JP2001234054A - 難燃性熱可塑性樹脂組成物及び極薄肉成形品 - Google Patents
難燃性熱可塑性樹脂組成物及び極薄肉成形品Info
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Abstract
ート向け、非ハロゲン難燃剤使用の、難燃性、機械的特
性、押し出し加工性に優れた樹脂組成物及び極薄肉シー
トを提供すること。 【解決手段】下記成分(A)(B)(C)及び(D)か
らなり、且つ、平行板レオメーターで測定される下記粘
弾性特性(1)(2)及び(3)を有することを特徴と
する難燃性熱可塑性樹脂組成物。 (A)ポリフェニレンエーテル 65〜90重量部 (B)ポリスチレン 10〜35重量部 (C)ポリオレフィン 1〜 5重量部 (D)ホスフェート系難燃剤 5〜30重量部 (1)220℃の温度での複素粘性率η*≦50000
[Pa・s] (2)220〜270℃の温度範囲での複素粘性率の温
度勾配Δη*/ΔT≦2500[Pa・s/℃] (3)220〜270℃の温度範囲での複素剪断弾性率
の温度勾配ΔG*/ΔT≦50000[N/m2/℃]
Description
ーテル・ベースで、極薄肉シート向け、非ハロゲン難燃
剤使用の、難燃性、機械的特性、押し出し加工性に優れ
た樹脂組成物及び極薄肉成形品に関する。
燃性、寸法安定性、非吸湿性、電気特性等に優れたエン
ジニアリングプラスチックスとして知られているが、成
形性に難があり、これを改善するために加工性の優れた
ポリスチレンとのブレンドがなされてきた。しかしなが
ら、そのようなブレンドによっても、なお肉厚0.6m
m以下の、いわゆる極薄肉部を有する成形品、例えば極
薄肉シートの成形が極めて困難で、かつ難燃性も不十分
であった。
くすると、難燃性及び機械的強度が劣り、難燃性を維持
しようとして、ポリフェニレンエーテル濃度を高くし、
ホスフェート系難燃剤量を増加させると、押出時にメヤ
ニが発生し、工業的な連続運転を不可能にする不具合が
あった。
フェニレンエーテル・ベースで、極薄肉シート向け、非
ハロゲン難燃剤使用の、難燃性、機械的特性、押し出し
加工性に優れた樹脂組成物及び極薄肉シートを提供する
ことにある。本発明者らは、上記目的を達成するために
鋭意検討した結果、1)ポリフェニレンエーテル・ベー
スの樹脂組成物の押出成形において発生するメヤニは、
樹脂の流速がゼロになっている部分が徐々に押出されて
発生すること。2)押出機内の温度分布の広さ、せん断
発熱等により上記現象が更に悪化し、流路の乱れ、滞留
樹脂の熱劣化を増大させメヤニの発生、成長を促進させ
ていたこと。従って、3)単なるある温度での粘度の絶
対値だけでなく、製膜に必要な広い温度範囲内で樹脂の
粘度、弾性率が安定していることが必要であること等が
明らかとなった。
解決すべく、また、上記の知見に基づいてなされたもの
であり、その要旨は、下記成分(A)(B)(C)及び
(D)からなり、且つ、平行板レオメーターで測定され
る下記粘弾性特性(1)(2)及び(3)を有すること
を特徴とする難燃性熱可塑性樹脂組成物に存する。 (A)ポリフェニレンエーテル 65〜90重量部 (B)ポリスチレン 10〜35重量部 (C)ポリオレフィン 1〜 5重量部 (D)ホスフェート系難燃剤 5〜30重量部 (1)220℃の温度での複素粘性率η*≦50000
[Pa・s] (2)220〜270℃の温度範囲での複素粘性率の温
度勾配Δη*/ΔT≦2500[Pa・s/℃] (3)220〜270℃の温度範囲での複素剪断弾性率
の温度勾配ΔG*/ΔT≦50000[N/m2/℃]
式(1)で示される構造を有する単独重合体又は共重合
体が挙げられる。
キル基、フェニル基、アミノアルキル基又は炭化水素オ
キシ基を表し、Q2は、水素原子、第一級若しくは第二
級アルキル基、フェニル基又は炭化水素オキシ基を表
し、mは、10以上の数を表す。なお、Q1及びQ2は、
各々同じでも異なっていてもよい。
メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−アミ
ル、イソアミル、2−メチルブチル、n−ヘキシル、
2,3−ジメチルブチル、2−、3−若しくは4−メチ
ルペンチル、ヘプチル等が挙げられる。第二級アルキル
基としては、イソプロピル、sec−ブチル、1−エチ
ルプロピル等が挙げられる。Q1は、好ましくはアルキ
ル基又はフェニル基であり、特に好ましくは炭素数1〜
4のアルキル基であり、Q2は、好ましくは水素原子で
ある。
ては、例えば、2,6−ジメチル−1,4−フェニレン
エ−テル単位からなる重合体が挙げられる。共重合体と
しては、上記単位と2,3,6−トリメチル−1,4−
フェニレンエ−テル単位との組合せからなるランダム共
重合体が挙げられる。多くの単独重合体又はランダム共
重合体が、特許、文献に記載されており、例えば、分子
量、溶融粘度及び/又は耐衝撃強度等の特性を改良する
分子構成部分を含むポリフェニレンエーテルも好まし
い。
ロロホルム中で、30℃での測定値で、好ましくは0.
