JP2001208154A - クラッチ機構付摩擦ローラ式変速機 - Google Patents

クラッチ機構付摩擦ローラ式変速機

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JP2001208154A
JP2001208154A JP2000018830A JP2000018830A JP2001208154A JP 2001208154 A JP2001208154 A JP 2001208154A JP 2000018830 A JP2000018830 A JP 2000018830A JP 2000018830 A JP2000018830 A JP 2000018830A JP 2001208154 A JP2001208154 A JP 2001208154A
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friction
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Hideo Ouchi
英男 大内
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NSK Ltd
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    • F04POSITIVE - DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; PUMPS FOR LIQUIDS OR ELASTIC FLUIDS
    • F04CROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; ROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT PUMPS
    • F04C15/00Component parts, details or accessories of machines, pumps or pumping installations, not provided for in groups F04C2/00 - F04C14/00
    • F04C15/0057Driving elements, brakes, couplings, transmission specially adapted for machines or pumps
    • F04C15/0061Means for transmitting movement from the prime mover to driven parts of the pump, e.g. clutches, couplings, transmissions

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高速回転で使用する場合にも、異常摩耗の発
生を防止して、十分な耐久性を確保する。 【解決手段】 クラッチ機構が断たれた状態で、各ガイ
ドローラ11a、11bの外周面と、出力側の外輪13
aの内周面とが擦れ合わない様にする。この為に、各部
の寸法等を規制すると共に、上記各ガイドローラ11
a、11bを、上記外輪13aの径方向内方に押圧する
押圧ばね28を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明に係るクラッチ機構
付摩擦ローラ式変速機は、例えばオルタネータ、コンプ
レッサ、各種油圧ポンプの如き自動車用の補機の駆動部
分等に組み込んで、エンジンのクランクシャフトにより
回転駆動される従動プーリの回転を減速しつつ上記補機
の回転軸に伝達し、この補機を回転駆動する為に利用す
る。
【0002】
【従来の技術】自動車用の補機は、走行用エンジンによ
り回転駆動するが、単一の走行用エンジンにより駆動す
る補機が複数存在するのに対して、これら各補機の最適
な運転速度が異なる場合がある。又、上記走行用エンジ
ンの回転速度に比べてこれら各補機の最適駆動速度が異
なる場合もある。この為に従来は、上記走行用エンジン
のクランクシャフトの端部に固定した駆動プーリの径
と、上記各補機の回転軸の端部に固定する各従動プーリ
の径とを異ならせる事で、これら各補機の回転速度を好
ましい値にする様にしている。又、上記従動プーリとし
て、一方向クラッチを内蔵したものを使用する事によ
り、これら各従動プーリと上記駆動プーリとの間に掛け
渡した無端ベルトに加わる摩擦力の方向を一定にしてこ
の無端ベルトの耐久性を確保すると共に、この無端ベル
トの速度が低下傾向にある場合にも上記各補機の回転軸
の回転速度が低下するのを防止し、これら各補機の効率
を向上させる事も、従来から行なわれている。
【0003】但し、駆動プーリの径と従動プーリの径と
を変える事により、上記各補機の回転速度を調節するの
は、これら各プーリに対する無端ベルトの巻き掛け量の
確保、この無端ベルトの曲げ量を抑え(曲率半径を過小
にせず)その耐久性の確保を図る事を考慮した場合には
限度がある。これに対して近年、クラッチ機構を有する
摩擦変速機を利用して、上記補機の回転駆動装置を構成
する事が研究されている。この様な条件に合致するクラ
ッチ機構付摩擦ローラ式変速機として従来から、特開平
10−316081号公報、同10−329780号公
報等に記載されたものが知られている。
【0004】これら各公報に記載される等により、従来
から知られているクラッチ機構付摩擦ローラ式変速機
は、電動補助自転車の補助動力源として考えられたもの
で、電動モータの回転軸によりペダル軸に補助動力を付
与するが、このペダル軸の回転速度がこの電動モータの
回転軸の回転速度に見合う速度よりも速くなった場合に
は、上記ペダル軸の回転がこの回転軸に伝わらない様に
している。図10〜11は、この様な目的で考えられ、
上記特開平10−316081号公報に記載された、ク
ラッチ機構付摩擦ローラ式変速機の1例を示している。
先ず、この従来構造に就いて説明する。
【0005】駆動源である電動モータ1は、請求項に記
載した第一の回転軸に相当する回転軸2を有する。又、
この回転軸2の先端部は、請求項に記載した中心ローラ
として機能させている。即ち、図10に記載した構造
(後述する、図1、5、7、8、9に示した本発明の実
施の形態の場合も同様。)では、上記第一の回転軸と中
心ローラとを、一体の回転軸2としている。そして、請
求項に記載した第一の摩擦面に相当する、この先端部の
外周面は、平滑な円筒面としている。この様な回転軸2
のうち、中心ローラとしての役目を有する先端部を覆う
状態で、ハウジング3を設けている。使用時にはこのハ
ウジング3を、図示しないフレーム等に固定する。この
ハウジング3は、有底円筒状の本体4と、この本体4の
基端開口部を塞ぐ蓋体5とから成る。上記電動モータ1
の回転軸2の先端部は、この蓋体5の略中央部に形成し
た通孔6を挿通して、上記ハウジング3内に挿入してい
る。尚、この通孔6は、後述する様に、上記蓋体5の中
心から少しだけ外れた位置に設けている。又、この通孔
6の内周面と上記回転軸2の中間部外周面との間には、
軸受7を設けている。
【0006】又、上記ハウジング3の内側で上記回転軸
2の周囲部分には、3本の支持軸8、8aを、それぞれ
この回転軸2と平行に配置している。即ち、これら各支
持軸8、8aの一端部(図10の上端部)を上記蓋体5
に支持すると共に、他端部(図10の下端部)を連結環
9に支持している。尚、これら3本の支持軸8、8aの
うち、2本の支持軸8、8は、それぞれの両端部を上記
蓋体5及び連結環9に設けた嵌合孔に圧入固定若しくは
ほぼがたつきなく挿入している。従って、これら2本の
支持軸8、8が、上記ハウジング3内で円周方向或は直
径方向に変位する事はない。これに対して、残り1本の
支持軸8aは、両端部を上記蓋体5及び連結環9に対
し、上記ハウジング3の円周方向(更に、必要とすれば
直径方向)に関する若干の変位自在に支持している。こ
の為に、上記蓋体5及び連結環9の一部で上記支持軸8
aの両端部に整合する部分に、上記ハウジング3の円周
方向に長い円弧状の係合溝若しくは上記支持軸8aの両
端部の外径よりも大きな内径を有する支持孔(図10〜
