JP2001230500A - GaN/AlGaNまたはAlGaN/AlGaN量子井戸構造の形成方法 - Google Patents
GaN/AlGaNまたはAlGaN/AlGaN量子井戸構造の形成方法Info
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Abstract
GaN系量子井戸構造の場合、室温での発光効率が極め
て悪く、その効率を改善させることが必要であった。 【解決手段】 GaN/AlGaNまたはAlGaN/
AlGaN量子井戸構造の井戸層の結晶成長において、
キャリアガスとして窒素を使用すること、および/また
はInを含む物質を同時供給することにより井戸層に圧
縮性歪みを付与することにより、量子井戸構造の歪みの
大きさおよび/または符号を制御する。これにより、井
戸層の厚さをコントロールすることなく、量子井戸構造
の結晶性、対称性、光学特性を大幅に改善することがで
きる。
Description
どへの応用が期待されているGaN系発光ダイオードま
たは半導体レーザ装置などの量子井戸構造の形成方法お
よび該形成方法によって製造された量子井戸構造を有す
る半導体レーザ装置に関するものである。
いる量子井戸構造を有したGaN/AlGaNまたはA
lGaN/AlGaN半導体の製造方法において、結晶
性、対称性、光学特性等の改良には、量子井戸層に圧縮
歪みをかけると効果があることが分かってきた。例え
ば、特開平10−335742号公報には、InGaP
の量子井戸層の厚さを8nmより小さくしてGaAs基
板より大きい格子定数を持つように格子不整合を作り、
量子井戸層に圧縮性歪みを加えた半導体レーザー装置が
開示されている。
たはAlGaN/AlGaN系量子井戸構造の場合、従
来、下地のGaN層を水素キャリア中で作製し、その上
のGaN/AlGaN量子井戸構造を水素キャリア中で
作製していたが、室温での発光効率が極めて悪く、その
効率を改善させることが必要であった。上記の特開平1
0−335742号公報に示される半導体レーザ装置で
は、井戸層の厚さを薄くすることで、圧縮歪みを増大し
て発光効率を改善しているが、この場合、井戸層の厚さ
を厳しくコントロールする必要がある。
キャリア中で作成されたGaNの単層膜は、バルクのG
aNに対して圧縮歪みを受け、窒素キャリア中で作成し
たGaNの単層膜は、バルクのGaNに対して引っ張り
歪みを受けることと、これらにInをドープすることで
単層膜の歪みの大きさを制御し、結晶性、光学特性の改
善に成功した。
の知見を適用するに当たり、等電子Inドーピング(G
aN、AlGaNのGaおよびAlはIII族であり、
NはV族である。そこに、Inをドーピングした場合、
InもIII族なので、荷電子の数はGaおよびAlと
同じである。これを等電子ドーピングという。)という
手法を量子井戸層形成時に試み、量子井戸構造を形成す
る際のキャリアガスの選択により量子井戸層の結晶性の
改善を図ることができることを見出した。
量子井戸構造を形成する方法において、下地GaN層を
水素キャリアまたは窒素キャリア中で製作し、GaN/
AlGaNまたはAlGaN/AlGaN量子井戸構造
の結晶成長において、キャリアを窒素ガスとすることに
より量子井戸層に圧縮性歪み(ただし、圧縮性歪みは下
地GaNを基準に取る。)を付与することにより歪みの
大きさを制御することを特徴とする量子井戸構造の形成
方法である。なお、圧縮性歪みは下地GaNを基準に取
るということは、下地GaNの面方向の格子定数(格子
定数a)に対する歪みが圧縮性となることを言い、バル
クGaNの歪みに対する歪みのことではない。
井戸構造を形成する方法において、下地GaN層を水素
キャリアまたは窒素キャリア中で製作し、GaN/Al
GaNまたはAlGaN/AlGaN量子井戸構造の結
晶成長において、量子井戸層のGaN層または量子井戸
層のGAlaN層の成長において、キャリアガス中にイ
ンジウム源ガスを同時供給することにより量子井戸層に
引っ張り性歪みまたは圧縮性歪み(ただし、引っ張り性
歪みまたは圧縮性歪みは下地GaNを基準に取る。)を
付与することにより、歪みの大きさおよび符号を制御す
ることを特徴とする量子井戸構造の形成方法である。
井戸構造を形成する方法において、下地GaN層を水素
キャリアまたは窒素キャリア中で製作し、GaN/Al
GaNまたはAlGaN/AlGaN量子井戸構造の結
晶成長において、キャリアを窒素ガスとするとともに、