38〜0.8dl/gであり、更に好ましくは0.4〜
0.6dl/gである。固有粘度が0.38dl/g未
満であると耐衝撃性が不十分であり、0.8dl/g以
上であるとフィッシュアイが多く、成形品外観に難が生
じる。
重合体、スチレン系単量体と他の共重合可能な単量体と
の共重合体及びスチレン系グラフト共重合体等が挙げら
れる。スチレン系単量体と他の共重合可能な単量体との
共重合体としては、例えば、AS樹脂等が挙げられ、ス
チレン系グラフト共重合体としては、例えば、HIPS
樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂等が挙げら
れる。スチレン系共重合体の製造方法としては、乳化重
合法、溶液重合法、懸濁重合法あるいは塊状重合法等の
公知の方法が挙げられる。
レン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン等が挙
げられ、好ましくはスチレンが挙げられる。スチレン系
単量体と共重合可能な単量体としては、例えば、アクリ
ロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル単
量体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル
酸プロピル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル
等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、マレイミ
ド、N−フェニルマレイミド等が挙げられ、好ましく
は、シアン化ビニル単量体、(メタ)アクリル酸アルキ
ルエステルが挙げられる。
重合又は変性等により得られたもの、市販のものから適
時選んで用いることもできる。ポリオレフィンとして
は、エチレン、プロピレン、ブテン−1、3−メチルブ
テン−1、4−メチルペンテン−1等の単独重合体又は
これらを過半重量含む共重合体等が挙げられ、好ましく
は、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等の、炭素
数3以下の単量体を主成分とするポリオレフィンが挙げ
られ、より好ましくは、ポリエチレン樹脂が挙げられ
る。
成分として重合された重合体であり、エチレンと共重合
されるα−オレフィンとしては、プロピレン、ブテン−
1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、4−メチルペンテン
−1、オクテン−1等が挙げられる。
(MFR)は、190℃、荷重2.16kgの条件での
測定で、好ましくは0.01〜10g/10分であり、
より好ましくは0.05〜2g/10分であり、最も好
ましくは0.05〜1g/10分である。MFRの値が
低すぎると成形加工性に難点が生じ、高すぎると機械的
物性バランスが低くなる。
テル化合物又は亜リン酸エステル化合物が挙げられる。
リン酸エステル化合物としては、分子中に5価のリンを
含むリン化合物であり、好ましくは、下記一般式(2)
又は(3)で示される化合物が挙げられ、より好ましく
は、一般式(2)で示される化合物が挙げられる。リン
酸エステル化合物は、2種以上の化合物を併用すること
もできる。
アルキル基又はアルキル置換されていてもよい炭素数6
〜20のアリール基を表し、p、q、r、sは、0又は
1の数を表し、Xは、アリーレン基を表し、yは1〜5
の整数を表す。なお、Xは、各々同じでも異なっていて
もよい。式(3)中、R7〜R9は、炭素数1〜6のアル
キル基又はアルキル置換されていてもよい炭素数6〜2
0のアリール基を表し、u、v、wは、0又は1の数を
表す。
合物としては、縮合リン酸エステルが挙げられ、5価の
リン原子間に介在するアリーレン基としては、例えばレ
ゾルシノール、ハイドロキノン、ビスフェノールA等の
ジヒドロキシ化合物から誘導される2価の基等が挙げら
れる。
がレゾルシノールから誘導される基の場合、フェニル・
レゾルシン・ポリホスフェート、クレジル・レゾルシン
・ポリホスフェート、フェニル・クレジル・レゾルシン
・ポリホスフェート、キシリル・レゾルシン・ポリホス
フェート、フェニル−p−tert−ブチルフェニル・
レゾルシン・ポリホスフェート、フェニル・イソプロピ
ルフェニル・レゾルシン・ポリホスフェート、クレジル
・キシレル・レゾルシン・ポリホスフェート、フェニル
・イソプロピルフェニル・ジイソプロピルフェニル・レ
ゾルシン・ポリホスフェート等が挙げられる。
合物として、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジ
ル、リン酸ジフェニル2エチルクレジル、リン酸トリ
