JP2001336592A - クラッチ機構付摩擦ローラ式変速機 - Google Patents

クラッチ機構付摩擦ローラ式変速機

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JP2001336592A
JP2001336592A JP2000154082A JP2000154082A JP2001336592A JP 2001336592 A JP2001336592 A JP 2001336592A JP 2000154082 A JP2000154082 A JP 2000154082A JP 2000154082 A JP2000154082 A JP 2000154082A JP 2001336592 A JP2001336592 A JP 2001336592A
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roller
outer ring
peripheral surface
output shaft
center
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JP2000154082A
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Ryoichi Otaki
大滝  亮一
Takashi Machida
尚 町田
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NSK Ltd
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NSK Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高速回転で使用する場合にも、異常摩耗の発
生を防止して、十分な耐久性を確保する。 【解決手段】 出力軸16aと外輪13aとの間に、こ
の外輪13aから出力軸16aに向けてのみ回転力を伝
達する一方向クラッチ37を設ける。中心ローラ24の
停止時或は低速回転時に上記出力軸16aが高速回転し
ても、上記外輪13aが高速回転する事はない。この
為、ガイドローラ11aを含む各中間ローラの外周面
と、上記外輪13aの内周面等とが強く擦れ合う事を防
止して、上記課題を解決できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明に係るクラッチ機構
付摩擦ローラ式変速機は、例えば工作機械、風車、水車
等、各種機械装置の回転駆動部の駆動部分等に組み込
み、駆動軸側の回転速度が非駆動軸側の回転速度よりも
速い場合に、この駆動軸側の回転を減速しつつ非駆動側
の回転軸に伝達し、上記工作機械等を回転駆動する為に
利用する。又、自動車用補機の駆動にも利用できる。
【0002】
【従来の技術】自動車用の補機は、走行用エンジンによ
り回転駆動するが、単一の走行用エンジンにより駆動す
る補機が複数存在するのに対して、これら各補機の最適
な運転速度が異なる場合がある。又、上記走行用エンジ
ンの回転速度に比べてこれら各補機の最適駆動速度が異
なる場合もある。この為に従来は、上記走行用エンジン
のクランクシャフトの端部に固定した駆動プーリの径
と、上記各補機の回転軸の端部に固定する各従動プーリ
の径とを異ならせる事で、これら各補機の回転速度を好
ましい値にする様にしている。又、上記従動プーリとし
て、一方向クラッチを内蔵したものを使用する事によ
り、これら各従動プーリと上記駆動プーリとの間に掛け
渡した無端ベルトに加わる摩擦力の方向を一定にしてこ
の無端ベルトの耐久性を確保すると共に、この無端ベル
トの速度が低下傾向にある場合にも上記各補機の回転軸
の回転速度が低下するのを防止し、これら各補機の効率
を向上させる事も、従来から行なわれている。
【0003】但し、駆動プーリの径と従動プーリの径と
を変える事により、上記各補機の回転速度を調節するの
は、これら各プーリに対する無端ベルトの巻き掛け量の
確保、この無端ベルトの曲げ量を抑え(曲率半径を過小
にせず)その耐久性の確保を図る事を考慮した場合には
限度がある。これに対して近年、クラッチ機構を有する
摩擦変速機を利用して、上記補機の回転駆動装置を構成
する事が研究されている。この様な条件に合致するクラ
ッチ機構付摩擦ローラ式変速機として従来から、特開平
10−316081号公報、同10−329780号公
報等に記載されたものが知られている。
【0004】これら各公報に記載される等により、従来
から知られているクラッチ機構付摩擦ローラ式変速機
は、電動補助自転車の補助動力源として考えられたもの
で、電動モータの回転軸によりペダル軸に補助動力を付
与するが、このペダル軸の回転速度がこの電動モータの
回転軸の回転速度に見合う速度よりも速くなった場合に
は、上記ペダル軸の回転がこの回転軸に伝わらない様に
している。図5〜6は、この様な目的で考えられ、上記
特開平10−316081号公報に記載された、クラッ
チ機構付摩擦ローラ式変速機の1例を示している。先
ず、この従来構造に就いて説明する。
【0005】駆動源である電動モータ1は、請求項に記
載した入力軸に相当する回転軸2を有する。又、この回
転軸2の先端部は、請求項に記載した中心ローラとして
機能させている。即ち、図5〜6に記載した構造では、
上記入力軸と中心ローラとを、一体の回転軸2としてい
る。そして、請求項に記載した第一の円筒面に相当す
る、この先端部の外周面は、平滑な円筒面としている。
