JP2001234103A - 印刷インキ用樹脂ワニスの製造方法 - Google Patents

印刷インキ用樹脂ワニスの製造方法

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JP2001234103A JP2000046136A JP2000046136A JP2001234103A JP 2001234103 A JP2001234103 A JP 2001234103A JP 2000046136 A JP2000046136 A JP 2000046136A JP 2000046136 A JP2000046136 A JP 2000046136A JP 2001234103 A JP2001234103 A JP 2001234103A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 印刷インキ用樹脂として、その合成過程で樹
脂原料にホルムアルデヒドを使用しない樹脂であり、同
時に、高分子量、高粘度、高軟化点の特性を有し、印刷
適性が優れた樹脂を含むワニスを、簡便にかつ経済的に
製造する方法の提供。 【解決手段】 ロジン類、α,β−不飽和カルボン酸ま
たはその無水物、脂肪族多塩基酸、多価アルコールとを
インキ溶剤を含む系内で加熱反応させて、印刷インキ用
樹脂を合成するとともに、得られた樹脂とインキ溶剤と
の均一な混合がなされ、印刷インキ用樹脂ワニスの調製
がなされる。加熱反応の際、必要に応じて乾性油および
/またはゲル化剤を反応系に添加することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オフセット印刷に
おいて要求される優れたインキ特性を有し、かつ極めて
経済的な印刷インキ用樹脂を含んでなる印刷インキ用樹
脂ワニスの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】オフセット印刷は、多様な印刷原版の印
刷が可能である利点を持ち、その利点から、広く用いら
れている代表的な印刷方式である。このオフセット印刷
方式には、熱によってインキを乾燥させるヒートセット
式のオフセット輪転印刷と乾性油を触媒に用いて硬化、
乾燥させる枚葉式印刷の二種の方式がある。オフセット
印刷に用いられるインキでは、それを構成する樹脂とし
て、天然物であるロジンを、フェノール樹脂、特にレゾ
ール樹脂で変性したロジン変性フェノール樹脂が広く用
いられている(特開平9−268211号公報等を参
照)。
【0003】このロジン変性フェノール樹脂は、ロジン
を樹脂骨格中に有しているため、顔料との濡れ性が向上
し、顔料が均一分散しやすいという利点を有している。
このロジンをフェノール樹脂で変性している理由は、ロ
ジン自体は、高分子重合を起こさないモノカルボン酸類
であるため、樹脂に必要な架橋構造を導入する必要があ
り、フェノール樹脂で変性することにより、架橋構造の
導入を図ったものである。さらに、フェノール樹脂の合
成には、主原料のフェノール類とホルムアルデヒドを、
アルカリ又は酸触媒を用いて反応させる方法が用いられ
ている。そのため、ロジン変性フェノール樹脂の合成過
程では、ホルムアルデヒドは合成上必須な構成成分とな
っている。また、フェノール樹脂、具体的には、レゾ−
ル樹脂には、ホルムアルデヒドに由来する末端メチロー
ル基が存在している。
【0004】ところで、ヒートセット式のオフセット印
刷では、印刷工程中、インキ乾燥など、インキにかなり
の熱がかかる工程がある。この加熱の際、ロジン変性フ
ェノール樹脂中に、未反応のホルムアルデヒドが僅かで
も残存していれば、ホルムアルデヒドの飛散が起こる可
能性がある。また、例えば、レゾール樹脂の末端メチロ
ール基に由来するホルムアルデヒドなど、樹脂骨格より
遊離するホルムアルデヒドの飛散が起こる可能性も、必
ずしも否定することはできない。このホルムアルデヒド
は、シックハウス問題等で、大きな関心が寄せられてい
る化学物質過敏症を引き起こす原因化合物の一つである
と、指摘を受けている。
【0005】上記の理由により、印刷インキ用に用いら
れる樹脂でも、ホルムアルデヒドの遊離を抑えた樹脂の
使用が望まれ、その開発が急がれている。ホルムアルデ
ヒドの遊離を抑える手段としては、従来から検討と改良
が進められている幾つかの方法がある。例えば、ホルム
アルデヒドを含有する樹脂系に、ホルムアルデヒド捕捉
能を有する添加剤、いわゆるキャッチャーを添加する方
法などである。また、発想の転換を図って、ホルムアル
デヒドを合成過程で使用しない樹脂を用いることで、ホ
ルムアルデヒド遊離の問題を回避することも考えられ
る。
【0006】しかしながら、前者のキャッチャーを添加
する方法では、インキ化したとき、要望される作業性を
保つように、添加率を調整するのは容易ではない。そも
そも、キャッチャ−の添加は、僅かに残留している未反