11には省略)を形成し、これら両係合溝若しくは支持
孔に、上記支持軸8aの両端部を緩く係合させている。
そして、これら各支持軸8a、8の中間部周囲に、それ
ぞれが中間ローラであるウェッジローラ10及びガイド
ローラ11a、11bを、それぞれ軸受18(図10参
照。図11には省略。)により、回転自在に支持してい
る。尚、上記連結環9の一部は、上記蓋体5の内面(上
記ウェッジローラ10及びガイドローラ11a、11b
を設置した空間側の面で、図10の下面)の一部で上記
ウェッジローラ10及びガイドローラ11a、11bか
ら外れた位置に突設した、突部12の先端部に結合して
いる。
【0007】又、上記ハウジング3の内側で上記ウェッ
ジローラ10及びガイドローラ11a、11bを囲む部
分には、有底円筒状の外輪13を、回転自在に設けてい
る。この外輪13は、円筒部14と、この円筒部14の
一端(図10の下端)開口を塞ぐ円板部15とから成
る。このうち、請求項に記載した第二の摩擦面に相当す
る円筒部14の内周面は、平滑な円筒面として、やはり
平滑な円筒面とした、請求項に記載した第三の摩擦面に
相当する、上記ウェッジローラ10及びガイドローラ1
1a、11bの外周面と当接自在としている。又、上記
円板部15の外側面(上記ウェッジローラ10及びガイ
ドローラ11a、11bを設置した空間と反対側面で、
図10の下面)には、請求項に記載した第二の回転軸で
ある、出力軸16の基端部(図10の上端部)を結合固
定している。そしてこの出力軸16を、上記ハウジング
3を構成する本体4の中央部に設けた第二の通孔17に
挿通して、上記ハウジング3外に突出させている。尚、
上記出力軸16の基端寄り部分の外周面と上記第二の通
孔17の内周面との間には軸受18を設けて、上記外輪
13及び出力軸16を、上記ハウジング3に対し回転自
在に支持している。又、上記出力軸16の先半部(図1
0の下半部)で上記ハウジング3外に突出した部分に
は、ピニオン19を固定している。
【0008】上記ウェッジローラ10及びガイドローラ
11a、11bの外周面は、前記回転軸2の先端部外周
面と上記外輪13の内周面とに当接させている。但し、
上記回転軸2の中心と上記出力軸16及び外輪13の中
心とを偏心させている。即ち、前述の様に、上記回転軸
2を挿通する通孔6は、上記ハウジング3の中心から少
しだけ外れた位置に設けているのに対して、上記出力軸
16を挿通する第二の通孔17は、上記ハウジング3の
中心に設けている。又、この第二の通孔17の内側に支
持した出力軸16と外輪13とは互いに同心である。従
って、上記回転軸2と上記外輪13及び出力軸16と
は、上記通孔6のハウジング3の中心からのずれ量δ分
だけ、互いに偏心している。そして、上記回転軸2の外
周面と上記外輪13の内周面との間に存在して上記ウェ
ッジローラ10及びガイドローラ11a、11bが設け
られた環状空間20の幅寸法が、このδなる偏心量に見
合う分だけ、円周方向に亙り不同になっている。
【0009】この様に、上記環状空間20の幅寸法を円
周方向に亙り不同にした分、上記ウェッジローラ10及
びガイドローラ11a、11bの外径を異ならせてい
る。即ち、上記外輪13に対し回転軸2が偏心している
側(図11の左側)に位置するウェッジローラ10及び
ガイドローラ11a(小径ガイドローラ)の径を、互い
に同じとすると共に比較的小径にしている。これに対し
て、上記外輪13に対し回転軸2が偏心しているのと反
対側(図11の右側)に位置するガイドローラ11b
(大径ガイドローラ)の径を、ウェッジローラ10及び
ガイドローラ11aよりも大きくしている。そして、こ
れら3個の、それぞれが中間ローラであるウェッジロー
ラ10及びガイドローラ11a、11bの外周面を、上
記回転軸2の外周面と上記外輪13の内周面とに当接さ
せている。
【0010】尚、それぞれが中間ローラである、上記1
個のウェッジローラ10及び2個のガイドローラ11
a、11bのうち、ガイドローラ11a、11bを支持
した支持軸8、8は、前述の様に、上記ハウジング3内
に固定している。これに対して、ウェッジローラ10を
支持した支持軸8aは、やはり前述した様に上記ハウジ
ング3内に、このハウジング3の円周方向に亙る若干の
変位を自在に支持している。従って、上記ウェッジロー
ラ10も、上記ハウジング3内で、このハウジング3の
円周方向に変位自在である。そして、前記回転軸2が所
定方向に回転した場合に、上記1本の支持軸8aに回転
自在に支持したウェッジローラ10を、上記環状空間2
0の幅の狭い部分に向け移動自在としている。
【0011】即ち、図示の例では、上記回転軸2が図1
1に矢印イで示す様に、同図の時計方向に回転する様
に、構成各部の組み付け方向を規制している。従って、
前記電動モータ1から前記出力軸16に動力を取り出す
際には、上記ウェッジローラ10及びガイドローラ11
a、11bが、図11に矢印ロ、ロで示す様に、上記各
支持軸8a、8を中心に同図の反時計方向に回転し、上
記外輪13が同じく矢印ハで示す様に反時計方向に回転
する。この様に、上記1個のウェッジローラ10が矢印
ロで示す様に回転し、このウェッジローラ10を上記ハ
ウジング3の直径方向の内外両側から挟持した回転軸2
及び外輪13がそれぞれ矢印イ、ハに示す様に回転する
結果、上記ウェッジローラ10全体が、図11に矢印ニ
で示す様に、図11の時計方向に変位する傾向となる。
即ち、上記ウェッジローラ10は、矢印イ方向に回転す
る上記回転軸2から、上記矢印ニ方向の力を受け、ウェ
ッジローラ10が矢印ロ方向に回転する事で外輪13の
内周面との当接部から受ける反作用により、やはり上記
矢印ニ方向の力を受ける。この結果、上記回転軸2の回
転時に上記ウェッジローラ10が、上記環状空間20の
幅の狭い部分に向けて移動する傾向になる。
【0012】上述の様に構成するクラッチ機構付摩擦ロ
ーラ式変速機の場合、電動モータ1の回転軸2の回転
は、この回転軸2の外周面と、それぞれが中間ローラで
あるウェッジローラ10及びガイドローラ11a、11
bの外周面との当接部である、各内径側当接部21、2
1を介して、これらウェッジローラ10及びガイドロー
ラ11a、11bに伝わる。更に、これらウェッジロー
ラ10及びガイドローラ11a、11bの回転は、これ
らウェッジローラ10及びガイドローラ11a、11b
の外周面と上記外輪13の内周面との当接部である、各
外径側当接部22、22を介して、この外輪13に伝わ
る。そして、この外輪13に結合固定した前記出力軸1
6及びこの出力軸16に固定した前記ピニオン19が回
転する。
【0013】上記回転軸2及び外輪13が所定方向に回
転すると、1本の支持軸8aに回転自在に支持したウェ
ッジローラ10が、上記回転軸2の外周面と外輪13の
内周面との間に存在する環状空間20内で、この環状空
間20の幅の狭い部分に向け図11の矢印ニ方向に移動
する。この結果、上記1本の支持軸8aに回転自在に支
持したウェッジローラ10の外周面が、上記回転軸2の
外周面と外輪13の内周面とを強く押圧する。そして、
当該ウェッジローラ10の外周面と上記回転軸2の外周
面との当接部である内径側当接部21、及び、当該ウェ
ッジローラ10の外周面と外輪13の内周面との当接部
である外径側当接部22の当接圧が高くなる。
【0014】この様に、ウェッジローラ10に関する内
径側、外径側両当接部21、22の当接圧が高くなる
と、それぞれがこのウェッジローラ10の外周面により
押圧される部材である、上記回転軸2と外輪13とのう
ちの少なくとも一方の部材が、組み付け隙間、或は弾性
変形等に基づき、それぞれの直径方向に亙り僅かに変位
する。この結果、残り2個の中間ローラである、ガイド
ローラ11a、11bの外周面と上記回転軸2の外周面
との当接部である2個所の内径側当接部21、21、及
びこれら2個のガイドローラ11a、11bの外周面と
外輪13の内周面との当接部である2個所の外径側当接
部22、22の当接圧が高くなる。そして、クラッチ機
構が接続された状態になって、上記回転軸2から上記外
輪13に、効率良く回転力が伝達される。
【0015】これに対して、上記回転軸2が停止してい
るにも拘らず上記外輪13が図11の矢印ハ方向に回転
している場合、或は上記回転軸2の回転速度に見合う回