量子井戸層のGaN層または量子井戸層のGAlaN層
の成長において、キャリアガス中にインジウム源ガスを
同時供給することにより量子井戸層に引っ張り性歪みま
たは圧縮性歪み(ただし、引っ張り性歪みまたは圧縮性
歪みは下地GaNを基準に取る。)を付与することによ
り、歪みの大きさおよび符号を制御することを特徴とす
る量子井戸構造の形成方法である。
れた量子井戸構造を有する発光ダイオードまたは半導体
レーザ装置である。
構造の井戸層の厚さをコントロールすることなく周期性
の良好な量子井戸構造が作製され、量子井戸構造の結晶
性、対称性、光学特性を大幅に改善することに成功し
た。
明する。図1は、本発明の方法を用いて形成する量子井
戸構造(MQW)を示す側面図である。この試料の構造
は、サファイア(0001)基板上に低温堆積AlNバ
ッファ層30nmをまず成長させ、その上に下地GaN
層2μmを積んだ。ここまでは、全て水素キャリア中で
作製し、下地GaN層は、バルクGaNに対して圧縮性
の歪みを有することがわかっている。その上に、GaN
(5nm)/Al 0.17Ga0.83N(7nm)の量子井戸
構造(10QWs)を窒素キャリア中で作製したもので
ある。なお、比較のために水素キャリア中でも量子井戸
構造を作製した。
GaN量子井戸構造の形成には、成長温度1050〜1
100℃が採用されているが、本実験では、結晶成長は
成長温度は950℃〜1000℃とし、窒素キャリアガ
スは、流量5l/分〜10l/分で、GaNおよび/ま
たはAlGaN成長時に供給した。Inドープの効果と
In源ガスの流量依存性を確認するために、In源とし
てトリメチルインジウムを0〜10μmol/分の流量
でキャリアガス中に同時供給した。
−ωスキャンX線回折スペクトルである。この図から、
窒素中で作製したMQWの方が、比較のために水素中で
作製したMQWに比べてピークの数が多く、ピークその
ものも鋭い形をしている。このことから、窒素中で作製
したMQWの方が、MQWの周期性がよく、かつ、界面
がより平坦であることが示されている。
ンス(PL、発光)スペクトルである。窒素中で作製し
たMQWに関しては、量子井戸構造からの発光も観測さ
れているのに対して、比較のために水素中で作製した方
は、下地のGaNからの発光しか見えていない。図2
(a)、図2(b)から、窒素キャリアの方が水素キャ
リアを用いた場合よりもMQWの結晶性および発光特性
は良好であると言える。
たMQWの(10−10)面回折のX線ロッキングカー
ブの半値幅のTMI(トリメチルインジウム)流量依存
性(図の横軸方向)を示すグラフである。いわゆる、ツ
イストというa軸に関する情報が得られる。
GaNにのみInをドーピングしたもの(●)、(2)
障壁層AlGaNにのみInをドーピングしたもの
(△)、および(3)両者にInをドーピングしたもの
(×)、の3種類のデータを示している。(2)の場合
には、TMIの流量に対して大きな変化はない。(1)
と(3)は、同じ程度に(2)より大きなTMI流量依
存性を示し、Inの供給量を増やすほどに、結晶性が改
善されていることがわかる。つまり、井戸層GaNにI
nをドーピングすることが、より効果的であると考えら
れる。
したMQWに対して行った半値幅のTMI流量依存性
(図の横軸方向)を示す。これも、やはり、全く同様の
結果を表している。
(a)で示したスペクトルと同様のものである。ただ
し、TMI流量依存性(図の縦軸方向)を加えている。
(a)は、比較のため水素中で作製したMQWに関する
ものであり、(b)は、窒素中で作製したMQWに関す
るものである。これらの図からも、両者ともに、Inを
増やしていく(図の縦軸方向)につれて、ピークの数が
増えている、すなわち、周期性が明確に現れていること
が確認された。
中で作製したMQWのスペクトルの各ピークの半値幅の
TMI流量依存性(図の横軸方向)を取ったものであ
る。記号0(●)、+1(×)、−1(△)は、図4中
のそれぞれのピークに対応する。これらのグラフから、
半値幅がTMIの流量の増加(図の横軸方向)とともに
減少している、すなわち、結晶性がよくなっていること
がわかる。
トルである。ただし、TMI流量の依存性(図の縦軸方
向)を取ってある。この図から、水素、窒素ガス中で作
製したMQWが、ともに、TMI流量の増加につれて、
MQWからの発光が増大していることがわかる。なお、
矢印はピーク位置を示している。
発光強度のTMI流量依存性(図の横軸方向)を表し、
