JP2001231845A - 揮発性物質の徐放性ゲル状組成物およびその製造方法 - Google Patents

揮発性物質の徐放性ゲル状組成物およびその製造方法

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JP2001231845A
JP2001231845A JP2000049010A JP2000049010A JP2001231845A JP 2001231845 A JP2001231845 A JP 2001231845A JP 2000049010 A JP2000049010 A JP 2000049010A JP 2000049010 A JP2000049010 A JP 2000049010A JP 2001231845 A JP2001231845 A JP 2001231845A
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surfactant
gel
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JP2000049010A
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Noriko Kanei
典子 兼井
Masayuki Kataoka
正行 片岡
Hironobu Kunieda
博信 國枝
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Soda Aromatic Co Ltd
Original Assignee
Soda Aromatic Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は水性ベースであり、揮発性物質の含有
量を自由に設定できる揮発性物質含有ゲル状組成物を作
成することが可能であり、またゲル状組成物を室温で作
成することができ、ゲルの安定性、揮発性物質放出の持
続性に優れ、長期間、その効果を維持できる揮発性物質
の徐放性ゲル状組成物を提供する。 【解決手段】界面活性剤を含有するゲル状組成物におい
て、その界面活性剤がキュービック相を形成している揮
発性物質の徐放性ゲル状組成物であって、キュービック
相を形成する界面活性剤としては、HLB10以上の親
水性の界面活性剤が好ましく用いられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、キュービック相を
形成している界面活性剤を用いた揮発性物質の徐放出性
ゲル状組成物と、その製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、芳香剤、消臭剤、脱臭剤、防虫
剤、殺虫剤および忌避剤等の多くは、液体状の製品であ
り、ボトル等に入れ、開封して有効成分である揮発物質
を蒸散させるか、液状または噴霧にして散布して使用さ
れていた。しかしながら、液体状の製品を開封状態でボ
トル等に入れて放置した場合、ボトルが転倒して周囲を
汚染する可能性があり、また、散布する場合には散布に
手間がかかり、効果に持続性がないなどの欠点があっ
た。
【0003】そこで、これらの欠点を解決すべく開発さ
れた手段に、シリカ等の無機多孔担体や、スポンジ状樹
脂担体に揮発性物質を吸着させたものを用いる方法、樹
脂中に揮発性物質を練り込む方法がある。これらの手法
を用いることにより、容器の転倒による内容物の飛散の
心配はなくなった。しかしながら、これらの方法では、
揮発性物質が蒸散により減少しても、担体や樹脂自体の
体積変化はなく、外見上使用開始時と変わらないため、
効果の減少の度合いや取り換えの時期等の判断が困難で
あった。また、揮発性物質はこれら担体の表面から蒸散
はするが、担体の体積変化がないために、表面が乾いた
状態となり、経時での徐放性の持続に問題があった。
【0004】近年、これらの従来法の欠点を解決する手
法として、ゲル状組成物を用いる方法が開発された。こ
れは、揮発性物質、または、揮発性物質を含む溶液を吸
収、ゲル化することが可能な物質を用いてゲル状組成物
を作成し、それを用いる方法である。この場合、揮発性
物質の蒸散減少に伴いゲルの体積が減少するので、効果
の減少の度合いや取り換えの時期が一目でわかり、さら
