング
43を挟持して、これら両周面同士の間をシールしてい
る。但し、これら両周面同士の間のシールを圧入によっ
て十分に図れる場合には、上記シールリング43を省略
しても良い。又、上記枢軸7aの他端部に形成した鍔部
44の片面を上記ブッシュ34aの外面に当接させて、
この枢軸7aの位置決めを図っている。その他の構成及
び作用は、前述した第1例の場合と同様である。
【0042】次に、図6は、請求項2に対応する、本発
明の実施の形態の第5例を示している。本例の場合に
は、外輪15bの一端部(図6の左端部)に形成した底
板部45の中心部に、スプライン孔46を形成してい
る。そして、このスプライン孔46と、第二の回転軸で
ある出力軸20aの一端部(図6の右端部)に設けた雄
スプライン部47とをスプライン係合させている。尚、
この雄スプライン部47と上記スプライン孔46とのス
プライン係合は緩めとして、上記外輪15bと上記出力
軸20aとを、ラジアル方向に関する若干の変位自在に
結合している。又、図示は省略するが、第一の回転軸で
ある入力軸と中心ローラとの結合部にも、これら入力軸
と中心ローラとのラジアル方向に関する若干の変位を許
容するスプライン係合部を設けている。
【0043】上述の様に構成する本例の摩擦ローラ式変
速機の場合には、上記中心ローラ及び外輪15bがラジ
アル方向に変位する事で、ガイドローラとなる中間ロー
ラを支持した枢軸に、この枢軸のラジアル方向の大きな
力が加わる事がなくなる。即ち、上記中心ローラ及び外
輪15bをラジアル方向に変位し易くする事により、摩
擦ローラ式変速機の運転に伴って図示しないウェッジロ
ーラが上記中心ローラ及び外輪15bを強く押圧した場
合に、これら中心ローラ及び外輪15bが適宜ラジアル
方向に変位する。そして、上記ウェッジローラ及びガイ
ドローラを含む、総ての中間ローラで上記中心ローラの
外周面と外輪15aとの間に加わる力を釣り合わせる傾
向になる。この為、ガイドローラとなる中間ローラを支
持する枢軸に加わるラジアル方向の力が低減されて、こ
の枢軸の両端支持部の損傷を防止できる。
【0044】次に、図7は、やはり請求項2に対応す
る、本発明の実施の形態の第6例を示している。本例の
場合には、外輪15cを単なる円筒状に形成している。
又、第二の回転軸である出力軸20bの一端部(図7の
右端部)に、外向フランジ状の鍔部48を形成してい
る。そして、この鍔部48の外周縁に形成した雄スプラ
イン49と、上記外輪15cの端部内周面に形成した雌
スプライン部50とを、ラジアル方向に関する若干の変
位自在にスプライン係合させている。
【0045】上述の様に構成する本例の場合には、上記
外輪15cを単なる円筒状に形成した事に伴い、この外
輪15cの加工が容易になる他、摩擦ローラ式変速機の
運転時に、この外輪15cに有害な弾性変形が生じる事
を防止できる。即ち、この外輪15cの内周面である第
二の円筒面17は、動力伝達の為の平滑な円筒面とすべ
く、仕上研削加工を施す必要がある。上記外輪15c
が、底板部を持たず、両端が開口した円筒形であると、
この研削加工を容易に行なえる。又、上記摩擦ローラ式
変速機の運転時に上記第二の円筒面17には、径方向外
方に向いた大きなラジアル方向の力が加わる。図20
(A)に示す様な、底板部45により一端が塞がれた外
輪15aの場合には、上記力に基づいてこの外輪15a
が、同図(B)に誇張して示す様に弾性変形し、上記第
二の円筒面17と、中間ローラの外周面である第三の円
筒面との当接状態が、軸方向に亙って不均一になる可能
性がある。これに対して本例の外輪15cの場合には、
この様な当接状態を悪化させる様な弾性変形を生じな
い。その他の構成及び作用は、前述した第5例の場合と
同様である。
【0046】次に、図8〜9は、請求項1〜2に対応す
る、本発明の実施の形態の第7例を示している。本例
は、電動モータ51の出力回転軸を中心ローラ4bと
し、この中心ローラ4bの回転を減速してから、出力軸
20cに伝達自在としている。この様な本例の場合、請
求項1に対応する構成として、円板状の連結板8a及び
ハウジング3aの蓋体2aを、鋼製としている。そし
て、これら連結板8a及び蓋体2aの互いに整合する位
置に形成した円孔35b、35bに、ガイドローラ10
を支持する枢軸7aの両端部を圧入固定している。尚、
上記蓋体2aは、上記電動モータ51を構成するケーシ
ングの端板も兼ねている。この様な構成の連結板8a及
び蓋体2aは、調質したり、部分焼き入れ(例えば上記
各円孔35、35の周縁部のみを高周波焼き入れする)
したりする事で、荷重が加わった状態での、上記枢軸7
aの両端部の変位量を少なくしている。
【0047】又、上記連結板8aと蓋体2aとは、この
蓋体2a側に形成した通孔52を挿通した連結ボルト1
4の先端部を、上記連結板8a側に形成したねじ孔53
に螺合し更に緊締する事により、互いに連結固定してい