(イソプロピルフェニル)、メチルホスホン酸ジフェニル
エステル、フェニルホスホン酸ジエチルエステル、リン
酸ジフェニルクレジル、リン酸トリブチル等が挙げられ
る。これらの化合物は、公知の方法で、オキシ塩化燐等
から製造することができる。
子中に3価のリンを含むリン化合物であり、好ましく
は、下記一般式(4)又は(5)で示される化合物等が
挙げられる。亜リン酸エステル化合物は、2種以上の化
合物を併用することもできる。
〜20のアルキル基又は炭素数6〜30の芳香族基若し
くは置換芳香族基を示し、好ましくは、炭素数6〜30
の芳香族基若しくは置換芳香族基を示す。nは、1又は
2の数を示し、R2は、nが1の場合、炭素数2〜18
のアルキレン基又はアリーレン基を示し、nが2の場
合、炭素数4〜18のアルキルテトライル基を示し、R
1は各々同じでも異なっていてもよい。また、R1及びR
2の置換基は酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を含む置
換基であってもよい。
基、プロピル基、オクチル基、イソオクチル基、イソデ
シル基、デシル基、ステアリル基、ラウリル基、フェニ
ル基、2−、3−又は4−メチルフェニル基、2,4−
又は2,6−ジメチルフェニル基、2,3,6−トリメ
チルフェニル基、2−、3−又は4−エチルフェニル
基、2,4−又は2,6−ジエチルフェニル基、2,
3,6−トリエチルフェニル基、2−、3−又は4−t
ert−ブチルフェニル基、2,4−又は2,6−ジ−
tert−ブチルフェニル基、2,6−ジ−tert−
ブチル−6−メチルフェニル基、2,6−ジ−tert
−ブチル−6−エチルフェニル基、オクチルフェニル
基、イソオクチルフェニル基、2−、3−又は4−ノニ
ルフェニル基、2,4−ジノニルフェニル基、ビフェニ
ル基、ナフチル基等が挙げられる。
1,2−フェニレン基、エチレン基、プロピレン基、ト
リメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基等
が挙げられ、nが2の場合、例えば、下記一般式(6)
で示されるペンタエリスリチル構造のテトライル基等が
挙げられる。
〜6のアルキル基を示す。なお、Rは、各々同じでも異
なっていてもよい。
酸エステル化合物の具体例としては、トリオクチルホス
ファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホス
ファイト、トリステアリルホスファイト、トリイソオク
チルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファ
イト、トリス(2,4−ジノリルフェニル)ホスファイ
ト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)
ホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(オ
クチルフェニル)ホスファイト、ジフェニルイソオクチ
ルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、
オクチルジフェニルホスファイト、ジラウリルフェニル
ホスファイト、ジイソデシルフェニルホスファイト、ビ
ス(ノニルフェニル)フェニルホスファイト、ジイソオ
クチルフェニルホスファイト等;(フェニル)(1,3
−プロパンジオール)ホスファイト、(4−メチルフェ
ニル)(1,3−プロパンジオール)ホスファイト、
(2,6−ジメチルフェニル)(1,3−プロパンジオ
ール)ホスファイト、(4−tert−ブチルフェニ
ル)(1,3−プロパンジオール)ホスファイト、
(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)(1,3−
プロパンジオール)ホスファイト、(2,6−ジ−te
rt−ブチルフェニル)(1,3−プロパンジオール)
ホスファイト、(2,6−ジ−tert−ブチル−4−
メチルフェニル)(1,3−プロパンジオール)ホスフ
ァイト、(フェニル)(1,2−エタンジオール)ホス
ファイト、(4−メチルフェニル)(1,2−エタンジ
オール)ホスファイト、(2,6−ジメチルフェニル)
(1,2−エタンジオール)ホスファイト、(4−te
rt−ブチルフェニル)(1,2−エタンジオール)ホ
スファイト、(2,4−ジ−tert−ブチルフェニ
ル)(1,2−エタンジオール)ホスファイト、(2,
6−ジ−tert−ブチルフェニル)(1,2−エタン
ジオール)ホスファイト、(2,6−ジ−tert−ブ
チル−4−メチルフェニル)(1,2−エタンジオー
ル)ホスファイト、(2,6−ジ−tert−ブチル−
4−メチルフェニル)(1,4−ブタンジオール)ホス
ファイト等;ジイソデシルペンタエリスリトールジホス