には揮発性物質の徐放性を持続させることが可能であ
る。
【0005】従来、透明および不透明ゲル状組成物にお
いては、ゲル化剤として一般にカラギーナン、アルギン
酸ソーダ、ジェランガム、寒天、ゼラチンおよびキトサ
ン等の天然高分子化合物が使用されてきた。
【0006】しかしながら、カラギーナンや寒天等の天
然高分子化合物の場合は、一度高温に加熱して溶解し、
冷却してゲル化させることによりゲル状組成物を形成さ
せるが、ゲル化温度が高いので、例えば、ゲル状芳香剤
への使用においては、揮発性物質である香料をゲル化温
度より高温で添加する必要があり、そのために香料成分
の一部が揮散し、元の香料成分と異なったバランスとな
ってしまい、香調に好ましくない違和感が生じる等の問
題点を有していた。また、自動車等の芳香剤や、屋外直
射日光下で使用される防虫剤、殺虫剤および忌避剤等
の、ゲル状組成物の温度が50℃以上になる可能性のあ
る用途では、ゲルの強度が低下し、離水が生じる等の問
題点もあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
課題を解決するもので、水性ベースであり、揮発性物質
の含有量を自由に設定できる揮発性物質含有ゲル状組成
物を作成することが可能であり、またゲル状組成物を室
温で作成することが可能であり、しかも高温においても
ゲル状を保持しており、ゲルの安定性、香りの持続性に
優れ、長期間、香りを楽しむことが可能な揮発性物質の
徐放性ゲル状組成物とその製造方法を提供することにあ
る。また、油相とキュービック相(水連続相)の屈折率
を調節することにより、揮発性物質が含まれているとき
は不透明であるが、揮発性物質が蒸散により減少してい
くと透明になり、効果の減少の度合いや取り換え時期が
一目でわかるようにすることが可能な揮発性物質の徐放
性ゲル状組成物とその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するものであって、本発明の揮発性物質の徐放出性ゲ
ル状組成物は、次の構成からなるものである。 (1)界面活性剤を含有するゲル状組成物において、該
界面活性剤がキュービック相を形成していることを特徴
とする揮発性物質の徐放性ゲル状組成物。 (2)キュービック相を形成する界面活性剤が、HLB
10以上の親水性の界面活性剤であり、そのうち1種類
あるいは2種類以上を使用した上記(1)に揮発性物質
の徐放性ゲル状組成物。 (3)油相とキュービック相(水連続相)の屈折率の差
が0.02である上記(1)または(2)記載の揮発性
物質の徐放性ゲル状組成物。
【0009】また、本発明の揮発性物質の徐放性ゲル状
組成物は、キュービック相を形成している界面活性剤
に、香料を始めとする油溶成分を分散、乳化せしめるこ
とにより製造することができる。具体的には、キュービ
ック相が溶解する温度以上で攪拌することにより油性成
分を分散、乳化せしめ、その後、冷却することことによ
り、揮発性物質の徐放性ゲル状組成物を得ることができ
る。
【0010】そして、本発明の揮発性物質の徐放性ゲル
状組成物は、好適には転相乳化法を用いて製造すること
が可能である。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の揮発性物質の徐放出性ゲ
ル状組成物は、界面活性剤を含有するゲル状組成物にお
いて、その界面活性剤がキュービック相を形成している
揮発性物質の徐放性ゲル状組成物である。
【0012】分子内に親水基と疎水基を合わせ持つ界面
活性剤(両親媒性分子)としては、水中で様々な形態の
分子集合体を自発的に形成する。一般には、水中で界面
活性剤が親水基を外側に向けて閉じた分子集合体である
ミセル、その逆に、油中で界面活性剤が親油基を外側に
向けて閉じた分子集合体である逆ミセル、さらに、棒状
ミセルが六方晶形に配列したヘキサゴナル液晶、生体膜
の基本モデルとして用いられ、界面活性剤二分子層と水
相、油相が繰り返す層状構造をしたラメラ液晶などが挙
げられる。
【0013】本発明で用いられるキュービック相も、界
面活性剤が水中で形成する自己組織体であり、これらに
は、ミセルとヘキサゴナル液晶との間に存在するディス
コンティニアス(discontinuous)キュービック、ヘキ
サゴナル液晶とラメラ液晶との間に存在するバイコンテ