応ホルムアルデヒドに対しては有効な手段ではあるが、
レゾール樹脂の末端メチロール基が脱離することに由来
するホルムアルデヒドなど、経時的に徐々に遊離してく
るものは、キャッチャーのみで捕捉すること自体、相当
に難しい。
【0007】一方、後者のホルムアルデヒドを合成過程
で使用しない樹脂への転換は、本質的な解決策ではある
ものの、現状では、インキ用樹脂としての特性を一応満
足する樹脂ですら、限られた数しかない。インキ用樹脂
では、顔料との濡れ性から、ロジン骨格をその構成要素
として含有することが好ましい。ロジン骨格を含み、ホ
ルムアルデヒドを合成過程で使用しない樹脂の一つに、
ロジンの多価アルコ−ルエステル類があり、特定用途の
インキ用樹脂として使用されている。すなわち、このロ
ジンと多価アルコ−ルのエステル化反応により得られた
樹脂は、高分子量化が不十分なため、広い用途を持つイ
ンキ調製に適用する樹脂としては、その樹脂粘度がなお
低く、特定用途にしか利用できないものである。従っ
て、前記ロジンの多価アルコールエステル類など、現在
知られているホルムアルデヒドを合成過程で使用しない
樹脂は、広い用途を持つインキ調製に適用を図る上で
は、今後さらなる改良・解決すべき問題点を残してい
る。
【0008】前記の課題に加えて、近年の印刷界では、
生産性向上の動きに対応して、印刷機の高速化が進んで
おり、それに伴って耐ミスチング性、乾燥性向上等の高
速印刷適性に優れたインキ用樹脂が望まれている。この
高速印刷に適したインキは、高粘度で、適度な溶剤離脱
性があり、乳化適性の良好なインキと理解できる。この
ようなインキ設計を可能にする樹脂は、高分子量、高粘
度かつ高軟化点という樹脂特性を有する必要がある。
【0009】しかし、このような高分子量、高粘度、高
軟化点の樹脂を製造するに際し、従来の塊状重合法によ
る製造法を用いると、溶融粘度の高まりによる撹拌負荷
の増加ならびに、製造後、反応容器内からの製品取りだ
しの困難さ等、高粘度、高軟化点に由来する問題が生じ
る。その結果、実用上、従来の塊状重合法により製造し
得る樹脂の分子量、軟化点、粘度に限界が生じている。
また、従来の塊状重合法では、溶融粘度が高くなるに伴
って溶融樹脂の流動性が低下するため、反応速度に局部
的な差が生じ、得られる樹脂の分子量分布にばらつきが
生じやすくなる。
【0010】さらに、高速化してきた印刷機に対応する
ための手段として、樹脂自体の高分子量、高粘度、高軟
化点化とともに、インキ溶剤中に樹脂を均一に混和・溶
解させる必要もあり、従って、インキ溶剤に対する溶解
性を高めることが望ましい。しかしながら、従来の塊状
重合法により製造される樹脂では、インキ溶剤との均一
な混和を行う上に望まれる物性にも限界があり、将来的
には充分な印刷適性が得られないことが懸念される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上述するように、印刷
インキ樹脂自体、その合成にホルムアルデヒドを用いな
いことに加え、印刷機の高速化に適合するため、より高
粘度であって、しかも、インキ溶剤に対する溶解性に優
れたものが今後ますます望まれている。実際には、印刷
インキ樹脂は、インキを調製するに際し、インキ溶媒と
混合して液状化して樹脂ワニスの形状とされる。従っ
て、今後ますます高分子量、高軟化点化が進み、より高
粘度を示す樹脂であっても、容易にその合成ができ、ま
た、その印刷インキ樹脂を含む樹脂ワニスをより簡易な
工程で効率よく調製する方法の開発が必要となってい
る。
【0012】本発明は、上記の課題を解決するもので、
本発明の目的は、ホルムアルデヒドを合成過程で使用し
ない樹脂または樹脂組成物を含む印刷インキ用樹脂ワニ
スであり、その樹脂自体は、高分子量、高軟化点、イン
キ溶剤に対する溶解性に優れ、かつ高粘度なこの樹脂成
分をビヒクルとし、高速印刷適性が優れた新規な印刷イ
ンキに適するような、印刷インキ用樹脂ワニスの製造方
法を提供することにある。より具体的には、本発明の目
的は、その合成において、ホルムアルデヒドを原料とし
て用いず、あるいは、加熱した際、容易にホルムアルデ
ヒドとして遊離するメチロール基を含まない樹脂であ
り、同時に、高速印刷適性に対応するため、高分子量、
高軟化点かつ高粘度な印刷インキ用樹脂または樹脂組成
物を含む樹脂ワニスを容易に製造する方法を提供するこ
とにある。すなわち、本発明の目標とするワニスに含ま
れる印刷インキ用樹脂は、現状オフセット印刷用インキ
の調製に利用されているロジン変性フェノール樹脂を代
替できる特性、すなわち、ロジン変性フェノール樹脂と
比較して、遜色の無い樹脂粘度又は分子量を持ちつつ、
その合成において、ホルムアルデヒドを原料として用い
ず、あるいは、加熱した際、容易にホルムアルデヒドと
して遊離するメチロール基を含まない樹脂であり、この
高粘度の樹脂を含むワニスである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の課