この様な回転軸2のうち、中心ローラとしての役目を有
する先端部を覆う状態で、ハウジング3を設けている。
使用時にはこのハウジング3を、図示しないフレーム等
に固定する。このハウジング3は、有底円筒状の本体4
と、この本体4の基端開口部を塞ぐ蓋体5とから成る。
上記電動モータ1の回転軸2の先端部は、この蓋体5の
略中央部に形成した通孔6を挿通して、上記ハウジング
3内に挿入している。尚、この通孔6は、後述する様
に、上記蓋体5の中心から少しだけ外れた位置に設けて
いる。又、この通孔6の内周面と上記回転軸2の中間部
外周面との間には、軸受7を設けている。
【0006】又、上記ハウジング3の内側で上記回転軸
2の周囲部分には、3本の支持軸8、8aを、それぞれ
この回転軸2と平行に配置している。即ち、これら各支
持軸8、8aの一端部(図5の上端部)を上記蓋体5に
支持すると共に、他端部(図5の下端部)を連結環9に
支持している。尚、これら3本の支持軸8、8aのう
ち、2本の支持軸8、8は、それぞれの両端部を上記蓋
体5及び連結環9に設けた嵌合孔に圧入固定若しくはほ
ぼがたつきなく挿入している。従って、これら2本の支
持軸8、8が、上記ハウジング3内で円周方向或は直径
方向に変位する事はない。これに対して、残り1本の支
持軸8aは、両端部を上記蓋体5及び連結環9に対し、
上記ハウジング3の円周方向(更に、必要とすれば直径
方向)に関する若干の変位自在に支持している。この為
に、上記蓋体5及び連結環9の一部で上記支持軸8aの
両端部に整合する部分に、上記ハウジング3の円周方向
に長い円弧状の係合溝若しくは上記支持軸8aの両端部
の外径よりも大きな内径を有する支持孔(図5〜6には
省略)を形成し、これら両係合溝若しくは支持孔に、上
記支持軸8aの両端部を緩く係合させている。そして、
これら各支持軸8a、8の中間部周囲に、それぞれが中
間ローラであるウェッジローラ10及びガイドローラ1
1a、11bを、それぞれ軸受18(図5参照。図6に
は省略。)により、回転自在に支持している。尚、上記
連結環9の一部は、上記蓋体5の内面(上記ウェッジロ
ーラ10及びガイドローラ11a、11bを設置した空
間側の面で、図5の下面)の一部で上記ウェッジローラ
10及びガイドローラ11a、11bから外れた位置に
突設した、突部12(図5参照。図6には省略。)の先
端部に結合している。
【0007】又、上記ハウジング3の内側で上記ウェッ
ジローラ10及びガイドローラ11a、11bを囲む部
分には、有底円筒状の外輪13を、回転自在に設けてい
る。この外輪13は、円筒部14と、この円筒部14の
一端(図5の下端)開口を塞ぐ円板部15とから成る。
このうち、請求項に記載した第二の円筒面に相当する円
筒部14の内周面は、平滑な円筒面として、やはり平滑
な円筒面とした、請求項に記載した第三の円筒面に相当
する、上記ウェッジローラ10及びガイドローラ11
a、11bの外周面と当接自在としている。又、上記円
板部15の外側面(上記ウェッジローラ10及びガイド
ローラ11a、11bを設置した空間と反対側面で、図
5の下面)には、出力軸16の基端部(図5の上端部)
を結合固定している。そしてこの出力軸16を、上記ハ
ウジング3を構成する本体4の中央部に設けた第二の通
孔17に挿通して、上記ハウジング3外に突出させてい
る。尚、上記出力軸16の基端寄り部分の外周面と上記
第二の通孔17の内周面との間には軸受23を設けて、
上記外輪13及び出力軸16を、上記ハウジング3に対
し回転自在に支持している。又、上記出力軸16の先半
部(図5の下半部)で上記ハウジング3外に突出した部
分には、ピニオン19を固定している。
【0008】上記ウェッジローラ10及びガイドローラ
11a、11bの外周面は、前記回転軸2の先端部外周
面と上記外輪13の内周面とに当接させている。但し、
上記回転軸2の中心と上記出力軸16及び外輪13の中
心とを偏心させている。即ち、前述の様に、上記回転軸
2を挿通する通孔6は、上記ハウジング3の中心から少
しだけ外れた位置に設けているのに対して、上記出力軸
16を挿通する第二の通孔17は、上記ハウジング3の
中心に設けている。又、この第二の通孔17の内側に支
持した出力軸16と外輪13とは互いに同心である。従
って、上記回転軸2と上記外輪13及び出力軸16と
は、上記通孔6のハウジング3の中心からのずれ量δ分
だけ、互いに偏心している。そして、上記回転軸2の外
周面と上記外輪13の内周面との間に存在して上記ウェ
ッジローラ10及びガイドローラ11a、11bが設け
られた環状空間20の幅寸法が、このδなる偏心量に見
合う分だけ、円周方向に亙り不同になっている。
【0009】この様に、上記環状空間20の幅寸法を円
周方向に亙り不同にした分、上記ウェッジローラ10及
びガイドローラ11a、11bの外径を異ならせてい
る。即ち、上記外輪13に対し回転軸2が偏心している
側(図6の左側)に位置するウェッジローラ10及びガ
イドローラ11a(小径ガイドローラ)の径を、互いに
同じとすると共に比較的小径にしている。これに対し
て、上記外輪13に対し回転軸2が偏心しているのと反
対側(図6の右側)に位置するガイドローラ11b(大
径ガイドローラ)の径を、ウェッジローラ10及びガイ
ドローラ11aよりも大きくしている。そして、これら
3個の、それぞれが中間ローラであるウェッジローラ1
0及びガイドローラ11a、11bの外周面を、上記回
転軸2の外周面と上記外輪13の内周面とに当接させて
いる。
【0010】尚、それぞれが中間ローラである、上記1
個のウェッジローラ10及び2個のガイドローラ11