図7(b)は、同じく図6から得られるPLのピーク位
置(矢印の位置)のTMI流量依存性(図の横軸方向)
を表している。図7(a)から、窒素ガスを用いたMQ
Wの方が発光強度が大きいということがわかる。さら
に、窒素ガス、水素ガスどちらを用いても、TMI流量
の増加とともに、発光強度が増大することも確認され
た。
は、比較のため水素ガス中で作製したMQWに関して
は、TMI流量の増大(図の横軸方向)とともに、低エ
ネルギー側へとシフトしているのに対し、窒素ガス中で
作製したMQWに関しては、反対の傾向を示しているこ
とがわかる。これは、TMIの供給量の増大とともに膜
内の歪みが緩和されることに基づいているものと考えら
れる。
2 −GaNと表記する)および比較のため水素ガス中で
作製したGaN膜(H2 −GaNと表記する)の歪みの
TMI流量依存性(矢印方向)を格子定数cとaの関係
で表している。TMI流量増加とともに歪みが小さくな
っていることがわかる。さらに、水素中で作製したGa
N(H2 −GaN)は、バルクGaNに対し圧縮性歪み
を、窒素中で作製したGaN(N2 −GaN)は、バル
クGaNに対し引っ張り性歪みを受けていることもわか
る。
aN)とバルクGaNに対し圧縮性の歪みになり、窒素
中で作製する(N2 −GaN)とバルクGaNに対し引
っ張り性の歪みになるので、図9(b)に概念的に示す
ように、バルクGaNに対し圧縮性である下地H2 −G
aNの上に引っ張り性のN2 −GaN井戸層を積むと、
N2 −GaN井戸層は、それが単独で存在しているとき
よりも、下地のH2 −GaNの影響を受けて圧縮歪みを
感じることになる。これに対して、図9(a)に示すよ
うに、下地H2 −GaNの上に積んだH2 −GaN井戸
層は、下地H2−GaNの影響を受けず、歪みを感じな
い(無歪み)ことになる。一般に、結晶性などの特性
は、圧縮性の方が引っ張り性よりも良好である。
実験の結果を示すものである。以上の実験では、下地と
なるGaN膜は、全て水素ガス中で作製したもの(H2
−GaNと表記する)であった。ここでは、窒素ガス中
で作製したGaN膜(N2 −GaNと表記する)も使用
した。すなわち、下地が、H2 −GaNまたはN2 −G
aNで、上に積むMQWも、H2 −MQWとN2 −MQ
Wを準備した。したがって、4種類の構造が得られるこ
とになる。
N2 −GaNまたはH2 −GaNとしたもの、図10
(b)は、N2 −MQWについて、同じく、下地をN2
−GaNまたはH2 −GaNとしたものの(0002)
2θ−ωスキャンX線回折スペクトルである。
っ張り歪み(下地N2 −GaN、H 2 −MQW)<無歪
み(下地H2 −GaN、H2 −MQW)、無歪み(下地
N2−GaN、N2 −MQW)<圧縮歪み(下地H2 −
GaN、N2 −MQW)の順に、MQWの周期性がよく
なっていることがわかる。すなわち、キャリアガスの窒
素と水素を組み合わせることにより、下地GaNとMQ
Wにかかる歪みの符号(+引っ張り歪み、−圧縮性歪
み)を制御することが可能である。
の構造についてのPLスペクトルを示す。MQWの周期
性の結果と一致するように、発光強度に関しても、MQ
Wの受ける歪みが引っ張り歪み<無歪み<圧縮歪み、の
順に強くなっていることがわかり、下地GaNを水素キ
ャリアガスとし、量子井戸層を窒素ガスキャリアとした
場合に、優れた発光強度が得られる。
におけるキャリアガスの作用について述べたが、GaN
/AlGaNの障壁層のAlGaNより少しAlの組成
の少ないAlGaNを井戸層にそのまま持ってきても、
Alの組成が数%程度であれば、GaNの特性はそのま
まであり、結晶性おいて同様の結果が得られる。
リアで作成したバルクGaNに対して歪みをもつ下地G
aNの上に積むGaN井戸層またはAlGaN井戸層の
成長におけるキャリアを窒素ガスとすることおよび/ま
たはInドープにより量子井戸構造にかかる圧縮性歪み
の大きさを制御することができ、これにより、井戸層の
厚さをコントロールすることなく、量子井戸構造の結晶
性、対称性、光学特性を大幅に改善することができた。
概念を示す側面図である。
中で製作したMQWの(0002)2θωスキャンX線
回折スペクトルを示す図である。図2(b)は、図2
(a)のMQWの室温でのフォトルミネッセンス(P
L、発光)スペクトルを示す図である。
Wの(10−10)面回折のX線ロッキングカーブの半
値幅のTMI供給依存性を示すグラフである。
Wと水素中で製作したMQWのTMI流量依存性による