転速度(この回転速度と摩擦ローラ式変速機の変速比と
の積)よりも速い回転速度で上記外輪13が図11の矢
印ハ方向に回転している場合には、上記外輪13から上
記回転軸2に回転が伝わらない様にする。即ち、この場
合には、図11の矢印ハ方向に回転する上記外輪13に
より、上記ウェッジローラ10が同図の矢印ニと反対方
向に変位する。この結果、このウェッジローラ10の外
周面が上記回転軸2の外周面及び外輪13の内周面を押
圧しなくなり、上記内径側当接部21及び上記外径側当
接部22の当接圧が低下若しくは喪失する。そして、ク
ラッチ機構の接続が断たれた状態になって、上記外輪1
3から上記回転軸2に回転が伝わらなくなる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】上述の様に構成し作用
するクラッチ機構付摩擦ローラ式変速機の場合には、ク
ラッチ機構の接続を断った状態で外輪13が回転した場
合に、各ガイドローラ11a、11bの外周面と、この
外輪13の内周面又は回転軸2の外周面とが擦れ合う可
能性がある。即ち、従来構造の場合には、上記各ガイド
ローラ11a、11bの外周面と外輪13の内周面及び
回転軸2の外周面とが軽く当接する状態(摩擦係合によ
り回転力の伝達を行なえない状態)に組み立て、上記回
転軸2から外輪13への回転力の伝達時に、各部の弾性
変形に基づき、上記各ガイドローラ11a、11bの外
周面と外輪13の内周面及び回転軸2の外周面とが強く
当接し合う様にしていた。従って、クラッチ機構の接続
を断った状態で外輪13が回転すると、上記各ガイドロ
ーラ11a、11bの外周面が、上記外輪13の内周面
と上記回転軸2の外周面とのうちの少なくとも一方の周
面と(転がり接触ではなく)擦れ合う。
【0017】電動補助自転車の如く、低速{例えば出力
部の回転速度が600min-1(r.p.m.)程度}の場合には、
上述の様な擦れ合いが発生しても特に問題とはならな
い。これに対して、自動車用補機の回転駆動装置の様
に、高速(例えば出力部の回転速度が10,000min-1
度)で使用される機械装置の場合には、上述の様な擦れ
合いが発生すると、擦れ合い部で無視できない程の摩耗
(異常摩耗)が発生する。そして、この異常摩耗に伴っ
て、ローラ式摩擦変速機の内部で滑りや異音、或は焼き
付きが発生する等、上記機械装置の耐久性を十分に確保
できなくなる。本発明のクラッチ機構付摩擦ローラ式摩
擦変速機は、この様な事情に鑑みて発明したものであ
る。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明のクラッチ機構付
摩擦ローラ式変速機は、前述した従来から知られている
クラッチ機構付摩擦ローラ式変速機と同様に、第一の回
転軸と、この第一の回転軸の端部にこの第一の回転軸と
同心に設けられ、その外周面を第一の摩擦面とした中心
ローラと、内周面を第二の摩擦面としてこの中心ローラ
の周囲に、この中心ローラに対する相対回転を自在に設
けた外輪と、この外輪と同心で一端部をこの外輪に結合
固定した第二の回転軸と、上記第一の摩擦面と上記第二
の摩擦面との間の環状空間内に、上記第一の回転軸と平
行に配置された複数本の枢軸と、これら各枢軸により回
転自在に支持され、それぞれの外周面を第三の摩擦面と
した複数個の中間ローラとを備える。そして、上記第一
の回転軸の中心と上記第二の回転軸及び外輪の中心とを
偏心させる事により、上記環状空間の幅寸法を円周方向
に亙って不同にしている。又、上記複数個の中間ローラ
のうちの何れかの中間ローラを、少なくとも上記環状空
間の円周方向に関する変位自在に支持してウェッジロー
ラとすると共に、残りの中間ローラをガイドローラとし
ている。更に、上記第一の回転軸及び外輪が所定方向に
上記第一の回転軸と第二の回転軸との間の変速比に見合
う速度比で回転する場合に、上記ウェッジローラとなる
中間ローラを、上記環状空間の幅の狭い部分に向け移動
させる。
【0019】特に、本発明のクラッチ機構付摩擦ローラ
式変速機に於いては、上記ガイドローラとなる中間ロー
ラの外周面である第三の摩擦面は、上記ウェッジローラ
となる中間ローラが上記環状空間の幅の狭い部分に向け
移動し、このウェッジローラとなる中間ローラの外周面
である第三の摩擦面が上記第一の摩擦面及び第二の摩擦
面を強く押圧した状態で、これら第一の摩擦面及び第二
の摩擦面と摩擦係合する。これに対して、上記ウェッジ
ローラとなる中間ローラが上記環状空間の幅の広い部分
に向け移動し、このウェッジローラとなる中間ローラの
外周面である第三の摩擦面が上記第一の摩擦面及び第二
の摩擦面を強く押圧しない状態で、これら第一の摩擦面
と第二の摩擦面とのうちの少なくとも一方の円筒面から
離隔する。
【0020】
【作用】上述の様に構成する本発明のクラッチ機構付摩
擦ローラ式変速機が、第一の回転軸と第二の回転軸との
間で変速を行ないつつ回転力を伝達する際の作用、並び
にこの第一の回転軸の回転速度に見合う回転速度よりも
速い回転速度で上記第二の回転軸が回転している場合
に、この第二の回転軸から上記第一の回転軸に回転が伝
わらない様にする作用は、前述した従来のクラッチ機構
付摩擦ローラ式変速機の場合と同様である。特に、本発
明のクラッチ機構付摩擦ローラ式変速機の場合には、上
記第二の回転軸から上記第一の回転軸に回転が伝わらな
い様にすべく、ウェッジローラとなる中間ローラが環状
空間の幅の広い部分に向け移動した状態で、ガイドロー
ラとなる中間ローラの外周面である第三の摩擦面が、第
一の摩擦面と第二の摩擦面とのうちの少なくとも一方の
摩擦面と離隔する。この為、ガイドローラとなる中間ロ
ーラの外周面である第三の摩擦面が、上記第一、第二の
摩擦面と擦れ合う事がなくなり、これら各摩擦面に異常
摩耗が発生する事を防止できる。
【0021】
【発明の実施の形態】図1〜4は、請求項1〜2に対応
する、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、
以下の説明は、本発明のクラッチ機構付摩擦ローラ式変
速機を、自動車用の補機の回転駆動装置に組み込んだ場
合に就いて説明する。この回転駆動装置は、図示しない
モータ等を駆動源として、やはり図示しない補機を回転
駆動するものである。このモータのモータ軸が、請求項
に記載した第一の回転軸に相当する入力軸23となって
おり、この入力軸23の先端部24が、請求項に記載し
た中心ローラとして機能する。そして、請求項に記載し
た第一の摩擦面に相当する、上記先端部24の外周面
は、平滑な円筒面としている。そして、この先端部24
を覆う状態で、ハウジング3aを設けている。
【0022】このハウジング3aは、有底円筒状の本体
4aと、この本体4aの基端開口部を塞ぐ蓋体5aとか
ら成る。この蓋体5aの外周面には取付フランジ25を
設けており、使用時にはこの取付フランジ25により上
記ハウジング3aを、図示しないフレーム等に固定す
る。又、上記先端部24は、上記蓋体5aの略中央部に
形成した通孔6aを挿通して、上記ハウジング3a内に
挿入している。尚、この通孔6aは、後述する様に、上
記蓋体5aの中心から少しだけ外れた位置に設けてい
る。又、この通孔6aの内周面と上記入力軸23の中間
部外周面との間には、深溝型の玉軸受等の軸受7aを設
けている。尚、この軸受7aよりも上記入力軸23の中
央側(図1の左側)には、別の軸受26を設けて、この
入力軸23の中間部を支持している。
【0023】又、上記ハウジング3aの内側で上記先端
部24の周囲部分には、3本の支持軸8、8aを、それ
ぞれこの先端部24と平行に配置している。即ち、これ
ら各支持軸8、8aの一端部(図1の左端部)を上記蓋
体5aに支持すると共に、他端部(図1の右端部)を、
円輪状の連結環9aに支持している。尚、これら3本の
支持軸8、8aのうち、2本の支持軸8、8は、それぞ
れの両端部を上記蓋体5a及び連結環9aの互いに整合
する位置に設けた支持凹孔27a、27bに、後述する
外輪13aの直径方向の変位のみ自在に係合している。
この為に図示の例では、上記各支持凹孔27a、27b
を上記外輪13aの直径方向に長い矩形に形成すると共
に、これら各支持凹孔27a、27bの幅W27を、上記
各支持軸8の外径D8 よりも僅かに(0.005〜0.