a、11bのうち、ガイドローラ11a、11bを支持
した支持軸8、8は、前述の様に、上記ハウジング3内
に固定している。これに対して、ウェッジローラ10を
支持した支持軸8aは、やはり前述した様に上記ハウジ
ング3内に、このハウジング3の円周方向に亙る若干の
変位を自在に支持している。従って、上記ウェッジロー
ラ10も、上記ハウジング3内で、このハウジング3の
円周方向に変位自在である。そして、前記回転軸2が所
定方向に回転した場合に、上記1本の支持軸8aに回転
自在に支持したウェッジローラ10を、上記環状空間2
0の幅の狭い部分に向け移動自在としている。
【0011】即ち、図示の例では、上記回転軸2が図6
に矢印イで示す様に、同図の時計方向に回転する様に、
構成各部の組み付け方向を規制している。従って、前記
電動モータ1から前記出力軸16に動力を取り出す際に
は、上記ウェッジローラ10及びガイドローラ11a、
11bが、図6に矢印ロ、ロで示す様に、上記各支持軸
8a、8を中心に同図の反時計方向に回転し、上記外輪
13が同じく矢印ハで示す様に反時計方向に回転する。
この様に、上記1個のウェッジローラ10が矢印ロで示
す様に回転し、このウェッジローラ10を上記ハウジン
グ3の直径方向の内外両側から挟持した回転軸2及び外
輪13がそれぞれ矢印イ、ハに示す様に回転する結果、
上記ウェッジローラ10全体が、図6に矢印ニで示す様
に、図6の時計方向に変位する傾向となる。即ち、上記
ウェッジローラ10は、矢印イ方向に回転する上記回転
軸2から、上記矢印ニ方向の力を受け、ウェッジローラ
10が矢印ロ方向に回転する事で外輪13の内周面との
当接部から受ける反作用により、やはり上記矢印ニ方向
の力を受ける。この結果、上記回転軸2の回転時に上記
ウェッジローラ10が、上記環状空間20の幅の狭い部
分に向けて移動する傾向になる。
【0012】上述の様に構成するクラッチ機構付摩擦ロ
ーラ式変速機の場合、電動モータ1の回転軸2の回転
は、この回転軸2の外周面と、それぞれが中間ローラで
あるウェッジローラ10及びガイドローラ11a、11
bの外周面との当接部である、各内径側当接部21、2
1を介して、これらウェッジローラ10及びガイドロー
ラ11a、11bに伝わる。更に、これらウェッジロー
ラ10及びガイドローラ11a、11bの回転は、これ
らウェッジローラ10及びガイドローラ11a、11b
の外周面と上記外輪13の内周面との当接部である、各
外径側当接部22、22を介して、この外輪13に伝わ
る。そして、この外輪13に結合固定した前記出力軸1
6及びこの出力軸16に固定した前記ピニオン19が回
転する。
【0013】上記回転軸2及び外輪13が所定方向に回
転すると、1本の支持軸8aに回転自在に支持したウェ
ッジローラ10が、上記回転軸2の外周面と外輪13の
内周面との間に存在する環状空間20内で、この環状空
間20の幅の狭い部分に向け図6の矢印ニ方向に移動す
る。この結果、上記1本の支持軸8aに回転自在に支持
したウェッジローラ10の外周面が、上記回転軸2の外
周面と外輪13の内周面とを強く押圧する。そして、当
該ウェッジローラ10の外周面と上記回転軸2の外周面
との当接部である内径側当接部21、及び、当該ウェッ
ジローラ10の外周面と外輪13の内周面との当接部で
ある外径側当接部22の当接圧が高くなる。
【0014】この様に、ウェッジローラ10に関する内
径側、外径側両当接部21、22の当接圧が高くなる
と、それぞれがこのウェッジローラ10の外周面により
押圧される部材である、上記回転軸2と外輪13とのう
ちの少なくとも一方の部材が、組み付け隙間、或は弾性
変形等に基づき、それぞれの直径方向に亙り僅かに変位
する。この結果、残り2個の中間ローラである、ガイド
ローラ11a、11bの外周面と上記回転軸2の外周面
との当接部である2個所の内径側当接部21、21、及
びこれら2個のガイドローラ11a、11bの外周面と
外輪13の内周面との当接部である2個所の外径側当接
部22、22の当接圧が高くなる。そして、クラッチ機
構が接続された状態になって、上記回転軸2から上記外
輪13に、効率良く回転力が伝達される。
【0015】これに対して、上記回転軸2が停止してい
るにも拘らず上記外輪13が図6の矢印ハ方向に回転し
ている場合、或は上記回転軸2の回転速度に見合う回転
速度(この回転速度と摩擦ローラ式変速機の変速比との
積)よりも速い回転速度で上記外輪13が図6の矢印ハ
方向に回転している場合には、上記外輪13から上記回
転軸2に回転が伝わらない様にする。即ち、この場合に
は、図6の矢印ハ方向に回転する上記外輪13により、
上記ウェッジローラ10が同図の矢印ニと反対方向に変
位する。この結果、このウェッジローラ10の外周面が
上記回転軸2の外周面及び外輪13の内周面を押圧しな
くなり、上記内径側当接部21及び上記外径側当接部2
2の当接圧が低下若しくは喪失する。そして、クラッチ
機構の接続が断たれた状態になって、上記外輪13から
上記回転軸2に回転が伝わらなくなる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】上述の様に構成し作用
するクラッチ機構付摩擦ローラ式変速機の場合には、ク
ラッチ機構の接続を断った状態で外輪13が回転した場
合に、ウェッジローラ10及び各ガイドローラ11a、
11bの外周面と、この外輪13の内周面又は回転軸2
の外周面とが擦れ合う可能性がある。即ち、従来構造の
場合には、上記ウェッジローラ10をばねにより環状空
間20の幅の狭い側に押圧すると共に、上記各ガイドロ