題を解決すべく、ホルムアルデヒドを原料として用いな
い新規な印刷インキ用樹脂とその製造方法、さらに、そ
の印刷インキ用樹脂を含むワニスの調製方法に関して、
鋭意研究を進めた。特に、用いる印刷インキ用樹脂がよ
り高分子量、高軟化点かつ高粘度となった際に、容易に
樹脂製造とワニスへの調製を行う方法に着目して研究を
進めた。その結果、ロジン類、α、β−不飽和カルボン
酸、脂肪族多塩基酸および多価アルコールとを加熱反応
させることで製造される樹脂は、ホルムアルデヒドを原
料として用いておらず、また、高分子量、高軟化点かつ
高粘度の樹脂であることを見出した。さらに、前記の加
熱反応に際して、樹脂原料をインキ溶剤を含む反応系内
で反応させることにより、従来の塊状重合法によって同
種の反応を行って得られる樹脂に比べ、製造可能な樹脂
に関して、一層の高分子量、高軟化点かつ高粘度化を達
成できることを見出した。加えて、前記の一層、高分子
量、高軟化点かつ高粘度化した樹脂は、反応系内に存在
するインキ溶剤と均一に混和され、樹脂ワニスへの調製
がなされている利点をも持つ。本発明はこれらの知見に
基づいて完成されたものである。
【0014】すなわち、本発明の印刷インキ用樹脂ワニ
スの製造方法は、ロジン類、α,β−不飽和カルボン酸
またはその無水物、脂肪族多塩基酸、多価アルコールと
を、インキ溶剤を含む系内で加熱反応させて、前記イン
キ溶剤中に得られる印刷インキ用樹脂を含むワニスに調
製することを特徴とする印刷インキ用樹脂ワニスの製造
方法である。なお、加熱反応時に、樹脂原料のロジン
類、α,β−不飽和カルボン酸またはその無水物、脂肪
族多塩基酸、多価アルコ−ルの重量総和に対して、0.
1%〜2%の2価金属化合物を添加するとより好まし
い。また、本発明の製造方法で調製する印刷インキ用樹
脂ワニスは、前記加熱反応で生成する樹脂に加えて、石
油樹脂を付加的な成分として含有してもよい。従って、
加熱反応時に、さらに石油樹脂を存在させることもでき
る。あるいは、本発明の製造方法で調製する印刷インキ
用樹脂ワニスは、それを用いて調製される印刷インキに
おいて、樹脂と混合されるべき乾性油をも予め混合した
ワニスとしてもよい。従って、加熱反応時、反応系が乾
性油を含む構成としてもよい。加えて、本発明の製造方
法で調製する印刷インキ用樹脂ワニスは、印刷インキの
調製に用いる前にゲル化処理を施すことも多い。その点
から、ワニス調製の過程において、ゲル化処理もなされ
る構成とすることもでき、具体的には、加熱反応させて
得られる樹脂生成物に対して、さらに反応系にゲル化剤
を加えてゲル化処理する工程を設ける構成とすることも
できる。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明では、目的とする樹脂を含
んでなる印刷インキ用樹脂ワニスを得るため、印刷イン
キ用樹脂の原料となる、ロジン類、α,β−不飽和カル
ボン酸またはその無水物、脂肪族多塩基酸、多価アルコ
ールとを、ワニスの調製に用いるインキ溶剤を含む系内
で、加熱反応を行わせて樹脂とし、同時にインキ溶剤と
の混和を行い樹脂ワニスとする。
【0016】本発明の印刷インキ用樹脂ワニスに含まれ
る樹脂の原料のうち、ロジン類としては、例えば、ガム
ロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、水素添加ロジ
ン、不均化ロジン、重合ロジン、これらの変性物などを
用いることができる。
【0017】α,β−不飽和カルボン酸またはその無水
物としては、アルダーのエン反応またはディールズ−ア
ルダー反応において利用される種々のα,β−不飽和カ
ルボン酸またはその無水物を用いることができる。なか
でも、主鎖が炭素数3〜5の鎖状α,β−不飽和モノカ
ルボン酸、α,β−不飽和ジカルボン酸またはその無水
物、あるいは、前記鎖状α,β−不飽和モノカルボン酸
等の炭素−炭素二重結合と共役しえる芳香環が置換して
いる置換鎖状α,β−不飽和モノカルボン酸等が好まし
い。例えば、アクリル酸(2−プロペン酸)、メタクリ
ル酸(α−メチルアクリル酸)、マレイン酸(cis-ブテ
ン二酸)、無水マレイン酸、フマル酸(trans-ブテン二
酸)、イタコン酸(メチレンコハク酸)、無水イタコン
酸、クロトン酸(trans-2−ブテン酸)などの炭素数3
〜5の鎖状α,β−不飽和モノカルボン酸、α,β−不飽
和ジカルボン酸またはその無水物、あるいは、ケイ皮酸
(3−フェニル−2−プロペン酸)などのように前記炭素
数3〜5の鎖状α,β−不飽和モノカルボン酸、α,β−
不飽和ジカルボン酸に対して、芳香環が置換している置
換鎖状α,β−不飽和モノカルボン酸またはα,β−不飽
和ジカルボン酸等をより好ましいα,β−不飽和カルボ
ン酸またはその無水物等の例として挙げることができ
る。前記ロジン類100重量部に対して、α,β−不飽