ィニアス(bicontinuous)キュービック、逆ミセルと逆
ヘキサゴナル液晶との間に存在する逆型のディスコンテ
ィニアスキュービック、逆ヘキサゴナル液晶とラメラ液
晶との間に存在する逆型のバイコンティニアスキュービ
ックの4種類が知られているが、本発明でいうところの
キュービック相はそれらのうちのディスコンティニアス
キュービックを意味している。ディスコンティニアスキ
ュービック相には、ミセルが体心立方格子、面心立方格
子、単純立方格子に3次元に配列した3種類がある。本
発明で用いられるキュービック相が形成されていること
を確認する手段としては、相平衡図上でミセル相とヘキ
サゴナル液晶相との間に存在すること、ミセルが立方晶
に充填した規則構造をなしており等方性の液晶であるた
め、偏光板、偏光顕微鏡を用いて観察した場合、サンプ
ルが偏光しない(光らない)こと、外観が透明で極めて
粘性が高いこと、小角X線散乱測定(SAXS)から得
られる散乱ピークの1次ピーク:2次ピーク:3次ピー
ク:4次ピーク:・・・面間隔の比が、体心立方と単純
立方の場合、1:ルート(1/2):ルート(1/3):ルート(1
/4):・・・となり、面立方の場合、1ルート(3/8):ル
ート(3/11):ルート(3/12):・・・となることなどが挙
げられる。
【0014】本発明で用いられるキュービック相を形成
する界面活性剤は、HLB10以上の親水性の界面活性
剤であることが好ましく、より好ましくはHLBが12
〜16程度の界面活性剤である。本発明で用いられる界
面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキ
ルエーテル類、ポリグリセリンアルキルエステル類、ポ
リオキシエチレン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレ
ン脂肪酸アミド類、ポリオキシエチレンコレステロール
エーテル類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油類等のポ
リオキシエチレン誘導体類、ポリオキシエチレンポリオ
キシプロピレン共重合体類、ソルビタン脂肪酸エステル
類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、
ソルビット誘導体類、ショ糖脂肪酸エステル類、脂肪酸
塩類、アルキル硫酸エステル類、アルキルベンゼンスル
フォン酸塩類、アルキルナフタレンスルフォン酸塩類、
アルキルスルフォコハク酸塩類、アルキルジフェニルエ
ーテルジスルフォン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキ
ル硫酸エステル塩類、アルキルアミン塩類、第四級アン
モニウム塩類、アルキルベタイン類、アミンオキサイト
類などに代表される、非イオン界面活性剤、陰イオン界
面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤であ
り、これらの1種類、あるいは2種類以上の混合物であ
ってもよい。
【0015】2種以上の界面活性剤を混合して用いる場
合は、混合により得られたHLB値が10以上であるも
のが好ましく、より好ましくは、HLBが12〜16程
度の比較的親水性の強いポリオキシエチレンアルキルエ
ーテル類、ポリオキシエチレンコレステロールエーテル
類が挙げられる。
【0016】本発明で用いられる界面活性剤は、水相
(塩、ポリオール等水溶性添加物を含む、もしくは含ま
ない)に対して界面活性剤が好適には20〜70重量%
配合される。水相(塩、ポリオール等水溶性添加物を含
む、もしくは含まない)に対して界面活性剤が20重量
%未満では、キュービック相が形成されず、ミセルが形
成されるため、ゲル状組成物を得ることができ難い。ま
た、水相(塩、ポリオール等水溶性添加物を含む、もし
くは含まない)に対して界面活性剤が70重量%を超え
る場合においても、キュービック相は形成されないた
め、ゲル状組成物を得ることができ難い。
【0017】例として、水/ポリオキシエチレン(2
5)セチルエーテル系、および水/ポリオキシエチレン
(25)ドデシルエーテル系、の相平衡図をそれぞれ図
1と図2に示す。図1と図2からわかるように、界面活
性剤低濃度側ではミセル相が形成され、界面活性剤が高
濃度になるに従い、キュービック相が形成される。キュ