ーラ11a、11bの外周面と外輪13の内周面及び回
転軸2の外周面とが軽く当接する状態(摩擦係合により
回転力の伝達を行なえない状態)に組み立てている。そ
して、上記回転軸2から外輪13への回転力の伝達時
に、上記ウェッジローラ10を環状空間20の幅の狭い
部分にくさび状に食い込ませると共に、各部の弾性変形
に基づき、上記各ガイドローラ11a、11bの外周面
と外輪13の内周面及び回転軸2の外周面とが強く当接
し合う様にしている。従って、クラッチ機構の接続を断
った状態で外輪13が回転すると、上記ウェッジローラ
10及び上記各ガイドローラ11a、11bの外周面
が、上記外輪13の内周面と(転がり接触ではなく)擦
れ合う。
【0017】電動補助自転車の如く、低速{例えば出力
部の回転速度が600min-1(r.p.m.)程度}で使用される
場合には、上述の様な擦れ合いが発生しても特に問題と
はならない。これに対して、工作機械や自動車用補機の
回転駆動装置の様に、高速(例えば出力部の回転速度が
10,000min-1 程度)で使用される機械装置の場合には、
上述の様な擦れ合いが発生すると、擦れ合い部で無視で
きない程の摩耗(異常摩耗)が発生する。そして、この
異常摩耗に伴って、摩擦ローラ式変速機の内部で滑りや
異音、或は焼き付きが発生する等、上記機械装置の耐久
性を十分に確保できなくなる。本発明のクラッチ機構付
摩擦ローラ式変速機は、この様な事情に鑑みて発明した
ものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明のクラッチ機構付
摩擦ローラ式変速機は、前述した従来から知られている
クラッチ機構付摩擦ローラ式変速機と同様に、入力軸
と、この入力軸の端部にこの入力軸と同心に設けられ、
その外周面を第一の円筒面とした中心ローラと、内周面
を第二の円筒面としてこの中心ローラの周囲に、この中
心ローラに対する相対回転を自在に設けられた外輪と、
この外輪と同心で一端部をこの外輪に結合した出力軸
と、上記第一の円筒面と上記第二の円筒面との間の環状
空間内に、上記中心ローラと平行に配置された複数本の
支持軸と、これら各支持軸により回転自在に支持され、
それぞれの外周面を第三の円筒面とした複数個の中間ロ
ーラとを備える。そして、上記中心ローラの中心と上記
出力軸及び外輪の中心とを偏心させる事により、上記環
状空間の幅寸法を円周方向に亙って不同にしている。
又、上記複数個の中間ローラのうちの何れかの中間ロー
ラを、少なくとも上記環状空間の円周方向に関する変位
自在に支持してウェッジローラとすると共に、残りの中
間ローラをガイドローラとしている。更に、上記中心ロ
ーラ及び外輪が所定方向に上記入力軸と出力軸との間の
変速比に見合う速度比で回転する場合に、上記ウェッジ
ローラとなる中間ローラを、上記環状空間の幅の狭い部
分に向け移動させる。特に、本発明のクラッチ機構付摩
擦ローラ式変速機に於いては、上記外輪と上記出力軸と
の間に、この外輪から出力軸に向けてのみ回転力を伝達
する一方向クラッチを設けている。
【0019】
【作用】上述の様に構成する本発明のクラッチ機構付摩
擦ローラ式変速機が、入力軸と出力軸との間で変速を行
ないつつ回転力を伝達する際の作用は、前述した従来の
クラッチ機構付摩擦ローラ式変速機の場合と同様であ
る。尚、この場合には、一方向クラッチが繋がれた状態
となり、外輪の回転が上記出力軸に伝えられる。特に、
本発明のクラッチ機構付摩擦ローラ式変速機では、上記
出力軸の回転速度が上記入力軸の回転速度に見合う速度
よりも速くなった場合に、上記一方向クラッチの接続が
断たれ、上記出力軸の回転がそのまま上記外輪にまでは
伝わる事はなくなる。この為、この外輪がこの出力軸の
回転に伴って高速で回転する事はなくなり、ガイドロー
ラとなる中間ローラの外周面である第三の円筒面と中心
ローラ24の外周面である第一の円筒面及び外輪の内周
面である第二の円筒面との当接部の滑り速度Vが零若し
くは低くなる。そして、これら各当接部の摩耗量に大き
な影響を及ぼす、滑り速度Vと面圧Pとの積であるPV
値が低くなって、上記各円筒面に異常摩耗が発生する事
を防止できる。
【0020】
【発明の実施の形態】図1〜3は、本発明の実施の形態
の第1例を示している。本例の摩擦ローラ式変速機も、
前述した従来構造の場合と同様に、鋼或はアルミニウム
合金製で有底円筒状の本体4aと、この本体4aの基端
開口部を塞ぐ、鋼製の蓋体5aとから成る、固定のハウ
ジング3aを有する。そして、このハウジング3a内に
中心ローラ24の内半部(図1の左半部)を、上記蓋体
5aの略中央部に形成した通孔6aを通じて挿入してい
る。尚、この通孔6aは、上記蓋体5aの中心から、少
しだけ外れた位置に設けている。又、上記中心ローラ2
4の外端部(図1の右端部)には、入力軸である、図示
しない電動モータの駆動軸25の端部を結合している。
【0021】図示の例の場合には、上記中心ローラ24
を、上記駆動軸25により回転駆動自在としつつ、ラジ
アル方向(中心ローラ24自身の直径方向)に関する若
干の変位自在に設けている。この為に本例の場合には、
上記通孔6aの内径を上記中心ローラ24の外径よりも
大きくして、この中心ローラ24がこの通孔6aの内側
でラジアル方向に変位できる様にしている。又、この中
心ローラ24の基端面(図1の右端面)に係合凹溝26
を、直径方向に亙って形成すると共に、上記駆動軸25
の先端面(図1の左端面)に係合凸部27を、直径方向
に亙って形成している。そして、この係合凸部27と上
記係合凹溝26とを、緩く係合させている。この為に、