02mm程度)大きくしている。従って、これら2本の支
持軸8、8は、上記ハウジング3a内で、直径方向に変
位する事はあっても円周方向に変位する事は殆どない。
更に、図示の例では、上記各支持凹孔27a、27bの
長さ方向両端部のうちで上記外輪13aの直径方向に関
して外径側端部と、当該支持凹孔27a、27b内に挿
入された上記各支持軸8、8の両端部との間に、圧縮コ
イルばね等の押圧ばね28、28を設けている。従って
上記各支持軸8、8は、他の力が加わらない限り、上記
外輪13aの直径方向内方に変位する。
【0024】これに対して、残り1本の支持軸8aは、
両端部を上記蓋体5a及び連結環9aに対し、上記ハウ
ジング3aの円周方向並びに直径方向の変位自在に支持
している。この為に、上記蓋体5a及び連結環9aの一
部で上記支持軸8aの両端部に整合する部分に、上記ハ
ウジング3aの円周方向に長く、且つこの支持軸8aの
外径D8aよりも十分に大きな幅W29(W29≫D8a)を有
する支持凹孔29a、29bを形成している。そして、
これら両支持凹孔29a、29bに、上記支持軸8aの
両端部を緩く係合させている。又、上記各支持凹孔29
a、29bの長さ方向両端部のうちで、後述する環状空
間20aの直径方向に関する幅が広い側の端部と、当該
支持凹孔29a、29b内に挿入された上記支持軸8a
の両端部との間に、圧縮コイルばね等の押圧ばね30を
設けている。従って上記支持軸8aは、他の力が加わら
ない限り、上記環状空間20aの直径方向に関する幅が
狭い側に変位する。
【0025】そして、上記各支持軸8a、8の中間部周
囲に、それぞれが中間ローラであるウェッジローラ10
及びガイドローラ11a、11bを、それぞれ軸受18
a、18a(図1参照。図3〜4には省略。)により、
回転自在に支持している。又、上記各ローラ10、11
a、11bの軸方向両端面と上記蓋体5a及び連結環9
aの内側面との間には、それぞれスラストニードル軸受
32、32を設けて、これら互いに対向する面同士が擦
れ合う事を防止している。尚、図示の例では、上記連結
環9aと上記蓋体5aとを、3本の連結ピン31、31
(図2参照、図3〜4には省略。)により、間隔をあけ
た状態で互いに平行に、連結固定している。これら各連
結ピン31、31は、上記ウェッジローラ10及びガイ
ドローラ11a、11bから外れた位置に配置してい
る。又、上記各連結ピン31、31の基端部(図1の左
端部)は、それぞれ上記蓋体5aに結合固定し、先端部
はそれぞれ上記連結環9aに形成した円孔に内嵌した状
態で、リベット状にかしめている。従って、上記蓋体5
aと連結環9aとは、分離不能に結合固定されている。
【0026】又、前記ハウジング3aの内側で上記ウェ
ッジローラ10及びガイドローラ11a、11bを囲む
部分には、有底円筒状の外輪13aを、回転自在に設け
ている。この外輪13aは、円筒部14aと、この円筒
部14aの一端(図1の右端)開口を塞ぐ円板部15a
とから成る。このうち、請求項に記載した第二の摩擦面
に相当する、円筒部14aの内周面は、平滑な円筒面と
して、やはり平滑に形成した、請求項に記載した第三の
摩擦面に相当する、上記ウェッジローラ10及びガイド
ローラ11a、11bの外周面と当接自在としている。
尚、これら各ローラ10、11a、11bの外周面に
は、クラウニングを施す事もできる。
【0027】又、上記円板部15aの外側面(上記ウェ
ッジローラ10及びガイドローラ11a、11bを設置
した環状空間20aと反対側面で、図1の右面)の中央
部には、請求項に記載した第二の回転軸である、出力軸
16aの基端部(図1の左端部)を結合固定している。
そしてこの出力軸16aを、上記ハウジング3aを構成
する本体4aの中央部に設けた第二の通孔17aに挿通
して、上記ハウジング3a外に突出させている。図示の
例では、上記円板部15aの外側面で上記第二の通孔1
7aを囲む位置に支持筒部33を設け、この支持筒部3
3の内周面と上記出力軸16aの基部外周面との間に、
深溝型或はアンギュラ型等、ラジアル荷重及びスラスト
荷重を支承自在な1対の軸受18a、18aを設けてい
る。従って上記外輪13a及び出力軸16aは、上記ハ
ウジング3aに対し、回転のみ自在に支持されている。
この為に、上記各軸受18a、18aの内輪を上記出力
軸16aに締り嵌めにより外嵌すると共に、これら各軸
受18a、18aの内輪の端面同士の間に内輪間座42
を挟持し、外輪の端面を、上記支持筒部33の先端部に
形成した内向フランジ状の鍔部43、或はこの支持筒部
33の基部内周面に係止した止め輪44に突き当ててい
る。更に、上記出力軸16aの先端部(図1の右端部)
で上記ハウジング3a外に突出した部分には、キー34
により、図示しない補機の回転軸、或はこの補機を駆動
する端のプーリ或は歯車を結合固定自在としている。
尚、上記出力軸16aの先端部に直接補機の回転軸を、
一体的に結合して、上記キー34を省略する事もでき
る。
【0028】上記ウェッジローラ10及びガイドローラ
11a、11bの外周面は、前記先端部24の外周面と
前記外輪13aの内周面とに当接させている。但し、こ
の先端部24の中心と上記出力軸16a及び外輪13a
の中心とを偏心させている。即ち、前述の様に、上記先
端部24を挿通する通孔6aは、上記ハウジング3aの
中心から少しだけ外れた位置に設けているのに対して、
上記出力軸16aを挿通する第二の通孔17aは、上記
ハウジング3aの中心に設けている。又、この第二の通
孔17aの内側に支持した出力軸16aと外輪13aと
は互いに同心である。従って、上記先端部24と上記外
輪13a及び出力軸16aとは、上記通孔6aのハウジ
ング3aの中心からのずれ量δ分だけ、互いに偏心して
いる。そして、上記先端部24の外周面と上記外輪13
aの内周面との間に存在して上記ウェッジローラ10及
びガイドローラ11a、11bが設けられた環状空間2
0aの幅寸法が、このδ分の偏心量に見合う分だけ、円
周方向に亙り不同になっている。
【0029】この様に、上記環状空間20aの幅寸法を
円周方向に亙り不同にした分、上記ウェッジローラ10
及びガイドローラ11a、11bの外径を異ならせてい
る。即ち、上記外輪13aに対し先端部24が偏心して
いる側(図3〜4の下側)に位置するウェッジローラ1
0及びガイドローラ11a(小径ガイドローラ)の径
を、互いに同じとすると共に比較的小径にしている。こ
れに対して、上記外輪13aに対し先端部24が偏心し
ているのと反対側(図3〜4の上側)に位置するガイド
ローラ11b(大径ガイドローラ)の径を、ウェッジロ
ーラ10及びガイドローラ11aよりも大きくしてい
る。そして、これら3個の、それぞれが中間ローラであ
るウェッジローラ10及びガイドローラ11a、11b
の外周面を、上記先端部24の外周面と上記外輪13a
の内周面とに当接自在としている。
【0030】尚、それぞれが中間ローラである、上記1
個のウェッジローラ10及び2個のガイドローラ11
a、11bのうち、ガイドローラ11a、11bを支持
した支持軸8、8は、前述の様に、上記ハウジング3a
内に、上記外輪13aの径方向の変位のみ自在に支持し
ている。これに対して、ウェッジローラ10を支持した
支持軸8aは、やはり前述した様に上記ハウジング3a
内に、円周方向及び直径方向の変位を自在に支持してい
る。従って、上記ウェッジローラ10も、上記ハウジン
グ3a内で、円周方向に変位自在である。そして、図示
しないモータにより前記先端部24が所定方向に回転し
た場合に、上記ウェッジローラ10を、上記環状空間2
0aの幅の狭い部分に向け移動自在としている。
【0031】即ち、図示の例では、上記モータにより上
記先端部24が、図4に矢印で示す様に、同図の反時
計方向に回転する様に、構成各部の組み付け方向を規制
している。従って、図示しない補機を駆動すべく、上記
モータに通電した状態では、上記ウェッジローラ10及
びガイドローラ11a、11bが、図4に矢印で示
す様に、上記各支持軸8a、8を中心に同図の時計方向
に回転し、上記外輪13aが同じく矢印で示す様に時
計方向に回転する。この様に、上記1個のウェッジロー
ラ10が矢印で示す様に回転し、このウェッジローラ
10を上記ハウジング3aの直径方向の内外両側から挟