ファイト、ジラウリルペンタエリスリトールジホスファ
イト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイ
ト、ジフェニルペンタエリスリトールジホスファイト、
ビス(2−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホ
スファイト、ビス(3−メチルフェニル)ペンタエリス
リトールジホスファイト、ビス(4−メチルフェニル)
ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−
ジメチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイ
ト、ビス(2,6−ジメチルフェニル)ペンタエリスリ
トールジホスファイト、ビス(2,3,6−トリメチル
フェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス
(2−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトー
ルジホスファイト、ビス(3−tert−ブチルフェニ
ル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(4−
tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホ
スファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェ
ニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス
(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリ
スリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−ter
t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトー
ルジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチ
ル−4−エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホス
ファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトー
ルジホスファイト、ビス(ビフェニル)ペンタエリスリ
トールジホスファイト、ジナフチルペンタエリスリトー
ルジホスファイト等が挙げられる。
タエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−
tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホ
スファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4
−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイ
ト等が挙げられる。また、本発明の熱可塑性樹脂組成物
においては、亜リン酸エステル化合物の加水分解や熱分
解等により生じる化合物を含んでいてもよい。
脂組成物における成分(A)〜(D)の組成比は、成分
(A)と成分(B)との合計量を100重量部とし、下
記の通りである。 (A)ポリフェニレンエーテル 65〜90重量部 (B)ポリスチレン 10〜35重量部 (C)ポリオレフィン 1〜 5重量部 (D)ホスフェート系難燃剤 5〜30重量部
合は、65〜90重量部であり、好ましくは75〜85
重量部である。成分(B)のポリスチレンの割合は、1
0〜35重量部であり、好ましくは15〜25重量部で
ある。成分(A)の割合が65重量部未満であると難燃
性が不十分であり、90重量部を超えると押出加工性が
不十分であり、成分(B)の割合が10重量部未満であ
ると押出加工性が不十分であり、35重量部を超えると
難燃性が不十分である。
〜5重量部であり、好ましくは2〜3重量部である。成
分(D)のホスフェート系難燃剤の割合は、5〜30重
量部であり、好ましくは10〜25重量部である。成分
(C)の割合が1重量部未満であると押出加工性が不十
分であり、5重量部を超えると難燃性が不十分であり、
成分(D)の割合が5重量部未満であると難燃性が不十
分であり、30重量部を超えるとロール汚染がひどく押
出加工性が不十分である。
物の製造においては、上記の成分(A)〜(D)以外に
他の成分を添加できる。付加的成分としては、例えば、
耐衝撃改良材、充填剤や補強剤、離型剤、耐候性改良
剤、帯電防止剤、着色剤等が挙げられる。