この係合凹溝26の幅は、この係合凸部27の幅よりも
少しだけ大きくしている。従って、上記中心ローラ24
と上記駆動軸25とは、回転力の伝達を自在に、且つ、
ラジアル方向に関する相対変位自在に結合されている。
尚、この様に中心ローラ24と駆動軸25とを回転力の
伝達を自在に、且つ、ラジアル方向に関する相対変位自
在に結合する為の構造は、図示の様なものに限らず、緩
いスプライン係合、或は緩いキー係合でも良い。
【0022】又、上記中心ローラ24の先端面(図1の
左端面)中心部には鋼球28を圧入固定し、この鋼球2
8を、後述する連結板29の片面(図1の右面)中心部
に突き当てて、ピボット軸受を構成している。このピボ
ット軸受は、上記中心ローラ24の回転を自在としつ
つ、この中心ローラ24の軸方向に関する位置決めを図
る為に設けている。尚、本例の場合には、上記中心ロー
ラ24の外周面と上記通孔6aの内周面との間に隙間が
存在する。そこで、この様な隙間を通じて、前記ハウジ
ング3a内に異物が入り込むのを防止する為に、図示し
ない電動モータのケーシングと前記蓋体5aとの間にシ
ール材を設ける。或は、上記中心ローラ24の外周面と
上記通孔6aの内周面との間に、弾性変形自在なOリン
グ等のシールリングを設けて、上記隙間そのものを塞い
でも良い。
【0023】又、前記ハウジング3aの内側で上記中心
ローラ24の周囲部分には、3本の支持軸8、8aを、
それぞれこの中心ローラ24と平行に配置している。即
ち、これら各支持軸8、8aの一端部(図1の右端部)
を上記蓋体5aに支持すると共に、他端部(図1の左端
部)を連結板29に支持している。尚、この連結板29
は、前述の図5に示した従来構造の連結環9に相当する
ものであるが、この連結環9の様な円輪状ではなく、円
板状に形成している。この理由は、上記ピボット軸受を
構成する為である。
【0024】又、本例の場合に、上記3本の支持軸8、
8aのうち、図2の上部中央並びに下部左側に位置する
2本の支持軸8、8は、その両端部を上記蓋体5a及び
連結板29に形成した嵌合孔30、30に圧入固定して
いる。従って、これら両支持軸8、8が、上記ハウジン
グ3a内で円周方向或は直径方向に変位する事はない。
これに対して、図2の下部右側に位置する残り1本の支
持軸8aは、両端部を上記蓋体5a及び連結板29に対
し、上記ハウジング3aの円周方向及び直径方向に関し
て若干の変位自在に支持している。この為に、上記蓋体
5a及び連結板29の一部で上記支持軸8aの両端部に
整合する部分には、この支持軸8aの外径よりも大きな
幅及び長さを有する支持孔31、31を形成し、これら
各支持孔31、31に、上記支持軸8aの両端部を緩く
係合させている。
【0025】そして、これら各支持軸8、8aの中間部
周囲に、それぞれが中間ローラであるガイドローラ11
a、11b及びウェッジローラ10を、それぞれラジア
ルニードル軸受である軸受18により、回転自在に支持
している。尚、上記連結板29は、上記蓋体5aの内面
(上記ガイドローラ11a、11b及びウェッジローラ
10を設置した空間側の面で、図1の左面)の一部で、
上記ガイドローラ11a、11b及びウェッジローラ1
0から外れた位置に突設した突部12、12に突き当
て、連結ボルト32、32により、上記蓋体5aに連結
固定している。又、上記ガイドローラ11a、11b及
びウェッジローラ10の軸方向両端面と上記連結板29
及び蓋体5aとの間には、それぞれスラストニードル軸
受33、33を設けて、上記各ローラ11a、11b、
10の回転が円滑に行なわれる様にしている。
【0026】又、上記ハウジング3aの内側で上記ガイ
ドローラ11a、11b及びウェッジローラ10を囲む
部分には、円筒状の外輪13aを設け、この外輪13a
の内周面を、第二の円筒面34としている。そして、こ
の第二の円筒面34と、上記ガイドローラ11a、11
b及びウェッジローラ10の外周面である第三の円筒面
35、35とを当接自在としている。又、上記外輪13
aには、連結板36と一方向クラッチ37とを介して、
出力軸16aを結合している。この様な、外輪13aと
出力軸16aとを結合する部分に、本発明の特徴となる
構造が含まれている為、次に詳しく説明する。
【0027】先ず、上記出力軸16aは、前記ハウジン
グ3aを構成する本体4aの中央部に形成した支持筒部
38の内側に挿通して、このハウジング3a外に突出さ
せている。図示の例では、上記出力軸16aを上記支持
筒部38の内側に、1対の玉軸受39a、39bにより
回転自在に支持すると共に、この支持筒部38の先端開
口部と上記出力軸16aの中間部内周面との間を、シー
ルリング40により塞いでいる。
【0028】上記出力軸16aの基端部(図1の右端
部)で、上記玉軸受39aの内径側に位置する部分は、
円筒部41としている。そして、上記連結板36の片面
(図1の左面)中央部に突設した伝達軸部42を上記円
筒部41内に挿入すると共に、これら伝達軸部42の外
周面と円筒部41の内周面との間に、上記一方向クラッ
チ37を設けている。この一方向クラッチ37は、前記
外輪13aから上記出力軸13aに向けてのみ回転力を
伝達するものである。即ち、上記一方向クラッチ37
は、後述する様に、前記中心ローラ24の回転に基づい
て上記連結板36及び伝達軸部42が所定方向に回転し
た場合には、この回転を上記円筒部41を介して上記出
力軸16aに伝達する。これに対して、この出力軸16
aの回転速度が、上記中心ローラ24の回転速度と摩擦
ローラ式変速機の減速比との積に見合う回転速度よりも
速い場合には、上記出力軸16aの回転が上記伝達軸部