ービック相の温度を上げると相境界で融解して、ミセル
分散液になる。図1と図2では、水-界面活性剤系にお
いてキュービック相が形成されているが、水−界面活性
剤系ではキュービック相は形成されずそこへ油溶性物質
を少量添加することによりキュービック相が形成される
場合もある。
【0018】本発明で用いられる揮発性物質は、香料、
消臭剤、脱臭剤、防虫剤、殺虫剤、忌避剤等の室温条件
下で蒸散性を有する物質であり、その1種類または2種
類以上を配合したものである。これらの揮発性物質の配
合量は、揮発性物質の徐放性ゲル状組成物の種類あるい
は用途、形態等の相違により適宜、選択することができ
る。一般的には、ゲル状組成物全体量に対して、1〜9
0重量%であり、より好ましくは1〜50重量%配合さ
れる。1重量%未満では、揮発性物質の揮散量が少ない
ため、揮発性物質含有組成物の目的とする機能が発揮で
き難く、一方、90重量%を超えると、ゲル状態の悪化
を伴い、さらに揮発性物質が過度に揮散し、徐放出性を
有さず、強すぎる効果を生じるため、好ましくない。
【0019】例として、水/ポリオキシエチレン(2
5)ドデシルエーテル(C12EO25)/β-イオノン(ionon
e)系の25℃における相平衡図を図3に示す。図3よ
り、水-界面活性剤軸では、界面活性剤30%〜70%
の範囲においてキュービック相が形成され、これにβ-
イオノンを添加していった場合に形成される、キュービ
ック相と過剰な油相の2相領域、II(I1+O)(図3の斜線
領域)において本発明のゲル状組成物を得ることができ
る。
【0020】本発明による揮発性物質の徐放出性ゲル状
組成物の場合、従来のゲル化剤を用いた場合に比較し
て、ゲルの諸物性を損なうことなく、揮発性物質の含有
量を極めて増加させることができるため、高含量の揮発
性物質の徐放性ゲル状組成物を作成することが可能であ
る。そのため、従来の揮発性物質の徐放性ゲル状組成物
と同等の性能を有しながら、よりコンパクト化された製
品を作成することができる。
【0021】本発明で用いられる揮発性物質に、あらゆ
る油溶性の溶剤を配合することができる。油溶性成分と
は、例えば、流動パラフィン、スクアラン等の炭化水素
類、イソプロピルミリステート等の極性油類などを挙げ
ることができる。
【0022】本発明で、揮発性物質として用いられる香
料は、麝香(musk)、霊猫香(civet)、海狸香(castriu
m)、竜涎香(ambergris)などの動物性香料、および、植
物の根幹、枝葉、花、果皮、種子などから得られる植物
性香料のような天然香料、並びに、それらの天然香料か
ら単離された抽出香料や、化学合成により得られる合成
香料などの人造香料といった香料であるが、本発明では
それらに限定されるものではない。単品香料が用いられ
ることもあるが、通常は複数の香料を調合して配合す
る。
【0023】本発明で揮発性物質として用いられる消臭
剤としては、植物抽出精油等が挙げられる。揮発性物質
として用いられる防虫剤としては、ショウ脳油、ラベン
ダー油等が挙げられる。揮発性物質として用いられる殺
虫剤としては、ジクロロプロパン、1、2、3、4、
5、6‐ヘキサクロルシクロヘキサン等が挙げられる。
揮発性物質として用いられる忌避剤としては、レモング
ラス精油、タバコ抽出物等、害虫、犬、猫、カラス等の
忌避剤が挙げられる。
【0024】本発明の揮発性物質の徐放性ゲル状組成物
には、揮散速度をコントロールするために、メチルアル
コール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、
ベンジルアルコール、3‐メチル‐3‐メトキシ‐1‐
ブタノール等のアルコール類、グリセリン、エチレング
リコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコー
ル、1,3‐ブチレングリコール等の多価アルコールな
どの水溶性の溶剤、塩化ナトリウム、炭酸カルシウム、
リン酸カルシウム等の無機塩類を1種または混合して配
合することができる。
【0025】本発明の揮発性物質の徐放性ゲル状組成物
には、前記必須成分の他に所望により、有機・無機その
他の着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐剤、にが
み剤などを添加することができる。着色剤は、ゲル状組