(0002)2θ−ωスキャンX線回折スペクトルを示
す図である。
ークの半値幅のTMI流量依存性を示すグラフである。
の依存性を示すグラフである。
強度のTMI流量依存性(図の横軸方向)を表し、図7
(b)は、同じく図6から得られるPLのピーク位置の
TMI流量依存性を示すグラフである。
GaN)および水素ガス中で作製したGaN膜(H2 −
GaN)の歪みのTMI流量依存性を格子定数cとaの
関係で示すグラフである。
aN膜(N2 −GaN)および水素ガス中で作製したG
aN膜(H2 −GaN)の歪みの違いを示す概念図であ
る。
2 −GaNまたはH2 −GaNとしたもの、10(b)
は、N2 −MQWについて、同じく、下地をN2 −Ga
NまたはH2 −GaNとしたものの(0002)2θ−
ωスキャンX線回折スペクトルを示す図である。
類の構造についてのPLスペクトルを示す図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 MOVPE法により量子井戸構造を形成
する方法において、下地GaN層を水素キャリアまたは
窒素キャリア中で製作し、GaN/AlGaNまたはA
lGaN/AlGaN量子井戸構造の結晶成長におい
て、キャリアを窒素ガスとすることにより量子井戸層に
圧縮性歪み(ただし、圧縮性歪みは下地GaNを基準に
取る。)を付与することにより歪みの大きさを制御する
ことを特徴とする量子井戸構造の形成方法。 - 【請求項2】 MOVPE法により量子井戸構造を形成
する方法において、下地GaN層を水素キャリアまたは
窒素キャリア中で製作し、GaN/AlGaNまたはA
lGaN/AlGaN量子井戸構造の結晶成長におい
て、量子井戸層のGaN層または量子井戸層のAlGa
N層の成長において、キャリアガス中にインジウム源ガ
スを同時供給することにより量子井戸層に引っ張り性歪
みまたは圧縮性歪み(ただし、引っ張り性歪みまたは圧
縮性歪みは下地GaNを基準に取る。)を付与すること
により、歪みの大きさおよび符号を制御することを特徴
とする量子井戸構造の形成方法。 - 【請求項3】 MOVPE法により量子井戸構造を形成
する方法において、下地GaN層を水素キャリアまたは
窒素キャリア中で製作し、GaN/AlGaNまたはA
lGaN/AlGaN量子井戸構造の結晶成長におい
て、キャリアを窒素ガスとするとともに、量子井戸層の
GaN層または量子井戸層のGAlaN層の成長におい
て、キャリアガス中にインジウム源ガスを同時供給する
ことにより量子井戸層に引っ張り性歪みまたは圧縮性歪
み(ただし、引っ張り性歪みまたは圧縮性歪みは下地G
aNを基準に取る。)を付与することにより、歪みの大
きさおよび符号を制御することを特徴とする量子井戸構
造の形成方法。 - 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載の方法
により得られた量子井戸構造を有する発光ダイオードま
たは半導体レーザ装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2000039811A JP3833431B2 (ja) | 2000-02-14 | 2000-02-14 | GaN/AlGaNまたはAlGaN/AlGaN量子井戸構造の形成方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR100709752B1 (ko) | 2004-06-25 | 2007-04-23 | 오재응 | 무인듐의 질화감륨계 발광 소자 |
JP2008544486A (ja) * | 2005-06-10 | 2008-12-04 | クリー, インコーポレイティッド | 直径100ミリメートルの炭化シリコン基板上の高均一性のiii族窒化物エピタキシャル層 |
CN114824004A (zh) * | 2022-06-29 | 2022-07-29 | 江西兆驰半导体有限公司 | 一种led外延结构及其制备方法 |
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- 2000-02-14 JP JP2000039811A patent/JP3833431B2/ja not_active Expired - Fee Related
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