持した先端部24及び外輪13aがそれぞれ矢印に
示す様に回転する結果、上記ウェッジローラ10全体
が、図4に矢印で示す様に、図4の反時計方向に変位
する傾向となる。即ち、上記ウェッジローラ10は、矢
印方向に回転する上記先端部24から、上記矢印方
向の力を受け、ウェッジローラ10が矢印方向に回転
する事で外輪13aの内周面との当接部から受ける反作
用により、やはり上記矢印方向の力を受ける。この結
果、上記先端部24の回転時に上記ウェッジローラ10
が、上記環状空間20aの幅の狭い部分に向けて移動す
る傾向になる。
【0032】更に、図示の例では、前記出力軸16aか
ら前記入力軸23に回転が伝わらない様にすべく、上記
ウェッジローラ10が前記環状空間20aの幅の広い部
分に向け移動した状態で、前記各ガイドローラ11a、
11bの外周面が前記外輪13aの内周面から確実に離
隔する様に、各部の寸法を規制している。即ち、上記入
力軸23を支持している前記1対の軸受7a、26同士
の間隔(ピッチ)L1、軸受7aから上記ウェッジロー
ラ10の中心までの距離L2 、上記入力軸23の外径D
23等の値並びに上記各軸受7a、26の諸元を規制す
る。そこで、これらの値等を決定する手順に就いて、簡
単に説明する。
【0033】先ず、上記ウェッジローラ10が上記入力
軸23を押圧する力Fc は、前記モータからこの入力軸
23に加えられるトルクにより求められる。そして、こ
の力Fc と上記各数値L1 、L2 、D23並びに上記各軸
受7a、26の諸元とから、上記入力軸23自身の弾性
変形並びにこれら各軸受7a、26の弾性変形の総和で
ある、この入力軸23の先端部24の変位量を求められ
る。そこで、例えばこの変位量が0.3mm程度になる様
に、上記各値等を決定する。そして、この値(0.3m
m)と、後述する動力遮断時に上記各ガイドローラ11
a、11bの外周面と前記外輪13aの内周面との間に
介在させるべき隙間35、35(図3)の大きさ(例え
ば0.05〜0.10mm)とを考慮しつつ、上記各数値
1 、L2、D23並びに上記各軸受7a、26の諸元を
決定する。そして、動力遮断時に上記各ガイドローラ1
1a、11bの外周面と上記外輪13aの内周面との間
に上記隙間35、35を確実に介在させる一方、動力伝
達時には上記各ガイドローラ11a、11bの外周面と
上記外輪13aの内周面とを、伝達トルクに見合った、
適切な荷重で当接させる様にする。
【0034】上述の様に構成する本例のクラッチ機構付
摩擦ローラ式変速機の作用は次の通りである。先ず、モ
ータにより補機を回転駆動する際には、このモータによ
り上記入力軸23を、図4に矢印で示す様に、同図の
反時計方向に回転させる。この入力軸23の先端部24
の回転は、この先端部24の外周面と、ウェッジローラ
10の外周面との当接部である、内径側当接部21を介
して、このウェッジローラ10に伝わる。更に、このウ
ェッジローラ10の回転は、このウェッジローラ10の
外周面と上記外輪13aの内周面との当接部である、外
径側当接部22を介して、この外輪13aに伝わる。そ
して、この外輪13aに結合固定した前記出力軸16a
が回転する。
【0035】上記先端部24及び外輪13aが所定方向
に回転すると上記ウェッジローラ10が、上記先端部2
4の外周面と外輪13aの内周面との間に存在する環状
空間20a内で、この環状空間20aの幅の狭い部分に
向け、図4の矢印方向に移動する。この結果、上記ウ
ェッジローラ10の外周面が、上記先端部24の外周面
と外輪13aの内周面とを強く押圧する。そして、当該
ウェッジローラ10の外周面と上記先端部24の外周面
との当接部である内径側当接部21、及び、当該ウェッ
ジローラ10の外周面と外輪13aの内周面との当接部
である外径側当接部22の当接圧が高くなる。
【0036】これら、1個のウェッジローラ10に関す
る内径側、外径側両当接部21、22の当接圧が高くな
ると、それぞれがこのウェッジローラ10の外周面によ
り押圧される部材である、上記先端部24と外輪13a
とのうちの少なくとも一方の部材が、組み付け隙間、或
は弾性変形等に基づき、それぞれの直径方向に関して僅
かに変位する。この結果、上記各ガイドローラ11a、
11bの外周面と上記先端部24の外周面との当接部で
ある2個所の内径側当接部21、21、及びこれら2個
のガイドローラ11a、11bの外周面と外輪13aの
内周面との当接部である2個所の外径側当接部22、2
2の当接圧が高くなる。そして、クラッチ機構が接続さ
れた状態になって、上記先端部24から上記外輪13a
に、効率良く回転力が伝達される。そして、前記モータ
の回転を前記補機に伝達する。即ち、トルク伝達時に
は、前記入力軸23及びこの入力軸23を支承している
軸受7a、26が弾性変形する事により、上記各ガイド
ローラ11a、11bが、上記入力軸23の先端部24
の外周面と上記外輪13aの円筒部14aの内周面と
に、伝達トルクに見合った適切な荷重で当接する。そし
て、上記ウェッジローラ10だけでなく、上記各ガイド
ローラ11a、11bも、トルク伝達に寄与する状態と
なる。
【0037】これに対して、モータの停止後も補機が慣
性力で回転する場合の様に、上記外輪13aが上記入力
軸23の回転速度に見合う速度、即ち、この入力軸23
の回転速度とローラ式変速機の変速比との積よりも速く
回転する様になると、クラッチ機構が断たれて、上記外
輪13aの回転が上記入力軸23に伝達されない状態と
なる。即ち、この状態では、この入力軸23に対して上
記外輪13aが、図3の矢印で示す様に、同図の時計
方向に相対回転する。この結果、上記ウェッジローラ1
0が、このウェッジローラ10に関する外径側当接部2
2に作用する摩擦力に基づき、上記外輪13aに引っ張
られる様にして、前記各押圧ばね30の弾力に抗し、前
記環状隙間20aの幅の広い部分に変位する。この結
果、上記ウェッジローラ10の外周面が前記先端部24
の外周面及び外輪13aの内周面を押圧しなくなり、上
記内径側当接部21及び上記外径側当接部22の当接圧
が低下若しくは喪失する。そして、クラッチ機構の接続
が断たれた状態になって、上記外輪13aから上記先端
部24に回転が伝わらなくなる。この状態では、上記ウ
ェッジローラ10の外周面は、上記外輪13aの内周面
と転がり接触し、上記先端部24の外周面からは離隔す
る。
【0038】特に、本発明のクラッチ機構付摩擦ローラ
式変速機に於いては、上述の様にクラッチ機構が断たれ
た状態で、前記各ガイドローラ11a、11bの外周面
と上記外輪13aの内周面とが完全に離隔する。即ち、
上記クラッチ機構が断たれ、上記ウェッジローラ10が
上記先端部24の外周面及び外輪13aの内周面を押圧
しない状態では、この先端部24及び外輪13aが弾性
的に復元して、図3に示した中立位置に戻る。そして、
上記各ガイドローラ11a、11bが、前記各押圧ばね
28、28に押されつつ、上記先端部24に追従する。
そして、上記各ガイドローラ11a、11bの外周面と
上記外輪13aの内周面との間に隙間35、35が生
じ、これら各ガイドローラ11a、11bの外周面と上
記外輪13aの内周面とが擦れ合う事がなくなる。この
結果、この外輪13aの内周面及び上記先端部24の外
周面と、上記各ローラ10、11a、11bの外周面と
が、転がり接触する事はあっても擦れ合う事がなくな
る。この為、各接触部に著しい摩耗が発生する事を防止
できる。
【0039】尚、図示の例とは逆に、上記各ガイドロー
ラ11a、11bを上記外輪13aの径方向外方に押圧
し、クラッチ機構が断たれた状態で、これら各ガイドロ
ーラ11a、11bの外周面と外輪13aの内周面に接
触させる事もできる。但し、この場合には、この外輪1
3aが回転している限り、上記各ガイドローラ11a、
11bが回転し続ける為、これら各ガイドローラ11
a、11aを支承している軸受18aの耐久性確保が難
しくなる等、クラッチ機構付摩擦ローラ式変速機の耐久
性確保を考慮した場合には好ましくない場合がある。
【0040】次に、図5〜6は、請求項3に対応する、
本発明の実施の形態の第2例を示している。尚、上述し
た第1例と本例とが異なる主要点は、クラッチ機構の接
続が断たれた状態で、第三の摩擦面であるガイドローラ
11bの外周面を、第二の摩擦面である外輪13aの内