る。この様に、互いに結合固定する1対の部材8a、2
aのうち、厚肉の部材2aに通孔52を、薄肉の部材8
aにねじ孔53を、それぞれ形成する事により、上記連
結ボルト14を緩みにくくできる事が、経験上知られて
いる。尚、上述の様に蓋体2aと連結板8aとを連結固
定すると共に、上記ガイドローラ10を含む中間ローラ
をこれら両部材2a、8a同士の間に組み込んで、図9
に示す様なユニットを構成した状態で、このユニットの
径方向外方から、ダイヤルゲージ等の測定器を挿入し
て、上記枢軸7aの倒れや中間ローラの平行度、垂直度
等を測定し、これらが適正な場合に、図8に示す様な摩
擦ローラ式変速機に組み込む。
【0048】又、本例の場合、請求項2に対応する構成
として、上記出力軸20cの基端部(図8の右端部)に
形成した鍔部48の外周縁部複数個所に、径方向外方に
突出する状態で形成した爪片54、54を、円筒状に形
成した外輪15dの端部に形成した切り欠き55、55
に係合させている。そして、この外輪15dの端部内周
面に係止した止め輪56により、上記各爪片54、54
が上記各切り欠き55、55から抜け出るのを防止して
いる。
【0049】尚、請求項2に対応する発明を実施する場
合に、入力軸等の第一の回転軸と中心ローラ、及び出力
軸等の第二の回転軸と外輪は、例えば図10〜11に示
す様な凹凸係合、或はスプライン係合により、回転力の
伝達及びラジアル方向に関する若干の変位自在に結合す
る。図10〜11に示した例では、中心ローラ4の基端
面(図10の右端面)に直径方向に亙って凹溝57を形
成すると共に、この中心ローラ4を回転駆動する為の入
力軸6の先端面(図10の左端面)に直径方向に亙って
突条58を形成している。そして、この突条58を上記
凹溝57に、緩く係合させている。これら凹溝57及び
突条58を形成する面は、図示の場合と逆でも良い。
又、図12に示す様に、中心ローラ4の基端面に、直径
方向に長い小判形の凹孔59を形成すると共に、入力軸
の先端面にこの凹孔59と相似形でこの凹孔59に緩く
係合する突片を形成する事もできる。又、図示は省略す
るが、上記中心ローラと上記入力軸との結合部に、緩い
セレーション係合部を設ける事もできる。更に、上記第
二の回転軸の中間部にも、同様の係合部を設ける。
【0050】
【発明の効果】本発明は、以上に述べた通り構成され作
用するので、重量の増大を最小限に抑えつつ、ガイドロ
ーラとして機能する中間ローラを支持する枢軸の両端支
持部の損傷を防止して、優れた耐久性を有し、大きなト
ルクの伝達を行なう場合でも、長期間に亙って所望の性
能を発揮できる摩擦ローラ式変速機を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の第1例を示す部分断面
図。
【図2】円孔を形成する状態を示す部分断面図。
【図3】本発明の実施の形態の第2例を示す部分断面
図。
【図4】同第3例を示す部分断面図。
【図5】同第4例を示す部分断面図。
【図6】同第5例を示す部分断面図。
【図7】同第6例を示す部分断面図。
【図8】同第7例を示す断面図。
【図9】組み立て途中のユニットを示す断面図。
【図10】中心ローラと入力軸との係合部の第1例を示
す側面図。
【図11】中心ローラの基端面を図10の右方から見た
図。
【図12】中心ローラと入力軸との係合部の第2例を示
す、図11と同様の図。
【図13】従来構造の第1例を示す断面図。
【図14】図13のイ−イ断面図。
【図15】同ロ−ロ断面図。
【図16】従来構造の第2例を示す、図17のハ−ハ断
面図。
【図17】図16のニ−ニ断面図。
【図18】ガイドローラを支持する枢軸の両端部の支持
部が塑性変形した状態を示す、図13のホ部に相当する
図。
【図19】ガイドローラを支持する枢軸に大きな力が加
わる理由を説明する為の、摩擦ローラ式変速機の模式
図。
【図20】大きな力に基づいて外輪が弾性変形する状態
を説明する為の略断面図。
【符号の説明】
1 本体 2、2a 蓋体 3、3a ハウジング 4、4a、4b 中心ローラ 5 通孔 6 入力軸 7a、7b、7c、7a´ 枢軸 8、8a 連結板 9 支持孔 10、10a、10b ガイドローラ 11、11a、11b ウェッジローラ 12 ラジアルニードル軸受 13 突部 14 連結ボルト 15、15a、15b、15c、15d 外輪 16 凸部 17 第二の円筒面 18 第三の円筒面 19 結合ブラケット 20、20a、20b、20c 出力軸 21 第二の通孔 22 第一の円筒面 23 環状空間 24 シリンダ孔 25 圧縮コイルばね 26 内径側当接部 27 外径側当接部 29 玉軸受 30 螺施溝 31 円孔 32 支持孔 33 支持孔 34、34a ブッシュ 35、35a、35b 円孔 36 工具 37 鍔部 38 第一の支持孔 39 第二の支持孔 40 鍔部 41 支持孔 42 