填剤、無機充填剤、有機補強剤、無機補強剤等が挙げら
れ、具体例としては、ガラス繊維、マイカ、タルク、ワ
ラストナイト、チタン酸カリウム、炭酸カルシウム、シ
リカ等が挙げられる。充填剤及び補強剤の配合は、剛
性、耐熱性、寸法精度等の向上に有効である。充填剤及
び補強剤の配合割合としては、成分(A)と成分(B)
との合計100重量部に対し、好ましくは1〜50重量
部であり、より好ましくは5〜40重量部である。
製膜に必要な広い温度範囲内で樹脂の粘度、弾性率が安
定していることが肝要であり、少なくとも、平行板レオ
メーターで測定される粘弾性特性が、下記の基準を満た
していることが必要である。 (1) 220℃の温度での複素粘性率η*≦5000
0[Pa・s] 50000より大きいと押出機のモーター負荷が大きく
製膜できない。 (2) 220〜270℃の温度範囲での複素粘性率の
温度勾配Δη*/ΔT≦2500[Pa・s/℃] 2500より大きいと製膜温度内での粘度のばらつきが
大きく短時間でメヤニが発生し、工業的な連続運転が不
可能になる。 (3) 220〜270℃の温度範囲での複素剪断弾性
率の温度勾配ΔG*/ΔT≦50000[N/m2/
℃] 50000より大きいと製膜温度内での弾性率のばらつ
きが大きく短時間でメヤニが発生し、工業的な連続運転
が不可能になる。
塑性樹脂組成物の製造は、特定の方法に限定されない
が、好ましくは溶融混練によるものであり、熱可塑性樹
脂について一般に実用されている混練方法が適用でき
る。製造方法の例としては、成分(C)ポリオレフィン
を予め溶融混練法等によりペレット又はパウダーにした
後、成分(A)ポリフェニレンエーテルと成分(B)ポ
リスチレンを、必要であれば、付加的成分等と共に、ヘ
ンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブレンダー
等により均一に混合した後、一軸又は多軸混練押出機、
ロール、バンバリーミキサー、ラボプラストミル(ブラ
ベンダー)等で混練することができる。付加的成分を含
め各成分は混練機に一括でフィードしても、順次フィー
ドしてもよく、付加的成分を含め各成分から選ばれた2
種以上の成分を予め混合したものを用いてもよい。
物や混練機の種類等の条件により、任意に選ぶことがで
きるが、通常、混練温度は200〜350℃程度、混練
時間は20分程度以下が好ましい。350℃又は20分
を超えると、ポリフェニレンエーテル、ポリスチレンの
熱劣化が問題となり、成形品の物性の低下や外観の悪化
を生じることがある。
物の成形加工方法は、所望の難燃性極薄肉成形品が得ら
れる限り、特に限定されるものではない。例えば、厚さ
0.1〜0.6mmの極薄肉シートの場合、押出成形法
及びカレンダー成形法が適用される。また、押出成形法
によれば、極薄肉シートに限らず、極薄肉部分を有する
種々の成形品を連続成形することもできる。
するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施
例に限定されるものではない。実施例及び比較例におい
て用いた原材料は、次のとおりである。 (1)ポリフェニレンエーテル(以下、PPE−1と称
する): ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレ
ンエーテル)、30℃におけるクロロホルム中で測定し
た固有粘度:0.45dl/g、三菱瓦斯化学(株)
製。 (2)ポリフェニレンエーテル(以下、PPE−2と称
する): ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレ
ンエーテル)、30℃におけるクロロホルム中で測定し
た固有粘度:0.80dl/g、三菱瓦斯化学(株)
製。 (3)ポリスチレン(以下、HIPSと称する): ハ
イインパクトポリスチレン、分子量Mw:200,00
0、MFR3.2g/10分、エー・アンド・エム社
製、HT478。 (4)ポリオレフィン: ポリエチレン樹脂、MFR:
8.2g/10分、密度:0.919g/cm3、三菱
化学(株)製、ノバテックLC602A。 (5)ホスフェート系難燃剤(以下、TPPと称す
る): トリフェニルホスフェート、大八化学工業
(株)製。
て十分混合撹拌し、次いで、この混合物を、ベント口付
の(株)日本製鋼所製TEX44二軸型押出機を用い
て、設定温度250℃、スクリュー回転数250rpm
の条件下で溶融混練したのちペレット化し、表−1に示
す粘弾性特性を有する樹脂組成物を得た。この樹脂組成
物は、三菱重工業(株)製65mmΦ一軸押出機を有す
るシート成形機を用いて、シリンダー及びダイス(80
0mm幅のコートハンガーダイ)設定温度255℃、ス
クリュー回転数60rpmの条件下で押出し、厚み0.