周面から離隔させる機能を確実に行なわせる点にある。
その他の部分の構造及び作用は、基本的には上述した第
1例と同様であるから、同等部分に関する図示並びに説
明は、省略若しくは簡略にし、以下、上述した第1例と
異なる点を中心に説明する。尚、図示したうちで、上述
した第1例と同等部分には、同一符号を付す。
【0041】上記ガイドローラ11b及び図示しないも
う1個のガイドローラは、上述した第1例の場合と同様
の機構により、上記入力軸23a及び出力軸16bの回
転方向に関する変位を阻止された状態で、これら入力軸
23a及び出力軸16bの直径方向に関する変位自在
に、且つこの入力軸23aの先端部24aに向かう弾力
を付与された状態で支持されている。
【0042】又、上記出力軸16bをハウジング3aの
中心部に設けた支持筒部33の内側に、スリーブ36と
第一、第二の玉軸受37、38とにより、回転及び僅か
な揺動変位自在に支持している。図示の例では、これら
第一、第二の玉軸受37、38を、同じ呼び番号の、単
列深溝型玉軸受としており、それぞれシールリング付の
ものを使用している。上記スリーブ36は、上記支持筒
部33内に、十分な締り嵌めで内嵌固定しており、使用
時に上記第一、第二の玉軸受37、38の回転抵抗に基
づいて生じるトルクに拘らず、上記支持筒部33内で回
転しない様にしている。この理由は、上記スリーブ36
の内周面の円周方向一部に形成した、後述する凹部39
の位相がずれる事を防止する為である。尚、本例の場合
には、上記入力軸23aを蓋体5aの通孔6a内に支持
する為の軸受7bに就いても、シールリング付のものを
使用している。この様に各軸受37、38、7bとして
シールリング付のものを使用する事により、これら各軸
受37、38、7b内に充填したグリースがこれら各軸
受37、38、7b外に漏れ出すのを防止すると共に、
変速機の構成各部を潤滑する為にハウジング3a内に充
填した、トラクションオイル等の油がこのハウジング3
a外に漏れ出す事を防止している。
【0043】又、上記第一、第二の玉軸受37、38の
うちの第一の玉軸受37は、請求項3に記載した単列ラ
ジアル玉軸受に相当するもので、ラジアル隙間が小さい
(C2隙間程度の)ものを使用する。この様な第一の玉
軸受37は、その内輪を前記出力軸16bのうちで前記
外輪13aに近い基部に締り嵌めにより外嵌固定すると
共に、その外輪を、上記スリーブ36の中間部に締り嵌
めにより内嵌固定している。
【0044】一方、上記スリーブ36の内周面で上記外
輪13aから遠い側の端部(図5の右端部)には、大径
部40を形成している。この大径部40の内径は、他の
部分の内径よりも10〜数100μm程度大きい。そし
て、この大径部40の円周方向の一部に、この大径部4
0よりも更に直径方向外方に凹んだ、凹部39を形成し
ている。上記スリーブ36を前記支持筒部33に内嵌固
定した状態で、上記凹部39は、上記外輪13aの円周
方向に関して、ウェッジローラ10と反対側に位置させ
ている。請求項3に記載した転がり軸受に相当する、上
記第二の玉軸受38は、その内輪を上記出力軸16bに
締り嵌めにより外嵌固定しており、その外輪を上記大径
部40に、緩く(ラジアル方向に関して僅かな変位自在
に=隙間嵌により)内嵌している。
【0045】そして、上記第二の玉軸受38の一部外周
面と上記凹部39の底面との間に、請求項3に記載した
弾性材である、波板ばね41を、予圧を付与した状態で
挟持している。従って、上記出力軸16b及びこの出力
軸16bの基端部を結合した上記外輪13aは、他の力
(上記ウェッジローラ10による押し付け力)が加わら
ない限り、上記波板ばね41の弾力に基づき、第一の玉
軸受37を中心に、僅かに揺動変位する。
【0046】更に、上記出力軸16bの先端部で上記支
持筒部33から突出している部分には、駆動プーリ45
を外嵌固定している。そして、この駆動プーリ45と、
図示しない補機等の回転軸の端部に固定した従動プーリ
との間に、無端ベルト46を掛け渡している。この無端
ベルト46を掛け渡す方向は、上記波板ばね41の設置
位置との関係で規制する。又、この無端ベルト46の張
力は、上記波板ばね41の弾力との関係で規制する。即
ち、この無端ベルト46の張力の作用方向は、この波板
ばね41の弾力の作用方向と逆方向としている。又、こ
の張力の大きさは、上記入力軸23aから前記出力軸1
6bへのトルク伝達が行なわれ、この出力軸16bを回
転駆動するトルクが大きくなった状態で上記弾力よりも
大きくなり、上記入力軸23aと前記出力軸16bとの
間のトルク伝達が断たれ、この出力軸16bを回転駆動
するトルクが小さくなった状態、即ち、この出力軸16
bの回転速度が上記入力軸23aの回転速度とローラ式
変速機の変速比との積よりも早く回転する状態で、上記
弾力よりも小さくなる様に規制している。
【0047】上述の様に構成する本例のクラッチ機構付
摩擦ローラ式変速機の場合は、次の様に作用して、上記
入力軸23aから上記出力軸16bへの動力の非伝達時
に、前記ガイドローラ11bの外周面と前記外輪13a
の内周面とを離隔させる。尚、上記入力軸23aから上
記出力軸16bへの動力の伝達時の作用は、前述した第
1例の場合と同様である。
【0048】上記入力軸23aから上記出力軸16bへ
の動力の伝達を断つべく、摩擦ローラ式変速機に組み込
んだクラッチ機構が断たれ、上記ウェッジローラ10が
上記先端部24aの外周面及び外輪13aの内周面を押
圧しない状態では、前記駆動プーリ45に巻き掛けた無
端ベルト46がこの駆動プーリ45を引っ張る力Fが低
下する。即ち、この状態では、この駆動プーリ45が軽
い力で回転する様になる為、この無端ベルト46の引っ
張り側の張力f1 が小さくなる。上記無端ベルト46が
駆動プーリ45を引っ張る力Fは、この引っ張り側の張
力f1 と緩み側の力f2 との合力であるが、このうちの
緩み側の力f2 は何れにしろ小さいので、引っ張り側の
張力f1 が支配的である。従って、上記クラッチ機構が
断たれた状態では、上記無端ベルト46が駆動プーリ4
5を図5〜6の上方に引っ張る力Fは、上記クラッチ機
構が繋がれている場合に比べて十分に小さくなる。同時
に、上記ウェッジローラ10が上記外輪13aの内周面
を図5の下方に押圧する事もなくなる。
【0049】これらにより、上記クラッチ機構の接続時
に上記外輪13a及び出力軸16bに作用していた、前
記第一の玉軸受37を中心とする、図5で反時計方向の
モーメント荷重が低下する。そして、この反時計方向の
モーメント荷重が、前記波板ばね41に基づく、上記外
輪13a及び出力軸16bを上記第一の玉軸受37を中
心として図5で時計方向に揺動させようとするモーメン
ト荷重よりも小さくなる。この結果上記外輪13aが、
上記波板ばねの41の弾力に基づき、図5で上方に変位
する。一方、各ガイドローラ11bが、各押圧ばね2
8、28に押されつつ、前記入力軸23aの先端部24
aに追従する。そして、上記各ガイドローラ11bの外
周面と上記外輪13aの内周面との間に隙間が生じ、こ
れら各ガイドローラ11bの外周面と上記外輪13aの
内周面とが擦れ合う事がなくなる。この結果、前述した
第1例の場合と同様に、各接触部に著しい摩耗が発生す
る事を防止できる。
【0050】尚、本例の構造を実施する場合に、出力軸
16bの先端部に固定する、動力伝達用の部材は、図示
の様な駆動プーリ45に代えて、駆動歯車とする事もで
きる。この場合には、歯車の噛合に伴って上記出力軸1
6bに加わるモーメント荷重の方向を、上述の説明の場
合と同じになる様に、各部材の配置を規制する。更に、
本例の構造を実施する場合には、前記クラッチ機構が繋
がれて上記入力軸23aと前記出力軸16bとの間で動
力の伝達を行なう際に、この入力軸23aの中心軸と上
記外輪13aの中心軸とが正しく平行になる様に、構成
各部の寸法並びに形状精度を規制する。又、必要に応じ
て、上記各ガイドローラ11b及びウェッジローラ10
の外周面にクラウニングを施す。この理由は、これら各
ローラ11b、10の外周面と相手面との当接部にエッ
ジロードが発生するのを防止する為である。
【0051】次に、図7は、請求項4に対応する、本発
明の実施の形態の形態の第3例を示している。本例の場
合は、前述した第1例及び上述した第2例の場合と同様