42に伝達しない様に機能する。
【0029】上述の様な一方向クラッチ37としては、
ローラクラッチ、カムクラッチ、ラチェット式クラッチ
等、従来から広く知られている各種構造のものを使用で
きる。尚、上記伝達軸部42の外周面と上記円筒部41
の内周面との間で、上記一方向クラッチ37を軸方向両
側から挟む位置には1対のサポート軸受43、43を設
け、この一方向クラッチ37にラジアル荷重が負荷され
るのを防止すると共に、上記伝達軸部42と上記円筒部
41とを同心に保持している。
【0030】又、本例の場合には、上記外輪13aを上
記ハウジング3aの内側に、回転並びにラジアル方向に
関する若干の変位自在に設けている。即ち、本例の場合
には、上記連結板36の外周縁に形成した複数の突片4
4、44と、上記外輪13aの軸方向一端縁部(図1の
左端縁部)に形成した切り欠き45、45とを、ラジア
ル方向に関する若干の変位自在に係合させている。又、
上記各突片44、44を上記各切り欠き45、45の奥
部(図1の右部)に進入させた状態で、上記外輪13a
の端部内周面に形成した係止溝46に止め輪47を係止
して、上記各突片44、44が上記各切り欠き45、4
5から抜け出ない様にしている。従って、上記外輪13
aと上記連結板36とは、回転力の伝達を自在に、且
つ、ラジアル方向に関する若干の相対変位自在に結合さ
れている。
【0031】又、前記各ガイドローラ11a、11b及
びウェッジローラ10の外周面である、前記各第三の円
筒面35、35は、それぞれ前記中心ローラ24の外周
面に設けた第一の円筒面48と、上記外輪13aの内周
面に設けた前記第二の円筒面34とに当接させている。
上記中心ローラ24の中心と上記出力軸16a及び外輪
13aの中心とは互いに偏心している。即ち、前述の様
に、上記中心ローラ24を挿通する通孔6aは、前記ハ
ウジング3aの中心から少しだけ外れた位置に設けてい
るのに対して、上記出力軸16aを挿通する支持筒部3
8は、上記ハウジング3aの中心に設けている。又、こ
の支持筒部38の内側に回転自在に支持した出力軸16
aと外輪13aとは、実質的には互いに同心である。従
って、上記中心ローラ24と上記外輪13a及び出力軸
16aとは、上記通孔6aのハウジング3aの中心から
のずれ量δ(図1参照)分だけ、互いに偏心している。
そして、上記中心ローラ24の外周面に設けた上記第一
の円筒面48と上記外輪13aに設けた上記第二の円筒
面34との間に存在して上記ガイドローラ11a、11
b及びウェッジローラ10が設けられた環状空間20a
の幅寸法が、上記δ分の偏心量に見合う分だけ、円周方
向に関して不同になっている。
【0032】この様に、上記環状空間20aの幅寸法を
円周方向に関して不同にした分、上記ガイドローラ11
a、11b及びウェッジローラ10の外径を異ならせて
いる。即ち、上記外輪13aに対し中心ローラ24が偏
心している側(図2の下側)に位置するガイドローラ1
1b及びウェッジローラ10の径を、互いに同じとする
と共に比較的小径にしている。これに対し、上記外輪1
3aに対し中心ローラ24が偏心しているのと反対側
(図2の上側)に位置するガイドローラ11aの径を、
上記ガイドローラ11b及びウェッジローラ10よりも
大きくしている。そして、これら3個の、それぞれが中
間ローラであるガイドローラ11a、11b及びウェッ
ジローラ10の外周面である第三の円筒面35、35
を、上記第一、第二の円筒面48、34に当接させてい
る。
【0033】尚、それぞれが中間ローラである、上記2
個のガイドローラ11a、11b及び1個のウェッジロ
ーラ10のうち、両ガイドローラ11a、11bを支持
した支持軸8、8は、前述の様に、上記ハウジング3a
内に固定している。これに対して、ウェッジローラ10
を支持した支持軸8aは、やはり前述した様に上記ハウ
ジング3a内に、円周方向及び直径方向に関する若干の
変位を自在に支持している。従って、上記ウェッジロー
ラ10も、上記ハウジング3a内で円周方向及び直径方
向に亙り若干の変位自在である。そして、前記蓋体5a
及び連結板29のシリンダ孔49、49内に装着した圧
縮コイルばね50、50等の弾性材により、上記ウェッ
ジローラ10を支持した支持軸8aを、この支持軸8a
に回転自在に支持したウェッジローラ10を前記環状空
間20aの幅の狭い部分に向け移動させるべく、弾性的
に押圧している。
【0034】図示の例では、上記圧縮コイルばね50、
50により、それぞれの先端部(図2の左下端部、図3
の下端部)に外向フランジ状の鍔部52を形成した押圧
ピン53、53を押圧し、これら両押圧ピン53、53
により、上記支持軸8aの両端部を同方向に押圧してい
る。上記各シリンダ孔49、49の両端開口のうち、前
記各支持孔31、31と反対側開口部は、ねじ蓋54に
より塞いでいる。上記各圧縮コイルばね50、50は、
このねじ蓋54或はシリンダ孔49の端部内面と上記鍔
部52との間に設けて、上記各押圧ピン53、53に、
上記方向の弾力を付与している。
【0035】以上に述べた様に構成する本発明の摩擦ロ
ーラ式変速機の場合、前記駆動軸25に結合した上記中
心ローラ24の回転は、この中心ローラ24の外周面で
ある第一の円筒面48と、ガイドローラ11a、11b
及びウェッジローラ10の外周面である第三の円筒面3
5、35との当接部である、各内径側当接部21a、2
1bを介して、上記各ガイドローラ11a、11b及び
ウェッジローラ10に伝わる。更に、これらガイドロー
ラ11a、11b及びウェッジローラ10の回転は、上