和カルボン酸またはその無水物1〜15重量部、より好
ましくは3〜12重量部を用いて、前記の加熱反応を行
う。すなわち、ロジン類の主成分であるアビエチン酸と
その類縁体1分子に対して、α,β−不飽和カルボン酸
またはその無水物を、0.01〜0.6分子の割合、好
ましくは、0.1〜0.5分子の割合で用いることが好
ましい。
【0018】本発明の樹脂調製に利用される脂肪族多塩
基酸は、主として、多価アルコ−ルとエステル結合を形
成して、樹脂の架橋構造の一部となる。従って、種々の
脂肪族ポリカルボン酸類を利用できるが、炭素数2〜3
2の直鎖アルカン二酸またはその無水物が好ましく、例
えば、コハク酸(ブタン二酸)、アジピン酸(ヘキサン
二酸)、アゼライン酸(1,7−ヘプタンジカルボン
酸)、セバシン酸(1,8−オクタンジカルボン酸)なら
びにこれらの無水物、例えば、無水コハク酸などはより
好ましい。さらには、ダイマー酸、トリマー酸、不飽和
脂肪酸とα,β−不飽和カルボン酸の反応で得られるダ
イアシッドまたは不飽和脂肪酸付加体等、もしくはこれ
らに対応する酸無水物等も、同様に好ましいものとして
挙げることができる。例えば、ダイマー酸、トリマー酸
は、種々の不飽和脂肪酸を二量化、三量化したものであ
るが、植物油に由来するオレイン酸などを原料とし、比
較的高分子量のものが利用され、市販されているダイマ
−酸、商品名ハリダイマー DA−270S、DA−2
50、DA−200K(ハリマ化成(株)製)等を利用
することができる。これらの脂肪族多塩基酸を分子内に
含むことで、インキ用溶剤への溶解性向上を図る作用を
も有する必須構成成分である。なお、長鎖の炭素鎖を有
する脂肪族多塩基酸においては、その長鎖の炭素鎖に付
随して、前記の溶剤への溶解性向上の効果が増す。
【0019】本発明のワニスに含まれる樹脂調製に利用
される多価アルコールとしては、例えば、鎖状の多価ア
ルコールである、エチレングリコール、ジエチレングリ
コール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコ
ール、プロピレングリコール(1,2−プロパンジオー
ル)、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコ
ール、ブチレングリコール(ブタンジオ−ル)、ネオペ
ンチルグリコール(2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオ
−ル)、ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロー
ルプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリト
リトール(C(CH 2OH)4)、ジペンタエリトリトール、D−
ソルビトール(D−グルシトール)など、ならびに脂環
式の多価アルコールである、1,4−シクロヘキサンジオ
ール、1,4−シクロヘキサンジメタノール(1,4−ジメチ
ロールシクロヘキサン)等が挙げられる。
【0020】出発原料として、多価アルコールは、樹脂
形成のエステル化反応に使用されるものであり、ロジン
類、α,β−不飽和ジカルボン酸、脂肪族多塩基酸が有
するカルボキシル基1当量に対して、その添加量中に含
まれる水酸基が、少なくとも、0.3当量〜過剰量とな
る量を添加すればよい。カルボキシル基1当量に対し
て、0.5〜2当量の割合で添加するとより好ましく、
0.9〜1.2当量を添加して、反応を行うと一層好ま
しい。樹脂の主成分となるα,β−不飽和ジカルボン酸
とロジン類との付加体は、多価アルコールとエステルを
形成し、この多価アルコールに残るヒドロキシル基と脂
肪族多塩基酸がエステルを形成することにより、樹脂に
架橋構造、分岐構造が導入されるとより好ましいものと
なる。従って、多価アルコールの添加量合計を、おおむ
ね前記二種類のエステル化反応に要する量である、カル
ボキシル基1当量に対して、0.9〜1.2当量とする
と一層好ましい。また、エステル化反応により、樹脂に
架橋構造が導入される点を考慮すると、多価アルコール
は、ジオールのみではなく、3価アルコール以上の多価
アルコールを含むものを用いると、そこに架橋構造の形
成がなされるので、より好ましい結果が得られる。
【0021】加熱反応を行う際、原料のロジン類、α,
β−不飽和ジカルボン酸、脂肪族多塩基酸、多価アルコ
ールを、無触媒又は触媒の存在下に同時に反応させる手
法を採ることができる。あるいは、予め、ロジン類と
α,β−不飽和ジカルボン酸とを加熱反応させ、次い
で、脂肪族多塩基酸、多価アルコールを加えてエステル
形成を行う手法を採ることもできる。すなわち、採用す
る反応方法、手順に応じて、各原料の添加順序、添加時
期を適宜選択することができる。さらには、予め、ロジ
ン類とα,β−不飽和ジカルボン酸とを加熱反応させた
生成物を出発原料として、脂肪族多塩基酸、多価アルコ