に、外輪13aの側に出力軸16aを結合固定し、入力
軸23の先端部24を中心ローラとして、変速機を減速
機として使用する様にしている。本例の場合も、上述し
た第2例の場合と同様に、上記出力軸16aの回転速度
が、上記入力軸23の回転速度とローラ式変速機の変速
比との積よりも早く回転する状態になった場合に、第三
の摩擦面であるガイドローラ11bの外周面を第二の摩
擦面である外輪13aの内周面から、確実に離隔させる
機構を組み込んでいる。
【0052】本例の構造の特徴は、クラッチ機構の接続
が断たれた状態で、第三の摩擦面であるガイドローラ1
1bの外周面を、第二の摩擦面である外輪13aの内周
面から離隔させる機構を構成する為、上記入力軸23の
先端部24を径方向に変位させる様にした点である。こ
の為に本例の場合には、上記入力軸23の中間部をハウ
ジング3aの蓋体5aに対し支持する為の軸受7bを、
この蓋体5aに設けた通孔6a内に、緩く内嵌してい
る。即ち、この通孔6aのうちでその内径側に上記軸受
7bを配置する部分の内径を、この軸受7bを構成する
外輪の外径よりも100〜500μm程度大きくしてい
る。
【0053】又、上記通孔6aを囲む状態で上記蓋体5
aの外面(図7の左面)に設けた円筒部47の円周方向
の一部でウェッジローラ10と反対側位置に貫通孔48
を、この円筒部47の外周面と上記通孔6aの内周面と
を連通させる状態で形成している。そして、上記貫通孔
48内に挿入した圧縮コイルばね49の先端(図7の下
端)を上記軸受7bを構成する外輪の外周面に突き当て
ると共に、上記圧縮コイルばね49の基端を、上記貫通
孔48の開口部に螺着したねじ50により抑え付けてい
る。従って、上記入力軸23には、上記圧縮コイルばね
49により、上記ウェッジローラ10に向いた弾力が付
与されている。尚、上記円筒部47のうちで上記貫通孔
48を形成する部分の直径方向に関する肉厚は、他の部
分よりも大きくしている。又、上記通孔6aの内端部
(図7の右端部)にはシールリング51を設けて、前記
ハウジング3aの内外を密封し、このハウジング3a内
に充填したトラクションオイル、トラクショングリース
等の油が外部に漏洩する事を防止している。
【0054】上述の様に構成する本例のクラッチ機構付
摩擦ローラ式変速機の場合は、次の様に作用して、上記
入力軸23から出力軸16aへの動力の非伝達時に、前
記ガイドローラ11bの外周面と前記外輪13aの内周
面とを離隔させる。上記入力軸23から上記出力軸16
aへの動力の伝達を断つべく、摩擦ローラ式変速機に組
み込んだクラッチ機構が断たれ、上記ウェッジローラ1
0が上記先端部24の外周面及び外輪13aの内周面を
押圧しない状態では、このウェッジローラ10が上記先
端部24を図7の上方に押圧する事もなくなる。
【0055】この結果、この先端部24が、上記圧縮コ
イルばね49の弾力に基づいて、図7で下方に変位す
る。そして、各ガイドローラ11bが、各押圧ばね2
8、28に押されつつ、上記先端部24に追従する。こ
の為、上記各ガイドローラ11bの外周面と上記外輪1
3aの内周面との間に隙間が生じ、これら各ガイドロー
ラ11bの外周面と上記外輪13aの内周面とが擦れ合
う事がなくなる。この結果、前述した第1〜2例の場合
と同様に、各接触部に著しい摩耗が発生する事を防止で
きる。その他の構成及び作用は、前述した第1〜2例の
場合と同様である。
【0056】尚、本例の場合も、クラッチ機構が繋がれ
て上記入力軸23と上記出力軸16aとの間で動力の伝
達を行なう際に、この出力軸16aの中心軸と上記外輪
13aの中心軸とが正しく平行になる様に、構成各部の
寸法並びに形状精度を規制する。又、必要に応じて、上
記各ガイドローラ11b及びウェッジローラ10の外周
面にクラウニングを施して、これら各ローラ11b、1
0の外周面と相手面との当接部にエッジロードが発生す
るのを防止する。
【0057】次に、図8は、やはり請求項4に対応す
る、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例と
上述した第3例との相違点は、クラッチ機構の接続が断
たれた状態で、第三の摩擦面であるガイドローラ11b
の外周面を、第二の摩擦面である外輪13aの内周面か
ら離隔させる機構を構成し、入力軸23の先端部24を
径方向に変位させる部材を、圧縮コイルばね49(図
7)から永久磁石52に変えた点である。即ち、本例の
場合には、この永久磁石52と上記先端部24との間に
作用する磁気吸引力により、上記クラッチ機構の接続が
断たれた状態で、上記先端部24をウェッジローラ10
に追従させる様にしている。
【0058】この為本例の場合には、通孔6aを囲む状
態で蓋体5aの外面(図8の左面)に設けた円筒部47
の円周方向の一部で、ウェッジローラ10と同じ側位置
に、貫通孔48を、この円筒部47の外周面と上記通孔
6aの内周面とを連通させる状態で形成している。そし
て、上記貫通孔48内に挿入した上記永久磁石52を、
上記入力軸23を支持した軸受7bを構成する、SUJ
2等の磁性材製の外輪の外周面に、1mm以下の微小隙間
を介して近接対向させている。そして、上記永久磁石5
2を、上記貫通孔48の開口部に螺着したねじ50aに
より抑え付けて、上記貫通孔48からの抜け止めを図っ
ている。従って、上記入力軸23には、上記永久磁石5
2により、上記ウェッジローラ10に向いた弾力(磁気
吸引力)が付与されている。尚、上記貫通孔48の内径
側開口端部には、内向フランジ状の鍔部53を設け、こ
の鍔部53により、上記永久磁石52が上記貫通孔48
内に抜け出る事を防止している。
【0059】上述の様に構成する本例の場合、前述した
第3例の場合とほぼ同様の作用により、上記入力軸23
から出力軸16aへの動力の非伝達時に、前記ガイドロ
ーラ11bの外周面と前記外輪13aの内周面とを離隔
させる。即ち、摩擦ローラ式変速機に組み込んだクラッ
チ機構が断たれると、上記先端部24が上記永久磁石5
2の磁気吸引力に基づいて、図8で下方に変位し、各ガ
イドローラ11bが、各押圧ばね28、28に押されつ
つ、上記先端部24に追従する。そして、上記各ガイド
ローラ11bの外周面と上記外輪13aの内周面との間
に隙間が生じ、これら各ガイドローラ11bの外周面と
上記外輪13aの内周面とが擦れ合う事がなくなる。こ
の結果、前述した第1〜3例の場合と同様に、各接触部
に著しい摩耗が発生する事を防止できる。
【0060】次に、図9は、やはり請求項4に対応す
る、本発明の実施の形態の第5例を示している。本例と
上述した第4例との相違点は、クラッチ機構の接続が断
たれた状態で、第三の摩擦面であるガイドローラ11b
の外周面を、第二の摩擦面である外輪13aの内周面か
ら離隔させる機構を構成し、上記入力軸23の先端部2
4を径方向に変位させる部材を、永久磁石52(図8)
から電磁石54に変えた点である。即ち、本例の場合に
は、この電磁石54と上記先端部24との間に作用する
磁気吸引力により、上記クラッチ機構の接続が断たれた
状態で、上記先端部をウェッジローラ10に追従させる
様にしている。
【0061】この為に本例の場合には、通孔6aを囲む
状態で蓋体5aの外面(図8の左面)に設けた円筒部4
7の円周方向の一部で、ウェッジローラ10と同じ側位
置に、貫通孔48を、この円筒部47の外周面と上記通
孔6aの内周面とを連通させる状態で形成している。そ
して、上記貫通孔48内に上記電磁石54を装着してい
る。この電磁石54は、磁性材を燒結する事により構成
した、軸方向中間部が小径で軸方向両端部が大径である
ポールピース55にコイル56を巻回して成る。この様
な電磁石54は、上記通孔6a内に螺着するねじ50b
のねじ部の内側に、このねじ部の先端面に開口する状態
で形成した空間部分に、合成樹脂に包埋した状態で保持
している。そして、上記ねじ50bを上記通孔6aに螺
着した状態で、上記電磁石54を、上記先端部24を設
けた入力軸23を支持した磁性材製の外輪7aの外周面
に、1mm以下の微小隙間を介して近接対向させている。
【0062】上述の様に構成する本例の場合、前述した
第4例の場合とほぼ同様の作用により、上記入力軸23
から出力軸16aへの動力の非伝達時に、前記ガイドロ
ーラ11bの外周面と前記外輪13aの内周面とを離隔