記各第三の円筒面35、35と前記外輪13aの内周面
に設けた第二の円筒面34との当接部である、各外径側
当接部22a、22bを介して、上記外輪13aに伝わ
る。そして、この外輪13aに結合した前記出力軸16
aが、前記連結板36と前記伝達軸部42と前記一方向
クラッチ37とを介して、上記中心ローラ24とは逆方
向に回転駆動される。この際、この一方向クラッチ37
は、繋がれた状態となる。
【0036】上記駆動軸25により上記出力軸16aを
回転駆動すべく、上記中心ローラ24が図2の時計方向
に回転すると、ウェッジローラ10が、この中心ローラ
24から加わる力と前記各圧縮コイルばね50、50の
弾力とにより、上記第一、第二の円筒面48、34同士
の間に存在する環状空間20a内で、この環状空間20
aの幅の狭い部分(図2の下側中央部分)に向け移動す
る。この結果、上記ウェッジローラ10の外周面である
第三の円筒面35が、上記第一の円筒面48と第二の円
筒面34とを強く押圧する。そして、このウェッジロー
ラ10に関する第三の円筒面35と上記第一の円筒面4
8との当接部である内径側当接部21b、及び、上記ウ
ェッジローラ10に関する第三の円筒面35と上記第二
の円筒面34との当接部である外径側当接部22bの当
接圧が高くなる。
【0037】上記ウェッジローラ10に関する内径側、
外径側両当接部21b、22bの当接圧が高くなると、
上記中心ローラ24と外輪13aとのうちの少なくとも
一方の部材が、組み付け隙間、或は弾性変形等に基づ
き、それぞれの直径方向に関して僅かに変位する。この
結果、残り2個の中間ローラであるガイドローラ11
a、11bの外周面である第三の円筒面35、35と上
記中心ローラ24の外周面である第一の円筒面48との
当接部である2個所の内径側当接部21a、21a、及
びこれらガイドローラ11a、11bの外周面である第
三の円筒面35、35と上記外輪13aの内周面である
第二の円筒面34との当接部である2個所の外径側当接
部22a、22aの当接圧が高くなる。そして、上記外
輪13a及び上記出力軸16aが、図2の反時計方向に
回転する。
【0038】上記ウェッジローラ10を、上記環状空間
20a内でこの環状空間20aの幅の狭い部分に向け移
動させようとする力は、上記中心ローラ24から上記外
輪13aに伝達するトルクの大きさに応じて変化する。
即ち、上記中心ローラ24の駆動トルクが大きくなる
程、上記ウェッジローラ10を上記環状空間20aの幅
の狭い部分に向け移動させようとする力が大きくなる。
そして、この力が大きくなる程、上記各内径側、外径側
両当接部21a、21b、22a、22bの当接圧が大
きくなる。逆に言えば、上記駆動トルクが小さい場合に
は、これら各内径側、外径側両当接部21a、21b、
22a、22bの当接圧が小さい。この為、上記各内径
側、外径側両当接部21a、21b、22a、22bの
当接圧を、前記駆動軸25と前記出力軸16aとの間で
伝達すべきトルクの大きさに応じた適正値にできて、摩
擦ローラ式変速機の伝達効率を高くできる。この状態で
は、クラッチ機構がONとなる。
【0039】一方、上記駆動軸25が停止した状態のま
ま、上記外輪13aが、図2の反時計方向に回転する
等、前記出力軸16aの回転速度が上記駆動軸25の回
転速度に見合う速度よりも速くなる様な場合には、上記
ウェッジローラ10が、上記外輪13aから加わる力に
より、前記各圧縮コイルばね50、50の弾力に抗し、
上記環状空間20a内で、この環状空間20aの幅の広
い部分(図2の右側中央部分)に向け移動する。この結
果、上記ウェッジローラ10の外周面である第三の円筒
面35が、上記第一の円筒面48と第二の円筒面34と
を押圧しなくなる。そして、このウェッジローラ10並
びに前記各ガイドローラ11a、11bに関する第三の
円筒面35、35と上記第一の円筒面48との当接部で
ある内径側当接部21a、21b、及び、上記ウェッジ
ローラ10並びに前記各ガイドローラ11a、11bに
関する第三の円筒面35、35と上記第二の円筒面34
との当接部である外径側当接部22a、22bの当接圧
が、低下若しくは喪失する。この結果、上記外輪13a
の回転が上記駆動軸25にまで伝達されなくなる。この
状態では、クラッチ機構がOFFとなる。
【0040】更に、本発明のクラッチ機構付摩擦ローラ
式変速機の場合には、この様にクラッチ機構がOFFと
なる様な状態では、前記一方向クラッチ37の接続も断
たれた状態となる。即ち、この一方向クラッチ37が、
前記伝達軸部42に対し前記円筒部41がオーバランす
る事を許容する。従って、前記出力軸16aの回転が上
記外輪13aに伝わらなくなるか、仮に伝わった場合で
もその一部しか伝わらなくなって、この外輪13aは、
停止するか、低速で回転するのみとなる。この結果、上
記ウェッジローラ10並びに各ガイドローラ11a、1
1bに関する第三の円筒面35、35と上記第一、第二
の円筒面48、34との当接部(各内径側、外径側両当
接部21a、21b、22a、22b)での滑り速度V
が零若しくは低くなる。そして、上記各当接部の摩耗量
に大きな影響を及ぼす、滑り速度Vと面圧Pとの積であ
るPV値が低くなって、上記第一、第二、第三の各円筒
面48、34、35に異常摩耗が発生する事を防止でき
る。
【0041】更に、図示の摩擦ローラ式変速機の場合に
は、上記各ガイドローラ11a、11bの外径や取付位
置が多少ずれたり、構成各部材が弾性変形したり、更に
は上記外輪13aが熱膨張した場合でも、これら各ガイ
ドローラ11a、11bの外周面である第三の円筒面3