成物を着色し、意匠性を向上させる目的等で用いられ
る。例としては、食用赤色3号、食用青色1号、食用黄
色5号などが挙げられる。酸化防止剤は、主に揮発性物
質の酸化による劣化を防止する目的で添加される。例と
しては、ジ‐t‐ブチル‐p‐グレゾール(BHT)、
ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)等が挙げられ
る。紫外線吸収剤は、揮発性物質の徐放性ゲル状組成物
に含有される揮発性物質が紫外線に対して劣化しやすい
場合に添加される。例えば、フェニルサリシレート、ヒ
ドロキシメトキシベンゾフェノン等が挙げられる。防腐
剤としては、パラオキシ安息香酸メチル、イソプロピル
メチルフェノール等が挙げられる。にがみ剤は、幼児等
の誤食防止のために添加される。例えば、ビトレックス
(denatonium benzoate nf-anhydrous)、ナリンジン(na
ringin)等が挙げられる。
【0026】本発明の揮発性物質の徐放出性ゲル状組成
物は、例えば、次のような操作によって製造することが
できる。すなわち、揮発性物質、界面活性剤、水相
(塩、ポリオール等水溶性添加物を含む、もしくは含ま
ない)等からなるゲル状組成物を形成する全成分を仕込
み、キュービック相が溶解する温度以上にて、撹拌を行
ない、均一に分散、溶解させる。その後、均一になった
溶液を所望する製品容器中へ流し入れ、放冷あるいは急
冷することによりキュービック相の溶解温度以下に冷却
し、ゲル状組成物の温度の低下に伴い、ゲル化が進行
し、目的のゲル状組成物を得ることができる。しかしな
がら、上記の製造方法では、ゲル化温度が比較的高いの
で、例えば、ゲル状芳香剤への使用においては、揮発性
物質である香料をゲル化温度より高温で添加するために
香料成分の一部が揮散し、香気のバランスに影響する可
能性がある。
【0027】そこで、転相乳化法を用いることにより、
0℃以上の温度において、好ましくは30〜50℃にお
いて、目的とする揮発性物質の徐放出性ゲル状組成物を
製造することができる。ここでいう転相乳化法とは、次
に示す方法である。まず、界面活性剤の全配合量、もし
くはその一部をあらかじめ揮発性物質に加えて撹拌、均
一に分散、溶解させて油相(成分)を調整しておく。こ
のとき、界面活性剤が溶解しない場合は3重量%前後の
水を添加するとよい。そこに水相成分(塩、ポリオール
等水溶性添加物を含む、もしくは含まない、および揮発
性物質へ加えていない残りの界面活性剤)を添加して、
撹拌する手法である。
【0028】本発明の揮発性物質の徐放性ゲル状組成物
は、不透明、および透明の外観を目的に応じて得ること
が可能である。従って、本発明は、揮発性物質が蒸散に
より減少し、効果が終了した終点を、使用者が外観から
判断できるようにすることが可能である。例えば、ゲル
状組成物の外観が最初不透明であるが、使用開始後、揮
発性物質が蒸散して効果が発揮され、揮発性物質が減少
していくと、上部から次第に外観が透明に変化する。す
なわち揮発性物質のなくなった部分が透明になってい
き、最終的にはゲル状組成物の全体が透明の外観を得る
こととなり、揮発性物質がなくなったことが確認でき
る。
【0029】また、最初からガラスのように透き通った
透明の外観を得ることが可能である。このことを達成す
るためには、キュービック相(界面活性剤および、塩、
ポリオール等水溶性添加物を含む、もしくは含まない、
からなる水連続相)と油相(揮発性物質および油溶性溶
剤)の屈折率を調節することにより解決される。例え
ば、水の屈折率は1.33であるが、これに本発明で必
要とされる界面活性剤を添加して得られるキュービック
相(水連続相)の屈折率は通常1.40前後となる。一
方、揮発性物質の屈折率は1.47前後の場合が多い。
そこで、キュービック相(水連続相)の屈折率を上げ
る、もしくは油相の屈折率を下げることが必要となる。
キュービック相(水連続相)の屈折率を上げる方法とし
ては、グリセリン、エチレングリコール、プロピレング
リコール、ヘキシレングリコール、1,3‐ブチレング
リコール等の多価アルコールを添加することが考えられ
る。一方、油相の屈折率を下げる方法としては、シリコ
ーン油などを添加することが考えられる。最終的に、キ
ュービック相(水連続相)と油相の屈折率の違いが0.