ールを加えて、エステル形成を行う方法を採用しても、
得られる樹脂に実質的な差異はないものとなる。
【0022】加熱反応において、触媒を使用する際に
は、エステル化反応に対する触媒となる、水酸化カルシ
ウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化カルシウムな
どの2価金属化合物、または、公知の酸触媒、例えば、
硫酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸など
の有機スルホン酸類を添加すると好ましい。前記の触媒
として添加する化合物のうちでも、得られる樹脂の粘度
をより高くする上では、ロジン類、α,β−不飽和ジカ
ルボン酸またはその無水物、脂肪族多塩基酸、多価アル
コールの重量総和に対して、2価金属化合物を0.1%
〜2%添加するのが好ましく、具体的には、亜鉛、マグ
ネシウム、カルシウム等の2価金属化合物、特に、これ
ら2価金属、つまり、亜鉛、マグネシウム、カルシウム
の酸化物、水酸化物等を使用するとより好ましい。
【0023】また、上記加熱反応において、その反応温
度は、100〜290℃の範囲に選択するのが適当であ
り、特に、200〜270℃の範囲に選択するとより好
ましい。なお、加熱反応温度は、用いられる原料とその
組成に応じて、上記の好適な範囲と実質的に差異のない
温度を選択することもできる。最適な反応時間は、原料
中のロジン類、α,β−不飽和ジカルボン酸またはその
無水物、脂肪族多塩基酸、多価アルコールおよび一価の
高級アルコール各成分比率、さらには、触媒として添加
される亜鉛、マグネシウム、カルシウムの酸化物、水酸
化物等の量に依存して、変化するが、前記の温度範囲に
おいては、通常、2〜20時間の範囲であり、好ましく
は、3〜10時間の範囲とする。本発明の方法では、こ
の加熱反応に際して、樹脂原料をそれらと反応しないイ
ンキ溶剤を反応系に加えた状態で反応を行わせる。特
に、前記のエステル化反応に伴い樹脂分子の高分子化が
進む際、前記インキ溶剤中に均一に分散して反応が起こ
り、反応速度の不均一化が起こらず、得られる樹脂の分
子量はより均一なものとなる。加えて、樹脂分子の高分
子化に伴い、ますます高粘度化するが、インキ溶剤を添
加しているため、反応系全体の流動性は維持される。従
来の塊状重合法においては、溶融粘度が高くなると、高
分子化した過渡生成物が相互に反応して更に高分子化す
ることが困難となり、一定以上に高分子量の樹脂を調製
することには限界があった。それに対して、本発明の方
法では、同じ程度に高分子化した過渡生成物が生成した
時点でも、反応系全体の流動性は維持されているので、
更なる高分子化が進む。結果として、本発明の方法で
は、従来の塊状重合法において得られる樹脂の分子量よ
りも、さらに高分子化が進んだ樹脂を含むワニスをも容
易に調製することが可能となる。
【0024】本発明のワニスに含まれる印刷インキ用樹
脂は、上記の加熱反応で得られる、α,β−不飽和ジカ
ルボン酸とロジン類との付加体、残留するロジン類と
α,β−不飽和ジカルボン酸、脂肪族多塩基酸、多価ア
ルコールとがエステル結合して、高分子化した樹脂を主
成分とするが、本発明の目的を逸脱しない範囲で、これ
に石油樹脂を添加して、ワニスが系内で生成する印刷イ
ンキ用樹脂と石油樹脂からなる樹脂組成物を含むものと
することもできる。ここで石油樹脂は、主に、石油分解
油留分から得られる低分子量の熱可塑性炭化水素樹脂を
意味し、さらには、石油化学において副産物として得ら
れる石油副生成物樹脂、コールタール樹脂等をも含む。
なお、添加する石油樹脂は、その後インキを調製する
際、インキ用溶剤に対する溶解性を増す目的と効果を持
つ。その目的では、主として、C5系のオレフィンを重合
して得られる脂肪族系石油樹脂を用いるとより好まし
い。
【0025】石油樹脂の添加時期は、本発明のワニスに
含まれる印刷インキ用樹脂自体は、本来粘度が高い樹脂
であり、加熱反応後、冷却した時点で添加しや石油樹脂
と均一な混合を行うには、さらなる労力を要するので、
予め加熱反応を行う際に添加するとよい。すなわち、上
記の樹脂原料を反応容器に入れる際に、石油樹脂を加え
るとよい。なお、本発明においては、系内で生成させる
樹脂は、インキ溶剤と均一に混和され、ワニス自体はさ
ほど粘性が高くないので、加熱反応中、あるいは、加熱
反応後に石油樹脂を添加しても、若干の混練を行うこと
で均一化が図れる。従って、石油樹脂の添加時期は、得
られる樹脂組成物を含むワニスの特性に、実質的に差異
を与えるものでない。
【0026】なお、本発明の印刷インキ用樹脂ワニス
は、上記のロジン類、α,β−不飽和ジカルボン酸また
はその無水物、脂肪族多塩基酸、多価アルコールを加熱
反応させて得られる高分子化した樹脂を主成分とする点
に特徴を持つものであるが、上述する石油樹脂の他、本
発明の目的を逸脱しない範囲で、これに従来から知れて