5、35と、上記中心ローラ24の外周面である第一の
円筒面48及び上記外輪13aの内周面である第二の円
筒面34との接触部の接触面圧を、設計値通りに規制で
きる。即ち、上記各ガイドローラ11a、11bの外径
や取付位置がずれた場合には、上記ウェッジローラ10
が上記環状空間20aの幅寸法が狭い部分に変位するの
に伴って、上記中心ローラ24及び外輪13aがラジア
ル方向に変位する。そして、上記ガイドローラ11a、
11b及び上記ウェッジローラ10の外周面である、上
記各第三の円筒面35、35と、上記中心ローラ24の
外周面である第一の円筒面48及び上記外輪13aの内
周面である第二の円筒面34との接触部の接触面圧を設
計値通りにする。従って、上記外径や取付位置が多少ず
れたり、或は構成部材が弾性変形した場合でも、高い伝
達効率を得られる。
【0042】次に、図4は、本発明の実施の形態の第2
例を示している。本例の場合には、出力軸16bの基端
部に、外向フランジ状の厚肉鍔部51を設け、この厚肉
鍔部51の外周面と、円筒状の外輪13bの端部内周面
との間に一方向クラッチ37とサポート軸受43とをそ
れぞれ1個ずつ、互いに隣接させた状態で設けている。
従って本例の場合には、上記出力軸16bに対し上記外
輪13bがラジアル方向に変位する事はない。その他の
部分の構成及び作用は、上述した第1例の場合と同様で
ある。
【0043】
【発明の効果】本発明のクラッチ機構付摩擦ローラ式変
速機は、以上に述べた通り構成し作用する為、ガイドロ
ーラ及びウェッジローラとなる中間ローラと相手面とが
擦れ合う事を防止して、著しい摩耗が発生する事を防止
できる。この為、エンジン用の補機の様に、高速運転さ
れる条件下でも、十分な耐久性を確保して、クラッチ機
構付摩擦ローラ式変速機を組み込んだ補機駆動装置の実
用化に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の第1例を示す断面図。
【図2】図1のA−A断面図。
【図3】図2の拡大B−B断面図。
【図4】本発明の実施の形態の第2例を示す断面図。
【図5】従来構造の1例を示す断面図。
【図6】一部を省略して示す、図5のC−C断面図。
【符号の説明】
1 電動モータ 2 回転軸 3、3a ハウジング 4、4a 本体 5、5a 蓋体 6、6a 通孔 7 軸受 8、8a 支持軸 9 連結環 10 ウェッジローラ 11a、11b ガイドローラ 12 突部 13、13a、13b 外輪 14 円筒部 15 円板部 16、16a、16b 出力軸 17 第二の通孔 18 軸受 19 ピニオン 20、20a 環状空間 21、21a、21b 内径側当接部 22、22a、22b 外径側当接部 23 軸受 24 中心ローラ 25 駆動軸 26 係合凹溝 27 係合凸部 28 鋼球 29 連結板 30 嵌合孔 31 支持孔 32 連結ボルト 33 スラストニードル軸受 34 第二の円筒面 35 第三の円筒面 36 連結板 37 一方向クラッチ 38 支持筒部 39a、39b 玉軸受 40 シールリング 41 円筒部 42 伝達軸部 43 サポート軸受 44 突片 45 切り欠き 46 係止溝 47 止め輪 48 第一の円筒面 49 シリンダ孔 50 圧縮コイルばね 51 厚肉鍔部 52 鍔部 53 押圧ピン 54 ねじ蓋
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3D039 AA02 AA04 AB01 AC06 AC14 AC15 AC33 AC64 AC65 AC77 AC86 AD23 3J051 AA01 BA03 BB08 BC02 BC03 BD01 BE03 BE04 EA02 EB03 ED04 ED11 ED14 FA02 FA06 FA07 FA10

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力軸と、この入力軸の端部にこの入力
    軸と実質的に同心に設けられ、その外周面を第一の円筒
    面とした中心ローラと、内周面を第二の円筒面としてこ
    の中心ローラの周囲に、この中心ローラに対する相対回
    転を自在に設けられた外輪と、この外輪と同心で一端部
    をこの外輪に結合した出力軸と、上記第一の円筒面と上
    記第二の円筒面との間の環状空間内に、上記中心ローラ
    と平行に配置された複数本の支持軸と、これら各支持軸
    により回転自在に支持され、それぞれの外周面を第三の
    円筒面とした複数個の中間ローラとを備え、上記中心ロ
    ーラの中心と上記出力軸及び外輪の中心とを偏心させる
    事により、上記環状空間の幅寸法を円周方向に亙って不
    同にし、上記複数個の中間ローラのうちの何れかの中間
    ローラを、少なくとも上記環状空間の円周方向に関する
    変位自在に支持してウェッジローラとすると共に、残り
    の中間ローラをガイドローラとし、上記中心ローラ及び
    外輪が所定方向に上記入力軸と出力軸との間の変速比に
    見合う速度比で回転する場合に、上記ウェッジローラと
    なる中間ローラを、上記環状空間の幅の狭い部分に向け
    移動させるクラッチ機構付摩擦ローラ式変速機に於い
    て、上記外輪と上記出力軸との間に、この外輪から出力
    軸に向けてのみ回転力を伝達する一方向クラッチを設け
    た事を特徴とするクラッチ機構付摩擦ローラ式変速機。
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