02程度になるように両相を調節することにより、透明
なゲル組成物を得ることができる。
【0030】本発明の揮発性物質の徐放性ゲル状組成物
は、病院等の公共施設、住宅、トイレ、更衣室、靴箱、
タンス、押し入れ、屋根裏、床下などの屋内、自動車、
電車、飛行機等の乗り物などの車内や、庭先、屋上、道
路、ゴミ置き場、果樹園、ビニールハウス等の屋外で好
適に使用される。
【0031】
【実施例】以下、本発明について実施例、比較例を挙げ
て説明する。しかしながら、本発明はこれらによって何
ら限定されるものではない。
【0032】(参考例)ゲル状組成物を形成している界
面活性剤EMALEX CS-30と水の2成分系では、25℃にお
いて、界面活性剤濃度が約24重量%未満ではミセル水
溶液が形成され、界面活性剤濃度が増加するにつれてミ
セルが立方晶に配列したディスコンティニアスキュービ
ック相が形成され、約68重量%あたりまで存在する。
そして、さらに界面活性剤が高濃度になると、ヘキサゴ
ナル液晶、固相へと相転移する。ディスコンティニアス
キュービック相が形成されていることを確認するため、
各濃度において小角X線散乱測定(SAXS)を行なった結
果、得られた散乱ピークを図4に示す。横軸は散乱ベク
トル(q=4πsin(θ/2)/λ)、縦軸は強度であり、図中の
数字は、EMALEX CS-30の重量%を示す。図4より、測定
した全ての濃度において観察された散乱ピークの面間隔
比は、1次ピーク:2次ピーク:3次ピーク=1:ルー
ト(3/8):ルート(3/11)であり、ディスコンティニ
アスキュービック相の散乱ピーク比を示した。さらにこ
れらの領域のサンプルを偏光板を用いて観察したところ
偏光せず、また、外観が透明で極めて粘性が高かったこ
とから、全領域でディスコンティニアスキュービック相
が形成されていることが確認できた。
【0033】(実施例1〜4)下記の表1に示す成分と
配合量(重量%)に従い、揮発性物質の徐放出性ゲル状
組成物を作成した。これら実施例1〜4は、芳香剤とし
て使用する場合の処方例である。成分中、香料(ライ
ム、レモン、グリーン、ピーチ)には、曽田香料株式会
社で調合した芳香剤用香料を用いた。また、界面活性剤
は日本エマルジョン株式会社の市販品(HLB15)、
グリセリンは株式会社和光純薬の試薬特級、塩化ナトリ
ウムは株式会社純正工業の試薬特級をそれぞれ使用し
た。揮発性物質の徐放出性ゲル状組成物の作成方法は、
あらかじめ表1の割合の界面活性剤と香料、および水3
重量%を約40℃にて混合、均一にしておく(これを油
相とする)。また、残りの水、グリセリン、塩化ナトリ
ウムを表1のとおり所定量仕込み、約40℃にて混合、
均一にしておく(これを水相とする)。次に、上記調整
した油相(約40℃)を撹拌しながら、上記調整した水
相(約40℃)を素早く添加して、揮発性物質の徐放性
ゲル状組成物を作成した。
【0034】
【表1】 次に、このようにして得られた揮発性物質の徐放性ゲル
状組成物について、調整時のゲルの状態、揮散途中のゲ
ルの状態、揮散後のゲルの透明性、ゲル状組成物の揮散
速度について評価を行なった。
【0035】・調整時のゲルの状態 目視により観察した。評価基準は、◎:ゲル化良好でゲ
ルの流動性がない、○:ゲル化するがゲルの流動性がや
やある、△:ゲル化するがゲルの流動性あり、×:ゲル
化しない、もしくは離水が認められる、である。なお、
ここでいう離水とは、ゲルの表面、あるいはゲルと容器
との間に液体がしみ出してくることをいう。
【0036】・揮散途中のゲルの状態 調整したゲル状組成物を室温のドラフト内で揮散させ、