いる他の樹脂、例えば、ロジン類のエステルなどの樹脂
成分を加えて、複合型樹脂組成物を含むワニスとするこ
ともできる。
【0027】そして、本発明の製造方法は、印刷インキ
用樹脂の合成に必要な前記加熱反応をインキ溶剤を含む
系内において行い、インキ溶剤中において生成した印刷
インキ用樹脂が均一に混和したワニスとするものある。
本発明で使用するインキ溶剤としては、石油系非芳香族
のナフテン系溶剤を使用することが好ましく、特にナフ
テン系炭化水素を60%以上、好ましくは70%以上含
有し、沸点が200℃以上である溶剤が好ましい。商業
的に入手可能なAFソルベント(商品名、日本石油
(株)製)は、本発明において使用可能な非芳香族系溶
剤の一例である。インキ溶剤は、上記の加熱反応におい
て反応する樹脂原料の総和100重量部に対して、50
〜200重量部、好ましくは、70〜150重量部を反
応系に含めるとよい。なお、前記の加熱反応時に反応系
に含めるインキ溶剤に加えて、反応終了後、さらにイン
キ溶剤を添加して、ワニス中に含まれる樹脂の含有率を
所望の範囲に調整することもできる。また、脂肪酸エス
テル、リン酸エステル等の可塑剤を前記インキ溶剤に併
用することも可能である。これらの可塑剤は、反応系に
含むインキ溶剤100重量部当たり、0.1〜10重量
部、好ましくは、1〜5重量部を併用してもよい。
【0028】また、本発明においては、反応系内に乾性
油を含むことができる。本発明で使用する乾性油として
は、印刷インキにおいて、樹脂と混合される乾性油が用
いられる。すなわち、アマニ油、重合アマニ油、脱水ヒ
マシ油、大豆油、トール油、サフラワー油、シナキリ油
またはエゴマ油などを使用することができる。従って、
乾性油の含有量は、印刷インキとした際、樹脂に対する
乾性油の混合率の範囲内に選択し、すなわち、ワニス中
の固形分100重量部に対して、5〜100重量部、特
には、10〜80重量部が適当である。
【0029】本発明の樹脂ワニスを製造する際には、反
応系に予め0.01〜3.0重量部のゲル化剤を添加し
ておくことが好ましい。ゲル化剤の添加により、印刷イ
ンキ用ワニスからそのゲル化を進め、さらに粘弾性が大
きな印刷インキ用ゲルワニスを製造することができる。
このようにゲル化処理も同時に行うと、印刷インキ用ワ
ニスの仕上げに至るまでの工程を一括で実施でき、極め
て経済的である。
【0030】使用できるゲル化剤としては、アルミニウ
ムアルコラートやアルミニウム石鹸等のアルミニウム化
合物、マンガン、コバルト、ジルコニウム等の金属石
鹸、アルカノールアミン系等のゲル化剤が適当である。
【0031】そして、少なくとも前記インキ溶剤を含む
系内において、樹脂の原料となるロジン類、α,β−不
飽和ジカルボン酸、脂肪族多塩基酸、多価アルコールと
を加熱反応させて、分子量分布の少ない樹脂を生成させ
るとともに、この樹脂をインキ溶剤中に十分に混和した
印刷インキ用樹脂ワニスとする。
【0032】本発明で得た印刷インキ用樹脂ワニスに、
黄、紅、藍または墨などの顔料を分散し、必要に応じて
耐摩擦性向上剤、インキドライヤー、乾燥抑制剤などの
コンパウンドを添加し、適切な粘度に調節することによ
り、枚葉インキ、オフ輪インキ等のオフセットインキと
する。また、新聞インキや凸版インキの調製に、印刷イ
ンキ用樹脂ワニスを使用することもできる。
【0033】本発明の樹脂ワニスに含まれる印刷インキ
用樹脂は、従来のロジン変性フェノール樹脂と比較し
て、遜色のない粘度の高さ、顔料に対する優れた濡れ
性、溶剤に対する溶解性を示す。すなわち、本発明の樹
脂ワニスを用いてインキを調製すると、従来のロジン変
性フェノール樹脂を利用したインキと同等のインキ特性
を達成できるものである。
【0034】
【実施例】以下に実施例を示して、本発明をさらに詳細
に、具体的に説明する。これら具体例はいずれも本発明
の最良な態様の一例ではあるが、本発明はこれら実施例
により限定されるものではない。
【0035】(実施例1)撹拌機、分水器付き還流冷却
管および温度計を備えたフラスコに、トール油ロジン1
500g、アクリル酸120g、セバシン酸45g、ペ
ンタエリトリトール196.9gと、インキ溶剤である
日石AF7号ソルベント798.6gとを投入し、さら
に触媒として酸化マグネシウム1.5gを添加し、窒素
ガスを吹き込み撹拌しながら加熱し、樹脂原料とインキ
溶剤を溶解して均一化した。この反応容器を、260℃
に加熱し、エステル化反応で生成する水を、分水器で回
収しながら、8時間反応を行った。
【0036】その後、インキ溶剤である日石AF7号ソ
ルベント960.8gを添加して、さらに1時間クッキ
ングすることにより、粘度56Pa・s、n−ヘキサン
・トレランス3.2g/g、分子量16万の樹脂ワニス
3518g(樹脂固形分50%)を得た。
【0037】(実施例2)前記フラスコ中で、トール油
ロジン1125gに、アクリル酸120g、セバシン酸
45g、ペンタエリトリトール187.6gと、石油樹