させる。但し、本例の場合には、上記動力の伝達時に
は、上記電磁石54への通電は行なわず、この動力の非
伝達時に、この電磁石54に通電する。この電磁石54
への通電制御は、例えば上記入力軸23と出力軸16a
との回転速度の比が所定値(摩擦ローラ式変速機の変速
比)であるか否かにより行なう。
【0063】
【発明の効果】本発明のクラッチ機構付摩擦ローラ式変
速機は、以上に述べた通り構成し作用する為、ガイドロ
ーラとなる中間ローラと相手面とが擦れ合う事を防止し
て、著しい摩耗が発生する事を防止できる。この為、エ
ンジン用の補機の様に、高速運転される条件下でも、十
分な耐久性を確保して、クラッチ機構付摩擦ローラ式変
速機を組み込んだ補機駆動装置の実用化に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の第1例を示す断面図。
【図2】図1のA−A断面図。
【図3】クラッチ機構の接続が断たれている状態を示
す、図1の略B−B断面に相当する図。
【図4】同じくクラッチ機構が接続されている状態を示
す、図1の略B−B断面に相当する図。
【図5】本発明の実施の形態の第2例を示す断面図。
【図6】駆動プーリへの無端ベルトの巻き掛け状態を、
図5の右方から見た状態で示す図。
【図7】本発明の実施の形態の第3例を示す断面図。
【図8】同第4例を示す断面図。
【図9】同第5例を示す断面図。
【図10】従来構造の1例を示す断面図。
【図11】一部を省略して示す、図10のC−C断面
図。
【符号の説明】
1 電動モータ 2 回転軸 3、3a ハウジング 4、4a 本体 5、5a 蓋体 6、6a 通孔 7、7a、7b 軸受 8、8a 支持軸 9、9a 連結環 10 ウェッジローラ 11a、11b ガイドローラ 12 突部 13、13a 外輪 14、14a 円筒部 15、15a 円板部 16、16a、16b 出力軸 17、17a 第二の通孔 18、18a 軸受 19 ピニオン 20、20a 環状空間 21 内径側当接部 22 外径側当接部 23、23a 入力軸 24、24a 先端部 25 取付フランジ 26 軸受 27a、27b 支持凹孔 28 押圧ばね 29a、29b 支持凹孔 30 押圧ばね 31 連結ピン 32 スラストニードル 33 支持筒部 34 キー 35 隙間 36 スリーブ 37 第一の玉軸受 38 第二の玉軸受 39 凹部 40 大径部 41 波板ばね 42 内輪間座 43 鍔部 44 止め輪 45 駆動プーリ 46 無端ベルト 47 円筒部 48 貫通孔 49 圧縮コイルばね 50、50a、50b ねじ 51 シールリング 52 永久磁石 53 鍔部 54 電磁石 55 ポールピース 56 コイル

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第一の回転軸と、この第一の回転軸の端
    部にこの第一の回転軸と同心に設けられ、その外周面を
    第一の摩擦面とした中心ローラと、内周面を第二の摩擦
    面としてこの中心ローラの周囲に、この中心ローラに対
    する相対回転を自在に設けた外輪と、この外輪と同心で
    一端部をこの外輪に結合固定した第二の回転軸と、上記
    第一の摩擦面と上記第二の摩擦面との間の環状空間内
    に、上記第一の回転軸と平行に配置された複数本の枢軸
    と、これら各枢軸により回転自在に支持され、それぞれ
    の外周面を第三の摩擦面とした複数個の中間ローラとを
    備え、上記第一の回転軸の中心と上記第二の回転軸及び
    外輪の中心とを偏心させる事により、上記環状空間の幅
    寸法を円周方向に亙って不同にし、上記複数個の中間ロ
    ーラのうちの何れかの中間ローラを、少なくとも上記環
    状空間の円周方向に関する変位自在に支持してウェッジ
    ローラとすると共に、残りの中間ローラをガイドローラ
    とし、上記第一の回転軸及び外輪が所定方向に上記第一
    の回転軸と第二の回転軸との間の変速比に見合う速度比
    で回転する場合に、上記ウェッジローラとなる中間ロー
    ラを、上記環状空間の幅の狭い部分に向け移動させるク
    ラッチ機構付摩擦ローラ式変速機に於いて、上記ガイド
    ローラとなる中間ローラの外周面である第三の摩擦面
    は、上記ウェッジローラとなる中間ローラが上記環状空
    間の幅の狭い部分に向け移動し、このウェッジローラと
    なる中間ローラの外周面である第三の摩擦面が上記第一
    の摩擦面及び第二の摩擦面を強く押圧した状態で、これ
    ら第一の摩擦面及び第二の摩擦面と摩擦係合し、上記ウ
    ェッジローラとなる中間ローラが上記環状空間の幅の広
    い部分に向け移動し、このウェッジローラとなる中間ロ
    ーラの外周面である第三の摩擦面が上記第一の摩擦面及
    び第二の摩擦面を強く押圧しない状態で、これら第一の
    摩擦面と第二の摩擦面とのうちの少なくとも一方の摩擦
    面から離隔する事を特徴とするクラッチ機構付摩擦ロー
    ラ式変速機。
  2. 【請求項2】 第一の回転軸が入力軸であり、第二の回
    転軸が出力軸であり、ガイドローラとなる中間ローラ
    は、これら両回転軸の回転方向に関する変位を阻止され
    た状態で、これら両回転軸の直径方向に関する変位自在
    に、且つ中心ローラに向かう弾力を付与された状態で支
    持されている、請求項1に記載したクラッチ機構付摩擦
    ローラ式変速機。
  3. 【請求項3】 ガイドローラとなる中間ローラは、第
    一、第二の回転軸の回転方向に関する変位を阻止された
    状態で、これら両回転軸の直径方向に関する変位自在
    に、且つ中心ローラに向かう弾力を付与された状態で支
    持されており、上記第二の回転軸のうちで外輪に近い基
    部が、単列ラジアル玉軸受により、回転及び揺動変位自
    在に支持されており、上記第二の回転軸のうちで上記単
    列ラジアル玉軸受よりも上記外輪から離れた部分が、固
    定の部分に対しラジアル方向に関して変位自在に支持さ
    れた転がり軸受により回転自在に支持されており、この
    転がり軸受は、上記固定の部分との間に設けられた弾性
    材によって所定のラジアル方向に弾性的に押圧されてお
    り、ウェッジローラとなる中間ローラの外周面である第
    三の摩擦面が第一の摩擦面及び第二の摩擦面を強く押圧
    せず、上記弾性材の弾力に基づいて上記第二の回転軸に
    結合固定された上記外輪がラジアル方向に変位した状態
    で、ガイドローラとなる中間ローラの外周面である第三
    の摩擦面が第二の摩擦面から離隔する、請求項1〜2の
    うちの何れかに記載したクラッチ機構付摩擦ローラ式変
    速機。
  4. 【請求項4】 ガイドローラとなる中間ローラは、第
    一、第二の回転軸の回転方向に関する変位を阻止された
    状態で、これら両回転軸の直径方向に関する変位自在
    に、且つ中心ローラに向かう弾力を付与された状態で支
    持されており、第一の回転軸の中間部で中心ローラ寄り
    部分を固定の部分に、この固定の部分に対しラジアル方
    向の変位自在に支持された転がり軸受により回転自在に
    支持すると共に、この転がり軸受をラジアル方向に変位
    させる変位手段を設けており、ウェッジローラとなる中
    間ローラの外周面である第三の摩擦面が第一の摩擦面及
    び第二の摩擦面を強く押圧せず、上記変位手段が上記転
    がり軸受を介して上記第一の回転軸をラジアル方向に変
    位させた状態で、ガイドローラとなる中間ローラの外周
    面である第三の摩擦面が第二の摩擦面から離隔する、請
    求項1〜2のうちの何れかに記載したクラッチ機構付摩
    擦ローラ式変速機。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004008002A1 (ja) * 2002-07-12 2004-01-22 Nsk Ltd. 摩擦ローラ式変速機

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