第二の円孔 43 シールリング 44 鍔部 45 底板部 46 スプライン孔 47 雄スプライン部 48 鍔部 49 雄スプライン 50 雌スプライン部 51 電動モータ 52 通孔 53 ねじ孔 54 舌片 55 切り欠き 56 止め輪 57 凹溝 58 凸条 59 凹孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 今西 尚 神奈川県藤沢市鵠沼神明一丁目5番50号 日本精工株式会社内 (72)発明者 町田 尚 神奈川県藤沢市鵠沼神明一丁目5番50号 日本精工株式会社内 Fターム(参考) 3J051 AA01 BA03 BB08 BC03 BD02 BE03 EC01 3J103 AA02 BA43 CA26 CA62 DA05 FA12 GA02 GA52

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハウジングと、このハウジングに対し回
    転自在に支持された第一の回転軸と、この第一の回転軸
    の端部にこの第一の回転軸と同心に且つ回転力の伝達自
    在に結合され、外周面を第一の円筒面とした中心ローラ
    と、内周面を第二の円筒面としてこの中心ローラの周囲
    に、この中心ローラに対する相対回転を自在に設けた外
    輪と、この外輪と同心で一端部をこの外輪に回転力の伝
    達自在に結合すると共に上記ハウジングに対し回転自在
    に支持した第二の回転軸と、上記第一の円筒面と上記第
    二の円筒面との間の環状空間内に、上記第一の回転軸と
    平行に配置された複数本の枢軸と、これら各枢軸により
    回転自在に支持され、それぞれの外周面を第三の円筒面
    とした複数個の中間ローラとを備え、上記第一の回転軸
    の中心と上記第二の回転軸及び外輪の中心とを偏心させ
    る事により、上記環状空間の幅寸法を円周方向に関して
    不同にし、上記複数個の中間ローラのうちの少なくとも
    1個の中間ローラを、少なくとも上記環状空間の円周方
    向に変位自在に支持してウェッジローラとする共に、残
    りの中間ローラをガイドローラとする事により、上記第
    一の回転軸及び外輪が所定方向に回転した場合に、上記
    ウェッジローラとなる少なくとも1個の中間ローラを、
    上記環状空間の幅の狭い部分に向け移動自在とした摩擦
    ローラ式変速機に於いて、この摩擦ローラ式変速機に最
    大定格トルクを入力し、上記中心ローラと上記外輪と上
    記各中間ローラとに最大荷重が負荷された状態で、上記
    ガイドローラとなる中間ローラを枢支する為の枢軸の上
    記ハウジングに対する変位量が、このハウジングに対す
    る上記第一、第二の回転軸の変位量よりも少ない事を特
    徴とする摩擦ローラ式変速機。
  2. 【請求項2】 ハウジングと、このハウジングに対し回
    転自在に支持された第一の回転軸と、この第一の回転軸
    の端部にこの第一の回転軸と同心に且つ回転力の伝達自
    在に結合され、外周面を第一の円筒面とした中心ローラ
    と、内周面を第二の円筒面としてこの中心ローラの周囲
    に、この中心ローラに対する相対回転を自在に設けた外
    輪と、この外輪と同心で一端部をこの外輪に回転力の伝
    達自在に結合すると共に上記ハウジングに対し回転自在
    に支持した第二の回転軸と、上記第一の円筒面と上記第
    二の円筒面との間の環状空間内に、上記第一の回転軸と
    平行に配置された複数本の枢軸と、これら各枢軸により
    回転自在に支持され、それぞれの外周面を第三の円筒面
    とした複数個の中間ローラとを備え、上記第一の回転軸
    の中心と上記第二の回転軸及び外輪の中心とを偏心させ
    る事により、上記環状空間の幅寸法を円周方向に関して
    不同にし、上記複数個の中間ローラのうちの少なくとも
    1個の中間ローラを、少なくとも上記環状空間の円周方
    向に変位自在に支持してウェッジローラとする共に、残
    りの中間ローラをガイドローラとする事により、上記第
    一の回転軸及び外輪が所定方向に回転した場合に、上記
    ウェッジローラとなる少なくとも1個の中間ローラを、
    上記環状空間の幅の狭い部分に向け移動自在とした摩擦
    ローラ式変速機に於いて、上記中心ローラのラジアル方
    向の変位に繋がる第一のラジアル隙間及び上記外輪のラ
    ジアル方向の変位に繋がる第二のラジアル隙間を、上記
    ガイドローラとなる中間ローラのラジアル方向の変位に
    繋がる第三のラジアル隙間よりも大きくした事を特徴と
    する摩擦ローラ式変速機。
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