脂T200A(丸善石油化学(株)製)375gならび
にインキ溶剤の日石AF7号ソルベント794.6gと
を投入し、さらに、触媒として酸化マグネシウム1.5
gを添加した。窒素ガスを吹き込み撹拌しながら加熱
し、前記樹脂原料、付加的に加える石油樹脂、およびイ
ンキ溶剤を溶解して均一化した。この反応容器を、26
0℃に加熱し、エステル化反応で生成する水を、分水器
で回収しながら、8時間反応を行った。
【0038】その後、インキ溶剤の日石AF7号ソルベ
ント960.2gを添加して、さらに1時間クッキング
することにより、粘度60Pa・s、n−ヘキサン・ト
レランス4.4g/g、分子量18万の樹脂ワニス35
10g(樹脂固形分50%)を得た。
【0039】(実施例3)実施例1に記載する工程で調
製される樹脂ワニス3518gに、アマニ油176gと
ゲル化剤ALCH(川研ファインケミカル(株)製ゲル
化剤)17.6gおよびAF7号ソルベント193.4
gを添加して、200℃で2時間クッキングすることに
より、粘度112Pa・s、n−ヘキサン・トレランス
3.2g/g、分子量40万の樹脂ワニス3905g
(樹脂固形分50%)を得た。この樹脂ワニスは、ゲル
化剤を添加し、エステル化反応の進行は抑制される温度
200℃において、さらに保温攪拌しクッキングするこ
とにより、ゲル化樹脂ワニスとされている。
【0040】(比較例1)撹拌機、分水器付き還流冷却
管および温度計を備えたフラスコに、ガムロジン945
gを仕込み、窒素ガスを通気しながら加熱溶融し、15
0℃以下で、レゾール型p−ドデシルフェノールの75
%キシレン溶液1017gとペンタエリトリトール10
6gを投入した後、昇温し、260℃とする。
【0041】次いで、反応系から蒸散するキシレンと反
応水を分水器で回収しながら、温度260℃で6時間反
応した。その後、インキ溶剤のAF7号ソルベント18
08gを投入し、さらに30分間クッキングすることに
より、粘度50Pa・s、n−ヘキサン・トレランス
3.1g/g、分子量13万のロジン変性フェノール樹
脂ワニス3495g(樹脂固形分50%)を得た。
【0042】(比較例2)セバシン酸(1,8−オクタ
ンジカルボン酸)45gに代えて、ノナン酸45gを使
用すること以外は、実施例1に記載の原料組成と同様の
合成操作を行い、樹脂を作製した。この樹脂では、アマ
ニ油粘度がWと低く、この樹脂を用いて、実施例1と同
じ条件でインキ化を試みたが、インキ化が不能であっ
た。すなわち、脂肪族ジカルボン酸に代えて、脂肪族モ
ノカルボン酸を用いているため、インキ化を行うに十分
な樹脂粘度が得られていないものであった。
【0043】次に実施例および比較例で得られた樹脂ワ
ニスのインキ評価結果を示す。
【0044】ゲルワニスの作製:実施例1、実施例2お
よび比較例1で得られた樹脂ワニスについては、各樹脂
ワニス80gにアマニ油5gおよびAF7号ソルベント
15gを添加し、樹脂分が40%になるように組成を調
整した。得られた組成調整済みのワニスに、それぞれの
粘度に応じた仕込量(0.05〜1.0重量%)でゲル
化剤のALCHを添加し、160℃まで昇温し、さらに
30分間同温度で保温して、評価試験用ゲルワニスを作
製した。なお、実施例3でえられたゲル化ワニスについ
ては、AF7号ソルベントのみを添加して粘度を調整
し、評価試験用ゲルワニスとした。
【0045】インキの作製:得られたゲルワニス60g
にカーミン6B(東洋インキ製造(株)製、紅顔料)1
8gを、3本ロ−ルミルを用いて分散した。その後、イ
ンキの25℃のタックが5〜5.5、フローが16.0
〜17.0mmになるように、インキ溶剤AF7号ソル
ベントとゲルワニスを添加してインキ粘度を調整し、オ
フ輪インキを調製した。
【0046】表1に示す各印刷インキ特性の評価は、以
下の試験方法によって行った。
【0047】光沢値:インキ0.15ccをRIテスタ
ー((株)明製作所製)2分割ロールでア−ト紙に展色し
た後、24時間経過した時点で、光沢値を60°−60
°光沢計で測定した。
【0048】濃度:光沢測定と同一の展色紙を反射濃度
計を用いて測定した。
【0049】乾燥性:インキ0.3ccをRIテスター
((株)明製作所製)2分割ロールでアート紙に展色し
た後、60℃の環境下に置いたときに、指触で乾燥状態
を比較した。通常、この評価では、12〜21分の範囲
が最適とされる。12分より短くなるにつれ、インキの
保存性が悪いことが多くなり、また、21分より長くな
るにつれ、印刷物を重ねたときに、裏写りが発生しやす
い。従って、おおよそ前記12〜21分の範囲から大き
く外れなければ、作業性の低下は引き起こされない。な
お、含まれるインキ溶剤の自然蒸発等を考慮すると、2
1分を若干超えるものも最適な範囲と見なせる。
【0050】耐ミスチング性:インキ2カップをインコ
メーター(東洋精機(株)製)に載せて、2000rp