揮散途中のゲルの状態を目視により観察した。評価基準
は、◎:離水がなく、ゲルの流動性がない、○:離水は
ないが、ゲルの流動性がややある、△:離水はないが、
ゲルの流動性あり、×:離水が認められる、である。な
お、ここでいう離水とは、ゲルの表面、あるいはゲルと
容器との間に液体がしみ出してくることをいう。
【0037】・揮散後のゲルの透明性 目視により観察した。評価基準は、○:透明、△:やや
不透明、×:不透明、である。
【0038】・ゲル状組成物の揮散速度 調整したゲル状組成物を室温のドラフト内で揮散させ、
「揮散後のゲル状組成物の減少量(g)/調整時のゲル状組
成物の総重量(g)」を求め、経日に対してプロットし
た。
【0039】試験結果を表3および図4に示す。
【0040】(比較例1〜3)下記の表2に示す成分と
配合量(重量%)に従い、一般的なカラギーナンゲルを
用いてゲル状組成物を作成した。これら比較例1〜3は
全て、芳香剤として使用する場合の処方例である。成分
中、香料(ライム、ピーチ)は実施例1および実施例4
と同じものを用いた。ゲル状組成物の作成方法は、水、
カラギーナン、塩化カリウムを表2のとおり諸定量仕込
み、約70℃にて混合、均一に溶解した。そこへ表2の
割合の香料、界面活性剤、PEG#200の混合溶液を
入れて撹拌し、室温まで冷却してゲル状組成物を作成し
た。
【0041】
【表2】 このようにして得られたゲル状組成物について、調整時
のゲルの状態、揮発性物質の揮散途中のゲルの状態、揮
発性物質の揮散速度について、上記実施例1〜4と同様
の評価を行なった。
【0042】試験結果を表3および図4に示す。
【0043】実施例1〜4の各ゲル状組成物において、
香料の配合量は表1に示したとおり40重量%であり、
これらは全てゲル状組成物を形成するが、同じ香料配合
量で作成を試みた比較例3のカラギーナンゲルは表3か
ら明らかなように目的のゲル状組成物を得ることができ
なかった。一方、実施例1〜4の各ゲル状組成物は、比
較例1と比較例2のカラギーナンゲルの香料配合量(5
重量%)と比較して、非常に高濃度の香料が配合されて
いるにもかかわらず、表3から明らかなとおり、調整時
のゲルの状態、揮散途中のゲルの状態の項目において非
常に優れたゲル特性を示しており、通常用いられている
カラギーナンゲルと比較して劣ることろがない。
【0044】また、実施例1〜4および比較例1、2の
全てについて、調整時のゲルは不透明のものを調整して
いるが、揮発性物質の揮散後のゲルの透明性は比較例
1、2ともに不透明であるのもかかわらず、実施例1は
透明になっており、揮発性物質が減少していることが外
観で確認できる。また、図4に示したとおり、実施例1
〜4の各ゲル状組成物は、比較例1、2と比較して、揮
発性物質の揮散速度が緩やかであることから、香りの持
続性に優れていることがわかる。
【0045】
【表3】
【0046】
【発明の効果】本発明のキュービック相を用いた揮発性
物質の徐放性ゲル状組成物は、水性ベースでありなが
ら、高含量の揮発性物質含有ゲル状組成物を作成するこ
とが可能であり、またゲル状組成物を室温で作成するこ
とができ、ゲルの安定性、揮発性物質放出の持続性に優
れ、長期間、その効果を維持することができる。
【0047】また、本発明によれば、外観がガラスのよ
うに透き通った透明のゲル状組成物を得ることができ、
また、揮発性物質の含有量を極めて増加させることが可
能であるため、従来の揮発性物質の徐放性ゲル状組成物
と同等の性能を有しながら、よりコンパクト化された製
品とすることができる。また、キュービック相の形成さ