3mmのシートを製膜し、各種評価を実施した。結果を
表−1に示す。
00((株)レオロジ製)を用い、パラレルプレート:
18cmΦ、歪み角度:0.1deg、周波数:0.5
Hzの条件で、温度220℃又は270℃に保持した溶
融樹脂組成物について、複素粘性率η*[Pa・s]及
び複素剪断弾性率G*[N/m2]を測定し、それらの
結果を次の3特性として表示した。 (1)複素粘性率(η*): 220℃での測定値[P
a・s]で示す。 (2)複素粘性率の温度勾配(Δη*/ΔT): 22
0℃及び270℃での複素粘性率の測定値の差(Δη
*)を、温度差(ΔT=50℃)で除した値[Pa・s
/℃]で示す。 (3)複素剪断弾性率の温度勾配(ΔG*/ΔT):
220℃及び270℃での複素剪断弾性率の測定値の差
(ΔG*)を、温度差(ΔT=50℃)で除した値[N
/m2/℃]で示す。
かどうかを評価した。 (2)メヤニ:製膜開始後、ダイス先端に2mm以上発
生するまでの時間[Hr]を測定して、連続運転可能時
間と定義し、評価した。実用上は、連続可能運転時間が
8Hrを超えることが必要である。 (3)引張伸び:JIS K6734に準じて、V(ヨ
コ)方向の引張伸び[%]を測定し、評価した。実用的
には、引張伸びが50%以上であることが好ましい。 (4)ロールへの汚染:製膜開始8時間後、ロール表面
を目視観察して、吹き出し物の有無で評価した。
特定の組成と特定の粘弾性特性を有するものであって、
シート用材料として適しており、特に厚さ0.1〜0.
6mmの極薄肉シートとして押し出し成形する場合、押
出安定性に優れ、押出成形時のメヤニの発生やロールへ
の汚染が少なく、機械的物性、シート外観、難燃性及び
絶縁性に優れた樹脂シートを与えることができる。
Claims (2)
- 【請求項1】下記成分(A)(B)(C)及び(D)か
らなり、且つ、平行板レオメーターで測定される下記粘
弾性特性(1)(2)及び(3)を有することを特徴と
する難燃性熱可塑性樹脂組成物。 (A)ポリフェニレンエーテル 65〜90重量部 (B)ポリスチレン 10〜35重量部 (C)ポリオレフィン 1〜 5重量部 (D)ホスフェート系難燃剤 5〜30重量部 (1)220℃の温度での複素粘性率η*≦50000
[Pa・s] (2)220〜270℃の温度範囲での複素粘性率の温
度勾配Δη*/ΔT≦2500[Pa・s/℃] (3)220〜270℃の温度範囲での複素剪断弾性率
の温度勾配ΔG*/ΔT≦50000[N/m2/℃] - 【請求項2】請求項1記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物
を押出成形して得られることを特徴とする難燃性極薄肉
成形品。
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JP2000046139A JP2001234054A (ja) | 2000-02-23 | 2000-02-23 | 難燃性熱可塑性樹脂組成物及び極薄肉成形品 |
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JP2000046139A JP2001234054A (ja) | 2000-02-23 | 2000-02-23 | 難燃性熱可塑性樹脂組成物及び極薄肉成形品 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007277410A (ja) * | 2006-04-06 | 2007-10-25 | Asahi Kasei Chemicals Corp | ポリフェニレンエーテル系樹脂製シート |
WO2022215741A1 (ja) * | 2021-04-08 | 2022-10-13 | 東洋スチレン株式会社 | 難燃性樹脂組成物及び難燃性樹脂成形体 |
-
2000
- 2000-02-23 JP JP2000046139A patent/JP2001234054A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007277410A (ja) * | 2006-04-06 | 2007-10-25 | Asahi Kasei Chemicals Corp | ポリフェニレンエーテル系樹脂製シート |
JP4749205B2 (ja) * | 2006-04-06 | 2011-08-17 | 旭化成ケミカルズ株式会社 | ポリフェニレンエーテル系樹脂製シート |
WO2022215741A1 (ja) * | 2021-04-08 | 2022-10-13 | 東洋スチレン株式会社 | 難燃性樹脂組成物及び難燃性樹脂成形体 |
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