mで2分間回転させたときの、ロール前面と下面に置い
た白色紙上へのインキの飛散状態を観察した。ここで採
用した評価基準は、以下の通りである。 ◎:インキの飛散は見られない。最も良好なレベルであ
る。 ○:ロール前面に僅かに飛散が生じることもある。良好
なレベルである。 △:ロール前面と下面とも詳しく調べると飛散が見られ
る。普通のレベルである。 ×:ロール前面と下面ともに顕著な飛散がある。不適な
レベルである。
【0051】最大乳化量:リソトロニック乳化試験器
(Novocontrol社製)を用いて、40℃において、25
gのインキに2ml/分の速度で水を添加し、インキが
飽和した時点の水分量を測定した。(乳化試験器の回転
数:1200rpm)
【0052】表1に、上記の試験項目に関する評価結果
を併せて示す。
【表1】
【0053】表1に示すとおり、実施例1〜3の樹脂ワ
ニスを用いて調製したインキは、比較例1に示すロジン
変性フェノール樹脂(従来樹脂)を用いたインキと比較
して、すべての評価項目について、全く遜色はなく、性
能的には同等なインキが得られたと判断される。
【0054】
【発明の効果】本発明の印刷インキ用樹脂ワニスは、イ
ンキ溶剤を含む反応系内で樹脂原料のロジン類、α,β
−不飽和カルボン酸またはその無水物、脂肪族多塩基
酸、多価アルコ−ルを加熱反応させて、調製される樹脂
を主な樹脂成分として含む。この反応で得られる印刷イ
ンキ用樹脂は、当然にホルムアルデヒド等、揮発性が高
く、化学物質過敏症を誘起する物質を含まないものであ
る。加えて、加熱等により、遊離してホルムアルデヒド
の発生を起こす可能性を持つ、合成により導入されたメ
チロール基をも含まない。
【0055】また、本発明のワニスでは、樹脂合成反応
をインキ溶剤を含む系内で行うものであり、従来の塊状
重合法に比べ、より高分子量、高軟化点および高粘度の
樹脂を含むものであっても、容易に合成とワニスへの調
製がなされる。すなわち、インキ溶剤中にて反応を行う
ため、溶融粘度の上昇による撹拌負荷の上昇あるいは反
応後の製品取りだしの困難さ等の製造上の問題が生じる
ことがない。得られるワニス製品は溶液状であり、その
まま印刷インキの調製に使用することも可能である。一
旦合成した高粘度、高軟化点の樹脂を、再度インキ溶剤
に均一に混合・溶解してワニスに調製する操作が不要と
なり、極めて経済的である。特に、主成分の上記反応で
得られる樹脂に加えて、付加的な成分として、石油樹脂
などをも添加する際にも、予めインキ溶剤と混合され、
溶液状となっており、より少ない労力で目的のワニスに
調製ができる。
【0056】本発明のワニスに含まれる樹脂は、いわゆ
るホルムアルデヒドフリーの樹脂であり、しかもオフセ
ット印刷に利用されるインキへ使用すると、耐ミスチン
グ性に良好な、特に高速印刷適性に優れたインキが得ら
れる。オフセット印刷用インキの調製においては、従来
から用いられている、ロジン変性フェノール樹脂と比較
しても、樹脂としての特性は遜色なく、ロジン変性フェ
ノール樹脂の代替えが容易に行える。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 豊田 廣 埼玉県草加市稲荷6−18−1 ハリマ化成 株式会社東京工場研究室内 Fターム(参考) 4J039 AB03 AB08 AD18 AE06

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ロジン類、α,β−不飽和カルボン酸ま
    たはその無水物、脂肪族多塩基酸、多価アルコールと
    を、インキ溶剤を含む系内で加熱反応させて、前記イン
    キ溶剤中に得られる印刷インキ用樹脂を含むワニスに調
    製することを特徴とする印刷インキ用樹脂ワニスの製造
    方法。
  2. 【請求項2】 加熱反応時に、樹脂原料のロジン類、
    α,β−不飽和カルボン酸またはその無水物、脂肪族多
    塩基酸、多価アルコ−ルの重量総和に対して、0.1%
    〜2%の2価金属化合物を添加することを特徴とする請
    求項1に記載の印刷インキ用樹脂ワニスの製造方法。
  3. 【請求項3】 加熱反応時に、さらに石油樹脂を存在さ
    せることを特徴とする請求項1または2に記載の印刷イ
    ンキ用樹脂ワニスの製造方法。
  4. 【請求項4】 加熱反応時、反応系が乾性油を含むこと
    を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の印刷イン
    キ用樹脂ワニスの製造方法。
  5. 【請求項5】 加熱反応させて得られる樹脂生成物に対
    して、さらに反応系にゲル化剤を加えてゲル化処理する
    工程を設けることを特徴とする請求項1〜4のいずれか
    に記載の印刷インキ用樹脂ワニスの製造方法。
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