れる領域を調節することにより、熱安定を自由に変える
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、水/ポリオキシエチレン(25)セ
チルエーテル系の相平衡図を示す。
【図2】 図2は、水/ポリオキシエチレン(25)ド
デシルエーテル系の相平衡図を示す。
【図3】 図3は、水/ポリオキシエチレン(25)ド
デシルエーテル(C12EO25)/β-イオノン系の25℃に
おける相平衡図を示す。
【図4】 図4は、界面活性剤の各濃度における小角X
線散乱測定に基づく散乱ピークを表す図である。
【図5】 図5は、調整時のゲル状組成物の総重量
(g)に対する揮散後のゲル状組成物の減少量(g)の
割合について経時変化を表したグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4C080 AA04 BB03 CC01 HH06 HH09 JJ09 KK03 LL06 NN22 NN30 4H059 DA09 DA14 DA24 DA30 EA11 EA31

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 界面活性剤を含有するゲル状組成物にお
    いて、該界面活性剤がキュービック相を形成しているこ
    とを特徴とする揮発性物質の徐放性ゲル状組成物。
  2. 【請求項2】 キュービック相を形成する界面活性剤
    が、HLB10以上の親水性の界面活性剤であることを
    特徴とする請求項1記載の揮発性物質の徐放性ゲル状組
    成物。
  3. 【請求項3】 油相とキュービック相(水連続相)の屈
    折率の差が0.02であることを特徴とする請求項1〜
    2のいずれかに記載の揮発性物質の徐放性ゲル状組成
    物。
  4. 【請求項4】 キュービック相を形成している界面活性
    剤に、香料を始めとする油溶成分を分散、乳化せしめる
    ことを特徴とする揮発性物質の徐放性ゲル状組成物の製
    造方法。
  5. 【請求項5】 キュービック相が溶解する温度以上で攪
    拌することにより油性成分を分散、乳化せしめ、その
    後、冷却することを特徴とする請求項4記載の揮発性物
    質の徐放性ゲル状組成物の製造方法。
  6. 【請求項6】 界面活性剤と揮発性物質を含有する油相
    成分に、水相成分を添加する転相乳化法用いることを特
    徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の揮発性物質の
    徐放性ゲル状組成物の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003335602A (ja) * 2002-05-20 2003-11-25 S T Chem Co Ltd ゲル状防虫剤組成物及びゲル状防虫剤並びに該防虫剤の製造方法
WO2011078383A1 (ja) 2009-12-25 2011-06-30 株式会社サイトパスファインダー 低粘度液晶化合物

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JP2003335602A (ja) * 2002-05-20 2003-11-25 S T Chem Co Ltd ゲル状防虫剤組成物及びゲル状防虫剤並びに該防虫剤の製造方法
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